JPH0817073A - 光ディスク及びその製造方法 - Google Patents

光ディスク及びその製造方法

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JPH0817073A
JPH0817073A JP6146659A JP14665994A JPH0817073A JP H0817073 A JPH0817073 A JP H0817073A JP 6146659 A JP6146659 A JP 6146659A JP 14665994 A JP14665994 A JP 14665994A JP H0817073 A JPH0817073 A JP H0817073A
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adhesive
substrates
optical disc
adhesive layer
film
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Application number
JP6146659A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Miwa
広明 三輪
Ryoichi Sudo
亮一 須藤
Tetsuo Tajima
哲夫 田嶋
Toshiaki Yasui
俊明 泰井
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Hitachi Ltd
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】接着層による、製造時、使用時、および保管時
の、光ディスクの不良を低減する。 【構成】記録膜2および透明基板1からなる2枚の基板
3と接着層4とを有する光ディスクにおいて、接着層4
は、紫外線硬化型一官能アクリル樹脂(95〜75%)
と、紫外線硬化型エポキシ樹脂(5〜25%)とを含有
する。2枚の基板3に接着剤を塗布して接着層を形成す
る接着剤塗布工程と、該接着層が内側になるように上記
2枚の透明基板を対向させて加圧し接着する接着工程と
を有する光ディスク製造方法において、上記接着剤は、
紫外線硬化型一官能アクリル接着剤と、紫外線硬化型エ
ポキシ接着剤とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、音声、画像、情報など
の記録、再生をするのに好適な光ディスク及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクは、サーボトラック用などの
溝状又は穴状の凹凸を有するガラス、透明プラスチック
などの透明レプリカ基板上に記録用金属膜形成し、該透
明レプリカ基板を、該記録用金属膜が内側になるよう
に、一定間隙で対向させ、接着剤を用いて貼り合せるこ
とにより形成されている。
【0003】従来の光ディスクの製造方法では、ホット
メルト系接着剤や、化学反応型接着剤が、透明レプリカ
基板の接着に用いられている。ホットメルト系接着剤
は、製造作業性の簡素化、低コスト化などの点で優れて
おり、特開昭63−67238号公報では、熱可塑性の
ホットメルト系接着剤が用いられている。
【0004】また、化学反応型接着剤は、ディスクの変
形を抑える効果があり、1液性嫌気性硬化型接着剤(特
開昭61−151853号公報に記載されている)、2
液性非混合型接着剤(特開昭61−50231公報に記
載されている)、および、1液性湿気硬化型粘着接着剤
(高分子42巻2月号(1993)111pに記載され
ている)が使用されていた。
【0005】近年、光ディスクについて、記録する情報
量の増大や処理速度の高速化などの要求が近年急速に高
まりつつある。これらの要求を満足するためには、記憶
容量を増大し、かつ高速でディスクを回転する必要があ
る。
【0006】なお、2種類の接着剤を混合して使用する
技術としては、特開昭59−68849号公報、特開平
2−3117号公報、特開平1−173340号公報、
特開平2−223037号公報、特開平2−22303
8号公報、および、特開平3−219476号公報があ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の接着剤
は、次のような問題点を有していた。熱可塑性のホット
メルト系接着剤は、接着剤塗布時の熱や貼り合せ時の圧
力による欠陥、又は高速回転時の塑性、弾性変形、保管
時の経時的変化による変形や剥がれが生じてしまう。
【0008】また、1液性嫌気性硬化型接着剤は、その
硬化時間が秒単位と短く、かつ、常圧下で貼り合わせ硬
化させる。このため、気泡が混入し易く、また、混入し
た気泡が抜けにくく、気泡を混入したまま硬化してしま
うことになる。さらに、硬化して得られる硬化物が固い
ため、気泡を十分に吸収緩和できず、ディスクの平坦性
不良が発生したり、気泡部分の未硬化物が記録層を腐食
させるなどの欠陥をもたらす。
【0009】2液性非混合型接着剤を用いる場合、2液
を別々に数十μmの膜厚で順次塗布し、圧力をかけるこ
とにより、基板を貼り合わせる。このような接着方法を
採る場合、貼り合わせ時の圧力により硬化むらが生じる
こととなる。これは、上記接着剤の塗膜が液状で厚膜な
のために、接合界面に接着剤の流れが生じ、2液の混合
が不均一になることが原因である。このような硬化むら
は、記録層にシワを発生させ、記録再生不良の原因にな
る。
【0010】1液性湿気硬化型接着剤は、周囲の湿気に
より反応が開始され、接着剤表面を粘着性にするもので
ある。該接着剤を用いる場合、該接着剤を基板に塗布
後、粘着性が失われる前に貼り合わせる。1液性湿気硬
