JPH0820168A - 感熱転写用受像シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カールバランス、プリンター内搬送性、耐画
像滲み性及び耐熱層の耐膜割れ性が良好な感熱転写用受
像シートを得ること。 【構成】 片面を特定量の高密度ポリエチレンを含有す
るポリオレフィン樹脂を原紙片面に被覆し、他面に特定
の多孔体フィルムを貼着し、さらに特定の放射線硬化性
樹脂組成物からなる耐熱層を設けた支持体で、該支持体
の耐熱層上に受像層を設けてなることを特徴とする感熱
転写用受像シート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、サーマルプリンター、
レーザープリンター等の感熱転写記録において、熱移行
性染料を移行させて記録を行うために使用される感熱転
写用受像シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、カラーハードコピーの一手段とし
て、感熱転写記録方式を利用する装置が軽量、且つコン
パクトで騒音が無く、操作性、保守性にも優れている等
の利点から広く普及している。この感熱転写記録方式に
は、大きく分けて熱溶融型と熱移行型又は昇華型と呼ば
れる２種類の方式がある。特に、後者は、多色階調性画
像の再現性に優れており、昇華型感熱転写方式のプリン
ターを用いて印画される。

【０００３】このような昇華型感熱転写方式のプリンタ
ーの原理は、画像を電気信号に変換し、更に、この電気
信号をサーマルヘッド等の電気的発熱素子を用いて熱信
号に変換するか、若しくはレーザーを用いて光吸収発熱
体を発熱させることで熱信号に変換する等して熱移行性
染料（以下、染料と記す）が塗布された転写シートを加
熱し、昇華又は媒体中での熱拡散により、染料が転写シ
ートから感熱転写用受像シートの受像層へ染料が転写す
ることで文字や画像情報を記録するものである。

【０００４】昇華型熱転写記録方式では、多色印刷物や
カラー写真と遜色ない画像を得ることが可能であり、更
に作製部数が少ない用途においては、印刷技術や写真技
術よりも安価で済むことから広く利用されつつある。

【０００５】最近、特に注目されている昇華型感熱転写
プリンターの利用分野としては、写真に近い高画質が要
求される印刷分野におけるカラープルーフの作成やデザ
イン分野におけるデザインイメージの出力等があり、コ
ンピュータで作成した文字や画像情報を昇華型感熱転写
プリンターを用いて透明な記録シートに出力し、これを
オーバーヘッドプロジェクター用原稿として、会議にお
けるプレゼンテーションに利用することも行われてい
る。更に、ＩＤカード、ライセンスカードや管理カード
等カードプリンティングシステムが開発され、高度情報
化社会の幅広いカードニーズにも対応しつつある。

【０００６】特に近年、カラーハードコピーの需要が増
加し、プリント速度の高速化が必要になってきたため、
印加エネルギーが低くても鮮明な画像が得られるよう
に、高感度化が要求されている。高感度化は、転写シー
トのフィルム支持体を薄膜化したり、プリンター駆動部
におけるプラテン圧を強め転写シートと感熱転写用受像
シートの密着性を向上させる等して、印加エネルギー損
失を減少させることにより達成されることが知られてい
るが、特に転写シートと感熱転写用受像シートの密着性
及び感熱転写用受像シートの断熱性は、感度に大きな影
響を及ぼすため、例えば、特開昭６３−２９０７９０号
公報や同６３−２３１９８４号公報等に記されているよ
うな、断熱性やクッション性に優れた多孔体構造を有す
る合成樹脂フィルム（本発明では、多孔体フィルムとい
う）を支持体として使用することが有効である。

【０００７】しかし、このような合成樹脂フィルムは、
一般に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の耐熱性
に劣る素材から構成されているため、プリンターにて印
画する際の印加熱により支持体が熱収縮し、転写画像の
ドット再現性が悪化する欠点を有しているのみならず、
特に、高感度化のために断熱性やクッション性を向上さ
せる目的で多孔体構造を有するフィルムを用いる場合に
は、表面の平滑性が低下するため、光沢度が低下し、商
品品質が著しく低下する。特に、高画質なカラー画像分
野では、現在銀塩写真が広く普及しており、銀塩写真並
みの高光沢度が感熱転写用受像シートにも要求されてい
るが、従来の技術ではこのような高感度化と高光沢度を
両立することが困難であった。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、セルロース繊維紙又は合成樹脂フィルムの少なくと
も片面に多孔体構造を有する合成樹脂フィルムを貼着
し、合成樹脂フィルムの非貼着側に、放射線硬化性樹脂
よりなる耐熱層を設けることで上記の問題を克服し、同
時に耐画像滲み性も改良できることを見い出した（特開
平６−１１５２６９号公報）。

【０００９】しかしながら、耐熱性や耐画像滲み性を改
良するために放射線硬化性樹脂よりなる耐熱層を設ける
と、耐熱層の硬化収縮が大きく、受像層側にカールす
る、いわゆるプラスカールになるため、プリンター内で
の感熱転写用受像シートの搬送性が悪化し、場合によっ
てはジャミングが発生したり、又、感熱転写用受像シー
トに折り曲げ等の応力がかかった場合には耐熱層がひび
割れるといった問題があった。

