JPH08104219A - 車両のアンチスキッドブレーキ装置 - Google Patents

車両のアンチスキッドブレーキ装置

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JPH08104219A
JPH08104219A JP26177094A JP26177094A JPH08104219A JP H08104219 A JPH08104219 A JP H08104219A JP 26177094 A JP26177094 A JP 26177094A JP 26177094 A JP26177094 A JP 26177094A JP H08104219 A JPH08104219 A JP H08104219A
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hydraulic pressure
pressure
brake
fluid pressure
master cylinder
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JP26177094A
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Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液圧センサ等を用いずにマスターシリンダ液
圧を推定可能なアンチスキッドブレーキ装置を提供す
る。 【構成】 ABS制御の第2サイクル開始時の車体減速
度DVr とマップM1とからブレーキ液圧Pwc1 を検知
し、このブレーキ液圧Pwc1 と、これを減圧する減圧時
間DTo と、マップM2とから減圧後のブレーキ液圧Pwc
2 を検知し、ブレーキ液圧Pwc2 を増圧する増圧時間A
Toを演算し、第3サイクル開始時の車体減速度DVr とマ
ップM1とからブレーキ液圧Pwc3 を検知し、ブレーキ
液圧Pwc2,Pwc3 と、増圧時間AToとをマップM3に
適用してマスターシリンダ液圧Pmを推定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両のアンチスキッ
ドブレーキ装置に関し、特に、マスターシリンダのマス
ターシリンダ液圧を推定可能にしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の制動時における車輪のロッ
クを抑制して制動性を確保するために、車体速と車輪速
に基づいてブレーキ液圧を制御するアンチスキッドブレ
ーキ装置は、種々実用化されている。このアンチスキッ
ドブレーキ装置では、前輪のブレーキ液圧を左右独立の
2系統で、また、後輪のブレーキ液圧を左右統合した1
系統又は左右独立の2系統で制御するブレーキ液圧系
に、液圧制御用の制御バルブ(増圧バルブと減圧バル
ブ)を設け、その制御バルブを介して車輪のスリップ率
が目標値となるようにブレーキ液圧を調整するが、増圧
フェーズ、増圧保持フェーズ、減圧フェーズ、減圧保持
フェーズからなる所定の液圧制御サイクルを複数サイク
ル繰り返えしたり、増圧フェーズと減圧フェーズとから
なる所定の液圧制御サイクルを複数サイクル繰り返えす
のが一般的である。
【0003】ここで、アンチスキッドブレーキ装置にお
けるブレーキ液圧(ホイールシリンダの液圧)は、マス
ターシリンダで発生するマスターシリンダ液圧から発生
する。しかし、マスターシリンダ液圧は、ブレーキペダ
ルを踏み込む踏み込み力に比例するため、このマスター
シリンダ液圧を推定することは容易ではなく、マスター
シリンダ液圧推定技術は、何ら提案されていないのが実
情である。特開平2−3564号公報には、マスターシ
リンダ液圧を検出する液圧センサを設け、アンチスキッ
ド制御中における減圧や増圧を介して変化するブレーキ
液圧を演算処理を介して推定し、ブレーキ液圧がマスタ
ーシリンダ液圧よりも低くなったときに、アンチスキッ
ド制御を終了させるアンチスキッド制御装置が記載され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記公報に記載のアン
チスキッド制御装置では、マスターシリンダ液圧を検出
する液圧センサを設けるため、マスターシリンダ液圧を
容易に検出できるけれども、高価な液圧センサを必要と
するので、製作コスト的に不利である。仮に、液圧セン
サを用いることなく、マスターシリンダ液圧を推定でき
れば、増圧フェーズにおける増圧時間の設定や増圧速度
の設定等に活用したり、アンチスキッド制御の終了判定
等に有効活用でき、アンチスキッド制御の精度・信頼性
を高めることが可能となることから、マスターシリンダ
液圧推定技術の確立が強く要請されているのが実情であ
る。本発明の目的は、液圧センサを用いずに、アンチス
キッド制御中にマスターシリンダ液圧を推定可能にした
車両のアンチスキッドブレーキ装置を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、車輪
の回転速度を検出する車輪速検出手段と、前輪と後輪の
ブレーキ液圧を調整する液圧調整手段と、車輪速検出手
段で検出された車輪速に基づいて、少なくとも増圧フェ
ーズと減圧フェーズとを含む液圧制御サイクルでブレー
キ液圧が変化するように液圧調整手段を制御するアンチ
スキッド制御手段とを備えた車両のアンチスキッドブレ
ーキ装置において、車輪速検出手段で検出された車輪速
から車体速を演算する車体速演算手段と、前記車体速を
受けて車体減速度を求め、この車体減速度を用いて車輪
がロックするときの第1ブレーキ液圧を検知する第1液
圧検知手段と、前記第1ブレーキ液圧を減圧する減圧フ
ェーズの減圧時間を求め、第1ブレーキ液圧と減圧時間
とから、減圧後の第2ブレーキ液圧を検知する第2液圧
検知手段と、前記車体速を受けて車体減速度を求め、こ
の車体減速度を用いて第1ブレーキ液圧を求めた液圧制
御サイクルの次の液圧制御サイクルに車輪がロックする
ときの第3ブレーキ液圧を検知する第3液圧検知手段
と、前記第2ブレーキ液圧を増圧する増圧フェーズの増
圧時間を求め、第2ブレーキ液圧と第3ブレーキ液圧と
増圧時間とを用いて、マスターシリンダ液圧を推定する
マスターシリンダ液圧推定手段とを備えたものである。
