JPH08143678A - スター型ポリマーの製造方法 - Google Patents

スター型ポリマーの製造方法

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JPH08143678A
JPH08143678A JP28816494A JP28816494A JPH08143678A JP H08143678 A JPH08143678 A JP H08143678A JP 28816494 A JP28816494 A JP 28816494A JP 28816494 A JP28816494 A JP 28816494A JP H08143678 A JPH08143678 A JP H08143678A
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weight
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JP28816494A
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English (en)
Inventor
Takeshi Fujiyama
毅 藤山
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プロセス上安価なラジカル重合を用いてスタ
ーポリマーを製造する方法を提供すること。 【構成】 オレフィン系単量体をラジカル重合するにあ
たり、一般式(1)で表されるアゾ開始剤 【化1】 と一般式(2)で表される連鎖移動剤 【化2】 の存在下、ラジカル重合反応を行ってアルコキシシリル
基を末端に有するポリマーを得、次いでこれをゾルーゲ
ル法により加水分解/縮重合させるスターポリマーの製
造方法。 【効果】 高流動性、耐衝撃性付与を目的としたスター
ポリマーを低コストで製造できる。また新規な異なる高
分子鎖を有するスターポリマーも製造することができ
る。本発明で得られるスターポリマーは、各種プラスチ
ック成形品等の原料または、高分子シランカップリング
剤、高流動性や耐衝撃性向上などを目的とした樹脂添加
物、あるいはポリマーブレンド用相溶化剤として利用で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種プラスチックフィ
ルムや成形品等の原料または、高分子シランカップリン
グ剤、高流動性や耐衝撃性向上などを目的とした樹脂添
加物、あるいはポリマーブレンド用相溶化剤としてのオ
レフィン系スターポリマーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】樹脂添加剤を目的としたスターポリマー
の製造は、古くから検討されておりその製造方法には、
グリニヤール反応とシランのハイドロシリレーションを
逐次繰り返す方法(Macromolecules1980,Vol.13,p191-1
93)やリビングアニオン重合法を用いた方法(Die Makro
molekulare Chemie1971,Vol.142,p1-20、Macromolecule
s1991, Vol.24,No.6,p1431)などが主な代表例である。
一方、相溶化剤を目的としてマクロアゾ開始剤を用いた
ABブロック共重合体の製造方法についても数多く検討さ
れており、ウレタン−ビニルブロック共重合体の製造(M
akromol.Chem.1993,Vol.194,p2335-2347) やアクリル−
シリコーンブロック共重合体の製造(Polymer Preprint
s,Japan1992,Vol.41,No.4,p1482)などの報告例がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のスター型ポリマ
ー化の主な用途は、添加剤としてのポリマーへの高流動
性、耐衝撃性向上などの特性付与である。しかし、これ
にAB型ブロックポリマーの有するポリマーブレンド時の
相溶化能を兼ね備えた、異なる高分子鎖を有するスター
ポリマーの合成に関する報告例はない。また、従来のス
ターポリマーの製造方法に注目すると、プロセス上安価
なラジカル重合を用いてスターポリマーを作製する報告
例はなく、リビングアニオン重合が一般的であり、高価
なアルキル金属塩を開始剤として、極低温域(77K)
にて温度コントロールして作製しているのが現状であ
り、この方法における工業化の例はコスト高となること
から殆ど見当たらない。本発明の目的は、プロセス上安価
なラジカル重合を用いてスターポリマーを製造する方法
を提供することにあり、また同時に従来のスターポリマ
ーにない構造、すなわち異なる高分子鎖を有するスター
ポリマーの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる事情
を鑑み鋭意研究の結果、これらの課題を解決した簡便な
ラジカル重合法を用いて、同種或いは異種の高分子鎖を
有するスターポリマーを製造する方法を見いだした。本
発明で得られるスターポリマーは樹脂に一部添加するこ
とにより、高流動性、耐衝撃性、さらにはポリマーブレ
ンド時に相溶性を付与することができる。すなわち本発
明は、置換基を有してもよいオレフィン系単量体をラジ
カル重合するにあたり、一般式(1)で表されるアゾ開
始剤
【化3】 (但し、式中xは0〜2の整数を表わし、R1及びR3
は1価の飽和炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜20
の飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示す。)と一
般式(2)で表される連鎖移動剤
【化4】 (但し、式中yは0〜2の整数を示し、R4及びR5は
1価の飽和炭化水素基を示し、R6は炭素数1〜6の2
価の飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示す。)の
存在下、ラジカル重合反応を行ってアルコキシシリル基
を末端に有するポリマーを得、次いでこれをゾルーゲル
法により加水分解/縮重合させることを特徴とするスタ
ー型ポリマーの製造方法である。又ラジカル重合反応を
複数回行って2種類以上のアルコキシシリル基を末端に
有するポリマーを得、次いでこれを混合したのち、ゾル
ーゲル法により加水分解/縮重合させる上記スター型ポ
リマーの製造方法である。
【0005】本発明で用いられる置換基を有してもよい
