JPH0794562B2 - ポリマー溶液中のポリマーの回収方法 - Google Patents

ポリマー溶液中のポリマーの回収方法

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JPH0794562B2
JPH0794562B2 JP3113533A JP11353391A JPH0794562B2 JP H0794562 B2 JPH0794562 B2 JP H0794562B2 JP 3113533 A JP3113533 A JP 3113533A JP 11353391 A JP11353391 A JP 11353391A JP H0794562 B2 JPH0794562 B2 JP H0794562B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリマー溶液中のポリマ
ーの回収方法に係り、特に、ポリカーボネート溶液やポ
リアリレート溶液から残存溶媒量の少ないポリカーボネ
ートやポリアリレートを回収する方法等として好適な、
ポリマー溶液中のポリマーの回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートやポリアリレート等を
工業的に製造する方法としては、界面重縮合法が好まし
く使用されている。界面重縮合法に基づくポリカーボネ
ート(以下、PCということがある)やポリアリレート
(以下、PAということがある)等の製造方法において
は、界面重縮合反応により得られたエマルジョン溶液に
洗浄、分離操作を施して、PCやPA等の有機溶媒溶液
(以下、ポリマー溶液と総称することがある)をまず得
る。次いで、得られたポリマー溶液中のPCやPA等の
ポリマーを固相化して、溶媒を比較的多量に含んだ状態
の粉末状あるいは粒状のポリマー(以下、ポリマー固体
と総称することがある)を得る。このようにして得られ
たポリマー固体は、一般に、残存している溶媒を蒸発・
除去するための乾燥処理が施された後に、貯留されるか
ペレット状等に成形される。
【0003】ポリマー溶液中のポリマーを固相化する方
法としては、例えばポリマー溶液がPCの有機溶媒溶液
である場合、PCの有機溶媒溶液に貧溶媒を添加する方
法(特公昭42−14474号公報)や、PCの有機溶
媒溶液の結晶化を利用したニーダーによる破砕方法(特
公昭53−15899号公報)、あるいはPCの有機溶
媒溶液を温水に投入する方法(特願昭60−11562
5号公報)等が知られている。また、得られたポリマー
固体に残存する溶媒を蒸発・除去する方法としては、ポ
リマー固体に乾燥用ガス(加熱したN2 ガスや空気)を
流通させる方法(通気乾燥法)や真空乾燥法が適用され
ている。
【0004】ところで、ポリマー溶液から回収したポリ
マーを材料として用いて成形品を得るにあたっては、材
料のポリマー中の残存溶媒量が少ないほど高品質の成形
品を得やすい。そして、固相化により得られたポリマー
固体の乾燥効率や乾燥操作の難易(乾燥容器内での不要
な滞留の防止、乾燥容器内への供給、乾燥容器からの排
出等)を勘案した場合、ポリマー固体は粒径が小さく、
かつ粒径が均一で、真球に近いほうが好ましい。また一
般に、ポリマー固体の粒径が小さいほど乾燥処理に費や
す時間は短縮される。このため、ポリマー溶液に溶解し
ているポリマーを固相化する方法としては、ポリマー溶
液に貧溶媒を添加する方法のように得られるポリマー固
体が糸屑状となる方法よりも、ポリマー溶液の結晶化を
利用したニーダーによる破砕方法やポリマー溶液を温水
に投入する方法のように得られるポリマー固体が粒状と
なる方法のほうが、実用上好ましい方法として位置付け
られている。また、ポリマー溶液を温水に投入する方法
によれば、ポリマー溶液の結晶化を利用したニーダーに
よる破砕方法よりも粒径の小さなポリマー固体を得るこ
とができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポリマー溶液を温水に
投入する従来の方法は、粒径の小さなポリマー固体が得
られるため、ポリマー固体の乾燥効率の高さや乾燥操作
の簡便さといった点では他の従来方法よりも好ましいも
のである。しかしながら、この方法には大量の温水を必
要とするという難点があった。また、ポリマー溶液から
得たポリマー固体に残存する溶媒を真空乾燥法あるいは
通気乾燥法により蒸発・除去する従来の方法には、溶媒
の蒸発・除去(ポリマー固体の乾燥)に長時間を要する
という難点があり、この難点はポリマー固体が非常に緻
密で嵩高い場合やポリマー固体の粒径が大きい場合に特
に顕著であった。
【0006】したがって本発明の第1の目的は、ポリマ
ー溶液に溶解しているポリマーを大量の温水を用いるこ
となく固相化することができ、かつ固相化により得られ
たポリマー固体を比較的短い乾燥時間で残存溶媒量の少
ないポリマーとすることができる、ポリマー溶液からの
ポリマーの回収方法(以下、回収方法Aという)を提供
することにある。
【0007】また本発明の第2の目的は、ポリマー溶液
に溶解しているポリマーを固相化した後、得られたポリ
マー固体を従来よりも短い乾燥時間で残存溶媒量の十分
に少ないポリマーとすることができる、ポリマー溶液か
らのポリマーの回収方法(以下、回収方法Bという)を
提供することにある。
【0008】そして、本発明の第3の目的は、ポリマー
溶液に溶解しているポリマーを大量の温水を用いること
なく固相化することができ、かつ固相化により得られた
ポリマー固体を従来よりも短い乾燥時間で残存溶媒量の
