JPH08165586A - 鋼材処理方法及び装置 - Google Patents

鋼材処理方法及び装置

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JPH08165586A
JPH08165586A JP30623694A JP30623694A JPH08165586A JP H08165586 A JPH08165586 A JP H08165586A JP 30623694 A JP30623694 A JP 30623694A JP 30623694 A JP30623694 A JP 30623694A JP H08165586 A JPH08165586 A JP H08165586A
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steel material
steel
methylene chloride
vapor
water
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JP30623694A
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English (en)
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Yotarou Hashimoto
與太郎 橋本
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EIWA CORP
Eiwa Chemical Industries Co Ltd
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EIWA CORP
Eiwa Chemical Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼材の表面に、四酸化三鉄(Fe3 4 )即
ちマグネタイトや、レピドクロサイト(燐鉄鉱,γ−F
eOOH)や、ゲーサイト(針鉄鉱,α−FeOOH)
の様な、極小粒で結晶格子の整然とした錆びの不動態皮
膜を構成することにより、その後の鋼材の錆びの進展を
阻止して、耐候性鋼材を得る。 【構成】 塩素系有機溶剤、又は塩素系有機溶剤として
のメチレンクロライドと、水の混合液を加熱して、両者
の混合した蒸気を鋼材に浸漬させることにより、鋼材の
表面の洗浄と同時に、四酸化三鉄(Fe3 4 )即ちマ
グネタイト等の錆びによる不動態皮膜を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鋼材の組織空隙の内部の
付着物を溶出し、鋼材組織空隙を洗浄すると共に、同時
に鋼材表面に防食性の高い錆びにより不動態皮膜を構成
し、耐蝕性と耐候性を向上する鋼材の処理方法と装置に
関する技術である。
【0002】
【従来の技術】従来から、鋼材の表面にレピドクロサイ
ト(燐鉄鉱,γ−FeOOH)や、ゲーサイト(針鉄
鉱,α−FeOOH)や、化学的に安定な四酸化三鉄
(Fe3 4 )即ちマグネタイトを人工的に、緻密な状
態で発生させ、これらを不動態皮膜として、その後の錆
びの進行を阻止し、耐候性鋼材とする技術は公知とされ
ているのである。例えば、特開平6−264256号公
報や、特開平6−143490号公報や、特開平6−1
50813号公報の如き技術が公知とされている。
【0003】また、塩素系有機溶剤、及び塩素系有機溶
剤の一種としてのメチレンクロライドは、鋼材洗浄溶液
として使用されており、半導体や鋼材製品の洗浄におい
ては、メチレンクロライド溶液にそのまま鋼材を浸漬す
るという使い方は行われていたのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の、特開
