JPH08197B2 - 触媒コンバ−タ用基体 - Google Patents

触媒コンバ−タ用基体

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JPH08197B2
JPH08197B2 JP62115991A JP11599187A JPH08197B2 JP H08197 B2 JPH08197 B2 JP H08197B2 JP 62115991 A JP62115991 A JP 62115991A JP 11599187 A JP11599187 A JP 11599187A JP H08197 B2 JPH08197 B2 JP H08197B2
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whiskers
vapor deposition
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敦司 安藤
保徳 服部
幸夫 内田
祐輔 広瀬
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [技術分野] 本発明は、主に自動車等の排気ガス経路に設置され、
排気ガス中の各種酸化物を分解して浄化するために用い
る触媒コンバータの基体に関する。
[従来技術と問題点] 現在、排気ガスの浄化を目的として自動車の排気ガス
経路にモノリシス型の触媒コンバータが使用されてい
る。該コンバータは一般に800℃〜約1200℃に及ぶ高温
の腐食性ガスに曝されるので高温下での耐酸化性を有す
る必要があり、触媒担体を保持するフレームにはハニカ
ム状のセラミックスが従来用いられている。しかし、セ
ラミックス製フレームには次の問題がある。
a.熱伝導度が小さいので、温度が上り難く、運転開始時
の排気ガス浄化が期待できない。
b.熱衝撃や機械振動に弱い。
c.金属との熱膨張差が大きいので、コンバータシェルへ
の固定が難しい。
上記セラミック製コンバータの欠点を解消するため、
最近、触媒担体のフレーム材として板厚50μm程度の耐
熱性ステンレス鋼フォイル(箔)を用いることが検討さ
れ、欧米では既に実用化されている。ステンレンス鋼は
高温での耐酸化性に優れることから、ステンレス鋼の箔
をコルゲート加工してハニカム状のフレームを形成し、
該フレームに触媒の担持体となるγ−Al2O3をコーティ
ングして、乾燥焼結した後、触媒コーティングを施し、
メタリックフレームコンバータを製造している。ところ
が上記ステンレス製のフレームは触媒担体となるアルミ
ナとの密着性が必ずしも充分ではなく、その為、種々の
改良が試みられている。その一例として、Alを3〜8%
含有するAl含有ステンレス鋼を用い、該ステンレス鋼の
箔を焼なまし後にコルゲート加工し、成形後、更に熱処
理して鋼中のAlを利用してステンレス鋼表面にα−Al2O
3ウイスカーを生成させ、該針状結晶の上にγ−Al2O3
コーティングする方法が知られている(特開昭56−9672
6)。この他、α−Al2O3ウイスカーの生成を促進するた
め上記Al含有ステンレス鋼を予めCO2雰囲気等で加熱処
理する方法(特開昭57−71898)、あるいはステンレス
鋼の成分にZr、Y等を添加し機械的強度や高温クリープ
特性を改善する方法(特開昭56−121641、同58−17743
7)等が知られている。
ところが、ステンレス鋼を用いて触媒コンバータのフ
レームを形成する上記従来方法は、何れも高Al含有ステ
ンレス鋼を用い、ステンレス鋼の加熱処理により鋼中の
Alを利用して鋼表面にα−Al2O3を生成させるものであ
り、製造工程が煩雑である。またAl含有量が3〜8%程
度に及ぶため圧延性に劣り、板厚50μm程度のフォイル
を製造するのが困難である。更に、鋼中のAlを利用する
ためα−Al2O3の生成が不充分になり易い問題がある。
