JPH08220279A - プラント制御装置、その異常同定方法および異常同定装置 - Google Patents

プラント制御装置、その異常同定方法および異常同定装置

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JPH08220279A
JPH08220279A JP2935195A JP2935195A JPH08220279A JP H08220279 A JPH08220279 A JP H08220279A JP 2935195 A JP2935195 A JP 2935195A JP 2935195 A JP2935195 A JP 2935195A JP H08220279 A JPH08220279 A JP H08220279A
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JP
Japan
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control
control system
abnormality
plant
flow rate
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JP2935195A
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Yoshikazu Ishii
良和 石井
Katsuyuki Suzuki
勝幸 鈴木
Yoshiaki Ichikawa
芳明 市川
Mitsugi Nakahara
中原  貢
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
  • Testing And Monitoring For Control Systems (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】異なるプロセス量を制御する複数の制御系を持
つプラント制御装置において、異常原因となる系統を早
期に確実に検出する。 【構成】複数の制御系は各々、制御量を目標値に制御す
るコントローラ111、121、131と、その出力に
応じて操作されるアクチュエータ112、122、13
2と、アクチュエータの動作によって制御される操作量
を検出するセンサー117、127、1137と、制御
量を検出するセンサー114、124、134からな
る。運転中に各系から検出される操作量や制御量の変動
状態の組合せを基に、予め記憶されている異常同定パタ
ーンと照合して異常系統を同定する異常判定手段141
を設けている。獲得手段171は、プラント運転前に、
所定の制御系統を異常として、各制御系統の操作量や制
御量に生じる変動状態を検出して異常同定パターンを獲
得する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプラント制御装置に係
り、特に、大規模プラントにおける異常同定方式に関す
る。
【0002】
【従来の技術】発電プラント、化学反応プラント、地域
冷暖房システム等の大規模プラントの制御系は、全体の
動特性に関わる複数のパラメータに対し、それらの中の
操作量と制御量の各組を独立して制御する複数の制御系
から構成される場合が多い。このように、一つのプラン
トにあって相互に関連しながら、独立的に制御される制
御系は、ローカル制御系と呼ばれる。
【0003】大規模プラントの異常検出には、異常の発
生する可能性が大きい個所で、検出可能なパラメータに
対してセンサを設置し、個々のセンサの検出値に基づい
て判定する方法が広く実用されている。この例に、特公
昭62−35635号に開示されている発電用原子炉の
監視装置がある。ここでは、同一パラメータに対して複
数のセンサを設け、検出出力を相互に比較して異常セン
サからの出力を除外し、異常検出の信頼性を向上してい
る。
【0004】一方、プラント全体の挙動から異常を同定
する方式として、特公平4−37733号公報に記載さ
れている提案がある。これによれば、プラントの複数の
プロセス量を入力し、プラントの熱収支式や物質収支式
の特性モデルに基づく計算によってプロセス量の変動な
いし異常を判定し、さらに、熟練オペレータの知見等に
基づくAIルールによる推論によって異常個所を同定す
るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】大規模プラントは、社
会的な強い要請のもと、重大事故を回避するための様々
なインターロックが設けられている。また、重要な機器
には代替系を設けて、異常が拡大する前に系統の切り替
えを行うように構成されている。
【0006】例えば、発電用原子炉には、異常時に炉を
スクラムさせるための複数のインターロック機能と、給
水系や主蒸気系あるいは再循環系などには予備機やラン
バックなどの代替系を設け、安全性を損なわずにスクラ
ム頻度を低下させるようにしている。この代替系を起動
するトリガーには、例えば、給水系の場合はポンプの軸
受油圧のように、プラントの中の局所的な信号を用いて
いる。
【0007】しかし、大規模なプラントの全ての機器に
異常の検出機能を与えることはできず、実際には代替系
が作動するトリガーを有効に取得できないうちに、異常
が拡大してしまってスクラムに至る事例がある。また、
個々の系統における局所的なセンサ出力に依存するた
め、パラメータが変化していることが分かっても、十分
な変化が発生するまでは異常判定が難しく、結果的に異
常検出が遅れてプラント停止などの重大事故に至ること
がある。
【0008】このように、上記した従来技術の前者の方
式では、異常の早期検出が困難で、センサや配線などの
機器が増大し、その保守負担も大きい。この点、上記し
た従来技術の後者の方式では、複数のセンサの出力を相
補的に用いるので、センシングするパラメータ間の表す
種々の現象を予め体系的に特定しておければ、前者の方
式の問題点をある程度は克服できる。
【0009】しかし、複数の制御系の動作が相互に影響
し合う大規模プラントにおいては、多数のパラメータが
複数の制御系から影響を受けるため、特性モデル式から
判定される異常なパラメータも多数となる。引用例のよ
うに、AIルールによる推論を導入しても経験的、断片
的知識の寄せ集めの域は出ず、異常なプロセス量の相互
関係の知識が体系化されていないため、複数の制御系の
どこに異常があるかを同定することは難しく、結局のと
ころ、熟練オペレータに依存せざるを得ないのが現状で
ある。
【0010】特に、プラントのハード側でなく、制御系
側の異常が原因でパラメータ変動が生じている場合は、
原因系統によってパラメータの変動現象が異なるので、
事態は一層複雑で、従来方式での異常同定はより困難に
なる。
【0011】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
克服し、複数の制御系をもつ大規模なプラントなどに適
用して、異常原因となっている制御系統を正確且つ、早
期に同定できる異常系統同定方法および装置を提供する
ことにある。
【0012】本発明の目的は、複数の制御系をもつプラ
ントの異常を早期に同定して、プラント停止に至る前の
対応操作によって継続運転を可能にし、信頼性と経済性
を向上できるプラント制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、異なるプロセ
ス量(制御量)を制御する複数の制御系を持つプラント
において、一つの系の異常が他の制御系に影響してその
