JPH0649620A - 耐孔食性が優れた銅又は銅合金管及びその製造方法 - Google Patents

耐孔食性が優れた銅又は銅合金管及びその製造方法

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JPH0649620A
JPH0649620A JP20683092A JP20683092A JPH0649620A JP H0649620 A JPH0649620 A JP H0649620A JP 20683092 A JP20683092 A JP 20683092A JP 20683092 A JP20683092 A JP 20683092A JP H0649620 A JPH0649620 A JP H0649620A
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JP
Japan
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copper
corrosion resistance
copper alloy
tube
alloy tube
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JP20683092A
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Inventor
Kenki Minamoto
堅樹 源
Akinori Tsuchiya
昭則 土屋
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐孔食性が優れ、熱交換器用伝熱管及び配管
用として好適の銅又は銅合金管を得る。 【構成】 本発明に係る耐孔食性が優れた銅又は銅合金
管は、その表面に厚さが10乃至10000 Åの酸化皮膜を有
し、且つ表面の残留炭素量がXPS分析(X線光電子分
光分析)におけるC/Cu強度比で1.5以下である。
このような銅又は銅合金管は、CO濃度が 0.1乃至5.0
体積%の雰囲気中において、 320乃至720 ℃の温度で焼
鈍することにより得ることができる。 【効果】 蟻の巣腐食を防止することができる。また、
熱交換器組み立て後の有機溶剤による洗浄工程を省略す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱交換器用伝熱管及び
配管用等に好適の耐孔食性が優れた銅又は銅合金管及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】空調機等に使用されている熱交換器の伝
熱管としては、通常、銅又は銅合金管が使用されてい
る。銅又は銅合金管は、耐食性及び伝熱性等が良好であ
り、種々の環境において優れた性能を示す。しかし、例
えば熱交換器においては、製造後から据え付けまでの間
に腐食(孔食)が進行し、使用時に冷媒の漏洩事故が生
じることも報告されている。このような腐食は、断面形
状があたかも蟻の巣のように不規則な形をしていること
から、蟻の巣腐食といわれる。
【0003】この蟻の巣腐食は、機器組み立て工程で使
用される有機溶剤又は揮発性潤滑油の揮発残留物が管表
面に付着し、この残留物が加水分解してカルボン酸が生
成され、このカルボン酸が腐食媒として作用することに
より発生するといわれている。このため、従来は、組み
立て工程終了後に管表面を洗浄し、管表面の残留物を除
去している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
環境保護の目的から、機器組み立て時に使用した潤滑油
を洗浄するための有機溶剤の使用が規制される傾向にあ
り、洗浄工程を省略するために潤滑油として揮発性潤滑
油がより一般的に使用されるようになった。この場合
に、揮発性潤滑油中に銅又は銅合金管の表面に残留する
成分が含まれていなければ蟻の巣腐食が発生することは
ないが、実際には、揮発性潤滑油中に添加された油性添
加剤の一部が管表面に残留し、熱影響を受けて分解する
ことにより蟻の巣腐食の原因となる。
【0005】近年、上述の如く、洗浄工程が省略される
傾向があるため、銅又は銅合金管において蟻の巣腐食が
発生する虞れが高まっている。このため、銅又は銅合金
管自体の耐食性を高めることが要望されている。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、耐食性(特に、蟻の巣腐食に対する耐食
性)が高く、熱交換器用伝熱管及び配管用として好適の
耐孔食性が優れた銅又は銅合金管及びその製造方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐孔食性が
優れた銅又は銅合金管は、その表面に厚さが10乃至1000
