JPH08225343A - 建材用結晶化ガラス物品及びその製造方法 - Google Patents

建材用結晶化ガラス物品及びその製造方法

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JPH08225343A
JPH08225343A JP3480895A JP3480895A JPH08225343A JP H08225343 A JPH08225343 A JP H08225343A JP 3480895 A JP3480895 A JP 3480895A JP 3480895 A JP3480895 A JP 3480895A JP H08225343 A JPH08225343 A JP H08225343A
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JP
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glass
crystallized glass
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powder
article
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JP3480895A
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English (en)
Inventor
Michiyuki Yamada
宙行 山田
Hiroki Yamazaki
博樹 山崎
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Nippon Electric Glass Co Ltd
Original Assignee
Nippon Electric Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 平滑で光沢のある火づくりの表面を有し、し
かも濃色系の色調であっても着色することが可能な建材
用結晶化ガラス物品及び製造方法を提供する。 【構成】 本発明の建材用結晶化ガラス物品は、結晶化
度が50%以下の結晶化ガラス10からなる基材部分A
と、非晶質ガラス20及び無機顔料30とで構成される
表面部分Bとが融着してなり、非晶質ガラス20が基材
部分Aより小さい比重を有してなることを特徴とする。
このような結晶化ガラス物品は、熱処理すると結晶化度
が50重量%以下の結晶化ガラスとなる結晶性ガラス1
1からなる基材aの表面に、熱処理後の基材より小さい
比重を有する非晶質ガラス粉末21と無機顔料粉末31
とを含むインク層bを形成した後、熱処理することによ
り製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物の外装材や内装
材に用いられる建材用結晶化ガラス物品及びその製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の外装材や内装材として結
晶化ガラス物品が広く用いられている。この用途に用い
られる結晶化ガラスには、耐候性、機械的強度等の特性
が優れていることの他に、美しい外観を呈することが要
求される。これらの諸特性を満足するものとして種々の
結晶化ガラスが提案されており、例えば本出願人の発明
になる特公昭60−49145号にはZnO−MgO−
Al23 −SiO2 系の組成を有し、フォルステライ
ト(2MgO・SiO2 )やガ−ナイト(ZnO・Al
23 )を析出してなる結晶化ガラスが開示され、また
特開平3−80128号には、CaO−TiO2 −Zr
2 −Al23 −SiO2 系の組成を有し、ジルコノ
ライト(CaO・ZrO2 ・2TiO2 )を析出してな
る結晶化ガラスが開示されている。
【0003】上記特公昭60−49145号や特開平3
−80128号に開示された結晶化ガラスからなる建材
用結晶化ガラス物品は、耐候性等の特性に優れているだ
けでなく、結晶化度が50%以下であるために熱処理時
における結晶化ガラスの流動性が良好であり、平滑で、
且つ光沢のある火づくりの表面を有する。しかもガラス
原料に着色酸化物を添加しておくことにより種々の色調
を呈することができ美しい外観を呈するものである。と
ころがこのような建材用結晶化ガラス物品においては、
色調の異なるものを同一のガラス溶融炉で製造する場
合、色調毎に溶融炉の生地替えをしなければならず、こ
れに伴う製造ロスが発生して製造コストが高くつくとい
