JPH08152089A - ホース継手構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】スパナなどの工具を不要として組付け可能であ
り、かつ製造も容易なホース継手構造を提供する。 【構成】ホース２が締結されたパイプ３先端が相手部材
１に挿通固定されたホース継手構造であって、パイプ３
は鍔部３０をもち、パイプ３と相手部材１の間にはリン
グ状の弾性シール部材４と弾性ブッシュ５とを有し、弾
性シール部材４でシール性を確保するとともに、鍔部３
０が弾性ブッシュと５ストッパ６との間で挟持されるこ
とでパイプ３が相手部材１と結合されていることを特徴
とする。パイプ３を相手部材１に挿入し、弾性ブッシュ
５を圧縮しながらストッパ６を差し込むだけで、工具な
しで容易に組付けることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はホース継手構造に関し、
詳しくは工具を不要として組付けることができる簡便な
ホース継手構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年の自動車エンジンには、従来のキャ
ブレタに代わって、燃料の供給をコンピュータにより高
精度に制御する電子制御燃料噴射装置が用いられてい
る。この電子制御燃料噴射装置では、コンピュータは吸
入空気量、エンジン回転数、水温、吸気温、スロットル
開度、排気中の酸素濃度などの信号を入力し、走行状態
に応じた最適な燃料噴射量を演算して出力する。そして
コンピュータからの制御信号により各気筒に設けられた
インジェクタが制御され、最適な燃料噴射量でインジェ
クタから燃料が各気筒内へ噴射される。これにより、燃
費の向上、排ガス浄化、ドライバビリティの向上などの
効果が得られる。

【０００３】デリバリーパイプは各インジェクタをまと
めて保持するとともに、フューエルポンプから供給され
る燃料を各インジェクタに分配する機能を有し、エンジ
ン近傍に固定されて用いられる。このデリバリーパイプ
１００の一端には、図６に示すようにフューエルポンプ
に連結されたホース２００が目玉継手３００、ガスケッ
ト３０１，３０２及び穴あきボルト４００を介して固定
され、ホース２００から供給される燃料は目玉継手３０
０からデリバリーパイプ１００内の燃料通路を通って各
インジェクタに分配される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】デリバリーパイプ１０
０とホース２００を結合するには、上記したように目玉
継手３００が必要となっている。この目玉継手３００
は、図７に示すようにリング部３０３と、パイプ部３０
４及びニップル３０５とから構成され、ろう付けなどに
よりこの三つの部品を接合する必要があるため、部品点
数及び工数が多大となるという問題がある。またリング
部３０３とニップル３０５とは切削により製造されてい
るため、製造工数も多大であった。

【０００５】さらにこの目玉継手３００をデリバリーパ
イプ１００と結合するには、穴あきボルト４００を締結
する必要があり、スパナなどの工具が必要となるため組
付け工数が多大であった。本発明はこのような事情に鑑
みてなされたものであり、スパナなどの工具を不要とし
て組付け可能であり、かつ製造も容易なホース継手構造
を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のホース継手構造は、パイプが締結されたホースと、
パイプ先端が挿通固定された相手部材とからなるホース
継手構造であって、パイプは先端から所定距離後方に鍔
部をもち、相手部材に保持され鍔部に係合してパイプを
相手部材に進入する方向へ付勢した状態で相手部材内に
保持するストッパと、鍔部と相手部材との間に介在され
ストッパの付勢力により鍔部で相手部材に押圧されて弾
性反力が蓄えられた弾性ブッシュと、パイプ先端の外周
表面と相手部材の内周面の間に介在するリング状の弾性
シール部材とを有し、鍔部が弾性ブッシュとストッパと
の間で挟持されることでパイプが相手部材と結合されて
いることを特徴とする。

【０００７】

【作用】本発明のホース継手構造を構成するには、先ず
パイプ先端の外周表面又は相手部材の内周表面の一方に
オーリングなどの弾性シール部材を装着する。またパイ
プの先端から弾性ブッシュを挿着するか、又は相手部材
に弾性ブッシュを装着する。そしてパイプを相手部材に
挿入し、弾性シール部材をパイプの外周表面と相手部材
の内周表面とで挟持して両表面に弾接させるとともに、
鍔部で弾性ブッシュを軸方向に押圧して相手部材と弾接
させ弾性ブッシュを弾性変形させた状態とする。

【０００８】その状態でストッパを鍔部と係合させてパ
イプを相手部材に保持させることで、鍔部はストッパで
弾性ブッシュに押圧された状態が維持され、鍔部はスト
ッパと弾性ブッシュとの間で挟持された状態で保持され
る。このようにして得られたホース継手では、弾性シー
ル部材によりパイプと相手部材の間が液密にシールさ
れ、弾性ブッシュを介してパイプが相手部材に保持され
ているので振動が緩衝される。