【００１０】従って、本発明は、本発明者らが先に発
明、出願した感熱転写用受像シートの高感度、高光沢及
び耐画像滲み性を維持しながら、耐熱層の耐膜割れ性及
びカール特性を改良し、より高品質な感熱転写用受像シ
ートを提供することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、原紙の片面に
特定量の高密度ポリエチレンを含有するポリオレフィン
樹脂からなる樹脂被覆層を設け、原紙のもう片面に多孔
体フィルムを貼着すれば、該フィルムの非貼着側に硬化
収縮を起こすような放射線硬化性樹脂組成物からなる耐
熱層を設けても支持体全体のカールを抑制できることを
見い出した。又、特定のアクリロイル当量を有する放射
線硬化性樹脂を特定量含有し、特定の平均アクリロイル
当量を有する放射線硬化性樹脂組成物からなる耐熱層を
設けることにより、耐画像滲み性を低下させることなく
耐膜割れ性の改良できることを見いだした。

【００１２】即ち、本発明の感熱転写用受像シートは、
支持体上に、熱転写媒体からの熱移行性染料を受容する
受像層を設けた感熱転写用受像シートにおいて、該支持
体が、原紙の片面にＪＩＳ Ｋ６７４８に規定される密
度０．９５g／cm³以上の高密度ポリエチレン樹脂を１０
〜８０重量％含有するポリオレフィン樹脂からなる樹脂
被覆層を設け、他面に同一材質の非多孔体フィルムに対
して８５％以下の密度を有する多孔体フィルムを貼着
し、さらに少なくとも１種以上のアクリロイル当量１５
０〜２８０の放射線硬化性樹脂を１０〜５０重量％含有
し、且つ平均アクリロイル当量１００〜１９０の放射線
硬化性樹脂組成物からなる耐熱層を設けた該支持体であ
り、該耐熱層上に該受像層を設けてなることを特徴とす
る。

【００１３】又、原紙に対して、ポリオレフィン樹脂の
樹脂被覆層の塗設又は多孔体フィルムの貼着について
は、接着剤として溶融ポリオレフィン樹脂を用いて、ポ
リラミネート法により塗設又は貼着されることが好まし
い。

【００１４】以下、本発明の感熱転写用受像シートにつ
いて、詳細に説明する。まず、本発明の感熱転写用受像
シートについて、その構成を図１で説明する。図１は、
本発明の感熱転写用受像シートを示す断面図であり、原
紙２の片面に樹脂被覆層１が設けられ、原紙２の他面に
多孔体フィルム３が、その上に耐熱層４、更に受像層５
が設けられた構成になっている。

【００１５】本発明において、原紙は、ＮＢＫＰ、ＬＢ
ＫＰ、ＮＢＳＰ、ＬＢＳＰ、ＧＰ、ＴＭＰ、ＣＧＰ及び
ＤＩＰ等の木材パルプや、ビニロン、ポリエステル及び
ポリエチレン等の合成パルプと必要に応じて填料、染
料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、定着
剤、導電剤及び歩留まり向上剤等の薬品を添加して、長
網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、ハイブリッド抄紙機
及び丸網抄紙機等により抄造されるが、特に特開平３−
１０８８９号公報等に記されているような原紙が好まし
い。更に、原紙には表面平滑性を高めるために、マシン
カレンダー、スーパーカレンダー及び熱カレンダー等に
よりカレンダー処理を施すことが好ましい。

【００１６】本発明における原紙の坪量は、特に制限は
ないが、通常５０〜２００g/m²程度である。原紙の坪量
が５０g/m²未満の場合には、感熱転写用受像シートの剛
直度が低下し、プリンターの搬送ガイドにおける折れ曲
がりが発生し易く、２００g/m²を超える場合には、剛直
度が高くなり過ぎ、プリンターの搬送ロールにおける食
い込み不良が発生し易い。

【００１７】本発明において、原紙片面に設けた樹脂被
覆層に用いるポリオレフィン樹脂としては、溶融押出法
によりコーティング可能なポリオレフィン樹脂が好まし
く、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンのホモポ
リマー、２種類以上のα−オレフィンからなる共重合
体、α−オレフィンを主成分としてそれと共重合可能な
他のモノマーとの共重合体、又はそれらの混合物を用い
ることができる。

【００１８】放射線硬化性樹脂組成物からなる耐熱層を
設けても感熱転写用受像シートのカールを抑制するため
には、ポリオレフィン樹脂中に高密度ポリエチレン樹脂
を１０〜８０重量％含有することを特徴とする。ここ
で、高密度ポリエチレン樹脂が１０重量％未満である
と、耐熱層の硬化収縮によるプラスカールを抑えること
が困難であり、又、８０重量％を超えるとポリオレフィ
ン樹脂被覆層の剛度が高くなり過ぎ、マイナスカールを
発生させる原因となる。

【００１９】本発明における高密度ポリエチレンとは、
ＪＩＳ Ｋ６７４８で規定される密度０．９５g／cm³以
上の高密度ポリエチレンである。 ここで、密度が０．
９５g／cm³に満たない場合には、 耐熱層の硬化収縮に
よるプラスカールを抑えることが困難になる。