う問題点を有している。
【0004】そこで本出願人は、特開平6−19188
6号において、ZnO−MgO−Al23 −SiO2
系やCaO−TiO2 −ZrO2 −Al23 −SiO
2 系の結晶性ガラスからなる基材の表面に、結晶性ガラ
ス板と同一組成系のガラス粉末と無機顔料粉末を含むイ
ンクを塗布し、これを熱処理して建材用結晶化ガラス物
品を製造する方法を提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記方法によれば、無
機顔料によって着色され、平滑で光沢のある火造りの表
面を有する結晶化ガラス物品を製造することが可能であ
る。しかも無機顔料を適宜選択することによって種々の
色調に着色することが可能であり、溶融炉の生地替えを
行う必要がないため製造コストを大幅に削減することが
可能である。
【0006】しかしながらこの方法においては、インク
中に含まれるガラス粉末として結晶性ガラスを使用する
が、これが熱処理されると結晶化して白色の結晶化ガラ
スとなる。それゆえ無機顔料により着色された表面部分
の色調が薄められ、濃色系の色調が得難くなるといった
欠点がある。
【0007】本発明の目的は、平滑で光沢のある火づく
りの表面を有し、しかも濃色系の色調であっても着色す
ることが可能な建材用結晶化ガラス物品及び製造方法を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成するために種々の実験を行った結果、インク中に含
まれるガラス粉末として非晶質ガラスを用いること、及
び流動性に優れた結晶性ガラスを基材に使用するため、
インク中に含まれるガラス粉末として基材より小さい比
重を有するガラスを選択することが重要であることを見
いだし、本発明として提案するものである。
【0009】即ち、本発明の建材用結晶化ガラス物品
は、図1(b)に示すように、結晶化度が50%以下の
結晶化ガラス10からなる基材部分Aと、非晶質ガラス
20及び無機顔料30とで構成される表面部分Bとが融
着してなり、非晶質ガラス20が基材部分Aより小さい
比重を有してなることを特徴とする。
【0010】また本発明の建材用結晶化ガラス物品の製
造方法は、図1(a)に示すように、熱処理すると結晶
化度が50重量%以下の結晶化ガラスとなる結晶性ガラ
ス11からなる基材aの表面に、熱処理後の基材より小
さい比重を有する非晶質ガラス粉末21と無機顔料粉末
31とを含むインク層bを形成した後、熱処理すること
を特徴とする。
【0011】
【作用】本発明の建材用結晶化ガラス物品は、表面部分
が透明な非晶質ガラスと無機顔料とで構成されるため、
無機顔料の着色によって色調が薄められることがない。
また無機顔料を適当に選択することにより、種々の色調
を呈することが可能である。なお無機顔料が存在するの
は表面部分のみであり基材部分には存在しないが、これ
は本物品が外装材や内装材として使用され、表面部分の
みの着色で十分であるためである。
【0012】本発明において、基材部分を構成する結晶
化ガラスは、結晶化度が50重量%以下、好ましくは3
〜40重量%の範囲にあるものである。結晶化度をこの
ように限定した理由は、これが50重量%を越えると熱
処理時の流動性が悪いために平滑で光沢のある火づくり
の表面を有することができないためである。
【0013】このような結晶化ガラスとしては、重量百
分率でSiO2 40〜60%、Al 23 10〜25
%、MgO 0〜12%、ZnO 0〜12%、MgO
+ZnO 3〜15%、B23 2〜15%、Na2
4〜13%、K2 O 0〜5%、CaO 0〜5%、
BaO 0〜5%、TiO2 0〜5%、ZrO2 0〜5
%、TiO2 +ZrO2 0.5〜8%、As23 0〜
1%、Sb23 0〜1%の組成を有し、フォルステラ
イト及び/又はガ−ナイトを析出してなるものや、重量
百分率でSiO2 40〜70%、Al23 5〜25
%、Na2 O 2〜16%、CaO 1〜20%、Ti
2 0.5〜15%、ZrO2 0.1〜10%、CaO
+TiO2 +ZrO2 4〜25%、B23 0〜15
%、P25 0〜5%、K2 O 0〜5%、BaO 0
〜5%、As23 0〜1%、Sb2 3 0〜1%の組
成を有し、主結晶としてジルコノライトを析出してなる
ものを用いることが望ましい。これらのガラスは、何れ
も結晶化度が50重量%以下であるために平滑で光沢の
ある火造りの表面を有する。また機械的強度や化学的耐
久性に優れたものである。
【0014】基材部分と融着してなる表面部分は非晶質
