JPH08165967A - 燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃料噴射装置の小型化、及び油圧通路の簡略
化を可能とする燃料噴射装置を提供すること。 【構成】 燃料噴射弁１２と、加圧手段１３と、駆動手
段１４とからなる燃料噴射装置１０において、燃料噴射
弁１２は、入力ポート１５と、燃焼室２５に接続される
噴射口１６と、一端に弁体を備える可動部材２４と、圧
力室３３の圧力を変化させる第１ピエゾ素子２１と、燃
料室１７と、燃料室１７の圧力を加圧させる第２ピエゾ
素子２２と、入力ポート１５から噴射口１６への燃料の
流れのみを許容する第１逆止弁１８と、燃料室１７から
噴射口１６への燃料の流れのみを許容する第２逆止弁１
９と、第２逆止弁１９と噴射口１６の間に形成される混
合室２０と、を有し、駆動手段１４により各ピエゾ素子
２１，２２のそれぞれに電圧を印加する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、燃焼室に燃料を噴射す
るための装置に関するものであり、特に内燃機関の燃焼
室に燃料と空気の混合気を噴射する燃料噴射装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の内燃機関の燃焼室に燃料を噴射す
る燃料噴射装置として、特表平２−５００９２５号公報
に開示される技術が知られている。図５に上記公報に開
示される燃料噴射装置の構成図を示す。この技術は、燃
料を送り出すためのポンプと、圧縮ガスを燃焼室内から
取り出すためのユニットと、ガスを貯蔵するためのガス
槽と、ガス及び送り出された燃料を吹き出すためのユニ
ットを備えるものであって、吹き出し弁５０が取り出し
ユニットと吹き出しユニットとして弁側の室５１と弁か
ら離れた側の室５２を備え、燃焼室５３に開放する弁５
４が燃焼室５３と弁側の室５１との間のガス交換を制御
し、弁側の室５１は燃焼室５３から取り出されるガスの
ためのガス槽として用いられ、弁５４が弁から離れた側
の室５２を区画している駆動手段であるピストン５５に
より作動させられ、且つ弁側の室５１が逆止弁５６を介
して弁から離れた側の室５２と接続され、弁から離れた
側の室５２に圧力発生ユニット５７が燃料を送りだすこ
とを特徴とした燃料噴射装置である。

【０００３】

【本発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技
術では、燃料噴射装置の駆動手段であるピストン５５の
作動を制御するために外部に圧力発生ユニット５７が必
要であり、そのために全体のシステムが大型化してしま
い、油圧通路も複雑になる。

【０００４】そこで本発明は、システムの小型化、及び
油圧通路の簡略化を可能とする燃料噴射装置を提供する
ことを技術的課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項１の発明は、燃料を加圧する加圧手段と、該加
圧手段と内燃機関の燃焼室との間に配設される燃料噴射
弁と、該燃料噴射弁に接続される駆動手段とからなる燃
料噴射装置であって、前記燃料噴射弁は、前記加圧手段
の出力側に接続される入力ポートと、燃焼室に接続され
る噴射口と、一端に前記噴射口と燃焼室の間を開閉する
弁体を備える可動部材と、該可動部材の他端との間で圧
力室を形成し、伸縮により該圧力室の圧力を変化させる
第１ピエゾ素子と、前記入力ポートと前記噴射口の間に
形成される燃料室と、伸縮により該燃料室の圧力を変化
させる第２ピエゾ素子と、前記入力ポートと前記燃料室
との間に介挿され、前記加圧手段の加圧力より低い圧力
で開弁するとともに前記入力ポートから前記噴射口への
燃料の流れのみを許容する第１逆止弁と、前記燃料室と
前記噴射口の間に配設され、前記第１逆止弁の開弁圧よ
り高い圧力で開弁するとともに前記燃料室から前記噴射
口への燃料の流れのみを許容する第２逆止弁と、該第２
逆止弁と前記噴射口の間に形成される混合室と、を有
し、前記駆動手段は、前記第１ピエゾ素子および前記第
２ピエゾ素子のそれぞれに接続されており、電圧を印加
するようにした。