十分に少ないポリマーとすることができる、ポリマー溶
液からのポリマーの回収方法(以下、回収方法Cとい
う)を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
る本発明の回収方法Aは、ポリマー溶液に溶解している
ポリマーを固相化する第1の工程と、この第1の工程で
得られたポリマー固体に残存する溶媒を蒸発・除去する
第2の工程とを含み、前記第1の工程が、ポリマー濃度
が1〜50wt%であるポリマー溶液を、ポリマー粉末を
予め収容させておいた撹拌槽を用いて1〜50kW/m3
の撹拌動力で撹拌することにより、溶媒含有量が5〜5
0wt%のポリマー粒体を造粒する工程であることを特徴
とするものである。
【0010】また、上記第2の目的を達成する本発明の
回収方法Bは、ポリマー溶液に溶解しているポリマーを
固相化する第1の工程と、この第1の工程で得られたポ
リマー固体に残存する溶媒を蒸発・除去する第2の工程
とを含む方法であり、前記第2の工程が、前記ポリマー
固体をスチームと接触させて前記ポリマー固体中の溶媒
を蒸発・除去する工程を含み、前記溶媒の蒸発・除去
が、ポリマー固体とスチームとを混合ノズルに導入し、
この混合ノズルから噴射されたポリマー固体−スチーム
混合物を配管により移送する過程でなされることを特徴
とするものである。
【0011】そして、上記第3の目的を達成する本発明
の回収方法Cは、ポリマー濃度が1〜50wt%であるポ
リマー溶液を、ポリマー粉末を予め収容させておいた撹
拌槽を用いて1〜50kW/m3 の撹拌動力で撹拌するこ
とにより、溶媒含有量が5〜50wt%のポリマー粒体を
造粒して、前記ポリマー溶液に溶解しているポリマーを
固相化する第1の工程と、この第1の工程で得られたポ
リマー粒体をスチームと接触させて前記ポリマー固体中
の溶媒を蒸発・除去することにより、前記ポリマー粒体
に残存する溶媒を蒸発・除去する第2の工程とを含み、
前記第2の工程における溶媒の蒸発・除去が、ポリマー
固体とスチームとを混合ノズルに導入し、この混合ノズ
ルから噴射されたポリマー固体−スチーム混合物を配管
により移送する過程でなされることを特徴とするもので
ある。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。まず、回
収方法Aについて説明する。この回収方法Aにおいて
は、上述したように、ポリマー濃度が1〜50wt%であ
るポリマー溶液を、ポリマー粉末を予め収容させておい
た撹拌槽を用いて撹拌する。ここで、ポリマー溶液のポ
リマー濃度を1〜50wt%に限定する理由は、ポリマー
濃度が1wt%未満では本法において除去する溶媒が多量
であり生産性が低くなり過ぎ、50wt%を超えるとポリ
マー溶液が固体状になり撹拌できなくなるからである。
特に好ましいポリマー濃度は、10〜30wt%である。
【0013】ポリマー溶液に溶解しているポリマーの種
類は特に限定されるものではないが、ポリカーボネート
やポリアリレートのように、通常の製造方法で製造した
ときに有機溶媒溶液として得られるポリマーが特に好ま
しい。また、ポリカーボネートの種類やポリアリレート
の種類も特に限定されるものではなく、例えばポリカー
ボネートとしては、2価フェノールとホスゲンまたは炭
酸エステル化合物との反応により得られる種々のポリカ
ーボネート(単独重合体および共重合体)を回収対象と
することができる。ここに2価フェノールおよび炭酸エ
ステル化合物を例示すると、以下の通りである。
【0014】2価フェノール 2,2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニル
メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−(4−イソプロ
ピルフェニル)メタン、ジフェニル−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−
ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル
−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ナフチル−1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−フェニ
ル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−
メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン、1−エチル−1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,
5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
3,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4−メチル
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ヘキサン、4,4−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ノナン、1,10−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)デカンおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロドデカン等のジヒドロキシアリールアル