平6−264256号公報の技術においては、所定の水
溶液を1週間に1回程度塗布しながら1ヶ月間、大気に
曝露するものであり、その作業と行程が時間の掛かるも
のでありコスト高となり、また塗布という行程を必要と
するので、鋼材の形状が複雑な場合や、パイプの如く内
径部分がある場合には処理が出来ないのである。
【0005】また、特開平6−143490号公報に記
載の技術においても、四酸化三鉄の混入した液を鋼材の
表面に塗布するものであり、やはり作業と行程が複雑で
あり、コスト高となり、パイプの内径は処理できず、溶
接や電縫鋼管やシームレス鋼管に加工した後に鋼材の表
面の処理をすることが出来なかったのである。
【0006】また、特開平6−150813号公報に記
載の技術においては、ブラウン管用シャドウマスクのマ
スクフレームの不動態皮膜形成に関する技術であり、こ
の技術の場合には、550〜650°Cの高温にした酸
化性雰囲気の中で行う必要があり、通常の建設や土木用
の鋼材の表面の処理においては不可能なのである。特
に、溶接やベンディング加工や、電縫鋼管やシームレス
鋼管等の如く、形状加工した後の鋼材の処理は不可能だ
ったのである。
【0007】本発明は、このような従来技術の不具合を
解消するものであり、70〜150°Cという低温で、
処理出来るので、溶接やベンディング加工や、電縫鋼管
やシームレス鋼管等の如く、一旦形状加工した後の鋼材
を処理しても、改めて変形することがなく、また、処理
液を塗布するのではなくて、処理タンクの中で、蒸気を
当てるだけであるので、加工した後の複雑な形状の鋼材
であっても、またパイプの如く内径部分が塗布できない
場合でも、蒸気による処理であるので可能となったので
ある。
【0008】また、通常、鋼材を大気に曝露することに
より発生する錆びは、雨や水に濡れた場合に発生する赤
錆びであり、その成分はレピドクロサイト(燐鉄鉱,γ
−FeOOH)やゲーサイト(針鉄鉱,α−FeOO
H)である。そして、このように発生した赤錆びは、次
に乾燥すると四酸化三鉄(Fe3 4 )即ちマグネタイ
トを主体とする黒錆びに変化し、この2態様を繰り返す
ことにより、徐々に錆びが成長して、鋼材の腐蝕減量状
態が発生して、強度の低下に繋がるのである。
【0009】このような場合に発生するレピドクロサイ
ト(燐鉄鉱,γ−FeOOH)や、ゲーサイト(針鉄
鉱,α−FeOOH)や、四酸化三鉄(Fe3 4 )即
ちマグネタイトは、粒径の大きな錆びであり、粒径の小
さな緻密な錆びではないのである。故に、上記の如く、
湿気状態と乾燥状態との繰り返しにより、赤錆びと黒錆
びとを繰り返し、腐蝕が成長するのである。これに対し
て、本発明の処理により発生する不動態皮膜は、粒径が
小さく、緻密な結晶状態を構成しており、前記の如く化
学変化を発生しないので不動態皮膜として作用するので
ある。
【0010】このように、粒径が小さく緻密で、結晶格
子が正確に並んだ錆びが発生するのは、塩素系有機溶剤
やメチレンクロライドと水の蒸気が、鋼材の表面を洗浄
する溶剤としての効果を発揮するので、この洗浄した清
浄な鋼材の表面に、四酸化三鉄(Fe3 4 )即ちマグ
ネタイトやゲーサイト(針鉄鉱,α−FeOOH)の錆
びを発生させることにより、結晶格子が整った不動態皮
膜の錆びが発生するのである。また、塩素系有機溶剤や
メチレンクロライドが鋼材の結晶間隙内に浸透する力が
強力であるので、鋼材の表面からある程度の厚さの内部
まで浸透して、不動態皮膜を構成する力が発生するの
で、さらに確実な不動態皮膜の錆びを構成することが出
来るのである。
【0011】また、本発明は上記従来技術の如く、塩素
系有機溶剤又はメチレンクロライドの溶液に直接に鋼材
を浸漬するのではなくて、塩素系有機溶剤、又は塩素系
有機溶剤としてのメチレンクロライドと水を一旦蒸気化