【０００６】請求項１の発明に加えて請求項２は、前記
駆動手段は、燃焼室の圧力が混合室の圧力より小さいと
きに前記第１ピエゾ素子が伸びる方向に電圧を印加し、
前記混合室の圧力が所定圧力のときに前記第１ピエゾ素
子への通電を停止するようにした。

【０００７】

【作用】本発明によると、例えば、燃焼室の圧力が混合
室の圧力より小さいときに、駆動手段によって第１ピエ
ゾ素子に電圧を印加して第１ピエゾ素子が伸びる。第１
ピエゾ素子が伸びることによって圧力室内の圧力が加圧
されて可動部材の弁体が開き、噴射口と燃焼室が連通す
る。噴射口と燃焼室が連通すると、混合室の圧力と燃焼
室の圧力とは略同一になり、混合室内の圧力が所定圧力
になると、燃焼室内のガスが混合室にチャージされる。
そして第１ピエゾ素子への通電を停止すると弁体が閉じ
て混合室と燃焼室の間を遮断する。駆動手段により第２
ピエゾ素子に電圧を印加すると、第２ピエゾ素子が伸び
て燃料室内の燃料が圧縮されて、燃料室の圧力が第２逆
止弁の開弁圧より大きくなると、第２逆止弁が開いて混
合室内に燃料が供給される。このとき、駆動手段は第１
ピエゾ素子に通電、あるいは非通電のどちらでもよい。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【０００９】本実施例の燃料噴射装置１０は、燃料を貯
蔵する燃料タンク１１と、燃料タンク１１の燃料を加圧
する加圧手段としての燃料ポンプ１３と、内燃機関の燃
焼室との間に配設される燃料噴射弁１２と、燃料噴射弁
１２の弁作用を駆動させる駆動手段としての駆動回路１
４と、から構成され、本発明の主要部分である燃料噴射
弁１２は、燃料を取り入れる入力ポート１５と、燃料を
噴射する噴射口１６と、一端に噴射口１６と燃焼室２５
の間を開閉する弁体１６ａが形成する外開弁を備える可
動部材２４と、可動部材２４の他端との間で圧力室３３
を形成し、伸縮により圧力室３３の圧力を変化させる第
１ピエゾ素子２１と、入力ポート１５と噴射口１６の間
に形成される燃料室１７と、伸縮により燃料室１７の圧
力を変化させる第２ピエゾ素子２２と、入力ポート１５
と燃料室１７との間に介挿され、燃料ポンプ１３の加圧
力より低い圧力で開弁するとともに入力ポート１５から
噴射口１６への燃料の流れのみを許容する第１逆止弁１
８と、燃料室１７と噴射口１６の間に配設され、第１逆
止弁１８の開弁圧より高い圧力で開弁するとともに燃料
室１７から噴射口１６への燃料の流れのみを許容する第
２逆止弁１９と、第２逆止弁１９と噴射口１６の間に形
成される混合室２０と、を備えている。

【００１０】ここで、第１ピエゾ素子２１及び第２ピエ
ゾ素子２２は、燃料噴射弁１２内の略中心に形成される
区画部３４にそれぞれの一端が固着され、区画部３４は
燃料噴射弁１２内に固定されている。また、第１ピエゾ
素子２１及び第２ピエゾ素子２２の各他端部には第１ピ
ストン２１ａ及び第２ピストン２２ａが形成されてい
る。

【００１１】燃料タンク１１の燃料は燃料ポンプ１３に
よって燃料噴射弁１２の入力ポート１５に送りこまれ
る。第１逆止弁１８のスプリング力は燃料ポンプ１３の
ポンプ圧力以下に設定されており、入力ポート１５から
フィルタ２３及び第１逆止弁１８を介して燃料室１７に
燃料が供給されるようになっている。燃料ポンプ１３と
入力ポート１５の間に配設される逆止弁３２は、燃料ポ
ンプ１３と燃料噴射弁１２の間の圧力が所定圧力以上に
なると開いて、燃料タンク１１に燃料を戻すために設け
られている。また、第２逆止弁１９のスプリング力は燃
料ポンプ１３のポンプ圧力より大きな値に設定されてお
り、燃料室１７の圧力が第２逆止弁１９のスプリング力
以上になったときのみ開弁するようになっている。