【００２０】原紙片面に樹脂被覆層を設ける方法は、走
行する原紙上に加熱溶融した樹脂を流延する、いわゆる
溶融押出法により製造される。樹脂被覆層の厚さは、５
〜３５g/m²程度である。

【００２１】樹脂被覆層には、二酸化チタン、アルミ
ナ、炭酸カルシウム、タルク、酸化亜鉛等の白色顔料、
着色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等
の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カル
シウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグ
ネシウム、バルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、バル
ミチン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ヒンダードフェ
ノール、ヒンダードアミン、リン系、硫黄系等の各種安
定化剤及び酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セアリ
ンブルー、フタロシアニンブルー等のブルー顔料や染
料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、分散剤及び滑剤等の各
種添加剤を添加することができる。

【００２２】樹脂被覆層側には、受像層の塗布面表示や
メーカーのロゴ表示等のための印刷が施されてもよい。
印刷方法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、フ
レキソ印刷、スクリーン印刷等の一般的な印刷方法を用
いることができ、単色又は多色印刷のいずれでも良い。

【００２３】本発明に用いられる多孔体フィルムとして
は、平滑性と断熱性の良好なものであればいずれも好適
に使用できるが、材質の点からは、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコ
ール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体及びポリアミド等の合成樹脂フィ
ルムが挙げられる。

【００２４】特に、高感度化の目的から、同一材質の非
多孔体フィルムの密度の８５％以下の密度のものが好ま
しい。通常の非多孔体フィルムの密度は、材質により異
なるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィンでは１．０〜０．９程度、ポリエステルで
は１．４程度である。

【００２５】本発明の如く、非多孔体フィルムの密度の
８５％以下の密度を有する多孔体フィルムを使用するこ
とで、特に低い熱エネルギーでも高濃度の印画が可能と
なる。具体的な一例を挙げると、ポリエステルフィルム
では、ダイヤホイル・ヘキスト（株）製のダイヤホイル
Ｗ９００（密度１．０g／cm³の発泡白色ポリエステルフ
ィルムで、非多孔性ポリエステルフィルムの密度１．４
に対して７１％の密度）、ポリプロピレンフィルムで
は、王子油化合成紙（株）製のユポＦＰＧ（密度約０．
７７g／cm³で、非多孔性ポリプロピレンフィルムの８５
％）や東洋紡（株）製のトヨパール（密度約０．６g／c
m³で、非多孔性ポリプロピレンフィルムの６６％）等が
挙げられる。

【００２６】本発明における多孔体フィルムの厚さは、
２０〜６０μｍであることが好ましい。ここで、フィル
ムの厚さが２０μｍ未満の場合には、断熱性が低下する
ため感度が低下し、６０μｍを超える場合には、支持体
の厚さ制限の関係で剛直度が低下し、プリンターの搬送
ガイドにおける折れ曲がりが発生し易い。

【００２７】本発明において、多孔体フィルムは、プリ
ンターでの印画の際のブリスターの発生を抑えるため
に、原紙面と強固に貼着されていることが必要である。
原紙と多孔体フィルムの貼合せ方法としては、酢酸ビニ
ル系、ポリウレタン系、アクリル系樹脂等の有機溶剤溶
液を接着剤として用いるドライラミネート法、澱粉、ポ
リビニルアルコール、カゼイン等の水溶液や酢酸ビニル
系、ポリウレタン系、アクリル系樹脂等のエマルジョン
を接着剤として用いるウェットラミネート法、ワックス
系樹脂を溶融させて接着剤として用いるホットメルトラ
ミネート法、Ｔダイから押し出される溶融ポリオレフィ
ン系樹脂を接着剤として用いるポリラミネート法等があ
るが、本発明の感熱転写用受像シートのカールを抑制す
るためには適度な剛直度が得られるポリラミネート法が
特に好ましい。

【００２８】ここで、ポリラミネートに用いられるポリ
オレフィン樹脂としては、例えばエチレン、プロピレン
等のα−オレフィンのホモポリマー、２種類以上のα−
オレフィンからなる共重合体、α−オレフィンを主成分
としてそれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、
及びそれらの混合物を用いることができる。又、ポリオ
レフィン樹脂の塗布量としては、１〜３０g/m²程度が好
ましく、１g/m²未満であると感熱転写用受像シートのプ
ラスカールが抑制できないだけでなく、接着強度が不十
分でブリスターの原因になり、又、３０g/m²を越えると
剛直度が大きくなり過ぎ、感熱転写用受像シートのマイ
ナスカールが強くなり、プリンター内でジャミングを起
こしたり、ハンドリング性が劣るようになる。

【００２９】一方、本発明者らの先願（特開平６−１１
５２６９号公報）に記されているように、多孔体構造を
有する合成樹脂フィルム上に放射線硬化性樹脂からなる
耐熱層を設けた場合には、耐熱性に優れ、しかも高光沢
な支持体を得ることができる。耐熱層の厚さは１〜２５
μｍ程度が好ましく、１μｍ以下では本来平滑度の低い
多孔体構造を有する合成樹脂フィルム上に塗布するため
高光沢度は期待できず、又、２５μｍ以上では、合成樹
脂フィルムの多孔体構造の利点である断熱性、クッショ
ン性を有効に生かし得ず、感度の低下することが判明し
ている。