化型接着剤は、周囲の湿気で反応させるものであるた
め、硬化の制御が困難で作業性が悪い。さらに、貼り合
わせ後の接着剤の硬化速度が極めて遅いため、ディスク
の変形の原因となる。
【0011】以上のように、熱可塑性のホットメルト系
接着剤を用いる場合は、光ディスクの製造時に欠陥が生
じてしまうことがある。さらに、光ディスクの使用時
に、高速アクセスおよび高速回転による変形が生じてし
まうことがある。また、光ディスクの保管時に、経時変
化による変形や剥がれが生じてしまうことがある。ま
た、1液性嫌気性硬化型接着剤、2液性非混合型接着
剤、または、1液性湿気硬化型接着剤を用いる場合は、
使用時、保管時は問題とならないが、光ディスクの製造
時に不良が発生するという問題点がある。
【0012】そこで、本発明は、光ディスクの製造時の
欠陥と、光ディスクの使用時の高速アクセスおよび高速
回転による変形と、光ディスクの保管時の経時変化によ
る変形および剥がれとを低減した、光ディスクおよびそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、一対の対向する基板と、接着層とを有
し、該基板の少なくとも一方は記録膜を有し、上記接着
層は、上記一対の対向する基板の間隙に配置される光デ
ィスクにおいて、上記接着層は、紫外線硬化型一官能ア
クリル樹脂と、紫外線硬化型エポキシ樹脂とを含有する
ことを特徴とする光ディスクを提供する。なお、前記接
着層は、前記紫外線硬化型一官能アクリル樹脂と、前記
紫外線硬化型エポキシ樹脂との配合量を合わせて100
%とするとき、紫外線硬化型一官能アクリル樹脂の配合
量は95〜75%であり、紫外線硬化型エポキシ樹脂の
配合量は5〜25%であることが望ましい。
【0014】また、本発明では、少なくとも一方に記録
層を形成した2枚の透明基板に、接着剤を塗布して接着
層を形成する接着剤塗布工程と、該接着層が内側になる
ように上記2枚の透明基板を対向させて加圧し接着する
接着工程とを有する光ディスク製造方法において、上記
接着剤は、紫外線硬化型一官能アクリル接着剤と、紫外
線硬化型エポキシ接着剤とを含有することを特徴とする
光ディスク製造方法を提供する。前記接着剤は、前記紫
外線硬化型アクリル接着剤と、前記紫外線硬化型エポキ
シ接着剤との配合量を合わせて100%とするとき、紫
外線硬化型一官能アクリル接着剤の配合量は95〜75
%であり、紫外線硬化型エポキシ接着剤の配合量は5〜
25%である。前記接着剤塗布工程と、前記接着工程と
の間に、前記接着層に紫外線を照射する紫外線照射工程
を行うことが望ましい。さらに、前記接着工程は、減圧
雰囲気で行うことが望ましい。
【0015】
【作用】本発明によれば、光ディスクを作製する際、基
板の接着に、紫外線硬化型一官能アクリル接着剤(95
〜75%)と紫外線硬化型エポキシ接着剤(5〜25
%)との混合物を用いる。このようにすれば、基板を接
着する接着層が、2段階以上で硬化するようにでき、さ
らに、接着前にあらかじめ紫外線を照射することによ
り、該接着剤からなる接着層に粘着性を与えることがで
きる。
【0016】接着剤は、接着前に粘着性を有することが
望ましい。これは、接着層が、貼りあわせる際の加圧に
より、不均一になるのを避けるためである。接着層が不
均一になると、平坦性が失われたり、記録層に欠陥が生
じたりする。また、接着剤の粘着性は、すばやく発現す
る必要がある。1液性湿気硬化型接着剤のように、粘着
性が発現するまでに時間がかかると、その間に、異物が
接着層に混入してしまうからである。そこで、本発明で
は、上記の配合を有する混合物である接着剤を用いる。
該混合物の硬化に当たっては、紫外線硬化型一官能アク
リル接着剤が、まず硬化しする。この際、接着層は、該
硬化物と、まだ硬化していない硬化速度の遅い接着剤が
混在している状態となる。該硬化物は、軟性を有してい
るので、軟性を有する硬化物と液体であるエポキシ接着
剤の混在している接着層には、粘着性が発現されること
になる。粘着性の発現は、硬化速度の速い接着剤の硬化
に依存するため、紫外線照射後、すばやく起こる。
【0017】一方、硬化速度の速い接着剤のみで接着す
る場合は、接着層が、気泡が混入したまま硬化してしま
う。光ディスクの平坦性を確保するためには、接着剤
は、混入した気泡が抜けるための時間的余裕を持って、
ゆっくりと硬化することが望ましい。本発明では、接着
剤に硬化速度の遅いエポキシ接着剤を含んでおり、接着
層が完全に硬化する前に、混入した気泡を放出すること
ができる。
【0018】なお、接着剤の塗布むらは、1μm以下に
することが望ましい。このようにすれば、貼り合わせた
際の接着剤の不均一な流動をさらに無くし硬化むらによ
る凹凸発生を防止できる。
【0019】また、貼り合わせ工程を減圧雰囲気にする
ことが望ましい。これは、接着層への気泡混入と、未硬
化物の発生を防止し、さらに、一旦混入した気泡の放出
を促進するためである。大気圧雰囲気では、混入した気
泡により記録膜に凹凸を生じさせ、また気泡中の酸素に
より硬化反応の際に生じるラジカルと酸素とが反応し、
均一に硬化せず、未硬化物が発生するという悪影響を及
ぼす。
【0020】次に、本発明の光ディスクに用いた化学反
応型接着剤について詳細に説明する。化学反応型接着剤
は接着する対象物と接着剤とが化学反応により結合する
ものであり、熱可塑性のホットメルト系接着剤に比較
し、接着力、耐熱性、機械的強度の面で優れ、光ディス
クの接着剤に用いた場合、接着力が優れているため信頼
性が高く、耐熱性が優れているため様々な環境に適し、
機械的強度が優れているため高速回転にも耐えうる光デ
ィスクを得ることができる。なお、上記化学反応型接着
剤として、紫外線硬化型一官能アクリル接着剤と紫外線
