JPH0770650A - 極めて深絞り性に優れる冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

極めて深絞り性に優れる冷延鋼板の製造方法

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JPH0770650A
JPH0770650A JP21866193A JP21866193A JPH0770650A JP H0770650 A JPH0770650 A JP H0770650A JP 21866193 A JP21866193 A JP 21866193A JP 21866193 A JP21866193 A JP 21866193A JP H0770650 A JPH0770650 A JP H0770650A
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rolling
cooling
deep drawability
steel
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JP21866193A
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Inventor
Hideko Yasuhara
英子 安原
Saiji Matsuoka
才二 松岡
Takashi Sakata
坂田  敬
Toshiyuki Kato
俊之 加藤
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 C:0.0015wt%以下、Si:0.1 wt%以下、M
n:0.5 wt%以下、Al:0.1 wt%以下、P:0.05wt%以
下、S:0.01wt%以下及びN:0.003 wt%以下を含み、
かつTi:0.1 wt%以下及びNb:0.05wt%以下のうちの少
なくとも1種を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よ
りなる鋼を素材として、この鋼素材に熱間圧延を施す
際、仕上圧延での出側3パスにおける累積圧下率を50%
以上としてAr3変態点以上で仕上圧延を終了し、この仕
上圧延終了から0.5 秒以内に冷却を開始して冷却開始温
度から(Ar3 変態点−60℃)までの温度域を50〜400 ℃
/sの冷却速度で冷却した後、800 〜550 ℃の範囲の温度
で巻取り、その後、冷間圧延、次いで連続焼鈍を行う。 【効果】 C量の低減に由来した熱延板段階での結晶粒
粗大化が効果的に抑制でき、深絞り性に優れた冷延鋼板
が得られるようになった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車用鋼板等の使
途に有用な深絞り性に優れる冷延鋼板の製造に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】自動車のパネル等に使用される冷延鋼板
には、プレス加工が施されるため深絞り性の優れること
が要求される。優れた深絞り性を得るには、鋼板の機械
的特性として高いr値(ランクフォード値)や伸び(E
l) をそなえることが必要である。
【0003】このため連続焼鈍に代表される短時間での
加熱、冷却からなる焼鈍プロセスによって優れた深絞り
性を有する極低炭素IF(Interstitial Free) 鋼が開発さ
れ、広く用いられるようになった。一方、昨今の製鋼脱
ガス技術の進歩とそれに伴う脱ガス装置の普及により、
鋼中のC,N量が20ppm 以下といった鋼が効率的にかつ
大量に製造されるようになってきた。
【0004】このような極低炭素鋼では、伸びの向上は
図れるものの、熱延板時に結晶粒の粗大化が起こりやす
く、このため冷間圧延、焼鈍後の製品の深絞り性が低下
してしまう。すなわち、さらなる深絞り性に優れた冷延
鋼板を製造すべく、深絞り性向上に有効であることが知
られているC量の低減を行う場合に、鋼中のC量を極端
に下げると、熱間圧延後の熱延板に粗大な結晶粒が生成
し、この粗大な結晶粒が冷間圧延鋼板の深絞り性をかえ
って低下されることになるため、深絞り性の向上が図れ