カン類; ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンおよ
びビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン等のジヒドロキシアリールスルホン類; ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルおよびビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル等のジヒドロキシアリールエーテル類; 4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノンおよび3,
3′,5,5′−テトラメチル−4,4−ジヒドロキシ
ベンゾフェノン等のジヒドロキシアリールケトン類; ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィドおよび
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ス
ルフィド等のジヒドロキシアリールスルフィド類; ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド等のジヒ
ドロキシアリールスルホキシド類; 4,4′−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジ
フェニル類; ヒドロキノン、レゾルシノールおよびメチルヒドロキノ
ン等のジヒドロキシベンゼン類; 1,5−ジヒドロキシナフタレンおよび2,6−ジヒド
ロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;等。
【0015】炭酸エステル化合物 ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート、
ジメチルカーボネートやジエチルカーボネート等のジア
ルキルカーボネート等。
【0016】ポリアリレートとしては、多塩基酸と多価
アルコールとの重合により得られる種々のポリアリレー
ト(単独重合体および共重合体)を回収対象とすること
ができる。ここに多塩基酸および多価アルコールを例示
すると、以下の通りである。 多塩基酸 無水フタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、
セバシン酸等の飽和多塩基酸; マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、
無水シトラコン酸等の不飽和多塩基酸; シクロペンタジエン−無水マレイン酸付加物、テルペン
−無水マレイン酸付加物、ロジン−無水マレイン酸付加
物等のディールス−アルダー反応による多塩基酸;等。
【0017】多価アルコール エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、トリメチレン
グリコール、テトラメチレングリコール等の二価アルコ
ール; グリセリン、トリメチロールプロパン等の三価アルコー
ル; ジグリセリン、トリグリセリン、ペンタエリトリット、
ジペンタエリトリット、マンニット、ソルビット等の多
価アルコール;等。
【0018】またポリマー溶液の溶媒の種類もポリマー
を溶解させるものであれば特に限定されるものではな
く、塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩
化炭素、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒
を使用することもできる。これらの溶媒は、それぞれ単
独で使用してもよいし、混合物として使用してもよい。
【0019】上述したポリマー溶液を撹拌する撹拌槽と
しては、粉体の混合撹拌用や粉砕・造粒用等として従来
より利用されている撹拌槽を用いることができるが、滞
留部を少なくするうえから縦型で円形の撹拌槽が特に好
ましい。そして、溶媒を蒸発・除去するうえからジャケ
ットを備えていることが好ましい。また、撹拌槽に備え
られている撹拌翼は、槽壁面と翼間で十分な剪断力(撹
拌動力)が与えられる構造であればよい。このような撹
拌翼としては、例えばパドル翼、アンカー翼、タービン
翼、ヘリカル翼等のように粉体の混合撹拌に利用されて
いる撹拌翼を挙げることができ、その翼形状は適宜選択
可能である。パドル翼を備えた円形の撹拌槽としては、
例えば図5(a)〜(c)に示すものを例示することが
できる。図5(a)〜(c)において、円形の撹拌槽5
0の内部にはそれぞれ、パドル部51がアーム52によ
り回転軸53に固定されてなるパドル翼が設けられてお
り、撹拌槽50の底部側には、滞留部を少なくするため
のスクレーパー54が設けられている。
【0020】本発明の回収方法Aで用いる撹拌槽には、
予めポリマー粉末が収容されている。このポリマー粉末
は、粉末層全体が混合・撹拌されることで、投入される
ポリマー溶液の均一な分散を図り、また造粒時のパドル
からの破砕エネルギーをも伝える媒体として作用するも
のである。したがって、ポリマー粉末の種類は特に限定
されるものではなく、回収対象のポリマーと同質のポリ
マー粉末を用いてもよし異質のポリマー粉末を用いても
よいが、実用上は同質のポリマー粉末を用いることが好
ましい。またポリマー粉末の形状は、良好な流動性を示
し、かつハンドリングを容易とするうえから、直径0.
01〜5mmの粒状が好ましい。
【0021】本発明の回収方法Aにおいては、前述のポ
