JP3352496B2 - 車両のアンチスキッドブレーキ装置 - Google Patents

車両のアンチスキッドブレーキ装置

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JP3352496B2
JP3352496B2 JP11211593A JP11211593A JP3352496B2 JP 3352496 B2 JP3352496 B2 JP 3352496B2 JP 11211593 A JP11211593 A JP 11211593A JP 11211593 A JP11211593 A JP 11211593A JP 3352496 B2 JP3352496 B2 JP 3352496B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 この発明は、車両の制動時の過
大な制動力を抑制するアンチスキッドブレーキ装置、特
に初期急増圧と緩増圧とで増圧を行うものにおいて初期
急増圧量を前回サイクルの増圧量と、車輪速検出手段で
検出された車輪速から得られる情報とに基いて設定する
ようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】 車両のブレーキシステムとして、制動
時の車輪のロックないしスキッド状態の発生を防止する
ようにしたアンチスキッドブレーキ装置が実用化されて
いる。この種のアンチスキッドブレーキ装置は、4つの
車輪の車輪速を検出する車輪速センサと、ブレーキ油圧
を調整する電磁制御弁と、車輪速センサで検出した車輪
速に基いて電磁制御弁を制御する制御装置とを有する。
この制御装置は、例えば検出車輪速に基いて車輪の加減
速度を求め、車輪減速度が所定値以下になったときには
電磁制御弁を減圧制御して制動圧を低下させると共に、
制動圧の低下によって車輪速が増大して、車輪加速度が
所定値に達したときには上記制御弁を増圧制御すること
により制動圧を増大させる。
【0003】このような一連の制動圧制御(以下、AB
S制御という)を、例えば車両が停止するまで継続する
ことにより、急制動時における車輪のロックないしスキ
ッド状態を防止して、車両の方向安定性を確保しつつ短
い制動距離で停止させることが可能となる。
【0004】前記ABS制御は、増圧と増圧保持と減圧
と減圧保持の4つのフェーズを1サイクルとする複数サ
イクルの制御、又は、増圧と減圧の2つのフェーズを1
サイクルとする複数サイクルの制御で実行されるが、増
圧フェーズに要する時間を極力短縮する為に、増圧フェ
ーズの初期に急増圧を行ない、その後緩増圧を行うよう
にしたもの提案されている。例えば、特公昭57−45
44号公報には、前回サイクルの増圧フェーズの持続時
間、又は先行の複数サイクルの増圧フェーズの平均持続
時間をパラメータとして、今回サイクルの初期急増圧量
を、前記持続時間の増大に応じて大きく設定するように
したアンチスキッドブレーキ装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 前記公報のアンチス
キッドブレーキ装置では、今回サイクルの初期急増圧量
を、前回サイクル又は先行する複数サイクルの増圧フェ
ーズの持続時間をパラメータとして設定するのみで、車
体速、車体加速度、路面摩擦状態、等を加味して今回サ
イクルの初期急増圧量を設定するようには構成されてい
ないため、今回サイクルの急増圧量を、車体の挙動、路
面状態等を加味して適切に設定することができない。本
発明の目的は、アンチスキッドブレーキ装置において、
増圧フェーズの初期急増圧量を、前回サイクルの増圧時
間だけでなく、車体の挙動、路面状態等もを加味して適
切に設定することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の車両のアンチ
スキッドブレーキ装置は、車輪の回転速度を検出する車
輪速検出手段と、ブレーキ油圧を調整する油圧調整手段
と、車輪速検出手段で検出された車輪速に基いて油圧調
整手段を作動させるアンチスキッド制御手段とを備え、
1サイクルのアンチスキッド制御における増圧を、初期
急増圧とその後の緩増圧とで実行するようにした車両の
アンチスキッドブレーキ装置において、前記アンチスキ
ッド制御手段は、前回サイクルの増圧量と、車輪速検出
手段で検出された車輪速から得られる情報とに基いて、
今回サイクルの初期増圧量を設定する初期増圧量設定手
段を備え、前記初期増圧量設定手段は、車輪速検出手段
で検出された車輪速から演算される車体速が高速になる
のに応じて初期増圧量を小さく設定するように構成し
ものである。
【0007】請求項2の車両のアンチスキッドブレーキ
装置は、車輪の回転速度を検出する車輪速検出手段と、
ブレーキ油圧を調整する油圧調整手段と、車輪速検出手
段で検出された車輪速に基いて油圧調整手段を作動させ
るアンチスキッド制御手段とを備え、1サイクルのアン
チスキッド制御における増圧を、初期急増圧とその後の
緩増圧とで実行するようにした車両のアンチスキッドブ
レーキ装置において、前記アンチスキッド制御手段は、
前回サイクルの増圧量と、車輪速検出手段で検出された
車輪速から得られる情報とに基いて、今回サイクルの初
期増圧量を設定する初期増圧量設定手段を備え、前記
期増圧量設定手段に、車輪速検出手段で検出された車輪
速に基いて、路面摩擦状態を検知する摩擦状態検知手段
と、前記初期増圧量に、摩擦状態検知手段で検知された
路面摩擦状態に応じた上限値を設定する上限規制手段と
を設けたものである。
【0008】請求項3の車両のアンチスキッドブレーキ
装置は、車輪の回転速度を検出する車輪速検出手段と、