ガラスと無機顔料とで構成される。この表面部分の厚み
は、100μm以下であることが望ましく、これより厚
くなると基材部分との膨張差による反りが生じ易くな
る。なお効果的な着色を得るためには表面部分の厚みが
1μm以上であることが望ましい。また、表面部分にお
ける無機顔料の含有量は75重量%以下であることが望
ましく、これより多くなると熱処理時に流動し難くな
り、ひび割れた表面となり易い。なお効果的な着色を得
るためには無機顔料の含有量が1重量%以上であること
が望ましい。また表面部分中の無機顔料の分散状態は、
図1(b)に示すように表面部分全体に均一に分散して
いる状態に限られるものではなく、例えばより効果的に
着色させるために、図2(b)に示すように基材部分付
近に集中させてもよい。
【0015】表面部分の構成成分である非晶質ガラス
は、結晶化ガラスからなる基材部分より小さい比重を有
することが必要である。その理由は、非晶質ガラスの比
重が基材部分の比重より大きいと、熱処理時に表面部分
が沈降して基材部分が表面に現れ、所望の色調が得られ
ないことによる。なお非晶質ガラスは、基材部分を構成
する結晶化ガラスとの熱膨張係数差が10×10-7/℃
以下(30〜380℃)であることが望ましい。これは
結晶化ガラスとの熱膨張係数差が10×10-7/℃を越
えると膨張差による反りが生じ易いためである。
【0016】このような非晶質ガラスとしては、結晶の
析出や分相などがなく、上記の事柄を満たしていればど
のような系のガラスであっても構わない。例えば重量%
でSiO2 50〜75%、B23 5〜25%、Al2
3 0〜10%、BaO 0〜10%、CaO 0〜1
0%、ZnO 0〜10%、Na2 O 0〜15%、K
2 O 0〜10%、Li2 O 0〜10%の組成を有す
るガラス等が好適である。
【0017】また表面部分に存在する無機顔料は、耐熱
性を有するものであれば特に限定はなく、例えばNiO
(緑色)、MnO2 (黒色)、CoO(黒色)、Fe2
3(茶褐色)、Cr23 (緑色)、Cr−Al系コ
ランダム(ピンク)、Sn−Sb−V系ルチル(グレ
−)、Zr−V系ジルコニア(イエロ−)等の酸化物、
Fe−Ni−Cr−Mn系スピネル(黒)等の複合酸化
物、Ca−Sn−Si−Cr系スフェイン(ピンク)、
Zr−Si−Fe系ジルコン(サ−モンピンク)、Co
−Zn−Si系ウイレマイト(紺青)、Co−Si系カ
ンラン石(紺青)等のケイ酸塩を使用することができ
る。なお、無機顔料の最大粒径は90μm以下であるこ
とが好ましく、これより粒径が大きくなると表面の光沢
が損なわれ易くなる。
【0018】なお本発明の建材用結晶化ガラス物品は、
平板に限らず、曲面板であっても良い。また着色された
表面部分Bが、図3に示すように、結晶化ガラス物品の
表面の一部のみに存在していても差し支えない。
【0019】次に本発明の建材用結晶化ガラス物品の製
造方法を説明する。
【0020】本発明の製造方法は、使用する無機顔料粉
末を適宜選択することにより、種々の色調を呈する建材
用結晶化ガラス物品を得ることができる。また、基材に
用いる結晶性ガラスとインク中のガラス粉末として使用
する非晶質ガラスが良好な流動性を示すため、平滑で光
沢のある火づくりの表面を有する結晶化ガラス物品が得
られる。しかも非晶質ガラス粉末の比重が熱処理後の基
材より小さいため、熱処理時にインク層が基材中へ沈み
込むことがない。
【0021】以下、本発明の方法を詳細に説明する。
【0022】まず、熱処理すると結晶化度が50重量%
以下、好ましくは3〜40重量%の結晶化ガラスとなる
結晶性ガラスからなる基材を用意する。基材として使用
する結晶性ガラスの熱処理後の結晶化度をこのように限
定した理由は、結晶化度が50重量%を越えると熱処理
時の流動性が悪くなって平滑で光沢のある火づくりの表
面を有する結晶化ガラス物品を得ることができなくなる
ためである。なお結晶性ガラスには、熱処理後に十分な
機械的強度を有するように体積結晶化タイプのものを使
用することが望ましい。
【0023】このような結晶性ガラスとしては、重量百
分率でSiO2 40〜60%、Al 23 10〜25
%、MgO 0〜12%、ZnO 0〜12%、MgO
+ZnO 3〜15%、B23 2〜15%、Na2
4〜13%、K2 O 0〜5%、CaO 0〜5%、
BaO 0〜5%、TiO2 0〜5%、ZrO2 0〜5
%、TiO2 +ZrO2 0.5〜8%、As23 0〜
1%、Sb23 0〜1%の組成を有し、フォルステラ
イト及び/又はガ−ナイトを析出する性質を有するもの
や、重量百分率でSiO2 40〜70%、Al23