オレフィン系単量体とは、ラジカル重合可能なモノマー
であれば特に制限なく用いることができる。具体的に例
示すれば、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルス
チレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、ジビ
ニルベンゼン、アセナフチレン、エチレン、プロピレ
ン、クロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、1−
ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−
ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、ビ
ニルシクロヘキサン、シクロブテン、シクロペンテン、
シクロヘキセン、ノルボルネン、α−ピネン、β−ピネ
ン、イソブテンなどの炭化水素系モノマー類;ブタジエ
ン、イソプレン、クロロプレン、フェニルプロパジエン
などの共役ジエン類;1,5−ヘキサジエン、1,9−
デカジエンなどの非共役ジエン類;シクロペンタジエ
ン、1,5−ノルボルナジエン、1,3−シクロヘキサ
ジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロ
オクタジエン、1,3−シクロオクタジエンなどの環状
ジエン類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテ
ル、イソブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル
類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プ
ロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−
ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、s−ブ
チルアクリレート、t−ブチルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ドデ
シリアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘ
キシルアクリレート、ベンジルアクリレート、テトラヒ
ドロフルフリルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−メト
キシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレ
ート、エチルカルビノールアクリレート、アリルアクリ
レート、グリシジルアクリレート、ジメチルアミノアク
リレート、アクリル酸、アクリル酸ソーダ、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、1,4−ブタンジオー
ルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレートなどのアクリル酸及
びアクリル酸エステル系モノマー類;その他、アクリル
アミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル、無水マレイン
酸、メチルビニルケトン、N−ビニルカルバゾール、フ
ェニルマレイミド、ビニルピリジンなどのラジカル重合
性モノマーを挙げることができる。これらのモノマーは
1種類で用いてもよく、また2種類以上を用いて共重合
させてもよい。
【0006】本発明で用いられる両末端にアルコキシシ
リル基を有する一般式(1)のアゾ開始剤の具体的なも
のとしては、下記構造式(3)や(4)
【化5】
【化6】 等を挙げることができる。これらは、下記一般式(5)
で示す官能基(アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ
ル基)を両末端に有する市販のアゾ開始剤
【化7】 (式中、Xはアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル
基などを表わし、R7は2〜6価の飽和炭化水素、芳香
族炭化水素基などを表わす)と下記一般式(6)で示す
市販のシランカップリング剤
【化8】 {式中Yは、(5)のXがアミノ基の場合イソシアナー
ト基、Xがヒドロキシル基の場合、エポキシ基又はイソ
シアナート基を表わし、Xがカルボキシル基の場合はア
ミノ基又はエポキシ基をそれぞれ示す。またR1及びR
3は1価の飽和炭化水素基を示し、R8は炭素数1〜1
0の2価の飽和炭化水素基(アルキレン基、アルキリデ
ン基など)又は芳香族炭化水素基などを表わす}との付
加反応(XとYとの官能基どうし)により合成すること
ができる。
【0007】一般式(5) のアゾ開始剤の具体例を示す
と、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプ
ロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−
アゾビス(N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプ
ロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−
アゾビス(N−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチ
ルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,
2’−アゾビス(2−メチル−N−(フェニルメチル)
−プロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,
2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−プロペニル)
プロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’
−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイド
ロクロライド、2,2’−アゾビス(N−(2−ヒドロ
キシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン)ジハイ
ドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−(5−メチ