プロセス量や操作量を変化させる場合に、各パラメータ
のトータルでみた変動パターンが異常系毎に相違するこ
とに着目してなされたものである。
【0014】上記した本発明の目的は、異なるパラメー
タを制御する複数の制御系を有するプラント制御装置
で、プラントの複数の主要なパラメータを監視して異常
な制御系を同定する方法において、予め、一つの制御系
が異常となる場合に各制御系の主要なパラメータに生じ
る変動状態を組合わせた異常同定パターンを、所定の制
御系または複数の制御系の各々について記憶し、プラン
トの運転中に各制御系の主要なパラメータを検出し、そ
れらパラメータの変動状態を組合わせた変動パターンを
前記異常同定パターンと照合して一致する場合に、対応
する制御系を異常と判定することにより達成される。
【0015】あるいは、予め、一つの制御系が異常とな
る場合に各制御系の主要なパラメータに生じる変動状態
に基づいて組合わせた異常同定ロジックを、所定の制御
系または複数の制御系の各々について記憶し、プラント
の運転中に各制御系の主要なパラメータを検出し、それ
らパラメータの変動状態を入力とする前記異常同定ロジ
ックによる演算が満足されるとき、対応する制御系を異
常と判定することにより達成される。
【0016】前記異常同定パターンおよび前記変動パタ
ーンは、各パラメータの増加または減少を組合せたベク
トルにより表わすことを特徴とする。
【0017】前記異常同定ロジックは、変化の大小、変
化の継続時間、変化の方向のいずれか一つ以上を判定条
件として、各パラメータの変動状態を組み合わせること
を特徴とする。
【0018】前記主要なパラメータは、前記複数の制御
系の操作量と制御量の全部または一部を含むことを特徴
とし、例えば、沸騰水型原子力発電プラントでは、前記
給水流量制御系の操作量である給水流量と制御量である
水位と、前記主蒸気流量制御系の操作量である主蒸気流
量と制御量である圧力と、前記再循環流量制御系の操作
量である炉心流量である。
【0019】本発明の他の目的は、制御量を設定された
目標値に制御するコントローラと、コントローラの出力
に応じて操作されるアクチュエータと、アクチュエータ
の動作によって制御される操作量を検出するセンサー
と、制御量を検出するセンサーを含む複数の制御系統
を、異なる制御量毎に備えるプラント制御装置におい
て、運転中に検出されるプラントの複数の主要なパラメ
ータの変動状態の組合せを基に、複数の制御系統から異
常系統を同定する異常判定手段と、前記異常同定手段に
よって異常同定された制御系統または制御機器が冗長構
成されている場合に、プラント運転を継続するための操
作を行う対応操作手段を備えることによって達成され
る。
【0020】
【作用】本発明の作用の前提として、大規模なプラント
の挙動を表わす動特性モデルについて説明する。複数の
制御系からなる大規模プラントの動特性は、プラント全
体について主要なプロセス量をまとめた状態量ベクトル
Xの変化率として、数1のように記述できる。
【0021】
【数1】
【0022】この状態量ベクトルXの変化率は、プラン
トの定常運転点の近傍を考えると、状態量ベクトルXよ
りも、各制御系の操作量ベクトルUにより影響される。
従って、定常運転点の近傍におけるプラント挙動は、数
2によって記述できる。
【0023】
【数2】
【0024】数2において、全制御系の操作量uと制御
される状態量、すなわち制御量xとの間に、一般には数
3の関係が成立し、場合によっては数4の関係となる。
【0025】
【数3】
【0026】
【数4】
【0027】数3では、制御量xは操作量uの1階また
は2階微分の関係にあり、操作量uの変化率が大きけれ
ば、uの変化が時間的に積分されて制御量xに顕著な影
響が現れる前に、uが大きく変化することになる。ま
た、操作量uの変化率が小さければ、uに大きな変化が
現れる前に、uの微小な変化の時間的な積分の効果によ
り、制御量xに顕著な影響が現れる。この例に、沸騰水
型原子炉の給水系の水位(制御量x1)と給水量(操作
量u1)や、主蒸気系の炉圧(制御量x2)と主蒸気流
量(操作量u2)の関係等があり、その異常同定には操
作量と制御量が必要となる。
【0028】一方、数4では、制御量xは操作量uの一
次遅れの関係にある(むだ時間を含んでもよい)。この
例に、再循環系の炉出力(制御量x3)と炉心流量(操
作量u3)の関係等があり、その異常同定には操作量ま
たは制御量が必要となる。
【0029】ここで、本明細書中における制御量と操作
量を、次のように定義して用いることにする。制御量
は、与えられた目標値と一致するように制御系によって
制御される制御変数(パラメータ)で、その制御系の出
力プロセス量である。操作量は、制御量を目標値に制御
するために、制御系の操作によって直接制御するパラメ
ータで、その制御系の入力プロセス量である。即ち、プ
ラントダイナミックスに直接関わる検出可能なパラメー
タで、その制御系の故障の際に制御されずに早い段階で
変動を生じるパラメータである。なお、アクチュエータ
の変更量を操作量と呼ぶ場合もあるが、一般に弁開度な
どは検出の困難な量である。本実施例で言う操作量は、
変更量によるアクチュエータの動作により直接またはい
くつかの段階を経て得られ、その系の制御量に直接影響
を与えるプロセス量を指す。
【0030】本発明が対象とする複数の制御系(ローカ
ル制御系)をもつ大規模プラントでは、一つの制御系で
一つの操作量を制御し、それにより一つの制御量を制御
する古典的制御が一般的である。このような制御系で
は、数2における制御量x1と操作量u1、制御量x2
と操作量u2及び制御量x3と操作量u3がそれぞれ対
応し、各々の系で制御ゲインを調整してPI制御をする
場合、その制御特性を数5のように表わすことができ
る。
【0031】
【数5】
【0032】ここで、C行列は積分ゲイン、D行列は比
例ゲインであり、通常のPI制御では対角行列となる。
【0033】数2において、プラントに対する操作量ベ
クトルUの内、いずれか一つの要素の変化をランプや一
次遅れなどと仮定して思考実験を行なうことにより、他
の操作量の要素や状態量ベクトルの各要素の変化を知る
ことができる。数2は、プラントのマスバランスやエネ
ルギーバランスなど、異なる現象に関する状態方程式に
基づいており、それらの現象に対する制御量や操作量の
寄与のしかたは、係数行列の各要素の符号や絶対値に特
徴的に反映される。一般には、制御されずに変動する操
作量毎に、プラント全体における主要なパラメータ(制
御変数:操作量や制御量など)をトータルでみた変動パ
ターンには固有の特徴が発生する。
【0034】本発明は、大規模プラントの特性のこのよ
うな特徴に基づき、運転中のパラメータに変動が発生し
た場合に、主要なパラメータの変動パターンに示される
固有の特徴を利用して、異常な制御系統を同定する。
【0035】すなわち、一つの制御量を制御する制御系
統のアクチュエータや制御装置に異常が発生すると、そ
の制御系の操作量は制御された状態から逸脱して増加あ
るいは減少する。この結果、その制御系の制御量も定常
状態から逸脱するだけでなく、他の制御系の少なくとも
一部は影響を受けてそのパラメータが変動する。しか
し、正常な制御系においては、影響による自系のパラメ
ータの変化を押え込むように動作する。この結果、プラ
ント全体としてみたパラメータの変動パターンは、操作
量が異常となる制御系毎に特有なものとなる。
【0036】本発明は、この動特性の特徴を利用するた
めに、予め、異常の場合の各制御系のパラメータの増減
を組合わせた変動パターンベクトル、あるいは、変動パ