【0006】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記アンチスキッド制御手段は、第3ブレーキ液圧
が、マスターシリンダ液圧推定手段で求めたマスターシ
リンダ液圧近くに達したときに、液圧調整手段の制御を
終了するように構成されたものである。
【0007】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、前記第1液圧検知手段は、車体減速度とブレーキ液
圧の相関関係を予め設定したマップを有することを特徴
とするものである。請求項4の発明は、請求項3の発明
において、前記第2液圧検知手段は、ブレーキ液圧と減
圧時間との相関関係を予め設定したマップを有すること
を特徴とするものである。
【0008】請求項5の発明は、請求項3の発明におい
て、前記第3液圧検知手段は、車体減速度とブレーキ液
圧の相関関係を予め設定したマップであって、第1液圧
検知手段の前記マップと共通のマップを有することを特
徴とするものである。請求項6の発明は、請求項4の発
明において、前記マスターシリンダ液圧推定手段は、マ
スターシリンダ液圧と、ブレーキ液圧と、増圧時間の相
関関係を予め設定したマップを有することを特徴とする
ものである。
【0009】
【発明の作用及び効果】請求項1の発明においては、車
輪速検出手段は車輪の回転速度を検出し、液圧調整手段
は前輪と後輪のブレーキ液圧を調整し、アンチスキッド
制御手段は、検出車輪速に基づいて、少なくとも増圧フ
ェーズと減圧フェーズとを含む液圧制御サイクルでブレ
ーキ液圧が変化するように液圧調整手段を制御する。車
体速演算手段は、検出車輪速から車体速を演算する。第
1液圧検知手段は、車体速から求めた車体減速度を用い
て車輪がロックするときの第1ブレーキ液圧を検知す
る。第2液圧検知手段は、第1ブレーキ液圧を減圧する
減圧フェーズの減圧時間を求め、第1ブレーキ液圧と減
圧時間とから、減圧後の第2ブレーキ液圧を検知する。
第3液圧検知手段は、車体速から求めた車体減速度を用
いて第1ブレーキ液圧を求めた液圧制御サイクルの次の
液圧制御サイクルに車輪がロックするときの第3ブレー
キ液圧を検知する。マスターシリンダ液圧推定手段は、
第2ブレーキ液圧を増圧する増圧フェーズの増圧時間を
求め、第2ブレーキ液圧と第3ブレーキ液圧と増圧時間
とを用いて、マスターシリンダ液圧を推定する。尚、ブ
レーキ液圧は、ホイールシリンダの液圧である。
【0010】車輪のロックするときのブレーキ液圧は、
車体減速度と比例関係にあることから、第1液圧検知手
段と第3液圧検知手段は、その特性を活用してブレーキ
液圧を検知する。ある圧力のブレーキ液圧を減圧すると
きの減圧特性は、そのブレーキ液圧と減圧時間とから決
まる関係にあることから、第2液圧検知手段は、その減
圧特性を活用して、第2ブレーキ液圧を検知する。ある
圧力のブレーキ液圧を増圧するときの増圧特性は、その
ブレーキ液圧と、増圧後のブレーキ液圧と、マスターシ
リンダ液圧と、増圧時間とから決まる関係にあることか
ら、マスターシリンダ液圧推定手段は、その増圧特性を
活用してマスターシリンダ液圧を推定する。
【0011】以上のように、車輪速検出手段で検出され
る車輪速を基本情報とし、ブレーキ液圧制御の際の減圧
時間や増圧時間等の演算情報や複数のマップの情報に基
づいて、マスターシリンダ液圧を推定することができ
る。しかも、液圧検出センサを用いることなく、マスタ
ーシリンダ液圧を検出できるため、製作コスト的に有利
であり、以上のように推定したマスターシリンダ液圧
を、アンチスキッド制御手段における制御に適宜活用し
て制御精度や信頼性を高めるのに活用できる。
【0012】請求項2の発明においては、請求項1と同
様の作用・効果を奏するが、アンチスキッド制御手段
は、第3ブレーキ液圧が、マスターシリンダ液圧推定手
段で求めたマスターシリンダ液圧近くに達したときに、
液圧調整手段の制御を終了するため、その制御終了を簡
単かつ合理的に決定することができる。
【0013】請求項3の発明においては、請求項1と同
様の作用・効果を奏するが、前記第1液圧検知手段は、
車体減速度とブレーキ液圧の相関関係を予め設定したマ
ップを有するため、演算処理が簡単化し、第1液圧を精
度よく検知できる。請求項4の発明においては、請求項
3と同様の作用・効果を奏するが、前記第2液圧検知手
段は、ブレーキ液圧と減圧時間との相関関係を予め設定
したマップを有するため、演算処理が簡単化し、第2液
圧を精度よく検知できる。
【0014】請求項5の発明においては、請求項3と同
様の作用・効果を奏するが、前記第3液圧検知手段は、
車体減速度とブレーキ液圧の相関関係を予め設定したマ
ップであって、第1液圧検知手段の前記マップと共通の
マップを有するため、マップの共通化を図ることができ
る。請求項6の発明においては、請求項4と同様の作用
・効果を奏するが、前記マスターシリンダ液圧推定手段
は、マスターシリンダ液圧と、ブレーキ液圧と、増圧時
間の相関関係を予め設定したマップを有するため、演算
処理が簡単化し、マスターシリンダ液圧を精度よく推定
することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。最初に、この車両のブレーキシステムについ
て説明する。第1図に示すように、この実施例に係る車
両は、左右の前輪1,2が従動輪、左右の後輪3,4が
駆動輪とされ、エンジン5の出力トルクが自動変速機6
からプロペラシャフト7、差動装置8および左右の駆動
軸9,10を介して左右の後輪3,4に伝達されるよう
に構成してある。各車輪1〜4には、車輪と一体的に回
転するディスク11a〜14aと、制動圧の供給を受
け、これらディスク11a〜14aの回転を制動するキ
ャリパ11b〜14bなどからなるブレーキ装置11〜
14が夫々設けられ、これらのブレーキ装置11〜14
を作動させるブレーキ制御システム15が設けられてい
る。
【0016】このブレーキ制御システム15は、運転者
によるブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装
置17と、この倍力装置17によって増大された踏込力
に応じた制動圧を発生させるマスターシリング18とを
有する。このマスターシリング18からの前輪用制動圧
供給ライン19が2経路に分岐され、これら前輪用分岐
制動圧ライン19a,19bが左右の前輪1,2のブレ
