JPH08238961A - シート要素を自動車に取付けるシステム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シート要素１、1'、特に後部シートの背もた
れ部分を車両に取付けるためのシステム。 【解決手段】 シート要素１、1'は車両構造に接続され
た支持体13と係合可能なジャーナル９を両側に有し、支
持体13はこのジャーナル９を受けるスロート17を有し、
ジャーナル９はロック部材19によってスロート17内に固
定され、ロック部材19はジャーナルを取り囲む軸受の役
目をし且つロック部材19をジャーナルの軸線に対して横
方向に固定するスロート17の側面に設けられた保持手段
29と係合可能なロック手段27を有し、ロック部材19はジ
ャーナル９に取付ける時に弾性変形でき、ジャーナル９
の軸線に対して直角な方向にスロート17中に挿入され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はシート（座席）、特に後部シート、正確には後
部シートの背もたれ部分（バック）を自動車に取り付け
る(fitting) 方法に関するものである。

【０００１】

【従来の技術】後部シートの背もたれ部分は例えばトラ
ンク空間を一時的に広くするためにクッション（座席）
部分の上に折り曲げできるようになっていることが多
い。この背もたれ部分は複数の部分が一体化されている
（ノンスプリットシートバック）か、互いに独立または
同時に折り曲げ可能な２つの部分に分かれている（60／
40スプリットシートバック) 。

【０００２】背もたれ部分の両側で車体に取付けられた
ラグ (突起）を設け、背もたれ部分のフレームに連結し
たジャーナルをこのラグで受けるようにした連結装置は
公知である。このラグは軸受の役目をしている。このラ
グはジャーナルの直径よりも幅の狭いスロットを有し、
ジャーナルは平坦部を有し、シートの背もたれ部分はこ
の平坦部がスロットに対して平行になる位置に来た時に
ジャーナルが軸受すなわち突起に挿入できるようになっ
ている。シートの背もたれ部分を使用位置へ回動する
と、平坦部がスロットに対して直角になり、ジャーナル
が軸受から外れなくなる。この方式は一体型のシートバ
ックで使用されており、背もたれ部分の取外しが容易に
なるが、耐破断強度が不十分で、特にトランクの中身が
急激な力でシートの背もたれ部分に当たった時の耐破断
強度が弱い。

【０００３】２つに分かれたスプリットシートバックの
背もたれ部分を取付ける公知の連結方式は２つに分かれ
た背もたれ部分の両側にヒンジを有し、各ヒンジの一部
を背もたれ部分のフレームに連結し、回動できるように
するか、車体にネジ止めした取付け部の上に回動できる
ようなっている。この方式では取付けに動力スクリュー
ドライバーのような道具が必要なため取付け時間が比較
的長くなり、シートの背もたれ部分が正しい設置状態に
ないと取付け部のネジ止めが困難になる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記問
題点を解決して、シート部分、特に後部シートの背もた
れ部分の取付けを容易かつ短時間で行えるようにし、し
かも、その接続強度を大きくすることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の対象は、シート
要素、特に後部シートの背もたれ部分を車両に取り付け
るためのシステムにおいて、 1) シート要素は車両構造に接続された支持体と係合可
能なジャーナルを両側に有し、 2) 支持体はジャーナルを受けるスロートを有し、ジャ
ーナルはロック部材によってスロート内に固定され、 3) ロック部材はジャーナルを取り囲む軸受の役目をし
且つロック部材をジャーナルの軸線に対して横方向に固
定するスロートの側面に設けられた保持手段と係合可能
なロック手段を有し、ロック部材はジャーナルに取付け
る時に弾性変形でき、ジャーナルの軸線に対して直角な
方向にスロート中に挿入される、ことを特徴とするシス
テムにある。

【０００６】本発明システムでは、シート要素、例えば
60／40型リアシートの背もたれ部分の最終取付け時に、
背もたれ部分を定位置にセットし (すなわちジャーナル
をロック部材に取付けたものを支持体と対向させ) 、次
いで、ロック部材を支持体のスロートに挿入してロック
手段を弾性屈曲によって保持手段と係合させるだけでよ
い。すなわち、取付け時に道具を用いる必要がなく、取
付けを容易、迅速に行うことができる。支持体は車体に
予め連結しておかなければならないが、支持体の位置決
めおよび固定 (通常は溶接) は他の固定要素を車体に連
結するのと同時に行うことができるので余分な時間はか
からない。