なかったのである。したがって、これまで以上の高いr
値を得るためには、熱延板の結晶粒径の微細化を図る技
術が重要である。
【0005】深絞り性の良好な鋼板を、C量が0.005 wt
%以下の鋼から製造する方法は既に知られている。例え
ば特開昭61-276930 号公報には、成分を調整した極低炭
素Ti−Nb系の鋼に熱延仕上温度、冷却速度及び冷却域、
巻取温度、冷延圧下率、所定のヒートサイクルの連続焼
鈍といった条件を組み合わせて、伸びと深絞り性との良
好な冷延鋼板を製造する方法が開示されている。この方
法は、熱間圧延直後に急冷を開始することによってγ粒
の成長を抑制しつつα変態をさせ、熱延板の組織の微細
化を図り、ひいては深絞り性に優れた冷延鋼板を製造す
るものであり、特徴となる点は熱間圧延後の平均冷却速
度にあると言える。しかしながら、この方法では、平均
冷却速度10℃/s以上で熱延材を冷却するといっても、具
体的な数値の記載は実施例の30℃/sのみに止まり、この
ため得られる熱延板のα粒径にも限度があり、さほど高
い深絞り性を有する冷延鋼板が製造されていなかった。
【0006】上掲特開昭61-276930 号公報で残された課
題、すわなち深絞り性の向上を図った方法として、特開
平1-177322号公報ではC:15ppm 以下の極低炭素鋼を熱
間圧延後、急冷することにより、深絞り性の優れた冷延
鋼板を得ることが開示されている。この方法は、熱延後
の冷却速度を110 〜400 ℃/sに高めることで、γ粒の成
長、回復をより抑制し細粒のα粒を生成させることを特
徴としている。しかしながら、C量を15ppm 以下に低減
してさらにSi, Mn, P及びSの量もかなり低減している
ため、γ粒の成長、回復はかなり速く、熱延後の急冷だ
けではr値として2.48が最高であり、やはり深絞り性の
向上には限界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、鋼成分及び製造条件を規制
することにより、従来よりも格段に優れた深絞り性を有
する冷延鋼板を製造できる方法を提案することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、深絞り性を
向上させるべく鋭意研究を重ねた結果、以下のように鋼
成分及び製造条件を限定することにより、優れた深絞り
性を有する冷延鋼板が製造可能となることを見出した。
【0009】上記知見に立脚するこの発明の要旨は次の
とおりである。 (1) C:0.0015wt%以下、Si:0.1 wt%以下、Mn:0.5
wt%以下、Al:0.1 wt%以下、P:0.05wt%以下、S:
0.01wt%以下及びN:0.003 wt%以下を含み、かつTi:
0.1 wt%以下及びNb:0.05wt%以下のうちの少なくとも
1種を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼
を素材として、この鋼素材に熱間圧延を施す際、仕上圧
延での出側3パスにおける累積圧下率を50%以上として
Ar3 変態点以上で仕上圧延を終了し、この仕上圧延終了
から0.5 秒以内に冷却を開始して冷却開始温度から(Ar
3 変態点−60℃)までの温度域を50〜400 ℃/sの冷却速
度で冷却した後、800 〜550 ℃の範囲の温度で巻取り、
その後、冷間圧延、次いで連続焼鈍を行うことを特徴と
する極めて深絞り性に優れる冷延鋼板の製造方法(第1
発明)。
【0010】(2) C:0.0015wt%以下、Si:0.1 wt%以
下、Mn:0.5 wt%以下、B:0.0001〜0.0030wt%、Al:
0.1 wt%以下、P:0.05wt%以下、S:0.01wt%以下及
びN:0.003 wt%以下を含み、かつTi:0.1 wt%以下及
びNb:0.05wt%以下のうちの少なくとも1種を含有し、
残部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼を素材として、
この鋼素材に熱間圧延を施す際、仕上圧延での出側3パ
スにおける累積圧下率を50%以上としてAr3 変態点以上
で仕上圧延を終了し、この仕上圧延終了から0.5秒以内