【００３０】更に、本発明者らの上記先願では、分子中
に、放射線硬化性に優れたアクリロイル基を含有し、ア
クリロイル当量が１９０以下の化合物を用いて耐熱層を
形成することで、耐画像滲み性に優れた感熱転写用受像
シートの得られることを示している。ここで、アクリロ
イル当量とは、分子量を分子中のアクリロイル基の個数
で除した数値であり、数値が小さい程光架橋官能基の密
度が高いことを意味する。

【００３１】しかしながら、アクリロイル当量が１９０
以下の化合物からなる耐熱層では、硬化収縮が大きいた
め、感熱転写用受像シートが受像層面側にカールする、
いわゆるプラスカールが発生し、ハンドリング性が悪
く、又、場合によってはプリンター内でジャミングを起
こすことがあった。更には、硬化後の耐熱層は折り曲げ
等の外力がかかるとひび割れが入り、品質を著しく損な
う可能性のあることが判明した。

【００３２】これらの問題点を改良すべく、本発明者ら
が鋭意検討を行ったところ、耐熱層を形成する放射線硬
化性樹脂組成物の平均アクリロイル当量を１００〜１９
０とし、アクリロイル当量が１５０〜２８０の柔軟性を
有する放射線硬化性樹脂を１０〜５０重量％の範囲で耐
熱層中に含有させた耐熱層を、多孔体フィルム上に設け
ることにより、カール特性及びプリンター内搬送性に優
れる感熱転写用受像シートの得られることが判明した。
更に、このような耐熱層であれば、耐画像滲み性を低下
させることなく耐膜割れ性の良好な耐熱層の得られるこ
とが判明した。ここで、該放射線硬化性樹脂組成物の平
均アクリロイル当量が１００未満であると、耐熱層の硬
化収縮が大きいため、原紙片面に樹脂被覆層、他面に多
孔体フィルムからなるものを使用しても、感熱転写用受
像シートのプラスカールは改善されず、又、耐熱層の膜
割れも著しい。又、平均アクリロイル当量が１９０を超
えると、印画後の受像層から染料が経時で耐熱層中に拡
散するため画像滲みが発生する。又、アクリロイル当量
が１５０〜２８０の放射線硬化性樹脂の含有量が１０重
量％に満たない場合は、感熱転写用受像シートのプラス
カールが改善されず、又、耐熱層の膜割れが発生する。
又、含有量が５０重量％を超えると画像滲みが発生しや
すくなる。更に、アクリロイル当量が２８０を超えるよ
うな放射線硬化性樹脂を含有すれば、いかなる添加量で
あっても耐画像滲み性が低下する。

【００３３】本発明における放射線硬化性樹脂組成物と
は、少なくとも２種類以上の放射線硬化性樹脂を混合し
てなるものであり、又、平均アクリロイル当量とは、各
放射線硬化性樹脂のアクリロイル当量の算術平均値であ
る。

【００３４】以下、上記の事項に該当する代表的な放射
線硬化性樹脂を例示するが、もちろん本発明がこれに限
定されるものではない。尚、（ ）内はアクリロイル当
量を示す。

【００３５】ａ）アロニックスＭ−１０１（２３６）、
アロニックスＭ−１２０（２７２）、アロニックスＭ−
１３２（２６２）、アロニックスＭ−１５０（１１
１）、アロニックスＭ−１５２（２４８）、アロニック
スＭ−１５４（２３０）、アロニックスＭ−２１０（２
５６）、アロニックスＭ−２０５（２６７）、アロニッ
クスＭ−２１５（１８５）、アロニックスＭ−２２０
（１４１）、アロニックスＭ−２３３（２５５）、アロ
ニックスＭ−２４０（１４２）、アロニックスＭ−２４
５（２６１）、アロニックスＭ−３０５（９９）、アロ
ニックスＭ−３０９（９９）、アロニックスＭ−３１０
（１５７）、アロニックスＭ−３１５（１４１）、アロ
ニックスＭ−３２０（２１５）、アロニックスＭ−３２
５（１７９）、アロニックスＭ−４００（９６）、アロ
ニックスＭ−５３００（２７７）、アロニックスＭ−５
４００（２６４）、アロニックスＭ−５５００（２１
６）、アロニックスＭ−５７００（２２２）、アロニッ
クスＭ−６１００（２２５）、アロニックスＭ−６２５
０（２２５）、アロニックスＭ−６３００（２３９）、
アロニックスＭ−６５００（２２３）、アロニックスＭ
−７１００（１８８）、アロニックスＭ−８０３０（１
１９）、アロニックスＭ−８０６０（１３６）及びアロ
ニックスＭ−８１００（１５５）以上、東亜合成化学工
業（株）製アロニックスシリーズ、

