JPH0781613B2 - 駆動用無端ベルト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、Ｖベルト式無段変速機に用いられる駆動用無
端ベルトに関する。

（従来の技術） 無段変速機において、２個の円錐面を同軸的に対向せし
めた接触面を有する一対のプーリ間にトルクを伝達する
ために用いる駆動用無端ベルトとしては、正面形状にお
いて左右の両側縁の一部または全部に前記プーリの接触
面に当接する傾斜接触面を形成した台形状の板状帯で、
その左右の幅方向のほぼ中央に幅方向に所定の寸法を有
する透孔または欠截部を板厚方向に穿設した第１および
第２の金属ブロツクを各々の一面にて互いに当接させ、
その透孔または欠截部に、ほぼ等しい長さの薄板のリン
ク片を、その厚さ方向に前記透孔または欠截部の幅方向
の寸法とほぼ等しい寸法だけ重ね合わせ、その長さ方向
の一端部を厚さ方向に隣接するリンク片の他端部にピン
で軸着することにより無端状とした連結帯を挿通させ、
互いに当接させた前記第１および第２の金属ブロツクの
各々の他面において、その透孔または欠截部の幅方向の
両縁部に形成した凹溝を前記連結帯の隣り合う２本のピ
ンの各両端部にそれぞれ係合させて、該２本のピンで前
記両金属ブロツクを挟持することにより、多数の前記第
１および第２の金属ブロツクを無端状の前記連結帯に連
綴せしめたものが提案されている（特開昭61−79044号
公報参照）。

（発明が解決しようとする問題点） 上記の如き従来の駆動用無端ベルトでは、連結帯を幅方
向に貫通して各リンクの関節運動を可能とするピンの両
端部で金属ブロツクを保持していることから、該ベルト
の運転駆動中に金属ブロツクがプーリに挟持された際に
該金属ブロツクに加わる半径方向外向きの力や、金属ブ
ロツクと連結帯相互間の動力伝達に関する力といつたさ
まざまな応力が全てピンの両端部分に加わり、運転駆動
中にピンが弓状に変形した状態となる。このため、連結
帯の幅方向に並列するリンク片のうち両端側のリンク片
に中央部分のリンク片よりも大きな荷重が加わり、この
両端側のリンク片が摩耗し易く、破損の恐れがある。ま
たピンについてもその両端部分に偏摩耗が発生するとい
つた問題があつた。

また、連結帯を金属ブロツクのほぼ中央に形成した透孔
を挿し通し、該連結帯の周囲を金属ブロツクで囲んだよ
うな構成のものでは、金属ブロツクがプーリに挟持され
てその両側縁の傾斜接触面に押圧力が加わると、金属ブ
ロツクの下辺部に半径方向内向きの応力が加わり、この
部分に歪みが発生する（米国特許第4,512,754号明細書
参照）。

そこで本発明は、連結帯のピンの変形を抑制してこれに
起因する上記の如きリンク片の摩擦やピンの偏摩耗を防
止するとともに、金属ブロツクの耐久性を向上しようと
するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するために、本発明では、連結帯を共
通の関節となる軸を有し、少なくとも３列に分離された
並行するリンクの列からなるものとし、このリンクの列
と列との間の位置で前記軸に金属ブロツクを保持させる
とともに、金属ブロツクの両側部に傾斜接触面に開口す
る欠截部を設けて該傾斜接触面を上下に２分した構成と
したものである。即ち本発明は、２個の円錐面を同軸的
にかつ対向せしめた形状の接触面を有する一対のプーリ
間にトルクを伝達するための、前記プーリの接触面に当
接する傾斜接触面を両側面に形成した台形状の金属ブロ
ツクを無端の連結帯で多数連綴せしめた駆動用無端ベル
トにおいて、第１および第２の金属ブロツクはその正面
形状を、左右の両側縁に前記傾斜接触面を形成した台形
の形状とし、かつ両傾斜接触面に関し左右の幅方向に所
定の寸法を有する少なくとも１個の透孔および前記両傾
斜接触面にそれぞれ開口する欠截部を幅方向に一列に配
して板厚方向に穿設せしめた形状のものとし、無端の連
結帯は等しい長さで、前記透孔および欠截部中にほぼ嵌
装される幅をそれぞれ有するリンクの列を各列に共通の
関節となる軸で軸着することにより、該各リンク列を所
定の間隔をおいて並列に連結したものとし、前記連結帯
の各リンク列を前記第１および第２の金属ブロツクの透
孔および欠截部にそれぞれ挿し通すとともに、前記第１
および第２の金属ブロツクを各々の一方の面を互いに当
接させた状態で前記連結帯の隣り合う２本の軸の間に配
置しかつ各々の他方の面の透孔および欠截部の各離間部
に形成した該離間部を同軸的に貫通する凹溝を前記２本
の軸にそれぞれ係合させて、前記連結帯に第１および第
２の金属ブロツクを連綴し、さらに前記連結帯の両側縁
において前記各軸の両端部を脱落防止部材により挾持し
たものである。