に冷却を開始して冷却開始温度から(Ar3 変態点−60
℃)までの温度域を50〜400 ℃/sの冷却速度で冷却した
後、800 〜550 ℃の範囲の温度で巻取り、その後、冷間
圧延、次いで連続焼鈍を行うことを特徴とする極めて深
絞り性に優れる冷延鋼板の製造方法(第2発明)。
【0011】以下、この発明を開発する基礎となった研
究結果を述べる。C:0.0008wt%、Si:0.008 wt%、M
n:0.1 wt%、P:0.012 wt%、S:0.001 wt%、Al:
0.05wt%、N:0.0018wt%、Ti:0.01wt%、Nb:0.003
wt%、B:0.0005wt%の組成になる鋼スラブを1150℃で
加熱−均熱後、熱延仕上温度920 ℃で熱間圧延を終了
し、圧延終了から0.3 秒後直ちに860 ℃まで冷却を施し
た。引続き得られた熱延板を750 ℃で巻取り、次いで圧
下率80%の冷間圧延を施した後、860 ℃,20sの再結晶
焼鈍を行った。
【0012】冷延−焼鈍後のr値に及ぼす仕上圧延での
出側3パス累積圧下率及び熱延後の冷却速度の影響を図
1に示す。図1から、冷延−焼鈍後のr値は仕上圧延時
の最終圧下率及び熱延後の冷却速度に依存し、仕上圧下
率特に出側3パスでの累積圧下率を50%以上、好ましく
は60%以上としかつ熱延後の冷却速度を高めることによ
り、熱延板結晶粒径の微細化が図られ高r値が得られる
ことが分かった。
【0013】
【作用】発明者らは、以上の実験結果をもとに研究を重
ねた結果、以下のように発明範囲を限定した。 (1) 鋼素材の成分について C:0.0015wt%以下、Si:0.1 wt%以下、Mn:0.5 wt%
以下、Al:0.1 wt%以下、P:0.05wt%以下、S:0.01
wt%以下及びN:0.003 wt%以下を含み、かつTi:0.1
wt%以下及びNb:0.05wt%以下のうちの少なくとも1種
を含有し、さらに必要に応じてB:0.0001〜0.0030wt%
を含有して残部はFe及び不可避的不純物よりなる鋼。以
下、各々の成分について限定理由を示す。
【0014】(a) C:0.0015wt%以下 Cは少なければ少ないほど深絞り性及び延性が向上する
ので好ましく、またCが低いほうがこれを固定するため
のTiやNbの添加量が少なくて済み、生成する炭化物量も
少ないため、極めて優れた深絞り性が得られる。C含有
量の上限は、近年の精錬技術で達成できる極低炭素鋼に
おいて許容できる範囲として0.0015wt%とした。
【0015】(b) Si:0.1 wt%以下 Siは、鋼を硬化させる作用があり、深絞り性及び表面性
状に悪影響を与えるので0.1 wt%以下に限定した。 (c) Mn:0.5 wt%以下 Mnも鋼を硬化させる作用があり、深絞り性に悪影響を与
えるので0.5 wt%以下に限定した。 (d) P:0.05wt%以下 Pも鋼を硬化する作用があり、深絞り性、ぜい性に悪影
響を与えるので0.05wt%と限定した。
【0016】(e) S:0.01wt%以下 SはMnと結合してMnS を形成し析出する。MnS が多量に
析出すると鋼を硬化させ、プレス成形性を低下させる。
したがって、S量が少なければ少ないほど深絞り性が向
上するので、0.01wt%以下に限定した。なおより一層の
深絞り性向上のためには、0.005 wt%以下とすることが
好ましい。
【0017】(f) Al:0.1 wt%以下 Alは溶鋼を脱酸してTiやMbの歩留まりを向上させるため
に添加する。しかしAlを過剰に添加すると鋼板のプレス
成形性を損なうので0.1wt %以下に限定した。
【0018】(g) N:0.003 wt%以下 Nは少なければ少ないほど深絞り性が向上し、またNが
低いとTiやNbの添加量が少なくて済み、また生成する窒
化物も少なく、優れた深絞り性が得られるので0.003 wt
%以下と限定した。なおより一層の深絞り性向上のため
には、0.002 wt%以下とすることが好ましい。
【0019】(h) Ti:0.1 wt%以下 Tiは、鋼中の固溶Cや固溶Nを炭, 窒化物として析出固
定させて低減し、良好なプレス成形性を得るために有用
な成分である。そのためこの発明では、Tiを単独で又は
Nbと共に添加する。このTiの添加量は0.1 wt%で十分で
