JPH0770904A - 帽子用刺繍枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 前面が山形になっている帽子であってもその
適正なセットと、この帽子の前面に対する広い刺繍範囲
の確保とを共に実現する。 【構成】 刺繍機におけるＸ軸駆動部及びＹ軸駆動部の
それぞれの駆動に連動して駆動制御される駆動リングに
対し、受け枠５０Ａと押え枠５０Ｂとにより帽子７０が
セットされた帽子枠５０を装着してこの帽子７０の前面
７２に所定の刺繍データに基づく刺繍を施すための帽子
用刺繍枠において、前記帽子枠５０の受け枠５０Ａ及び
押え枠５０Ｂにおける帽子前面７２の上部と対応する部
分の形状を山形に設定している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、縫製が完成された帽子
（主としてキャップ）の前面に刺繍機によって刺繍を施
す際に、この帽子をセットして刺繍機側に支持するため
の帽子用刺繍枠に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の刺繍枠の具体的な構成は、例え
ば特公平１−５３３８４号公報に開示されている。この
公報から明らかなように帽子がセットされる帽子枠は、
受け枠と押え枠とからなっている。そして刺繍に際して
は受け枠に帽子を被せ付け、その上から帽子がずれ動か
ないように押え枠で押さえた状態で帽子枠を刺繍機側の
駆動リングに装着している。前記の受け枠及び押え枠
は、帽子の前面（額に被さる部分）に刺繍ができるよう
にそれぞれ広い開口面をもった枠形状となっている。し
かもこれらは帽子の前面形状に合わせてほぼ矩形状に設
定されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】帽子（キャップ）にも
種々の形状があり、例えば図１２の実線で示すように前
面７２が山形のものや仮想線で示すようにほぼ矩形状を
したものがある。ところが前記公報の帽子枠では受け枠
及び押え枠が共にほぼ矩形状であるため、図１２の仮想
線で示す形状の帽子７０には適用できるものの、実線で
示すように前面７２が山形の帽子７０に対してはこれを
適正にセットできない。ただし受け枠及び押え枠は、帽
子前面７２の高さに合わせて調整できるのが普通であ
る。したがって山形の両側の低い部分に受け枠及び押え
枠を合わせるように調整すれば、前記公報の帽子枠であ
っても前面７２が山形の帽子７０を取り敢えずセットす
ることは可能である。しかしその場合には帽子７０の前
面７２の高さ方向に関する刺繍範囲が制限されてしま
う。本発明の技術的課題は、前面が山形になっている帽
子であってもその適正なセットと、この帽子の前面に対
する広い刺繍範囲の確保とを共に実現することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の帽子用刺繍枠はつぎのように構成されてい
る。すなわち刺繍機におけるＸ軸駆動部及びＹ軸駆動部
のそれぞれの駆動に連動して駆動制御される駆動リング
に対し、受け枠と押え枠とにより帽子がセットされた帽
子枠を装着してこの帽子の前面に所定の刺繍データに基
づく刺繍を施すための帽子用刺繍枠において、前記帽子
枠の受け枠及び押え枠における帽子前面の上部と対応す
る部分の形状を山形に設定している。

【０００５】

【作用】この構成によれば、通常の形の帽子は勿論のこ
と前面が山形になっている帽子であっても、この山形に
対応させた形状の前記受け枠及び押え枠により適正にセ
ットすることができる。そしてセットされた状態の帽子
の前面には広い刺繍範囲が確保され、ここに予定された
とおりの刺繍を施すことができる。

【０００６】

【実施例】つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説
明する。図６に刺繍機（刺繍ミシン）１０が斜視図で示
され、図７に同じく刺繍機１０が平面図で示されてい
る。まず図６で明らかなように刺繍機１０のミシンフレ
ーム１２には複数個のミシンヘッド１４が配列されてお
り、各ミシンヘッド１４には刺繍縫いのための駆動力を
伝達するためのミシン主軸１６が貫通している。また各
ミシンヘッド１４の針棒ケース１５は、周知のように刺
繍データの色替え信号（縫い糸の変換信号）に基づいて
スライド制御され、これにより各ミシンヘッド１４にお
いて選択された一本の針棒（縫い針）とそれに対応する
天秤とが前記ミシン主軸１６の回転に連動して駆動され
ることとなる。