0 Åの酸化皮膜を有し、且つ表面の残留炭素量がX線光
電子分光分析におけるC/Cu強度比で1.5以下であ
ることを特徴とする。
【0008】本発明に係る耐孔食性が優れた銅又は銅合
金管の製造方法は、銅又は銅合金鋳塊を所定の管形状に
抽伸加工する工程と、この抽伸材をCO濃度が 0.1乃至
5.0体積%の雰囲気中において 320乃至720 ℃の温度で
焼鈍することにより軟質化する工程とを有することを特
徴とする。
【0009】
【作用】本願発明者等は、特に蟻の巣腐食に対する耐食
性が優れた銅又は銅合金管を得るべく、種々実験研究を
行なった。その結果、以下のことが判明した。
【0010】金属材料の腐食に対しては、その表面状態
が大きく影響することは勿論であるが、銅又は銅合金管
の場合は、表面に所定の厚さで酸化皮膜を形成すること
により、孔食(特に、蟻の巣腐食)に対する耐食性を向
上させることができる。この場合に、耐食性は、単に酸
化皮膜の厚さにより決定されるのではなく、酸化皮膜の
電気化学的性質にも大きく影響される。
【0011】一般的に、炭素質皮膜は、表面電位が高
く、且つ電子伝導性に富むので、腐食反応促進効果があ
る。従って、銅又は銅合金管の耐食性を向上させるため
には、管表面の残留炭素量は少ないほど好ましい。しか
し、広く工業的に使用されているDXガス(炭化水素の
燃焼ガス)雰囲気で銅又は銅合金管を焼鈍すると、雰囲
気中のCOがCO2 とCとに分解しこのCが管表面に析
出して、その結果、管表面に形成される酸化皮膜中に微
量の炭素が残留する。この残留炭素の量は少ないほうが
好ましいが、厳密な意味で皆無にすることはコストの面
で実用的でない。管表面に残留する微量の炭素の定量分
析は極めて困難である。しかし、本願発明者等は、X線
光電子分光分析(以下、XPS分析という)におけるC
とCuとのピーク強度の比(C/Cu強度比)を用いる
と、残留炭素量の絶対値ではないが、酸化皮膜中の炭素
残留量と耐食性との関係を示すことができるとの知見を
得た。
【0012】なお、XPS分析法は、固体表面にX線を
照射すると光電効果により光電子が放出され、この光電
子の運動エネルギーは入射X線のエネルギーと電子の固
体内での結合エネルギーとの差となることを利用して、
元素分析及び化学結合状態等を調べるのに用いられてい
る方法である。
【0013】以下に、本発明における酸化皮膜の膜厚の
限定理由及び残留炭素量のXPS分析におけるC/Cu
強度比の数値限定理由について説明する。
【0014】上述の如く、銅又は銅合金管の場合は、そ
の表面に酸化皮膜を均一に形成することにより耐食性が
向上する。しかし、酸化皮膜の膜厚が10Å未満の場合は
この効果を十分に得ることができない。一方、酸化皮膜
の膜厚が 10000Åを超えると、銅又は銅合金管に対して
曲げ加工を施す際にクラックが発生してミクロ的に膜厚
が不均一な状態になり、却って腐食が発生しやすくな
る。このため、管表面の酸化皮膜の膜厚は、10乃至1000
0 Åであることが必要である。
【0015】また、表面層の残留炭素のXPS分析にお
けるC/Cu強度比が1.5を超える場合は、皮膜表面
の表面電位が高く、腐食反応が促進されて、耐孔食性が
劣化する。このため、管表面のXPS分析におけるC/
Cu強度比は1.5未満であることが必要である。
【0016】本願発明者等は、このような表面酸化皮膜
を有する銅又は銅合金管の製造方法についても実験研究
を行なった。その結果、焼鈍時における雰囲気中のCO
濃度及び温度をいずれも所定の範囲に管理することによ
り、管表面の酸化皮膜の厚さ及び炭素量を制御できるこ
とが判明した。
【0017】即ち、本発明方法においては、所定の管形
状に抽伸加工した抽伸材を、CO濃度が 0.1乃至5.0 体
積%の雰囲気中において 320乃至720 ℃の温度で焼鈍
し、軟質化する。焼鈍時の雰囲気中のCO濃度が 0.1体
積%未満の場合は、雰囲気に還元性がないために管表面
の変色が避けられず、商品価値が劣化する。また、焼鈍
時の雰囲気中のCO濃度が 5.0体積%を超えると、雰囲
気の還元性が強いため、CO→CO2 +Cの反応が進
み、管表面の残留炭素量が増加して耐食性が低下する。
このため、焼鈍時の雰囲気中におけるCO濃度は 0.1乃
至5.0 体積%とする。
【0018】また、焼鈍温度が 320℃未満の場合は、軟
質化処理を行なうのに必要な熱処理時間が長くなって実
用的でなくなる。一方、焼鈍温度が 720℃を超えると、
管表面の酸化皮膜の膜厚が厚くなり、 10000Åを超える
ことが多くなる。このため、焼鈍温度は 320乃至720 ℃
とする。
【0019】
【実施例】次に、本発明の実施例について、その比較例
と比較して説明する。
【0020】先ず、りん脱酸銅管(JIS H3300 C1220T)
