JP2011214068A - 冷延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】深絞り性に優れた冷延鋼板を生産性よく工業的に容易な方法で製造する。
【解決手段】質量%で、C:0.010%未満、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、Al:0.0005〜0.10%、N:0.0060%以下、Ti:0.001〜0.10%およびNb:0.001〜0.10%を含有し、(C/12+N/14+S/32)/(Ti/48+Nb/93)≦1.4を満足する化学組成を有する鋼塊または鋼片に、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満かつ最終パスの圧下率を25%超とし、(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上で圧延を完了する多パスの熱間圧延を施し、前記熱間圧延完了後0.5秒間以内に400℃/秒以上の平均冷却速度で820℃まで冷却し、400℃以上700℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とし、この熱延鋼板に酸洗後、圧下率:60〜95%の冷間圧延を施し、得られた冷延鋼板に700〜910℃の温度域で焼鈍を施す。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プレス加工等により様々な形状に成形されて用いられる冷延鋼板の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、自動車サイドフレームアウター等のパネル類のように、非常に厳しい成形が施される部品の素材として好適な、深絞り性に優れる冷延鋼板の製造方法に関する。
深絞り成形を多用して製造される部材、例えば自動車のボディーパネル、中でもサイドフレームアウター等のような部材の素材として使用される冷延鋼板には、高い深絞り性が要求される。
冷延鋼板の深絞り性を高めるには、鋼中のC含有量を著しく低減させた極低炭素鋼とし、さらにTiやNb等の炭窒化物生成元素を添加することにより、固溶炭素や固溶窒素を低減させることが有効である。固溶炭素や固溶窒素を低減させることにより、冷間圧延後の焼鈍工程において深絞り性に有利な{111}集合組織が発達するからである。
また、冷間圧延に供する熱延鋼板の結晶粒を微細化することも深絞り性の向上に有効である。これは、冷間圧延後の焼鈍工程において、冷間圧延組織から加工歪みの解放によって再結晶組織が形成される際に、冷間圧延に供される熱延鋼板において結晶粒界であった部位の方が結晶粒内であった部位に比して、深絞り性に有利な{111}集合組織が発達しやすいという理由による。すなわち、冷間圧延に供する熱延鋼板の結晶粒が微細であればあるほど、結晶粒界の部位の割合が高くなるので、冷間圧延および焼鈍後の冷延鋼板の深絞り性が高くなるのである。
ところで、冷延鋼板のプレス成形においては、深絞り性の指標であるr値が高いことのみならず、r値の面内異方性(以下、単に「面内異方性」ともいう)が小さいことが一般に要求される。ここで、面内異方性は、圧延方向に対して(以下、方向は「圧延方向」を基準として示す)45°方向のr値(r45)が0°方向のr値(r)や90°方向のr値(r90)に比して低いことに起因して大きくなっていることが多い。このため、r45を高めることができれば、面内異方性を低減することが可能となる場合が多い。
また、面内異方性の比較的小さい冷延鋼板であっても、例えばサイドフレームアウターなどの鋼板部材の素材として用いられる場合には、冷延鋼板からのプレス用切板の採取の都合から、加工量の大きい部位において45°方向の加工性が高いことが要求されることが多い。このような観点からもr45を高めることが望まれている。一般に強度の上昇とともにr値は低下する傾向にあるため、特に340MPa以上の引張強度を有する高張力鋼板についてr45を高めることが望まれている。
そこで、上述した熱延鋼板の結晶粒の微細化等を利用して冷延鋼板の深絞り性を向上させる方法がこれまでにいくつか提案されている。
例えば、下記特許文献1には、仕上温度をAr点〜(Ar点+50℃)とし、最終圧下率を30%以上の強加工とする熱間圧延を施し、熱間圧延直後から冷却を開始し、開始から3秒間の平均冷速が60℃/s以上で、特に開始から1秒間の平均冷速が80℃/s以上とする冷却を行う方法が提案されている。