ターンに基づく判定ロジックなどの異常判定手段を用意
し、運転中の各制御系の主要パラメータの異常な挙動の
パターン照合またはロジック処理によって、どの制御系
の操作量が異常によって変動しているのかを判定し、異
常系統の同定を行う。
【0037】これによれば、複数のパラメータの変化の
大きさや持続性あるいは変化の方向などから、大規模プ
ラントにおける異常同定を正確に行うことができる。
【0038】さらに、微積分の関係にある操作量と制御
量の変化の絶対値と変化の傾向を検出しながら、一方が
閾値を超える場合に他方は閾値に到達していなくても、
その変化の傾向が有為であれば同様に異常ないし異常徴
候と判定する。従って、単一のパラメータによる判定に
比べ、閾値はあまり保守的な設定としないで済むので、
早期の異常検出による早期の異常同定が行える。その結
果、プラント運転を継続するための対応操作の実施が可
能になる。
【0039】
【実施例】以下、沸騰水型原子力発電プラントに適用し
た本発明の一実施例を、図1〜図7を参照しながら詳細
に説明する。なお、各図を通して同等の要素には同一の
符号を付している。
【0040】図2は、沸騰水型原子力発電プラントに設
けられる独立な制御系、すなわち、給水系、主蒸気系
(圧力系)及び再循環系(炉心流量系)の制御ブロック
図である。各制御系の主要なパラメータは各々、給水流
量F(操作量)と炉水位L(制御量)、主蒸気流量S
(操作量)と原子炉圧力P(制御量)、炉心流量W(操
作量)と炉出力Q(制御量)となる。これら主要パラメ
ータの変動パターンは、沸騰水型原子炉(BWR)の定
常運定点の近傍では、数6から数13の動特性モデルに
よって表わすことができる。
【0041】
【数6】
【0042】
【数7】
【0043】
【数8】
【0044】
【数9】
【0045】
【数10】
【0046】
【数11】
【0047】
【数12】
【0048】
【数13】
【0049】ここで、上記数2の状態量x1、x2、x
3には水位L、圧力P、出力Qが対応し、操作量u1、
u2、u3には給水流量F、主蒸気流量S、炉心流量W
が対応する。また、Lsは水位設定値、Psは圧力設定
値、Poは圧力の初期値、Wsは炉心流量の設定値であ
る。
【0050】数6と数7は炉出力Qの応答が顕著になる
まで、数9と数10は炉出力Qの応答が顕著になたった
後について、それぞれ水位および圧力の応答を示し、各
式は数5のモデルに対応する。
【0051】数11、数12および数13は、各制御系
の動特性を表わしている。主蒸気系の場合は、操作量と
制御量の関係は単純な一次遅れ(数12)で表わせる
が、給水系と再循環系の場合は、それらを構成するポン
プなどの特性のため、より高次の方程式となる。しか
し、定常運転点の付近ではその特性はあまり問題となら
ないため、定性的には定数として扱えるG1(s)とG
2(s)を用いて、簡単化している。
【0052】上記の動特性モデルで表わされるBWR発
電プラントにおいて、一つの制御系の異常によって過渡
現象が発生し、その系の操作量が増加または減少する
と、プラントの他の主要なパラメータは次のような影響
を受ける。
【0053】給水系の異常、例えば、何らかの原因で給
水ポンプの回転数が低下した場合、給水流量Fが減少し
て炉心内の物質収支がくずれ、数6および数9より水位
が低下する。また、給水流量Fの減少は、エネルギー的
に正の影響と核反応的に負の影響とが相殺しあった結
果、数7および数10より圧力Pも若干低下し、これに
追従して数12より主蒸気流量Sも減少する。一方、数
13より、ボイド増加率に応じた炉内流量抵抗の増大に
より、炉心流量Wは一旦減少した後、再循環制御系(炉
心流量制御装置)の働きで増加に転じる。
【0054】主蒸気系の異常の場合、例えば、何らかの
原因で蒸気加減弁が閉じた場合、主蒸気流量Sが減少し
てエネルギー収支がくずれ、数7および数10より圧力
Pが増加する。また、圧力Pの増加でボイドがつぶれ、
数6より水位Lが低下するが、その後、発熱の応答が立
ち上がると、数9より水位Lは上昇に転じる。さらに、
炉心流量Wはボイドの減少による流動損失抵抗の減少に
より一旦増加するが、その後再循環系の働きで減少に転
じる。一方、給水流量Fは、水位Lの減少に応じた水位
制御装置の出力増加と主蒸気流量の減少の程度により決
まる。給水流量が単要素(水位のみフィードバック)で
制御されている場合は増加となるが、通常は三要素制御
しており、水位の低下と主蒸気の減少の影響は相反する
ため、給水流量Fの変動パターンは一義には定まらな
い。
【0055】再循環系の異常の場合、例えば、再循環ポ
ンプ駆動電源の故障によりポンプが停止した場合、炉心
流量Wが減少して炉心部の水が燃料から熱を受け取る時
間が長くなるためボイドが増加し、数6、数7および数
12より、圧力P、水位Lおよび主蒸気流量Sは増加す
る。その後、数8により、熱出力Qが減少し、これに伴
って、圧力Pと主蒸気流量Sは減少する。給水流量F
は、水位Lの増加に応じた水位制御装置の出力減少と主
蒸気流量Sの増加の程度によって決まるため、初期はケ
ースバイケースで不定となる。その後は、主蒸気流量S
が減少するので、給水流量Fも減少する。
【0056】表1は、以上の結果をまとめ、BWR発電
プラント各系の過渡時のパラメータの変動パターンを示
したものである。
【0057】
【表1】
【0058】過渡変化原因となる操作量が、給水流量、
主蒸気流量または炉心流量かによって、プラント全体の
主要なパラメータの増減を組合せた変動パターンは、表
1のように相違している。本実施例による異常系統の同
定は、各パラメータの変動(増減)を組み合わせたパタ
ーンベクトルに基づいて行う。
【0059】図1は、異常系統同定手段を具備するプラ
ント制御システムの一般的な構成図を示したものであ
る。以下の説明では、プラント101はBWR発電プラ
ント、第1の制御系統111〜117は給水流量制御系
統、第2の制御系統121〜127は主蒸気流量制御系
統、第3の制御系統131〜137は再循環流量制御系
統とする。
【0060】各制御系統は、各々の制御装置111、1
21、131及びアクチュエータ112(BWRプラン
トでは給水ポンプ)、122(蒸気加減弁)、133
(再循環ポンプ)と、各系の操作量を検出するセンサ1
17(BWRでは給水流量センサ)、127(主蒸気流
量)、137(炉心流量)と、各系のプロセス量(ここ
では、制御量)を検出するセンサ114(BWRでは水
位センサ)、124(圧力)、134(BWRでは、炉
出力または省略)から構成されている。
【0061】各制御系の制御装置は、制御目標値設定手
段161からの目標値(116、126、136)と自
系の制御量の測定値(115、125、135)から、
自系のアクチュエータの制御出力を決定し、アクチュエ
ータを駆動して自系の操作量(113、123、13
3)を変更あるいは維持する。この時のプラントの運転
状態は、出力手段151に表示される。
【0062】さらに、プラント制御システムには、異常
系統を同定するための異常判定手段141と、各操作量
を過渡変化原因とする主要パラメータの変動パターンを
獲得するためのパラメータ変動獲得手段171を設けて
いる。なお、後述する第二の実施例のように、異常判定
手段の構成によっては、獲得手段171は必ずしも必要
としない。これらの構成と動作については後述する。
【0063】本実施例の異常判定手段は、プラントの持
つこのような特性に基づいて、定常時の制御量や操作量
を含む主要なプロセス量の定常値を予め取得し、異常時
に検出したプロセス量との比較から、どの系統の操作量
の変動が異常要因となっているかを判定する。