ル−2−イミダゾリン)−2−イル)プロパン)ジハイ
ドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−(4,5,
6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2
−イル)プロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−
アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパ
ン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−
(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イ
ル)プロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾ
ビス(2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6− テト
ラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン)ジハイドロ
クロライド、2,2’-アゾビス(2−(1−(2−ヒ
ドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロ
パンジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−
(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)、2,2’
−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロ
キシメチル)−2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミ
ド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(1,1−
ビス(ヒドロキシメチル)エチル)プロピオンアミ
ド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒ
ドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−ア
ゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレイ
ト、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオ
ネイト)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック
アシッド)、2,2’−アゾビス(2−(ヒドロキシメ
チル)プロピオンニトリルなどである。
【0008】また、一般式(6)で表わせる市販のシラ
ンカップリング剤の内イソシアナート基を有するアルコ
キシシラン類の具体例を示すと、3−イソシアナートプ
ロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピ
ルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルト
リプロポキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリ
ブトキシシラン、2−イソシアナートエチルトリエトキ
シシラン、2−イソシアナートエチルトリメトキシシラ
ン、2−イソシアナートエチルトリプロポキシシラン、
2−イソシアナートエチルトリブトキシシラン、イソシ
アナートメチルトリエトキシシラン、イソシアナートメ
チルトリメトキシシラン、イソシアナートメチルトリプ
ロポキシシラン、イソシアナートメチルトリブトキシシ
ランなどのモノイソシアナートトリアルコキシシラン
類、3−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラ
ン、3−イソシアナートプロピルエチルジエトキシシラ
ン、3−イソシアナートプロピルメチルジメトキシシラ
ン、3−イソシアナートプロピルエチルジメトキシシラ
ン、2−イソシアナートエチルメチルジエトキシシラ
ン、2−イソシアナートエチルエチルジエトキシシラ
ン、2−イソシアナートエチルメチルジメトキシシラ
ン、2−イソシアナートエチルエチルジメトキシシラン
などのモノイソシアナートジアルコキシシラン類、3−
イソシアナートプロピルジメチルエトキシシラン、3−
イソシアナートプロピルジエチルエトキシシラン、3−
イソシアナートプロピルジメチルメトキシシラン、3−
イソシアナートプロピルジエチルメトキシシラン、2−
イソシアナートエチルジメチルエトキシシラン、2−イ
ソシアナートエチルジエチルエトキシシラン、2−イソ
シアナートエチルジメチルメトキシシラン、2−イソシ
アナートエチルジエチルメトキシシランなどのモノイソ
シアナーモノアルコキシシラン類、あるいはジ(3−イ
ソシアナートプロピル)ジエトキシシラン、ジ(3−イ
ソシアナートプロピル)メチルエトキシシランなどのジ
イソシアナートアルコキシシラン類、または、エトキシ
シラントリイソシアナート、メチルエトキシシランジイ
ソシアナート、メチルメトキシシランジイソシアナー
ト、トリエトキシシランイソシアナート、トリメトキシ
シランイソシアナートなどのケイ素とイソシアナート基
が直接結合したアルコキシシラン類が挙げられる。
【0009】また、一般式(6)で表わせる市販のシラ
ンカップリング剤の内エポキシ基を有するアルコキシシ
ランの具体例を示すと、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−(N−アリル−N−メタクリロイ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N
−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、
N−グリシジル−N,N−ビス(3−(メチルジメトキ
シシリル)プロピル)アミン、N−グリシジル−N,N
−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミ
ン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリエトキシシラン、3−(N−アリル−