【０００９】

【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。図１
及び図２に本発明の一実施例のホース継手構造の全体構
成図を示す。本実施例は、自動車エンジンに燃料を供給
するデリバリーパイプ（相手部材）に燃料ホースを結合
する場合に本発明を適用したものである。

【００１０】このホース継手構造は、デリバリーパイプ
１と、燃料ホース２と、デリバリーパイプ１と燃料ホー
ス２の間に介在するパイプ３と、パイプ３とデリバリー
パイプ１の間に介在するオーリング４、ゴムブッシュ５
及びストッパ６から構成されている。デリバリーパイプ
１には、図２に示すように軸方向に延びる燃料通路１０
が貫通し、燃料通路１０の先端には燃料通路１０より径
の大きな大径部１１と、燃料通路１０から大径部１１に
向かって徐々に拡径するテーパ部１２が形成されてい
る。また先端には、互いに間隔を隔てて軸方向に突出す
る一対の突起１３，１４が形成され、先端部には燃料通
路１０に対して直交して延び大径部１１を貫通するスト
ッパ穴１５が設けられている。

【００１１】パイプ３は略Ｌ字状に曲折され、図２に示
すように先端から所定距離後方に鍔部３０をもち、先端
には所定距離離れて平行に列設された一対のビード部３
１，３２が形成されている。またパイプ３の他端にはニ
ップル部３３とスリーブ溝３４が形成され、スリーブ溝
３４にはスリーブ３５が保持されている。そして燃料ホ
ース２にニップル部３３が挿入され、スリーブ３５が外
周から加締められることで、燃料ホース２とパイプ３が
締結されている。

【００１２】オーリング４は、パイプ３の一対のビード
部３１，３２の間に保持され、パイプ３の外周表面とデ
リバリーパイプ１の燃料通路１０の内周表面とに弾接し
ている。またゴムブッシュ５は、パイプ３に挿通されて
鍔部３０に当接し、デリバリーパイプ１の大径部１１内
に配置されている。バネ鋼から形成されたストッパ６
は、図１に示すように断面Ｌ字状に曲折した頭部６０
と、頭部６０から断面で湾曲して延びる一対の脚部６１
と、脚部６１の先端に設けられた係止突起６２とから構
成され、一対の脚部６１の間には溝部６３が形成されて
いる。

【００１３】ストッパ６はストッパ穴１５に挿入され、
溝部６３にパイプ３が係合し脚部６１が鍔部３０の後方
表面に当接して、鍔部３０を前方へ付勢した状態で、頭
部６０及び係止突起６２がストッパ穴１５の開口縁部に
係合してデリバリーパイプ１に固定されている。そして
ゴムブッシュ５はストッパ６で前方へ付勢された鍔部３
０と大径部１１の底面との間で圧縮され、ゴム弾性によ
り鍔部３０をストッパ６に向かって付勢している。した
がって鍔部３０はゴムブッシュ５とストッパ６とで挟持
され、これによりパイプ３はデリバリーパイプ１内で保
持固定されている。

【００１４】したがって本実施例のホース継手構造によ
れば、オーリング４によりパイプ３とデリバリーパイプ
１とは液密にシールされている。またゴムブッシュ５が
パイプ３とデリバリーパイプ１の間に介在しているの
で、振動が緩衝される。そして鍔部３０がゴムブッシュ
５とストッパ６に当接することでパイプ３の軸方向の相
対移動が規制され、パイプ３が突起１３と突起１４の間
に配置されることで回り止めがなされている。

【００１５】本実施例のホース継手構造を構成するに
は、先ず図３に示すようにパイプ３を製作する。このパ
イプ３は、一般のパイプ材３’を所定長さに切断した後
（図３（ａ））、ビード加工により鍔部３０を形成する
（図３（ｂ））。そして先端からゴムブッシュ５を挿通
し、その後先端に一対のビード部３１，３２を形成する
（図３（ｃ））。一方、パイプ３の他端にはニップル部
３３とスリーブ溝３４がビード加工により形成され、ス
リーブ３５が装着される（図３（ｄ））。

【００１６】このようにして得られたパイプ３は、所定
のＬ字形状に曲折後、ニップル部３３が燃料ホース２に
挿入されスリーブ３５が加締められて燃料ホース２と締
結される。そして一対のビード部３１，３２にオーリン
グ４が装着され、その状態でアッセンブリ部品として供
給される（図３（ｅ））。自動車の組付けラインに供給
された上記アッセンブリ部品は、作業者によりパイプ３
の先端がデリバリーパイプ１の大径部１１の開口から挿
入される。このときパイプ３の他端が突起１３と突起１
４の間に位置するように向きを調節する。大径部１１の
開口はパイプ３の径より十分大きいので、挿入作業は極
めて容易である。そしてパイプ３を挿入するにつれて、
オーリング４はテーパ部１２により徐々に圧縮されるの
で、挿入抵抗が少なく容易に挿入できる。

