JPH0810695A - 防曇性被覆物品の製造方法 - Google Patents

防曇性被覆物品の製造方法

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JPH0810695A
JPH0810695A JP6152031A JP15203194A JPH0810695A JP H0810695 A JPH0810695 A JP H0810695A JP 6152031 A JP6152031 A JP 6152031A JP 15203194 A JP15203194 A JP 15203194A JP H0810695 A JPH0810695 A JP H0810695A
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JP
Japan
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meth
group
acrylate
polymer
composition
Prior art date
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Application number
JP6152031A
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English (en)
Inventor
Yuji Eguchi
勇司 江口
Shigeki Nomura
茂樹 野村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】防曇性と耐水性とを兼ね備えた防曇性被覆物品
の製造方法を提供する。 【構成】基材の表面に、一般式─〔CH2 ─CR1 2
─〕(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R2
はエポキシ基を有する側鎖を示す)で表される繰り返し
構造単位を有する重合体と、1分子中に少なくとも2個
の(メタ)アクリロイル基を有する疏水性単量体と、光
重合開始剤とからなる組成物Aを下塗り層として塗布し
光硬化させる第1の工程と、第1の工程により形成され
た硬化被膜に、一般式─〔CH2 ─CR3 4 ─〕(式
中、R3 は水素原子又はメチル基を示し、R4 はカルボ
キシル基を有する側鎖を示す)で表される繰り返し構造
単位を有する親水性重合体の溶液Bを塗布し加熱硬化さ
せる第2の工程よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、防曇性物品の製造方法
に関し、更に詳しくは、防曇性能を有するメガネやカメ
ラ等のレンズ、窓ガラス、自動車のフロントガラス、ヘ
ルメットのシールド、水中メガネ等の光学物品、あるい
は浴室、洗面所で使用する鏡等に用いられる防曇性物品
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明材料として用いられている通常のプ
ラスチックや無機ガラス等は、表面の温度が露点以下と
なった場合に、表面に曇りを生じ透明性が損なわれてし
まうという欠点がある。
【0003】この表面の曇りを防ぐ従来の方法として
は、例えば、アルコール性水酸基を有する親水性アク
リレート単量体を特定の多官能単量体と共重合させる
か、あるいは、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子
を架橋させることにより吸水性膜を形成する方法、成
形品の樹脂中に、界面活性剤を練り込んでおく方法、
界面活性剤を含有する組成物を基材表面に塗布する方法
等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
の方法によれば、架橋の程度により膜の吸水性を制御
するために、膜の吸水による防曇性の発現と耐水性の両
立は困難である。又、及びの方法も、界面活性剤が
水により流出してしまうと防曇性は大きく低下するとい
う問題点がある。
【0005】これらの問題点を解決する方法として、例
えば、特公昭61─40695号公報には、不飽和基を
二個以上有する疏水性単量体混合物を予備重合させてゲ
ル化させた後、その表面にカルボン酸基、スルホン酸
基、硫酸基、リン酸基、アミノ基、水酸基等の親水基と
重合性不飽和基とを有する親水性単量体を接触させて表
面で共重合させる方法が提案されている。しかし、この
方法では、予備重合の程度を制御することは難しい。
【0006】本発明は、上記の如き従来の問題点を解消
し、防曇性と耐水性とを兼ね備えた防曇性被覆物品の製
造方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】まず、本願の請求項1記
載の発明(以下、本発明1という)について説明する。
本発明1は、プラスチック成形体基材又は無機ガラス基
材の表面に、 ─〔CH2 ─CR1 2 ─〕(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R 2 はエポキシ基を有する側鎖を示す)・・・一般式(1) で表される繰り返し構造単位を有する重合体と、1分子
中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する
疏水性単量体と、光重合開始剤とからなる組成物Aを下
塗り層として塗布し光硬化させる第1の工程を有する。
【0008】本発明1の第1の工程において、基材とし
ては、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のプラスチッ
ク板状成形体、無機ガラス板などが使用される。これら
の基材は必要に応じて更に密着性を向上させる目的で前
処理を行ってもよい。特に基材が無機ガラス板の場合に
は、シランカップリング剤による前処理が有効である。
【0009】基材上に下塗り層を設ける方法としては、
従来公知の方法が適用でき、例えば、スプレーコート、
バーコート、ディッピング、ロールコート、スピンコー
ト等の種々の方法が用いられる。
【0010】上記の一般式(1)で表される繰り返し構
造単位を有する重合体としては、エポキシ基を有する重
合性単量体を単独又は二種以上併用して重合させるか、
もしくはエポキシ基を有する重合性単量体とエポキシ基
を有さない重合性単量体との共重合により得られる。