【００３６】ｂ）カヤラッドＴＣ−１００Ｓ（２７
０）、カヤラッドＲ−５６４（２４９）、カヤラッドＲ
−１２８Ｈ（２２２）、カヤラッドＨＤＤＡ（１１
３）、カヤラッドＮＰＧＤＡ（１０６）、カヤラッドＴ
ＰＧＤＡ（１５０）、カヤラッドＰＥＧ４００ＤＡ（２
６１）、カヤラッドＭＡＮＤＡ（１５６）、カヤラッド
ＨＸ−２２０（２７０）、カヤラッドＲ−５５１（２５
６）、カヤラッドＲ−７１２（２４２）、カヤラッドＲ
−６０４（１６３）、カヤラッドＲ−１６７（１８
７）、カヤラッドＲ−６８４（１５２）、カヤラッドＰ
ＥＴ−３０（１４９）、カヤラッドＧＰＯ−３０３（２
３２）、カヤラッドＴＭＰＴＡ（１４８）、カヤラッド
ＴＨＥ−３３０（２１４）、カヤラッドＴＰＡ−３２０
（２０６）及びカヤラッドＴＰＡ−３３０（２３５）以
上、日本化薬（株）製カヤラッドシリーズ、

【００３７】ｃ）ＮＫエステルＡＰＧ−１０Ｇ（１９
２）、ＮＫエステルＡＭＰ−２０Ｇ（２３６）、ＮＫエ
ステルＡ−ＳＡ（２１６）、ＮＫエステルＬＡ（２４
０）、ＮＫエステルＡ−２００（１５４）、ＮＫエステ
ルＡ−４００（２５４）、ＮＫエステルＡ−ＨＤ（１１
３）、ＮＫエステルＡ−ＮＰＧ（１０６）、ＮＫエステ
ルＡＰＧ−２００（１５０）、ＮＫエステルＡＰＧ−４
００（２６８）、ＮＫエステルＡ−ＢＰＥ−４（２５
６）、ＮＫエステルＴＭＰＴ（１１３）、ＮＫエステル
Ａ−ＴＭＰＴ（９９）、ＮＫエステルＡ−ＴＭＭ−３
（７５）、ＮＫエステルＡ−ＭＭ−３Ｌ（７５）、ＮＫ
エステルＡ−ＴＭＭＴ（８８）以上、新中村化学（株）
製ＮＫエステルシリーズ

【００３８】本発明の耐熱層中には、感熱転写用受像シ
ートの白色度を向上させる目的から、必要により硫酸バ
リウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、酸
化マグネシウム、酸化アルミニウム、燐酸チタン、サテ
ンホワイト、タルク、クレー等の白色顔料や着色顔料、
コバルトブルー、群青、セリアンブルー、フタロシアニ
ンブルー等のブルー顔料や染料等を添加することもでき
る。又、必要により本発明の効果を阻害しない範囲で、
蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤、ラ
ジカル重合開始剤、界面活性剤、滑剤、帯電防止剤、導
電剤等の各種添加剤を添加することができる。ここで、
耐熱層中に添加する蛍光増白剤としては、特に制限はな
いが、耐放射線性、耐候性等に優れるチィオフェン骨格
を含有した蛍光増白剤が特に好ましい。

【００３９】本発明の放射線硬化性樹脂組成物を硬化さ
せる電離放射線としては、一般には、紫外線、α線、β
線、γ線、Ｘ線及び電子線等が挙げられるが、α線、β
線、γ線又はＸ線は人体への危険性の問題が付随するた
め、取扱いが容易で工業的にもその利用が普及している
紫外線や電子線が有効である。

【００４０】本発明において、電子線を使用する場合、
照射電子線量は０．１〜１０Ｍｒａｄ程度の範囲が好ま
しい。ここで、０．１Ｍｒａｄ未満では十分な照射効果
が得られないため硬化が不十分であり、１０Ｍｒａｄを
超えると、支持体を劣化させるために好ましくない。電
子線の照射方式としては、スキャニング方式、カーテン
ビーム方式等を用いることができ、電子線の加速電圧
は、１００〜３００ＫＶ程度が好ましい。

【００４１】又、本発明において紫外線を使用する場合
には、放射線硬化性樹脂組成物中に増感剤を配合する必
要があるが、その具体例としては、例えば、ジ又はトリ
クロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、ベン
ゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、
ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケター
ル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサ
ントン類、アゾ化合物等があり、放射線硬化性樹脂の重
合反応タイプ、安定性、及び放射線照射装置との適合性
等の観点から選ばれる。増感剤の使用量は、放射線硬化
性樹脂に対して、通常１〜５重量％程度である。又、増
感剤にはハイドロキノンのような貯蔵安定剤が併用され
る場合もある。光源としては、例えば、低圧水銀灯、中
圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ及びタングステ
ンランプ等が使用される。

【００４２】本発明における多孔体フィルム上に、放射
線硬化性樹脂組成物からなる耐熱層を塗布する方法とし
ては、例えば、ブレード方式、エアードクター方式、ス
クイズ方式、エアーナイフ方式、リバースロール方式、
グラビアロール及びトランスファーロール方式、バー方
式及びカーテン方式等の方法が用いられる。又、より高
平滑な面を得る目的から、例えば、特開平４−１１３８
９１号公報等に記されているような高平滑な金属ロール
又はプラスチックフィルム面を耐熱層に転写させる方法
を採用することもできる。すなわち、多孔体フィルムと
鏡面金属ロール又は高平滑なプラスチックフィルムの間
に放射線硬化性樹脂組成物よりなる耐熱層を塗布し、放
射線を照射して硬化させた後、金属ロール又はプラスチ
ックフィルムを剥離して高平滑な耐熱層を得る方法であ
る。