〜25%、Na2O 2〜16%、CaO 1〜20
%、TiO2 0.5〜15%、ZrO2 0.1〜10
%、CaO+TiO2 +ZrO2 4〜25%、B23
0〜15%、P 25 0〜5%、K2 O 0〜5%、B
aO 0〜5%、As23 0〜1%、Sb23 0〜
1%の組成を有し、主結晶としてジルコノライトを析出
する性質を有するものを用いることが望ましい。
【0024】次に基材の表面の一部又は全面に、非晶質
ガラス粉末と無機顔料粉末とを含むインク層を形成す
る。このインク層は、200μm以下の厚みを有するこ
とが望ましい。なお効果的に着色するためには2μm以
上の厚みにすることが望ましい。またガラス粉末と無機
顔料粉末の合量に占める無機顔料粉末の割合は75重量
%以下になるように調整することが望ましく、これより
多すぎると熱処理時に流動し難くなり、表面にひび割れ
が生じ易くなる。なお効果的に着色するには1重量%以
上含有させることが望ましい。またガラス粉末及び無機
顔料粉末として最大粒径が90μm以下のものを使用す
ると、インク中の分散性がよく、しかも熱処理時に良好
な流動性を示すため、より平滑な平面を得ることができ
る。
【0025】インク層を形成するには、非晶質ガラス粉
末と無機顔料粉末の他に、バインダー、溶剤等を添加し
て作製したインクを用意し、スクリーン印刷、スプレー
コート、転写等の方法で基材の表面に塗布すればよい。
なおインク層は、必ずしも1層である必要はなく、例え
ば図2(b)に示すような無機顔料が基材部分付近に集
中した表面部分を有する結晶化ガラス物品を得るため
に、非晶質ガラス粉末21と無機顔料粉末31を含むイ
ンクを基材aに塗布し、続いて非晶質ガラス粉末21を
含み、無機顔料粉末を含まないインクを塗布して形成し
た図2(a)に示すような2層構造のインク層b’を形
成してもよい。
【0026】インク層に含まれる非晶質ガラス粉末とし
ては、熱処理後の基材(即ち、結晶性ガラスを熱処理し
て得られる結晶化ガラス)より小さい比重を有するもの
を使用する。これは非晶質ガラスの比重が熱処理後の基
材のそれより大きいと、熱処理時に基材を構成する結晶
性ガラスが軟化流動するためにインク層が基材中に埋没
してしまう結果、基材部分が表面に現れ、所望の色調が
得られなくなることによる。なお非晶質ガラス粉末は、
膨張差による反りが生じないように、熱処理後の基材と
の熱膨張係数差が10×10-7/℃以下(30〜380
℃)であることが望ましく、また十分に流動するよう
に、熱処理後の基材より軟化点が低いガラスを使用する
ことが好ましい。
【0027】このような非晶質ガラス粉末としては、結
晶の析出や分相などがなく、上記の事柄を満たしていれ
ば、どのような系のガラスであっても構わない。例えば
重量%でSiO2 50〜75%、B23 5〜25%、
Al23 0〜10%、BaO 0〜10%、CaO
0〜10%、ZnO 0〜10%、Na2 O 0〜15
%、K2 O 0〜10%、Li2 O 0〜10%の組成
を有するガラス等が好適に使用できる。
【0028】また無機顔料粉末としては、例えばNiO
(緑色)、MnO2 (黒色)、CoO(黒色)、Fe2
3 (茶褐色)、Cr23 (緑色)、Cr−Al系コ
ランダム(ピンク)、Sn−Sb−V系ルチル(グレ
−)、Zr−V系ジルコニア(イエロ−)等の酸化物、
Fe−Ni−Cr−Mn系スピネル(黒)等の複合酸化
物、Ca−Sn−Si−Cr系スフェイン(ピンク)、
Zr−Si−Fe系ジルコン(サ−モンピンク)、Co
−Zn−Si系ウイレマイト(紺青)、Co−Si系カ
ンラン石(紺青)等のケイ酸塩を使用することができ
る。
【0029】その後、インク層が形成された基材を結晶
性ガラスの軟化点以上の温度で熱処理すると、まずバイ
ンダーが燃焼除去される。また結晶性ガラスが軟化流動
するとともに結晶が析出して結晶化ガラスからなる基材
部分が形成される。同時に非晶質ガラス粉末が無機顔料
粉末を伴って軟化流動し、基材と融着一体化して表面部
分が形成される。このようにして結晶化度が50重量%
以下の結晶化ガラスからなる基材部分と、非晶質ガラス
及び無機顔料とで構成される表面部分とが融着してなる
建材用結晶化ガラス物品が得られる。なお必要に応じ
て、得られた平板状の結晶化ガラス物品を金型上に載せ
て加熱することにより、所望の曲面を有する曲面板を得
ることも可能である。
【0030】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を
説明する。
【0031】(実施例)まず、重量%でSiO2 53.