リマー溶液を上述の撹拌槽に供給し、この撹拌槽を用い
て1〜50kW/m3 の撹拌動力で撹拌して、これにより
溶媒含有量が5〜50wt%のポリマー粒体を造粒するこ
とで、ポリマー溶液に溶解しているポリマーを固相化す
る。撹拌槽にポリマー溶液を供給するにあたっては、ポ
リマー溶液を加温して供給してもよいし、加温せずに供
給してもよい。またポリマー溶液の撹拌槽内における供
給位置は、撹拌槽内の気相部(予め収容されているポリ
マー粉末の上方空間)からポリマー粉体層へ向け供給し
てもよいし、ポリマー溶液供給用の配管あるいはノズル
の開口部近傍にポリマーが付着するのを防止するうえか
ら、ポリマー粉末層内部に直接供給してもよい。
【0022】本発明の回収方法Aにおいて撹拌動力の下
限を1kW/m3 に限定する理由は、1kW/m3 未満の撹
拌動力では十分な粉砕、ポリマー溶液の分散が図れず、
本法の効果が期待できないからである。また、撹拌動力
の上限を50kW/m3 に限定する理由は、50kW/m3
を超える撹拌動力で撹拌しても得られるポリマー粒体の
微細化に大きな進展がないため、ポリマー粒体に残存す
る溶媒を蒸発・除去する第2の工程における乾燥効率の
向上にも大きな進展がなく、徒に生産コストを高めるだ
けであるからである。
【0023】また、造粒により得るポリマー粒体の溶媒
含有量の下限を5wt%に限定する理由は、溶媒含有量が
5wt%未満では槽内のポリマー粒体が固すぎるために撹
拌翼と槽壁面との間での粉砕が効率的に行われず、得ら
れるポリマー粒体が肥大化し過ぎるからである。また、
溶媒含有量の上限を50wt%に限定する理由は、溶媒含
有量が50wt%を超えると粒体同士が凝集して撹拌でき
なくなるからである。ポリマー粒体の特に好ましい溶媒
含有量は、10〜45wt%である。
【0024】撹拌槽内のポリマー粒体の溶媒含有量は、
撹拌槽に供給されるポリマー溶液の量、ポリマー溶液の
溶媒濃度および撹拌動力に応じて、撹拌槽内の温度、撹
拌槽内の圧力、およびポリマー溶液の撹拌槽内の滞留時
間を制御しつつ溶媒を蒸発・除去することで、任意の値
に調節することができる。例えば、平均粒径0.5mmの
ポリカーボネート粉末(PC粉末)が10kg収容されて
いる内容積50リットルの撹拌槽を用いて、PC濃度が
20wt%のPC溶液(溶媒:塩化メチレン)に溶解して
いるPCを固相化する場合、PC溶液の撹拌槽への供給
量が20リットル/hrで、撹拌動力が18kW/m3 で、
PC溶液の撹拌槽内の滞留時間が4.5時間であるなら
ば、撹拌槽内の温度と圧力を図6の斜線部の範囲内とす
ることにより、溶媒含有量が5〜50wt%のポリマー粒
体を造粒することができる。なお、ポリマー粒体中の溶
媒量は、本質的には系内の温度、圧力で定まるものであ
り、撹拌動力や滞留時間ではあまり影響を受けない。な
お、本発明の回収方法Aにおいて撹拌槽に予め収容され
ているポリマー粉末は、ポリマー溶液がこの撹拌槽に供
給されるのに先立って、撹拌されていることが好まし
い。
【0025】造粒したポリマー粒体は、撹拌槽の下部に
設けた配管を通じて、配管の途中に設けたバルブ等によ
り排出量を調整しつつ、連続的にまた回分的に排出する
ことができる。また、図7に示すように、撹拌翼70を
備えた撹拌槽71内で造粒されるポリマー粒体72のレ
ベルに応じて堰73を設け、この堰73からポリマー粒
体72を溢流(オーバーフロー)させてもよい。また、
スクリューコンベア等でも抜き出し可能である。このよ
うにして得られるポリマー粒体は、平均粒径が0.1〜
1.5mmで、かつ粒径が揃った真球に近い形状のポリマ
ー粒体である。
【0026】本発明の回収方法Aにおいては、このよう
にして得られたポリマー粒体に残存する溶媒を蒸発・除
去する第2の工程を行う。第2の工程で溶媒を蒸発・除
去する方法(ポリマー粒体の乾燥方法)は特に限定され
るものではなく、従来の乾燥方法(真空乾燥法や通気乾
燥)を適用してもよいし、後述する本発明の回収方法B
で適用する乾燥方法を適用してもよい。第2の工程にお
ける乾燥方法として従来の乾燥方法を適用した場合で
も、被乾燥物であるポリマー粒体の平均粒径が上述のよ
うに小さく、かつ粒径が揃った真球に近い形状であるた
め、比較的短い乾燥時間で残存溶媒量が少ないポリマー
を得ることができる。また、被乾燥物であるポリマー粒
体は平均粒径が小さく、かつ粒径が揃った真球に近い形
状であるため、乾燥操作が容易である。
【0027】次に、本発明の回収方法Bについて説明す
る。この回収方法Bにおいては、前述したように、ポリ
マー溶液に溶解しているポリマーを固相化して得たポリ
マー固体に残存する溶媒を蒸発・除去する第2の工程
が、ポリマー固体をスチームと接触させてこのポリマー
固体中の溶媒を蒸発・除去する工程を含み、前記溶媒の
蒸発・除去が、ポリマー固体とスチームとを混合ノズル
に導入し、この混合ノズルから噴射されたポリマー固体
−スチーム混合物を配管により移送する過程でなされ
。ここで、スチームと接触させるポリマー固体を得る
方法は特に限定されるものではなく、種々の方法により
固相化してポリマー固体を得ることができる。ただし、
ポリマー固体の溶媒含有量は1〜50wt%であることが
好ましい。ポリマー固体の溶媒含有量が1wt%未満で
は、除去する溶媒量が少ないため熱的にスチームの損失
が大きく、かつ既に十分に外殻が固化したポリマーであ
るため、効果が発揮できない。また、50wt%を超える
とポリマー固体同士の凝集により処理が困難となる。ポ
リマー固体が粒体である場合、その粒径は0.1〜5mm
であることが好ましい。粒径が0.1mm未満のポリマー