ブレーキ油圧を調整する油圧調整手段と、車輪速検出手
段で検出された車輪速に基いて油圧調整手段を作動させ
るアンチスキッド制御手段とを備え、1サイクルのアン
チスキッド制御における増圧を、初期急増圧とその後の
緩増圧とで実行するようにした車両のアンチスキッドブ
レーキ装置において、前記アンチスキッド制御手段は、
前回サイクルの増圧量と、車輪速検出手段で検出された
車輪速から得られる情報とに基いて、今回サイクルの初
期増圧量を設定する初期増圧量設定手段を備え、前記
期増圧量設定手段に、初期増圧量に、車輪速検出手段で
検出された車輪速から演算される車体速に応じた上限値
を設定する上限規制手段とを設けたものである。
【0009】
【発明の作用及び効果】 請求項1の車両のアンチスキ
ッドブレーキ装置においては、1サイクルのアンチスキ
ッド制御における増圧が、初期急増圧とその後の緩増圧
とで実行されるが、アンチスキッド制御手段に設けられ
た初期増圧量設定手段は、前回サイクルの増圧量と、車
輪速検出手段で検出された車輪速から得られる情報とに
基いて、今回サイクルの初期増圧量を設定する。さら
に、初期増圧量設定手段は、車輪速検出手段で検出され
た車輪速から演算される車体速が高速になるのに応じて
初期増圧量を小さく設定する。従って、前回サイクルの
増圧量を加味するだけでなく、検出車輪速から得られる
情報(車体速、車体加速度、路面摩擦状態、等)を加味
して、今回サイクルの初期増圧量を適切に設定し、アン
チスキッドブレーキ装置の性能を高めることができる。
さらには、車体速が高速になるのに応じて初期増圧量を
小さく設定することにより、車体速の増大に比例する路
面反力に応じて減圧量が減少するのを加味して初期増圧
量を適切に設定できる。
【0010】請求項2の車両のアンチスキッドブレーキ
装置においては、1サイクルのアンチスキッド制御にお
ける増圧が、初期急増圧とその後の緩増圧とで実行され
るが、アンチスキッド制御手段に設けられた初期増圧量
設定手段は、前回サイクルの増圧量と、車輪速検出手段
で検出された車輪速から得られる情報とに基いて、今回
サイクルの初期増圧量を設定する。さらに、摩擦状態検
知手段は、車輪速検出手段で検出された車輪速に基いて
路面摩擦状態を検知し、上限規制手段は、初期増圧量
に、摩擦状態検知手段で検知された路面摩擦状態に応じ
た上限値を設定する。 従って、前回サイクルの増圧量を
加味するだけでなく、検出車輪速から得られる情報(車
体速、車体加速度、路面摩擦状態、等)を加味して、今
回サイクルの初期増圧量を適切に設定し、アンチスキッ
ドブレーキ装置の性能を高めることができる。さらに
は、上限規制手段により、路面摩擦状態に応じた上限値
を設定することで、路面摩擦状態に適合させつつ過剰な
急増圧を抑制できる。
【0011】請求項3の車両のアンチスキッドブレーキ
装置においては、1サイクルのアンチスキッド制御にお
ける増圧が、初期急増圧とその後の緩増圧とで実行され
るが 、アンチスキッド制御手段に設けられた初期増圧量
設定手段は、前回サイクルの増圧量と、車輪速検出手段
で検出された車輪速から得られる情報とに基いて、今回
サイクルの初期増圧量を設定する。さらには、上限規制
手段は、初期増圧量に、車輪速検出手段で検出された車
輪速から演算される車体速に応じた上限値を設定する。
従って、前回サイクルの増圧量を加味するだけでなく、
検出車輪速から得られる情報(車体速、車体加速度、路
面摩擦状態、等)を加味して、今回サイクルの初期増圧
量を適切に設定し、アンチスキッドブレーキ装置の性能
を高めることができる。さらには、上限規制手段によ
り、車速に応じた上限値を設定することで、車体速に適
合させつつ過剰な急増圧を抑制できる。
【0012】
【実施例】 以下、本発明の実施例について図面に基い
て説明する。第1図に示すように、この実施例に係る車
両は、左右の前輪1,2 が従動輪、左右の後輪3,4 が駆動
輪とされ、エンジン5 の出力トルクが自動変速機6 から
プロペラシャフト7、差動装置8 および左右の駆動軸9,
10を介して左右の後輪3,4 に伝達されるように構成して
ある。各車輪1〜4には、車輪と一体的に回転するディ
スク11a 〜14a と、制動圧の供給を受けて、これらディ
スク11a 〜14a の回転を制動するキャリパ11b 〜14bな
どからなるブレーキ装置11〜14が夫々設けられ、これら
のブレーキ装置11〜14を作動させるブレーキ制御システ
ム15が設けられている。
【0013】このブレーキ制御システム15は、運転者に
よるブレーキペダル16の踏込力を増大させる倍力装置17
と、この倍力装置17によって増大された踏込力に応じた
制動圧を発生させるマスターシリン18とを有する。こ
のマスターシリン18からの前輪用制動圧供給ライン19
が2経路に分岐され、これら前輪用分岐制動圧ライン19
a,19b が左右の前輪1,2 のブレーキ装置11,12 のキャリ
パ11a,12a に夫々接続され、左前輪1のブレーキ装置11
に通じる一方の前輪用分岐制動圧ライン19a には、電磁
式の開閉弁20a と、同じく電磁式のリリーフ弁20b とか
らなる第1バルブユニット20が設けられ、右前輪2 のブ
レーキ装置12に通じる他方の前輪用分岐制動圧ライン19
b にも、第1バルブユニット20と同様に、電磁式の開閉
弁21a と、電磁式のリリーフ弁21b とからなる第2バル
ブユニット21が設けられている。
【0014】一方、マスターシリンダ18からの後輪用制
動圧供給ライン22には、第1、第2バルブユニット20,2
1 と同様に、電磁式の開閉弁23a と、電磁式のリリーフ
弁23b とからなる第3バルブユニット23が設けられてい
る。この後輪用制動圧供給ライン22は、第3バルブユニ