【００１２】ここで、駆動回路１４からの電圧の印加に
よるピエゾ素子２１，２２の伸び量は噴射口１６内の弁
体１６ａが外開弁を充分開くほど大きくはないため、第
１ピエゾ素子２１の先端に形成される第１ピストンが形
成する径を可動部材２４が形成する径より大きくするこ
とで、可動部材２４のストローク量が弁体１６ａを開く
ための充分な値となるようにしている。本実施例では第
１ピストン２１ａが形成する径は可動部材２４の他端が
成す径の４倍であり、面積比では１６倍である。例え
ば、第１ピエゾ素子２１の通電時におけるストローク量
が０．０６ｍｍの場合には、可動部材２４のストローク
量は０．９６ｍｍとなり、確実に弁体１６ａが外開弁を
開くことができる。

【００１３】駆動回路１４から第１ピエゾ素子２１及び
第２ピエゾ素子２２への通電のタイミングは、本実施例
ではクランクシャフト（図示せず）の角度、点火時期、
及び燃焼室２５内の圧力によって決定される。

【００１４】次に本実施例の任意の一つの気筒の燃焼室
における燃料噴射装置１０の作動について図２及び図３
のタイムチャートを用いて説明する。図３は横軸にクラ
ンク角度、縦軸に燃焼室２５及び混合室２０の圧力を示
している。クランクシャフトが２回転する間、即ちクラ
ンク角度が０°から７２０°までの間に各気筒で吸入→
圧縮→膨張→排気のサイクルが行われるようになってい
る。本実施例では４サイクルの内燃機関における燃料噴
射装置を示しているが、２サイクルの内燃機関に本発明
の燃料噴射装置を用いることも可能である。

【００１５】先ず、クランクシャフトが回転することに
よってクランク角度が変化し、燃焼室２５の圧力が変化
する。燃焼室２５の圧力が所定圧力に達すると推定され
る角度（例えば２８０°）になると、駆動回路１４が第
１ピエゾ素子２１に通電する。第１ピエゾ素子２１が伸
びることにより圧力室３３の圧力が高くなり、圧力室３
３の圧力がスプリング３５のスプリング力に打ち勝つ
と、可動部材２４が図１の下方に動作して弁体１６ａが
外開弁を開き、燃焼室２５と混合室２０とが連通する。
始めのうちは混合室２０の圧力が燃焼室２５の圧力より
高いので、混合室２０内の混合気が燃焼室２５に噴射さ
れる。

【００１６】燃焼室２５内を摺動するピストンが上死点
に向かうに従って燃焼室２５の圧力は徐々に高くなり、
燃焼室２５と混合室２０の圧力が等しくなると推定され
るクランク角度（例えば３２０°）になると、燃焼室２
５内の気体が混合室２０にチャージされる。

【００１７】次に、混合室２０にチャージされる気体の
量が所定量になると推定されるクランク角度（例えば３
４０°）になると駆動回路１４は第１ピエゾ素子２１へ
の通電を停止して、噴射口１６の弁体１６ａが外開弁を
閉じる。燃焼室２５内を摺動するピストンが上死点を越
えて燃焼室２５の圧力が低くなり始めるクランク角度
（例えば３８０°）になると、駆動回路１４が第２ピエ
ゾ素子２２に通電する。

【００１８】第２ピエゾ素子２２が伸びると燃料室１７
内の圧力が上昇して、燃料室１７内の圧力が第２逆止弁
１９のスプリング力に打ち勝つと、第２逆止弁１９が開
弁して燃料室１７内の燃料が混合室２０に送られる。燃
料室１７から混合室２０に送られる燃料の量は、第２ピ
エゾ素子２２への通電・非通電を繰り返すことで制御が
可能であり、図２及び図３においては、燃料噴射時間は
ＴＦ₁ とＴＦ₂ の２つのパターンを示している。

【００１９】本実施例では、駆動回路１４による第１お
よび第２ピエゾ素子２１，２２への通電は同時に行われ
ないが、車輌の走行条件等によって通電のタイミングは
変化するものであり、第１および第２ピエゾ素子２１，
２２を同時に通電することも考えられる。