粒体は取扱が困難であり、粒径が5mmを超えるポリマー
粒体では内部の溶媒を除去しずらい。
【0028】回収方法Bにおいてポリマー固体と接触さ
せるスチームとしては、温度が100〜300℃のもの
が好ましい。300℃を超えるスチームは圧力が高いた
めに、使用機器に高耐圧性のものが必要となり、設備コ
ストが高くなる。
【0029】ポリマー固体をスチームと接触させること
により前記ポリマー固体中の溶媒を蒸発・除去するにあ
たっては、例えばホッパーのように上下に一対の開口部
を有する容器にポリマー固体を収容し、この容器の下側
の開口部から容器内へスチームを供給して上側の開口部
からスチームを排出させるようにしてもよいし、横型の
コンベアによりポリマー固体を搬送しつつ、このポリマ
ー固体にスチームを吹き掛けるようにしてもよいし、横
型のコンベアにポリマー固体を載せて、スチームを満た
した大型容器内を通過させるようにしてもよいが、本発
明の回収方法B においては、ポリマー固体とスチームと
を混合ノズルに導入し、この混合ノズルから噴射された
ポリマー固体−スチーム混合物を配管により移送する過
程で前記ポリマー固体中の溶媒を蒸発・除去する。この
とき、混合ノズルの噴射口に予め配管を連接しておく。
前記の配管の長さを適宜選択することにより、ポリマー
固体に残存する溶媒を蒸発・除去させるに十分な接触時
間を確保することができる。
【0030】本発明の回収方法Bによる溶媒の蒸発・除
去は、回分または連続のいずれによって行ってもよい。
いずれの場合でもポリマー固体を高速で移送しつつ、こ
のポリマー固体に残存する溶媒を蒸発・除去することが
できるので、実用上好適である。本発明の回収方法Bに
おいては、上述のようにしてスチームと接触させた後の
ポリマー固体になおも残存する溶媒の蒸発・除去、ある
いはポリマー固体に付着した水分の蒸発・除去を目的と
して、このポリマー固体を通気乾燥法や真空乾燥法によ
り乾燥してもよい。
【0031】このような方法によりポリマー固体とスチ
ームとを接触させることにより、ポリマー固体に残存し
ている溶媒を、従来の真空乾燥法や通気乾燥法で乾燥し
た場合よりも短時間で十分に蒸発・除去して、残存溶媒
量の少ないポリマーを得ることができる。
【0032】次に、本発明の回収方法Cについて説明す
る。回収方法Cにおける第1の工程は、前述した回収方
法Aにおける第1の工程からなり、第2の工程は、上述
した回収方法Bにおける第2の工程からなる。すなわ
ち、本発明の回収方法Cは、本発明の回収方法Aにおけ
る第1の工程と、本発明の回収方法Bにおける第2の工
程とを組合わせたものである。したがって、各工程の詳
細は、回収方法Aおよび回収方法Bで述べた通りであ
る。このようにしてなる本発明の回収方法Cによれば、
ポリマー溶液に溶解しているポリマーを大量の温水を用
いることなく固相化して、平均粒径が小さく、粒径が揃
った真球に近い形状のポリマー粒体を得ることができ、
かつ、このポリマー粒体に残存している溶媒を従来の真
空乾燥法や通気乾燥法で乾燥した場合よりも短時間で十
分に蒸発・除去して、残存溶媒量の少ないポリマーを得
ることができる。
【0033】なお、以上説明した本発明の回収方法A、
回収方法Bおよび回収方法Cは、界面重縮合法によりポ
リマーを製造する際の工程の一部として適用することも
できる。この場合には、ポリマー溶液として、界面重縮
合反応により得られたポリマー溶液(ポリマーの有機溶
媒溶液)を用いる。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1(回収方法C) まず、図1に示すように、ジャケット1およびモータM
により回転する撹拌翼2を備えた撹拌槽3と混合ノズル
4とを、撹拌槽3の底部に設けた配管5によりロータリ
ーフィーダー6を介して連通させ、混合ノズル4と気固
分離器7とを、混合ノズル4の噴射口に連接させて設け
た配管8により連通させて、ポリマー回収用の装置を構
成した。
【0035】この装置を構成する撹拌槽3としては有効
内容積が50リットルのものを用い、撹拌槽3には、図
1に示すように、予め10kgのポリカーボネート粉末9
[出光石油化学(株)製のタフロンFN2200(商品
名)を篩分けして得た平均粒径0.5mmのもの]を収容
させておいた。また撹拌槽3の撹拌翼2としては、図2
(a)および(b)に示すように、長さlが150mmで
直径dが10mmの円柱からなる1対のパドル部20がア
ーム21により回転軸22に固定されてなるパドル翼
が、縦に3段設けられたものを用いた。これらのパドル
翼のパドル部と撹拌槽壁との間の距離(クリアランス)
cは、10mmである。なお、この撹拌槽3の高さHは7
00mm、外径Dは350mmであり、図2に示したよう
に、撹拌翼の下部にはスクレーパー23が設けられてい
る。そして、ロータリーフィーダー6を介した配管5に
より撹拌槽3と連通する混合ノズル4としては、図3に
示すように、外径d2 が80mmで長さl2 が200mmで
噴出口の口径d3 が10mmの混合ノズルを用いた。な
お、ロータリーフィーダー6は、図3に示したモータM
2 により駆動する。
【0036】このようにして構成される装置を用いての
ポリマー溶液からのポリマーの回収は、本発明の回収方
法Cに基づいて、以下の要領で行った。まず、ポリカー
ボネート[出光石油化学(株)製、商品名:タフロンA
2200)を塩化メチレン[広島和光純薬(株)製、特
級]に溶解させてポリカーボネート(PC)濃度が20
wt%のポリマー溶液を調製した。次いで、このポリマー