ット23の下流側で2経路に分岐されて、これら後輪用分
岐制動圧ライン22a,22b が左右の後輪3,4 のブレーキ装
置13,14 のキャリパ13b,14b に夫々接続されている。こ
のブレーキ制御システム15は、第1バルブユニット20を
介して左前輪1のブレーキ装置11の制動圧を可変制御す
る第1チャンネルと、第2バルブユニット21を介して右
前輪2のブレーキ装置12の制動圧を可変制御する第2チ
ャンネルと、第3バルブユニット23を介して左右の後輪
3,4 の両ブレーキ装置13,14 の制動圧を可変制御する第
3チャンネルとが設けられ、これら第1〜第3チャンネ
ルが互いに独立して制御されるように構成してある。
【0015】前記ブレーキ制御システム15には、第1〜
第3チャンネルを制御するコントロールユニット24が設
けられ、このコントロールユニット24は、ブレーキペダ
ル16のON/OFFを検出するブレーキスイッチ25からのブレ
ーキ信号と、ハンドル舵角を検出する舵角センサ26から
の舵角信号と、各車輪の回転速度を夫々検出する車輪速
センサ27〜30からの車輪速信号とを受けて、これらの信
号に応じた制動圧制御信号を第1〜第3バルブユニット
20,21,23に夫々出力することにより、左右の前輪1,2 お
よび後輪3,4 のスリップに対する制動制御、つまりAB
S制御を第1〜第3チャンネルごとに並行して行うよう
になっている。
【0016】コントロールユニット24は、各車輪速セン
サ27〜30で検出される車輪速に基いて第1〜第3バルブ
ユニット20,21,23における開閉弁20a,21a,23a とリリー
フ弁20b,21b,23b とを夫々開閉制御することにより、ス
リップの状態に応じた制動圧で前輪1,2 および後輪3,4
に制動力を付与するようになっている。尚、第1〜第3
バルブユニット20,21,23における各リリーフ弁20b,21b,
23b から排出されたブレーキオイルは、図示外のドレン
ラインを介してマスターシリンダ18のリザーバタンク18
a に戻される。
【0017】ABS非制御状態においては、コントロー
ルユニット24からは制動圧制御信号が出力されず、図示
のように第1〜第3バルブユニット20,21,23におけるリ
リーフ弁20b,21b,23b が夫々閉保持され、かつ各ユニッ
ト20,21,23の開閉弁20a,21a,23a が夫々開保持されるの
で、ブレーキペダル16の踏込力に応じてマスターシリン
ダ18で発生した制動圧が、前輪用制動圧供給ライン19お
よび後輪用制動圧供給ライン22を介して左右の前輪1,2
および後輪3,4 のブレーキ装置11〜14に供給され、これ
らの制動圧に応じた制動力が前輪1,2 および後輪3,4 に
直接付与されることになる。
【0018】次に、コントロールユニット24が行うブレ
ーキ制御の概略を説明する。コントロールユニット24
は、車輪速センサ27〜30からの信号が示す車輪速Vw1〜
Vw4に基いて各車輪ごとの減速度DVw1〜DVw4および
加速度AVw1〜AVw4を夫々算出する。前記加速度ない
し減速度の算出方法について説明すると、コントロール
ユニット24は、車輪速の前回値に対する今回値の差分を
サンプリング周期Δt (例えば7ms)で除算した上
で、その結果を重力加速度に換算した値を今回の加速度
ないし減速度として更新する。
【0019】また、コントロールユニット24は、所定の
悪路判定処理を実行して、走行路面が悪路か否かを判定
する。この悪路判定処理の概要について説明すると、各
チャンネルに対応する車輪毎に、車輪加速度又は車輪減
速度が、所定期間の間に、所定の悪路判定しきい値以上
となる回数をカウントし、その回数が所定値以下のとき
には悪路フラグFakを0に設定し、また、その回数が所
定値よりも大きいときには悪路フラグFakを1に設定す
る。
【0020】また、コントロールユニット24は、第3チ
ャンネル用の車輪速および加減速度を代表させる後輪3,
4 を選択するが、スリップ時における後輪3,4 の両車輪
速センサ29,30 の検出誤差を考慮して両車輪速のうちの
小さいほうの車輪速が後輪車輪速として選択され、その
車輪速から求めた加速度および減速度が後輪加速度およ
び後輪減速度として選択されることになる。
【0021】更に、コントロールユニット24は、所定微
小時間おきに、3つのチャンネルの夫々に路面摩擦係数
を算出するとともに疑似車体速Vrを算出する。コント
ロールユニット24は、車輪速センサ29,30 からの信号か
ら求めた後輪車輪速および車輪速センサ27,28 で検出さ
れる左右の各前輪1,2 の車輪速と車体速Vrとから第1
〜第3チャンネルについてのスリップ率を夫々算出する
のであるが、その場合に、次の関係式によりスリップ率
が算出される。スリップ率=( 車輪速/疑似車体速)×
100それ故、車体速Vrに対する車輪速の偏差が大き
くなるほどスリップ率が小さくなって、車輪のスリップ
傾向が大きくなる。
【0022】次に、コントロールユニット24は、第1〜
第3チャンネルの制御に用いる各種の制御しきい値を夫
々設定し、これらの制御しきい値を用いて各チャンネル
ごとのロック判定処理と、第1〜第3バルブユニット2
0,21,23に対する制御量を規定する為のフェーズ決定処
理と、カスケード判定処理とを行うようになっている。
【0023】ここで、上記ロック判定処理について説明
すると、例えば、左前輪用の第1チャンネルに対するロ
ック判定処理においては、コントロールユニット24は、
まず第1チャンネル用の継続フラグFcn1 の今回値を前
回値としてセットした上で、次に車体速Vrと車輪速V
w1とが所定の条件( 例えば、Vr<5Km/H, Vw1<7.