【0011】エポキシ基を有する重合性単量体として
は、グリシジル(メタ)アクリレート、β─グリシドキ
シエチル(メタ)アクリレート、3,4─エポキシブチ
ル(メタ)アクリレート、4,5─エポキシペンチル
(メタ)アクリレート、3,4─エポキシシクロヘキシ
ルメチル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエー
テル等が使用される。
【0012】又、エポキシ基を有さない重合性単量体と
しては、スチレン、o−メチルスチレン、m─メチルス
チレン、p─メチルスチレン、α─メチルスチレン、p
─エチルスチレン、2,4─ジメチルスチレン、p−n
─ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−
メトキシスチレン、p─フェニルスチレン等のスチレン
類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の
ビニルエステル類、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、
(メタ)アクリル酸─n─ブチル、(メタ)アクリル酸
イソブチル、(メタ)アクリル酸─n─オクチル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸─2─エ
チルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)
アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニ
ル、メタアクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アク
リル酸─2─ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリル
酸エステル、ビニルメチルエーテル、ビニルトルエンエ
ーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル
類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンなどのビ
ニルケトン類等が使用される。
【0013】これらは単独で使用してもよいし、二種以
上併用してもよい。又、重合時の架橋によるゲル化を防
ぐために、エポキシ基を有しない重合性単量体は、重合
時の条件でエポキシ基と反応しないものを使用する必要
がある。
【0014】上記の一般式(1)で表される繰り返し構
造単位を含む重合体中の、エポキシ基を有する繰り返し
構造単位の量は、少ないと第2の工程での親水性重合体
の固定が十分に行われないので20mol%以上含まれ
ているのが好ましい。
【0015】1分子中の少なくとも2個の(メタ)アク
リロイル基を有する疏水性単量体としては、例えば、ペ
ンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタ
エリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイ
ド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロ
ピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレ
ンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレ
ート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ネオペンチ
ルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリ
ロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロ
キシエチル)イソシアヌレートや、二官能以上のウレタ
ンアクリレートやポリエステルアクリレート等が使用さ
れる。
【0016】これらは単独で使用してもよいし、二種以
上併用してもよい。疏水性単量体の量は、多すぎると相
対的にエポキシ基含有重合体の量が少なくなり、第2の
工程での親水性重合体の固定が不十分となり、少なすぎ
ると硬度が不十分となるので、上記の一般式(1)で表
される繰り返し構造単位を有する重合体100重量部に
対して、10〜500重量部が好ましい。
【0017】光重合開始剤としては、紫外線、可視光線
等の活性光線により、疏水性単量体を重合させる性質を
有するものであればよい。このような光重合開始剤とし
ては、総合技術センター(株)発行の「紫外線硬化シス
テム」(加藤清視著)に詳しく記載されているものが使
用されるが、具体的には、例えば、紫外線で活性化する
ものとしては、以下のものが挙げられる。
【0018】(1)ソジウムメチルジチオカーバメイト
サルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイ
ド、ジフェニルモノサルファイド、ジフェニルモノサル
ファイド、ジベンゾチアゾイルモノサルファイド及びジ
サルファイド等のサルファイド類。
【0019】(2)チオキサントン、エチルチオキサン
トン、2─クロロチオキサントン、ジエチルチオキサン
トン、ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサント
ン誘導体。 (3)ヒドラゾン、アゾイソブチロニトリル、ベンゼン
ジアゾニウム等のジアゾ化合物。
【0020】(4)ベンゾイン、ベンゾイルメチルエー
テル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロ
ピルエーテル、ベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾ
フェノン、ミヒラーケトン、ベンジルアントラキノン、
t─ブチルアントラキノン、2─メチルアントラキノ
ン、2─エチルアントラキノン、2─アミノアントラキ
ノン、2─クロロアントラキノン、ベンジルメチルケタ
ール、メチルフェニルグリオキシレート等の芳香族カル
ボニル化合物。
【0021】(5)1─ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン、2─ヒドロキシ─2─メチル─1─フェニ