溶液を、図1に示すように、撹拌槽3の上部に一端が開
口した配管10を通じて撹拌槽3内へ供給し、ポリマー
溶液の供給量20リットル/hr、撹拌槽3内の温度50
℃、撹拌槽3内の圧力−200mmHg(大気圧を0mmH
gとしたときの値。以下、同様。)、撹拌翼2の回転数
80rpm 、撹拌動力18kW/m3 の条件で4時間撹拌し
た。なお、撹拌槽3に予め収容されていたポリマー粉末
9は、ポリマー溶液が供給されるまでの間、撹拌してお
いた。また、撹拌槽3内の温度は、ジャケット1に所定
温度の熱媒を循環させて50℃に制御した。撹拌槽3内
の圧力は、蒸発してくる溶媒を配管11を通じて真空ポ
ンプ(図示せず)で吸引して−200mmHgに制御し
た。
【0037】4時間の撹拌後、ポリマー溶液の供給およ
び撹拌は継続したまま、撹拌槽3の底部に設けた配管5
を通じて5.2kg/hr程度の割合で造粒されたポリマー
粒体の抜き出しを開始し、更に6時間運転した。なお、
抜き出したポリマー粒体をサンプリングしてその溶媒含
有量を測定したところ、約35wt%であった。また、得
られたポリマー粒体は平均粒径が0.71mmと小さく、
粒径も均一で、粒径の揃った真球に近い形状の粒体であ
った。抜き出したポリマー粒体は、配管5の途中に設け
たロータリーフィーダー6を介して混合ノズル4に供給
し、この混合ノズル4で、配管12を通じて混合ノズル
4に供給されるスチーム(温度200℃、圧力14kg/
cm2 )と混合した。このときのスチームとポリマー粒体
との混合比(重量比)は、1:5とした。そして、混合
ノズル4から噴射された混合物は、混合ノズル4の噴射
口に連接させて設けた長さ5m、内径10mmの配管8に
より気固分離器7へ移送した。抜き出したポリマー粒体
に残存していた溶媒は、混合ノズル4から噴射された混
合物を配管8により移送する過程で蒸発・除去された。
気固分離器7に移送された混合物中のポリマー(PC)
は、ここで分離(回収)した。また混合物中のスチーム
および溶媒は、コンデンサー(図示せず)により凝縮し
て回収した。
【0038】このようにしてポリマー溶液中から回収し
たPCの残存溶媒量を測定したところ、0.005wt%
と極めて微量であった。また、図1に示した装置を連続
12時間運転した後に撹拌槽3の内部を点検したとこ
ろ、撹拌翼2の回転軸部分にわずかながらポリマーの付
着が認められたものの、蓋部分はきれいであった。な
お、ポリマー溶液のポリマー濃度、撹拌槽3へのポリマ
ー溶液の供給量(単位時間当りの量。以下同じ。)、撹
拌翼2の形状、撹拌槽3内の温度、撹拌槽3内の圧力、
撹拌動力、撹拌槽3から抜き出したポリマー粒体の残存
溶媒量、撹拌槽3から抜き出したポリマー粒体の平均粒
径、ポリマー粒体に残存する溶媒を蒸発・除去するのに
要した時間(以下、乾燥時間という)、および最終的に
得られたポリマーの残存溶媒量を、表1に示す。
【0039】実施例2〜実施例10(回収方法C) 撹拌槽3へのポリマー溶液の供給量、撹拌槽3内の温
度、撹拌槽3内の圧力、および撹拌動力をそれぞれ表1
に示す値にして、溶媒含有量が約8〜約31wt%のポリ
マー粒体を造粒した以外は実施例1と同様にして、図1
に示した装置によりポリマー溶液からポリマー(PC)
をそれぞれ回収した。各ポリマー粒体の乾燥時間および
最終的に得られた各ポリマーの残存溶媒量を、表1に示
す。
【0040】実施例11(回収方法C) まず、撹拌槽3に代えて、図4に示すように撹拌翼とし
て高さhが500mmのヘリカルコイル翼(2.5ター
ン)40を備えた有効内容積50リットルの撹拌槽3a
(高さH2 =700mm、外径D2 =350m 、ジャケッ
ト付き)を用い、撹拌槽3aに供給するポリマー溶液の
ポリマー濃度、撹拌槽3aへのポリマー溶液の供給量、
撹拌槽3a内の温度、および撹拌槽3a内の圧力をそれ
ぞれ表1に示す値にし、ヘリカルコイル翼40の回転数
を200rpm 、撹拌動力を5kW/m3 にして、溶媒含有
量が約47wt%のポリマー粒体を造粒した。次いで、造
粒したポリマー粒体とスチームとの混合、およびこの混
合により得られた混合物中のポリマー(PC)の分離
(回収)を実施例1と同様にして行って、目的とするポ
リマーを得た。ポリマー粒体の乾燥時間および最終的に
得られたポリマーの残存溶媒量を、表1に示す。
【0041】実施例12〜実施例13(回収方法C) ポリマー溶液のポリマー濃度、撹拌槽3aへのポリマー
溶液の供給量、撹拌槽3a内の温度、撹拌槽3a内の圧
力、および撹拌動力をそれぞれ表1に示す値にして、溶
媒含有量が約6〜約44wt%のポリマー粒体を造粒した
以外は実施例11と同様にして、ポリマー溶液からポリ
マー(PC)をそれぞれ回収した。各ポリマー粒体の乾
燥時間および最終的に得られた各ポリマーの残存溶媒量
を、表1に示す。
【0042】実施例14(回収方法C) 撹拌槽3に代えて、Turbo Sphereミキサー[商品名、住
友重機械工業(株)製。有効内容積50リットル、ジャ
ケット付き]を用い、このミキサーに供給するポリマー
溶液のポリマー濃度、ミキサーへのポリマー溶液の供給
量、ミキサー内の温度、ミキサー内の圧力、および撹拌
動力をそれぞれ表1に示す値にして、溶媒含有量が約2
8wt%のポリマー粒体を造粒した以外は実施例1と同様
にして、ポリマー溶液からポリマー(PC)を回収し
た。ポリマー粒体の乾燥時間および最終的に得られたポ
リマーの残存溶媒量を、表1に示す。
【0043】実施例15(回収方法C) まず、撹拌槽へのポリマー溶液の供給量を40リットル
/hrとし、内部の粉末層温度を50℃、圧力を−300