ーキ装置11,12のキャリパ11a,12aに夫々接
続され、左前輪1のブレーキ装置11に通じる制動圧ラ
イン19aには、電磁式の増圧弁20aと、同じく電磁
式の減圧弁20bとからなる第1バルブユニット20が
設けられ、右前輪2のブレーキ装置12に通じる制動圧
ライン19bにも、電磁式の増圧弁21aと、電磁式の
減圧弁21bとからなる第2バルブユニット21が設けら
れている。
【0017】一方、マスターシリンダ18からの後輪用
制動圧供給ライン22には、電磁式の増圧弁23aと、
電磁式の減圧弁23bとからなる第3バルブユニット2
3が設けられている。この後輪用制動圧供給ライン22
は、第3バルブユニット23の下流側で2経路に分岐さ
れて、これら後輪用分岐制動圧ライン22a,22bが
左右の後輪3,4のブレーキ装置13,14のキャリパ
13b,14bに夫々接続されている。このブレーキ制
御システム15は、第1バルブユニット20を介して左
前輪1のブレーキ装置11の制動圧を可変制御する第1
チャンネルと、第2バルブユニット21を介して右前輪
2のブレーキ装置12の制動圧を可変制御する第2チャ
ンネルと、第3バルブユニット23を介して左右の後輪
3,4の両ブレーキ装置13,14の制動圧を可変制御
する第3チャンネルとが設けられ、これら第1〜第3チ
ャンネルが互いに独立して制御される。
【0018】前記ブレーキ制御システム15には、第1
〜第3チャンネルを制御するABS制御ユニット24が
設けられ、このABS制御ユニット24は、ブレーキペ
ダル16のON/OFFを検出するブレーキスイッチ25から
のブレーキ信号と、ハンドル舵角を検出する舵角センサ
26からの舵角信号と、4輪1〜4の回転速度を夫々検
出する車輪速センサ27〜30からの車輪速信号とを受
けて、これらの信号に応じた制動圧制御信号を第1〜第
3バルブユニット20,21,23に夫々出力すること
により、左右の前輪1,2および後輪3,4のロックや
スキッドを抑制するアンチスキッドブレーキ制御(以
下、ABS制御という)を各チャンネル毎に第1〜第3
チャンネルの全チャンネル並行して行うようになってい
る。
【0019】ABS制御ユニット24は、車輪速センサ
27〜30で検出される車輪速に基いて第1〜第3バル
ブユニット20,21,23におけるデューティソレノ
イド弁からなる増圧弁20a,21a,23aとデュー
ティソレノイド弁からなる減圧弁20b,21b,23
bとを夫々デューティ制御で制御することにより、スリ
ップの状態に応じた制動圧で前輪1,2および後輪3,
4に制動力を付与するようになっている。尚、第1〜第
3バルブユニット20,21,23における各減圧弁2
0b,21b,23bから排出されたブレーキオイル
は、図示外のドレンラインを介してマスターシリンダ1
8のリザーバタンク18aに戻される。
【0020】ABS非制御状態においては、ABS制御
ニット24からは制動圧制御信号が出力されず、図示の
ように減圧弁20b,21b,23bが夫々閉保持さ
れ、かつ増圧弁20a,21a,23aが夫々開保持さ
れるので、ブレーキペダル16の踏込力に応じてマスタ
ーシリンダ18で発生した制動圧が、ブレーキ装置11
〜14に供給され、これらの制動圧に応じた制動力が前
輪1,2と後輪3,4に直接付与される。
【0021】ABS制御ニット24には、車輪速センサ
27〜30の検出信号、舵角センサ26の検出信号、ブ
レーキスイッチ25の検出信号等が供給され、ABS制
御ニット24は、センサやスイッチ類からの検出信号
を、必要に応じて波形整形する波形整形回路、種々の検
出信号を必要に応じてAD変換するA/D変換器、入力
出力インターフェース、マイクロコンピュータ、増圧弁
や減圧弁の為の駆動回路、複数のタイマ等で構成され、
マイクロコンピュータのROMには、アンチスキッドブ
レーキ制御とそれに付随する種々の制御の制御プログラ
ムやテーブルやマップ等が予め格納され、RAMには種
々のワークメモリが設けられている。
【0022】次に、ABS制御の概要について説明する
と、車輪速センサ27〜30で検出された車輪速V1〜
V4に基いて各車輪毎の減速度DV1 〜DV4 および加速度
AV1〜AV4 を夫々算出する。この場合、車輪速の前回値
に対する今回値の差分をサンプリング周期Δt (例えば
8ms)で除算した上で、その結果を重力加速度に換算
した値を今回の加速度ないし減速度として更新する。
【0023】また、所定の悪路判定処理により走行路面
が悪路か否かを判定する。この場合、従動輪1,2の車
輪加速度又は車輪減速度が、所定期間の間に、所定の悪
路判定しきい値以上となる回数をカウントし、その回数
が所定値以下のときには悪路フラグFakを0に設定し、
その回数が所定値よりも大きいときには悪路フラグFak
を1に設定する。ABS制御は、各チャンネル毎に実行
されるが、各輪の車輪速と各チャンネル毎の路面摩擦状
態値Muが演算され、これらのデータを用いて3チャン
ネルに共通の擬似車体速Vrが演算される。各輪のスリ
ップ率は、本実施例では、スリップ率=( 車輪速/疑似
車体速Vr)×100にて演算されるので、車体速Vr
に対する車輪速の偏差が大きくなるほどスリップ率が小
さくなり、車輪のスリップ傾向が大きくなる。
【0024】次に、各チャンネルのアンチスキッドブレ
ーキ制御のメインルーチンについて、第1チャンネルに
対する制御を例として、図2のフローチャートを参照し
つつ説明するが、フローチャート中符号Si(i=1,
2,3・・)は各ステップを示す。尚、このメインルー
チンは、所定微小時間(例えば、8ms)おきに実行さ
れる処理である。最初に各種信号(ブレーキSW信号、
車輪速V1)が読み込まれ(S1)、次にブレーキスイ
ッチ25がONか否か判定し(S2)、その判定が No
のときには、リターンし、ブレーキスイッチ25がON
のときは、路面摩擦状態値Muが演算され(S3)、次
に擬似車体速Vrが演算され(S4)、次に制御しきい
値が設定され(S5)、次に制御信号出力処理が実行さ
れ(S6)、その後リターンする。
【0025】路面摩擦状態値Muの演算処理・・・図3
参照 最初に、各種信号(フラグFabs 、車輪速V1)が読み
込まれ(S10)、次にフラグFabs が1か否か判定す
る(S11)。このフラグFabs は、第1〜第3チャン
ネルのロックフラグFlok1〜Flok3の何れかが1のと