ステンレス鋼を用いる上記従来方法の問題を回避する
ため、チタン含有低炭素鋼を用いて上記メタリックフレ
ームを製造する方法も知られている。その一例は、0.01
〜1.0%のTiを含有する低炭素鋼を用い、該炭素鋼の表
面に溶融Alめっきを施した後に冷間圧延してフォイルを
形成する方法である(特開昭61−568、特公表60−50176
5)。この方法は、高価なステンレス鋼に代えて経済的
に有利な低炭素鋼を用い、圧延性および耐高温酸化性を
高めるために該鋼にTiを添加し、更に鋼表面に溶融Alめ
っきを被覆し、加熱処理することにより上記ウイスカー
を生成させるものであり、上記Al含有ステンレス鋼を用
いる方法に比べ、製造工程が簡略であり、経済的に有利
であるが、Tiが添加されているものの母材が低炭素鋼で
あるので依然として製品の耐熱性に劣り、800℃以上の
高温下での使用には信頼性が乏しい。しかも溶融めっき
層に硬質で脆い合金層(Fe−Al、Fe−Al−Si)が形成さ
れるため、めっき後の圧延時にめっき層が剥離し易い重
大な問題がある。
[問題点の解決に係る知見] 本発明者は、Ti含有低炭素鋼に比べステンレス鋼は高
温での耐酸化性が格段に優れることから、ステンレス鋼
を用いたメタルフレームの改良を試み、Al源として鋼中
の含有Alを利用する従来の方法とは異なり、ステンレス
鋼表面に蒸着めっき又は電気めっきによりAlめっきを施
し、該Alめっき層の加熱処理により上記ウイスカーを形
成すれば、高温での耐酸化性に優れ、かつ圧延および成
形加工時にもめっき層の剥離を生じない優れた加工性を
有するメタリックフレームを製造できることを見出し
た。
更に、ステンレス鋼にめっき層を形成する方法におい
ては、めっき方法が重要であり、溶融めっきによりAlめ
っきを施す場合には不めっきが発生し易く、しかも薄く
て均一なめっき層を得ることが難しい。他方、蒸着めっ
き或いは電気めっきによりAlめっきを施せば母材との密
着性に優れた均一なめっき層を得ることができ、良好な
アルミナウイスカーを形成できることを見出した。
[発明の構成] 本発明によれば、ステンレス鋼フォイルをフレームと
し、該フレームの少なくとも片面に触媒を担持するため
のアルミナが被覆されている触媒コンバータ用基体であ
って、上記ステンレス鋼がCr:3〜25重量%(以下%)、
C:0.08%以下、Ti:0.05〜0.5%、Al:1%未満、Mn:0.8%
以下、Si:0.8%以下、残部が鉄および不可避的不純物か
らなるTi含有ステンレス鋼であり、該ステンレス鋼表面
に蒸着めっきまたは電気めっきによりAlめっきを施し、
該蒸着めっきの場合はめっきと同時またはめっき後に加
熱処理を施し、該電気めっきの場合にはめっき後に加熱
処理を施してAlめっき層にα−Al2O3ウイスカーを生成
させた後にγ−Al2O3をコーティングして上記アルミナ
担持体を形成したことを特徴とする触媒コンバータ用基
体が提供される。
本発明に係るメタリックフレームの製造工程の一例を
第1図に示す。
本発明のメタリックフレームにはTi含有ステンレス鋼
が用いられる。該Ti含有ステンレス鋼とは、Cr:3〜25
%、C:0.08%以下、Al:1%未満、Ti:0.05〜0.5%を含有
することによって特徴づけられ、MnおよびSiは通常のス
テンレス鋼に含有される範囲の含有量であり、残部が鉄
および不可避的不純物からなるものを言う。
Tiを含有しないステンレス鋼の場合、Alめっき層から
鋼中に拡散したAlが鋼中の炭素、窒素と結合し、めっき
層と母材の界面付近でボイドを形成するため、これがめ
っき層の剥離原因となる。従って、Tiは鋼中の全ての炭
素、窒素と結合するのに充分な量が必要とされる。更に
本発明においては、Alめっき層のAlを鋼中にスムーズに
拡散させ、かつ鋼組織を清浄化し圧延性を向上させる作
用を果たすものであり、この観点からTi量は、0.05〜0.