（作用） 本発明によれば、連結帯の関節としての軸が金属ブロツ
クを保持する位置は、該連結帯の並行するリンク列とリ
ンク列の間となる軸の中央寄りの少なくとも２ケ所であ
り、各リンク列の幅（即ち、金属ブロツクの透孔および
欠截部の幅）を適宜設定することにより、運転駆動時に
連結帯の軸に加わる応力が該軸の長さ方向に対してほぼ
均一になるので、運転駆動時の軸の変形を抑制すること
ができる。

また、第１および第２の金属ブロツクはその両側縁の傾
斜接触面にそれぞれ開口する欠截部により傾斜接触面が
上下に２分されているので、この金属ブロツクがプーリ
に挾持された時にその下辺部に発生する半径方向内向き
の応力は前記欠截部で吸収され、金属ブロツクに過大な
集中応力が発生することはない。

（実施例） 第１図ないし第３図は本発明の第１実施例を示してお
り、第１図はその一部欠截側面図、第２図は一部欠截上
面図、第３図は第１図のＡ−Ａ断面図であつて、一対の
第１および第２の金属ブロツクの多数がその板厚方向に
並列せしめられ、無端の連結帯によつて連綴され、無端
ベルトに形成されている。

連結帯１は、両端に軸孔２を穿設した金属薄板のリンク
片３を厚さ方向に所定の寸法だけ重ねるとともに、その
長さ方向の一端部を厚さ方向に相隣るリンク片３の他端
部と軸着してなるリンク列を３列並列に間隔を置いて、
配置し、各列共通の関節となるピン４でリンク片３の軸
着を行うことにより、３列のリンク列を適宜の間隔をお
いて連結したものである。ピン４は第１図に示すよう
に、一対の棒材よりなり、各棒材の断面形状は、径の大
きい弧からなる揺動部と、前記弧より幾分小さい弧から
なる底部と、前記揺動部の反対側に、径の小さい弧と直
線と該直線に接する径の小さい弧とからなる回動防止部
とを形成した形状とされ、前記揺動部により相互に当接
せしめたもので、その長さは両端部を３列のリンク列の
外側に位置するリンク片３の外側面より僅かに突出せし
めた状態において３列のリンク列間に適宜の間隔を生じ
させる長さであり、またリンク片３の軸孔２はリンク片
の長さ方向の両外側半分がピン４の頭部に嵌合する形状
でかつ内側半分が円弧状を有している。本実施例におけ
る各リンク列は、中央のリンク列がリンク片３を７枚、
両外側のリンク列がリンク片３を４枚それぞれ板厚方向
に重ねて上述の如く構成されている。