【０００７】本発明の特定構造では、ロック部材の中央
部がジャーナルの軸受を構成する。中央部は縦方向に延
びたスロットを有する開いたリング状をしており、弾性
変形可能で、スロットを拡げることによってジャーナル
上に軸線に対して横向きに取付けることができるように
なっている。ロック部材に十分な弾性を与えてロック部
材を支持体のスロートに挿入できるようし、しかも、弾
性的にスロートを拡げることができるようにしたことに
よって、ロック部材をジャーナルの軸線に対して横方向
から取付けることが可能になった。この構成は各ジャー
ナルがシート要素の両側から延び、その端部に軸線方向
ストッパー手段を有し、シート要素を横方向から位置決
めする場合に特に有利である。この軸方向ストッパー手
段はロック部材の中央部の周縁部から突出して放射方向
に大きくなって、支持体の側面と当接するようになって
いるのが好ましい。この軸方向ストッパー手段はシート
要素を効果的に固定し、ジャーナルが軸線方向に滑って
支持体から外れる現象のを防ぐ。この現象はシートのフ
レームが２つのジャーナルを互いに接近させるように曲
げられた時に起こる。

【０００８】本発明システムの他の特徴は下記の通りで
ある。 1) ロック部材が２つのリップを有し、各リップはスロ
ットの近くからのび且つロック手段を備えている。 2) ロック手段が中央部から最も遠いリップの端部で構
成され、支持体の保持手段がスロートの側面から延びた
肩部で構成され、ロック部材がスロート内の定位置にあ
る時にはリップの端部がこの肩部の下側と係合する。 3) リップが剛体であり、中央部は伸縮自在で、ロック
部材をジャーナルに予め取付けた状態で支持体のスロー
トに挿入した時に２つのリップが互いに接近きるように
なっている。 4) リップがスロットの端部から外側に向かって延びた
柔軟な接続アームと、この接続アームの端部と連結し、
スロートの側面に沿って中央部へ向かって内側（下側）
に延びたストップアームとで構成されている。 本発明のその他の利点および特徴は以下で説明する２つ
の部分よりなるバックシートの背もたれ部分の取付けシ
ステムから明らかになるであろう。

【０００９】

【実施例１】図１は２つに分かれた60／40型の背もたれ
部分の各部分１、１’をそのフレーム３のみで概念的に
示したものである。実際には各背もたれ部分１、１’に
は通常のマット、クッションおよびカバーが取付けられ
ているということは理解できよう。このフレーム３は下
部に水平横断部材５を有し、この水平横断部材５の下側
角部には一種の凹状面取り部７が形成されている。この
面取り部７は実際には水平横断部材５を構成する金属材
料を加工して作られる。水平横断部材５の両端には水平
軸線を有するジャーナル９が溶接されている。これらの
ジャーナル９は面取り部７に位置決めした状態でその断
面が各ジャーナルに対応する曲率半径を有するようにな
っている。この構成によって、ジャーナル９を溶接する
前の位置決め操作が容易になり、ジャーナル９とフレー
ムとの間の接合剛性が向上する。

【００１０】各ジャーナル９の末端には円形拡大部11が
設けられている。この円形拡大部11は例えば鍛造で形成
され、以下で説明するように、軸線方向のストッパーの
役目をする。車体（図示せず）は各ジャーナル９を受け
る支持体13が固定されている。この支持体13はネジで車
体に固定することもできるが、内装を施す前に車体に溶
接するのが好ましい。図１に示すように背もたれ部分が
２つに分かれている場合には車両の両側に配置された支
持体13は単純な支持体であるが、車両の中央に配置され
た支持体は２つに分かれた背もたれ部分の互いに隣接す
る２つのジャーナルを受ける単一部品15に構成されてい
る。

【００１１】支持体13は全体形状がＶ字型をしたスロー
ト（喉部）17を有している。このスロート17はロック部
材(piece d'ancrage)19 の外側形状に対応している。こ
のロック部材19は例えばプラスチックで作ることができ
る。ロック部材19は内径がジャーナル９の内径にほぼ等
しいリング状の中央部21と、この中央部21と一体で中央
部21から外側に向かって互いに斜めの方向に突き出た２
本のリップ23とを有している。中央部21は長手方向にス
ロット25を有し、ジャーナル９用の軸受の役目をする。
図１〜４はロック部材の第１実施例を示し、図５の (a)
〜(d) は変形実施例を示している。