N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、
3−(N、N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−グリシジル−N,N−ビス(3−(メ
チルジメトキシシリル)プロピル)アミン、N−グリシ
ジル−N,N−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロ
ピル)アミンなどが挙げられる。
【0010】さらに一般式(6)で表わせる市販のシラ
ンカップリング剤の内アミノ基を有するアルコキシシラ
ン類の具体例を示すと、N−(2−アミノエチル)−3
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−
アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェ
ニルアミノメチルトリメトキシシラン、N−フェニルア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシ
シリルプロピル)尿素、3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、3−(N−アリル−N−(2−アミノエチ
ル))アミノプロピルトリメトキシシラン、p−(N−
(2−アミノエチル)アミノメチル)フェネチルトリメ
トキシシラン、N,N−ビス((メチルジメトキシシリ
ル)プロピル)アミン、N,N−ビス(3−(メチルジ
メトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、N,N
−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミ
ン、N,N−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピ
ル)エチレンジアミン、N−((3−トリメトキシシリ
ル)プロピル)ジエチレントリアミン、N−(3−トリ
メトキシシリル)プロピル)トリエチレンテトラミン、
N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレン
ジアミン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキ
シシランなどが挙げられる。
【0011】これら官能基を有するアゾ開始剤とシラン
カップリング剤の付加反応条件としては、両者の配合率
が前者/後者のモル比が1/4〜2で窒素ガス等の不活
性ガス雰囲気下、反応温度20〜130℃の範囲内で撹
拌条件下で7時間程度の反応条件で得られる。この際に
おいては、ラジカル開始剤のアゾ基開裂があまり生じな
い温度条件で、速やかに付加反応する両者の組み合わせ
が好ましく用いられる。例えば3−イソシアナートプロ
ピルトリエトキシシランとアゾ基開裂の半減期が50℃
条件下で45時間である2、2’−アゾビス(2−(2
−イミダゾリン−2−イル)プロパンの反応は、50℃
にて3時間加熱することで速やかに反応して高収率の付
加物を形成するので、本方法にとって好ましい組み合わ
せである。
【0012】本発明で用いられる一般式(2) の連鎖移
動剤は、分子内にラジカル連鎖移動能を有するメルカプ
ト基をもつシリコンアルコキシドであり、具体的に例示
すれば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
これらは1種類用いてもよく、2種類以上併用しても構
わない。
【0013】以下に本発明のオレフィン系単量体をラジ
カル重合する場合の具体的な反応条件等についてさらに
詳細に説明する。本発明におけるオレフィン系単量体の
ラジカル重合反応では、前記したイニファーター(開始
剤、連鎖移動剤)の共存下にて重合反応を行なうが、特
にアゾ開始剤と連鎖移動剤の配合割合は前者よりも後者
が多くなるように配合し、特に前者/後者のモル比が1
/2以下が好ましい。その具体的な重合条件としては、
オレフィン系単量体100重量部に対して溶剤5〜50
0重量部、オレフィン系単量体1モルに対してモル比で
アゾ開始剤50〜15000ppm、連鎖移動剤100
〜30000ppmの範囲内に調整した混合溶液を撹拌
下にて、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下、温度50
〜140℃の範囲内にて1〜48時間加熱し、モノマー
転化率が10〜100%になるまでラジカル重合させる
ことによって片末端アルコキシシリル基含有ポリマーを
得る。
【0014】本発明では、両末端にアルコキシシリル基
を有する開始剤と片末端にアルコキシシリル基を同じく
有する連鎖移動剤を共存させているために、片末端アル
コキシシリル基含有ポリマーが優先的に得られる。アル
コキシシリル基を有する連鎖移動剤を存在させないでラ
ジカル重合反応を行わせた場合は、一般的な成長ラジカ
ル同志のカップリングによる停止反応が優先され、両末
端アルコキシシリル基含有ポリマーしか生成せず、片末
端アルコキシシリル基含有ポリマーは得られない。これ
に対して本発明のアゾ開始剤と連鎖移動剤を共存させた
場合は、ラジカル開始剤のアゾ基開裂にともなうオレフ
イン単量体のラジカル連鎖反応で生じた成長末端活性種
は、適宜の段階において連鎖移動剤のメルカプト基の水
素原子を引く抜いて連鎖重合を停止して、安定した片末
端アルコキシシリル基(開始剤断片のアルコキシシリル
基)含有ポリマーが得られる。すなわち連鎖移動剤の存
在で一般的なアゾ開始剤からの成長ラジカル同志のカッ
プリングによる停止反応が抑制される。引き続き新しく
生じた連鎖移動剤からのラジカル連鎖反応でオレフイン
単量体の連鎖重合による成長末端活性種が、適宜の段階
において存在する連鎖移動剤のメルカプト基の水素原子
を引き抜いて連鎖重合を停止して、安定した片末端アル
コキシシリル基(連鎖移動剤断片のアルコキシシリル
基)含有ポリマーが得られる。
【0015】アゾ開始剤が連鎖移動剤よりも少ない配合
条件では、アゾ開始剤からのラジカル連鎖反応が早く終
了した後は、連鎖移動剤からのラジカル連鎖反応が継続
され、多量に存在する連鎖移動剤のメルカプト基の水素
原子が引き抜かれて連鎖重合を停止して、安定した片末
端アルコキシシリル基(連鎖移動剤断片のアルコキシシ
リル基)含有ポリマーが得られる。また新しく生じた連
鎖移動剤からのラジカル連鎖反応が行われる。最終的な