ルプロパン─1─オン、4─(2─ヒドロキシエトキ
シ)フェニル(2─ヒドロキシ─2─プロピル)ケト
ン、2,2─ジエトキシアセトフェノン、2,2─ジエ
トキシアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体。
【0022】(6)4─ジメチルアミノ安息香酸メチ
ル、4─ジメチル安息香酸エチル、4─ジメチルアミノ
安息香酸ブチル、4─ジエチルアミノ安息香酸イソプロ
ピル等のジアルキルアミノ安息香酸エステル類。
【0023】(7)ベンゾイルパーオキサイド、ジ─t
─ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、キ
ュメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物。 (8)9─フェニルアクリジン、9─p─メトキシフェ
ニルアクリジン、9─アセチルアミノアクリジン、ベン
ズアクリジン等のアクリジン誘導体。 (9)9,10─ジメチルベンズフェナジン、9─メチ
ルベンズフェナジン、10─メトキシベンズフェナジン
等のフェナジン誘導体。
【0024】(10)4,4′,4′′─トリメトキシ
─2,3─ジフェニルキノキサリン等のキノキサリン誘
導体。 (11)2,4,5─トリフェニルイミダゾイル二量
体。 (12)ハロゲン化ケトン。 (13)アシルホスフィンオキシド、アシルホスフォナ
ート等のアシル化リン化合物。
【0025】可視光線で活性化するものとしては、例え
ば、2─ニトロフルオレン、2,4,6─トリス(トリ
クロロメチル)─1,3,5─トリアジン、3,3′─
カルボニルビスクマリン、チオミヒラーケトン等が挙げ
られる。
【0026】光重合開始剤の量は、多すぎると黄変が発
生したり、膜が脆くなる等の問題を生じ、少なすぎると
硬化が不十分となるので、疏水性単量体100重量部に
対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0027】組成物A中には、必要に応じてエポキシ樹
脂用硬化剤あるいは硬化触媒が添加される。これらにつ
いては、CMC社発行の「エポキシ樹脂の高機能化と用
途展開」(英一太著)に記載されている。
【0028】エポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、
無水コハク酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無
水トリメリット酸、無水メリット酸等のカルボン酸無水
物や、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、テトラエチレンペンタミン、モルホリン、ピロリジ
ン、シクロヘキシルアミン、ペンタエチレンヘキサミン
等の多官能アミン化合物が挙げられる。
【0029】エポキシ樹脂用硬化触媒としては、三級の
アミン基を有する化合物が好適に使用され、例えば、ジ
エチルアミノメチルフェノール(DMP─10)、トリ
ジメチルアミノメチルフェノール(DMP─30)、ト
リエタノールアミン、ベンジルメチルアミン、ヘキサメ
チレンテトラミン、N,N′─ジメチルピペラジン、ト
リエチレンジアミン、キノリン、N−メチルモルホリ
ン、ジメチルアニリン、ジメチルシクロヘキシルアミン
等の低分子化合物や、N,N─ジメチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N,N─ジエチルアミノエチル
(メタ)アクリレート、N,N─ジエチルアミノプロピ
ルアクリルアミド等の三級アミノ基含有重合性単量体、
又はその単独あるいは共重合体等が挙げられる。エポキ
シ樹脂用硬化剤又は硬化触媒の添加量は、その種類によ
り適宜決定される。
【0030】組成物Aには、必要に応じてカルボキシル
基を有する単量体が添加される。カルボキシル基を有す
る単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2─
(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2─(メ
タ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2─(メタ)
アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω─
カルボキシ─ポリカプロラクトンモノアクリレートや、
2─ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2─ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール
(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレ
ート、エピクロルヒドリン変性エチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)ア
クリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、エピクロルヒドリン変性グリ
セロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートと、
無水コハク酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無
水メリット酸等のカルボン酸無水物との部分エステル反
応生成物等が挙げられる。これは単独で使用してもよい
し、二種以上併用してもよい。
【0031】組成物Aには、必要に応じてエポキシ基を
含有する他の化合物が添加される。そのような化合物と
しては、例えば、ビスフェノールA又はそのエチレンオ
キサイド変性等の誘導体、ビスフェノールF又はそのエ
チレンオキサイド変性等の誘導体、ノボラック樹脂等の
多価フェノール、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメ
チロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アル
コールと、エピクロルヒドリンとの反応生成物であるポ
リグリシジルエーテル、脂環式エポキシ樹脂や、グリシ
ジル(メタ)アクリレート、β─グリシドキシエチル
(メタ)アクリレート、3,4─エポキシブチル(メ