【００１２】第１実施例ではリップ23が三角形断面を有
し、従って、相対的に剛性で、変形し難い。取付け位置
(図３) では、リップ23の外側表面がスロート17の側面
に当接し、リップ23の上端27がスロート17の端部から互
いに接近する方向へ突き出た肩部29の下側と係合する。
従って、この位置では中央部21がスロット25の領域を除
いてジャーナル９のほぼ全周を取り囲み、リップ23の上
端27が肩部24の下側と当接することによって、ジャーナ
ル９が支持体13内で放射方向から強固に固定される。

【００１３】図２、図３から明らかなように、ジャーナ
ル９の端部の円形拡大部11の直径は中央部21の外径（従
ってスロート17の底部の外径）よりも大きい。従って、
この円形拡大部11は支持体13の側面31と当接する軸線方
向ストッパーの役目をしてジャーナル９が軸方向に外れ
るのを防いでいる。なお、ロック部材19は円形拡大部11
とシートの背もたれ部分のフレーム３との間で軸線方向
がロックされる。図１から分かるように、車両の中央に
配置された２つの支持体は補強リブ33によって互いに連
結されている。これら２つの支持体を単一部品15にする
ことによって円形拡大部11の軸線方向ストッパー作用で
２つの背もたれ部分が互いに離れないようにでき、従っ
て、シートの背もたれ部分の変形および耐破損強度が向
上する。

【００１４】このロック部材19の第１実施例では、中央
部21の弾性とリップ23の弾性変形に起因するわずかな遊
びとによってシートの背もたれ部分の各部を取付けする
ことができる。実際には取付けは以下のようにして行わ
れる。 1) 先ず最初に、スロット25を介して半径方向からジャ
ーナル９をロック部材19中に挿入する。中央部21は弾性
があるのでスロット25を十分に広げることができる。 2) 次いで、シートの背もたれ部分１、１’を支持体13
上に配置し、押し下げると、ロック部材19はスロート17
中に挿入し始める。リップ23は肩部29を通過する時には
互いに接近する。リップ23は剛性が大きいので、２つの
リップ23の接近は主としてスロット25の存在および中央
部21の弾性によって可能となる。挿入中のロック部材19
の位置は図３で点線で示してある。 3) 挿入終了後に中央部21がスロート17の底部と当接し
た時には、リップ23の上端27が肩部29の下側にパチッと
嵌まる。

【００１５】図５の (a)〜(d) は、ジャーナルを支持体
に挿入するのに必要な力を小さくして取付けを簡単にす
るための変形例のロック部材を取付ける時の各段階を示
す図である。この変形例のロック部材19’の全体形状は
基本的に上記と同じであるが、リップ23’自体が変形し
て、肩部29の間を通過できるようになっている。そのた
め、各リップ23’はスロット25の端部から外側へ向かっ
て延びた柔軟性のある接続アーム35と、この接続アーム
35の端部から中央部へ向かって内側（下側）へ延びた当
接アーム37とを有している。なお、当接アーム37は中央
部に連結していない。この当接アームは剛体で、ジャー
ナルを支持体から外すような力が加わった時には、この
当接アームが圧縮されて、ロック部材は中央部21と肩部
29との間に確実に固定される。

【００１６】この変形例でもロック部材は上記と同じ方
法でジャーナルに取付けられるが、支持体への挿入時に
は図５(c) に示すように柔軟な接続アーム35が湾曲して
両方のリップが互いに接近させることができる。ロック
部材は例えば繊維強化プラスチックで作ることができ
る。本発明は例として挙げた上記の取付けシステムに限
定されるものではない。特に、スロートの形状、ロック
部材のロック手段および支持体の保持手段は同じ機能の
別の構成に変えることができる。例えば、スロートの側
面が互いにほぼ平行にすることができ、ロック手段をロ
ック部材の外側表面上に設けてスロートへの挿入時には
引っ込み、定位置に来た時にスロートの側面に固定のた
めに形成した窪みと嵌合するようにすることもできる。

【００１７】同様に、ジャーナルの軸線方向のストッパ
ーも上記円形拡大部以外の任意の形状にすることができ
る。ストッパーの放射方向の少なくとも一部の寸法は支
持体に対する軸線方向ストッパーとしての機能を十分発
揮できるものでなければならない。本発明の取付けシス
テムは２つに分かれた後部シートの背もたれ部分に特に
有利であるが、一体型シートの背もたれ部分あるいはク
ッション部分についても適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 左側部分に取付けられた背もたれが示され、
右側部分には取付け前の別のシートが示された斜視図。