き、1にセットされるもので、S11の判定が No のと
きは、路面摩擦状態値Muが、高摩擦状態を示すMu=
3に設定され(S12)、その後リターンする。フラグ
Fabs が1のときには、左前輪1の減速度DVが−20G
より小か否か判定し(S13)、その判定がYes のとき
には、左前輪1の加速度AVが10Gより大か否か判定し
(S14)、その判定により加速度AV≦10Gのときに
は、路面摩擦状態値Muが、低摩擦状態を示すMu=1
に設定され(S15)、その後リターンする。
【0026】減速度DV<−20Gでないとき、又は加速
度AV>10Gのときには、加速度AV>20Gか否か判定
し(S16)、その判定がYes のときには、路面摩擦状
態値Muが、高摩擦状態を示すMu=3に設定され(S
17)、その後リターンする。S16の判定が No のと
きには、路面摩擦状態値Muが、中摩擦状態を示すMu
=2に設定され(S18)、その後リターンする。以上
のようにして、第1チャンネルについての路面摩擦状態
値Muが、車輪速V1の加減速度に基づいて、微小時間
置おきに推定され、メモリに更新しつつ格納される。
尚、第2,第3チャンネルについても、同様に路面摩擦
状態が推定されるが、以下、第1〜第3チャンネルの路
面摩擦状態値をMu(1) 、Mu(2) 、Mu(3) と記載す
る。
【0027】擬似車体速Vrの演算処理・・・図4、図
5参照 次に、第1チャンネルの擬似車体速Vrの演算処理につ
いて説明すると、最初に、各種信号(車輪速V1〜V
4、摩擦状態値Mu(1) ,Mu(2) ,Mu(3) 、前回の
車体速Vr)が読み込まれ(S20)、次に車輪速V1
〜V4の中から最高車輪速Vwmが演算され( S21)、
次に最高車輪速Vwmのサンプリング周期Δt 当りの最高
車輪速変化量ΔVwmが演算される(S22)。次に、図
5に示すマップから摩擦状態値Mu(Mu(1) ,Mu
(2) ,Mu(3) のうちの最小値)に対応する車体速補正
値Cvrが読み出され(S23)、次に最高車輪速変化量
ΔVwmが車体速補正値Cvr以下か否か判定される(S2
4)。
【0028】その判定の結果、車輪速変化量ΔVwmが車
体速補正値Cvr以下であると判定されると、車体速Vr
の前回値から車体速補正値Cvr減算した値が今回値に置
き換えられる(S25)。それ故、車体速Vrが車体速
補正値Cvrに応じた所定の勾配で減少することになる。
一方、車輪速変化量ΔVwmが車体速補正値Cvrより大き
いとき(最高車輪速Vwmが過大な変化を示したとき)に
は、疑似車体速Vrから最高車輪速Vwmを減算した値が
所定値V0 以上か否か判定される(S26)。
【0029】つまり、最高車輪速Vwmと車体速Vrとの
間に大きな開きがあるか否か判定され、大きな開きがあ
るときには、S25へ移行し、また、最高車輪速Vwmと
車体速Vrとの間に大きな開きがないときには、最高車
輪速Vwmが車体速Vrに置き換えられる(S27)。こ
うして、車両の擬似車体速Vrが各車輪速V1〜V4に
応じて時々刻々更新されていく。尚、擬似車体速Vrの
演算は、第1チャンネル〜第3チャンネルに共通の演算
処理である。
【0030】制御しきい値設定処理・・・図6〜図9参
照 次に、制御しきい値設定処理について、図6〜図9を参
照して説明する。最初に、各種信号(車体速Vr、摩擦
状態値Mu(1) ,Mu(2) ,Mu(3) 、フラグFak、舵
角θ)が読み込まれ(S30)、次に、S31におい
て、図7に示すように車速域と路面摩擦状態値Muと悪
路フラグFakとをパラメータとするテーブルTB1か
ら、摩擦状態値Muと車体速Vr とに応じた走行状態パ
ラメータを選択し、その選択した走行状態パラメータに
応じた各種制御しきい値を、図8のテーブルTB2に基
づいて設定し、ワークメモリに格納する。
【0031】但し、図7のテーブルTB1に適用する摩
擦状態値Muとしては、摩擦状態値Mu(1)〜Mu(4)の最
小値が適用され、例えば、その摩擦状態値Muが1のと
きに、車体速Vrが中速域のときは走行状態パラメータ
LM2が選択される。一方、悪路フラグFak=1で、悪
路状態のときには、図7に示すように、車体速Vrに応
じた走行状態パラメータを選択する。即ち、悪路走行時
には車輪速の変動が大きく、路面摩擦係数が小さく推定
される傾向があるからである。
【0032】ここで、テーブルTB2に示すように、各
種制御しきい値として、図19におけるフェーズIから
フェーズIIへの切換判定用の1−2中間減速度しきい値
B12、フェーズIIからフェーズIII への切換判定用の2
−3中間スリップ率しきい値Bsg、フェーズIII からフ
ェーズVへの切換判定用の3−5中間減速度しきい値B
35、フェーズVからフェーズIへの切換判定用の5−1
スリップ率しきい値Bszなどが、走行状態パラメータ毎
に夫々設定されている。
【0033】制動力に大きく影響する減速度しきい値
は、高摩擦状態のときの制動性能と、低摩擦状態のとき
の応答性とを両立させる為に、摩擦状態値Muが小さく
なるほど0Gに近づくように設定してある。テーブルT
B2の例では、走行状態パラメータがLM2のとき、1
−2中間減速度しきい値B12、2−3中間スリップ率し
きい値Bsg、3−5中間減速度しきい値B35、5−1ス
リップ率しきい値Bszとして、−0.5G,90%,0
G,90%が夫々読み出される。
【0034】次に、摩擦状態値Mu(ここでは、Mu=
Mu(1))が3か否か判定し(S32)、 No のときには
S34へ移行し、Yes のときには、悪路フラグFakが0
か否か判定する(S33)。悪路フラグFak=0のとき
は、舵角センサ93で検出された舵角θの絶対値が90
°未満か否かを判定し(S34)、舵角θの絶対値≧9
0°のときは、舵角θに応じた制御しきい値の補正処理
を行う(S35)。この制御しきい値の補正処理は、図
9に例示した制御しきい値補正テーブル(テーブルTB
3)に基づいて実行され、その後リターンする。
【0035】図9のテーブルTB3においては、低摩擦
と、中摩擦と、高摩擦の悪路でないとき、ハンドル操作
量が大きいときの操舵性を確保する為に、2−3中間ス
リップ率しきい値Bsgおよび5−1スリップ率しきい値
Bszに夫々5 %を加算した値が、最終のしきい値として
設定されると共に、その他のしきい値がそのまま最終し
きい値として設定されている。高摩擦の悪路(フラグF