【００４３】本発明における受像層とは、染料との相互
作用が強く、染料が安定して樹脂中へ拡散しうるもので
あれば、いずれも好適に使用でき、例えば、特開昭５７
−１６９３７０号公報、同５７−２０７５０号公報及び
同６０−２５７９３号公報等に示されているようなポリ
エステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレ
ート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、尿素樹
脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ
塩化ビニル、ポリアクリロニトリル樹脂等が使用可能で
ある。又、これらの樹脂の構成単位の内の１種以上を主
成分とする、塩化ビニル／酢酸ビニル共重合体、スチレ
ン／ブタジエン共重合体等の共重合体も使用可能であ
る。更に、これらの樹脂は単独で又は２種以上混合して
使用することができる。これらの樹脂は、水又は有機溶
剤に溶解して支持体上に塗布するか、エマルジョンとし
て塗布することができる。

【００４４】本発明において、受像層中には、転写シー
トとのブロッキングを防止するために離型剤を添加する
ことができる。このような離型剤としては、高級脂肪酸
又はそのエステル、アミド又はその金属塩、セラックワ
ックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ポリエ
チレンワックス等のワックス類、テフロンパウダー、フ
ッ素系又は燐酸エステル系の界面活性剤、シリコーンオ
イル、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコー
ン、アルキッド変性シリコーン及びポリエステル変性シ
リコーン等の変性シリコーンオイル等が使用可能であ
る。又、シリコーン化合物として、反応硬化型、電離放
射線硬化型及び触媒硬化型等のシリコーン化合物も必要
により用いることができる。

【００４５】更に、受像層には必要に応じて、染料、顔
料、湿潤剤、消泡剤、分散剤、帯電防止剤、蛍光増白
剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の添加剤を添加するこ
とができる。顔料としては、シリカ、アルミナ、酸化チ
タン、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化亜鉛及
び硫酸バリウム等に代表される無機顔料や有機顔料等を
添加することができる。

【００４６】本発明において、受像層の塗布量は、乾燥
固形分で０．５〜３０g/m²の範囲が好ましい。又、受像
層の塗布方法としては、エアーナイフ方式、グラビア方
式、ワイヤーバー方式、ロッド方式、リバースロール方
式、エクストルージョンダイ方式、ブレード方式、スラ
イドホッパー方式等の一般的な塗布方式が用いられる。

【００４７】本発明において、支持体と受像層の接着性
を向上させるために、耐熱層の表面をコロナ放電処理、
プラズマ処理、火炎処理等により改質することも可能で
ある。

【００４８】本発明において、印字の際の感熱転写用受
像シートの搬送性向上や裏面への筆記性や導電性の付与
を目的として、支持体の受像層と反対側のポリオレフィ
ン樹脂被覆層上に無機顔料、有機顔料、帯電防止剤等を
含む裏塗層を設けることができる。このような、裏塗層
に添加される無機顔料としては、シリカ、アルミナ、酸
化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、酸化亜
鉛、硫酸バリウム等、帯電防止剤としては、第４級アン
モニウム塩、ポリアミン誘導体等のカチオン性界面活性
剤、アルキルホスフェート等のアニオン性界面活性剤、
スルホベタイン等の両性界面活性剤、ポリエチレングリ
コール等ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。

【００４９】

【作用】本発明によれば、支持体の表面に熱転写媒体か
らの染料を受容する受像層を設けた感熱転写用受像シー
トにおいて、該支持体が、原紙片面に特定量の高密度ポ
リエチレンを含有するポリオレフィン樹脂からなる樹脂
被覆層を被覆し、他面に多孔体フィルムを貼着し、該フ
ィルムの非貼着面に特定のアクリロイル当量を有する放
射線硬化性樹脂を特定量含有し、且つ特定の平均アクリ
ロイル当量を有する放射線硬化性樹脂組成物からなる耐
熱層を設けたもので、該耐熱層上に該受像層を設けた感
熱転写用受像シートのカール特性、プリンター内搬送性
が良好で、且つ耐画像滲み性及び耐熱層の耐膜割れ性に
優れた感熱転写用受像シートを得ることができる。

【００５０】

【実施例】次に、本発明を実施例によって、更に詳細に
説明するが、本発明の内容はこれらに限定されるもので
はない。又、実施例及び比較例に於いて示す「部」及び
「％」は、いずれも重量部及び重量％を示す。

【００５１】評価用のインクドナーシートは、以下のよ
うにして作製した。 ［転写シート］膜厚５μｍの耐熱処理を施した２軸延伸
ポリエステルフィルム上に、下記配合の耐熱滑性層塗液
を、ワイヤーバーで、乾燥塗布量が０．５g/m2となるよ
う塗布乾燥し、１４０W／cm²の高圧水銀灯で紫外線照射
を行い硬化した。 （耐熱滑性層塗液配合） TMPTA(第一工業製薬) １０部リホ゜キシ SP1509(昭和高分子) ２０部トレフィル E500(東レ・タ゛ウコーニンク゛シリコーン) ９部 KF-393(信越シリコーン) ０．３部コロネート L(日本ホ゜リウレタン) ０．３部 Darocur1173(メルク) ０．４部 酢酸エチル ４０部イソフ゜ロヒ゜ルアルコール ２０部