タ)アクリレート、4,5─エポキシペンチル(メタ)
アクリレート、3,4─エポキシクロヘキシルメチル
(メタ)アクリレート等の単量体等が挙げられる。
【0032】組成物Aは必要に応じて溶剤で希釈され
る。このような溶剤としては、一般的な有機溶剤が使用
可能であり、具体的には、メタノール、エタノール、n
−プロパノール、イソプロパノール、n─ブタノール、
ベンジルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチ
ルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の
セロソルブ類、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トル
エン等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用して
もよいし、二種以上混合して使用してもよい。
【0033】又、本発明1は、第1の工程により形成さ
れた硬化被膜に、 ─〔CH2 ─CR3 4 ─〕(式中、R3 は水素原子又はメチル基を示し、R 4 はカルボキシル基を有する側鎖を示す)・・・一般式(2) で表される繰り返し構造単位を有する親水性重合体の溶
液Bを塗布し加熱硬化させる第2の工程を有する。
【0034】硬化被膜上に溶液Bを塗布する方法として
は、ディッピング、スピンコート、スプレーコート等の
種々の方法を適用できる。
【0035】上記の一般式(2)で表される繰り返し構
造単位を有する親水性重合体は、カルボキシル基を有す
る重合性単量体を単独もしくは二種以上併用して重合さ
せるか、又はカルボキシル基を有する重合性単量体と他
の親水基を有する重合性単量体との共重合により得るこ
とができる。
【0036】このようなカルボシキル基を有する重合性
単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、2─
(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2─(メ
タ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2─(メタ)
アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω─
カルボキシ─ポリカプロラクトンモノアクリレート等が
使用される。
【0037】共重合可能な他の親水性単量体としては、
親水基として、水酸基、スルホン酸あるいはスルホン酸
塩基、一級、二級及び三級アミノ基又はアミド基、四級
アンモニウム塩基、カルボン酸塩基、リン酸あるいはリ
ン酸塩基、ポリエチレングリコール類、モルホリン基、
硫酸塩基等を1つ以上有するものが好適に使用され、具
体的には、2─ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2─ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グ
リセロール(メタ)アクリレート、2─アクリルアミド
─2─メチルプロパンスルホン酸、スルホン酸ナトリウ
ムエトキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルア
ミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメ
チルアミノプロピルアクリルアミド、2─メタクリロキ
シエチルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)ア
クリル酸ナトリウム、エチレンオキサイド変性リン酸
(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、モルホリノアクリレート、p−スチ
レンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸ナトリウム等
が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種
以上併用してもよい。
【0038】親水性重合体中のカルボキシ基の量は、少
なすぎるとエポキシ基との付加反応が十分に起こらず、
表面に固定化される親水性重合体の量が少なくなるの
で、繰り返し構造単位で、10mol%以上含まれてい
るのが好ましい。
【0039】親水性重合体を溶解させる溶剤としては、
水あるいは水/有機溶剤の混合系が好適に使用される
が、極性の高いものであれば、有機溶剤単独でも使用で
きる。このとき使用できる有機溶剤としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロ
パノール、n─ブタノール、ベンジルアルコール等のア
ルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘ
キサン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸エチ
ル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメ
チルスルホキシド、水等が挙げられる。これらは、単独
で使用してもよいし、二種以上混合して使用してもよ
い。
【0040】更に、本発明1の第2の工程で得られた硬
化被膜を、必要に応じてアルカリ処理してもよい。特
に、親水性重合体がカルボン酸基、スルホン酸基、リン
酸基等の酸基を有する場合には有効であり、この処理に
より、アルカリ金属等の塩としておくことが好ましい。
具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水
溶液、アルコール溶液等が使用できる。この場合のアル
カリ溶液の濃度は被膜が侵されないように0.1〜5重
量%であるのが好ましい。
【0041】次に、本願の請求項2記載の発明(以下、
本発明2という)について説明する。まず、本発明2
は、プラスチック成形体基材又は無機ガラス基材の表面
に、上記の本発明1と同様の一般式(1)で表される繰
り返し構造単位を有する重合体と、1分子中に少なくと
も1個の(メタ)アクリロイル基と少なくとも1個のカ
ルボキシル基を有する化合物と、光重合開始剤とからな
る組成物Cを下塗り層として塗布し加熱硬化させる第1
の工程を有する。
【0042】本発明2の第1の工程において用いられる