ak=1)のとき、ハンドル操作量が小さいときの走破性
を確保する為に、2−3中間スリップ率しきい値Bsgと
5−1スリップ率しきい値Bszから夫々5 %を減算した
値が、最終のしきい値として設定されている。次に、S
34の判定がYes のときには、各制御しきい値がそのま
ま制御しきい値として夫々設定され、リターンする。
【0036】一方、S33で、悪路フラグFak=1と判
定したときには、S36において、図9のテーブルTB
3により、悪路フラグFakと舵角θに基づいて、舵角θ
<90°のときだけ、2−3中間スリップ率しきい値B
sgと5−1スリップ率しきい値Bszから夫々5 %を減算
した値が、制御しきい値として設定する補正処理が実行
され、次に、S37において、テーブルTB3に基い
て、1−2中間減速度しきい値B12から1.0 Gを減算し
た値を制御しきい値として設定する補正処理を行い、S
37からリターンする。S37の補正は、悪路の場合に
は、車輪速センサ27〜〜30が誤検出を生じやすいた
め、制御の応答性を遅らせて良好な制動力を確保するた
めである。
【0037】制御信号出力処理・・・図10〜図11参
照 次に、各種制御しきい値によりフェーズを設定し、各フ
ェーズの制動制御信号を増圧バルブ又は減圧バルブに出
力する制御信号出力処理について、第1チャンネルを例
として、図10、図11のフローチャートを参照しつつ
説明する。最初に、以下の演算処理に必要な各種信号が
読み込まれ(S50)、次にブレーキスイッチ25がO
Nか否か判定し(S51)、その判定が No のときはS
52を経てリターンし、ブレーキスイッチ25がONの
ときは、車体速Vrが所定値C1(例えば、5.0 Km/H)
以下で、かつ車輪速V1が所定値(例えば、7.5 Km/H)
以下か否か判定する(S53)。S53の判定がYes の
ときは、十分に減速された状態で、ABS制御の必要が
ないためS52を経てリターンするが、S53の判定が
No のときはS54へ移行する。
【0038】S52では、フェーズフラグP1、ロック
フラグFlok1、継続フラグFcn1 が夫々0にリセットさ
れ、その後リターンする。次に、S54では、ロックフ
ラグFlok1が0か否か判定し、ABS制御開始前で、フ
ラグFlok1が0のときはS55へ移行して、車輪速V1
の減速度DV1(但し、DV1≦0とする)が所定値D0
(例えば、−3G)以下か否か判定し、その判定がYes
のときはS56へ移行する。一方、S54の判定が No
のときはS59へ移行する。
【0039】次に、S55の判定がYes のときは、ロッ
クフラグFlok1が1にセットされ(S66)、次にフラ
グP1が2にセットされてフェーズII(増圧後保持フェ
ーズ)に移行し(S57)、次にフェーズII用に予め設
定された制動制御信号が増圧バルブ20aと減圧バルブ
20bへ出力され(S58)、その後リターンする。こ
の場合、増圧バルブ20aと減圧バルブ20bは閉弁状
態(デューティ率=0)に保持される。
【0040】ABS制御開始後は、フラグFlok1=1で
あるため、S54からS59へ移行し、フラグP1が2
か否か判定し(S59)、フラグP1=2のときはS6
0へ移行し、フラグP1=2でないときはS63へ移行
する。S60では、スリップ率S1が2−3中間スリッ
プ率しきい値Bsg以下か否か判定し、最初のうちは No
と判定されるため、S60からS58へ移行するが、そ
れを繰り返して、スリップ率S1≦しきい値Bsgになる
と、S60の次のS61において、フラグP1が3にセ
ットされてフェーズIII (減圧フェーズ)に移行する。
【0041】次に、S62では、フェーズIII 用に予め
設定された制動制御信号が増圧バルブ20aと減圧バル
ブ20bへ出力され、その後リターンする。フェーズII
I では、増圧バルブ20が閉弁状態(デューティ率=
0)に保持され、減圧バルブ20bが所定のデューティ
率にて駆動される。S59の判定により、フラグP1が
2でないときは、S59の次のS63において、フラグ
P1が3か否か判定され、フラグP1=3のときはS6
4へ移行し、S63の判定が No のときはS67へ移行
する。
【0042】次に、S64では、減速度DV1が3−5中
間減速度しきい値B35に等しいか否か判定され、最初の
うちは No と判定されるためS64からS62へ移行す
るが、それを繰り返して、減速度DV1=しきい値B35に
なると、S65において、フラグP1が5にセットされ
てフェーズV(減圧後保持フェーズ)に移行する。次
に、S66において、フェーズV用に予め設定された制
動制御信号が増圧バルブ20aと減圧バルブ20bに出
力され、その後リターンする。この場合、増圧バルブ2
0a及び減圧バルブ20bは、閉弁状態に保持される。
次に、S63の判定が No のときは、S67においてフ
ラグP1=5か否か判定し、フラグP1=5のときはS
68へ移行し、また、フラグP1=5でないときはS7
4へ移行する。フラグP1=5のときには、スリップ率
S1が5−1スリップ率しきい値Bsz以上か否か判定さ
れる(S68)。
【0043】最初のうちは No と判定されるため、S6
8からS66へ移行するのを繰り返えす。フェーズVに
おいて、スリップ率S1が増大して、S68の判定がYe
s になると、S69において、フラグP1が1にセット
されてフェーズI(増圧のフェーズ)に移行し、かつ継
続フラグFcn1 が1にセットされる。次に、S70にお
いて、フェーズIの開始後の経過時間をカウントするタ
イマT1がリセット後スタートされ、次にS71におい
てタイマT1のカウント時間T1が予め設定された急増
圧期間Tpz以下か否か判定され、最初のうち急増圧期間
Tpz以下のときは、S71からS72へ移行し、S72
においてフェーズIの初期急増圧の為に予め設定された
制動制御信号が、増圧バルブ20aと減圧バルブ20b
へ出力され、その後リターンする。この場合、増圧バル
ブ20aが所定のデューティ率で駆動され、減圧バルブ
20bが閉弁状態に保持される。
【0044】次に、フェーズIに移行後には、S67の
判定が No となるため、S67からS74へ移行し、S
74においてフラグP1=1か否か判定し、フラグP1
=1のときは、S75において、減速度DV1が、1−2
中間減速度しきい値B12以下か否か判定し、最初のうち
