JPH08119151A - 自動車のフロア構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 車体の変形荷重を大幅に向上する。 【構成】 フロアトンネル部１２の前側上部の内側には
左右一対のフロントアッパリインフォースメント１４が
配設されており、フロアトンネル部１２の左右両側近傍
には、左右一対のロアリインフォースメント１６が配設
されている。フロントアッパリインフォースメント１４
の後部１４Ｅとロアリインフォースメント１６の前部１
６Ｃは車体前後方向に重なっており、フロントアッパリ
インフォースメント１４とロアリインフォースメント１
６とが車体前後方向に重なった部位には、シフトレバー
リインフォースメント２０が配設されている。シフトレ
バーリインフォースメント２０は、フロアトンネル部１
２の上側に配設されており、縦壁２０Ａ、２０Ｂがフロ
アトンネル部１２の縦壁１２Ｂ、１２Ｃの外側に配設さ
れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は自動車のフロア構造に関
し、特に、フロアパネルの車幅方向中央に車体の前後方
向に延びる中心線に沿って延在し上方に凸形状とされた
トンネル部を有する自動車のフロア構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、車体の変形荷重を大きくするた
め、フロアパネルに形成されたトンネル部を補強した自
動車のフロア構造が知られており、その一例が実開昭５
８−８０３７７号公報に開示されている。

【０００３】図５に示される如く、この自動車のフロア
構造では、フロアトンネル部７０の上面前部７０Ａと、
フロアパネル７２とともに車室前方下部を形成するダッ
シュロア７４の縦壁７４Ａとに車体略中心線に平行な少
なくとも１つの凸状部７６を連続的に設けることによっ
て、フロアトンネル部７０を補強している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この自
動車のフロア構造では、フロアトンネル部７０の前部し
か補強できないため、車体の変形荷重を大幅に向上する
のは難しい。

【０００５】本発明は上記事実を考慮し、車体の変形荷
重を大幅に向上できる自動車のフロア構造を得ることが
目的である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明
は、フロアパネルの車幅方向中央に車体の前後方向に延
びる中心線に沿って延在し上方に凸形状とされたトンネ
ル部を有する自動車のフロア構造であって、トンネル部
の前側上部に車体前後方向に沿って設けられた第１の補
強部材と、トンネル部の下部近傍に車体前後方向に沿っ
て設けられ前部が前記第１の補強部材の後部とトンネル
部の縦壁を介して車体前後方向に重なった第２の補強部
材と、を備えたことを特徴としている。

【０００７】請求項２記載の本発明は、請求項１記載の
自動車のフロア構造において、前記トンネル部に設けら
れシフトレバーの取付部を補強するとともに、前記トン
ネル部の縦壁を補強する縦壁を有するシフトレバーリイ
ンフォースメントを備えたことを特徴としている。

【０００８】

【作用】請求項１記載の本発明の自動車のトンネル構造
では、トンネル部の前部にかかる前後荷重を車体前後方
向に沿って設けられた上下の第１の補強部材と第２の補
強部材の各軸力と、トンネル部の縦壁の面内力で受け
る。従って、トンネル部の前部に一定以上の荷重が掛か
った場合には、トンネル部が座屈変形する前に、トンネ
ル部の縦壁が剪断変形する。このため、トンネル部の安
定した変形モードが実現でき、車体の変形荷重が大幅に
向上する。

【０００９】請求項２記載の本発明の自動車のトンネル
構造では、トンネル部の前部にかかる前後荷重を車体前
後方向に沿って設けられた上下の第１の補強部材と第２
の補強部材の各軸力と、トンネル部の縦壁の面内力で受
けるとともに、シフトレバーリインフォースメントの縦
壁の面内力でも受ける。このため、車体の変形荷重が更
に向上する。

【００１０】

【実施例】本発明に係る自動車のフロア構造の一実施例
を図１〜図４を用いて説明する。

【００１１】なお、これらの図において、適宜示される
矢印ＦＲは車体前方側を示し、矢印ＵＰは車体上方側を
示している。

【００１２】図１に示される如く、自動車のフロアパネ
ル１０の車幅方向中央には、フロアトンネル部１２が形
成されており、このフロアトンネル部１２は、車体の前
後方向に延びる中心線Ｐに沿って延在している。フロア
トンネル部１２は上方に凸形状とされており、車体前方
から見た断面形状が台形状とされている。