硬化型エポキシ接着剤の混合物を用いる。
【0021】紫外線硬化型一官能アクリル接着剤は、接
着面の材質により硬化速度が変化せず、一般に硬化速度
が速いため、本発明の接着剤に適用することに適してい
る。具体的には、単品での硬化時間が10〜60秒で硬
化する特性を有していれば透明基板の一対の位置合わせ
が可能でかつ作業性がよい。本発明では、単品での硬化
速度が早く、紫外線硬化型エポキシ接着剤と混合させて
もその硬化速度が変化せず、硬化後に軟性を有するもの
を用いることが望ましい。該軟性により、混合接着剤の
粘着性が発現するからである。
【0022】上記紫外線硬化型一官能アクリル接着剤の
構成は、1官能アクリロイル基含有単量体、1官能メタ
クリロイル基含有単量体、またはこれらの単量体のオリ
ゴマを主剤とし、硬化剤、促進剤、保存安定剤などを好
適に配合する。なお、本発明では、上記主剤として、上
記単量体やオリゴマを、1種類用いてもよいし、2種類
以上を混合して用いてもよい。上記単量体を例示する
と、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチル
メタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルア
クリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラ
フルフリルアクリレート、テトラフルフリルメタクリレ
ート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメ
タクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタク
リレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレー
ト、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、
ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、
イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレー
ト、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチル
メタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールア
クリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタク
リレートなどがある。
【0023】また、上記硬化剤について例示すると、ベ
ンジル、メチル−o−ベンゾエートなどのベンジル類、
ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイ
ソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルな
どのベンゾイン類、ベンゾフェノン、4−メトキシベン
ゾフェノンなどのベンゾフェノン類、アセトフェノン、
2,2−ジエトキシアセトフェノンなどのアセトフェノ
ン類、ベンジルメチルケタール、4−(イソプロピルフ
ェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパノール−
1−オンなどがあり、これらを単独もしくは2種以上混
合して用いる。
【0024】上記安定剤には、ベンゾキノン、ハイドロ
キノンなどがある。さらに、増粘剤、可塑剤等を適量添
加することも可能である。
【0025】紫外線硬化型エポキシ接着剤は、接着面の
材質により硬化速度が変化せず、一般に硬化速度が遅い
ため、本発明の接着剤に適用することに適している。本
発明には、紫外線硬化型一官能アクリル接着剤と混合さ
せてもその硬化速度が変化しないものを用いることが望
ましい。なお、硬化速度が1〜3分で硬化する特性を有
していれば透明基板の一対の位置合わせが可能でかつ作
業性がよい。また、紫外線硬化型一官能アクリル接着剤
と均一に混ざるものを用いることが望ましい。
【0026】上記紫外線硬化型エポキシ接着剤の構成
は、2官能グリシジル基含有単量体またはそのオリゴマ
を主剤とし、硬化剤、促進剤、保存安定剤などを好適に
配合する。ここで、2官能グリシジル基含有単量体と
は、脂環型エポキシ、ビスフェノールA型エポキシ、ビ
スフェノールF型エポキシ、ノボラック型エポキシ、水
素添加ビスフェノールA型エポキシ、エポキシ化ポリブ
タジエン又はブタジエンコポリマ、などがある。
【0027】また、上記硬化剤について例示すると、ジ
アリルヨードニウム塩、テトラフルオロホウ酸ジフェニ
ルヨードニウム、トリアリルスルホニウム塩、ヘキサフ
ルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、トリア
リルセレニウム塩などがある。
【0028】
【実施例】以下に、本発明の実施例を、図面を用いて説
明する。図1に本発明の光ディスクの模式図を示す。な
お、光ディスクは、中央に孔34の開いた円盤型をして
いる場、内部構造を見やすくするため、一部破断、一部
断面図として示した。また、この図1のAB間の断面図
を図2に示す。以下の各実施例の光ディスクは、一対の
対向する基板3と、接着層4とを有する。該接着層4
は、上記一対の対向する基板3の間隙に配置され、2段
階硬化型接着剤の硬化物からなる。上記基板3は、透明
レプリカ基板1と、記録用金属膜(記録膜)2とを有
し、記録膜2が内側になるように、対向している。な
お、以下の各実施例では、2枚の、同じように凹凸と記
録膜とを有する基板3を貼りあわせて、両面に情報を記