5Km /H )を満足するか否かを判定し、これらの条件を
満足するときに継続フラグFcn1 とロックフラグFlok1
を夫々0にリセットし、また、満足していなければロッ
クフラグFlok1が1にセットされているか否かを判定す
る。ロックフラグFlok1が1にセットされていなけれ
ば、所定の条件のとき( 例えば車輪減速度が−3Gにな
ったとき)にロックフラグFlok1に1をセットする。
【0024】一方、コントロールユニット24は、ロック
フラグFlok1が1にセットされている状態において、例
えば第1チャンネルのフェーズフラグP1がフェーズV
を示す5にセットされ、かつスリップ率S1が5−1ス
リップ率しきい値Bszより大きいときに継続フラグFcn
1 に1をセットする。尚、第2、第3チャンネルに対し
ても同様にしてロック判定処理が行われる。
【0025】前記フェーズ決定処理の概略について説明
すると、コントロールユニット24は、車両の走行状態に
応じて設定した夫々の制御しきい値と、車輪加減速度や
スリップ率との比較によって、ABS非制御状態を示す
フェーズ0、ABS制御時における増圧状態であるフェ
ーズI、増圧後の保持状態であるフェーズII、減圧状態
であるフェーズIII 、急減圧状態であるフェーズIV、減
圧後の保持状態であるフェーズVを選択するようになっ
ている。前記カスケード判定処理は、特にアイスバーン
のような低摩擦路面においては、小さな制動圧でも車輪
がロックしやすいことから、車輪のロック状態が短時間
に連続して発生するカスケードロック状態を判定するも
のであり、カスケードロックの生じやすい所定の条件を
満たしたときにカスケードフラグFcsが1にセットされ
る。
【0026】こうして、コントロールユニット24は、各
チャンネル毎に各フェーズフラグP1で指示されたフェ
ーズに対応した制動圧制御信号を第1〜第3バルブユニ
ット20,21,23に対して夫々出力する。これにより、第1
〜第3バルブユニット20,21,23の下流側における前輪用
分岐制動圧ライン19a,19b および後輪用分岐制動圧ライ
ン22a,22b の制動圧が、増圧又は減圧されたり、増圧又
は減圧後の圧力レベルに保持されたりする。
【0027】前記路面摩擦係数(路面μ)の演算方法に
ついて説明する。先ず、第1チャンネルの路面摩擦係数
Mu1を算出する場合、前輪1の車輪速Vw1とその加速度
Vgとに基いて、路面摩擦係数Mu1が演算されるが、5
00msのタイマと100msのタイマとを用い、加速
開始後加速度Vgが十分に大きくならない500ms経
過までは100ms毎に100ms間の車輪速Vw1の変
化から、次式により加速度Vgが演算される。
【0028】 Vg=K1×〔Vw1(i)−Vw1(i−100)〕 前記加速度Vgが十分に大きくなった500ms経過後
は100ms毎に500msの間の車輪速の変化から、
次式により加速度Vgが演算される。 Vg=K2×〔Vw1(i)−Vw1(i−500)〕 尚、前記の式中、Vw1(i)は現時点の車輪速、Vw1
(i−100)は100ms前の車輪速、Vw1(i−5
00)は500ms前の車輪速、K1、K2は夫々所定
の定数である。前記路面摩擦係数Mu1は、前記のように
求めた車輪速Vw1とその加速度Vgとを用いて図2に示
したμテーブルから3次元補完により演算される。但
し、路面μ=1.0 〜2.5 が低摩擦に相当し、路面μ=2.
5 〜3.5 が中摩擦に相当し、路面μ=3.5 〜5.0 が高摩
擦に相当する。次に、第2チャンネルの路面摩擦係数M
u2を算出する場合には、車輪速Vw2を用いて前記同様に
算出し、第3チャンネルの面摩擦係数Mu3は、路面摩擦
係数Mu1と路面摩擦係数Mu2のうちの小さい方の値に等
しく設定する。但し、第1〜第3チャンネルに対応する
専用の3つの路面μセンサで検出した路面μを適用して
もよい。
【0029】次に、車体速Vrの演算処理について図3
のフローチャートにより説明する。先ず、コントロール
ユニット24は、各種データを読み込み(S20)、次に
センサ27〜30からの信号が示す車輪速Vw1〜Vw4の中か
ら最高車輪速Vwmを演算し( S21)、次に最高車輪速
Vwmのサンプリング周期Δt あたりの最高車輪速変化量
ΔVwmを算出する(S22)。次に、コントロールユニ
ット24は、S23において図4に示すマップから摩擦状
態値Mu(第1〜第3チャンネルの路面摩擦の最小値) に
対応する車体速補正値CVrを読み出し、S24におい
て最高車輪速変化量ΔVwmが車体速補正値CVr以下か
否か判定する。
【0030】その判定の結果、車輪速変化量ΔVwmが車
体速補正値CVr以下であると判定したときには、S2
5において車体速Vrの前回値から車体速補正値CVr
減算した値を今回値に置き換える。それ故、車体速Vr
が車体速補正値CVrに応じた所定の勾配で減少するこ
とになる。一方、コントロールユニット24は、S24に
おいて車輪速変化量ΔVwmが車体速補正値CVrより大
きいと判定したとき、つまり最高車輪速Vwmが過大な変
化を示したときには、S26において疑似車体速Vrか
ら最高車輪速Vwmを減算した値が所定値V0 以上か否か
を判定する。
【0031】つまり、最高車輪速Vwmと車体速Vrとの
間に大きな開きがあるか否かを判定する。大きな開きが
あるときには、S25において車体速Vrの前回値から
車体速補正値CVrを減算した値を今回値に置き換え
る。更に、コントロールユニット24は、最高車輪速Vwm
と車体速Vrとの間に大きな開きがないときには、S2
7において最高車輪速Vwmを車体速Vrに置き換える。
こうして、車両の車体速Vrが各車輪速Vw1〜Vw4に応
じてサンプリグ周期Δt ごとに更新されていく。
【0032】次に、各種制御しきい値の設定処理につい
て、図5のフローチャートと図6〜図8に基いて説明す
る。尚、この制御しきい値の設定処理は、各チャンネル
毎に独立して実行されるが、ここでは、左前輪用の第1
チャンネルの為の制御しきい値設定処理について説明す