【００１３】フロアトンネル部１２の前側上部の内側に
は、第１の補強部材としての左右一対のフロントアッパ
リインフォースメント１４が配設されている。これらの
フロントアッパリインフォースメント１４は、フロアト
ンネル部１２の上壁１２Ａと左右の縦壁１２Ｂ、１２Ｃ
との角部に車体前後方向に沿って配設されている。

【００１４】図２に示される如く、フロントアッパリイ
ンフォースメント１４の車体前方から見た断面形状はＬ
字状とされている。下壁部１４Ａの車幅方向外側縁部は
下方へ屈曲されフランジ１４Ｂとされており、このフラ
ンジ１４Ｂはフロアトンネル部１２の縦壁１２Ｂ又は縦
壁１２Ｃの内側面に溶着されている。フロントアッパリ
インフォースメント１４の縦壁１４Ｃの上側縁部は車幅
方向内側へ屈曲されフランジ１４Ｄとされており、フロ
アトンネル部１２の上壁１２Ａの下面に溶着されてい
る。

【００１５】フロアトンネル部１２の左右両側近傍に
は、第２の補強部材としての左右一対のロアリインフォ
ースメント１６が配設されており、これらのロアリイン
フォースメント１６は、フロアパネル１０の下面１０Ａ
側にフロアトンネル部１２に沿って配設されている。ロ
アリインフォースメント１６の車体前方から見た断面形
状は上方に開口を向けたコ字状とされている。ロアリイ
ンフォースメント１６の開口縁部外側には、車幅方向外
側へ向けてフランジ１６Ａが形成されており、このフラ
ンジ１６Ａは、フロアパネル１０の下面１０Ａに溶着さ
れている。ロアリインフォースメント１６の開口縁部内
側には、フロアトンネル部１２の縦壁１２Ｂ又は縦壁１
２Ｃに沿ってフランジ１６Ｂが形成されており、このフ
ランジ１６Ｂは、フロアトンネル部１２の縦壁１２Ｂ又
は縦壁１２Ｃの内側面に溶着されている。

【００１６】図３に示される如く、フロントアッパリイ
ンフォースメント１４の後部１４Ｅとロアリインフォー
スメント１６の前部１６Ｃは、車体前後方向に重なって
おり、ロアリインフォースメント１６の後端部１６Ｄ
は、フロアクロスメンバ１８の後方へ達している。

【００１７】図１に示される如く、フロントアッパリイ
ンフォースメント１４とロアリインフォースメント１６
とが車体前後方向に重なった部位には、シフトレバーリ
インフォースメント２０が配設されており、シフトレバ
ーリインフォースメント２０は、フロアトンネル部１２
へのシフトレバー（図示せず）の取付部を補強してい
る。

【００１８】図２に示される如く、シフトレバーリイン
フォースメント２０は、フロアトンネル部１２の上側に
配設されており、車体前方から見た断面形状はフロアト
ンネル部１２に沿った台形状とされている。シフトレバ
ーリインフォースメント２０の左右の縦壁２０Ａ、２０
Ｂはフロアトンネル部１２の縦壁１２Ａ、１２Ｂに当接
しており、縦壁１２Ａ、１２Ｂの下端縁部には、車幅方
向外側へ向けてフランジ２０Ｃ、２０Ｄが形成されてい
る。これらのフランジ２０Ｃ、２０Ｄはフロアパネル１
０の上面１０Ｂに溶着されており、フランジ２０Ｃ、２
０Ｄの下側には、フロアパネル１０を挟んで、ロアリイ
ンフォースメント１６の前部１６Ｃが溶着されている。

【００１９】シフトレバーリインフォースメント２０の
上壁部２０Ｅは、フロアトンネル部１２の上壁１２Ａの
上面に溶着されており、シフトレバーリインフォースメ
ント２０の上壁部２０Ｅの車幅方向両端下側には、フロ
アトンネル部１２を挟んで、フロントアッパリインフォ
ースメント１４の後部１４Ｅが溶着されている。

【００２０】また、シフトレバーリインフォースメント
２０の上壁部２０Ｅには、シフトレバー挿通用の開口部
２２が形成されており、この開口部２２と対向するフロ
アトンネル部１２の上壁１２Ａには、シフトレバー挿通
用の開口部２４が形成されている。

【００２１】図３に示される如く、フロントアッパリイ
ンフォースメント１４の前端部１４Ｆはダッシュクロス
メンバ２６の近傍に達しており、ロアリインフォースメ
ント１６の後部は後方へ向けて徐々に断面が小さくなっ
ている。