mmHgに制御した。撹拌には図4に示すようなヘリカル
翼を用いた。そして、撹拌槽へのポリマー溶液の供給開
始から4時間撹拌した後にポリマー溶液の供給および撹
拌を停止した以外は実施例1と同様にして造粒を行っ
て、平均粒径が1.5mmで溶媒含有量が約23wt%のポ
リマー粒体を造粒した。次いで、造粒したポリマー粒体
とスチームとの混合、およびこの混合により得られた混
合物中のポリマー(PC)の分離(回収)を実施例1と
同様にして行って、目的とするポリマーを得た。ポリマ
ー粒体の乾燥時間および最終的に得られたポリマーの残
存溶媒量を、表1に示す。
【0044】実施例16(回収方法A) まず、実施例15と同様にして平均粒径が1.5mmで溶
媒含有量が約23wt%のポリマー粒体を造粒し、このポ
リマー粒体を、混合ノズルには供給せずに、下部にスチ
ーム供給用の開口部を有する上端解放のステンレス製容
器(直径100mm、長さ300mm)に1.5kg仕込ん
だ。次いで、ステンレス製容器の下部からスチーム(温
度140℃、圧力3.5kg/cm2 )を0.3kg/hrの割
合で吹き込んで、ポリマー粒体に残存している溶媒を蒸
発・除去した。このとき、スチームがステンレス製容器
内で凝集しないように、容器の外周を120℃で保温し
た。1時間処理した後、ステンレス製容器の下部からN
2 ガス(温度130℃)を1リットル/分の割合で10
分間供給してポリマー粒体の水分を除去して、目的とす
るポリマー(PC)を得た。ポリマー粒体の乾燥時間お
よび最終的に得られたポリマーの残存溶媒量を、表1に
示す。
【0045】実施例17(回収方法A) 撹拌動力を11kW/m3 にした以外は実施例15と同様
にして、平均粒径が1.3mmで溶媒含有量が約12wt%
のポリマー粒体を造粒し、このポリマー粒体に残存して
いる溶媒の蒸発・除去を実施例16と同様にして行った
後、実施例16と同様にしてポリマー粒体の水分を除去
して、目的とするポリマー(PC)を得た。ポリマー粒
体の乾燥時間および最終的に得られたポリマーの残存溶
媒量を、表1に示す。
【0046】実施例18(回収方法A) まず、実施例1と同様にして平均粒径が0.71mmで溶
媒含有量が約35wt%のポリマー粒体を造粒し、このポ
リマー粒体を、混合ノズルには供給せずに、下部にN2
ガス供給用の開口部を有する上端解放のステンレス製容
器(直径100mm、長さ300mm)に1.5kg仕込ん
だ。次いで、ステンレス製容器の下部から乾燥N2 ガス
(温度120℃)を1リットル/分の割合で1時間吹き
込んでポリマー粒体に残存している溶媒を蒸発・除去し
て、目的とするポリマーを得た。ポリマー粒体の乾燥時
間および最終的に得られたポリマーの残存溶媒量を、表
1に示す。
【0047】実施例19(回収方法B) まず、ポリマー溶液のポリマー濃度、撹拌槽3へのポリ
マー溶液の供給量、撹拌槽3内の温度、撹拌槽3内の圧
力、および撹拌動力をそれぞれ表1に示す値にした以外
は実施例1と同様にして造粒を行って、平均粒径が2.
51mmで溶媒含有量が回収方法Aの限定範囲外である約
3.5wt%のポリマー粒体を造粒した。次いで、造粒し
たポリマー粒体とスチームとの混合、およびこの混合に
より得られた混合物中のポリマー(PC)の分離(回
収)を実施例1と同様にして行って、目的とするポリマ
ーを得た。ポリマー粒体の乾燥時間および最終的に得ら
れたポリマーの残存溶媒量を、表1に示す。
【0048】実施例20(回収方法B) 実施例1に従い、濃度25%のポリカーボネート溶液を
調製した。次に、KRCニーダー[商品名、(株)栗本
鐵工所製、パドル径50mm、トラフ長さ440mm)を用
いて、ポリマー粒体を作製した。ジャケットは150℃
のスチームで加熱し、真空度を−100mmHgとして、
ポリマー溶液を45リットル/hrで供給した。ほどな
く、平均粒径1.4mm、溶媒含有量23%のポリカーボ
ネート粒体を得ることができた。得られたポリカーボネ
ート粒体は、ロータリーフィーダーを介して混合ノズル
に供給し、以下、実施例1と同様にしてスチームとの混
合、およびこの混合により得られた混合物中のポリマー
(PC)の分離(回収)を行って、目的とするポリマー
を得た。ポリマー粒体の乾燥時間および最終的に得られ
たポリマーの残存溶媒量を、表1に示す。
【0049】比較例1 まず、実施例19と同様にして、平均粒径が2.51mm
で溶媒含有量が回収方法Aの限定範囲外である約3.5
wt%のポリマー粒体を造粒した。次いで、得られたポリ
マー粒体に残存している溶媒の蒸発・除去を実施例18
と同様にして行って、ポリマー(PC)を得た。ポリマ
ー粒体の乾燥時間および最終的に得られたポリマーの残
存溶媒量を、表1に示す。
【0050】比較例2 ポリマー溶液のポリマー濃度、撹拌槽3へのポリマー溶
液の供給量、撹拌槽3内の温度、および撹拌槽3内の圧
力をそれぞれ表1に示す値にして、溶媒含有量が回収方
法Aの限定範囲外である62wt%のポリマー粒体を造粒
しようとしたが、撹拌槽3内で凝集塊が多数発生して共
廻りが生じたため、均一な粒径のポリマー粒体を造粒す
ることは不可能であった。
【0051】比較例3 撹拌翼2の回転数を20rpm にして撹拌動力を0.85
kW/m3 とした以外は実施例1と同様にして、ポリマー
粒体を造粒した。得られたポリマー粒体の平均粒径は
1.65mmであり、実施例1で得られたポリマー粒体よ
りも肥大化していた。
【0052】比較例4 撹拌翼2の回転数を200rpm にして撹拌動力を62kW
/m3 とした以外は実施例1と同様にして、ポリマー粒
体を造粒した。得られたポリマー粒体の平均粒径は0.