下記特許文献2には、0.050%超のTiと0.0003%以上のBを含有させ、好ましくは動的再結晶温度域で5パス以上圧延し、仕上圧延温度を(Ar点−20℃)以上とする熱間圧延を施し、熱間圧延終了後、0.2秒以内に急冷処理を開始する方法が提案されている。
下記特許文献3には、最終パス前の2パスの合計圧下率を45%超、70%以下、最終パスの圧下率を5%以上、35%以下とし、さらに仕上温度を、Ar点〜(Ar点+50℃)とする熱間圧延を施し、熱間圧延終了後1秒以内に200〜2000℃/secの冷却速度で冷却を開始して仕上温度から650〜850℃まで冷却を行う方法が提案されている。
特開平5−112831号公報 特開2000−239786号公報 特開2001−316727号公報
上述したように、熱延鋼板の結晶粒の微細化により冷延鋼板の深絞り性を向上させる方法がいくつか提案されているが、いずれも実用化に問題を有するか、または本来目的とする熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を十分に享受できないという問題を抱える。
例えば、特許文献1の実施例には、熱延鋼板を微細粒化するために40%以上という極めて高い最終圧下率を必要とすることが示されている。このため、この方法には、圧延荷重が過大となり、既存設備への適用が困難であり、得られる熱延鋼板については形状不良が生じやすいという問題がある。
特許文献2に記載された方法は、動的再結晶温度域における熱間圧延が任意であるかの如き記載がなされているものの、その実施例の記載から明らかなように、熱延鋼板を安定して微細粒化するには、動的再結晶下限温度〜(動的再結晶下限温度+80℃)という動的再結晶低温域において5パス以上かつ合計圧下率80%以上の圧延を行うことが必要である。このため、この方法には、精緻な圧延温度管理やパススケジュール管理が必要であり、工業的生産への適用が困難であるという問題がある。
特許文献3に提案されている方法によれば、上記問題点は解消される。しかし、「冷却開始時間を0.5秒以下にすると、熱延板の細粒化による材質向上は期待できるが、冷却開始時間のわずかなずれにより材質が大きく変化するため、鋼板長手方向で材質の不均一が生じる」と本特許文献に記載されていることからもわかるように、特許文献3に提案されている方法では熱間圧延直後の急冷による熱延鋼板の結晶粒の微細化作用が不十分である。このため、この方法では、本来目的とする熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を十分に享受できない。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、本来目的とする熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を十分に享受できるとともに、工業的生産が容易で実用性の高い、深絞り性に優れた冷延鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を十分に享受し、特にr45の高い冷延鋼板の製造方法を確立すべく、鋭意検討を行った。
その結果、所定の化学組成を有する鋼塊または鋼片に、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満かつ最終パスの圧下率を25%超とし、(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上で圧延を完了する多パスの熱間圧延を施し、上記熱間圧延完了後0.5秒間以内に400℃/秒以上の平均冷却速度で820℃まで冷却することによって、板厚中心部から鋼板表面にかけて結晶粒の粒径が小さくなる傾斜組織を有する熱延鋼板が得られ、斯かる組織を有する鋼板に冷間圧延および焼鈍を施すことによって、従来困難であった優れた深絞り特性を有する冷延鋼板の安定製造が可能となることを見出したのである。
検討内容を以下に詳細に述べる。
(a)熱延鋼板の結晶粒を微細化する方法として、主として熱延鋼板を最終製品とする場合に、結晶粒の微細化による高強度化を目的として、熱間圧延直後に急冷却する方法が従来から検討されている。これらの従来技術は、熱延鋼板の高強度化を目的とするものであるため、検討対象である鋼種は比較的C含有量の高い低炭素鋼であり、C含有量の極めて低い極低炭素鋼を対象とした検討は十分になされていない。
(b)一方、本発明が目的とする深絞り性に優れた冷延鋼板を得るには、C含有量が極めて低い極低炭素鋼を用いる必要がある。しかし、極低炭素鋼は粒成長性が高いため、熱延鋼板の高強度化を目的として従来検討がなされていたような冷却条件では結晶粒の微細化を図ることはできず、したがって、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を十分に享受することができないことが、本発明者らの検討によって明らかになった。