る。コントロールユニット24は、S30で各種データを
読み込み、次に、S31において、図6に示すように車
速域と路面μとをパラメータとして予め設定したテーブ
ルから、摩擦状態値Muと車体速Vr とに応じた走行状
態パラメータを選択する。例えば、摩擦状態値Muが低
摩擦路面を示す1のときに、車体速Vrが中速域にある
ときには、走行状態パラメータとして中速低摩擦路面用
のLM2が選択される。尚、摩擦状態値Muは、摩擦係
数Mu1〜Mu3のうちの最小のものから決定されるが、図
6において、Mu=1は低摩擦状態、Mu=2は中摩擦
状態、Mu=3は高摩擦状態に相当する。
【0033】一方、悪路フラグFakが悪路状態を示す1
にセットされているときには、図6に示すように、車体
速Vrに応じた走行状態パラメータを選択する。この場
合、例えば、車体速Vrが中速域に属するときには、走
行状態パラメータとして中速低摩擦路面用のHM2が強
制的に選択される。即ち、悪路走行時には車輪速の変動
が大きいために、路面μが小さく推定される傾向がある
からである。
【0034】走行状態パラメータの選択後、コントロー
ルユニット24は、S32において、図7に示す制御しき
い値設定テーブルから、走行状態パラメータに対応する
各種制御しきい値を夫々読み出す。ここで、各種制御し
きい値としては、図7に示すように、フェーズIからフ
ェーズIIへの切換判定用の1−2中間減速度しきい値B
12、フェーズIIからフェーズIII への切換判定用の2−
3中間スリップ率しきい値Bsg、フェーズIII からフェ
ーズVへの切換判定用の3−5中間減速度しきい値B3
5、フェーズVからフェーズIへの切換判定用の5−1
スリップ率しきい値Bszなどが、走行状態パラメータ毎
に夫々設定されている。
【0035】この場合、制動力に大きく影響する減速度
しきい値は、路面μが大きいときのブレーキ性能と、路
面μが小さいときの制御の応答性とを高水準で両立する
ために、摩擦状態値Muのレベルが小さくなるほど、つ
まり路面μが小さくなるほど0Gに近づくように設定さ
れている。ここで、コントロールユニット24は、走行状
態パラメータとして中速低摩擦路面用のLM2を選択し
ているときには、図7の制御しきい値設定テーブルにお
けるLM2の欄に示すように、1−2中間減速度しきい
値B12、2−3中間スリップ率しきい値Bsg、3−5中
間減速度しきい値B35、5−1スリップ率しきい値Bsz
として、−0.5G,90%,0G,90%の各値を夫
々読み出すことになる。
【0036】次に、コントロールユニット24は、S33
において、摩擦状態値Muが高摩擦路面を示す3 にセッ
トされているか否かを判定し、Yes と判定したときには
S34において悪路フラグFakが0に設定されているか
否かを判定する。その判定の結果、悪路フラグFakが0
のときは、S35に移行して舵角センサ26で検出された
舵角θの絶対値が90°より小さいか否かを判定し、舵
角θの絶対値が90°よりも小さくないときには、S3
6において、舵角θに応じた制御しきい値の補正処理を
行う。この制御しきい値の補正処理は、図8に例示した
制御しきい値補正テーブルに基いて行われる。
【0037】即ち、図8の制御しきい値補正テーブルに
おいては、低摩擦と、中摩擦と、高摩擦の悪路でないと
き、ハンドル操作量の大きいときの操舵性を確保する為
に、2−3中間スリップ率しきい値Bsgおよび5−1中
間スリップ率しきい値Bszに夫々5 %を加算した値が、
最終の2−3スリップ率しきい値Bsgおよび最終の5−
1スリップ率しきい値Bszとして設定されると共に、そ
の他の中間しきい値がそのまま最終しきい値として設定
されている。
【0038】高摩擦の悪路(フラグFak=1)のとき、
ハンドル操作量が小さいときの走破性を確保する為に、
2−3中間スリップ率しきい値Bsgおよび5−1中間ス
リップ率しきい値Bszから夫々5 %を減算した値が、最
終の2−3スリップ率しきい値Bsgおよび最終の5−1
スリップ率しきい値Bszとして設定されている。次に、
S35の判定結果がNoのときには、前記各中間しきい値
がそのまま最終しきい値として夫々セットされることに
なる。
【0039】一方、コントロールユニット24は、S34
において悪路フラグFakが1に設定されていると判定し
たときには、S37に移行して図8の制御しきい値補正
テーブルに基いて、悪路フラグFakと舵角θとの関連に
おいて、2−3中間スリップ率しきい値Bsgおよび5−
1スリップ率しきい値Bszを夫々補正した値を、最終の
2−3中間スリップ率しきい値Bsgおよび最終の5−1
スリップ率しきい値Bszとしてセットする補正処理が実
行され、次に、S38において図8の制御しきい値補正
テーブルに基いて、1−2中間減速度しきい値B12から
1.0 Gを減算した値を最終の1−2減速度しきい値B12
としてセットする補正処理を行う。
【0040】これは、悪路判定時においては、車輪速セ
ンサ27〜30が誤検出を生じやすいため、制御の応答性を
遅らせて良好な制動力を確保するためである。尚、その
他の中間しきい値はそのまま最終しきい値としてセット
される。更に、コントロールユニット24は、S33にお
いて摩擦状態値Muが3でないと判定したときには、S
35へ移行する。尚、第2、第3チャンネルについて
も、前記第1チャンネルの場合と同様にして制御しきい
値が設定されるようになっている。
【0041】次に、前記フェーズを設定して各フェーズ
の制動制御信号をバルブユニットに出力する制御信号出
力処理について、第1チャンネルを例として、図9〜図
11のフローチャートと、図12〜図17参照しつつ説
明する。最初に、各種データが読み込まれ(S40)、
次にブレーキスイッチ25がONか否か判定され、その
判定が No のときはS42を経てリターンし、前記判定
がYes のときはS43において車体速Vrが所定値C1
(例えば、5.0 Km/H)以下で、かつ車輪速Vw1が所定値
(例えば、7.5 Km/H)以下か否か判定する。その判定が