は、その判定が No となるため、S75からS71へ移
行し、急増圧期間Tpzの経過前にはS71からS72へ
移行するのを繰り返す。これを繰り返えすうちに、フェ
ーズIに移行後、急増圧期間Tpzが経過すると、S71
の判定が No となるためS73へ移行移行する。
【0045】S73では、フェーズIの緩増圧の為の制
動制御信号が、増圧バルブ20aと減圧バルブ20bへ
出力され、その後リターンする。この場合、増圧バルブ
20aが所定のデューティ率で駆動され、減圧バルブ2
0bが閉弁状態に保持される。次に、S71からS73
移行するのを繰り返している間に、S75の判定がYes
となると、S76においてフラグP1が2にセットさ
れ、その後S58へ移行する。こうして、ABS制御の
開始後、フェーズII、フェーズIII 、フェーズV、フェ
ーズI、フェーズII、フェーズIII 、・・・の順に複数
サイクルに亙って実行され、S53の判定でYes となっ
たり、ブレーキスイッチ25がOFFになったりする
と、一連のABS制御が終了する(図19参照)。尚、
以上のABS制御は、左前輪1のブレーキ装置11のA
BS制御を例として説明したが、その他のブレーキ装置
12〜14に対しても、同様に並行的に実行される。
【0046】次に、本発明特有のマスターシリンダ液圧
推定制御について、図12〜図18を参照しながら、第
1チャンネルを例として説明する。尚、このマスターシ
リンダ液圧推定制御は、本実施例では、前記メインルー
チンに対する8ms毎の割り込み処理にて実行される
が、メインルーチンに組み込んもよい。最初に、この制
御の概要について説明すると、マスターシリンダ液圧
(以下、M/C液圧という))はブレーキペダルの踏込
み力に応じて決まるものであるが、キャリパ11bのホ
イールシリンダ液圧(以下、W/C液圧という)、減圧
フェーズIII の減圧期間、増圧フェーズIの増圧期間、
予め設定したマップM1,M2,M3等に基いて推定す
ることができる。
【0047】図12に示すように、第2サイクルの減圧
フェーズIII 開始時のW/C液圧Pwc1 が、減圧フェー
ズIII 開始時の車体減速度DVr をマップM1に適用して
演算される。次に、減圧フェーズIII 終了時のW/C液
圧Pwc2 は、W/C液圧Pwc1 から減圧による減圧分を
差し引いた値として、W/C液圧Pwc1 と、マップM2
と、減圧フェーズIII における正味の減圧時間DTo とに
基いて演算される。次に、増圧フェーズIにおける正味
の増圧時間ATo が演算される。次に、第3サイクルの減
圧フェーズIII 開始時のW/C液圧Pwc3 が、減圧フェ
ーズIII 開始時の車体減速度DVr をマップM1に適用し
て演算される。次に、M/C液圧Pmが高い程増圧時間
が短くなることに鑑み、マップM3に、W/C液圧Pwc
2 ,W/D液圧Pwc3 ,増圧時間ATo を適用して、M/
C液圧Pmが演算される。
【0048】尚、前記正味の減圧時間DTo とは、減圧期
間DTに減圧時の減圧弁20bの所定のデューティ率を乗
算した換算時間である。また、正味の増圧時間ATo と
は、急増圧期間Tpzに急増圧時の増圧弁20aの所定の
デューティ率を乗算した換算時間ATo1と、緩増圧期間
(AT−Tpz)に緩増圧時の増圧弁20aの所定のデュー
ティ率を乗算した換算時間ATo2との和である。つまり、
マップM2,M3は、デューティ率100%とした場合
の減圧時間や増圧時間を前提として予め設定されている
ことから、換算時間を適用するのである。
【0049】ここで、マップM1,M2,M3について
説明しておく。図16のマップM1は、車体速Vrの減
速度である車体減速度DVr と、W/C液圧Pwcとの関係
を予め設定したものであり、これら両者は比例関係にあ
る。図17のマップM2は、減圧弁20bを介してW/
C液圧Pwcを減圧するときの特性を示すもので、減圧時
間とW/C液圧Pwcとは非線型の関係にある。例示のよ
うに、W/C液圧Pwcを100Kg/cm 2 から60Kg/cm
2 に減圧する際には、(105−80)msの減圧時間
を要することを示す。図18のマップM3は、増圧弁2
0aを介して増圧するときの、複数のM/C液圧Pmの
増圧特性を示すもので、例示のように、M/C液圧Pm
が120Kg/cm 2 のとき、W/C液圧Pwcを60Kg/cm
2 からΔtの時間増圧すると、W/C液圧Pwcが80Kg
/cm 2 になることを示す。
【0050】次に、マスターシリンダ液圧推定制御のル
ーチンについて、図13〜図15を参照しながら説明す
る。制御が開始されると、最初に各種信号が読み込まれ
(S80)、S81の判定を介して継続フラグFcn1 が
1のときには、フェーズフラグP1が「2」から「3」
へ変化したか否か判定し(S82)、その判定がYes の
ときは車体速Vrから車体減速度DVr が演算され(S8
3)、次に車体減速度DVr をマップM1に適用してW/
C液圧Pwc1 が演算され(S84)、次に、減圧期間DT
を計時する為のタイマT2がリセット後スタートされ
(S85)、次にフラグFt2が1にセットされ(S8
6)、その後リターンする。
【0051】S82の判定が No のときは、S82から
S87へ移行し、S87の判定を介してフラグFt2が1
のときには、フラグP1が「3」から「5」へ変化した
か否か、つまり減圧フェーズが終了したか否か判定し
(S88)、その判定がYes のときはタイマT2の計時
時間から減圧期間DT が演算され(S89)、次にその
減圧期間DT に、減圧の際に減圧弁20bを駆動する制
御信号のデューティ比を乗算することで、減圧弁20b
を100%開弁した時間に換算した減圧時間DToが演算
され(S90)、次に、マップM2に、W/C液圧Pwc
1 と減圧時間DToとを適用してW/C液圧Pwc2 が演算
され(S91)、その後リターンする。
【0052】S88の判定が No のときは、S88から
S92へ移行し、フラグP1が「5」から「1」へ変化
したか否か、つまり増圧フェーズが開始されたか否か判
定し(S92)、その判定がYes のときは増圧期間ATを
計時する為のタイマT3がリセット後スタートされ(S
93)、次にフラグFt3が1にセットされ(S94)、
その後リターンする。S92の判定が No のときは、S
95に移行し、S95の判定を介してフラグFt3が1の
ときにはS96に移行し、フラグP1が「1」から