あり、0.1 wt%を超えて添加してもそれ以上の効果は得
られず、逆に延性の劣化につながるので0.1 wt%以下に
限定した。下限については、固溶C、固溶Nを十分析出
固定するため、0.005 wt%程度以上が好ましい。
【0020】(i) Nb:0.05wt%以下 Nbは鋼中の固溶Cを炭化物として析出固定させて低減
し、良好なプレス成形性を得るために有用な成分であ
り、そのためこの発明では、Nbを単独で又はTiとともに
添加する。Nbの添加量は0.05wt%で十分であり、0.05wt
%を超えて添加してもそれ以上の効果は得られず、逆に
延性の劣化につながるので0.05wt%以下と限定した。下
限については、固溶Cを十分析出固定するため0.003 wt
%程度以上が好ましい。
【0021】(j) B:0.0001〜0.003wt % Bは、第2発明において耐二次加工ぜい性の改善のため
に添加される。その添加量が0.0001wt%未満では効果が
なく、一方0.003wt %を超えて添加してもそれ以上の効
果は得られず逆に深絞り性が劣化するため0.0001〜0.00
3wt %と限定した。
【0022】(2) 鋼素材に施す製造工程について 熱間圧延を施す際、仕上圧延での出側3パスにおける累
積圧下率を50%以上としてAr3 変態点以上で仕上圧延を
終了し、この仕上圧延終了から0.5 秒以内に冷却を開始
して冷却開始温度から(Ar3 変態点−60℃)までの温度
域を50〜400 ℃/sの冷却速度で冷却した後、800 〜550
℃の範囲の温度で巻取り、その後、冷間圧延、次いで連
続焼鈍を行う。以下、各々の製造工程の限定理由につい
て説明する。
【0023】(i) 熱延工程 熱延工程は、この発明において最も重要であり、粗圧延
終了後の仕上圧延における最終3パスにて累積圧下率が
50%以上になる圧延加工を施し、Ar3 変態点以上で熱間
圧延を終了し、この熱延終了から0.5 秒以内に、冷却開
始温度から(Ar3変態点−60℃) までの温度域を50〜400
℃/sの冷却速度で冷却することが必要である。
【0024】鋼スラブの加熱から粗圧延、仕上圧延、冷
却、コイル巻取りに至る熱延鋼板の製造プロセスにおけ
る鋼スラブの冶金的組織変化は、スラブ加熱時の粗大オ
ーステナイト(γ)粒が粗圧延、仕上圧延中に変形−再
結晶を繰り返して細粒化され、その後の冷却過程で細粒
γからフェライト(α)粒を主体とする組織に変態する
というものである。この再結晶γ粒からのγ→α変態
は、γ粒界へのα核生成に始まり、そのα核の成長によ
り進行し、それぞれのα粒がぶつかり合って終了する。
したがって、変態前のγ粒が小さいほどα核の生成場所
が多くなるため、ぶつかり合うまでの距離が短くなって
α粒が細かくなる。従来は、このような再結晶によって
γ粒の微細化を図り、ひいてはα粒の微細化による深絞
り性の向上を目指していた。
【0025】ところで、γ→α変態前の状態である仕上
圧延の後段では、圧延温度が低いために圧延直後はγ粒
の再結晶が起こり難く、加工されたままの状態となる。
このような加工γ粒は、再結晶粒より伸びた粒のため単
位面積当たりの粒界面積が大きい。しかも粒内には変形
帯と呼ばれる加工組織が形成されてα核生成の場所とな
る。したがって、加工γ粒は、上述した単なる再結晶γ
粒より格段にα核生成場所が多いため、この加工γ粒か
ら変態したα粒は、再結晶γ粒からのα粒よりも細かく
なる。
【0026】この発明のポイントは、上記した加工状態
にあるγ粒を多量に蓄積させ、この加工γ粒からの変態
を利用してα粒の細粒化を図る点にある。すなわち、通
常のプロセスでは、圧延温度が高いため加工が容易でか
つ再結晶が直ちに生ずる仕上圧延前段での圧下率が高い
一方で、仕上圧延の後段では、形状補正や板厚の微量調
整を施すものであって圧下率が低い。そのため従来のプ
ロセスでは、熱間仕上圧延により加工を施しているとい
っても、強加工を施す圧延温度が高いためにγ粒はその
後再結晶し、結局のところ圧延終了時に加工γ粒は少量
しか蓄積されていない。しかも鋼板が仕上圧延設備の出
側から水冷設備に達するまでに非水冷ゾーンが数秒間存
在するため、その間に加工γ粒は再結晶及び回復(変形