成長末端活性種の停止反応は、アゾ開始剤の開裂を停止
するため反応温度を室温付近に降温するか、もしくはタ
ーシャリブチルカテコールなどの一般的な重合禁止剤を
添加することで行う。又加水分解、縮重合に先立ち片末
端アルコキシシリル基含有ポリマーは、未反応の開始剤
及び連鎖移動剤を除くためメタノール等のアルコールに
て再沈操作を行った後、もしくは直接60〜220℃、
200〜760mmHg減圧下で未反応モノマーを除去する
ため脱揮処理する。
【0016】得られる片末端アルコキシシリル基含有ポ
リマーは、有機溶剤に溶解するか、もしくは直接重合反応
液に水を添加して、ゾルゲル法により加水分解/縮重合
反応を行う。本発明における加水分解/縮重合反応過程
に於いて、加水分解反応に用いる水は、オレフイン系ポ
リマー中のアルコキシ基(OR基)と等モル以上添加し
て行うのが望ましいが、添加方法については有機溶媒中
に適量添加する方法、及び空気中で雰囲気中の水分によ
り徐々に吸湿させて行なってもよい。また、その際必要
に応じて酸、塩基触媒を用いて加水分解、縮重合反応速
度を制御してもよい。更に又請求項2の条件を具体的に
説明する。すなわち別々の反応器でオレフイン単量体の
種類を変えたりラジカル重合条件を変えて得られた二種
類以上のアルコキシシリル基を末端に有するポリマーを
得、次いでこれを混合し、ゾル−ゲル法により加水分解
/縮重合することによって、異なる高分子鎖を有するス
ターポリマーを生成することも可能である。例えば実施
例5においてスチレン−メタクリル酸n−ブチルコポリ
マー鎖(メタクリル酸n−ブチル含有量60%)とスチ
レンポリマー鎖が均一に混合された異なる高分子鎖を有
するスターポリマーの生成を確認することができる。
【0017】本発明において得られる片末端アルコキシ
シリル基含有ポリマーを加水分解、縮重合させることで
末端の−OR基が−OH基に変換し(含水酸化物ゾルの
形成)、次いでこのゾルが縮重合により−OH基の脱水
反応又は隣接した分子と脱アルコール反応を起こして高
分子間でシロキサン結合により末端架橋することによっ
てオレフィン系のスターポリマーが得られるものであ
る。この場合の反応温度としては、20〜80℃で4〜
24hrぐらいが望ましい。オレフィン系のスターポリマ
ーは、上記したラジカル重合及び加水分解、縮重合反応
では、反応温度制御や各反応成分の相溶性向上のために
一般的に有機溶媒中で行なわれるが、それら溶媒として
は種々のものを用いることができる。具体的に例示すれ
ば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
プロパノール、n−ブタノール、sec-ブタノール、tert
−ブタノールなどのアルコール系溶剤;テトラヒドロフ
ラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジエ
チルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル系溶
剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン
などのケトン系溶剤;クロロホルム、塩化メチレン、ジ
クロロエタン、クロロエタン、クロロエタン、クロロベ
ンゼンなどのハロゲン系溶剤;ベンゼン、キシレン、エ
チルベンゼン、n−ヘキサンなどの炭化水素系溶剤;ア
セトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロ
リドンなどの極性アプロチック溶剤などが挙げられる
が、これらに限定されるものでない。
【0018】
【作用】本発明は、オレフィン系単量体をラジカル重合
するにあたり、両末端にアルコキシシリル基を有するマ
クロアゾ開始剤と連鎖移動能を有するメルカプト基を分
子内に有するシリコンアルコキシドとをイニファーター
(開始剤、連鎖移動剤)として共存させたラジカル重合
反応によって、片末端アルコキシシリル基含有ポリマー
を得、ついで加水分解、縮重合させることで目的とする
オレフィン系のスターポリマーを製造することができ
る。また各々個別に重合して得られた二種類以上の片末
端アルコキシシリル基含有ポリマーを溶媒中で共加水分
解、縮重合させることにより新規な異なる高分子鎖を有
するスターポリマーも製造することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の内容はこれらに限定されるものではな
い。 実施例1 3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン60重
量部と2、2’−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)
プロピオンニトリル)20重量部(半減期70℃/63
hr)をテトラヒドロフラン300重量部に添加し、7
0℃にて3時間窒素雰囲気下、加熱しアルコキシシリル
基両末端ラジカルアゾ開始剤を合成し、このものの1
−NMR測定結果を図1に示す。これより得られたアゾ
開始剤の化学構造式は下記(3)で示すものであること
が確認できた。
【化9】 これをラジカル開始剤として、スチレン700重量部、
トルエン140重量部、連鎖移動剤であるγ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン2.6重量部の混合溶液
にスチレン単量体のモル数の1000ppm になるように
添加し、窒素雰囲気下90℃にて7時間加熱してラジカ
ル重合反応を行ない片末端アルコキシシリルスチレンポ
リマーを合成し、メタノールにて再沈操作を行なった
後、200℃にて脱揮して単離した(表1ゲル浸透クロ
マトグラフィーによる重量平均分子量測定)。この生成
ポリマー1重量部をテトラヒドロフラン13重量部に溶
解させ、0.5重量部の1規定塩酸水溶液を添加して室
温にて24時間攪拌し、加水分解・縮重合反応を行なっ
た。その後、200℃にて脱揮させ目的のポリスチレン
スターポリマーを得た。生成ポリマーはテトラヒドロフ
ランなどの有機溶剤に可溶で、ゲル浸透クロマトグラフ
ィーによる重量平均分子量を測定した結果、表1に示す
様に加水分解・縮重合前に比べ、分子量が約4倍に増加
した。また、このスターポリマーについて29Si−CPMASN
MR を積算回数40000回で測定した結果を図2に示
す。-57ppmと-67ppmにシグナルが観測され、Timoth
y E.Longら(Macromolecules1991, Vol.24,No.