「2」へ変化したか否か、つまり増圧フェーズが終了し
たか否か判定し(S96)、その判定がYes のときは、
タイマT3の計時時間から増圧フェーズの増圧期間AT
が演算され(S97)、次にS98において、前記急増
圧期間Tpzに、急増圧のときに増圧弁20aを駆動する
制御信号の所定のデューティ比を乗算した急増圧時間A
To1と、緩増圧期間(AT −Tpz)に緩増圧のときに増
圧弁20aを駆動する制御信号の所定のデューティ比を
乗算した緩増圧時間ATo2 と、これらATo1 とATo2の
和である増圧時間AToが演算され(S98)、その後リ
ターンする。
【0053】S96の判定が No のときはS99に移行
し、フラグP1が「2」から「3」へ変化したか否か、
つまり第3サイクルの減圧フェーズが開始されたか否か
判定し(S99)、その判定が No のときはリターンす
るが、その判定がYes のときは、前記S83と同様に車
体減速度DVr が演算され(S100)、次にこの車体減
速度DVr をマップM1に適用してW/C液圧Pwc3 が演
算され(S101)、次に、マップM3に、W/C液圧
Pwc2 ,Pwc3 ,増圧時間AToを適用して、M/C液圧
Pmが演算される(S102)。この場合、W/C液圧
をPwc2 からPwc3 に増圧するのに要する増圧時間が増
圧時間AToとなるM/C液圧Pmが、補完により演算さ
れる。
【0054】マップM3から判るように、M/C液圧P
mが高い場合ほど、増圧時間が短くなることから、W/
C液圧をPwc2 からPwc3 に増圧するのに要する増圧時
間が増圧時間AToとなるM/C液圧Pmが、実際のマス
ターシリンダ液圧であると推定することができる。次
に、W/C液圧Pwc3 が、前記のように推定したM/C
液圧Pmにほぼ等しいか否か判定し(S103)、Pwc
3 ≒Pmであると判定した場合には、フラグFt2,Ft3
が共に0にリセットされ(S104)、次に第1チャン
ネルのABS制御を終了させる為に、フラグP1,Flo
k1,Fcn1 が夫々0にリセットされ、その後リターンす
る。その結果、第1チャンネルにおける一連のABS制
御が終了する。尚、S103の判定が No のときには、
S106においてフラグFt2,Ft3が共に0にリセット
され、次のS107においてW/C液圧Pwc1 がW/C
液圧Pwc3 で置き換えられ、その後S85へ移行し、S
85以降が前記同様に繰り返されることになる。
【0055】次に、以上説明したABS制御の作用につ
いて、左前輪1のブレーキ装置11を例にして、図19
を参照しつつ説明する。減速時のABS制御非実行状態
において、ブレーキぺダル25の踏込操作によって発生
したブレーキ液圧が徐々に増圧し、車輪速V1の変化率
(減速度DV1)が−3Gに達すると、そのロックフラグ
Flok1が1にセットされ、その時刻taからABS制御
が実質的に開始される。この制御開始直後の第1サイク
ルにおいては、摩擦状態値Muは3(高摩擦状態)にセ
ットされており、走行状態パラメータに応じた各種の制
御しきい値が設定される。
【0056】次に、前輪1のスリップ率S1と車輪減速
度DV1とが、各種の制御しきい値とが比較され、フェー
ズ0からフェーズIIに変更され、ブレーキ液圧は、増圧
後のレベルに保持される。スリップ率S1が、2−3中
間スリップ率しきい値Bsgより低下すると、フェーズII
からフェーズIII (減圧フェーズ)に移行し、その時刻
tbから、ブレーキ液圧が所定の勾配で減少され、前輪
1の回転力が回復し始める。更に、減圧が続いて車輪減
速度DV1がしきい値B35(0G) まで低下すると、フェ
ーズIII からフェーズV(減圧後保持フェーズ)に移行
し、その時刻tcからブレーキ液圧が減圧後のレベルに
保持される。
【0057】このフェーズVにおいてスリップ率S1が
5−1スリップ率しきい値Bsz以上になると、継続フラ
グFcnl が1にセットされ、ABS制御は、時刻tdか
ら第2サイクルに移行する。このとき、強制的にフェー
ズI(増圧フェーズ)に移行し、フェーズIへの移行直
後には、予め設定された急増圧時間Tpzの間、ブレーキ
液圧が急勾配で増圧され、この急増圧後は、ブレーキ液
圧がより緩やか勾配で徐々に上昇していく。こうして、
第2サイクルへの移行直後においては、ブレーキ液圧が
確実に増圧され、良好な制動圧が確保される。
【0058】一方、第2サイクル以降においては、適切
な摩擦状態値Muが決定され、摩擦状態値Muと車体速
Vrとで決まる走行状態パラメータに対応する各種制御
しきい値が、テーブルTB2,TB3に基づいて設定さ
れるので、走行状態に応じた緻密なブレーキ液圧の制御
が行われることになる。その後、第2サイクルにおける
フェーズVにおいて、スリップ率S1がしきい値Bszよ
り大きいときは第3サイクルのフェーズIに移行する。
【0059】ここで、本願のABS制御においては、A
BS制御実行中に、先ず、前輪1がロックするときの車
体減速度DVr と、マップM1とからブレーキ液圧Pwc1
を検知する。次に、そのブレーキ液圧Pwc1 と、減圧フ
ェーズの減圧時間DToと、マップM2とから減圧後のブ
レーキ液圧Pwc2 を検知する。次に、そのブレーキ液圧
Pwc2 を増圧する増圧時間AToを求め、その増圧後に前
輪1がロックするときの車体減速度DVr とマップM1と
からブレーキ液圧Pwc3 を求め、ブレーキ液圧Pwc2
と、ブレーキ液圧Pwc3 と、増圧時間AToとをマップM
3に適用して、マスターシリンダ液圧Pmを推定する。
【0060】このようにして、4輪の検出車輪速V1〜
V4を基本情報とし、ABS制御における減圧時間や増
圧時間等の演算情報と、マップM1,M2,3とから、
マスターシリンダ液圧Pmを推定するため、液圧センサ
等を用いることなく、マスターシリンダ液圧Pmを経済
的に推定することができる。そして、ブレーキ液圧Pwc
3 がマスターシリンダ液圧Pmにほぼ等しくなった時点
で、ABS制御を終了するため、ABS制御終了判定が
簡単化しABS制御を合理的に終了できる。以上のよう
に推定したマスターシリンダ液圧Pmは、ABS制御の
精度や信頼性を高める為に種々有効活用することができ
る。例えば、マスターシリンダ液圧Pmに応じて、増圧
フェーズの急増圧期間や急増圧速度や緩増圧速度を可変
に設定したりすることが可能になる。