第１および第２の金属ブロツク5,6は、それぞれの正面
形状が第３図に示すように、両側縁を斜辺として該両側
縁の中央にそれぞれ開口する欠截部7,7と中央部に開口
する透孔８とを形成した台形状を有している。その両側
縁の切截部7,7を挾む上下の端面にはプーリの円錐面を
なす接触面に当接接触せしめられる傾斜接触面9,10が形
成されており、切截部7,7は両側縁のほぼ中央から該金
属ブロツクの左右の幅方向内向きに連結帯１の外側のリ
ンク列を幅方向に収納し得る深さだけ切込まれたコ字形
状を有している。透孔８は前記切截部7,7のコ字形状の
底辺部より金属ブロツクの幅方向に適宜の幅の柱状の離
間部11,11を隔てて、金属ブロツクのほぼ中央部に連結
帯１の中央のリンク列を幅方向の遊嵌し得る長さを該ブ
ロツクの左右の幅方向に有する矩形状に形成されてい
る。切截部7,7および透孔８の金属ブロツクの上下方向
の幅は連結帯１のリンク片３の板幅より若干長く設定さ
れている。また第１図に示すように、第１および第２の
ブロツク5,6の第１の面12は、平面状に形成されるとと
もに前記柱状の離間部11,11のほぼ中央部にピン４のを
受け入れる矩形状の凹溝13,13が該離間部11,11を横切る
ように形成され、その第２の面14は第１の面12とほぼ並
行な平面を有し、かつ離間部11,11が前記凹溝13,13に対
応する部分を最高位とする外側に膨出する弧状の膨出部
15,15の形状に形成され、第２の金属ブロツク６におい
てはさらに、前記第１の面12に、前記凹溝13,13より下
方（プーリの半径方向内方に接する部分）に下端縁に至
るに従い次第に第２の面14の平面との間の板厚を減ずる
テーパ面16の形状に形成されている。そしてこの第１お
よび第２の金属ブロツク5,6は、それぞれの第２の面14
の膨出部15,15を互いに衝合せしめた状態でその欠截部
7,7および透孔８に連結帯１の３列のリンク列がそれぞ
れ各列ごとに挿し通されて連結帯１の各ピン４の間にそ
れぞれ配置されるとともに、各々の第１の面12の凹溝1
3,13を前記ピン４にそれぞれ係合させて一対のピン４間
にそれぞれ保持されている。

連結帯１の各リンク列共通の関節となるピン４は、第１
および第２の金属ブロツク5,6の各々２個の離間部11,11
の凹溝13,13に係合してその係合部間に透孔８に挿通さ
れた中央のリンク列を貫通支承し、離間部11,11の外側
においては欠截部7,7に挿通された外側のリンク列を貫
通して、その両端は板ばね材によりほぼコ字状に形成さ
れた脱落防止部材17の両側の腕部18で挾持されている。
脱落防止部材17の腕部18は、ほぼ中央にピン４の端部を
収納する凹所19を有し、連結帯１のリンク片３の一方の
軸孔２を中心にその一面のほぼ半分を被覆する形状に形
成され、かつコ字状の底辺部20は、所定の幅の帯状の板
材かならり、その両端が前記一対の腕部18に連なつてば
ね力により該腕部18をピン４の両端に当接せしめてい
る。装着時には底辺部20が第１および第２の金属ブロツ
ク5,6の第２の面14,14間の互いに衝合せしめられた膨出
部15,15の上方位置において、１個のリンク片３に関し
てその両端に位置する金属ブロツク5,6の間の隙間に延
在せしめられ、かつ中央のリンク列のリンク片３の上縁
（プーリの半径方向に関して外方に位置する縁）に当接
するように弓形に賦形せしめられている。前記脱落防止
部材17の底辺部20の幅は、連結帯１が各リンク片３を一
直線上に整列せしめるように緊張された状態において、
各リンク片３の両端部のピン４の間に挟持される金属ブ
ロツク5,6の第２の面14に形成された膨出部15,15が衝合
せしめられることにより金属ブロツク5,6の上部（プー
リの半径方向外方に位置する部分）の第２の面14,14の
間のリンク片３の長さ方向に沿う間隔と同一寸法、また
はこれよりやや小なる寸法とする。