して、該塩素系有機溶剤・メチレンクロライドの蒸気と
水蒸気を鋼材に当てることにより、鋼材組織空隙内にま
で、メチレンクロライドの蒸気と水蒸気を浸透させて、
鋼材組織空隙の内部に侵入して付着した付着物を溶出さ
せ洗浄し、それと同時に鋼材表面に防食性の高い錆びで
あるFe3 4 (四酸化三鉄)の不動態皮膜を構成し、
それ以上の腐食の成長を阻止するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明が解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次に該課題を解決する為の
手段を説明する。請求項1においては、塩素系有機溶剤
と水を混合して加熱し、該塩素系有機溶剤の蒸気と水蒸
気を発生させ、該塩素系有機溶剤の蒸気と水蒸気を、鋼
材を封入した処理タンク内に充填して鋼材組織空隙に浸
透させ、鋼材組織空隙中の付着物を溶出すると共に、鋼
材表面に防食性の高い錆びにより不動態皮膜を構成する
ものである。
【0013】請求項2においては、塩素系有機溶剤とし
てメチレンクロライド溶液と水を混合して加熱し、メチ
レンクロライド蒸気と水蒸気を発生させ、該メチレンク
ロライド蒸気と水蒸気を、鋼材を封入した処理タンク内
に充填して鋼材組織空隙に浸透させ、鋼材組織空隙中の
付着物を溶出すると共に、鋼材表面に防食性の高い錆び
により不動態皮膜を構成するものである。
【0014】請求項3においては、メチレンクロライド
溶液と水と界面活性剤液を混合して混合液とし、該混合
液を加熱し、メチレンクロライド蒸気と水蒸気と界面活
性剤蒸気を発生させ、該混合蒸気を、鋼材を封入した処
理タンク内に充填して鋼材組織空隙に浸透させ、鋼材組
織空隙中の付着物を溶出すると共に、鋼材表面に防食性
の高い錆びにより不動態皮膜を構成するものである。
【0015】請求項4においては、請求項3に記載の鋼
材処理方法において、メチレンクロライド溶液と水と界
面活性剤液の重量比率を、略5・4・1とし、界面活性
剤液の比率は1以下の比率とし、該混合液の加熱温度を
70〜140°Cの範囲としたものである。
【0016】請求項5においては、請求項1又は2又は
3に記載の鋼材処理方法において、処理タンクを真空状
態とし、鋼材を脱気状態で処理するものである。
【0017】
【作用】次に作用を説明する。本発明の塩素系有機溶剤
の蒸気と水蒸気又は、塩素系有機溶剤及び、塩素系有機
溶剤としてのメチレンクロライド蒸気と水蒸気は、鋼材
Wの鋼材組織空隙の部分まで浸透し、鋼材組織空隙内の
付着物や残留物を溶出して、鋼材や鋼材性遺物の洗浄を
行うのである。該洗浄の操作と同時に、該鋼材の表面
に、四酸化三鉄(Fe3 4 )の錆びを発生させ、この
錆びが不動態皮膜であることにより、その後の錆びによ
り鋼材の劣化を阻止することが出来るのである。また界
面活性剤を付加して、界面活性剤蒸気をも当てることに
より、更に蒸気の洗浄と不動態皮膜の生成の作用を促進
することができる。
【0018】
【実施例】次に実施例を説明する。塩素系有機溶剤とし
ては、トリクロロエチレン(CHCl=CCl2 )や、
パークロルエチレン(CCl2 =CCl2 )、1,1,
1−トリクロロエタン(CH3 CCl3 )や、フロン1
13(CCl2 FCClF2 )等がある。メチレンクロ
ライドは、該塩素系有機溶剤の中の1つである。
【0019】上記塩素系有機溶剤の中でも、最もメチレ
ンクロライドが本鋼材の処理方法において有効である。
該メチレンクロライドは化学式がCH2 Cl2 で表示さ
れる分子量84.93の物質である。化学名は塩化メチ
レンであり、一般名としてメチレンクロライドの他に、
ジクロルメタンとか、二塩化メチレンと呼称される場合
もある。沸点は40.4°Cで、融点は−96.8°C
である。
【0020】また、界面活性剤は、陰イオン性界面活性