(c)すなわち、熱間圧延時に生じる鋼板と圧延ロールとの間の摩擦によって、鋼板の表面近傍領域には大きな剪断歪みが導入される。このため、熱間圧延により加えられる歪の板厚方向の分布は、板厚中心部から鋼板表面に向かうにしたがって大きくなる。したがって、本来であれば、板厚中心部から鋼板表面にかけて粒径が小さくなるという傾斜組織を有する熱延鋼板が得られることになる。
しかし、歪量の多いことは回復および再結晶の駆動力が大きいことでもあるから、適切な冷却を施さないと容易に粒成長が進行してしまう。特に、本発明が対象とする極低炭素鋼は粒成長性が高いため、その粒成長性の高さも相俟って、鋼板の表面近傍領域における粒成長の進行が著しくなる。その結果、従来技術では、熱延鋼板の鋼板表面近傍領域において本来の結晶粒の微細化が達成できなかったのである。
また、そのような状況であったために、鋼板表面近傍領域に導入される剪断歪みによって結晶粒の微細化効果が顕著に得られるということについても、従来は全く考慮されていなかったのである。このため、従来技術における冷間圧延および焼鈍後の鋼板は、鋼板表面近傍領域において深絞り性に好ましい集合組織の発達が不十分となり、鋼板全体としての深絞り性を十分に向上させることができなかった。
(d)特許文献3において、熱間圧延後の冷却開始時間を0.5秒以下にすると、冷却開始時間のわずかなずれによって材質が大きく変動してしまい、鋼板長手方向で材質の不均一が生じると指摘されているのは、まさにこのことが原因であると推察される。すなわち、特許文献3において検討されている冷却条件は、従来の熱延鋼板の高強度化を目的として検討されている程度の冷却条件であったために、著しい粒成長性を有する極低炭素鋼については鋼板表面近傍領域における粒成長が進行してしまい、冷却開始時間のわずかなずれによって鋼板表面近傍領域における粒成長の進行の度合いが大きく異なってしまい、これによって熱延鋼板の結晶粒の粒径が大きく変動し、その結果、材質の大きな変動を招いてしまったと推察される。
(e)そこで、著しい粒成長性を有する極低炭素鋼について、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を十分に享受する条件を詳細に検討した結果、TiおよびNbを含有する特定の化学組成を有する極低炭素鋼に、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満かつ最終パスの圧下率を25%超とし、(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上で圧延を完了する多パスの熱間圧延を施し、熱間圧延完了後0.5秒間以内に400℃/秒以上の平均冷却速度で820℃まで冷却することが最も重要であるとの新知見を得た。これは、従来検討されていなかった熱間圧延の極直後領域における冷却条件を詳細に検討することによって初めて明らかになったものである。
ここで、特筆すべきことは、熱間圧延後の冷却条件を、熱間圧延完了から急冷を開始するまでの時間ではなく、熱間圧延完了から820℃まで冷却するのに要する時間により規定していることであり、この時間を0.5秒間以下とすることにより、この間の平均冷却速度が400℃/秒以上でありさえすれば、冷却開始時間によらず「安定して」目的とする冷延鋼板の深絞り性の改善が得られるのである。熱間圧延を大圧下で行う必要がないので、この方法は工業的生産に容易に適用できる。
(f)上記(e)項の冷却条件を適用することによって、上記(c)項において述べた、歪量の多い鋼板表面近傍領域における粒成長の進行を抑制し、当該領域において本来の結晶粒の微細化を実現することができる。その結果、冷間圧延および焼鈍後に優れた深絞り性が得られる。
すなわち、上記(c)項で述べたように、熱間圧延により加えられる歪の板厚方向の分布は板厚中心部から鋼板表面に向かうにしたがって大きくなるが、粒成長性の高い極低炭素鋼においては鋼板表面近傍領域における歪が極めて容易に解放されてしまうため、当該領域においては本来の結晶粒の微細化が困難であったのであるが、上記(e)項の冷却条件を適用することによって、これらの歪の解放が抑制され、鋼板表面近傍領域において本来の結晶粒の微細化が可能となる。これによって、板厚中心部から鋼板表面にかけて粒径が小さくなるという傾斜組織を有する熱延鋼板が得られる。