なお連結帯１の組付けにあたつては、各リンク列のリン
ク片３の欠截部7,7および透孔８に挿入して次位のリン
ク片３とピン４により連結し、各ピツチごとに組付け、
最終ピツチのリンク片３を最初のピツチのリンク片３に
連結する際には、前記リンク片３の最外側に位置するリ
ンク片31のみを軸孔32としてほぼ半円形の形状に穿設し
たものを用い、かつ最終組付ピンは一対の断面半円形状
の棒状部材の一方の部材41を通常の長さの部材42よりリ
ンク片31の厚さの２倍だけ短いものとし、最終組付の際
には前記短い部材41を先ずリンク片３に挿通し、次いで
最終組付け用のリンク片31を連結帯１の最外側に当接
し、通常の長さの部材42を前記半円形の軸孔32に圧入
し、かしめ付けて取付けを終了する。

前記第１実施例によれば、一対の金属ブロツク5,6はリ
ンク片３の両端に形成した軸孔２に挿入されたピン４に
柱状の離間部11,11を横切るように第１の面12に形成さ
れた凹溝13,13を係合させ、かつ第２の面14に形成され
た弧状の膨出部15,15を互いに衝合させた状態で、連結
帯１に回動自在に支承されており、かつ前記第１の面12
のプーリの半径方向内方に形成したテーパ面16および第
２の面14に形成した膨出部15,15によつて、前記ピン４
に係合する凹溝13,13よりプーリの半径方向内方側は金
属ブロツク5,6間に隙間を生ずるように連結帯１に支承
されているから、駆動用無端ベルトを一対のプーリ間に
掛け渡すときは、無端ベルトは、金属ブロツク5,6の幅
方向両側縁に形成した傾斜接触面9,10によりプーリの円
錐面をなす接触面に当接接触して、プーリの周方向に沿
つて湾曲され、両プーリ間にトルク伝達を行う。このト
ルク伝達は、駆動側のプーリに接触している金属ブロツ
ク5,6が駆動側プーリからトルクを伝達され、ピン４に
そのトルクを伝達し、ピン４からリンク片３にトルクを
伝達し、被動側のプーリには、該プーリに傾斜接触面9,
10により当接接触している金属ブロツク5,6によつて、
駆動側のプーリのトルクを伝達する。

このトルク伝達において、金属ブロツク5,6とピン４と
は、金属ブロツク5,6の切截部７と透孔８との間に形成
される柱状の離間部11に形成した凹溝13,13の部分で当
接してトルクの授受が行われており、各リンク列とピン
４とは、金属ブロツク5,6の幅方向において前記離間部1
1,11の両側において軸孔２を介して係合され、かつトル
クの授受が行われるから、プーリ間のトルク伝達に際し
てリンク列より各ピン４に作用する応力は、従来技術の
ようにピンの両端部分に加わるのではなく、３列のリン
ク列により３箇所に分散して加わることとなり、これに
抗する応力は、前記リンク列の間に存在する２個の離間
部11,11により加えられることとなるから、各ピン４が
運転駆動中に弓状に変形するおそれもなく、また両端側
のリンク片に摩耗を生ずることも回避できる。また金属
ブロツクの幅方向のほぼ中央に透抗を形成した金属ブロ
ツクにおいては、透孔を囲む部分のうちの下辺部に半径
方向内向きの応力が加わつてこの部分に歪みが発生し
て、金属ブロツクのプーリ当接部またはプーリの当接面
に摩耗を生ずる欠点があつたが、前記第１実施例におい
ては、金属ブロツクの幅方向においてその両側部のプー
リに接触すべき傾斜接触面に開口する欠截部7,7を設け
て、傾斜接触面9,10を上下に２分した構成とし、かつこ
の欠截部7,7に整列する透孔８との間に柱状の離間部11,
11が形成されているから、前記下辺部に過大な集中応力
が発生することがなく、金属ブロツクのプーリ当接部ま
たはプーリ当接面に摩耗が生じにくくなる。脱落防止部
材17は、その底辺部20がリンク片３に当接して弾性によ
りその腕部18の上端縁を金属ブロツク5,6の欠截部7,7の
上縁に弾接させ、かつ凹所19がピン４の両端に弾接する
ことにより、ピン４の脱落を防止する。