【0064】図3は、異常判定手段の詳細な構成を示し
たものである。異常判定手段141は、定常運転時パラ
メータ記憶手段310、パラメータ毎の判定基準を持つ
パラメータ判定手段351〜356、各パラメータ判定
手段の結果を基に、どの系統の操作量の変動が異常要因
となっているかを、総合的に判定する総合判定手段35
7を備えている。
【0065】図4は、パラメータの変動パターン照合方
式による異常同定手段の構成を模式的に示したものであ
る。パラメータ判定手段351は、運転中の給水流量が
定常値に対し増加傾向か減少傾向かにより、1または−
1を出力する。判定手段352は水位の増加傾向か減少
傾向かにより、1または−1を出力する。判定手段35
3は、主蒸気流量の増加傾向か減少傾向かにより、1ま
たは−1を出力する。判定手段354は圧力の増加傾向
か減少傾向かにより、1または−1を出力する。判定手
段355は炉心流量の増加傾向か減少傾向かにより、1
または−1を出力する。
【0066】図4で、パターンベクトル生成手段40
1、記憶パターンテーブル402及び演算手段403
は、総合判定手段357を構成している。パターンベク
トル生成手段401は、パラメータ判定手段351〜3
55の出力1または−1を所定順に合成したパターンベ
クトルを出力する。記憶パターンテーブル402は、各
制御系の操作量を異常な範囲に増加又は減少した場合の
主要パラメータの増減パターンを、予めパラメータ変動
獲得手段171により獲得して記憶してある。演算手段
403は、ベクトルパターンと各系の増加または減少パ
ターンの内積をとり、全ての要素が一致する操作量の増
/減の事象を判別して異常系を同定する。
【0067】次に、変動パターンの照合による異常判定
手段の動作を説明する。異常判定手段141は、プラン
トが定常運転を開始した段階で、オペレータからの指示
などによって定常運転時パラメータ記憶手段310を起
動し、予め設定された時間、センサ114、124、1
34のプロセス量(このBWRの例では制御量)の検出
値と、センサ117、127、137からの操作量の検
出値を取り込み、さらに、平均値や分散を算出して、そ
れらの値を記憶する。その後、異常検出モードに移行
し、パラメータ毎の判定手段351〜356の出力を一
旦、0にリセットする。
【0068】異常検出モードにおいて、パラメータ判定
手段351〜355は、定常運転時制御変数記憶手段3
10の値に対し、各パラメータの変動量を検出し、それ
らを基に増加傾向あるいは減少傾向のチエックを開始す
る。増減傾向の判定は、例えば、状態推定の結果得られ
る各パラメータの揺らぎ成分を除いた推定値あるいはそ
の微分値が所定時間(例えばサンプリング時間の10
倍)以上継続して正の場合は増加傾向、負の場合は減少
傾向と判定する。この状態推定は、現代制御理論に基づ
くもので、自動制御の分野では周知の事項である。
【0069】このように得られた各パラメータの増加傾
向または減少傾向を、1または−1の値で出力して検出
値のパターンベクトルを作成し、記憶パターンテーブル
402の異常パターンの各々と照合する。異常パターン
は、異常な操作量毎に、各パラメータの増減傾向を1ま
たは−1のベクトルで記憶してあり、検出値のパターン
と異常パターンの両ベクトルが一致するときだけ、内積
の出力数がベクトルの要素数と同じになる。BWR発電
プラントの例ではパラメータ数が5であり、異常な操作
量の増加/減少傾向の出力が5となる。なお、演算手段
は2つのベクトルの一致/不一致の判定手段であり、内
積以外の方法によっても実現できることは言うまでもな
い。
【0070】また、上記の実施例ではプラントの主要な
各制御系の異常を同定できる構成としている。しかし、
プラントの特性などから、異常同定する対象系統を限定
してもよい。例えば、BWR発電プラントでは、給水系
の異常同定手段だけに簡素化し、給水系の異常かそれ以
外の異常か判定するようにしてもよい。
【0071】このように、本実施例による異常判定手段
は、予め、異常時における主要なパラメータの増減を組
み合わせた異常変動パターンを制御系毎に設け、プラン
ト運転中に測定した各パラメータのパターンベクトルと
比較し、パターンが一致する制御系を異常と同定してい
る。従って、個々のパラメータや制御系毎あるいはAI
推論などによる従来の異常判定に比べ、判定の精度が向
上すると共に判定の感度も高めることができる。つま
り、パラメータの変動が少ない段階での早期の異常検出
が可能になる。
【0072】さらに、パターンベクトルを生成するため
のパラメータの組合せは固定しているので、異常判定手
段は専用のハードウエアによって構築でき、AIの手法
等による推論に比べ、判定処理を高速化できる。また、
主要なパラメータは主要制御系の全操作量と、一部また
は全部の制御量となるから、プラントの既存のセンサを
利用でき、新たなセンサや配線等を増設する必要がな
い。プラントの改造等においてもあまり影響を受けるこ
とがなく、メンテナンスも簡単になる。
【0073】次に、図5、図6を参照して、異常時にお
けるパラメータ変動パターンの獲得方法について説明す
る。
【0074】パラメータ変動パターンの獲得手段171
は、図5に示すパラメータ変動パターンのテンプレート
501に従い、プラント運転開始前のテスト運転時に作
動される。テンプレート501の横軸は、各制御系によ
って制御される制御量と操作量の組合せを示し、縦軸は
各制御系の操作量の増/減パターンを示す。制御系の名
前や操作量および制御量の名前は、システムの設計段階
で決めておくことも、テストに先立ってオペレータが入
力することも可能である。
【0075】変動パターン獲得手段171は、このテン
プレート501の縦軸に従って、テンプレート501の
マトリクスの空白となっている部分502に、増加傾向
の1または減少傾向の−1を埋めていく。この獲得処理
中、各制御系のセンサ出力は、異常判定手段141を経
由して取り込んでいるが、もちろん直接入力してもよ
い。処理終了後、獲得手段171は獲得した異常判定の
ためのパターン情報を、異常判定手段141の記憶パタ
ーンテーブル402に格納する。
【0076】図6は、異常パターンの獲得処理を示すフ
ローチャートである。まず。テンプレート501の縦軸
に従って、対象とする制御系とその操作量の変化方向
(増加/減少)の組合せを選択する(ステップ60
1)。次に、選択した制御系の操作量を、制御ロジック
と無関係に、選択した変化方向に増/減する操作が可能
であるかを調べる(ステップ602)。制御ロジックと
無関係に操作するとは、例えば、制御装置を手動モード
にして、制御装置の出力を制御目標値やフィードバック
信号とは無関係に変化させることである。また、このよ
うな手動機能が無い場合にも、例えば、アクチュエータ
をトリップさせたり、その駆動電源をオフにするなどし
て、このような無関係な操作が可能になる。
【0077】この無関係な操作が可能な場合は、選択し
た方向に制御系の操作量を増/減させる(ステップ60
3)。一方、無関係な操作が実施できない場合には、操
作量が選択した方向に増加あるいは減少するように、選
択した制御系の目標値だけを変更する(ステップ60
4)。
【0078】次に、選択した制御系の操作量を、選択し
た方向に増加あるいは減少させた状態で、テンプレート
中の全ての制御系のパラメータ(この例では、操作量と
制御量)をサンプリングする(ステップ605)。
【0079】サンプリングの時間は、選択した制御系の
操作量の変更を開始した時点を基準とし、一つの制御系
の操作量を制御ロジックと無関係に変更したことによっ
て、異常時に機器保護のために設けられているインター