【０００７】図７でも示されているように、刺繍機１０
におけるミシンテーブル１９の上面にはＸ軸駆動体２０
及びＹ軸駆動体３０がそれぞれ配置されている。そして
Ｘ軸駆動体２０は前記ミシンテーブル１９の下面に組付
けられているＸ軸駆動部２２の駆動により図６，７の矢
印Ｘ方向へ駆動制御され、Ｙ軸駆動体３０はＹ軸駆動部
３２の駆動によって矢印Ｙ方向へ駆動されるようになっ
ている。これらの両駆動体２０，３０が刺繍機１０の刺
繍データに基づいて駆動されることにより、前記の各ミ
シンヘッド１４の下部に装着されている帽子枠５０が後
述するように駆動制御される。

【０００８】図８に前記Ｘ軸駆動体２０及びＹ軸駆動体
３０がそれぞれの駆動部２２，３２と共に斜視図で示さ
れている。この図面においてＸ軸駆動体２０は、Ｘ軸駆
動部２２の駆動ベルト２３に結合された固定板２４に対
し、スタット２５を通じて固定されている。一方、Ｙ軸
駆動体３０はＹ軸駆動部３２の駆動ベルト（図示外）に
結合された固定板３４に対し、スタット３５を通じて固
定されている。なおＸ軸駆動部２２及びＹ軸駆動部３２
の駆動には、刺繍データに基づいて駆動制御されるパル
スモーター等（図示外）が用いられている。

【０００９】前記Ｘ軸駆動体２０とＹ軸駆動体３０との
間に設けられているロッド駆動体３６とＸ軸駆動体２０
との関係は、このＸ軸駆動体２０の駆動方向（矢印Ｘ方
向）に関してのみ一体関係で移動し、矢印Ｙ方向に関し
ては相対的にスライドするようになっている。同様にロ
ッド駆動体３６とＹ軸駆動体３０との関係は、このＹ軸
駆動体３０の駆動方向（矢印Ｙ方向）に関してのみ一体
関係で移動し、矢印Ｘ方向に関しては相対的にスライド
するようになっている。なおこのロッド駆動体３６に
は、Ｘ軸駆動体２０の矢印Ｘ方向への駆動をつぎに説明
する駆動リング４２に伝達するための駆動ロッド３８が
結合されている。

【００１０】図９に一つのミシンヘッド１４の下に位置
する前記帽子枠５０と、これが装着されるＹ軸駆動体３
０の一部との関係が斜視図で示されている。また図１０
には図９におけるＹ軸駆動体３０の側が拡大断面図で示
され、図１１には図１０の正面図（左側面図）が示され
ている。これらの図面で明らかなように前記Ｙ軸駆動体
３０の下面には、一対の支持ベース４０がそれぞれ二本
のビス４０ａにより固定されている。これらの両支持ベ
ース４０の間には、図１１で示すように前記刺繍機１０
の釜１８を内蔵した釜土台１７が位置している。そして
これらの支持ベース４０の前面には、前記釜土台１７と
の干渉を避ける形状のプレート４１（主として図１１参
照）がビス４１ａにより固定されている。