剤と、陽イオン性界面活性剤と、非イオン性界面活性剤
と、両性界面活性剤に分類される。陰イオン性界面活性
剤としては、アルキル硫酸ナトリウム、アミド硫酸ナト
リウム、第二アルキル硫酸ナトリウム、アルキルスルホ
ン酸ナトリウム、アミドスルホン酸ナトリウム、アルキ
ルアリルスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタリンス
ルホン酸ナトリウム等がある。
【0021】また、陽イオン性界面活性剤としては、酢
酸アミン塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロリ
ド、ジアルキルメチルアンモニウムクロリド、アルキル
ピリジウムハロゲニド、アルキルジメチルベンジルアン
モニウムクロリド等がある。両性界面活性剤としては、
カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型等があ
る。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレ
ンアルキルフェノール、ポリオキシエチレン脂肪アルコ
ール、ポリオキシエチレン脂肪酸、ポリオキシエチレン
酸アミド、ポリオキシエチレン脂肪アミン、ポリプロピ
レングリゴール等がある。
【0022】本発明の鋼材処理方法及び装置において
は、アルカリ性が強くなると、Cl2が発生しやすくる
なるので、これを回避する必要があり、酸・アルカリに
対して比較的安定した、アルコール系の非イオン界面活
性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェノールや、
ポリオキシエチレン脂肪アルコールが、この点において
有効である。しかし、鋼材組織空隙内の付着物を溶出
し、該鋼材の表面に四酸化三鉄等の不動態皮膜を構成す
る為には、全ての界面活性剤が有効である。
【0023】そして、本発明の如く、メチレンクロライ
ド溶液と、水と、界面活性剤液の3者の混合液を加熱す
ると、メチレンクロライド蒸気や水蒸気や界面活性剤蒸
気の他に、次のようなガスや化合物が発生している。即
ち、HCHO、HF、HCl、HBr、NH3 、Cl2
(僅少)、CH4 、CO、CO2 、有機酸、有機化合物
である。有機酸としては、りん酸、くえん酸、ピルビン
酸、りんご酸、こはく酸、乳酸、ぎ酸、酢酸、レブリン
酸、ピログルタミン酸、プロピオン酸、いそ酪酸、いそ
吉草酸等である。
【0024】図1は本発明の鋼材処理方法及び装置の基
本構成図面、図2は鋼材処理方法の行程と手順をバルブ
機構の開閉により示した図面、図3は処理タンクTと蓋
体22と鋼材載置台26の部分の側面図、図4は処理タ
ンクTに蓋体22を閉鎖した状態の側面図、図5は蓋体
22の正面図、図6は処理タンクTの正面断面図、図7
は鋼材載置台26の上に鋼材Wを載置した状態の正面
図、図8は処理状態における処理タンクTの内部の断面
図である。
【0025】図3・図4・図5・図6・図7において、
処理タンクTと蓋体22と鋼材載置台26の構成を説明
する。即ち処理タンクTは圧力容器を構成しており、本
発明の鋼材処理方法及び装置においては、脱気状態にお
いて50Torrとなり、メチレンクロライドの蒸気回
収時に200Torrとなるので、これに耐える程度の
圧力容器に構成されている。そして正面に蓋体22が設
けられており、該蓋体22が鋼材載置台26と一体的に
構成されている。該鋼材載置台26は処理タンクTの内
部に設けられた移動レール25の上で移動し、また蓋体
22は蓋体支持部23の下部の移動レール24の部分
で、両者が一体的に移動可能としている。
【0026】該蓋体22と一体的に引出し、挿入される
鋼材載置台26の上に、処理対象である鋼材Wを載置す
るのである。該鋼材載置台26の部分を処理タンクTの