5%が好ましい。
Ti量が0.05%より少ないと、鋼中の全ての炭素、窒素
がTiと充分に結合されない。またTi含有量が0.5%以上
になっても鋼中のフリーのTi量が増加するだけであり、
上記効果はそれ以上向上しない。
Crの含有量は3〜25%を必要とし、好ましくは、11〜
20%である。3%未満のCr含有量では母材の耐高温酸化
性に劣る。ステンレス鋼は一般には11%以上のCrを含有
するものであるが、本発明においては3%以上のCrが含
有されていれば、Fe、Cr、Alの複合酸化物を形成し、最
少源必要な耐高温酸化性を得ることができるので3%以
上のCrを含有するものをステンレス鋼の範囲に含むもの
とする。Cr含有量が25%を越えても母材の耐酸化性を顕
著に向上させる効果は認められず、Crが高価な金属であ
ることを考慮すると経済的にもCr含有量は25%以下であ
ることが好ましい。
本発明はステンレス鋼を用いる方法において、従来と
異なり、鋼中のAlを利用してα−Al2O3ウイスカーを生
成させるものではないので、高Al含有ステンレス鋼を用
いる必要が無い。本発明においては、Alを含有しないも
の或いはAl量が1%未満のステンレス鋼を用いる。この
結果、板厚50μm程度の冷延フォイルの製造が容易であ
る。Al量が1%を越えると、Al量の増加と共に母材が硬
くなり、圧延が困難になるので好ましくない。
Mn、Siの含有量は通常のステンレス鋼に含まれる範囲
であり、一般的には、Mn:0.8%以下、Si:0.8%以下であ
る。
尚、Mn、Si、Niの含有量は本発明において本質的なも
のではない。
その他、上記ステンレス鋼には不可避的不純物とし
て、P、S等が含まれるが、これらは通常の混入量以下
であれば支障ない。尚、母材の機械的性質を考慮する
と、これらの元素は少ない程好ましい。
上記ステンレス鋼の両面あるいは片面に、蒸着めっき
或いは電気めっきによりAlめっきが施される。該めっき
処理の際、ステンレス鋼は予め板厚50μm程度のフォイ
ルに圧延したものを用いても良く、あるいは板厚0.1〜
0.3mm程度の鋼板にめっき処理を施した後、上記フォイ
ルの板厚まで圧延しても良い。
該めっき層は上記α−Al2O3ウイスカーを形成するた
めのものであり、従って該めっき層の膜厚は鋼表面に均
一な上記ウイスカーが形成される程度であれば良い。具
体的には、フォイル状のステンレス鋼を用いる場合、該
めっき層の膜厚は0.5〜8.0μmが最適であり、また、板
厚0.1〜0.3mm程度の鋼板を用いる場合にも圧延後のフォ
イルのめっき層の膜厚が0.5〜8.0μmであることが好ま
しい。めっき層の膜厚が0.5μmより薄い場合、上記ウ
イスカーの生成が不充分な部分を生じ、また該めっき層
の膜厚が8.0μmより厚い場合、上記ウイスカーを生成
させるためには長時間の加熱処理あるいはより高温での
処理が必要になる。従って、めっき層の膜圧は0.5〜8.0
μmが好適である。
上記Alめっき層は蒸着めっき、或いは電気めっきにより
形成される。溶融めっきによる場合には前述のようにめ
っき層界面付近に脆弱な合金層が生じるのを避けること
が出来ない。該合金層はめっき層の剥離原因となり易
く、また上記α−Al2O3ウイスカーの生成形態を不均一
にする。
蒸気めっきの原理は、めっき金属の蒸気を真空蒸着室
中で鋼帯表面に付着、凝縮させてめっき層を形成するも
のであり、溶融めっきに見られる不都合な合金層を生じ
るいことが無く、密着性に優れためっき層を得ることが
できる。また蒸着めっきは板厚50μm程度の極薄な鋼帯
に対しても良好なめっき層を形成することが可能であ
る。一方、溶融めっきは融点以上に加熱しためっき浴中
に鋼帯を通過させるため、極薄の鋼帯は著しい熱歪を生
じ易く、通常0.25mm以上の板厚を有する鋼帯に限られ
る。またAl溶融めっきによりステンレス鋼板にAlめっき
を施す場合、溶融Alとステンレス鋼板とのぬれ性が悪く
点状の不めっきが発生し易い。蒸着めっきの場合には、
ステンレス鋼板にも密着性の良いAlめっきを施すことが
出来る。更に、蒸着めっきは薄めっきが可能であり、蒸
着時の熱を利用して蒸着工程においてAlめっき層に直ち