ロックが作動するまでの時間とする。これとは別に、オ
ペレータの経験等に基づいて、インターロック作動以前
のより短いサンプリング時間とすることもある。これ
は、異常個所によっては、発生から5秒程度の間に対応
しなければ、予備系統などによる運転継続が困難になる
ため、それ以後のサンプリング時間のトレンドは無意味
となるからである。
【0080】次に、こうして得られたサンプリング結果
を処理して、テンプレート501の横軸の各パラメータ
の増減傾向と変動の大きさを求め、テンプレート501
の空欄502を埋めていく(ステップ606)。次に、
既に空欄を埋めた制御系とその操作量の増減の組合せを
除く、新たな別の組合せの中から、1つのケースを選ぶ
(ステップ607)。新たな組合せが選択される場合は
(ステップ608)、ステップ602に戻って、上記の
処理を繰り返す。新たな組合せが選択されなかった場合
には、テンプレート501の空欄502が全て埋まった
ことになるので、変動パターンの獲得処理を終了する。
【0081】本実施例のプラント制御システムでは、異
常時の主要パラメータの変動パターンを獲得する手段を
備え、プラントの運開前に、各制御系の操作量を制御し
て変動パターンを、簡単な手順で獲得し、設定できるの
で、複数の制御系の挙動が相互に影響する大規模プラン
トの場合にも、パターン照合による正確で早期の異常同
定を、簡単な構成によって実現できる。また、プラント
の建設、改造あるいは目標値の設定変更等にも柔軟に対
応でき、システムの信頼性を向上できる。
【0082】次に、異常な制御系統が同定された場合の
対応操作を説明する。図7は、プラント制御システムの
構成図で、図1との相違は各制御系のアクチュエータを
常用2台の並列構成としている点である。
【0083】例えば、異常判定手段141で、異常の原
因となっている系統を判定した結果、第一の制御系の異
常を同定したとする。制御装置111の出力と正常なア
クチュエータの出力(操作量)とは1対1で対応するこ
とから、異常判定手段141は、アクチュエータ異常判
定手段701を備え、2つのアクチュエータ112、7
12の出力(操作量)であるセンサ117、714の検
出値を取り込んでチエックし、異常のあるアクチュエー
タを検出して停止し、正常なアクチュエータのみで運転
を行う。このとき、アクチュエータの操作量が低下する
ので、第一の制御系に合わせて、他系統の目標値12
6、136を変更する。
【0084】これによって、制御系の異常要因がアクチ
ュエータの故障にあることを確認し、その場合には異常
なアクチュエータの切離し、並列構成されている一方の
アクチュエータによるプラントの継続運転を可能にして
いる。
【0085】なお、本実施例では、異常な系統の操作量
を制限して継続運転する対応操作を示したが、異常な制
御系のアクチュエータを制御装置から切り離し、一定値
に固定して運転することなも可能である。また、常時並
列構成ではなく、一方を予備機として異常時に切り替え
るようにしてもよい。
【0086】ところで、プラントによっては、異常パタ
ーンを獲得するための運転が困難な場合がある。また、
制御系によっては、パラメータの検出精度が悪く、有為
なパターンが獲得できない場合がある。BWRプラント
の例では、炉心流量はその揺らぎに比べ、検出精度はあ
まりよくない。
【0087】しかし、プラントの異常時におけるパラメ
ータの挙動は、本来、プラントの動特性モデルから表1
のように推定できるものであり、これを基にした判定ロ
ジッによっても異常同定が可能である。以下に、本発明
の第二の実施例として説明する。
【0088】図8は、第二の実施例による異常判定手段
の一例で、BWR発電プランの給水流量減少事象におけ
る異常判定ロジックの構成を示したものである。この異
常判定手段は、各パラメータを判定するパラメータ判定
ロジック801と、各パラメータの判定結果の真(=
1)/偽(=0)を基に、異常な操作量(したがって、
異常な制御系)を同定する異常判定ロジック802から
なる。これらの判定ロジックは、動特性モデルを基に、
設計段階で構築することが出来る。もちろん、上述のパ
ラメータ変動獲得手段による変動パターンに基づいても
よい。
【0089】パラメータ判定ロジック801において、
給水流量低下の判定ロジックは、検出された給水流量の
定常時からの変化に対し、単なる変動とは考えにくい大
きめの閾値を超えるか判定するロジック831と、定常
時の分散よりは大きく且つ、一定時間以上継続している
か判定するロジック832を持つ。そして、各々のロジ
ックが真となるとき、その出力はOR回路830に入力
される。なお、同図で、TPUは所定の状態が一定時間
継続しないと真(=1)にならないロジック回路で、こ
こでは、単なる変動とは考えにくい大きめの継続時間を
設定している。
【0090】水位低下、圧力低下についても同様に構成
され、水位低下を判定するロジック811、812の出
力はOR回路810に、圧力低下を判定するロジック8
21、822の出力はOR回路820に入力される。主
蒸気流量変化、炉心流量変化については、定常時の分散
の2〜数倍を超えるかを判定するロジック841,85
1からなり、それらの出力はOR回路840に入力され
る。
【0091】異常判定ロジック802は、水位低下の判
定出力、圧力低下の判定出力及び給水流量低下の判定出
力が全て1か判定するAND回路803と、OR回路8
40の出力を否定するNOT回路804と、その両者の
出力が1かを判定するAND回路805から構成されて
いる。
【0092】このような本実施例の構成によると、給水
系の異常では、上述のように主蒸気流量や炉心流量はあ
まり変動しないので、NOT回路804の出力は常に真
である。従って、給水系異常の早期判定のためには、A
ND回路801の出力を真とするための入力情報、すな
わち水位、圧力および給水流量の変動の判定結果を如何
に早く取得できるかに関わっている。
【0093】本実施例によれば、急激に変化する異常事
象を確実に検出する大きめな閾値によるロジックと、定
常時の分散より僅かに大きい程度の徐々に変化している
異常徴候を早期に検出する継続時間によるロジックを備
えているので、いずれか一方のロジックによる水位、圧
力および給水流量の異常ないし異常の徴候の判定が揃え
ばよく、従来に比べ早期な異常系統の同定が可能にな
る。
【0094】なお、詳細な説明は省略するが、給水流量
の異常増大事象はもちろん、水位や圧力、更には炉心流
量の異常事象に対しても、表1に示す変動パターンを基
にした判定ロジックにより、同様にして異常同定が可能
になる。
【0095】次に、上記した第二の実施例による異常同
定をソフトウエアにより処理する変形例を説明する。図
3は、本変形例による給水系異常の同定ロジックを示す
フローチャートで、水位に基づく同定プロセス900
と、給水流量に基づく同定プロセス910と、他系統の
異常でないことを確認するプロセス920とからなる。
【0096】同定プロセス900は、定常運転開始とと
もに、運転員のコマンドなどにより実行を開始する。先
ず、水位が定常時の値から異常に低下しているか、予め
設定した閾値(例えば、12.7cm低下)を基に判定
し(ステップ901)、次に給水流量が減少傾向にある
か判定し(ステップ902)、この条件が成立するとき
にステップ903に進む。そうでないときは、ステップ
901へ戻る。ステップ903では、ループAの条件が
満たされているかチエックし、既に満たされていればス
テップ906へ進む。ループAの条件とは、水位が設定
されている閾値以下に低下し且つ、給水流量の低下傾向