内部に挿入した状態で、蓋体22と処理タンクTとを密
閉固定し、圧力を掛けるのである。該処理タンクTの内
側底部に加温・冷却パイプ20が配置されており、加温
の場合にはボイラーBより、100数十°Cの水蒸気が
供給される。また冷却の場合には、冷却水タンク18の
冷却水が供給される。メチレンクロライドと水の混合液
は、そのまま処理タンクTの内部に注入されても良い
し、また予備タンクの部分で混合蒸気の状態として、処
理タンクTに供給しても良いのである。図1の実施例に
おいては、混合液の状態として処理タンクTの内部に供
給すべく構成している。
【0027】そして混合液の状態で、加温・冷却パイプ
20を浸漬する程度まで、混合液を注入した状態で、ボ
イラーBから100数十°Cの水蒸気を加温・冷却パイ
プ20に供給し、沸点が40度であるメチレンクロライ
ドは勿論、水も蒸気となるのである。本発明において
は、塩素系有機溶剤と水、又はメチレンクロライドと
水、又はこれに界面活性剤を加えた混合液は、図6に示
す如く、液面が最大でも鋼材載置台26の下までしか成
らず、鋼材が混合液に浸漬されることは無いのである。
あくまで、混合液の蒸気を鋼材に吸収させて処理するの
である。
【0028】次に図1において、本発明の鋼材処理方法
及び装置の基本構成を説明する。設備としては、処理タ
ンクTと混合液タンク14が主体であり、該混合液タン
ク14の内部に、塩素系有機溶剤と水、またはメチレン
クロライドと水、又はメチレンクロライドと水と界面活
性剤の混合された混合液が投入される。またボイラーB
は蒸気をパイプ内に供給し、前述の如く混合液を蒸気化
するものであり、コンプレッサCは、処理終了後に処理
タンクTの内部の混合液を混合液タンク14に戻す際に
圧力を掛けるものである。
【0029】また真空ポンプPは混合液を押し出した後
に、処理タンクTの内部と鋼材Wの鋼材組織空隙の内部
に残っている、塩素系有機溶剤と水、又はメチレンクロ
ライドと水、またはメチレンクロライドと水と界面活性
剤の蒸気を吸引するものである。そして該吸引した蒸気
は、大気中に排出することが出来ないので、コンデンサ
16において冷却して液化し、コンデンサパイプ21の
部分から再度混合液タンク14に戻している。チラー1
5は該コンデンサ16の内部の冷却水を冷却するもので
ある。またフィルター19が設けられており、処理タン
クTからコンプレッサCにより押し出される混合液内の
ゴミ等の不純物を濾過する。また冷却水タンク17は、
混合液蒸気を液化する為に使用した冷却水の受け皿であ
る。
【0030】そして、各部に電磁バルブが配置されてい
る。該電磁バルブは、自動制御装置により、一定時間毎
に開閉すべく構成しており、処理の行程である『鋼材脱
気』,『混合液送り込み』,『鋼材処理』,『混合液冷
却』,『混合液タンク戻し』,『混合液蒸気回収』,
『コンデンサ内部混合液回収』の順に、図2に示す如
く、自動的に開閉操作される。同時に、コンプレッサC
とボイラーBと真空ポンプPとチラー15が自動的に駆
動停止される。この処理の1行程は、5〜24時間で終
了すべく構成されている。次に図2において、鋼材処理
方法及び装置の各行程の電磁バルブの状態を示す。まず
『鋼材脱気』の行程においては、真空ポンプPが駆動さ
れる。そして真空ポンプPとコンデンサ16を連結する
回路の電磁バルブ1が開く、またコンデンサ16と処理
タンクTを連通する電磁バルブ3も開く。その他の電磁
バルブはすべて閉鎖されている。これにより、処理タン
クTの内部は、50Torr程度の真空となり、鋼材W
の鋼材組織空隙内の空気が引き出される。
【0031】次に『混合液送り込み』の行程において
は、処理タンクTと混合液タンク14を連通する電磁バ
ルブ4が開き、他の電磁バルブは閉鎖される。これによ
り混合液タンク14と処理タンクTとは略同じレベルに
配置されているので、混合液タンク14内と処理タンク