録できる光ディスクを作製しているが、一方の基板は、
凹凸や記録膜2を有さなくてもよい。この場合、片面に
のみ情報を記録できる。
【0029】透明レプリカ基板1は、記録再生のための
レーザが透過する媒体である。このため、光学的に等方
性で、光学特性の目安となる光学歪が50nm以下の特
性を有している必要がある。特に種類は限定されない
が、例示すると、ガラス基板、ポリメチルメタクリレ−
ト基板、ポリカ−ボネ−ト基板、ポリオレフィン基板、
熱又は光硬化樹脂基板などがある。
【0030】記録膜2は、0.6〜1μm程度の光スポ
ット径に対応し、相変化や光磁気等のように記録膜の形
状が変化しない、記録ドメインを形成し、C/N比が6
0dB以上の特性が得られるものであればよく、特に種
類は限定されない。例示すると、テルル酸化膜(TeO
x)、SbSe/BiTe積層膜、希土類−遷移金属ア
モルファス合金、TbFeCo系酸化膜、GdTbFe
系酸化膜、DyFeCo系酸化膜、TbDyFeCo系
酸化膜、ガ−ネット系酸化膜、Pt/Co積層材料、G
eSbTe、InSeTeCo、InSbTe、In−
Sb系合金などがある。
【0031】以下の各実施例では、2段階硬化型接着剤
(硬化速度の異なる2種類の接着剤の混合物)を用いて
上記接着層4を形成しているが、3段階以上で硬化する
接着剤(硬化速度の異なる3種類以上の接着剤の混合
物)を用いてもよい。
【0032】以下の各実施例では、2段階硬化型接着剤
として、アクリル接着剤とエポキシ接着剤との混合物を
用いた。アクリル接着剤としては、フェノキシエチルメ
タクリレート(PO−A)またはラルリルアクリレート
(L−A)をベースモノマとし、ヒドロキシブチルメタ
クリレート(HOB)を希釈剤とした、2成分から成る
アクリル接着剤を用いた。エポキシ接着剤としては、ビ
スフェノールA型の油化シェル(株)製Ep−828
(分子量約380)または油化シェル(株)製Ep−1
007(分子量約2900)を用いた。実施例1〜8に
おける、各接着剤の混合比とその特性とを、(表1)に
示す。(表1)に記載されている混合比の単位は、すべ
て重量%である。
【0033】
【表1】
【0034】上記のアクリル接着剤は、いずれも、紫外
線を照射すると数秒で硬化し、硬化後も軟性を有する。
また、上記エポキシ接着剤は、いずれも、紫外線を照射
すると30秒〜1分で硬化し、硬化後は、上記アクリル
接着剤の硬化物よりも固くなる。ゆえに、上記アクリル
接着剤と上記エポキシ接着剤との混合物は、接着前にあ
らかじめ紫外線を照射しておけば、数秒で軟性を有する
上記アクリル接着剤の部分が硬化し、上記エポキシ接着
剤が硬化を開始する前に、粘着性を発現することにな
る。この粘着性のため、貼り合わせる際に接着剤の流れ
が生じて接着層が不均一になることが回避される。ま
た、上記エポキシ接着剤がゆっくりと硬化するために、
気泡が接着層に混入したまま硬化することが回避され
る。
【0035】なお、それぞれの接着剤の硬化剤は、次に
挙げる重合開始剤を用いた。アクリル接着剤に対して
は、アクリル接着剤の配合量の5重量%のラジカル反応
型光重合開始剤(チバガイギー社製Darocur11
73)を添加した。また、エポキシ接着剤に対しては、
エポキシ接着剤の配合量の5重量%のイオン重合型光重
合開始剤(アデカ社製SP−150)を添加した。
【0036】以下に記載した各実施例では、光ディスク
を製造するためにスタンパを使用している。なお、スタ
ンパは、情報パタ−ンに相当する凹凸形状が形成され、
この凹凸表面が、離型性に優れる複写の型であれば特に
種類は限定しない。例えば、電鋳スタンパ、樹脂スタン
パ、ガラススタンパ等のいずれを用いてもよい。各実施
例で使用したスタンパは、図3に示す(a)〜(f)の
製造方法に従って作成した。
【0037】まず、両面が研磨されたガラス円盤17
(外径:350mm、内径:10mm、厚さ:10m
m)を用意する(a)。つぎに、ガラス円盤17の一方
の面にポジ型フォトレジストをスピン塗布し、0.14
μmの膜厚を有するフォトレジスト膜16を形成する
(b)。ついで、記録機により、該フォトレジスト膜1
6にArレーザ(波長:458nm)を用いて情報信号
を書き込み、フォトレジスト膜を現像して、情報信号を
表すグルーブやピットの凹凸を形成する(c)。なお、
本実施例で作製される光ディスクにおいては、上記凹凸
は、番地など、記録膜に記録された情報を読み取るため
の補助情報を表している。以上のようにして凹凸の形成
されたフォトレジスト膜16に、真空蒸着法により40
nmの膜厚を有するNi膜5を形成する(d)。さら
に、Ni膜5を電極として、電解メッキ法により300
μmの膜厚を有するNi電鋳膜6を形成し(e)、ガラ
ス円盤17とNi膜5との間を剥離して、Ni製スタン
パ7を作製した(f)。
【0038】(実施例1、2)接着剤として、表1の実
施例1、2の欄に記載した配合を有する接着剤を用い、
つぎのようにして光ディスクを製造した。製造方法を、
図4に示す。本実施例では、ポリカーボネート樹脂製の
レプリカ基板1を調製し、記録膜2として、SiNエン
ハンス膜12、TbFeCo磁性膜13、AlN反射膜
14、および、SiN保護膜15の4層の膜をレプリカ
基板1上に形成し、上記接着剤を用いて接着して、光デ
ィスクを得た。
【0039】まず、Ni製スタンパ7を用意する
(a)。スタンパ7を、注入孔を有する成形型8に取付
け、成形型8内の間隙9にポリカーボネート樹脂10
(分子量:約15000)を加熱溶融させて注入する
(b)。なお、上記間隙9は、外径が300mm、厚さ
が1.2mmの円盤型をしており、中心に35mmの内
径の中心孔を有する(すなわち、成形型8は、中心部に