帯の消失)が進行してしまい、加工状態のγ粒からの変
態は期待できなかった。
【0027】これに対しこの発明においては、圧延温度
の低い仕上圧延の後段における圧下率を高めて、鋼に多
量の加工γ粒を蓄積させ、加えて仕上圧延後は直ちに鋼
板温度を低下させて鋼板のγ域での滞留時間を短縮する
ことによって、再結晶温度、回復速度とも急速に低下さ
せるため、加工状態を保ったままα変態へ至らせること
ができ、従来にない細粒化が可能となったのである。こ
のようなこの発明のα粒微細化のメカニズムから、仕上
圧延における最終3パスでの累積圧下率を50%以上とす
る。
【0028】仕上圧延終了温度はAr3 変態点以上であ
る。終了温度がAr3 変態点よりも低いと、熱延板に粗大
粒が発生したり、加工組織が残留し、冷延・焼鈍後の鋼
板の深絞り性を損なう。また、Ar3 変態点以上の適当な
温度から冷却を開始することができる。すなわち、冷却
開始温度がAr3 変態点以上でさえあれば、冷却開始時期
は仕上圧延の直後でなくてもよく、ランナウトテーブル
の適当な位置で冷却を開始できる。したがって、この発
明では仕上圧延機の後に板厚計や温度計が配置されてい
る通常の圧延機でも、冷却による水蒸気などの影響を受
けることなしに、圧延材の板厚や温度の計測、管理、制
御が可能である。
【0029】(ii)冷却工程 次にこの発明で仕上圧延後の冷却速度は、冷却開始温度
から(Ar3変態点−60℃) までの温度域を50〜400 ℃/sの
冷却速度とする。すなわち、冷却の開始温度はAr3 変態
点以上であり、冷却の終了温度は(Ar3変態点−60℃) 以
下であり、かかる冷却開始温度から(Ar3変態点−60℃)
までの温度域を50〜400 ℃/sで冷却することが必要であ
る。この冷却方法を上記のように仕上圧延の後段で圧下
率を上げ、強圧下で仕上げた素材に施すことによって、
冷延・焼鈍後の鋼板の深絞り性を極めて高くすることを
可能とした。具体的には、仕上圧延後、冷却条件のみを
規定した従来の方法(特開平1-177322号公報)では冷延
・焼鈍板のr値が2.5 が最高であったのに対し、仕上圧
延での最終3パスの累積圧率を50%以上とし、この素材
に上記冷却条件で冷却を施すことによって、冷延・焼鈍
板のr値として、2.7 を得ることを可能とした。
【0030】ここに、Ar3 変態点以下から冷却を開始し
たり、冷却速度を100 ℃/s以下とすると、γ域での滞留
時間が長くなって、その間にγ粒は再結晶及び回復(変
形帯の消失)が進行してしまい加工状態のγ粒からの変
態は期待できない。したがってこの発明では、熱間圧延
直後に冷却を行うことにより、加工γ粒状態を凍結(圧
延歪みを蓄積した状態)し、その後のγ→α変態による
α粒の微細化を図る。この時、冷却装置は通常仕上圧延
機の後に配置される温度計や板厚計の作動に支障を与え
ない範囲で、仕上圧延機にできるだけ近付けて配置する
ことが望ましい。これは冷却をAr3 変態点以上から開始
するためである。なお、その冷却方法は、水による冷
却、気体による冷却などいずれでもよい。
【0031】(iii) 巻取り工程 次にこの発明での巻取り温度は800 ℃〜550 ℃である。
巻取り時の効果は析出物を完全に析出させ、さらに析出
物の成長粗大化を図ることにある。この発明では、巻取
り前にAlN が多量に析出しており、低温巻取りでも十分
析出固定できるが、巻取り温度が550 ℃を下回るような
あまりに低温の巻取りでは、巻き形状が悪くなったり、
深絞り性の向上が望めない。また800 ℃よりも高温の巻
取りでは、スケールの発生により熱延板の酸洗性が低下
するために800 ℃を上限とした。なお熱延スラブ加熱温
度については特に限定するものではないが、1000℃以上
1300℃以下とすれば良好な材質が得られる。また、熱延
スラブは連続鋳造後直ちに、又は一旦冷却したものが使
用できる。
【0032】(iv)冷間圧延工程 冷間圧延の条件は特に規定するものではないが、冷延圧
下率は50〜95%、望ましくは70〜90%とすることによ
り、特に優れた深絞り性を有する冷延鋼板が得られる。
【0033】(v) 焼鈍工程 冷間圧延工程を経た冷延鋼帯は、再結晶焼鈍を施す必要
がある。焼鈍方法は、箱型焼鈍法及び連続型焼鈍法のい