T内が同じレベルになるように、混合液が処理タンクT
内に移動する。
【0032】次に、『鋼材処理』の行程においては、ボ
イラーBと処理タンクTとの間の電磁バルブ7と、処理
タンクTからドレーンを連通する電磁バルブ9が開き、
他の電磁バルブは閉鎖される。これにより、ボイラーB
からの高熱蒸気が処理タンクT内の加温・冷却パイプ2
0に供給され、処理タンクT内の混合液は、メチレンク
ロライド蒸気と水蒸気と界面活性剤蒸気となって、鋼材
Wの鋼材組織空隙内に浸透する。この『鋼材処理』の段
階を約6時間行う。
【0033】次に『混合液冷却』の行程を説明する。こ
の場合には、冷却水タンク18と処理タンクTとを連通
する電磁バルブ8と、処理タンクTと冷却水タンク17
を連通する電磁バルブ10が開放される。他の電磁バル
ブは閉鎖されている。これにより、冷却水が加温・冷却
パイプ20内を通過し、処理タンクTの内部はメチレン
クロライドの沸点である40°C以下となるので、メチ
レンクロライドも水蒸気も薬液に戻るのである。
【0034】次に『混合液タンク戻し』の行程を説明す
る。この場合には、処理タンクT内の空気を逃がす為に
電磁バルブ2が開き、処理タンクTの下部の電磁バルブ
5と、コンプレッサCと処理タンクTを連通する電磁バ
ルブ6が開き、コンプレッサCが駆動される。またフィ
ルター19と混合液タンク14の間の電磁バルブ12
と、混合液タンク14と大気を連通する電磁バルブ13
が開く。これにより処理タンクT内にある程度の圧力が
掛かるので、液化した混合液は混合液タンク14内に押
し戻される。
【0035】次に、『タンク内部混合液蒸気回収』の行
程について説明する。この場合には、真空ポンプPが駆
動される。そして真空ポンプPとコンデンサ16を連通
する電磁バルブ1と、コンデンサ16と処理タンクTを
連通する電磁バルブ3が開く。他の電磁バルブは閉鎖さ
れる。この状態で、真空ポンプPにより処理タンクT内
及び鋼材Wの鋼材組織空隙内に浸透したメチレンクロラ
イドの蒸気を回収する。この際の真空度は、200To
rr程度まで下げる。次に『コンデンサ内部混合液回
収』の行程においては、大気と連通する電磁バルブ2
と、コンデンサパイプ21と混合液タンク14とを連通
する電磁バルブ11を開く。これにより、コンデンサ1
6のコンデンサパイプ21の内部に溜まったメチレンク
ロライド等の混合液を、混合液タンク14に回収するこ
とが出来る。これらの1行程を5〜24時間で終了する
のである。
【0036】次に図8において、処理状態に於ける処理
タンクTの内部の断面図を説明する。処理タンクTの内
部の下方に、加温・冷却パイプ20が配置されており、
該加温・冷却パイプ20の上部に、鋼材載置台26が移
動可能に配置されている。該鋼材載置台26の上に鋼材
Wが載置されるのである。そして、水Waと界面活性剤
液Sとメチレンクロライド溶液Meの混合液は、該加温
・冷却パイプ20よりも液位が高く、しかし、鋼材載置
台26上の鋼材Wを浸漬しない程度の液位となるように
注入される。
【0037】水Waの比重は1.00であり、界面活性
剤液Sの比重は1.04であるので、略同じ液位とな
り、界面活性剤液Sは水Waに溶けるので一体的にな
り、図8に示す如く、水Wa+界面活性剤液Sの液層を
構成する。これに対して、メチレンクロライド溶液Me
は、比重が1.33であり、水Waに溶解しないので、
水Wa+界面活性剤液Sの層の下に層を構成するのであ
る。そして、水Wa+界面活性剤液Sの層に配置した加
温・冷却パイプ20に160°Cに加熱した水蒸気を供
給すると、加温・冷却パイプ20の周囲の温度が上昇す
る。該加温・冷却パイプ20は水Wa+界面活性剤液S
の層に配置されており、該部分が先に温度上昇する。
【0038】徐々に加温・冷却パイプ20の温度が上昇
し、約40°Cに達すると、メチレンクロライド溶液M