【００２０】ここで、本実施例における駆動回路１４
は、図４に示すようにイグニッションスイッチ２６を介
してバッテリー２７に接続される回路であり、昇圧器と
してのＤＣ−ＤＣコンバータ２８と、第１および第２ピ
エゾ素子２１，２２への通電を行う第１および第２通電
スイッチ２９，３０とから構成され、エンジン制御コン
ピュータ３１からの信号によって各通電スイッチ２９，
３０がオンになると各ピエゾ素子２１，２２に一定の電
圧を印加するようになっている。

【００２１】本発明によると、燃料噴射弁１２の内部に
燃料室１７の燃料を混合室２０に送り込むためのユニッ
トを燃料噴射弁１２の内部に配設したことにより、燃料
噴射装置の小型化が可能になる。

【００２２】

【効果】本発明の燃料噴射装置によると、燃焼室の圧力
変化を利用することで混合気を燃焼室に噴射するための
コンプレッサー等の特別な噴射機構が不要になり、燃料
噴射弁内に簡単な構造の噴射機構を設けたので、システ
ムの大型化を防ぐことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の燃料噴射装置の断面図であ
る。

【図２】本実施例における燃料噴射装置の作動タイムチ
ャートである。

【図３】本実施例における燃料噴射装置の作動タイムチ
ャートである。

【図４】本実施例の駆動回路の回路図である。

【図５】従来の燃料噴射装置の構成図である。

【符号の説明】

１０・・・燃料噴射装置 １１・・・燃料
タンク １２・・・燃料噴射弁 １３・・・燃料
ポンプ １４・・・駆動回路 １５・・・入力
ポート １６・・・噴射口 １７・・・燃料
室 １８・・・第１逆止弁 １９・・・第２
逆止弁 ２０・・・混合室 ２１・・・第１
ピエゾ素子 ２２・・・第２ピエゾ素子 ２３・・・フィ
ルタ ２４・・・可動部材 ２５・・・燃焼
室 ２６・・・イグニッションスイッチ ２７・・・バッ
テリー ２８・・・ＤＣ−ＤＣコンバータ ２９・・・第１
通電スイッチ ３０・・・第２通電スイッチ ３１・・・エン
ジン制御コンピュータ ３２・・・逆止弁 ３３・・・圧力
室 ３４・・・区画部 ３５・・・スプ
リング

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料を加圧する加圧手段と、該加圧手段
   と内燃機関の燃焼室との間に配設される燃料噴射弁と、
   該燃料噴射弁に接続される駆動手段とからなる燃料噴射
   装置であって、 前記燃料噴射弁は、前記加圧手段の出力側に接続される
   入力ポートと、 燃焼室に接続される噴射口と、 一端に前記噴射口と燃焼室の間を開閉する弁体を備える
   可動部材と、 該可動部材の他端との間で圧力室を形成し、伸縮により
   該圧力室の圧力を変化させる第１ピエゾ素子と、 前記入力ポートと前記噴射口の間に形成される燃料室
   と、 伸縮により該燃料室の圧力を加圧させる第２ピエゾ素子
   と、 前記入力ポートと前記燃料室との間に介挿され、前記加
   圧手段の加圧力より低い圧力で開弁するとともに前記入
   力ポートから前記噴射口への燃料の流れのみを許容する
   第１逆止弁と、 前記燃料室と前記噴射口の間に配設され、前記第１逆止
   弁の開弁圧より高い圧力で開弁するとともに前記燃料室
   から前記噴射口への燃料の流れのみを許容する第２逆止
   弁と、 該第２逆止弁と前記噴射口の間に形成される混合室と、 を有し、 前記駆動手段は、前記第１ピエゾ素子および前記第２ピ
   エゾ素子のそれぞれに接続されており、電圧を印加する
   ことを特徴とする燃料噴射装置。
2. 【請求項２】 請求項１の燃料噴射装置において、 前記駆動手段は、前記燃焼室の圧力が前記混合室の圧力
   より小さいときに前記第１ピエゾ素子が伸びる方向に電
   圧を印加し、前記混合室の圧力が所定圧力になると前記
   第１ピエゾ素子への通電を停止することを特徴とする燃
   料噴射装置。