にα−Al2O3被膜を形成することもできる。
上記蒸着めっきに代えて電気めっきによりAlめっきを
形成しても良い。電気めっきにより形成されるめっき層
は蒸着めっきによる場合と同様に、溶融めっきに見られ
るような合金層が生ぜず、良好なめっき層を得ることが
できる。
上記蒸着めっき又は電気めっきによりAlめっきしたステ
ンレス鋼フォイルはコルゲート加工によりハニカム状の
構造体に加工され、引続きキャンニング工程を経て、コ
ンバータフレームの形状に加工される。
上記加工処理の後、大気中での加熱処理によりAlめっ
き層にα−Al2O3ウイスカーが形成される(第2図
(a)参照)。該熱処理は大気中での加熱で良く、具体
的な熱処理条件はステンレス鋼の鋼種およびめっき層の
膜厚により多少異なるが、通常、800〜1100℃、5分〜5
0時間であれば良い。
板厚0.1〜0.3mmのステンレス鋼板に上記Alめっきを施
した場合には、該鋼板を圧延して板厚25〜90μm、めっ
き層の厚さ0.5〜8.0μmにした後、上記コルゲート加工
および熱処理を施す。
高Al含有ステンレス鋼を用い、めっき層を形成せずに
上記ウイスカーを形成する従来方法においては、大気中
での加熱によっては満足なウイスカーを形成することが
出来ない。この為、酸素分圧を0.75Torr以下とした不活
性ガス雰囲気中、或いは炭酸ガス雰囲気中で加熱してい
る。
本発明においては、上記従来方法で不可欠とする雰囲
気調整の必要が無く、大気中での加熱で良く、これによ
り良好なウイスカーを形成することができる。
α−Al2O3ウイスカーの生成させる加熱温度と時間はA
lめっき層の膜厚によって異なり、前述の如く、めっき
層の膜厚が0.5〜8.0μmであれば800〜1100℃,5分〜50
時間で上記ウイスカーが生成される。なお、めっき層の
膜厚の薄い方が微細かつ針状のウイスカーを短時間で形
成する傾向を有するが、膜厚が厚くても上記範囲内であ
れば加熱温度を高くすることにより針状のウイスカーを
短時間で形成できる。
上記加熱処理により鋼表面に化学的に安定なα−Al2O
3が形成される一方、めっき層のAlが鋼中に拡散し固溶
するのでステンレス鋼フォイルの耐熱性が向上する。
上記加熱処理(ウイスカー処理)の後、触媒担体とな
るγ−Al2O3が上記ウイスカー上にコーティングされる
(第2図(b)参照)。γ−Al2O3のコーティングは通
常の方法によって行なえば良く、例えば、該コーティン
グ用アルミナゾルを上記フォイル上に塗布し、乾燥後、
大気中で500〜800℃に加熱して焼成させることにより形
成される。γ−Al2O3の膜厚は通常1〜10μmである。
γ−Al2O3層の密着性はα−Al2O3ウイスカーの形態に依
存しており、微細かつ針状のウイスカーである程密着性
が良い。上記γ−Al2O3層の上に更に白金、ロジウム等
の金属触媒がコーティングされ(第2図(c))、最終
的に触媒コンバータ用基体が形成される。
尚、第2図中 10はステンレス鋼フォイル、11はα−
Al2O3ウイスカー、12はγ−Al2O3、13は金属触媒であ
る。
[発明の効果] 本発明の触媒コンバータ用基体は次の利点を有する。
a.母材として通常のTi含有ステンレス鋼を用いるのでフ
ォイルを製造するのが容易である。ステンレス鋼を用い
る従来の方法は高Al含有ステンレス鋼に限られるので板
厚50μm程度のフォイルまで圧延するのが困難である。
また低炭素鋼を用いるものは高温下での耐酸化性に劣り
800℃以上の温度領域での長期間の使用に耐えない。
b.蒸着めっき或いは電気めっきによりAlめっきを形成
するので、溶融めっきに発生するめっき界面付近での脆
弱な合金層を生じることがなく、めっき処理後の圧延加
工によってもめっき層が剥離せず、圧延加工性が良い。
従って上記ウイスカーが鋼表面に均一に形成される結果
γ−Al2O3コーデイング層の密着性に優れる。
c.大気中での加熱によりAlめっき層に化学的に安定なα
−Al2O3ウイスカーが容易に形成される、高Al含有ステ
ンレス鋼を用いる従来の方法においては、大気中での加
熱によっては満足なウイスカーを形成することが出来な
い。この為、酸素分圧を0.75Torr以下とした不活性ガス