eが沸点に達し、メチレンクロライド蒸気に変わり水W
a+界面活性剤液Sの層を泡となって通過して、鋼材W
に至り、該鋼材Wの鋼材組織空隙内に侵入する。鋼材W
の場合には、約70°Cに加熱し、メチレンクロライド
の蒸気が、水Waと界面活性剤液Sの液の中を潜り抜け
て、鋼材Wに達するような状態で処理を続けるのであ
る。そして該メチレンクロライドMeが水Waと界面活
性剤液Sを通過する間に、メチレンクロライドから発生
するCl2 (塩素ガス)を水Waに吸収させて、処理に
悪影響を与えるCl2 の発生を押さえるのである。また
該メチレンクロライドの蒸気に、界面活性剤液Sが附加
された状態で、鋼材Wの鋼材組織空隙に侵入するのであ
る。これにより溶出の切れを良くすることが出来る。
【0039】このように、水Waと界面活性剤液Sとメ
チレンクロライド溶液Meを、混合液として、加温・冷
却パイプ20により加温することにより、メチレンクロ
ライドMeの蒸気は、水Waと界面活性剤液Sを通過し
てから、処理タンクT内に蒸発するのでCl2 が少なく
なるのである。該メチレンクロライドの蒸気は、鋼材W
の穿孔に侵入するのである。また界面活性剤液Sが混在
された状態で穿孔内に入るので、付着物を溶出する場合
の切れが良く、また低温でメチレンクロライドの蒸気を
大量に発生することが出来るので、処理タンクT内を高
温にして処理する必要がないのである。
【0040】本実施例においては、鋼材として鉄の場合
の防食性の皮膜である四酸化三鉄(Fe3 4 )即ちマ
グネタイトの発生について述べたが、本発明の処理の段
階において、全ての不動態皮膜の錆びが、四酸化三鉄
(Fe3 4 )即ちマグネタイトで構成されているとい
うわけではないのである。四酸化三鉄(Fe3 4 )即
ちマグネタイトと同時に、赤錆びの一種であるレピドク
ロサイト(燐鉄鉱,γ−FeOOH)や、ゲーサイト
(針鉄鉱,α−FeOOH)も一部発生するのである。
【0041】しかし、四酸化三鉄(Fe3 4 )即ちマ
グネタイトが主体であり、レピドクロサイト(燐鉄鉱,
γ−FeOOH)やゲーサイト(針鉄鉱,α−FeOO
H)は一部であるので、不動態皮膜が出来る表面は黒錆
びとなっている。
【0042】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次の
ような効果を奏するのである。請求項1又は2又は3の
如く処理したので、塩素系有機溶剤やメチレンクロライ
ドと水の蒸気により、鋼材の表面の洗浄を行い、該表面
に化学的に安定な四酸化三鉄(Fe3 4 )即ちマグネ
タイトを主体とした不動態皮膜である黒錆びを発生する
ことが出来るのである。該黒錆びが不動態皮膜であるこ
とにより、これ以上鋼材の腐蝕が進行しないので、耐候
性鋼材として屋外の建築物や橋等における、錆び止め塗
装の回数を飛躍的に減少させることが出来るのである。
【0043】また、塩素系有機溶剤やメチレンクロライ
ドと水の混合液から発生する蒸気を、鋼材の表面に当て
るだけであるから、鋼材がパイプである場合に、内径部
分の処理も簡単にでき、また鋼材がビルの鉄骨枠組に溶
接加工した後であっても、処理タンク内に配置できれ
ば、簡単に処理することが出来るのである。また、処理
時の温度が70〜140°Cと低温であるので、加工後
の鋼材であっても、本発明の処理時に再度歪みや変形や
化学的変化を発生することがないので、最終製品の鋼材
の処理をすることが出来るのである。
【0044】また、従来は耐候性とする為に、表面に耐
候性塗料を塗布する必要があったが、本発明の処理をす
ることにより、アルミや銅の如く表面に不動態皮膜を強
制的に構成させて、塗料の塗布を省略した状態で使用す
ることが出来るのである。また、より耐候性を増す為
に、本発明の処理を施した後に塗装をしても良いことは
勿論である。