【００１７】そして、ゴムブッシュ５が大径部１１の底
面に当接した後もさらに押圧し、ゴムブッシュ５を圧縮
して鍔部３０の後方表面とストッパ穴１５の先端側の内
側表面との間にストッパ６が挿入できるだけの空間を確
保する。そしてパイプ３の押圧を維持しながら、ストッ
パ穴１５にストッパ６を挿入し、頭部６０と係止突起６
２とでデリバリーパイプ１に固定した後、パイプ３の押
圧を解除する。

【００１８】すると鍔部３０はゴムブッシュ５のゴム弾
性によりストッパ６に押圧され、また鍔部３０はストッ
パ６の脚部６１の弾性力によりゴムブッシュ５に押圧さ
れて、両方の力が釣り合った位置で鍔部３０が保持され
る。すなわち本実施例のホース継手構造によれば、作業
者は一方の手でパイプ３をデリバリーパイプ１に挿入し
て押圧しながら、他方の手でストッパ６をストッパ穴１
５に挿入するだけでパイプ３をデリバリーパイプ１に固
定することができ、工具を使用しないで容易に固定する
ことができるので、組付作業時間を短縮することができ
る。

【００１９】またストッパ６をストッパ穴１５から抜け
ばパイプ３をデリバリーパイプ１から抜くことができ、
着脱可能なホース継手構造となっている。さらに本実施
例のホース継手構造によれば、従来の目玉継手や穴あき
ボルトなどが不要となり、さらにパイプ材のビード加工
などによりパイプ３を形成できるので、目玉継手の製造
に必要であったロウ付けや切削などの工数が不要となる
ので、大幅なコストの低下を図ることができる。

【００２０】なお、パイプ３の外周表面に図４に示すよ
うな平行溝３６を設け、ストッパ６の一対の脚部６１が
この平行溝３６と係合するようにすれば、一対の突起１
３，１４を設けなくても継手構造におけるパイプ３とデ
リバリーパイプ１の回転方向の相対移動を防止すること
ができる。また上記実施例ではオーリング４をパイプ３
に保持したが、図５に示すようにデリバリーパイプ１の
内周表面に設けたリング溝１６にオーリング４を保持さ
せることもできる。この場合はパイプ３の一対のビード
部３１，３２が不要となる。

【００２１】さらに上記実施例ではストッパ６を別体と
したが、デリバリーパイプ１に内蔵させることもでき
る。この場合はパイプ３をデリバリーパイプ１に挿入す
るだけで結合することができ、ワンタッチで組付けるこ
とが可能となる。

【００２２】

【発明の効果】すなわち本発明のホース継手構造によれ
ば、工具を用いずとも容易に組付けることができるの
で、組付作業工数を大幅に低減することができる。そし
て切削加工やロウ付けなどの工程を用いずにパイプを製
造することができるので、用いる部品のコストも大幅に
低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のホース継手構造の全体構成
を示す斜視図である。

【図２】本発明の一実施例のホース継手構造の断面図で
ある。

【図３】本発明の一実施例のホース継手構造のパイプの
製造工程を示す説明図である。

【図４】実施例の他の態様を示し、パイプの要部断面図
である。

【図５】実施例の他の態様のホース継手構造の要部断面
図である。

【図６】従来のホース継手構造の全体構成を示す斜視図
である。

【図７】従来のホース継手構造に用いられた目玉継手の
断面図である。

【符号の説明】

１：デリバリーパイプ（相手部材） ２：燃料ホース ３：パイプ ４：オーリング
（弾性シール部材） ５：ゴムブッシュ（弾性ブッシュ） ６：ストッパ １５：ストッパ穴 ３０：鍔部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 パイプが締結されたホースと、該パイプ
   先端が挿通固定された相手部材とからなるホース継手構
   造であって、 該パイプは先端から所定距離後方に鍔部をもち、該相手
   部材に保持され該鍔部に係合して該パイプを該相手部材
   に進入する方向へ付勢した状態で該相手部材内に保持す
   るストッパと、該鍔部と該相手部材との間に介在され該
   ストッパの付勢力により該鍔部で該相手部材に押圧され
   て弾性反力が蓄えられた弾性ブッシュと、該パイプ先端
   の外周表面と該相手部材の内周面の間に介在するリング
   状の弾性シール部材とを有し、 該鍔部が該弾性ブッシュと該ストッパとの間で挟持され
   ることで該パイプが該相手部材と結合されていることを
   特徴とするホース継手構造。