【００５２】更に、耐熱滑性層と反対側の面に下記配合
の色材層塗液をボールミルで２日間粉砕後、ワイヤーバ
ーで、乾燥塗布量が１．５g/m2となるよう塗布乾燥し、
転写シートを作製した。 （色材層塗液配合）カヤセットフ゛ルー 906(日本化薬) １０部エチルセルロース １０部サイロイト゛ 244(富士テ゛ヒ゛ソン) １０部イソフ゜ロヒ゜ルアルコール ３０部

【００５３】実施例１〜１５ 漂白広葉樹サルファイトパルプ（ＬＢＳＰ）５０重量％
と漂白針葉樹サルファイトパルプ（ＮＢＳＰ）３０重量
％及び広葉樹クラフトパルプ（ＬＢＫＰ）２０重量％か
らなる原紙（坪量１２０g/m²）にスーパーカレンダー処
理を施した後、片面にコロナ放電処理を行い、下記表１
に示した樹脂被覆層を２４g/m²となるように溶融押出法
で塗設した。

【００５４】次に、樹脂被覆層を設けたものの原紙面
に、非多孔性ポリプロピレンに対して表１に示したよう
な密度比を有するポリプロピレンの多孔体フィルムを、
接着用ポリエチレン樹脂（三菱油化（株）製ＸＬＭ３
１）の塗布量が１５g/m²となるようにポリラミネート貼
着した後、該多孔体フィルムの非貼着面上に表１に記し
た放射線硬化性樹脂組成物を乾燥塗布量で７g/m²となる
ようにワイヤーバーで塗布した後、加速電圧２００Ｋ
Ｖ、照射線量５Ｍｒａｄの条件で電子線を照射して耐熱
層を形成した。

【００５５】更に、耐熱層上にエアーナイフコーターで
ポリエステル樹脂エマルジョン（バイロナールＭＤ−１
２００：東洋紡）と無機微粒子としてシリカ（アロエジ
ル２００：日本アロエジル）を含む受像層を乾燥固形分
が５．０g/m²になるように、塗布、乾燥して実施例１〜
１５の各感熱転写用受像シートを得た。

【００５６】比較例１〜１７ 樹脂被覆層の組成、多孔体フィルムの密度比（非多孔性
ポリプロピレンフィルムの密度０．９２g／cm³に対する
多孔体フィルムの密度比）及び耐熱層を形成する放射線
硬化性樹脂組成物のアクリロイル当量と固形重量部を表
１及び表２に記した通りとした以外は、実施例１〜１５
と同様にし、比較例１〜１７の感熱転写用受像シートを
作製した。

【００５７】比較例１８ 原紙片面に樹脂被覆層を設けたものの原紙面と多孔体フ
ィルムの貼着を、下記配合の接着剤塗液を乾燥塗布量が
２g/m²となるように塗布して貼着する、いわゆるドライ
ラミネート法で行った以外は実施例１と同様にして比較
例１８の感熱転写用受像シートを作製した。 （接着剤塗液配合）タケラック A-606(武田薬品) ９０部タケネート A-12(武田薬品) １０部 酢酸エチル ９０部

【００５８】尚、実施例１〜４及び比較例１〜４では、
放射線硬化性樹脂組成物中に、アナターゼ型二酸化チタ
ンを組成物の全重量に対して、１５重量％添加して耐熱
層を塗設した。

【００５９】

【表１】

【００６０】

【表２】

【００６１】（評価方法）以上のようにして得た各感熱
転写用受像シートを以下のような方法で評価した。 （１）感度 各感熱転写用受像シートの受像層と転写シートの色材層
を対向して重ね合わせ、三菱電機製昇華型熱転写プリン
ターＳ３６００−３０を用いてシアンステップウエッジ
チャートを印画した後、最高感度部分の転写濃度をマク
ベス反射濃度計で計測した。

【００６２】（２）耐画像滲み性 各感熱転写用受像シートの受像層と転写シートの色材層
を対向して重ね合わせ、三菱電機製昇華型熱転写プリン
ターＳ３６００−３０を用いて印画した後、感熱転写用
受像シートを６０℃、８０％ＲＨの雰囲気下に５日間放
置した場合のドットの滲みを観察して下記の基準で評価
した。 ５：ルーペで感熱転写用受像シートの印画部分を観察し
ても滲みが判らない。 ４：ルーペで感熱転写用受像シートの印画部分を観察す
るとやや滲んでいるのが判る。 ３：ルーペで感熱転写用受像シートの印画部分を観察す
ると滲んでいるのが判る。 ２：肉眼で感熱転写用受像シートの印画部分がやや滲ん
でいるのが判る。 １：肉眼で感熱転写用受像シートの印画部分が滲んでい
るのが判る。

【００６３】（３）耐膜割れ性 受像層を塗設する前の感熱転写用受像シート用支持体
を、５回連続して折り曲げた場合の耐熱層のひび割れ具
合を下記の基準で評価した。 ○：全くひび割れがなく、良好である。 △：若干ひび割れが発生している。 ×：大きなひび割れが発生している。