6,p1431)と同様な結果を得た。29Si−NMR 化学シ
フト値より、それぞれのシグナルは一つのSi-O-Si 結合
(SiのまわりのSiの数1)-57ppmと二つのSi-O-Si 結
合(SiのまわりのSiの数2)-67ppmと帰属され、アル
コキシシリル基の加水分解/縮重合反応により、分子間
でシロキサン結合を形成しているのが示唆される。これ
らのことより、スターポリマーの構造として図3に示し
たものが推定され、これらの混合物と考えられる。
【0020】実施例2 実施例1で得られたアルコキシシリル基両末端ラジカル
アゾ開始剤1000ppmを同様にスチレン280重量
部、メタクリル酸メチル400重量部、トルエン120
重量部、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
2.6重量部の混合溶液に添加し、窒素雰囲気下90℃
にて7時間加熱してラジカル重合反応を行ない片末端ア
ルコキシシリルスチレン−メタクリル酸メチルコポリマ
ーを合成し、メタノールにて再沈操作を行なった後、2
00℃にて脱揮して単離した(表1ゲル浸透クロマトグ
ラフィーによる重量平均分子量測定)。この生成ポリマ
ー1重量部をテトラヒドロフラン13重量部に溶解さ
せ、0.5重量部の1規定塩酸水溶液を添加して室温に
て24時間攪拌し、加水分解/縮重合反応を行なった。
その後、200℃にて脱揮させ目的のスチレン−メタク
リル酸メチル共重合(メタクリル酸メチル含有量60
%)スターポリマーを得た。生成ポリマーはテトラヒド
ロフランなどの有機溶剤に可溶で、ゲル浸透クロマトグ
ラフィーによる重量平均分子量を測定した結果、表1に
示す様に加水分解/縮重合前に比べ、分子量が約6倍に
増加した。
【0021】実施例3 実施例1で得られたアルコキシシリル基両末端ラジカル
アゾ開始剤1000ppmを同様にメタクリル酸メチル6
73重量部、トルエン120重量部、γ−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン2.6重量部の混合溶液に添
加し、窒素雰囲気下90Cにて7時間加熱してラジカル
重合反応を行ない片末端アルコキシシリルポリメタクリ
ル酸メチルポリマーを合成し、メタノールにて再沈操作
を行なった後、200℃にて脱揮して単離した(表1ゲ
ル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量測
定)。この生成ポリマー1重量部をテトラヒドロフラン
13重量部に溶解させ、0.5重量部の1規定塩酸水溶
液を添加して室温にて24時間攪拌し、加水分解・縮重
合反応を行なった。その後、200℃にて脱揮させ目的
のポリメタクリル酸メチルスターポリマーを得た。生成
ポリマーはテトラヒドロフランなどの有機溶剤に可溶
で、ゲル浸透クロマトグラフィーによる重量平均分子量
を測定した結果、表1に示す様に加水分解・縮重合前に
比べ、分子量が約6倍に増加した。
【0022】実施例4 実施例1で得られたアルコキシシリル基両末端ラジカル
アゾ開始剤1000ppmを同様にスチレン140重量
部、メタクリル酸n−ブチル287重量部、トルエン1
40重量部、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン1.3重量部の混合溶液に添加し、窒素雰囲気下90
℃にて7時間加熱してラジカル重合反応を行ない片末端
アルコキシシリルスチレン−メタクリル酸n−ブチルコ
ポリマーを合成し、メタノールにて再沈操作を行なった
後、200℃にて脱揮して単離した(表1ゲル浸透クロ
マトグラフィーによる重量平均分子量測定)。この生成
ポリマー5重量部をテトラヒドロフラン65重量部に溶
解させ、2.5重量部の1規定塩酸水溶液を添加して室
温にて24時間攪拌し、加水分解・縮重合反応を行なっ
た。その後、200℃にて脱揮させ目的のスチレン−メ
タクリル酸n−ブチル共重合(メタクリル酸n−ブチル
含有量60%)スターポリマーを得た。生成ポリマーは
テトラヒドロフランなどの有機溶剤に可溶で、ゲル浸透
クロマトグラフィーによる重量平均分子量を測定した結
果、表1に示す様に加水分解・縮重合前に比べ、分子量
が約4倍に増加した。
【0023】実施例5 実施例4で得られた片末端アルコキシシリルスチレン−
メタクリル酸n−ブチルコポリマーと実施例1で得られ
た片末端アルコキシシリルスチレンポリマーを重量部比
で3.5/1.5、2.5/2.5、1.5/3.5、それぞれ
テトラヒドロフラン60重量部に溶解し、2.5重量部
の1規定塩酸水溶液を添加して室温にて24時間攪拌
し、加水分解・縮重合反応を行なった。その後、200
℃にて脱揮させ目的のスチレン−メタクリル酸n−ブチ
ル共重合(メタクリル酸n−ブチル含有量60%)とス