雰囲気中、或いは炭酸ガス雰囲気中で加熱している。こ
の点、本発明においては、上記従来方法で不可欠とする
雰囲気調整の必要が無く、大気中での加熱で良く、これ
により良好なウイスカーを形成することができる利点を
有する。
d.上記ウイスカー処理時に鋼中にAlが拡散固溶するので
ステンレス鋼フォイルの耐熱性が一層向上する。従来の
溶融めっきを行なう方法においてはステンレス鋼に代え
て低炭素鋼を用いているのでAlめっき層から鋼中にAlが
拡散しても耐熱性に限界がある。
[実施例および比較例] 実施例 1 第1表に示す成分のステンレス鋼フォイル(板厚50μ
m)を用い、常法に従って脱脂および酸洗を行なった
後、第2表の蒸着条件に従い該ステンレス鋼表面の両面
にAl蒸着めっきを施した。
引続き、該Alめっきフォイルを大気中で10分〜10時
間、900℃に加熱し、ウイスカーを生成させた。該ウイ
スカー処理時における鋼中へのAl拡散状態を調べたとこ
ろ第3図(a)、(b)の結果が得られた。同図(a)
はめっき膜厚3μmの試料を大気中で900℃に加熱した
時の鋼中へのAl拡散挙動を示している。同図(a)に示
されるように、900℃、3時間の加熱処理後の鋼中の平
均Al含有量は化学分析結果より約3%であることが確認
された。該Alの拡散深さは加熱温度、保持時間に比例
し、算出した拡散係数は2.17×10-10(cm2/s)であっ
た。また同図(b)はめっき膜厚3μmの試料を大気中
で900℃、1〜3時間加熱保持した後の試料の厚み方向
のAlの濃度分布を示している。同図(b)により900
℃、3時間の加熱処理で該Alめっきフォイル内部のAl濃
度はほぼ均一になることが確認できる。
次に、めっき膜厚1μm、3μm、7μmの試料を90
0℃、10時間加熱処理した後のめっき層表面の走査電子
顕微鏡写真を第4図(a)、(b)、(c)に示す。ま
た同図(b)と同一条件で作成した試料についてめっき
層のX線回析チャートを第5図に示す。第4図(a)〜
(c)に示されるように該Alめっきステンレス鋼表面に
は微細なかつ緻密な針状結晶が形成されており、加熱処
理条件が同一であれば、めっき膜厚の薄いほうがウイス
カーの成長が速いことが確認された。また、該ウイスカ
ーは第5図のチャートからα−Al2O3であることが確認
された。
めっき膜厚3μm、900℃、10時間の加熱処理により
ウイスカーを形成した試料について、更に第3表に示す
条件下でγ−Al2O3をコーティングした。該コーティン
グ処理した試料について表面部分の走査電子顕微鏡写真
を第6図に示す。また同試料について表面に2mmの碁盤
目カットを入れた後にテープ剥離による試験を行ない、
コーティング層の密着性を調べた。この結果を第7図に
示す。尚、第7図中剥離度は全コーティング層(γ−Al
2O3)面積に占める剥離面積の割合により表わす。第6
図に示されるように本実施例の試料Alめっきステンレス
鋼表面に形成されたα−Al2O3ウイスカーを介してγ−A
l2O3コーティング層が付着しており、該ウイスカーが該
コーティング層中に突出し強固な結合をなしている。こ
の為、第7図に示すように該コーティング層はAlめっき
ステンレス鋼と極めて高い密着性を有することが確認さ
れた。
実施例 2 Cr含有量を2.5〜25.8%の範囲で種々変化させたステ
ンレス鋼フォイル(板厚50μm)をめっき母材とした。
尚、Cr以外の鋼中成分(%)は C:0.200〜0.035、Si:0.047〜0.57 Mn:0.18〜0.36、P:0.005〜0.016 S:0.006〜0.018、Al:0.06〜0.20 Ti:0.14〜0.42 である。
該ステンレス鋼フォイルを第2表と同様の蒸着条件に
てAlめっきを施した後、1000℃、5時間のウイスカー処
理を行ない、第3表の条件にてγ−Al2O3をコーティン
グした。
上記試料についてウイスカー形態およびγ−Al2O3
密着性を夫々試験した。
上記ステンレス鋼フォイルに蒸着Alめっきを施した
後、大気中で1100℃、1時間加熱し30分空冷する加熱冷
却サイクルを1サイクルとし、これを100サイクル繰返
した後における酸化増量を測定し、これにより耐熱性を