【0061】尚、前記実施例における路面摩擦推定処
理、擬似車体速の演算処理等は一例を示すもので、これ
以外の種々の方法で演算するように構成してもよく、ま
た、後輪のブレーキ液圧を左右独立に制御するように構
成してもよく、また、急増圧フェーズの期間Tpzを可変
として学習制御等で設定するように構成してもよく、ま
た、前記マップM1,M2,M3は一例を示すもので、
増圧弁や減圧弁の特性に応じたマップが適用される。そ
の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変
更を付加した態様で本発明を実施し得ることは勿論であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両のアンチスキッドブ
レーキ装置の構成図である。
【図2】アンチスキッドブレーキ制御のメインルーチン
のフローチャートである。
【図3】路面摩擦状態値演算のサブルーチンのフローチ
ャートである。
【図4】擬似車体速の演算処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図5】車体速補正値のマップの線図である。
【図6】制御しきい値設定処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図7】走行状態パラメータを設定したテーブルの図表
である。
【図8】各種制御しきい値を設定したテーブルの図表で
ある。
【図9】制御しきい値補正テーブルの図表である。
【図10】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの一部である。
【図11】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの残部である。
【図12】マスターシリンダ液圧推定方法を説明した説
明図である。
【図13】マスターシリンダ液圧推定制御のルーチンの
フローチャートの一部である。
【図14】マスターシリンダ液圧推定制御のルーチンの
フローチャートの一部である。
【図15】マスターシリンダ液圧推定制御のルーチンの
フローチャートの残部である。
【図16】マップM1の線図である。
【図17】マップM2の線図である。
【図18】マップM3の線図である。
【図19】アンチスキッドブレーキ制御の動作タイムチ
ャートである。
【符号の説明】
1,2 前輪(従動輪) 3,4 後輪(駆動輪) 11〜14 ブレーキ装置 15 制動システム 24 ABS制御ユニット 27〜30 車輪速センサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の回転速度を検出する車輪速検出手
    段と、前輪と後輪のブレーキ液圧を調整する液圧調整手
    段と、車輪速検出手段で検出された車輪速に基づいて、
    少なくとも増圧フェーズと減圧フェーズとを含む液圧制
    御サイクルでブレーキ液圧が変化するように液圧調整手
    段を制御するアンチスキッド制御手段とを備えた車両の
    アンチスキッドブレーキ装置において、 車輪速検出手段で検出された車輪速から車体速を演算す
    る車体速演算手段と、 前記車体速を受けて車体減速度を求め、この車体減速度
    を用いて車輪がロックするときの第1ブレーキ液圧を検
    知する第1液圧検知手段と、 前記第1ブレーキ液圧を減圧する減圧フェーズの減圧時
    間を求め、第1ブレーキ液圧と減圧時間とから、減圧後
    の第2ブレーキ液圧を検知する第2液圧検知手段と、 前記車体速を受けて車体減速度を求め、この車体減速度
    を用いて第1ブレーキ液圧を求めた液圧制御サイクルの
    次の液圧制御サイクルに車輪がロックするときの第3ブ
    レーキ液圧を検知する第3液圧検知手段と、 前記第2ブレーキ液圧を増圧する増圧フェーズの増圧時
    間を求め、第2ブレーキ液圧と第3ブレーキ液圧と増圧
    時間とを用いて、マスターシリンダ液圧を推定するマス
    ターシリンダ液圧推定手段と、 を備えたことを特徴とする車両のアンチスキッドブレー
    キ装置。
  2. 【請求項2】 前記アンチスキッド制御手段は、第3ブ
    レーキ液圧が、マスターシリンダ液圧推定手段で求めた
    マスターシリンダ液圧近くに達したときに、液圧調整手
    段の制御を終了するように構成されたことを特徴とする
    請求項1に記載の車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 前記第1液圧検知手段は、車体減速度と
    ブレーキ液圧の相関関係を予め設定したマップを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両のアンチスキッ
    ドブレーキ装置。
  4. 【請求項4】 前記第2液圧検知手段は、ブレーキ液圧
    と減圧時間との相関関係を予め設定したマップを有する
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両のアンチスキッ
    ドブレーキ装置。
  5. 【請求項5】 前記第3液圧検知手段は、車体減速度と
    ブレーキ液圧の相関関係を予め設定したマップであっ
    て、第1液圧検知手段の前記マップと共通のマップを有
    することを特徴とする請求項3に記載の車両のアンチス
    キッドブレーキ装置。
  6. 【請求項6】 前記マスターシリンダ液圧推定手段は、
    マスターシリンダ液圧と、ブレーキ液圧と、増圧時間の
    相関関係を予め設定したマップを有することを特徴とす
    る請求項4に記載の車両のアンチスキッドブレーキ装
    置。
JP26177094A 1994-09-30 1994-09-30 車両のアンチスキッドブレーキ装置 Pending JPH08104219A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7066559B2 (en) * 2002-08-30 2006-06-27 Hitachi, Ltd. Brake pressure estimating apparatus and method
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