外形35mmの円柱形の突起部(図示せず)を有し、こ
の部分には、間隙がない。)。つぎに、ポリカーボネー
ト樹脂を冷却硬化させ、スタンパ7と成形型8とを外せ
ば、スタンパ7のグルーブやピットの凹凸が転写され
た、ポリカーボネート樹脂製のレプリカ基板1(外径:
300mm、中心孔径:35mm、厚さ:1.2mm)
を得ることができる(c)。
【0040】ついで、得られたレプリカ基板1の凹凸が
転写された面(情報パターン面)に、SiNエンハンス
膜12(厚さ:30nm)、TbFeCo磁性膜13
(厚さ:30nm)、AlN反射膜14(厚さ:30n
m)、SiN保護膜15(厚さ:30nm)をスパッタ
法により順次成膜して、記録膜2とし、基板3を得た
(d)。
【0041】以上のようにして作製した基板3の記録膜
2上に、表1の実施例1、2の欄に記載した配合を有す
る反応型接着剤をスピンコート法により塗布し、50μ
mの厚さを有する接着層4を形成した(e)。さらに、
以上の工程を繰返し、接着層4を塗布した基板3をもう
1枚作製した。
【0042】つぎに、紫外線照射装置20により、2枚
の基板3上の接着層4に、それぞれ10秒間、100m
W/cm2の強さで紫外線照射した(f)。これによ
り、接着剤表面の粘着性が発現される。上記の紫外線照
射した2枚の基板3を、、密閉容器21内に、接着層4
を内側にして、基板3間の間隙35が5mmになるよう
に対向させ、該密閉容器21内を、脱酸素雰囲気を得る
ために20mTorrに減圧18する(g)。
【0043】その後、2枚の基板3の接着層4を接触さ
せ、5秒間、0.4kg/cm2の圧力をかけて貼り合
せた(h)。最後に、容器21内より取り出し、2枚の
基板3と接着層2とを有する光ディスクを得た(i)。
【0044】(実施例3、4)本実施例では、接着剤と
して、表1の実施例3、4の欄に記載した配合を有する
接着剤を用い、つぎのようにして光ディスクを製造し
た。製造方法を、図5に示す。本実施例では、紫外線硬
化樹脂とプラスチック板とからなるレプリカ基板1を調
製し、記録膜2として、GeSbTe記録膜25、Sb
Bi反射膜26、および、SiN保護膜15の3層の膜
をレプリカ基板1上に形成し、上記接着剤を用いて接着
して、光ディスクを得た。
【0045】まず、Ni製スタンパ7を用意する
(a)。該スタンパ7凹凸面に、紫外線硬化性樹脂22
(粘度:200cp)を滴下し、透明で平板なプラスチ
ック板23(外形:300mm、内径:35mm、厚
さ:1.1mm)で、紫外線硬化性樹脂22の膜厚が8
0μmになるように押し広げる。つぎに、紫外線照射装
置20により、プラスチック板23側より、30秒、1
00mW/cm2の強さの紫外線を照射し、前記紫外線
硬化性樹脂22を硬化させる(b)。スタンパ7と紫外
線硬化性樹脂22との間を剥離させれば、スタンパ7の
グルーブやピットの凹凸が転写されたレプリカ基板1が
得られる(c)。
【0046】上記レプリカ基板1の情報パターン面に、
GeSbTe記録膜25(厚さ:30nm)、SbBi
反射膜26(厚さ:20nm)、SiN保護膜15(厚
さ:30nm)を、スパッタ法により順次成膜し、レプ
リカ基板1上に記録膜28が形成された基板3を作製し
た(d)。
【0047】以上のようにして作製した基板3の記録膜
2上に、表1の実施例3、4の欄に記載した配合を有す
る反応型接着剤をスピンコート法により塗布し、50μ
mの厚さを有する接着層4を形成した(e)。さらに、
以上の工程を繰返し、接着層4を塗布した基板3をもう
1枚作製した。
【0048】つぎに、紫外線照射装置20により、2枚
の基板3上の接着層4に、それぞれ10秒間、100m
W/cm2の強さで紫外線照射した(f)。これによ
り、接着剤表面の粘着性が発現される。上記の紫外線照
射した2枚の基板3を、、密閉容器21内に、接着層4
を内側にして、基板間3の間隙35が5mmになるよう
に対向させ、該密閉容器21内を、脱酸素雰囲気を得る
ために20mTorrに減圧18する(g)。
【0049】その後、2枚の基板3の接着層4を接触さ
せ、5秒間、0.4kg/cm2の圧力をかけて貼り合
せた(h)。最後に、容器21内より取り出し、2枚の
基板3と接着層2とを有する光ディスクを得た(i)。
【0050】(実施例5、6)接着剤として、表1の実
施例5、6の欄に記載した配合を有する接着剤を用い、
つぎのようにして光ディスクを製造した。製造方法を、
図4に示す。本実施例では、ポリカーボネート樹脂製の
レプリカ基板1を調製し、記録膜2として、GeSbT
e記録膜25、SbBi反射膜26、および、SiN保
護膜15の3層の膜をレプリカ基板1上に形成し、上記
接着剤を用いて接着して、光ディスクを得た。
【0051】まず、Ni製スタンパ7を用意する
(a)。スタンパ7を、注入孔を有する成形型8に取付
け、成形型8内の間隙9にポリカーボネート樹脂10
(分子量:約15000)を加熱溶融させて注入する
(b)。なお、上記間隙9は、外径が300mm、厚さ
が1.2mmの円盤型をしており、中心に35mmの内
径の中心孔を有する(すなわち、成形型8は、中心部に
外形35mmの円柱形の突起部(図示せず)を有し、こ
の部分には、間隙がない。)。つぎに、ポリカーボネー
ト樹脂を冷却硬化させ、スタンパ7と成形型8とを外せ
ば、スタンパ7のグルーブやピットの凹凸が転写され
た、ポリカーボネート樹脂製のレプリカ基板1(外径:
300mm、中心孔径:35mm、厚さ:1.2mm)
を得ることができる(c)。
【0052】上記レプリカ基板1の情報パターン面に、
GeSbTe記録膜25(厚さ:30nm)、SbBi
反射膜26(厚さ:20nm)、SiN保護膜15(厚
さ:30nm)を、スパッタ法により順次成膜し、レプ
リカ基板1上に記録膜28が形成された基板3を作製し