【００２２】次に、本実施例の作用を説明する。本実施
例の自動車のトンネル構造では、トンネル部１２の前部
に前後荷重、例えば、図１に矢印Ｆで示す後方への荷重
が作用すると、この荷重Ｆをフロントアッパリインフォ
ースメント１４の軸力Ｆ１と、ロアリインフォースメン
ト１６の軸力Ｆ２と、フロントアッパリインフォースメ
ント１４とロアリインフォースメント１６とが結合され
たフロアトンネル部１２の縦壁１２Ａ、１２Ｂの面内力
Ｆ３で受ける。

【００２３】従って、フロアトンネル部１２の前部に一
定以上の荷重が掛かった場合には、図４に示される如
く、従来例の変形モードでは変位Ｓ１でフロアトンネル
部が座屈変形していたが、本実施例ではフロアトンネル
部１２が座屈変形する前に、フロアトンネル部１２の縦
壁１２Ａ、１２Ｂが剪断変形するため、安定した変形モ
ードが実現でき、車体の変形荷重が向上する。

【００２４】また、本実施例の自動車のトンネル構造で
は、荷重Ｆをシフトレバーリインフォースメント２０の
縦壁２０Ａ、２０Ｂの面内力でも受けるため、シフトレ
バーリインフォースメント２０の縦壁２０Ａ、２０Ｂが
図３に想像線で示される如く剪断変形するため、車体の
変形荷重が更に向上する。

【００２５】なお、本実施例においては、第１の補強部
材及び第２の補強部材として、リインフォースメントを
使用したが、第１の補強部材及び第２の補強部材はリイ
ンフォースメントに限定されず、ビード等の他の補強構
造でも良い。

【００２６】また、本実施例においては、第１の補強部
材としてのフロントアッパリインフォースメント１４と
第２の補強部材としてのロアリインフォースメント１６
とをフロアパネル１０の下面１０Ａ側に配設したが、第
１の補強部材及び第２の補強部材は、フロアパネル１０
の上面１０Ｂ側に配設しても良い。

【００２７】

【発明の効果】請求項１記載の本発明は、フロアパネル
の車幅方向中央に車体の前後方向に延びる中心線に沿っ
て延在し上方に凸形状とされたトンネル部を有する自動
車のフロア構造であって、トンネル部の前側上部に車体
前後方向に沿って設けられた第１の補強部材と、トンネ
ル部の下部近傍に車体前後方向に沿って設けられ前部が
第１の補強部材の後部とトンネル部の縦壁を介して車体
前後方向に重なった第２の補強部材と、を備えた構成と
したので、車体の変形荷重を大幅に向上できるという優
れた効果を有する。

【００２８】請求項２記載の本発明は、トンネル部に設
けられシフトレバーの取付部を補強するとともに、トン
ネル部の縦壁を補強するシフトレバーリインフォースメ
ントを備えた構成としたので、車体の変形荷重を更に向
上できるという優れた効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る自動車の車体構造を示
す車体斜め前方から見た斜視図である。

【図２】図１の２−２線に沿った断面図である。

【図３】図１の３−３線に沿った断面図である。

【図４】本発明の一実施例に係る自動車の車体構造の変
形モードと従来例に係る自動車の車体構造の変形モード
を示すグラフである。

【図５】従来例に係る自動車の車体構造を示す車体斜め
後方から見た斜視図である。

【符号の説明】

１０ フロアパネル １２ フロアトンネル １２Ｂ 縦壁 １２Ｃ 縦壁 １４ フロントアッパリインフォースメント（第１の
補強部材） １４Ｅ 後部 １６ ロアリインフォースメント（第２の補強部材） １６Ｃ 前部 ２０ シフトレバーリインフォースメント ２０Ａ 縦壁 ２０Ｂ 縦壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 フロアパネルの車幅方向中央に車体の前
   後方向に延びる中心線に沿って延在し上方に凸形状とさ
   れたトンネル部を有する自動車のフロア構造であって、
   トンネル部の前側上部に車体前後方向に沿って設けられ
   た第１の補強部材と、トンネル部の下部近傍に車体前後
   方向に沿って設けられ前部が前記第１の補強部材の後部
   とトンネル部の縦壁を介して車体前後方向に重なった第
   ２の補強部材と、を備えたことを特徴とする自動車のフ
   ロア構造。
2. 【請求項２】 前記トンネル部に設けられシフトレバー
   の取付部を補強するとともに、前記トンネル部の縦壁を
   補強するシフトレバーリインフォースメントを備えたこ
   とを特徴とする請求項１記載の自動車のフロア構造。