チレンポリマーの高分子鎖を有するスターポリマーを作
製した。表2に示差熱容量分析(DSC)によるガラス
転移温度(Tg)、図4に重量部比2.5/2.5のDS
C曲線及び表1にゲル浸透クロマトグラフィーによる重
量平均分子量を示した。また、比較のために各々個別に
加水分解・縮重合反応して調製したスターポリマーの混
合物の平均分子量及びTgの値を表1及び表2に列記し
た。さらに重量部比2.5/2.5についてはスプリング
法による粘弾性測定を行い、共加水分解物と混合物のtan
δの比較を行い図5と図6にそれぞれ示した。共加水分
解物は、各々個別に加水分解/縮重合反応させ物理的に
混合して調製したスターポリマーの混合物の平均分子量
よりも低い値を示し、Tgの値も異なる値(それぞれの
中間の値)を示すことから、スチレン−メタクリル酸n
−ブチルコポリマー鎖(メタクリル酸n−ブチル含有量
60%)とスチレンポリマー鎖が均一に混合された異な
る高分子鎖を有するスターポリマーの生成が示唆され
る。また図5と図6を比較すると混合物のtanδは、ス
チレン−メタクリル酸n−ブチルコポリマー鎖に相当す
る低温側(63℃)のピークとスチレンポリマー鎖に相
当する高温側(108℃)が完全に分離して観測される
のに対し、共加水分解物は低温側のピークがより高温側
(80℃)にシフトして、高温側(104℃)のピークと
重なりブロード化しているのが明らかになった。このこ
とからも、共加水分解物はスチレン−メタクリル酸n−
ブチルコポリマー鎖とポリスチレン鎖が均一に混合され
た、すなわち異なる高分子鎖を有するスターポリマーが
生成しているのが示唆される。
【0024】比較例1 3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン60重
量部と2、2’−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)
プロピオンニトリル)20重量部(半減期70℃/63
h)をテトラヒドロフラン300重量部に添加し、70
℃にて3時間窒素雰囲気下、加熱しアルコキシシリル基
両末端ラジカルアゾ開始剤を合成した。これをラジカル
開始剤として、スチレン700重量部、トルエン140
重量部、連鎖移動剤であるt−ドデシルメルカプタン
2.7重量部の混合溶液にスチレン単量体のモル数10
00ppmになるように添加し、窒素雰囲気下90℃にて
7時間加熱してラジカル重合反応を行ないスチレンポリ
マーを合成し、メタノールにて再沈操作を行なった後、
200℃にて脱揮して単離した(表1ゲル浸透クロマト
グラフィーによる重量平均分子量測定)。この生成ポリ
マー1重量部をテトラヒドロフラン13重量部に溶解さ
せ、0.5重量部の1規定塩酸水溶液を添加して室温に
て24時間攪拌し、加水分解・縮重合反応を行なった。
その後、200℃にて脱揮させ目的のポリスチレンポリ
マーを得た。生成ポリマーはテトラヒドロフランなどの
有機溶剤に可溶で、ゲル浸透クロマトグラフィーによる
重量平均分子量を測定した結果、表1に示す様に加水分
解・縮重合前に比べ、分子量は、全く変化せず一定であ
った。これはt−ドデシルメルカプタンを連鎖移動剤と
して用いたためラジカル重合によって生成するスチレン
ポリマー中の片末端アルコキシシリル基含有ボリスチレ
ンの生成量が少なく(開始剤断片のアルコキシシリル基
のみ)、殆どがt−ドデシル基を断片に有するスチレンの
ホモポリマーであるためと考えられる。
【0025】比較例2 3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン60重
量部と2、2’−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)
プロピオンニトリル)20重量部(半減期70℃/63
h)をテトラヒドロフラン300重量部に添加し、70
℃にて3時間窒素雰囲気下、加熱しアルコキシシリル基
両末端ラジカルアゾ開始剤を合成した。これをラジカル
開始剤として、スチレン700重量部、トルエン140
重量部、(連鎖移動剤無し)の混合溶液にスチレン単量
体のモル数1000ppm になるように添加し、窒素雰囲
気下90℃にて7時間加熱してラジカル重合反応を行な
いアルコキシシリル基含有スチレンポリマーを合成し、
メタノールにて再沈操作を行なった後、200℃にて脱
揮して単離した(Mw358000)。この生成ポリマ
ー10重量部をテトラヒドロフラン130重量部に溶解
させ、5重量部の1規定塩酸水溶液を添加して室温にて
24時間攪拌し、加水分解・縮重合反応を行なったとこ
ろゲル化した。その後、ゲルを200℃にて脱揮させポ
リスチレンポリマーを得た。このポリマーはテトラヒド
ロフランなどの有機溶剤に不溶であり熱可塑性を示さず
射出成形不可能であった。これは、アルコキシシリル基