た(d)。
【0053】以上のようにして作製した基板3の記録膜
2上に、表1の実施例7〜9の欄に記載した配合を有す
る反応型接着剤をスピンコート法により塗布し、50μ
mの厚さを有する接着層4を形成した(e)。さらに、
以上の工程を繰返し、接着層4を塗布した基板3をもう
1枚作製した。
【0054】つぎに、紫外線照射装置20により、2枚
の基板3上の接着層4に、それぞれ10秒間、100m
W/cm2の強さで紫外線照射した(f)。これによ
り、接着剤表面の粘着性が発現される。上記の紫外線照
射した2枚の基板3を、、密閉容器21内に、接着層4
を内側にして、基板3間の間隙35が5mmになるよう
に対向させ、該密閉容器21内を、脱酸素雰囲気を得る
ために20mTorrに減圧18する(g)。
【0055】その後、2枚の基板3の接着層4を接触さ
せ、5秒間、0.4kg/cm2の圧力をかけて貼り合
せた(h)。最後に、容器21内より取り出し、2枚の
基板3と接着層2とを有する光ディスクを得た(i)。
【0056】(実施例7、8)本実施例では、接着剤と
して、表1の実施例7、8の欄に記載した配合を有する
接着剤を用い、つぎのようにして光ディスクを製造し
た。製造方法を、図5に示す。本実施例では、紫外線硬
化樹脂とプラスチック板とからなるレプリカ基板1を調
製し、記録膜2として、SiNエンハンス膜12、Tb
FeCo磁性膜13、AlN反射膜14、および、Si
N保護膜15の4層の膜をレプリカ基板1上に形成し、
上記接着剤を用いて接着して、光ディスクを得た。
【0057】まず、Ni製スタンパ7を用意する
(a)。該スタンパ7凹凸面に、紫外線硬化性樹脂22
(粘度:200cp)を滴下し、透明で平板なプラスチ
ック板23(外形:300mm、内径:35mm、厚
さ:1.1mm)で、紫外線硬化性樹脂22の膜厚が8
0μmになるように押し広げる。つぎに、紫外線照射装
置20により、プラスチック板23側より、30秒、1
00mW/cm2の強さの紫外線を照射し、前記紫外線
硬化性樹脂22を硬化させる(b)。スタンパ7と紫外
線硬化性樹脂22との間を剥離させれば、スタンパ7の
グルーブやピットの凹凸が転写されたレプリカ基板1が
得られる(c)。
【0058】ついで、得られたレプリカ基板1の情報パ
ターン面に、SiNエンハンス膜12(厚さ:30n
m)、TbFeCo磁性膜13(厚さ:30nm)、A
lN反射膜14(厚さ:30nm)、SiN保護膜15
(厚さ:30nm)をスパッタ法により順次成膜して、
記録膜2とし、基板3を得た(d)。
【0059】以上のようにして作製した基板3の記録膜
2上に、表1の実施例1、2の欄に記載した配合を有す
る反応型接着剤をスピンコート法により塗布し、50μ
mの厚さを有する接着層4を形成した(e)。さらに、
以上の工程を繰返し、接着層4を塗布した基板3をもう
1枚作製した。
【0060】つぎに、紫外線照射装置20により、2枚
の基板3上の接着層4に、それぞれ10秒間、100m
W/cm2の強さで紫外線照射した(f)。これによ
り、接着剤表面の粘着性が発現される。上記の紫外線照
射した2枚の基板3を、、密閉容器21内に、接着層4
を内側にして、基板3間の間隙35が5mmになるよう
に対向させ、該密閉容器21内を、脱酸素雰囲気を得る
ために20mTorrに減圧18する(g)。
【0061】その後、2枚の基板3の接着層4を接触さ
せ、5秒間、0.4kg/cm2の圧力をかけて貼り合
せた(h)。最後に、容器21内より取り出し、2枚の
基板3と接着層2とを有する光ディスクを得た(i)。
【0062】次に、上記各実施例との比較のため、1段
階で硬化する接着剤、および、エポキシ接着剤の配合比
を高くした接着剤を用いて、光ディスクを作製した。比
較例1〜5における、各接着剤の混合比とその特性と
を、下記の(表2)に示す。(表2)に記載されている
混合比の単位は、すべて重量%である。なお、比較例1
〜5においても、実施例1〜8と同様に、硬化剤を用い
た。
【0063】
【表2】
【0064】(比較例1)本比較例では、表2の比較例
1の欄に記載された配合を有する接着剤を用いて、実施
例1と同様の製造方法により、光ディスクを作成した。
【0065】(比較例2)本比較例では、表2の比較例
2の欄に記載された配合を有する接着剤を用いて、実施
例3と同様の製造方法により、光ディスクを作成した。
【0066】(比較例3、4)本比較例では、表2の比
較例3、4の欄に記載された配合を有する接着剤をそれ
ぞれ用いて、実施例5と同様の製造方法により、光ディ
スクを作成した。
【0067】(比較例2)本比較例では、表2の比較例
5の欄に記載された配合を有する接着剤を用いて、実施
例3と同様の製造方法により、光ディスクを作成した。
【0068】さらに、化学反応型接着剤を用いた実施例
1〜11と比較するため、他の型の接着剤を用いて、光
ディスクを作製した。なお、比較例6〜9では、光ディ
スクは、実施例1、2と同様の方法(図4(a)〜
(d)に図示)により作製された、記録膜2の形成され
た基板3(図4(d)に図示)を2枚用意し、接着剤を
用いて、該2枚の基板を貼り合わせることにより作製し
た。比較例6〜9の各比較例で用いた接着剤と、その特
性とを、表3に示す。なお、特性の欄を除いて、単位は
すべて重量%である。
【0069】
【表3】
【0070】(比較例6)本比較例では、上記2枚の基
板3の記録膜2上に、ホットメルトコータによりホット
メルト接着剤を膜厚30μmになるように塗布し、接着
剤塗布面を向い合わせにして、2kg/cm2の荷重で
貼り合わせ、光ディスクを作製した。
【0071】(比較例7)本比較例では、上記2枚の基
板3のうち、一方の基板3の記録膜2上に、1液性嫌気