評価した。
第4表にこれらの結果を纏めて示す。尚、評価基準は
次の通りである。
ウイスカー形態 ×:ウイスカー生成不均一 △:ウイスカー粗大 ○:ウイスカー生成均一かつ微細 テープ剥離試験によるγ−Al2O3の密着性 ×:剥離度 15%以上 △:剥離度 10〜15%未満 ○:剥離度 10%未満 耐熱性 ×:酸化増量 1mg/cm2以上 ○:酸化増量 1mg/cm2未満 本表から、Cr含有量2.5%以下の試料(No.1〜4)は
基体自体の耐熱性に問題のあることが判る。尚、Cr含有
量が25.8%のものは(No.13〜16)上記コーティング層
の密着性耐熱性及び基体の耐熱性の何れも触媒コンバー
タ用基体として満足すべき性質を具えているが、その程
度は、Cr含有量が4.5〜17.6%のものと同等であり、従
ってCr含有量は上記範囲内で十分であることが判る。
また、本表から、Alめっき膜を施すことにより、従来
のものより密着性の良いγ−Al2O3層が形成されること
が判る。後述する比較例1,2に示す試料の剥離度は何れ
も15%以上であるのに対し、本発明に係る試料の剥離度
は何れも15%未満であり、とくに、Alめっき層の膜厚が
1.5〜7.5μmのものの剥離度は全て10%未満であり、上
記コーティング層の密着性が大幅に向上している。
実施例 3 次の組成からなる板厚0.2mmのステンレス鋼板の片面
に12μm厚の蒸着Alめっきを施した。
C:0.010%、Si:0.35%、Mn:0.31%、 P:0.012%、S:0.014%、Cr:13.8%、 Ti:0.24%、残部がFe及び不可避的不純物 尚、蒸着条件は夫々次の通りである。
基板温度:200℃、真空度:約1×10-5 Torr 蒸着速度:20μm/min 上記条件下で作成した蒸着Alめっき鋼板を圧下率75%
で冷間圧延して、板厚50μm、めっき膜厚3μmのAlめ
っきステンレス鋼フォイルを形成した。更に該Alめっき
フォイルを大気中で900℃、10時間加熱してウイスカー
を生成させ、第3表に示す条件下で該ウイスカーの上に
γ−Al2O3をコーティングした。
上記製造工程により得られた基体は実施例2に示した
評価基準に照らし、ウイスカー形態、γ−Al2O3の密着
性、耐熱性を何れも満足するものであった。
実施例 4 第1表に示す成分のステンレス鋼フォイル(板厚50μ
m)を用い、常法により脱脂および酸洗などのめっき前
処理を施した後、乾燥して直ちに予め不活性雰囲気に保
持しておいためっき浴(浴温20℃)に浸漬してAl電気め
っきを施した。尚、該めっき浴は、塩化アルミニウム
(AlCl3)67モル%とアルキルピリジニウムハロゲン化
物(C5H5N−R−Cl、但し、Rはメチル基又はブチル
基)33モル%からなる溶融塩浴にベンゼンを60vol%に
なるように添加したものを用いた。めっきは、該ステン
レス鋼フォイルを陰極、Al板(純度99.99重量%)を陽
極として用い、電気密度3A/dm2の直流を約5分間通電し
て行ない、該ステンレス鋼フォイルの両面に約3μm厚
さのAlめっきを施した。
引続き、該Alめっきフォイルを大気中で10時間、900
℃に加熱し、ウイスカーを生成させ、更に、第3表に示
す条件下でγ−Al2O3をコーティングした。
上記電気めっきにより得られた本発明に係る該触媒コ
ンバータ用基体は蒸着Alめっきにより得られる本発明の
他の基体と同様に第4表に示す各種試験で良好な結果を
示した。
比較例1、2 次表に示す成分の高Al含有ステンレス鋼を用い、実施
例1と同様に大気中で900℃、10時間加熱しウイスカー
処理を施した。この結果を第8図(a),(b)に示
す。同図から明らかなようにAlめっき膜のない比較例
1、2は何れも実施例1と同様の大気中での加熱処理に
よっては上記ウイスカーを形成することが出来ない。
尚、比較例2の試料はCO2ガス中、900℃、10分の加熱に
よっても上記ウイスカーが形成されず、その後更に大気
中で975℃、16時間加熱することにより始めてウイスカ
ーが形成された。但し、比較例1の試料は上記何れの加
熱条件によってもウイスカーが形成されなかった。
更に比較例1、2について上記加熱処理後、γ−Al2O