第４図ないし第７図は本発明の第２実施例を示すもの
で、第４図はその一部欠截側面図、第５図は一部欠截上
面図、第６図は第４図Ｂ−Ｂ断面図、第７図は第４図Ｃ
−Ｃ断面図である。本実施例においては脱落防止部材21
の構成のみが第１実施例と相違し、その余の構成は第１
実施例と同一である。従つて第１実施例と同一の部分は
同一の符号を付して示し、その説明は省略する。

脱落防止部材21は、一辺の凹みをなくして両端の円弧状
部に外接する直線状の辺とした繭状の外形をした板状材
によりなる腕板22と、細幅の板状材よりほぼコ字状に形
成された保持板23とから成り、ともに板ばね材から作製
される。腕板22には２個の凹所24,24がプレス成形によ
り形成され、金属ブロツク5,6の欠截部7,7に挿入されて
いる両側のリンク列の最外側に位置するリンク片３に前
記腕板22を夫々１枚づつ当接させ、リンク片３の両端に
形成した軸孔２より突出するピン４の先端に前記凹所2
4,24を当接させ、腕板22の外方より３列のリンク列を跨
いで前記保持板23を腕板22のほぼ中央部に弾支させる。
保持板23はコ字状の形状の両端辺を形成する腕25を連結
する底辺部26を弓状に弯曲せしめた形状とし、その中央
部を中央のリンク列のリンク片の上縁に当接させ、前記
腕部25の自由端に形成した内側への折曲部27を両側のリ
ンク列のリンク片の下縁に係合させた状態で、その弾力
により腕部25の内側面が腕板22の外側面に弾接し、腕板
22を最外側のリンク片３に圧接して、ピン４の脱落を防
止する。

第８図は本発明の第３実施例における第２図と同様の位
置における断面図を示す。本実施例においては金属ブロ
ツク5,6の幅方向両側端の傾斜接触面に開口する欠截部
7,7間に、該欠截部7,7と幅方向に一列に配した透孔８を
２個とし、両透孔8,8間に凹溝13と膨出部15とを形成し
た離間部11を追加形成し、これら２個の欠截部7,7およ
び２個の透孔8,8に挿通すべく、連結帯１の各リンク列
を、夫々５個のリンク片３をピン４の長手方向に連結し
た４列のリンク列により構成した点において、前記第１
実施例と相違し、その余の構成を第１実施例と同一とす
るものである。

第３実施例は、第１実施例および第２実施例に比して、
金属ブロツク5,6の透孔８の上辺部と下辺部とを連結す
る柱状の離間部11が金属ブロツク5,6の幅方向において
１個増えて３個となつており、またリンク列も一列増え
て４列となつているから、ピン４はピン４の長手方向の
両端を含め合計４箇所においてリンク列と当接して、両
者の間にトルクの授受が行なわれ、リンク列と当接する
部分の間の３箇所において金属ブロツクとの間にトルク
の授受が行なわれるから、トルク伝達によつてピン４が
大きく弓状に変形することなく、各リンク片３にかかる
荷重がより均一化され、リンク片３およびピン４の偏摩
耗がより有効に防止されて耐久性がさらに向上する。