【図２】 ２つの架台と供に背もたれ部分を示した部分
正面図。

【図３】 図２の線III 〜III における断面図である
が、さらに取付け中に弾性的に変形されたロック部材が
点線で示されている。

【図４】 ロック部材の側面図。

【図５】 (a) 〜(d) はロック部材の変形例を用いた場
合の取付けの各段階を示す図。

【符号の説明】

１、１’ シートの背もたれ部分 ３ 背
もたれ部分のフレーム ５ 水平横断部材 ７ 凹
型面取り部 ９ ジャーナル 11 円
形拡大部 13、15 支持体 17 ス
ロート 19、19’ ロック部材 21 中
央部 23、23’ リップ 25 ス
ロット 27 リップ上端 29 肩
部 31 支持体の側面 33 補
強リブ 35 接続アーム 37 ス
トップアーム

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シート要素(1, 1') 、特に後部シートの
   背もたれ部分を車両に取付けるためのシステムにおい
   て、 1) シート要素(1, 1') は車両構造に接続された支持体
   (13)と係合可能なジャーナル(9) を両側に有し、 2) 支持体(13)はジャーナル(9) を受けるスロート(17)
   を有し、ジャーナル(9)はロック部材(19)によってスロ
   ート(17)内に固定され、 3) ロック部材(19)はジャーナル(9) を取り囲む軸受の
   役目をし且つロック部材(19)をジャーナル(9) の軸線に
   対して横方向に固定するスロート(17)の側面に設けられ
   た保持手段(29)と係合可能なロック手段(27)を有し、ロ
   ック部材(19)はジャーナル(9) に取付ける時に弾性変形
   でき、ジャーナル(9) の軸線に対して直角な方向にスロ
   ート(17)中に挿入される、ことを特徴とするシステム。
2. 【請求項２】 ロック部材(19)がジャーナル(9) の軸受
   を構成する中央部(21)を有し、中央部(21)は縦方向スロ
   ット(25)を有する開いたリング状で且つ弾性変形可能
   で、スロットを拡げることによってジャーナル(9) にそ
   の軸線に対して垂直な方向から取付けることができるよ
   うな請求項１に記載のシステム。
3. 【請求項３】 ロック部材(19, 19') が２つのリップ(2
   3)を有し、このリップ(23)はスロット(25)の近くでリン
   グ状部品から延び且つロック手段(27)を有する請求項２
   に記載のシステム。
4. 【請求項４】 ロック手段が中央部から最も遠いリップ
   (23)の端部(27)で構成され、支持体の保持手段がスロー
   ト(17)の側面から延びた肩部(29)で構成され、ロック部
   材がスロート内の定位置にある時にはリップの端部(27)
   が肩部(29)の下側と係合する請求項２に記載のシステ
   ム。
5. 【請求項５】 リップ(23)が剛体であり、中央部(21)は
   弾性体であり、ロック部材(19)をジャーナル(9) に取付
   けた状態で支持体(13)のスロート(17)に挿入した時に、
   ２つのリップが互いに接近できるようになっている請求
   項３または４に記載のシステム。
6. 【請求項６】 リップ(23') がスロット(25)の端部から
   外側に向かって延びた柔軟な接続アーム(25)と、この接
   続アームの端部に連結され且つスロートの側面に沿って
   中央部(21)に向かって内側へ延びた当接アーム(37)とで
   構成される請求項３または４に記載のシステム。
7. 【請求項７】 ロック部材(19') が繊維強化プラスチッ
   クで作られている請求項１〜６のいずれか一項に記載の
   システム。
8. 【請求項８】 シート部分(1, 1') の両側から延びたジ
   ャーナル(9) の端部にロック部材の中央部(21)の周縁部
   から放射方向に突出した軸線方向のストッパー手段(11)
   を有する請求項１〜７のいずれか一項に記載のシステ
   ム。
9. 【請求項９】 ２つ部分に分かれたシート要素を取り付
   けるためのシステムにおいて、２つの部分の互いに隣接
   したジャーナルに対応した２つの支持体を単一部材(15)
   にした請求項１〜８のいずれか一項に記載のシステム。
10. 【請求項１０】 ジャーナル(9) がシート要素の水平部
    材(5) に形成されたジャーナルに対応した断面を有する
    の凹状面取り部(7) に溶接されている請求項１〜９のい
    ずれか一項に記載のシステム。