を有する連鎖移動剤が存在しないラジカル重合反応に於
いては、片末端アルコキシシリル基含有スチレンポリマ
ーは生成せず、一般的な成長ラジカル同志のカップリン
グによる停止反応が優先され、両末端アルコキシシリル
基含有スチレンポリマーが生成したためで、両末端に存
在していると思われるアルコキシシリル基が加水分解・
縮重合反応によりシロキサン結合を生成し、ポリマー鎖
が三次元的に架橋したためと考えられる。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】以上説明した本発明方法によると、オレ
フィン系単量体をラジカル重合するにあたり、両末端に
アルコキシシリル基を有するアゾ開始剤と連鎖移動能を
有するメルカプト基を分子内に有するシリコンアルコキ
シドとを共存させる簡便なラジカル重合方法によって、
容易に片末端アルコキシシリル基含有ポリマーが得られ
る。ついでこれをゾルゲル法により加水分解/縮重合さ
せることで高流動性、耐衝撃性付与を目的としたスター
ポリマーを低コストで製造できる。また各々個別に重合
して得られた二種類以上の片末端アルコキシシリル基含
有ポリマーを共加水分解、縮重合させることにより新規
な異なる高分子鎖を有するスターポリマーも容易に製造
することができる。又本発明で得られるオレフィン系ス
ターポリマーは、各種プラスチックフィルムや成形品等
の原料または、高分子シランカップリング剤、高流動性
や耐衝撃性向上などを目的とした樹脂添加物、あるいは
ポリマーブレンド用相溶化剤として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたアルコキシシリル基両末端
ラジカルアゾ開始剤の1H−NMR測定結果を示す図で
ある。
【図2】実施例1で得られたスターポリマーのCDCl3溶
媒中における29Si−NMR を積算回数40000回で測定
した結果を示す図である。
【図3】実施例1で得られたスターポリマーの推定構造
式である。
【図4】実施例5で得られたスターポリマーのDSC曲
線を示す図である。
【図5】実施例5で得られたスターポリマー(共加水分
解/縮重合物)の粘弾性測定結果を示す図である。
【図6】実施例5で得られたスターポリマー(混合物)
の粘弾性測定結果を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 置換基を有してもよいオレフィン系単量
    体をラジカル重合するにあたり、一般式(1)で表され
    るアゾ開始剤 【化1】 (但し、式中xは0〜2の整数を表わし、R1及びR3
    は1価の飽和炭化水素基を示し、R2は炭素数1〜20
    の飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示す。)と一
    般式(2)で表される連鎖移動剤 【化2】 (但し、式中yは0〜2の整数を示し、R4及びR5は
    1価の飽和炭化水素基を示し、R6は炭素数1〜6の2
    価の飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基を示す。)の
    存在下、ラジカル重合反応を行ってアルコキシシリル基
    を末端に有するポリマーを得、次いでこれをゾルーゲル
    法により加水分解/縮重合させることを特徴とするスタ
    ー型ポリマーの製造方法
  2. 【請求項2】 ラジカル重合反応を複数回行って2種類
    以上のアルコキシシリル基を末端に有するポリマーを
    得、次いでこれを混合したのち、ゾルーゲル法により加
    水分解/縮重合させる請求項1記載のスター型ポリマー
    の製造方法
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999005184A1 (fr) * 1997-07-28 1999-02-04 Kaneka Corporation Polymeres et procede de fabrication correspondant
JP2003183323A (ja) * 2001-07-20 2003-07-03 Rohm & Haas Co シリコンエステルを含むポリマー化合物およびこれから得られる組成物
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WO2006123737A1 (ja) * 2005-05-19 2006-11-23 Sumitomo Bakelite Company, Ltd. 医療材料用高分子化合物及び該高分子化合物を用いたバイオチップ用基板

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