Yes のときは、十分に減速された状態で、ABS制御の
必要がないためS42を経てリターンするが、S43の
判定が No のときはS44へ移行する。
【0042】S42では、フェーズフラグP1、ロック
フラグFlok1、継続フラグFcn1 が0に夫々リセットさ
れ、その後S40へリターンする。次に、S44では、
ロックフラグFlok1が0か否か判定され、ABS制御開
始前で、フラグFlok1が0のときはS45へ移行して、
車輪速Vw1の減速度DVw1(但し、DVw1≦0とする)
が所定値D0(例えば、−3G)以下か否か判定され、
その判定がYes のときはS46へ移行する。一方、S4
4の判定が No のときはS49へ移行する。
【0043】次に、S45の判定がYes のときは、S4
6においてロックフラグFlok1が1にセットされ、次に
S47においてフラグP1が2にセットされてフェーズ
II(増圧後の保持のフェーズ)に移行し、次にS48に
てフェーズII用に予め設定された制動制御信号が第1バ
ルブユニット20へ出力されその後リターンする。
【0044】ABS制御開始後は、フラグFlok1が1に
セットしてあるため、S44からS49へ移行してフラ
グP1が2か否か判定し、フラグP1が2のときはS5
0へ移行し、フラグP1が2でないときはS54へ移行
する。S50では、スリップ率S1が2−3スリップ率
しきい値Bsg以下か否か判定し、最初のうちは No と判
定されるため、S50からS48へ移行するが、それを
繰り返して、スリップ率S1がしきい値Bsg以下になる
と、S50からS51へ移行する。S51においては、
フラグP1が3にセットされてフェーズIII (減圧のフ
ェーズ)に移行する。
【0045】次に、S52においてフェーズIII の減圧
時間をカウントするためのタイマT3がリセット後スタ
ートされ、次にS53では、フェーズIII 用に予め設定
された制動制御信号が第1バルブユニット20へ出力さ
れ、その後リターンする。フラグP1が2でないとき
は、S49からS54へ移行してフラグP1が3か否か
判定され、その判定がYes のときはS55へ移行し、前
記判定が No のときはS59へ移行する。
【0046】次に、S55では、減速度DVw1が3−5
中間減速度しきい値B35に等しいか否か判定され、最初
のうちは No と判定されるため、S55からS53へ移
行するが、それを繰り返して、減速度DVw1がしきい値
B35に等しくなると、S56へ移行し、S56において
フラグP1が5にセットされてフェーズVに移行する。
次に、S57においてタイマT3のカウント値から減圧
時間Tdが演算されて記憶される。
【0047】次に、S58において、フェーズV用に予
め設定された制動制御信号が第1バルブユニット20へ
出力され、その後リターンする。次に、S54の判定で
No のときは、S59においてフラグP1が5か否か判
定し、その判定がYes のときはS60へ移行し、また N
o のときはS67へ移行する。フラグP1が5のとき
は、S60において、スリップ率S1が5−1スリップ
率しきい値Bsz以上か否か判定される。
【0048】最初のうちは No と判定されるため、S6
0からS58へ移行するのを繰り返えす。そして、フェ
ーズVにおいて、スリップ率S1が増大して、S60の
判定がYes となるとS61へ移行し、S61において、
フラグP1が1にセットされてフェーズI(増圧のフェ
ーズ)に移行し、かつ継続フラグFcn1 が1にセットさ
れる。
【0049】次に、S62において、フェーズIの初期
に実行される初期急増圧の急増圧時間Tpzが演算され
る。このサブルーチンについては、図11に基いて後述
する。次に、S63において、フェーズIの開始後の経
過時間をカウントするタイマT1がリセット後スタート
され、次にS64においてタイマT1のカウント時間T
1がS62で設定された急増圧時間Tpz以下か否か判定
され、最初のうち急増圧時間Tpz以下のときは、S64
からS65へ移行し、S65においてフェーズIの初期
急増圧の為に予め設定された制動制御信号が、第1バル
ブユニット20へ出力され、その後リターンする。
【0050】次に、フェーズIに移行後には、S59の
判定が No となるため、S59からS67へ移行し、S
67においてフラグP1が1か否か判定され、フラグP
1が1のときは、S68において減速度DVw1が、1−
2中間減速度しきい値B12以下か否か判定し、最初のう
ちは、その判定が No となるため、S68からS64へ
移行し、急増圧時間Tpzの経過前にはS64からS65
へ移行するのを繰り返す。これを繰り返すうちに、フェ
ーズIに移行後、急増圧時間Tpzが経過すると、S64
の判定が No となるため、S64からS66へ移行して
フェーズIの緩増圧の為に予め設定された制動制御信号
が、第1バルブユニット20へ出力され、その後リター
ンするのを繰り返す。
【0051】次に、S68の判定がYes となると、S6
9においてフラグP1が2にセットされ、次にS70に
おいてタイマT1の計時時間に基いて、増圧時間Ti
(つまり、フェーズIの期間)が演算されて記憶され、
その後S48へ移行する。こうして、ABS制御の開始
後、フェーズII、フェーズIII 、フェーズV、フェーズ
I、フェーズII、フェーズIII 、・・・の順に複数サイ
クルに亙って実行され、S43の判定でYes となった
り、ブレーキスイッチ25がOFFになったりすると、A
BS制御が終了する(図18参照)。
【0052】次に、S62で実行される急増圧時間Tpz
の演算のサブルーチンについて、図11のフローチャー
トと、図12〜図17を参照しつつ説明する。このサブ
ルーチンの開始後、最初に図示のような各種データが読
み込まれ(S80)、次にフェーズIに移行した時点の
復帰加速度AVw1が演算され(S81)、次に図12〜
図17に示すマップより、各種の補正係数である係数k
1〜k4と、上限値Tuμ、Tuvが演算される。
【0053】ここで、前記係数k1〜k4は、夫々、復