【0045】また、請求項4の如く、界面活性剤を混合
することにより、鋼材の結晶の内部に侵入しているガス
性のゴミを簡単に除去することができるので、四酸化三
鉄(Fe3 4 )即ちマグネタイトや、ゲーサイト(針
鉄鉱,α−FeOOH)よりなる不動態皮膜をより緻密
で、結晶が整然としたものとすることが出来るのであ
る。
【0046】また請求項5の如く、処理タンクの内部を
真空にすることにより、鋼材の表面に構成される四酸化
三鉄(Fe3 4 )即ちマグネタイトの結晶粒径を小に
して、結晶格子を整然としたものとすることが出来るの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋼材処理方法及び装置の基本構成図
面。
【図2】鋼材処理方法の行程と手順を、バルブ機構の開
閉により示した図面。
【図3】処理タンクTと蓋体22と鋼材載置台26の部
分の側面図。
【図4】処理タンクTに蓋体22を閉鎖した状態の側面
図。
【図5】蓋体22の正面図。
【図6】処理タンクTの正面断面図。
【図7】鋼材載置台26の上に鋼材Wを載置した状態の
正面図。
【図8】処理状態における処理タンクTの内部の断面
図。
【符号の説明】
Me メチレンクロライド溶液 C コンプレッサ B ボイラー T 処理タンク P 真空ポンプ W 鋼材 Wa 水 S 界面活性剤液 14 混合液タンク 15 チラー 16 コンデンサ 18 冷却水タンク 21 コンデンサパイプ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素系有機溶剤と水を混合して加熱し、
    該塩素系有機溶剤の蒸気と水蒸気を発生させ、該塩素系
    有機溶剤の蒸気と水蒸気を、鋼材を封入した処理タンク
    内に充填して鋼材組織空隙に浸透させ、鋼材組織空隙中
    の付着物を溶出すると共に、鋼材表面に防食性の高い錆
    びにより不動態皮膜を構成することを特徴とする鋼材処
    理方法。
  2. 【請求項2】 メチレンクロライド溶液と水を混合して
    加熱し、メチレンクロライド蒸気と水蒸気を発生させ、
    該メチレンクロライド蒸気と水蒸気を、鋼材を封入した
    処理タンク内に充填して鋼材組織空隙に浸透させ、鋼材
    組織空隙中の付着物を溶出すると共に、鋼材表面に防食
    性の高い錆びにより不動態皮膜を構成することを特徴と
    する鋼材処理方法。
  3. 【請求項3】 メチレンクロライド溶液と水と界面活性
    剤液を混合して混合液とし、該混合液を加熱し、メチレ
    ンクロライド蒸気と水蒸気と界面活性剤蒸気を発生さ
    せ、該混合蒸気を、鋼材を封入した処理タンク内に充填
    して鋼材組織空隙に浸透させ、鋼材組織空隙中の付着物
    を溶出すると共に、鋼材表面に防食性の高い錆びにより
    不動態皮膜を構成することを特徴とする鋼材処理方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の鋼材処理方法において、メチ
    レンクロライド溶液と水と界面活性剤液の重量比率を、
    略5・4・1とし、界面活性剤液の比率は1以下の比率
    とし、該混合液の加熱温度を70〜140°Cの範囲と
    したことを特徴とする鋼材処理方法。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2又は3に記載の鋼材処理
    方法において、処理タンクを真空状態とし、鋼材を脱気
    状態で処理することを特徴とする鋼材処理装置。
JP30623694A 1994-04-26 1994-12-09 鋼材処理方法及び装置 Pending JPH08165586A (ja)

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