0%、Al23 14.0%、MgO 3.5%、Zn
O 4.0%、B23 13.0%、Na2 O 5.5
%、K2 O 1.3%、CaO 1.0%、TiO2
3.0%、ZrO2 1.5%、Sb230.2%の組
成を有するように調合したガラス原料を1500℃で1
6時間溶融し、次いでこの溶融ガラスをロールアウト法
によって板状に成形し、板厚が10mmのガラス板を得
た。このガラス板は、熱処理するとフォルステライト及
びガーナイトを析出し、白色の結晶化ガラスとなる結晶
性ガラスであった。また熱処理後のガラス板は、30〜
380℃における熱膨張係数が66×10-7/℃、比重
が2.65、軟化点が840℃であった。
【0032】また、重量%でSiO2 68.0%、B2
3 12.8%、Al23 6.5%、BaO 6.6
%、Na2 O 4.8%、K2 O 1.3%の組成を有
するように調合したガラス原料を1450℃で8時間溶
融し、次いでこの溶融ガラスをフィルム状に成形した
後、ボ−ルミルにて粉砕し、分級することによって最大
粒径が45μm以下の非晶質ガラス粉末を得た。このガ
ラス粉末は30〜380℃における熱膨張係数が60×
10-7/℃であり、比重が2.48、軟化点が800℃
であった。
【0033】次いでこのガラス粉末と、最大粒径が30
μmのFe−Ni−Cr−Mn系スピネル粉末(黒色、
川村化学株式会社製)とを重量比で35:65の割合に
なるように混合した。さらにこれらの混合粉末とポリメ
チルメタクリレートの酢酸ブチル溶液とを重量比で1:
2となるように混練してインクを作製した。
【0034】続いて作製したインクを結晶性ガラス板上
にスクリーン印刷し、厚さ60μmのインク層を形成し
た。
【0035】その後、結晶性ガラス板を電気炉に入れ、
一時間に300℃の速度で昇温し、1060℃で1時間
保持することによって、表面部分が黒色に着色され、基
材部分が白色である建材用結晶化ガラス物品を得た。
【0036】このようにして得られた結晶化ガラス物品
は、平滑で光沢のある美しい火づくりの表面を有してお
り、表面うねり、色ムラ、色縞等の表面欠陥、結晶化ガ
ラス物品の反り、表面部分の剥離やひび割れは全く認め
られなかった。なおこの結晶化ガラス物品は、板厚が1
0mm、表面部分の厚みが30μmであり、X線回折の
結果、基材部分の析出結晶はフォルステライト及びガー
ナイトであることが分かった。また、X線回折によるオ
ルバ−グ・ストリックラー法(Ohlberg-Strickler 法)
にて基材部分の結晶化度を測定したところ、35重量%
であった。
【0037】(比較例)実施例と同様にして結晶性ガラ
ス板を用意した。
【0038】また、重量%でPbO 20%、B23
3%、SiO2 32%、Al2315%、ZnO 2
%、CaO 22%、BaO 6%の組成を有するよう
に調合したガラス原料を1350℃で4時間溶融し、次
いでこの溶融ガラスをフィルム状に成形した後、ボ−ル
ミルにて粉砕し、分級することによって最大粒径が45
μm以下の非晶質ガラス粉末を得た。このガラス粉末は
30〜380℃における熱膨張係数が74×10-7/℃
であり、比重が3.45、軟化点が780℃であった。
【0039】次にこの非晶質ガラス粉末を用い、実施例
と同様にしてインクを作製した。
【0040】その後、実施例と同様にして結晶性ガラス
板の表面にインク層を形成し、熱処理することによって
結晶化ガラス物品を得た。
【0041】このようにして得られた結晶化ガラス物品
は、基材部分の析出結晶がフォルステライト及びガーナ
イトであり、またその結晶化度は35重量%であった。
しかしながらその表面は非常に薄くムラのあるグレー色
を呈していた。さらに表面を詳細に観察したところ、無
数の白色の斑点が確認された。これはインクに使用する
ガラス粉末として熱処理後の基材の比重より大きいもの
を使用したため、熱処理時にインク層が沈み込み、基材
部分が表面に現れたことによるものと考えられる。
【0042】
【発明の効果】本発明の建材用結晶化ガラス物品は、平
滑で光沢のある火づくりの表面を有している。また濃色
系の色調でも着色可能であり、建物の外装材や内装材と