【００６４】（４）カール性 感熱転写用受像シート（Ａ４版）各１０枚を受像層面を
上にして平面卓上に置いた場合に、感熱転写用受像シー
トの四隅の卓上からの距離離を測定し、平均値を求め
た。又、印画後についても同様の測定し、下記の基準で
評価した。 ○：０．５ｃｍ以下 △：０．６〜０．９ｃｍ ×：１．０ｃｍ以上

【００６５】（５）プリンター内搬送性 感熱転写用受像シート各５０枚を昇華型熱転写プリンタ
ーＳ３６００−３０を用いて印画した場合に、ジャミン
グ又は折れ曲がりを生じた枚数を計測し、下記の基準で
評価した。 ○：１枚以下 △：２〜４枚 ×：５枚以上

【００６６】以上の評価結果をまとめて表３に示す。

【００６７】

【表３】

【００６８】評価：実施例１〜１５の感熱転写用受像シ
ートでは、本発明により感熱転写用受像シートを作製し
たため、印画前後でのカール特性及びプリンター内搬送
性に優れ、且つ耐画像滲み性を低下させずに耐熱層の耐
膜割れ性を改良することができた。

【００６９】しかしながら、比較例１、２の感熱転写用
受像シートでは、樹脂被覆層中の高密度ポリエチレンの
含有量が少なすぎたためにプラスカールが矯正されず、
又、比較例３、４の感熱転写用受像シートでは、高密度
ポリエチレンの含有量が多すぎたために、マイナスカー
ルが発生した。比較例５、６、７の感熱転写用受像シー
トでは、高密度ポリエチレンの密度が低過ぎたためプラ
スカールが矯正できなかった。比較例８の感熱転写用受
像シートでは、１５０〜２８０のアクリロイル当量を有
する放射線硬化性樹脂の含有量が少な過ぎたため、耐熱
層の柔軟性に欠け、ひび割れが発生した。比較例９、１
０の感熱転写用受像シートでは、１５０〜２８０のアク
リロイル当量を有する放射線硬化性樹脂の含有量が多す
ぎたため、耐画像滲み性が悪かった。比較例１１の感熱
転写用受像シートでは、多孔体フィルムの密度が高過ぎ
たため、転写濃度が悪く、又、カール性及び搬送性共に
若干劣った。比較例１２の感熱転写用受像シートでは、
放射線硬化性樹脂組成物の平均アクリロイル当量が１０
０未満であることから耐熱層にひびが発生し、プラスカ
ールが矯正されなかった。又、比較例１３の感熱転写用
受像シートでは、放射線硬化性樹脂組成物の平均アクリ
ロイル当量が１９０を超えていたため、耐画像滲み性が
低下した。比較例１４、１５の感熱転写用受像シートで
は、１５０〜１９０のアクリロイル当量を有する放射線
硬化性樹脂を含有していなかったため、耐熱層には著し
いひび割れが発生した。比較例１６、１７の感熱転写用
受像シートでは、アクリロイル当量が２８０を超える放
射線硬化性樹脂を含有していたため、耐画像滲み性が低
下した。比較例１８の感熱転写用受像シートでは、樹脂
被覆紙と多孔体フィルムをドライラミネート法で貼着し
たため、感熱転写用受像シートのカール特性が劣り、搬
送性が悪かった。

【００７０】

【発明の効果】本発明の感熱転写用受像シートは、支持
体として、片面を特定量の高密度ポリエチレンを含有す
るポリオレフィン樹脂により被覆し、原紙他面に特定の
多孔体フィルムを貼着し、特定の放射線硬化性樹脂組成
物からなる耐熱層を設けた支持体を用い、該支持体の耐
熱層上に受像層を設けることにより、感熱転写用受像シ
ートのカール特性、プリンター内搬送性が良好で、且つ
耐画像滲み性及び耐熱層の耐膜割れ性に優れた感熱転写
用受像シートを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の感熱転写用受像シートを示す断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 樹脂被覆層 ２ 原紙 ３ 多孔体フィルム ４ 耐熱層 ５ 受像層 ６ 支持体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 砂田 和彦 東京都千代田区丸の内３丁目４番２号三菱 製紙株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持体上に、熱転写媒体からの熱移行性
   染料を受容する受像層を設けた感熱転写用受像シートに
   おいて、該支持体が、原紙の片面にＪＩＳ Ｋ６７４８
   に規定される密度０．９５g／cm³以上の高密度ポリエチ
   レン樹脂を１０〜８０重量％含有するポリオレフィン樹
   脂からなる樹脂被覆層を設け、他面に同一材質の非多孔
   体フィルムに対して８５％以下の密度を有する多孔体フ
   ィルムを貼着し、さらに少なくとも１種以上のアクリロ
   イル当量１５０〜２８０の放射線硬化性樹脂を１０〜５
   ０重量％含有し、且つ平均アクリロイル当量１００〜１
   ９０の放射線硬化性樹脂組成物からなる耐熱層を設けた
   該支持体であり、該耐熱層上に該受像層を設けてなる感
   熱転写用受像シート。
2. 【請求項２】 原紙に対して、ポリオレフィン樹脂の樹
   脂被覆層の塗設又は多孔体フィルムの貼着が、接着剤と
   して溶融ポリオレフィン樹脂を用いて、ポリラミネート
   法により塗設又は貼着されることを特徴とする請求項１
   又は２記載の感熱転写用受像シート。