が一定期間(例えば、1秒)または一定サンプル数以上
継続する場合で、給水系異常の徴候を示す一つの条件で
ある。
【0097】一方、ステップ903で、ループAの条件
を満たしていない場合は、ステップ904で、水位レベ
ルの低下傾向があらかじめ設定した時間以上継続してい
るか判定し、そうであれば、ステップ906で、圧力の
低下傾向が所定時間以上継続しているかチエックする。
そうでない場合は、ステップ905で、給水流量の定常
値に対する減少が閾値よりも大きくなっているか判定す
る。この判定が真の場合はステップ906へ進み、偽の
場合はステップ902へ戻る。ステップ906で、圧力
の低下傾向が所定時間以上継続していると判定される
と、異常同定プロセス920に給水系異常の徴候を水位
からみた信号を出力する。
【0098】この同定プロセス900により、水位が設
定値よりも低下したことをトリガーにして、給水流量の
減少と圧力の減少をチェックすることで、異常が給水系
に基づくものか否かを絞り込むことができる。
【0099】同定プロセス910は、定常運転開始とと
もに実行を開始する。先ず、ステップ911で、給水流
量が定常時の値から異常に低下しているか、予め設定し
た閾値(例えば、13.3%低下)を基に判定し、次に
水位が低下傾向にあるか判定し、この条件が成立すると
きはステップ913に進む。そうでない時は、ステップ
911へ戻る。
【0100】ステップ913では、ループBの条件が満
たされているかチエックし、既に満たされていればステ
ップ916へ進む。ループBの条件とは、給水流量が閾
値以下に低下し且つ、水位の低下傾向が一定サンプル数
または一定期間(例えば、1秒)以上継続する場合で、
給水系異常の徴候を示す一つの条件である。
【0101】一方、ステップ913で、ループBの条件
が満たされていない場合は、ステップ914で、水位の
低下傾向が一定サンプル数または一定期間以上継続して
いるか判定し、この結果が真であれば、ステップ916
で、圧力の所定時間の平均値が設定値より低下している
か判定する。ステップ914での判定結果が偽の場合で
あっても、ステップ915で、水位が設定されている閾
値より低下しているか判定し、低下している場合にはス
テップ916へ進む。そうでない場合には、ステップ9
12へ戻る。ステップ916で、圧力の所定時間の平均
値が設定値より低下していると判定されると、異常同定
プロセス920に給水系異常の徴候を給水流量からみた
信号を出力する。
【0102】この同定プロセス910により、給水流量
が設定値よりも低下したことをトリガーにし、水位の減
少と圧力の減少をチェックすることで、異常が給水系に
基づくものか否かを絞り込むことができる。
【0103】異常同定プロセス920は、異常同定プロ
セス900または910から、給水系異常の徴候を示す
出力がある場合に、ステップ921、922で、主蒸気
流量と炉心流量の変化が予め設定した閾値の範囲内であ
るかチェックし、これらの条件が成立するときに、給水
流量異常低下事象として給水系異常を同定する。
【0104】なお、変化の顕著な圧力、水位、給水流量
の変動方向は、表1のように常に同方向となる。従っ
て、これらパラメータの定常値からの変動方向が同一に
なっていることを確認し、その変動方向に応じて各閾値
を選択するようにすれば、上記の処理フローは給水流量
増大時の給水系異常はもちろん、主蒸気流量系や再循環
系の異常同定にも適用できる。
【0105】すなわち、給水系異常の場合は操作量であ
る給水流量と制御量である水位に注目し、給水流量の変
化率が大きい場合は、給水流量が予め定めた閾値よりも
変動たことをトリガーとして、水位と圧力が増加または
減少傾向にあること及び、炉心流量と主蒸気流量の変化
が少ない(閾値以下)ことを確認して、給水系の異常を
同定する。また、給水流量の変化率が小さい場合は、水
位が閾値よりも低下したことをトリガーとし、給水流量
と圧力が増加または減少傾向にあり、更に、炉心流量と
主蒸気流量の変化が少ないことを確認して、給水系の異
常を同定することができる。
【0106】主蒸気流量系の異常同定の場合は、操作量
である蒸気流量と制御量である圧力に注目し、その一方
の閾値を超える変動をトリガーとして、他方の変化傾向
が反対になることを確認する。さらには、水位、給水流
量及び炉心流量の全部または一部のパラメータについ
て、その変化の特徴を確認する。
【0107】再循環系の異常の場合は、操作量である炉
心流量と共に炉内の蒸気の発生量が大幅に変化するた
め、圧力と主蒸気流量の一方または両者に大幅な変動を
生じる。従って、再循環系の異常同定には、炉心流量、
蒸気流量または圧力の一つが閾値を超える変動をトリガ
ーとし、且つ、それら3つパラメータの変動方向が同じ
になることを確認する。さらに、水位や給水流量の変化
の特徴についての確認を加えてもよい。
【0108】本実施例によれば、予め、パラメータの異
常パターンが獲得できない場合やパターンの精度が不十
分な場合にも、プラントの動特性モデル、あるいは、そ
の反映であるパラメータの変動パターンから設計される
判定ロジックによって、プラントの主要な複数のパラメ
ータの挙動を総合的に判定して、異常系統を同定するこ
とができる。
【0109】もちろん、個々のパラメータや制御系毎あ
るいはAI推論などによる従来の異常判定に比べ、判定
の精度が向上すると共に判定の感度も高めることができ
る。つまり、パラメータの変動が少ない段階での早期の
異常検出が可能になる。
【0110】さらに、異常同定のために測定の必要なパ
ラメータは、主要系統の操作量と制御量で、プラントの
既存のセンサを利用できるので、新たなセンサや配線等
を増設することなく、プラントの改造等においてもあま
り影響を受けることがなく、メンテナンスも簡単にな
る。
【0111】なお、上記の各実施例ではプラントの主要
な各制御系の異常を同定できる構成としている。しか
し、プラントの特性などから、異常同定する対象系統を
限定してもよい。例えば、BWR発電プラントでは、給
水系の異常同定手段だけに簡素化し、給水系の異常かそ
れ以外の異常か判定するようにしてもよい。
【0112】次に、本発明の第三の実施例として、プラ
ント制御システムにおける異常原因が制御装置側にある
ときの対応操作について、図10と図11を参照しなが
ら説明する。
【0113】例えば、BWR発電プラントにおける給水
系が故障して水位が低下すると、再循環ポンプのランバ
ックなどの対応操作が実行され、部分出力運転へ移行す
る。しかし、給水流量の調節機能が失われていると水位
変化を押さえることができず、結果的に水位低下による
スクラムに至ることがある。
【0114】本実施例の対応策では、給水系の異常が上
記のよう同定され、その異常原因が制御装置側にあると
判定できた場合には、手動運転に切り替えて異常の進行
や拡大を抑えながら、再循環系で炉心流量や圧力を調節
して、主蒸気流量に給水流量が追随するように制御し、
水位を安定させてスクラムを回避する。
【0115】図10は、給水系の異常時にその異常個所
の判別と手動切替を行うための構成図を示したものであ
る。給水制御系のハードウェアは、ポンプ1001、ポ
ンプ駆動装置1002、ポンプ上流の給水ライン100
3、およびポンプ下流の給水ライン1004、調整弁1
006等からなる。一方、給水制御系の制御装置側は、
給水流量制御用の制御器1008、切替スイッチ101
6、コントローラ1005、及び、同時に作動すること
はないが、制御器1008の出力をポンプ出口側の調節
弁1006に入り切りする切替スイッチ1017等から
なっている。
【0116】給水系統の異常検出手段1009により給