ずれでもよい。焼鈍温度はあまりにも高い温度や再結晶
以下の低い温度は好ましくはなく、望ましくは700 ℃〜
900 ℃の範囲が良い。焼鈍後の鋼帯には形状矯正、表面
粗度等の調整のために、5%以下の調質圧延を加えても
よい。なお、この発明にて得られた冷延板は、加工表面
処理鋼板の原板にも適用できる。表面処理としては、亜
鉛めっき(合金系を含む)、すずめっき、ほうろう等が
ある。
【0034】
【実施例】表1に示す成分組成になる鋼スラブを、表2
に示す熱延条件にて仕上圧延を行った。得られた熱延板
を酸洗後、80%の冷間圧延を施し板厚:0.7 mmの冷延鋼
帯とした後、連続焼鈍設備にて860 ℃−20s の条件で再
結晶焼鈍処理を施し、次いで0.7 %の調質圧延を施し
た。かくして得られた冷延鋼板の鋼板のr値、熱延板の
結晶粒度について調査した結果を表2に併記する。r値
はJIS 5号引張試験片を使用し15%引張予ひずみを与え
た後、3点法にて測定し、L方向(圧延方向)、D方向
(圧延方向に45度方向)及びC方向(圧延方向に90度方
向)の平均値を r=(rL +2rD +rC )/4 として求めた。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】表2に示すように、この発明の範囲内の化
学成分になる鋼スラブを用い、この発明に従う条件にな
る熱延での仕上圧延率、圧延終了温度、冷却開始温度、
冷却終了温度、及び冷却速度で熱延を施すことによっ
て、極めて深絞り性に優れた冷延鋼板を製造することが
できることが分かる。
【0038】
【発明の効果】この発明によれば、鋼成分及び製造条件
を限定することにより、従来よりも格段に優れた深絞り
性を有する冷延鋼板の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷延−焼鈍後のr値に及ぼす仕上圧延での出側
3パス累積圧下率及び熱延後の冷却速度の影響を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 敬 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 加藤 俊之 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.0015wt%以下、 Si:0.1 wt%以下、 Mn:0.5 wt%以下、 Al:0.1 wt%以下、 P:0.05wt%以下、 S:0.01wt%以下及び N:0.003 wt%以下 を含み、かつ Ti:0.1 wt%以下及び Nb:0.05wt%以下 のうちの少なくとも1種を含有し、残部はFe及び不可避
    的不純物よりなる鋼を素材として、 この鋼素材に熱間圧延を施す際、仕上圧延での出側3パ
    スにおける累積圧下率を50%以上としてAr3 変態点以上
    で仕上圧延を終了し、 この仕上圧延終了から0.5 秒以内に冷却を開始して冷却
    開始温度から(Ar3 変態点−60℃)までの温度域を50〜
    400 ℃/sの冷却速度で冷却した後、 800 〜550 ℃の範囲の温度で巻取り、その後、冷間圧
    延、次いで連続焼鈍を行うことを特徴とする極めて深絞
    り性に優れる冷延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、鋼素材が C:0.0015wt%以下、 Si:0.1 wt%以下、 Mn:0.5 wt%以下、 Al:0.1 wt%以下、 B:0.0001〜0.0030wt%、 P:0.05wt%以下、 S:0.01wt%以下及び N:0.003 wt%以下 を含み、かつ Ti:0.1 wt%以下及び Nb:0.05wt%以下 のうちの少なくとも1種を含有し、残部はFe及び不可避
    的不純物よりなる鋼である極めて深絞り性に優れる冷延
    鋼板の製造方法。
JP21866193A 1993-09-02 1993-09-02 極めて深絞り性に優れる冷延鋼板の製造方法 Pending JPH0770650A (ja)

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