1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基と
少なくとも1個のカルボキシル基を有する化合物として
は、(メタ)アクリル酸、2─(メタ)アクリロイルオ
キシエチルコハク酸、2─(メタ)アクリロイルオキシ
エチルフタル酸、2─(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルヘキサヒドロフタル酸、ω─カルボキシ─ポリカプロ
ラクトンモノアクリレートや、2─ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、2─ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレー
ト、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、グリセロールジ(メタ)アクリレート、エピクロル
ヒドリン変性エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、エピク
ロルヒドリントリメチロールプロパントリアクリレー
ト、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリアクリレ
ート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の水
酸基含有(メタ)アクリレートと、無水フタル酸、無水
コハク酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、
無水メリット酸等のカルボン酸無水物との部分エステル
反応生成物等が挙げられる。これらは、単独で使用して
もよいし、二種以上併用してもよい。
【0043】1分子中に少なくとも1個の(メタ)アク
リロイル基と少なくとも1個のカルボキシル基を有する
化合物の添加量は、多すぎると熱硬化反応に関与しない
カルボキシル基が多くなるために最終的な被膜が耐水性
に劣るものとなり、少なすぎると十分に熱硬化が進行し
ないので、一般式(1)で表される繰り返し構造単位を
有する重合体中のエポキシ基に対して0.5〜5当量で
あることが好ましい。
【0044】組成物C中には、必要に応じて本発明1の
組成物Aに添加されたのと同様のエポキシ樹脂用硬化剤
あるいは硬化触媒が添加される。
【0045】組成物C中には、最終的な被膜の架橋密度
を向上させるために、必要に応じてカルボキシル基を有
しない疏水性の二官能以上の(メタ)アクリレートモノ
マーが添加される。
【0046】このような(メタ)アクリレートモノマー
としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)ア
クリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、カプ
ロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパント
リアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロ
パンテトラアクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)
アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノール
Aジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレー
ト、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート
や、二官能以上のウレタンアクリレートやポリエステル
アクリレート等が使用される。これらは単独で使用して
もよいし、二種以上併用してもよい。
【0047】このようなカルボキシル基を有しない二官
能以上の(メタ)アクリレートモノマーは、多すぎると
被膜が侵され易くなるため、組成物C中の30重量%以
下であるのが好ましい。
【0048】組成物C中には、必要に応じて本発明1の
組成物Aに添加されたのと同様のエポキシ基を有する他
の化合物を添加される。又、組成物Cは、必要に応じて
本発明1の組成物Aと同様の溶剤で希釈される。
【0049】光重合開始剤としては、本発明1と同様の
ものが使用されるが、その添加量は、多すぎると黄変が
発生するかあるいは膜が脆くなる等の問題を生じ、少な
すぎると硬化が不十分となるので、1分子中に少なくと
も1個の(メタ)アクリロイル基と少なくとも1個のカ
ルボキシル基を有する化合物100重量部に対して、
0.1〜10重量部が好ましい。
【0050】又、本発明2は、第1の工程により形成さ
れた硬化被膜に、1分子中に少なくとも1個の(メタ)
アクリロイル基を有する親水性単量体と、光重合開始剤
とからなる組成物Dを接触させた状態で活性光線を照射
し光硬化させる第2の工程を有する。
【0051】1分子中に少なくとも1個の(メタ)アク
リロイル基を有する親水性単量体としては、親水基とし
て、水酸基、スルホン酸塩基、一級、二級及び三級アミ
ノ基又はアミド基、四級アンモニウム塩基、カルボン酸
塩基、リン酸あるいはリン酸塩基、ポリエチレングリコ
ール鎖、モルホリノ基、硫酸塩基等を1つ以上有するも
のが好ましい。
【0052】このような親水性単量体としては、例え
ば、2─ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2─
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロー
ル(メタ)アクリレート、2─アクリルアミド─2─メ
チルプロパンスルホン酸、スルホン酸ナトリウムエトキ
シ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルア
ミノプロピルアクリルアミド、2─メタクリロキシエチ
ルトリメチルアンモニウムクロリド、(メタ)アクリル
酸ナトリウム、ω─カルボキシ─ポリカプロラクトンモ
ノアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)ア
クリレート、アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
これらは単独で使用してもよいし、二種以上併用しても