水系の異常が同定されると、異常個所判別手段1007
は、ポンプ駆動装置1002の動力、コントローラ10
05の電源、弁1006の動力、ポンプの軸受油圧、な
どの正常動作を検出するセンサ1018、1019、1
020及び1022からの検出信号を取り込む。全ての
信号が正常の場合には、給水制御系の異常原因は制御装
置1008にあると判断し、切替信号1015を出力し
て使用中の切り替えスイッチ1016(または101
7)を、手動入力1014(または1015)に切り替
える。これにより、給水系のハードウェアから、制御器
1008が切り離され、給水系の手動運転が可能にな
る。
【0117】図11に、本実施例の再循環流量制御系の
構成を示し、給水流量と主蒸気流量の一致化制御につい
て説明する。給水系の手動運転への切り替え信号101
5が入力されると、制御ロジック切替スイッチ1104
を介し、通常の制御ロジックをもつ制御器1101から
対応操作の制御器1102に切り替わる。
【0118】制御器1102は、蒸気流量を給水流量あ
るいはその目標値と等しくなるように制御するロジック
をもち、蒸気流量の目標値を給水流量の手動設定値10
14(または1015)と同じ値になるまで変化させ
る。
【0119】例えば、制御器1103を一次遅れ要素と
すると、制御器1102の入力は一次遅れ的に設定値ま
で変化させることができる。なお、制御器1102がP
I制御器であるならば、通常時の制御器1101の出力
に相当する値を制御器1102の積分器にセットし、切
り替えをバンプレスに行なうことができる。
【0120】本実施例によれば、給水系の制御装置に異
常要因があると判別した場合、制御装置を切離して給水
系を一定の給水流量に固定する(手動運転)と共に、対
応操作として主蒸気流量の目標値を給水流量と同じ値に
変更し、主蒸気流量は炉心流量系によりこの目標値に制
御される。この結果、水位低下によるスクラムが回避さ
れ、沸騰水型原子炉の運転を継続させることができる。
また、本実施例による制御装置の故障の判定は、上記第
一の実施例の異常同定に追加するようにしてもよい。
【0121】以上、本発明の第一から第三の実施例を、
沸騰水型原子力発電プラントに適用して説明した。しか
し、本発明はこれに限られずに広範なプラントに適用可
能で、特に火力発電プラント、鉄鋼プラント、化学プラ
ント、地域冷暖房プラントなど大規模なプラントに適用
して効果が顕著である。
【0122】
【発明の効果】本発明の異常同定方式は、相互に影響を
及ぼす複数の制御系統からなるプラントにおいて、異常
時の主要なパラメータのトータルの変動パターンが、異
常を発生している制御系毎に相違することに着目してな
されたもので、その変動パターンまたは判定ロジックに
基づいて、運転中の主要なパラメータの変動をチエック
して異常な制御系を同定することに特徴がある。
【0123】これによれば、従来の個々のパラメータに
よる異常判定や、多数のパラメータの変動に対する経験
的な知識に基づく異常推定に比べ、制御系間の影響で正
常な系のパラメータ(プロセス量と操作量)の関係が変
わってしまうような場合についても、正確な異常同定が
可能になる効果がある。
【0124】また、複数のパラメータの大きさの変動、
さらには、変化の傾向の持続性から異常の徴候も把握で
きるので、従来に比べパラメータの変動が少ない段階
で、早期の異常同定が可能になる効果がある。
【0125】さらに、主要なプロセス量は主要な制御系
の操作量と制御量の複数の組を監視し、それらの微積分
の関係から早く変化の現れるパラメータをトリガーにす
るので、より早期の異常同定が可能になる。
【0126】本発明の異常同定装置は、主要な制御系の
操作量と制御量など、通常制御系に付設されているセン
サーの計測値に基づくので、新たなセンサーを必要とす
ることがない。また、パターンの照合あるいはロジック
判定を行う場合のセンサ入力の組合せが固定しているた
め、ハードウエアまたはソフトウエアにより簡単に構築
でき、判定基準のメンテナンスも容易である。且つ、A
Iルールなどによる推論方式に比べ異常診断処理を高速
にできるなどの効果がある。
【0127】本発明のプラント制御システムは、上記の
異常同定手段を備えているので、正確且つ早期の異常検
出による早期の対応操作が可能になり、プラントの安全
な継続運転を維持できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるプラント制御装置の構
成図。
【図2】沸騰水型原子炉の概略の制御ブロック図。
【図3】本発明の一実施例による異常判定手段の構成
図。
【図4】パターン照合方式による異常判定手段の構成を
説明する概念図。
【図5】基準となるパラメータ変動パターンの獲得に用
いるテンプレートの模式図。
【図6】基準となるパラメータ変動パターンの獲得処理
のフローチャート。
【図7】アクチュエータ異常時の対応操作を可能にする
プラント制御装置の一構成図。
【図8】異常判定ロジックによる異常判定手段の構成
図。
【図9】異常判定ロジックによる給水系異常の同定を行
うフローチャート。
【図10】給水系異常同定時の制御装置異常の検出と手
動操作切り替えを行う給水系の構成図。
【図11】給水系異常同定時の再循環系における対応操
作の構成図。
【符号の説明】
101…プラント、111…第一の制御装置、112…
第一の制御装置のアクチュエータ、114…第一の制御
装置の制御するプロセス量(制御量)のセンサ、117
…第一の制御装置のアクチュエータの制御するプロセス
量(操作量)のセンサ、121…第二の制御装置、12
2…第二の制御装置のアクチュエータ、124…第二の
制御装置の制御するプロセス量のセンサ、127…第二
の制御装置のアクチュエータの制御するプロセス量のセ
ンサ、131…第三の制御装置、132…第三の制御装
置のアクチュエータ、134…第三の制御装置の制御す
るプロセス量のセンサ、137…第三の制御装置のアク
チュエータの制御するプロセス量のセンサ、141…異
常判定手、151…判定結果の出力装置、161…制御
目標値設定手段、171…パラメータ変動の獲得手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 貢 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なるパラメータを制御する複数の制御
    系を有するプラント制御装置で、プラントの複数の主要
    なパラメータを監視して異常な制御系を同定する方法に
    おいて、 予め、一つの制御系が異常となる場合に各制御系の主要
    なパラメータに生じる変動状態を組合わせた異常同定パ
    ターンを、所定の制御系または複数の制御系の各々につ
    いて記憶し、プラントの運転中に各制御系の主要なパラ
    メータを検出し、それらパラメータの変動状態を組合わ
    せた変動パターンを前記異常同定パターンと照合して一
    致する場合に、対応する制御系を異常と判定することを
    特徴とするプラント制御装置の異常同定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記異常同定パターンおよび前記変動パターンは、各パ
    ラメータの増加または減少を組合せたベクトルにより表
    わすことを特徴とするプラント制御装置の異常同定方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 前記異常同定パターンは、所定の制御系の制御ロジック
    と無関係にその操作量を増減しながら、各制御系の主要