帰加速度、車体速Vr、路面μ、減圧時間Tdをパラメ
ータとして、図12〜図15に示すような特性として設
定されている。急増圧時間Tpzの上限を規制する上限値
Tuμ、Tuvは、夫々、路面μ、車体速Vrをパラメ
ータとして、図16と図17に示すような特性として設
定されている。
【0054】次に、S83において、急増圧時間Tpz
が、S70で演算され記憶された前回のサイクルにおけ
る増圧時間Tiと、係数k1〜k4とから次式で演算さ
れる。急増圧時間Tpz=Ti×k1×k2×k3×k4
次に、S84において前回の路面μが高くかつ今回の路
面μが低いか否か判定され、その判定が No のときはS
86へ移行し、S86において前回の路面μが低くかつ
今回の路面μが高いか否か判定され、その判定が No の
ときはS88へ移行する。
【0055】これに対して、路面μのジャンプが生じた
結果、S84の判定がYes のときは、S85において急
増圧時間Tpzから所定値Δを減算した値が今回の急増圧
時間Tpzとして設定されてS88へ移行し、また、S8
6の判定がYes のときは、S87において急増圧時間T
pzに所定値Δを加算した値が今回の急増圧時間Tpzとし
て設定されてS88へ移行する。つまり、今回サイクル
の路面μに適合するように、急増圧時間Tpzを補正する
のである。次に、S88において急増圧時間Tpzが上限
値Tuμ以下か否か判定され、その判定がYes のとき
は、S90において急増圧時間Tpzが上限値Tuv以下
か否か判定され、その判定がYes のときは、急増圧時間
Tpzがメモリに記憶され、リターンする。
【0056】S88の判定が No のときはS89におい
て、急増圧時間Tpzが上限値Tuμに等しく設定され、
その急増圧時間Tpzがメモリに記憶され、リターンす
る。S90の判定が No のときはS91において、急増
圧時間Tpzが上限値Tuvに等しく設定され、その急増
圧時間Tpzがメモリに記憶され、リターンする。
【0057】次に、図12に示すように、係数k1は、
復帰加速度AVw の増大に応じて増大するので、車体速
や路面μを間接的に加味して初期増圧量を設定できる。
図13に示すように、係数k2は、車体速Vrの増大に
応じて増大するので、車体速の増大に比例する路面反力
に応じて減圧量が減少したのを加味して初期増圧量を適
切に設定できる。図14に示すように、係数k3は、路
面μが低くなるのに応じて小さくなるので、ロックを制
御しつつ制動性能を高めることができる。図15に示す
ように、係数k4は、減圧時間Tdが長くなるのに応じ
て小さくなるので、路面μが低いような場合における過
剰な急増圧を抑制してロック制御を図ることができる。
図16に示すように、上限値Tuμは、路面μが低くな
るのに応じて小さくなるので、路面μに適合させて過剰
な急増圧を抑制できる。図17に示すように、上限値T
uvは、車体速Vrが大きくなるのに応じて小さくなる
ので、車体速に適合させて過剰な急増圧を抑制できる。
【0058】次に、以上説明したABS制御の作用につ
いて、第1チャンネルに対するABS制御を例にして、
図18のタイムチャートを参照しつつ説明する。減速時
のABS非制御状態において、ブレーキぺダル16の踏込
操作によって発生した制動圧が徐々に増圧し、左前輪1
の車輪速Vw1の変化率(減速度DVW1)が−3Gに達し
たときには、第1チャンネルのロックフラグFlok1が1
にセットされ、その時刻taからABS制御に移行す
る。この制御開始直後の第1サイクルにおいては、摩擦
状態値Muは高摩擦状態を示す3にセットされており、
走行状態パラメータに応じた各種の制御しきい値が設定
される。
【0059】次に車輪速Vw1から求めたスリップ率S
1、車輪減速度DVw1、車輪加速度AVw1と各種の制御
しきい値とが比較され、フェーズ0からフェーズIIに変
更され、制動圧は増圧直後のレベルで維持されることに
なる。スリップ率S1が、2−3中間スリップ率しきい
値Bsgより低下するとフェーズIIからIII に移行し、リ
リーフ弁20b が所定の開閉モードでON/OFFされ、その時
刻tbから制動圧が所定の勾配で減少して制動力が徐々
に低下し、前輪1の回転力が回復し始める。更に、制動
圧の減圧が続いて車輪減速度DVw1がしきい値B35(0
G) まで低下したときには、フェーズIII からVに移行
し、その時刻tcから制動圧が減圧後のレベルで維持さ
れる。
【0060】このフェーズVにおいてスリップ率S1が
5−1スリップ率しきい値Bsz以上になると、継続フラ
グFcnl が1にセットされ、ABS制御は、時刻tdか
ら第2サイクルに移行する。このとき、強制的にフェー
ズIに移行し、このフェーズIへの移行直後には、開閉
弁20a が、前記のように、前回サイクルの増圧時間Ti
と、車輪速Vw1から得られる各種データ(復帰加速度、
車体速、路面μ)と、前回サイクルの減圧時間Tdとを
パラメータとして設定された急増圧時間Tpzの間、リリ
ーフ弁20b 閉状態で開閉弁20a が100 %のデューティ率
で開かれて、制動圧が急勾配で増圧され、この急増圧時
間Tpzの経過後は、開閉弁20a が所定のデューティ率で
ON/OFFされて、制動圧がより緩やか勾配で徐々に上昇し
ていく。こうして、第2サイクルへの移行直後において
は、制動圧が確実に増圧され、良好な制動圧が確保され
る。
【0061】一方、第2サイクル以降においては、適切
な摩擦状態値Muが決定され、これらの摩擦状態値Mu
と車体速Vrとに応じた走行状態パラメータに対応する
各種制御しきい値が図7の制御しきい値設定テーブルか
ら選択されるので、走行状態に応じた緻密な制動圧の制
御が行われることになる。その後、第2サイクルにおけ
るフェーズVにおいて、例えばスリップ率S1がしきい
値Bszより大きいと判定すると第3サイクルのフェーズ
Iに移行する。
【0062】本実施例のABS制御においては、初期急
増圧の増圧量を、前回サイクルの増圧量を基本値とし、
それに、復帰加速度、車体速Vr、路面μ、減圧時間T