3mmであり、実施例1で得られたポリマー粒体よりも微
細化していた。しかしながら、撹拌動力を高めた割りに
は微細化の進展が小さいため、生産コスト等を勘案する
と、実用上好ましいものではない。
【0053】
【表1】
【0054】表1から明らかなように、ポリマー溶液に
溶解しているポリマーを本発明の回収方法Aにより回収
した場合には、ポリマー溶液に溶解しているポリマーを
固相化して得られるポリマー粒体の平均粒径が小さいた
め、本発明の回収方法B以外の方法で溶媒の蒸発・除去
を行っても、ポリマー粒体に残存している溶媒を短時間
で十分にに蒸発・除去させて、残存溶媒量の少ないポリ
マーとすることができる(実施例16〜実施例18およ
び比較例1参照)。
【0055】また、ポリマー溶液に溶解しているポリマ
ーを本発明の回収方法Bにより回収した場合には、ポリ
マー溶液に溶解しているポリマーを固相化して粒径が大
きいポリマー固体を得た場合でも、ポリマー固体に残存
している溶媒を従来の乾燥方法よりも短時間で十分に蒸
発・除去して、残存溶媒量の少ないポリマーとすること
ができる(実施例19〜実施例20および比較例1参
照)。
【0056】そして、ポリマー溶液に溶解しているポリ
マーを本発明の回収方法Cにより回収した場合には、回
収方法A単独で回収した場合や回収方法B単独で回収し
た場合よりも、ポリマー固体(粒体)に残存する溶媒を
更に短時間で十分に蒸発・除去して、残存溶媒量の少な
いポリマーを得ることができる(実施例1〜実施例14
参照)。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の回収方法
Aによれば、ポリマー溶液に溶解しているポリマーを大
量の温水を用いることなく固相化することができ、かつ
固相化により得られたポリマー固体に残存している溶媒
を比較的短い乾燥時間で十分に蒸発・除去して、残存溶
媒量の少ないポリマーを得ることができる。また本発明
の回収方法Bによれば、ポリマー溶液に溶解しているポ
リマーを固相化した後、得られたポリマー固体に残存し
ている溶媒を従来よりも短い乾燥時間で時間で十分に蒸
発・除去して、残存溶媒量の少ないポリマーを得ること
ができる。そして、本発明の回収方法Cによれば、ポリ
マー溶液に溶解しているポリマーを大量の温水を用いる
ことなく固相化して、平均粒径が小さく、粒径が揃った
真球に近い形状のポリマー粒体を得ることができ、か
つ、このポリマー粒体に残存している溶媒を従来の真空
乾燥法や通気乾燥法で乾燥した場合よりも短時間で十分
に蒸発・除去して、残存溶媒量の少ないポリマーを得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、ポリマー溶液に溶解しているポリマーを回
収するために実施例で用いた装置の概略図である。
【図2】は、図1に示した装置で用いられる撹拌槽の一
例を示す断面図である。
【図3】は、図1に示した装置で用いられる混合ノズル
の一例を示す断面図である。
【図4】は、図1に示した装置で用いられる撹拌槽の他
の一例を示す断面図である。
【図5】は、本発明の回収方法Aで用いられる撹拌槽の
撹拌翼として利用されるパドル翼の例を示す断面図であ
る。
【図6】は、本発明の回収方法Aに基づいてポリマー粒
体を造粒する際の、撹拌槽内の温度と撹拌槽内の圧力と
の関係の一例を示すグラフである。
【図7】は、本発明の回収方法Aで用いられる撹拌槽の
一例を示す断面図である。
【符号の説明】
2…撹拌翼 3…撹拌槽 4…混合ノズル 7…気固分離器 9…ポリマー粉末

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー溶液に溶解しているポリマーを
    固相化する第1の工程と、この第1の工程で得られたポ
    リマー固体に残存する溶媒を蒸発・除去する第2の工程
    とを含む、ポリマー溶液中のポリマーの回収方法におい
    て、 前記第1の工程が、ポリマー濃度が1〜50wt%である
    ポリマー溶液を、ポリマー粉末を予め収容させておいた
    撹拌槽を用いて1〜50kW/m3 の撹拌動力で撹拌する
    ことにより、溶媒含有量が5〜50wt%のポリマー粒体
    を造粒する工程であることを特徴とする、ポリマー溶液
    中のポリマーの回収方法。
  2. 【請求項2】 ポリマー溶液に溶解しているポリマーを
    固相化する第1の工程と、この第1の工程で得られたポ
    リマー固体に残存する溶媒を蒸発・除去する第2の工程
    とを含む、ポリマー溶液中のポリマーの回収方法におい
    て、 前記第2の工程が、前記ポリマー固体をスチームと接触
    させて前記ポリマー固体中の溶媒を蒸発・除去する工程
    を含み、前記溶媒の蒸発・除去が、ポリマー固体とスチ
    ームとを混合ノズルに導入し、この混合ノズルから噴射
    されたポリマー固体−スチーム混合物を配管により移送
    する過程でなされることを特徴とする、ポリマー溶液中
    のポリマーの回収方法。
  3. 【請求項3】 第2の工程が、ポリマー固体をスチーム
    と接触させて前記ポリマー固体中の溶媒を蒸発・除去す
    る工程の他に、前記スチームとの接触により前記溶媒が
    蒸発・除去された後の前記ポリマー固体を乾燥用ガスと
    接触させる工程を含む、請求項2に記載のポリマー溶液
    中のポリマーの回収方法。
  4. 【請求項4】 ポリマー濃度が1〜50wt%であるポリ
    マー溶液を、ポリマー粉末を予め収容させておいた撹拌
    槽を用いて1〜50kW/m3 の撹拌動力で撹拌すること
    により、溶媒含有量が5〜50wt%のポリマー粒体を造
    粒して、前記ポリマー溶液に溶解しているポリマーを固
    相化する第1の工程と、 この第1の工程で得られたポリマー粒体をスチームと接
    触させて前記ポリマー固体中の溶媒を蒸発・除去するこ
    とにより、前記ポリマー粒体に残存する溶媒を蒸発・除
    去する第2の工程と を含み、前記第2の工程における溶媒の蒸発・除去が、
    ポリマー固体とスチームとを混合ノズルに導入し、この
    混合ノズルから噴射されたポリマー固体−スチーム混合
    物を配管により移送する過程でなされることを特徴とす
    る、ポリマー溶液中のポリマーの回収方法。
  5. 【請求項5】 ポリマーがポリカーボネートである、請
    求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の方法。
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