    なパラメータの増減を検出して取得することを特徴とす
    るプラント制御装置の異常同定方法。
  4. 【請求項4】 異なるパラメータを制御する複数の制御
    系を有するプラント制御装置で、プラントの複数の主要
    なパラメータを監視して異常な制御系を同定する方法に
    おいて、 予め、一つの制御系が異常となる場合に各制御系の主要
    なパラメータに生じる変動状態に基づいて組合わせた異
    常同定ロジックを、所定の制御系または複数の制御系の
    各々について記憶し、プラントの運転中に各制御系の主
    要なパラメータを検出し、それらパラメータの変動状態
    を入力とする前記異常同定ロジックによる演算が満足さ
    れるとき、対応する制御系を異常と判定することを特徴
    とするプラント制御装置の異常同定方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、 前記異常同定ロジックは、変化の大小、変化の継続時
    間、変化の方向のいずれか一つ以上を判定条件として、
    各パラメータの変動状態を組み合わせることを特徴とす
    るプラント制御装置の異常同定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5におい
    て、 前記主要なパラメータは、前記複数の制御系の操作量と
    制御量の全部または一部を含むプラント制御装置の異常
    同定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6にお
    いて、 前記プラントは沸騰水型原子力発電プラントで、前記複
    数の制御系は給水流量制御系、主蒸気流量制御系および
    再循環流量制御系で、前記主要なパラメータは、前記給
    水流量制御系の操作量である給水流量と制御量である水
    位と、前記主蒸気流量制御系の操作量である主蒸気流量
    と制御量である圧力と、前記再循環流量制御系の操作量
    である炉心流量であることを特徴とするプラント制御装
    置の異常同定方法。
  8. 【請求項8】 制御量を設定された目標値に制御するコ
    ントローラと、コントローラの出力に応じて操作される
    アクチュエータと、アクチュエータの動作によって制御
    される操作量を検出するセンサーと、制御量を検出する
    センサーを含む複数の制御系統を、異なる制御量毎に備
    えるプラント制御装置の異常同定装置において、 一つの制御系が異常となる場合に、各制御系の操作量と
    制御量を含む主要なパラメータに生じる増減状態を組合
    わせた異常同定パターンを、所定の制御系または複数の
    制御系の各々について記憶する異常同定パターン記憶手
    段と、 定常運転モードにおける各パラメータの定常値を検出し
    て制御系統毎に記憶する定常状態記憶手段と、運転監視
    モードで検出される各制御系統のパラメータの現在値と
    その定常値を比較し、各パラメータの増減状態を組み合
    わせた変動パターンを生成する変動パターン生成手段
    と、前記変動パターンと前記異常同定パターンを照合
    し、一致する場合に異常系統を同定する異常系同定手段
    を備えることを特徴とするプラント制御装置の異常同定
    装置。
  9. 【請求項9】 制御量を設定された目標値に制御するコ
    ントローラと、コントローラの出力に応じて操作される
    アクチュエータと、アクチュエータの動作によって制御
    される操作量を検出するセンサーと、制御量を検出する
    センサーを含む複数の制御系統を、異なる制御量毎に備
    えるプラント制御装置の異常同定装置において、 一つの制御系が異常となる場合に各制御系の主要なパラ
    メータに生じる変動状態に基づいて組合わせた異常同定
    ロジックを、所定の制御系または複数の制御系の各々に
    ついて記憶する異常同定ロジック記憶手段と、 定常運転モードにおける各パラメータの定常値を検出し
    て制御系統毎に記憶する定常状態記憶手段と、 運転監視モードで検出される各制御系統のパラメータの
    現在値とその定常値を比較し、各パラメータの変動状態
    を入力し前記異常同定ロジックによる演算を行って全て
    のロジックが満足されるとき、異常系統を同定する異常
    系同定手段と、を備えることを特徴とするプラント制御
    装置の異常同定装置。
  10. 【請求項10】 制御量を設定された目標値に制御する
    コントローラと、コントローラの出力に応じて操作され
    るアクチュエータと、アクチュエータの動作によって制
    御される操作量を検出するセンサーと、制御量を検出す
    るセンサーを含む複数の制御系統を、異なる制御量毎に
    備えるプラント制御装置において、 プラント運転中に検出される複数の主要なパラメータの
    変動状態の組合せを基に、複数の制御系統から異常系統
    を同定する異常判定手段と、 前記異常判定手段によって異常同定された制御系統また
    は制御機器が冗長構成されている場合に、プラント運転
    を継続するための操作を行う対応操作手段を備えること
    を特徴とするプラント制御装置。
  11. 【請求項11】 請求項10において、 所定の制御系統が異常な場合に、各制御系統の主要なパ
    ラメータの各々に生じる変動状態の組合せを、所定の制
    御系の制御ロジックと無関係にその操作量を増減しなが
    ら、各制御系の主要なパラメータの増減を検出して取得
    する異常同定パターン獲得手段を設けることを特徴とす
    るプラント制御装置。
  12. 【請求項12】 給水流量制御系、主蒸気流量制御系お
    よび再循環流量制御系を備える沸騰水型原子力発電プラ
    ントの制御装置において、 給水流量の定常値からの変化と、水位の定常値からの変
    化を、各々独立に監視して、それらの定常値からの変化
    量に基づいて、 水位の閾値を超える上昇を検出した場合には、給水流量
    が定常値に比べて増加したことと、圧力が定常値に比べ
    て増加したことによって給水系の流量が増加する異常事
    象であると判定し、 水位の閾値を超える低下を検出した場合には、給水流量
    が定常値に比べて低下したこと及び圧力が定常値に比べ
    て低下したことよって、給水系の流量が減少する異常事
    象であると判定し、 給水流量の閾値を超える増加を検出した場合には、水位
    が定常値に比べて上昇したこと及び圧力が定常値に比べ
    て増加したことによって、給水系の流量が増加する異常
    事象であると判定し、 給水流量の閾値を超える減少を検出した場合には、水位
    が定常値に比べて低下したこと及び圧力が定常値に比べ
    て低下したことによって、給水系の流量が減少する異常
    事象であると判定する、給水系異常同定装置を備えるこ
    とを特徴とする沸騰水型原子力発電プラントの制御装
    置。
  13. 【請求項13】 請求項12において、 前記給水系異常同定装置による給水系の異常が同定され
    る場合に、給水制御系のアクチュエータの出力を制限あ
    るいは一定値で固定運転させ、これに見合うように他の
    制御系の目標値を変更することを特徴とする沸騰水型原
    子力発電プラントの制御装置。
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