硬化型接着剤をスピン塗布し、2枚の基板3を記録膜2
が対向するように向き合わせて、20mTorrの減圧
下で貼り合わせ、光ディスクを作製した。
【0072】(比較例8)本比較例では、A剤とB剤の
2剤からなる2液非混合接着剤を用いて、上記2枚の基
板3を貼り合わせた。上記2枚の基板3のうち、一方の
基板3の記録膜2上にA剤を、もう一方の基板3の記録
膜2上にB剤を、それぞれスピン塗布し、該2枚の基板
3を、20mTorrの減圧下で貼り合わせ、光ディス
クを作製した。
【0073】(比較例9)本比較例では、まず、上記2
枚の基板3の記録膜2上に、1液性湿気硬化接着剤をそ
れぞれスピン塗布し、300秒放置して、粘着性を発現
させた。接着層表面が粘着性になってから、粘着性が失
われる前に、接着剤塗布面を向い合わせにして貼り合わ
せ、光ディスクを作製した。
【0074】(各実施例の効果)以上、種々の接着剤を
用いて貼り合わせた実施例1〜8および比較例1〜12
の光ディスクについて、貼り合わせ後の凹凸欠陥の発生
状況と対応する上下振れ加速度、ディスクの変形状態と
対応する傾き角、80℃/1h放置後の基板ずれ量、お
よび、貼り合わせ直後(製造時)と加熱処理後の(使
用、保管時)のディスク表面の凹凸欠陥や反り等の不良
の有無(目視観察)ついて検討した。実施例1〜8につ
いての測定結果を(表4)に示し、比較例1〜9につい
ての測定結果を(表5)に示す。
【0075】なお、これらの特性の測定は、次のように
して行った。機械特性(上下振れ加速度および傾き角)
は、光ディス機械特性測定装置(レーザ波長:780n
m、測定回転数:2400rpm、測定位置:φ290
mm)により測定した。ずれ量は、ディスク片(膜厚:
30μm、接着面積:6cm2)に500gの剪断荷重
を加えたときの変位量を測定した。目視観察による不良
の有無は、被照射物に光を当てその反射光を拡大投影す
る装置(シャドウグラフ)により判別した。例えば、光
ディスクの表面に凹凸や反りが生じている場合、投影物
に光の明暗や投影の大きさが異なって拡大投影される。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】実施例1〜8では、貼り合わせる前にあら
かじめ行われる紫外線照射で、基板に塗布した接着剤に
粘着性が発現する。このため、接着層が均一になり、凹
凸欠陥の発生が非常に少ない。ゆえに、(表4)に示す
ように、実施例1〜8のディスクは、上下振れ加速度が
小さい。上下振れ加速度は、2G以下であるのが望まし
いが、実施例1〜8の光ディスクは、すべて、この基準
を満たしている。
【0079】一方、比較例2、3、5、7、および8で
は、貼り合わせる前に接着層に粘着性を持たせることが
できなかった。これは、比較例2、3、および5では、
接着剤中のエポキシ接着剤の配合比が多すぎるためであ
り、比較例7および8では、接着剤が液状で、粘性が乏
しいためである。このため、接着層が不均一になり、凹
凸欠陥が発生したため、上下振れ加速度が大きく、上記
基準値を満たすことができなかった。また、ホットメル
ト接着剤による比較例6では、接着層は粘着性を有して
いるが、貼り合わせ時の圧力により欠陥が生じ、上下振
れ加速度が大きかった。
【0080】さらに、実施例1〜8では、硬化速度のお
そいエポキシ接着剤を含む接着剤により接着するため、
接着層へ混入した気泡が抜ける時間的余裕がある。この
ため、ディスクの平坦性が良好であり、(表4)に示す
ように、傾き角が小さい。傾き角は、5mrad以下で
あることが望ましいが、実施例1〜8の光ディスクは、
いずれもこの基準を満たしている。
【0081】一方、比較例4は、アクリル接着剤のみを
使用しているため、接着層に粘着性を持たせることはで
きるが、硬化速度が速く、気泡が混入したまま硬化して
しまう。このため、傾き角が大きく、上記基準値を満た
すことができなかった。さらに、比較例6(ホットメル
ト接着剤)では貼り合わせ時の圧力により、比較例9
(湿気硬化接着剤)では接着剤に粘着性が発現するまで
の時間が長く、その間にに異物等が付着してしまうた
め、それぞれディスクに変形を生じ、傾き角が大きくな
ってしまった。
【0082】さらに、エポキシ樹脂は、耐熱性に優れて
いるため、接着剤にエポキシ接着剤を含む実施例1〜8
は、加熱後(80℃で1時間放置)のずれ量も少ない。
該ずれ量は、20μm以下であることが望ましいが、実
施例1〜8は、すべてこの基準を満たしている。
【0083】しかし、一官能アクリル樹脂は熱に対して
弱く、アクリル接着剤のみを使用した、比較例1、4で
は、加熱による基板ずれ量が目標を満たしていない。ま
た、ホットメルト接着剤は熱により軟化してしまうた
め、比較例6では、ずれ量が大きくなってしまい、目標
を満たしていない。
【0084】次に、目視観察による不良の有無をディス
ク製造時と加熱処理後について述べる。実施例1〜8で
は、いずれも、製造時および熱処理後に不良を発生しな
かった。これは、製造中のディスクの変形、気泡や異物
の混入が非常に少なかったためである。
【0085】それに対し、接着剤中のエポキシ接着剤の
配合比が高すぎる比較例2、3、および5と、粘性のな
い液体の接着剤を用いた比較例7および8とでは、接着
層に粘着性がないため、接着層が不均一になり、製造時
に欠陥が生じた。
【0086】また、加熱放置(80℃で1時間放置)後
には、比較例1〜9のすべてにおいて、不良が発生し
た。これは、一官能アクリル樹脂が熱に弱いこと(比較
例1および4)、粘着性がないため接着層が不均一にな
り、加熱時の反りや凹凸の原因になること(比較例2、
3、7、および8)、ホットメルト接着剤が熱により軟
化すること(比較例6)、粘着性が発現するまでの時間
が長すぎるため、異物が混入し、加熱時の反りや凹凸の