なお本実施例において脱落防止部材として、第２実施例
に記載の脱落防止部材21を使用することもできる。

（発明の効果） 本発明によれば、金属ブロツクは正面形状において左右
の幅方向の両側縁を傾斜縁とした台形の板状体より、前
記両側縁に開口する欠截部を板厚方向に穿設して該欠截
部の上下の両側縁をプーリの接触面に当接する傾斜接触
面とし、前記左右の幅方向において前記欠截部の間に透
孔を板厚方向に貫通穿設して前記欠截部とともに幅方向
に一列に配したものとし、連結帯は、ほぼ等しい長さの
薄板のリンク片をその厚さ方向に並べて、リンク片の長
さ方向の両端部において相互に共通の軸により軸着連結
して無端状になすとともに、前記リンク片を連結する軸
の長さ方向に前記リンク片を前記欠截部と透孔の合計数
のリンク列に分割して、各リンク列を前記共通の軸によ
り軸着連綴し、各リンク列を夫々前記欠截部と透孔に挿
通し、各ピン間に第１および第２の２個の金属ブロツク
を保持連綴せしめたものであるから、本発明の無端ベル
トによりプーリ間の駆動を行う際には、金属ブロツクと
無端帯との間のトルクの授受は金属ブロツクの欠截部と
透孔との間に形成される離間部とピンとの当接部を介し
て行われ、無端帯においてはリンク片とピンとのに各リ
ンク列ごとにトルクの授受が行われるから、各ピンにつ
いて見ると、リンク列を３列とした場合には、ピンの長
さ方向の両端部と中央部の３箇所においてリンク列と当
接して両者間にトルクの授受が行われ、リンク列の当接
する部分の間の２箇所において金属ブロツクと当接して
両者間にトルクの授受が行われることとなり、リンク列
を４列にした場合には、ピンの長手方向の両端部とその
間の２箇所の合計４箇所においてリンク列と当接して両
者の間にトルクの授受が行われ、リンク列と当接する部
分の間の３箇所において金属ブロツクとの間にトルクの
授受が行われることとなる。従つてトルク伝達によつて
ピンが大きく弓状に変形することなく各リンク片にかか
る荷重が均一化され、リンク片の一部の摩耗やピンの偏
摩耗が防止されて、耐久性が向上する。

また金属ブロツクは、その幅方向の両側縁に開口せしめ
て欠截部が形成され、欠截部と透孔との間に金属ブロツ
クの上下方向（プーリ半径方向）に延在する離間部が柱
状に形成されて金属ブロツクの上辺部と下辺部を連結す
るから、同一の幅寸法の台形とした金属ブロツクにおい
ては、該金属ブロツクの幅方向中央部のみに連結帯を挿
通する透光を形成した場合に比して、リンク列の全幅
（ピンの長さ方向に存在するリンク片の数）を同一とし
た場合に、透光の幅を狭くし、離間部の間隔を小とする
から、金属ブロツクがプーリに挟持されてその下辺部に
半径方向内向きの応力が加わつたとしても、透光の下辺
部の歪みの発生が防止され、過大な集中応力が発生する
ことはない。

叙上のように本発明によれば両側端部の欠截部とその間
の透孔の形成により、金属ブロツクは、ほぼ杆状を呈す
る上辺部と下辺部とをその幅方向に延在させてこれに直
角方向に延在する２個ないしそれ以上の柱状の離間部で
連結し、上辺部と下辺部の両側端は傾斜接触面を形成し
た自由端となる形状に形成され、連結帯は、前記欠截部
と透孔の数と同数のリンク列に分割されるとともに各リ
ンク列を構成するリンク片は共通の軸で連結されている
から、リンク列あるいは金属ブロツクから前記共通の軸
に伝達される荷重が前記軸の長さ方向の中央部または両
端部に集中されることなく、その長さ方向に分配される
から、前記軸の変形を防ぎ、各リンク片にかかる荷重を
均一化し、無端ベルトの耐久性を向上する。

そして本発明においては、前記無端帯の２本のピン間に
第１および第２の２個の金属ブロツクが各々の一面によ
り互いに回動自在に当接せしめるとともに、これら金属
ブロツクの他面において前記透孔および欠截部の間に形
成された柱状の離間部の表面に金属ブロツクの幅方向に
刻設された凹溝を前記リンク片を軸着する共通の軸に係
合させているから、各リンク片は２個の軸間において連
綴され、かつ相互に回動自在であるとともに前記共通の
軸に対して回動自在であつて、無端ベルトのプーリの円
錐面に沿つた周方向に屈曲を可能とする。