【００１１】前記駆動リング４２はプレート４１の中央
部に対して支持軸４４により回動自在に組付けられてい
る。この駆動リング４２はほぼ半円筒状に形成されてい
て、その前面側の外周は帽子枠５０の装着面４５になっ
ているとともに、外周の二箇所に帽子枠５０を装着状態
にロックあるいはロック解除できるフック４６が設けら
れている。また駆動リング４２の外周の中央部（真上
部）にはアーム４７が固定されていて、このアーム４７
は前記駆動ロッド３８に対してレバー４８により連結さ
れている。したがって前記Ｘ軸駆動体２０の駆動に連動
して前記ロッド駆動体３６が矢印Ｘ方向へ移動すると、
駆動ロッド３８がＹ軸駆動体３０の上面に所定間隔で設
けられているロッド受け３９に案内されて同方向へ移動
し、これに伴って駆動リング４２が前記支持軸４４の軸
心回りに回動制御される。なお前記Ｙ軸駆動体３０の駆
動力は、前記支持ベース４０及びプレート４１を通じて
そのまま駆動リング４２に作用し、この駆動リング４２
が矢印Ｙ方向へ駆動制御される。

【００１２】図１に前記帽子枠５０のみが平面図で示さ
れ、図２に同じく帽子枠５０が斜視図で示されている。
これらの図面でも表されているように帽子枠５０は受け
枠５０Ａと押え枠５０Ｂとによって構成されており、こ
れらはヒンジ部５２で相互に結合されている。このヒン
ジ部５２により受け枠５０Ａに対して押え枠５０Ｂを図
１，２で示すように開くことができ、また図９で示すよ
うに互いに重ね合わせることもできる。

【００１３】図３に前記受け枠５０Ａのみが平面図で示
されている。この図面からも明らかなように受け枠５０
Ａは、前記駆動リング４２に装着される基部５３に対し
て枠部５５が止めねじ５６により結合された構成となっ
ている。この止めねじ５６を外して基部５３に対する枠
部５５の結合位置を変えることにより、枠部５５を図３
の実線位置あるいは仮想線位置に変更可能である。なお
前記受け枠５０Ａの基部５３には、押え枠５０Ｂのフッ
ク５９を引っかけるためのフック係止部５４が一体に形
成されている。しかも受け枠５０Ａの枠部５５における
前面側の縁は山形部５５ａとなっている。

【００１４】図４に前記押え枠５０Ｂのみが平面図で示
されている。この図面からも明らかなように押え枠５０
Ｂは、二分割された枠要素５８，６０が蝶ねじ６３で結
合された構成となっている。この蝶ねじ６３の締付けを
弛めることにより、枠要素６０を図４の実線位置から仮
想線位置までの範囲でスライドさせることが可能であ
る。前記押え枠５０Ｂの一方の枠要素５８には、受け枠
５０Ａの前記フック係止部５４に引っかけ、受け枠５０
Ａと押え枠５０Ｂとを図９で示す重ね合わせた状態に保
持するためのフック５９が設けられている。また他方の
枠要素６０の前面側は、前記受け枠５０Ａの山形部５５
ａと対応する山形部６０ａとなっているとともに、その
外側は補強部６０ｂとなっている。

【００１５】前記受け枠５０Ａは剛性を有し、前記駆動
リング４２の装着面４５と対応させて半円筒状に形成さ
れている。これに対して前記押え枠５０Ｂは弾性（可撓
性）を有し、図１，２のように開いた状態（自由状態）
では平板状になっており、図９の状態では受け枠５０Ａ
の形状に倣って半円筒状となる。図５に前記受け枠５０
Ａの平面形状が展開図で示されている。この図面で示さ
れているように、受け枠５０Ａを構成している前記枠部
５５の表面には滑り止め部材５７が貼り付けられてい
る。この滑り止め部材５７の厚みは基部５３の板厚とほ
ぼ同寸法に設定されていて、前記止めねじ５６によって
結合されている部分の段差を解消している。一方、前記
押え枠５０Ｂの裏面（受け枠５０Ａとの接合面）にも図
１，２で示すように滑り止め部材６４が貼り付けられて
いる。