を外径が9.52mm、肉厚が0.35mmに抽伸成形加工した。そ
して、このりん脱酸銅管に対して、雰囲気中のCO濃度
及び焼鈍温度を下記表1に示すように設定して焼鈍を行
ない、実施例及び比較例の各銅管を得た。
【0021】これらの実施例及び比較例の各銅管の表面
酸化皮膜の厚さを陰極還元法により測定した。その結果
を表1に併せて示す。また、実施例及び比較例の各銅管
の表面の色調も調べた。その結果も表1に併せて示す。
但し、色調は、変色がない場合を○、変色した場合を×
で示した。
【0022】更に、実施例及び比較例の各銅管の表面の
残留炭素量をXPS分析により求めた。即ち、実施例及
び比較例の各銅管表面部分を1辺が 6mmの正方形に切り
出しこれを試料として、この試料に下記表2に示す条件
でX線を照射し、C/Cu強度比を調べた。その結果も
表1に併せて示した。なお、C/Cu強度比は、CとC
uとの相対的な値であるので、X線強さを表2に示す条
件より弱くしても、C/Cu強度比は同一の値となる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】次いで、実施例及び比較例の各銅管に対し
腐食試験を実施して、最大腐食深さを調べた。即ち、蟻
の巣腐食を考慮して、濃度が 0.1重量%の蟻酸を装入し
た密封瓶の気相中に実施例及び比較例の各銅管から切り
出した試験片をおき、1ヵ月間曝露試験を行なった。そ
の後、試験片の断面を顕微鏡で観察して、蟻の巣腐食の
最大腐食深さを測定した。その結果も表1に併せて示し
た。
【0026】この表1から明らかなように、実施例1乃
至5はいずれも変色がなく、色調が良好であると共に、
耐食性も良好であった。一方、焼鈍時の雰囲気中のCO
濃度が低い比較例1においては、変色が発生した。ま
た、XPS分析によるC/Cu強度比が1.5を超える
比較例2,3及び皮膜の厚さが厚い比較例4はいずれも
腐食深さが深く、耐食性が十分でないものであった。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る耐孔食
性が優れた銅又は銅合金管は、その表面に所定の厚さの
酸化皮膜を有し、且つ表面の残留炭素量がX線光電子分
光分析におけるC/Cu強度比で所定値以下に設定され
ているから、耐食性(特に、蟻の巣腐食に対する耐食
性)が優れている。このため、本発明に係る銅又は銅合
金管は、例えば空調機の熱交換器用伝熱管として使用し
た場合に、機器組み立て後の有機溶剤による洗浄工程を
省略しても、冷媒の漏洩等の事故の発生を防止すること
ができる。
【0028】また、本発明方法においては、管形状に抽
伸加工した抽伸材を所定のCO濃度の雰囲気中において
所定の焼鈍温度で焼鈍するため、上述の耐孔食性が優れ
た銅又は銅合金管を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その表面に厚さが10乃至10000 Åの酸化
    皮膜を有し、且つ表面の残留炭素量がX線光電子分光分
    析におけるC/Cu強度比で1.5以下であることを特
    徴とする耐孔食性が優れた銅又は銅合金管。
  2. 【請求項2】 銅又は銅合金鋳塊を所定の管形状に抽伸
    加工する工程と、この抽伸材をCO濃度が 0.1乃至5.0
    体積%の雰囲気中において 320乃至720 ℃の温度で焼鈍
    することにより軟質化する工程とを有することを特徴と
    する耐孔食性が優れた銅又は銅合金管の製造方法。
JP20683092A 1992-08-03 1992-08-03 耐孔食性が優れた銅又は銅合金管及びその製造方法 Pending JPH0649620A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003328060A (ja) * 2002-05-02 2003-11-19 Mitsubishi Materials Corp 焼結合金とその製造方法
JP2007154221A (ja) * 2005-11-30 2007-06-21 Kobelco & Materials Copper Tube Inc 耐孔食性銅又は銅合金管
JP2012122126A (ja) * 2010-12-10 2012-06-28 Central Research Institute Of Electric Power Industry 表面改質銅部材
JP2012122125A (ja) * 2010-12-10 2012-06-28 Central Research Institute Of Electric Power Industry 表面改質銅部材の製造方法、触媒部材及びそれを用いた有機合成方法

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