原因になること(比較例9)などが考えられる。
【0087】さらに、実施例1〜8の光ディスクについ
て記録再生装置(680nmのレーザを光源として開口
数0.55、焦点深度約2μmの集光レンズを用いた光
ヘッド)によりディスク回転数2400rpmで記録再
生を行った結果、記録再生不良が発生しなかった。
【0088】以上の結果により、アクリル接着剤とエポ
キシ接着剤の最適範囲は、アクリル接着剤95〜75
%、エポキシ接着剤は5〜25%であることがわかる。
この最適範囲の接着剤を用いた上記各実施例1〜8によ
り作製された光ディスクは、いずれも、平坦性に優れ加
熱雰囲気でも凹凸や変形の少ない高精度なものであっ
た。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、高速アクセス、高速回
転による変形、かつ保管時の経時変化による変形や剥が
れを低減し、高精度かつ高信頼性の優れた光ディスク及
びその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光ディスク模式図である。
【図2】 光ディスク断面図である。
【図3】 スタンパの製造工程を示す説明図である。
【図4】 ポリカーボネート樹脂製レプリカ基板と、4
層の記録膜とを有する光ディスクの製造工程を示す説明
図である。
【図5】 紫外線硬化樹脂およびプラスチック板からな
るレプリカ基板と、3層の記録膜とを有する光ディスク
の製造工程を示す説明図である。
【図6】 ポリカーボネート樹脂製レプリカ基板と、3
層の記録膜とを有する光ディスクの製造工程を示す説明
図である。
【図7】 紫外線硬化樹脂およびプラスチック板からな
るレプリカ基板と、4層の記録膜とを有する光ディスク
の製造工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1…レプリカ基板、 2…記録用金属膜、 3…基板、
4…接着層、 5…Ni膜、 6…Ni電鋳膜、 7
…スタンパ、 8…成形型、 9…成形型内間隙、 1
0…ポリカーボネート樹脂、 12…SiNエンハンス
膜、 13…TbFeCo磁性膜、 14…AlN反射
膜、 15…SiN保護膜、 16…フォトレジスト
膜、 17…ガラス円盤、 18…減圧、 20…紫外
線照射装置、 21…密閉容器、 22…紫外線硬化性
樹脂、 23…プラスチック板、25…GeSbTe記
録膜、 26…SbBi反射膜、 27…SiN保護
膜、34…光ディスク中央の孔、 35…基板間隙。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田嶋 哲夫 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 泰井 俊明 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の対向する基板と、接着層とを有し、
    該基板の少なくとも一方は記録膜を有し、上記接着層
    は、上記一対の対向する基板の間隙に配置される光ディ
    スクにおいて、 上記接着層は、紫外線硬化型一官能アクリル樹脂と、紫
    外線硬化型エポキシ樹脂とを含有し、 上記紫外線硬化型一官能アクリル樹脂と、上記紫外線硬
    化型エポキシ樹脂との配合量を合わせて100%とする
    とき、 上記紫外線硬化型一官能アクリル樹脂の配合量は、95
    〜75%であり、 上記紫外線硬化型エポキシ樹脂の配合量は、5〜25%
    であることを特徴とする光ディスク。
  2. 【請求項2】少なくとも一方に記録層を形成した2枚の
    透明基板に、接着剤を塗布して接着層を形成する接着剤
    塗布工程と、該接着層が内側になるように上記2枚の透
    明基板を対向させて加圧し接着する接着工程とを有する
    光ディスク製造方法において、 上記接着剤は、 紫外線硬化型アクリル接着剤と、紫外線硬化型エポキシ
    接着剤とを含有し、 上記紫外線硬化型アクリル接着剤と、前記紫外線硬化型
    エポキシ接着剤との配合量を合わせて100%とすると
    き、 上記紫外線硬化型アクリル接着剤の配合量は、95〜7
    5%であり、 上記紫外線硬化型エポキシ接着剤の配合量は、5〜25
    %であることを特徴とする光ディスク製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、 前記接着剤塗布工程と、前記接着工程との間に、前記接
    着層に紫外線を照射する紫外線照射工程を有することを
    特徴とする光ディスク製造方法。
  4. 【請求項4】請求項2において、 前記接着工程は、減圧雰囲気で行われることを特徴とす
    る光ディスクの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000073037A (ja) * 1998-06-17 2000-03-07 Sekisui Chem Co Ltd 反応性ホットメルト接着剤組成物及び接着方法
WO2003071530A1 (fr) * 2002-02-22 2003-08-28 Nagase Chemtex Corporation Composition de resine durcissable par ultraviolet pour disques optiques
JP2005153510A (ja) * 2003-10-29 2005-06-16 Konica Minolta Holdings Inc インクジェットヘッド及びその製造方法

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