3コーティングを施した。比較例1に係る試料の表面付
近の部分拡大写真を第9図に示す。又、これら試料につ
いて上記コーティング層の剥離試験を行なった。この結
果を第4表に示す。また比較例1の結果を第7図に示
す。第9図に示されるように該試料には上記ウイスカー
が形成されておらず、γ−Al2O3層とめっき層との境界
は平坦面である。この為、第7図に示されるように比較
例1のγ−Al2O3層は剥離し易く、密着性が劣る。同様
に比較例2にも第4表に示すように密着性が劣る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るメタリックフレームの製造工程の
一例を示すフローチャート、第2図(a),(b),
(c)はウイスカー処理ないし触媒コーティングに係る
フォイル表面の模式的な説明図、第3図(a),(b)
は実施例1におけるAl拡散状態を示すグラフ、第4図
(a)、(b)、(c)は実施例1の試料についてめっ
き層表面の金属組織を示す電子顕微鏡写真、第5図は同
試料のX線回析チャート、第6図は同試料の表面部分断
面の金属組織を示す電子顕微鏡写真、第7図は剥離試験
の結果を示すグラフ、第8図(a),(b)は比較例の
試料について表面の鋸組織を示す電子顕微鏡写真、第9
図は同試料の表面部分断面の鋸組織を示す電子顕微鏡写
真である。 図面中、10……ステンレス鋼フォイル、 11……α−AlOウイスカー、 12……γ−AlO、 13は金属触媒である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広瀬 祐輔 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社阪神研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−568(JP,A) 特開 昭62−95142(JP,A) 特開 昭49−99985(JP,A) 特開 昭52−4491(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステンレス鋼フォイルをフレームとし、該
    フレームの少なくとも片面に触媒を担持するためのアル
    ミナが被覆されている触媒コンバータ用基体であって、
    上記ステンレス鋼がCr:3〜25重量%(以下%)、C:0.08
    %以下、Ti:0.05〜0.5%、Al:1%未満、Mn:0.8%以下、
    Si:0.8%以下、残部が鉄および不可避的不純物からなる
    Ti含有ステンレス鋼であり、該ステンレス鋼表面に蒸着
    めっき又は電気めっきによりAlめっきを施し、該蒸着め
    っきと同時の加熱処理により,または該蒸着めっきもし
    くは該電気めっき後の加熱処理によりAlめっき層にα−
    Al2O3ウイスカーを生成させた後にγ−Al2O3をコーティ
    ングして上記アルミナ担持体を形成したことを特徴とす
    る触媒コンバータ用基体。
  2. 【請求項2】上記ステンレス鋼のフォイルを用い、該フ
    ォイル表面にAl蒸着めっき又はAl電気めっきを施した後
    にコルゲート加工し、加熱処理して上記ウイスカーを生
    成させた特許請求の範囲第1項の基体。
  3. 【請求項3】上記ステンレス鋼フォイルの板厚が25〜90
    μmである特許請求の範囲第1項の基体。
  4. 【請求項4】上記ステンレス鋼の鋼板を用い、該鋼板に
    Al蒸着めっきまたはAl電気めっきを施した後に、該鋼板
    を圧延してフォイルとし、コルゲート加工後、加熱処理
    して上記ウイスカーを生成させた特許請求の範囲第1項
    の基体。
  5. 【請求項5】上記ステンレス鋼フォイルに施されるめっ
    き層の膜厚および上記ステンレス鋼板にAl蒸着めっき又
    はAl電気めっきを施して圧延しフォイルにした後のめっ
    き層の膜厚が0.5〜8.0μmである特許請求の範囲第2項
    または第4項の基体。
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