よい。
【0053】光重合開始剤としては、第1の工程で用い
られるものが使用されるが、その添加量は、親水性単量
体100重量部に対して、0.1〜10重量部であるの
が好ましい。
【0054】組成物Dは、必要に応じて本発明1の組成
物Aと同様の溶剤で希釈される。特に親水性単量体が固
体の場合には溶剤が必要となる。又、本発明2の第2の
工程で得られた硬化被膜を、必要に応じて本発明1の第
の工程で得られた硬化被膜と同様にアルカリ処理を行っ
てもよい。
【0055】
【作用】本発明1の防曇性被覆物品の製造方法は、ま
ず、プラスチック成形体基材又は無機ガラス基材の表面
に、上記の一般式(1)で表される繰り返し構造単位を
有する重合体と、1分子中に少なくとも2個の(メタ)
アクリロイル基を有する疏水性単量体と、重合開始剤と
からなる組成物Aを下塗り層として塗布し光硬化させる
第1の工程において、1分子中に少なくとも2個の(メ
タ)アクリロイル基を有する疏水性単量体を重合させた
架橋構造を有するアクリル系重合体とエポキシ基を有す
る重合体との混合物からなる硬度の高い硬化被膜を形成
することができ、次いで、第1の工程により形成された
硬化被膜に、上記の一般式(2)で表される繰り返し構
造単位を有する親水性重合体の溶液Bを塗布し加熱硬化
させる第2の工程において、硬化被膜の表面部のエポキ
シ基と親水性重合体のカルボキシル基とを反応させて硬
化被膜上に親水基を有する親水性重合体を固定させるこ
とができるので、防曇性に優れ且つ耐水性にも優れた防
曇性被覆物品を製造することができる。
【0056】本発明2の防曇性被覆物品の製造方法は、
まず、プラスチック成形体基材又は無機ガラス基材の表
面に、上記の一般式(1)で表される繰り返し構造単位
を有する重合体と、1分子中に少なくとも1個の(メ
タ)アクリロイル基と少なくとも1個のカルボキシル基
を有する化合物と、光重合開始剤とからなる組成物Cを
下塗り層として塗布し加熱硬化する第1の工程におい
て、一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する
重合体のエポキシ基と1分子中に少なくとも1個の(メ
タ)アクリロイル基と少なくとも1個のカルボキシル基
を有する化合物のカルボキシル基を反応させて、光重合
開始剤が分散され(メタ)アクリレート基を有する重合
体からなる硬化被膜を形成することができ、次いで、第
1の工程により形成された硬化被膜に、1分子中に少な
くとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する親水性単
量体と、光重合開始剤とからなる組成物Dを接触させた
状態で活性光線を照射し光硬化させる第2の工程におい
て、硬化被膜の表面部の(メタ)アクリロイル基と親水
性単量体の(メタ)アクリロイル基とを反応させて親水
基を表出させた状態となすことができるとともに、硬化
被膜の内部ではその中に分散された光重合開始剤を分解
させて残存する(メタ)アクリロイル基同士の架橋反応
を起こさせて硬度に優れた硬化被膜となすことかできる
ので、防曇性に優れ且つ耐水性にも優れた防曇性被覆物
品を製造することができる。
【0057】
〔第1の工程〕
(1)エポキシ基含有重合体の合成 暗所下で褐色容器に、酢酸エチル30gと、グリシジル
メタクリレート(共栄社化学製、商品名「ライトエステ
ルG」)10gと、アゾビスイソブチロニトリル50m
gとを入れ、10分間窒素ガスバブリングを行った後、
60℃の湯浴につけ7時間反応させた。その後、溶液を
石油エーテルに投じて重合体を沈澱させ回収した。
【0058】(2)組成物Aの調製 (1)の操作で得られた重合体2gをメチルエチルケト
ン20gに溶解し、これにジペンタエリスリトールヘキ
サアクリレート(日本化薬社製、商品名「カヤラッドD
PHA」)2gと、1─ヒドロキシシクロヘキシルフェ
ニルケトン(チバガイギー社製、商品名「イルガキュア
ー184」)100mgと、4─ジメチルアミノ安息香
酸エチル(日本化薬社製、商品名「カヤキュアーEP
A」)50mgとを添加し均一な溶液とした。
【0059】(3)塗布・硬化 (2)で得られた組成物Aをディップコートによりガラ
ス板に塗布し、コンベア式露光機により、ベルトスピー
ド2.0m/分で光硬化させた。
【0060】〔第2の工程〕 (4)熱硬化 (3)で得られた硬化被膜上に、ポリアクリル酸(和光
純薬社製、25%水溶液5gと、エタノール20gとを
混合した溶液Bをディップコートにより塗布し150℃
で30分間加熱硬化させた。その後余剰付着分を水洗に
より除去した。
【0061】(5)アルカリ処理 (4)で得られたガラス板を30℃の3%NaCO3
溶液に1分間浸漬した後、水洗して、被覆物品を得た。
得られた被覆物品について、防曇性と耐水性の評価を行
った。その結果を表1に示した。
【0062】尚、防曇性の評価については、JIS S
4030に沿って、ガラスの一方の面に冷却水をあて2
5℃に保ちながら、42℃の水蒸気を3分間ガラス板の
もう一方の面にあてたときの曇り止め性を、1級〜4級
の4段階で評価し、1級を◎、2級を○、三級を△、4
級を×とした。又、耐水性の評価については、25℃の
水に24時間浸漬した後、曇り止め性を上記同様の4段
階で評価した。
【0063】実施例2 溶液Bとして、アクリル酸2gと、2─アクリルアミド
─2─メチルプロパンスルホン酸6gと、アゾビスイソ
ブチロニトリル40mgと、ジメチルホルムアミド30
mgとの混合物を、窒素ガス雰囲気下にて60℃で6時
間反応させ、反応後の溶液2gをエタノール8gで希釈
したものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、被
覆物品を得て、実施例1と同様の評価を行った。その結
果を表1に併せて示した。
【0064】実施例3 溶液Bとして、アクリル酸2gと、N,N─ジメチルア
クリルアミド酸4gと、アゾビスイソブチロニトリル6
0mgと、水12gと、エタノール12gとの混合物
を、窒素ガス雰囲気下にて60℃で6時間反応させ、反
応後の溶液2gをエタノール8gで希釈したものを用い
たこと以外は実施例1と同様にして、被覆物品を得て、
実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に併せ
て示した。
【0065】実施例4 暗所下で、褐色容器に酢酸エチル30gと、3,4─エ
ポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ダイセル
化学社製、商品名「M−100」)10gと、アゾイソ
ブチロニトリル50mgとを入れ、10分間窒素ガスバ
ブリングを行った後、60℃の湯浴につて7時間反応さ
せた。その後、溶液を石油エーテルに投じて重合体を沈
澱させ回収し、エポキシ基含有重合体を得た。
【0066】この重合体1.5gを4gのメチルエチル
ケトンに溶解し、これにペンタエリスリトールトリアク
リレート(日本化薬社製、商品名「カヤラッドPET−
30」)2gと、1─ヒドロキシシクロヘキシルフェニ
ルケトン(チバガイギー社製、商品名「イルガキュアー
EPA」)100mgと、4─ジメチルアミノ安息香酸
エチル(日本化薬社製、商品名「カヤキュアーEP
A」)とを添加したこと以外は実施例2と同様にして、
被覆物品を得て、実施例1と同様の評価を行った。その
結果を表1に併せて示した。
【0067】実施例5 基板にアクリル板を用い、熱硬化条件を70℃、5時間
としたこと以外は実施例4と同様にして、被覆物品を得
て、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に
併せて示した。
【0068】実施例6 基板にポリカーボネイト板を用い、熱硬化条件を70
℃、5時間としたこと以外は実施例4と同様にして、被
覆物品を得て、実施例1と同様の評価を行った。その結
果を表1に併せて示した。
【0069】比較例1 第2の工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様に
して、被覆物品を得て、実施例1と同様の評価を行っ
た。その結果を表1に併せて示した。
【0070】比較例2 第1の工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様に
して、被覆物品を得て、実施例1と同様の評価を行っ
た。その結果を表1に併せて示した。
【0071】比較例3 ポリアクリル酸(和光純薬社製、25%水溶液)5g
と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム15gと、
水80gからなる混合物を、ガラス板に塗布した後、8
0℃で1時間乾燥して被覆物品を得て、実施例1と同様
の評価を行った。その結果を表1に併せて示した。
【0072】
【表1】
【0073】表1からも明らかな如く、本発明の実施例
の場合は、いずれも、防曇性及び耐水性が優れているの
に対して、比較例1の場合には、防曇性及び耐水性が悪
く、比較例2,3の場合は、耐水性が悪い。
【0074】実施例7 〔第1の工程〕 (1)エポキシ基含有重合体の合成 暗所下で褐色容器に、酢酸エチル30gと、グリシジル
メタクリレート(共栄社化学製、商品名「ライトエステ
ルG」)10gと、アゾビスイソブチロニトリル50m
gとを入れ、10分間窒素ガスバブリングを行った後、
60℃の湯浴につけ7時間反応させた。その後、溶液を
石油エーテルに投じて重合体を沈澱させ回収した。
【0075】(2)組成物Cの調製 (1)の操作で得られた重合体2gをメチルエチルケト
ン20gに溶解し、これに2−アクリロイルオキシエチ
ルコハク酸(共栄社化学製、商品名「HOA−MS」)
1.8gと、1─ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケ
トン(チバガイギー社製、商品名「イルガキュアー18
4」)100mgと、4─ジメチルアミノ安息香酸エチ
ル(日本化薬社製、商品名「カヤキュアーEPA」)5
0mgとを添加し均一な溶液とした。
【0076】(3)塗布・硬化 (2)で得られた組成物Aをディップコートによりガラ
ス板に塗布し、120℃で30分間硬化させた。
【0077】〔第2の工程〕 (4)光硬化 (3)で得られた硬化被膜が設けられたガラス板を、ジ
メチルホルムアミド50gと、2─アクリルアミド─2
─メチルプロパンスルホン酸(日東化学社製、商品名
「TBES─Q」)5gと、1─ヒドロシキシクロヘキ
シルフェニルケトン(チバガイギー社製、商品名「イル
ガキュアー184」)200mgと、4─ジメチルアミ
ノ安息香酸エチル(日本化薬社製、商品名「カヤキュア
ーEPA」)100mgとの混合物からなる溶液Dに浸
漬した状態で、1分間紫外線を照射した。その後、余剰
付着分を水洗により除去した。
【0078】(5)アルカリ処理 (4)で得られたガラス板を30℃の3%NaCO3
溶液に1分間浸漬した後、水洗して、被覆物品を得た。
得られた被覆物品について、実施例1と同様の防曇性と
耐水性の評価を行った。その結果を表2に示した。
【0079】実施例8 溶液Dとして、エタノール50gと、2─メタクリロキ
シエチルトリメチルアンモニウムクロリド(共栄社化学
社製、商品名「DQ−100」)5gと、1─ヒドロキ
シシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、
商品名「イルガキュアー184」)200mgと、4─
ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製、商品名
「カヤキュアーEPA」)100mgとの混合物を用い
たこと、アルカリ処理を行わなかったこと以外は実施例
7と同様にして、被覆物品を得て、実施例1と同様の評
価を行った。その結果を表2に併せて示した。
【0080】実施例9 溶液Dとして、エタノール50gと、アクリル酸5g
と、1─ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チ
バガイギー社製、商品名「イルガキュアー184」)2
00mgと、4─ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本
化薬社製、商品名「カヤキュアーEPA」)100mg
との混合物を用いたこと以外は実施例7と同様にして、
被覆物品を得て、実施例1と同様の評価を行った。その
結果を表2に併せて示した。
【0081】実施例10 溶液Dとして、エタノール50gと、エチレンオキサイ
ド変性燐酸アクリレート5gと、1─ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、商品名
「イルガキュアー184」)200mgと、4─ジメチ
ルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製、商品名「カヤ
キュアーEPA」)100mgとの混合物を用いたこと
以外は実施例7と同様にして、被覆物品を得て、実施例
1と同様の評価を行った。その結果を表2に併せて示し
た。
【0082】実施例11 〔第1の工程〕 (1)エポキシ基含有重合体の合成 暗所下で褐色容器に、酢酸エチル30gと、3,4─エ
ポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ダイセル
化学社製、商品名「M─100」)10gと、アゾビス
イソブチロニトリル50mgとを入れ、10分間窒素ガ
スバブリングを行った後、60℃の湯浴につけ7時間反
応させた。その後、溶液を石油エーテル投じて重合体を
沈澱させることにより重合体を回収した。
【0083】(2)組成物Cの調製 得られた重合体2gをメチルエチルケトン20gに溶解
させ、これに2─アクリロイルオキシフタル酸(共栄社
製、商品名「HOA−MPL」)1.8gと、1─ヒド
ロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社
製、商品名「イルガキュアー184」)100mg、4
─ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本試薬社製、商品
名「カヤキュアーEPA」)50mgを添加して均一な
溶液とした。
【0084】(3)塗布・熱硬化 (2)で得られた組成物Cをディップコートによりアク
リル板に塗布し、70℃で5時間硬化させた。
【0085】〔第2の工程〕 (4)光硬化 水20gと、エタノール20gと、2─アクリルアミド
─2─メチルプロパンスルホン酸(日東化学社製、商品
名「TBAS─Q」)5gとを均一な溶液とした後、N
2 CO3 で中和し、更に、その中に、1─ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、商
品名「イルガキュアー184」)200mgと、4─ジ
メチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製、商品名
「カヤキュアーEPA」)100mgとを添加して溶液
Dとした。
【0086】この溶液D中に、(3)で得られた硬化被
膜が設けられたアクリル板を浸漬した状態で1分間紫外
線を照射した。その後、余剰付着分を水洗により除去し
て、被覆物品を得た。得られた被覆物品について、実施
例1と同様の防曇性と耐水性の評価を行った。その結果
を表2に示した。
【0087】実施例12 基材として、ポリカーボネート板を用いたこと以外は実
施例11と同様にして、被覆物品を得た。得られた被覆
物品について、実施例1と同様の防曇性と耐水性の評価
を行った。その結果を表2に示した。
【0088】比較例4 第2の工程を行わなかったこと以外は実施例7と同様に
して、被覆物品を得た。得られた被覆物品について、実
施例1と同様の防曇性と耐水性の評価を行った。その結
果を表2に示した。
【0089】比較例5 第1の工程を行わなかったこと以外は実施例7と同様に
して、被覆物品を得た。得られた被覆物品について、実
施例1と同様の防曇性と耐水性の評価を行った。その結
果を表2に示した。
【0090】
【表2】
【0091】表2からも明らかな如く、本発明の実施例
場合は、いずれも、防曇性及び耐水性に優れてきるのに
対して、比較例4の場合は、防曇性及び耐水性が悪く、
比較例5の場合は、耐水性が悪い。
【0092】
【発明の効果】本発明1,2の防曇製被覆物品の製造方
法は、それぞれ、上記の如き構成とされているので、防
曇性に優れ且つ耐水性にも優れた防曇性被覆物品を製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 R 7415−4F 302 P 7415−4F U 7415−4F C08J 7/04 S C09D 133/06 PFZ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック成形体基材又は無機ガラス
    基材の表面に、一般式─〔CH2 ─CR1 2 ─〕(式
    中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R 2 はエポキ
    シ基を有する側鎖を示す)で表される繰り返し構造単位
    を有する重合体と、1分子中に少なくとも2個の(メ
    タ)アクリロイル基を有する疏水性単量体と、光重合開
    始剤とからなる組成物Aを下塗り層として塗布し光硬化
    させる第1の工程と、第1の工程により形成された硬化
    被膜に、一般式─〔CH2 ─CR 3 4 ─〕(式中、R
    3 は水素原子又はメチル基を示し、R4 はカルボキシル
    基を有する側鎖を示す)で表される繰り返し構造単位を
    有する親水性重合体の溶液Bを塗布し加熱硬化させる第
    2の工程よりなることを特徴とする防曇性被覆物品の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 プラスチック成形体基材又は無機ガラス
    基材の表面に、一般式─〔CH2 ─CR1 2 ─〕(式
    中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R 2 はエポキ
    シ基を有する側鎖を示す)で表される繰り返し構造単位
    を有する重合体と、1分子中に少なくとも1個の(メ
    タ)アクリロイル基と少なくとも1個のカルボキシル基
    を有する化合物と、光重合開始剤とからなる組成物Cを
    下塗り層として塗布し加熱硬化させる第1の工程と、第
    1の工程により形成された硬化被膜に、1分子中に少な
    くとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する親水性単
    量体と、光重合開始剤とからなる組成物Dを接触させた
    状態で活性光線を照射して光硬化させる第2の工程より
    なることを特徴とする防曇性被覆物品の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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