【００１６】さて図１２に示されている帽子７０の前面
７２に刺繍を施すに際しては、前記帽子枠５０の押え枠
５０Ｂを開き、受け枠５０Ａに対して図１の仮想線で示
すように帽子７０を被せ付ける。このとき、受け枠５０
Ａの開放部分に帽子７０の前面７２が位置しており、こ
の前面７２の上部は前記枠部５５の山形部５５ａで支持
されている。この状態において前記押え枠５０Ｂを、帽
子７０の前面７２の上から受け枠５０Ａに重ね合わせ、
かつ押え枠５０Ｂの前記フック５９を受け枠５０Ａのフ
ック係止部５４に引っかけて留める。

【００１７】これにより帽子７０の前面７２は、その四
方が受け枠５０Ａと押え枠５０Ｂとにより挟み付けられ
た状態にセットされ、とくに受け枠５０Ａ及び押え枠５
０Ｂの前記山形部５５ａ，６０ａは共に帽子７０の前面
７２における上部の形状に沿ってその部分を挟み付けて
いる。このため帽子７０が適正にセットされるととも
に、その前面７２に対して広い刺繍範囲が確保される。
なお帽子７０における前面７２の高さによっては、先に
述べたように受け枠５０Ａ及び押え枠５０Ｂを図３，４
の実線あるいは仮想線の位置に調整することで対処でき
る。

【００１８】このようにして帽子枠５０には帽子７０が
図９で示すようにセットされ、この帽子枠５０は前記駆
動リング４２に装着される。そこで前記Ｘ軸駆動部２２
によるＸ軸駆動体２０の駆動により、すでに説明したよ
うに駆動リング４２が帽子枠５０と共に前記支持軸４４
の軸心回りに回動制御され、またＹ軸駆動部３２による
Ｙ軸駆動体３０の駆動によって駆動リング４２が帽子枠
５０と共に矢印Ｙ方向へ駆動制御される。前記刺繍機１
０のミシンヘッド１４に対し、所定の刺繍データに基づ
いて前述したように刺繍縫いのための駆動ならびに色替
え制御を行い、これと同期して前記Ｘ軸駆動部２２及び
Ｙ軸駆動部３２により前記帽子枠５０を駆動制御するこ
とにより、この帽子枠５０にセットされている帽子７０
の前面７２に刺繍が施される。

【００１９】

【発明の効果】このように本発明は、とくに前面が山形
になっている帽子であってもこれを適正にセットできる
とともに、この帽子の前面に対して広い刺繍範囲を確保
することができ、これによって刺繍の制限が緩和されて
その自由度が増す。

【図面の簡単な説明】

【図１】帽子枠のみを表した平面図である。

【図２】同じく帽子枠のみを表した斜視図である。

【図３】帽子枠の受け枠のみを表した平面図である。

【図４】帽子枠の押え枠のみを表した平面図である。

【図５】受け枠の平面形状を表した展開図である。

【図６】刺繍機全体を表した斜視図である。

【図７】同じく刺繍機の平面図である。

【図８】Ｘ軸駆動部及びＹ軸駆動部を表した斜視図であ
る。

【図９】帽子枠と駆動リングとの関係を表した斜視図で
ある。

【図１０】駆動リング側を表した拡大断面図である。

【図１１】図１０の正面図である。

【図１２】帽子の正面図である。

【符号の説明】

１０ 刺繍機 ２２ Ｘ軸駆動部 ３２ Ｙ軸駆動部 ５０ 帽子枠 ５０Ａ 受け枠 ５０Ｂ 押え枠 ７０ 帽子 ７２ 前面

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 刺繍機におけるＸ軸駆動部及びＹ軸駆動
   部のそれぞれの駆動に連動して駆動制御される駆動リン
   グに対し、受け枠と押え枠とにより帽子がセットされた
   帽子枠を装着してこの帽子の前面に所定の刺繍データに
   基づく刺繍を施すための帽子用刺繍枠において、 前記帽子枠の受け枠及び押え枠における帽子前面の上部
   と対応する部分の形状を山形に設定したことを特徴とす
   る帽子用刺繍枠。