さらに本発明においては、無端帯は少なくとも３列のリ
ンク列よりなり、各リンク片を連結する共通の軸の長さ
方向に関し最外側にあるリンク列は金属ブロツクの両側
縁に開口する欠截部に挿し通されているため、最外側に
あるリンク列のリンク片が軸から脱落し、あるいは共通
の軸がリンク片から脱落するおそれがある。本発明にお
いては連結帯の両側縁において各リンク列に共通の軸を
それぞれ挟持する脱落防止部材を具えたから、リンク列
が欠截部に存在するにも拘らず、前記リンク片および軸
の間の脱落のおそれはない。

なお本発明において前記各リンク列のリンク片を連結す
る共通の軸の大きな弯曲を防止するには、金属ブロツク
の両側傾斜縁に開口せしめて形成した欠截部に挿通され
るリンク列を構成するリンク片の数を、各リンク列を連
結する共通の軸の長さ方向におけるリンク片の数におい
て、２個の欠截部内に存在するリンク片の数が全リンク
片の数の２分の１（端数切り上げ）プラス・マイナス１
であることが最適である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明の第１実施例を示すもの
で、第１図はその一部欠截側面図、第２図はその一部欠
截上面図、第３図は第１図のＡ−Ａ線に沿う断面図であ
る。第４図ないし第７図は本発明の第２実施例を示し、
第４図はその一部欠截側面図、第５図はその一部欠截上
面図、第６図は第４図のＢ−Ｂ線に沿う断面図、第７図
は第４図のＣ−Ｃ線に沿う断面図である。第８図は本発
明の第３実施例における断面図である。 なお図中次の符号は次の部分をそれぞれ示す。 １……連結帯、２……軸孔、 ３……リンク片、４……ピン、 5,6……金属ブロツク、７……欠截部、 ８……透孔、9,10……傾斜接触面、 11……離間部、12……第１の面、 13……凹溝、14……第２の面、 15……膨出部、16……テーパ面、 17,21……脱落防止材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２個の円錐面を同軸的に対向せしめた形状
   の接触面を有する一対のプーリ間にトルクを伝達するた
   めの、前記プーリの接触面に当接する傾斜接触面を両側
   縁の一部に形成した台形状の金属ブロツクを多数連綴せ
   しめた駆動用無端ベルトにおいて、 正面形状において左右の両側縁に前記傾斜接触面を形成
   した板状体よりなる台形の形状とし、かつその左右の幅
   方向に所定の寸法を有する少なくとも一個の透孔および
   前記両傾斜接触面にそれぞれ開口する欠截部をその幅方
   向に一列に配して板厚方向に突設せしめた第１および第
   ２の金属ブロツクと、 ほぼ等しく長さの薄板のリンク片をその厚さ方向にそれ
   ぞれ所定の寸法だけ重ねてなる少なくとも３列のリンク
   列を、各リンク片の長さ方向の一端部を厚さ方向に隣接
   するリンク片の他端部に各リンク列共通の軸で軸着する
   ことにより、前記各リンク列をそれぞれ無端状に連結す
   るとともに所定の間隔をおいて並列に連結した連結帯
   と、 前記連結帯の各軸の両端部を該連結帯の両側縁において
   それぞれ挟持する脱落防止部材を具え、 前記連結帯の各リンク列は、前記透孔および欠截部中に
   ほぼ嵌装される幅をそれぞれ有するものとし、その長さ
   方向を前記第１および第２の金属ブロツクの板厚方向と
   して該両金属ブロツクに形成した透孔および欠截部中に
   それぞれ挿し通されるとともに、前記第１および第２の
   金属ブロツクは、各々の一面により互いに回動自在に当
   接せしめ、かつ各々の他面において前記透孔および欠截
   部の間に形成された柱状の離間部の表面に金属ブロツク
   の幅方向に刻設された凹溝を前記連結帯の隣り合う軸に
   それぞれ係合させて該連結帯に連綴されていることを特
   徴とする駆動用無端ベルト。