して好適である。さらに基材部分にフォルステライト及
び/又はガーナイト、或はジルコノライトを析出してな
る結晶化ガラスを使用することにより、高い機械的強度
や化学的耐久性を得ることができる。
【0043】また本発明の建材用結晶化ガラス物品の製
造方法によれば、平滑で光沢のある火づくりの表面を有
する結晶化ガラス物品を作製することができる。また濃
色系の色調を呈する結晶化ガラス物品であっても容易に
製造することができる。しかも色替えをする場合におい
ても、溶融炉の生地替えをする必要がないため、製造コ
ストを低く抑えることができ、安価に供給することが可
能である。さらに、基材に、フォルステライト及び/又
はガ−ナイト、或はジルコノライトを析出する性質を有
する結晶性ガラスを使用することにより、機械的強度や
化学的耐久性に優れた建材用結晶化ガラス物品を得るこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建材用結晶化ガラス物品の一例とその
製造方法を示す説明図であり、(a)は結晶性ガラス板
の表面にインク層を形成した状態を示す断面図、(b)
は得られた建材用結晶化ガラス物品の断面図である。
【図2】本発明の建材用結晶化ガラス物品の他の例とそ
の製造方法を示す説明図であり、(a)は結晶性ガラス
板の表面に2層構造のインク層を形成した状態を示す断
面図、(b)は得られた建材用結晶化ガラス物品の断面
図である。
【図3】本発明の建材用結晶化ガラス物品の他の例を示
す説明図であり、(a)は建材用結晶化ガラス物品の平
面図、(b)は同中央横断面図である。
【符号の説明】
10 結晶化ガラス 11 結晶性ガラス板 20 非晶質ガラス 21 非晶質ガラス粉末 30 無機顔料 31 無機顔料粉末 A 基材部分 a 基材 B、B’ 表面部分 b、b’ インク層

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶化度が50%以下の結晶化ガラスか
    らなる基材部分と、非晶質ガラス及び無機顔料とで構成
    される表面部分とが融着してなり、表面部分の非晶質ガ
    ラスが基材部分の結晶化ガラスより小さい比重を有して
    なることを特徴とする建材用結晶化ガラス物品。
  2. 【請求項2】 表面部分の厚みが100μm以下である
    ことを特徴とする請求項1の建材用結晶化ガラス物品。
  3. 【請求項3】 表面部分における無機顔料の含有量が7
    5重量%以下であることを特徴とする請求項1の建材用
    結晶化ガラス物品。
  4. 【請求項4】 無機顔料の粒径が90μm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1の建材用結晶化ガラス物品。
  5. 【請求項5】 熱処理すると結晶化度が50重量%以下
    の結晶化ガラスとなる結晶性ガラスからなる基材の表面
    に、熱処理後の基材より小さい比重を有する非晶質ガラ
    ス粉末と、無機顔料粉末とを含むインク層を形成した
    後、熱処理することを特徴とする建材用結晶化ガラス物
    品の製造方法。
  6. 【請求項6】 インク層の厚みが200μm以下である
    ことを特徴とする請求項5の建材用結晶化ガラス物品の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 インク層中の非晶質ガラス粉末と無機顔
    料粉末の合量に占める無機顔料粉末の割合が75重量%
    以下であることを特徴とする請求項5の建材用結晶化ガ
    ラス物品の製造方法。
  8. 【請求項8】 粒径が90μm以下のガラス粉末を用い
    ることを特徴とする請求項5の建材用結晶化ガラス物品
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 粒径が90μm以下の無機顔料粉末を用
    いることを特徴とする請求項5の建材用結晶化ガラス物
    品の製造方法。
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