dを加味して設定するため、車輪のスリップ状態だけで
なく、車体の挙動や路面状態を総合的に加味して、初期
増圧量を適切に高精度に設定し、ロック抑制を図りつつ
制動性能を高めることができる。しかも、初期増圧量
を、路面μに応じて設定した上限値で上限規制するとと
もに、車体速に応じて設定した上限値で上限規制するの
で、路面μに適合させつつ、また、車体速に適合させつ
つ、過剰な初期増圧を抑制することができる。
【0063】ここで、前記実施例の一部を次のように変
更した態様のものにも、本発明を適用できることは言う
までもない。 1〕 前記初期増圧量を増圧時間をパラメータとして設
定したが、制動圧をパラメータとして設定することもで
きる。但し、この場合、必要に応じて制動圧を検出する
油圧センサの検出信号を活用するものとする。 2〕 前記実施例のブレーキ制御システムでは、第1〜
第3チャンネルの3系統を制御するように構成したが、
4輪に独立のチャンネルを設けて、独立に制御するよう
に構成する。 3〕 前記実施例では、増圧、増圧保持、減圧、減圧保
持の4つのフェーズからなるサイクルを繰り返すように
構成したが、増圧と減圧の2つのフェーズからなるサイ
クルを繰り返すようなABS制御に構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る車両のアンチスキッドブレーキ装
置の概略構成図である。
【図2】μテーブルの図表である。
【図3】擬似車体速の演算処理のフローチャートであ
る。
【図4】車体速補正値のマップの線図である。
【図5】制御しきい値設定処理のフローチャートであ
る。
【図6】走行状態パラメータを設定したテーブルの図表
である。
【図7】各種制御しきい値を設定したテーブルの図表で
ある。
【図8】各種制御しきい値の補正値を設定したテーブル
の図表である。
【図9】制御信号出力処理のフローチャートの一部であ
る。
【図10】制御信号出力処理のフローチャートの残部で
ある。
【図11】急増圧時間の演算サブルーチンのフローチャ
ートである。
【図12】急増圧時間設定用の係数k1の特性図であ
る。
【図13】急増圧時間設定用の係数k2の特性図であ
る。
【図14】急増圧時間設定用の係数k3の特性図であ
る。
【図15】急増圧時間設定用の係数k4の特性図であ
る。
【図16】急増圧時間の上限値の特性図である。
【図17】急増圧時間の上限値の特性図である。
【図18】アンチスキッドブレーキ装置の動作タイムチ
ャートである。
【符号の説明】
1,2 前輪 3,4 後輪 11〜14 ブレーキ装置 15 ブレーキ制御システム 27〜30 車輪速センサ 20,21,23 第1〜第3バルブユニット 20a,21a,23a 開閉弁 20b,21b,23b リリーフ弁 24 コントロールユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B60T 8/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の回転速度を検出する車輪速検出手
    段と、ブレーキ油圧を調整する油圧調整手段と、車輪速
    検出手段で検出された車輪速に基いて油圧調整手段を作
    動させるアンチスキッド制御手段とを備え、1サイクル
    のアンチスキッド制御における増圧を、初期急増圧とそ
    の後の緩増圧とで実行するようにした車両のアンチスキ
    ッドブレーキ装置において、 前記アンチスキッド制御手段は、前回サイクルの増圧量
    と、車輪速検出手段で検出された車輪速から得られる情
    報とに基いて、今回サイクルの初期増圧量を設定する初
    期増圧量設定手段を備え 前記初期増圧量設定手段は、車輪速検出手段で検出され
    た車輪速から演算される車体速が高速になるのに応じて
    初期増圧量を小さく設定するように構成し たことを特徴
    とする車両のアンチスキッドブレーキ装置。
  2. 【請求項2】 車輪の回転速度を検出する車輪速検出手
    段と、ブレーキ油圧を調整する油圧調整手段と、車輪速
    検出手段で検出された車輪速に基いて油圧調整手段を作
    動させるアンチスキッド制御手段とを備え、1サイクル
    のアンチスキッド制御における増圧を、初期急増圧とそ
    の後の緩増圧とで実行するようにした車両のアンチスキ
    ッドブレーキ装置において、 前記アンチスキッド制御手段は、前回サイクルの増圧量
    と、車輪速検出手段で検出された車輪速から得られる情
    報とに基いて、今回サイクルの初期増圧量を設定する初
    期増圧量設定手段を備え、 前記初期増圧量設定手段に、車輪速検出手段で検出され
    た車輪速に基いて、路面摩擦状態を検知する摩擦状態検
    知手段と、前記初期増圧量に、摩擦状態検知手段で検知
    された路面摩擦状態に応じた上限値を設定する上限規制
    手段とを設けたことを特徴とする車両のアンチスキッド
    ブレーキ装置。
  3. 【請求項3】 車輪の回転速度を検出する車輪速検出手
    段と、ブレーキ油圧を調整する油圧調整手段と、車輪速
    検出手段で検出された車輪速に基いて油圧調整手段を作
    動させるアンチスキッド制御手段とを備え、1サイクル
    のアンチスキ ッド制御における増圧を、初期急増圧とそ
    の後の緩増圧とで実行するようにした車両のアンチスキ
    ッドブレーキ装置において、 前記アンチスキッド制御手段は、前回サイクルの増圧量
    と、車輪速検出手段で検出された車輪速から得られる情
    報とに基いて、今回サイクルの初期増圧量を設定する初
    期増圧量設定手段を備え、 前記初期増圧量設定手段に、初期増圧量に、車輪速検出
    手段で検出された車輪速から演算される車体速に応じた
    上限値を設定する上限規制手段とを設けたことを特徴と
    る車両のアンチスキッドブレーキ装置。
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