そして、斯かる組織を有する鋼板に冷間圧延および焼鈍を施すことによって、板厚中心部のみならず鋼板表面近傍領域においてもr値を向上させるとともにr値の面内異方性を低下させる集合組織を十分に発達させることができ、鋼板全体としての深絞り性を著しく向上させることができるのである。
(g)このように、熱間圧延時に鋼板と圧延ロールの間の摩擦によって鋼板表面近傍領域に導入される剪断歪みを、結晶粒の微細化に最大限に活用するので、熱間圧延後の冷却速度を高くすることが困難となる熱延鋼板の板厚が厚い場合でも、極めて高い冷却能を有する特殊な冷却装置を導入せずとも、良好な深絞り性を有する冷延鋼板を製造することができる。
(h)さらに、上記(e)項の熱間圧延条件、すなわち最終3パスの圧下条件を適用することによって、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を鈍化させる熱延鋼板の集合組織の発達を抑制することができる。これによって、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を十二分に享受することができ、冷間圧延および焼鈍後にさらに優れた深絞り性が得られる。
すなわち、上記(e)項の冷却条件を適用することによる熱延鋼板の結晶粒の微細化は、熱間圧延における圧下率を高めることによって促進される。しかし、熱間圧延の最終3パスの圧下条件が不適切であると、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性向上に有利な集合組織の発達を鈍化させる熱延鋼板の集合組織が顕著に発達してしまう。したがって、このような熱延鋼板の集合組織の発達を極力抑制しつつ結晶粒の微細化を図ることが重要である。このために、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満とし、かつ最終パスの圧下率を25%超とするのである。
(i)以上のことは、鋼板表面近傍領域において深絞り性に有利な集合組織の発達を促すことによって、鋼板全体としての深絞り性を向上させることである。そのためには、熱延鋼板の鋼組織は、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径が16μm以下であり、かつ鋼板表面から板厚の1/16深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)と板厚中心位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)との比(d/d)が0.90以下であることが好ましい。
上記新知見に基づく本発明は、下記工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする冷延鋼板の製造方法である:
(A)質量%で、C:0.010%未満、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、Al:0.0005%以上0.10%以下、N:0.0060%以下、Ti:0.001%以上0.10%以下、およびNb:0.001%以上0.10%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに、下記式(1)式を満足する化学組成を有する鋼塊または鋼片に、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満かつ最終パスの圧下率を25%超とし、(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上で圧延を完了する多パスの熱間圧延を施し、前記熱間圧延完了後0.5秒間以内に400℃/秒以上の平均冷却速度で820℃まで冷却し、400℃以上640℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
(C/12+N/14+S/32)/(Ti/48+Nb/93)≦1.4・・・(1)
上記式中の元素記号は各元素の鋼中における含有量(単位:質量%)を示す;
(B)前記熱延鋼板に酸洗を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
(C)前記酸洗鋼板に圧下率:60〜95%の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
(D)前記冷延鋼板に750〜880℃の温度域で焼鈍を施す焼鈍工程。
本発明の制限を意図しない実施態様をいくつか示すと次の通りである。
・前記化学組成が、Feの一部に代えて、V:1質量%以下を含有するとともに、前記式(1)に代えて下記式(2)を満足する:
(C/12+N/14+S/32)/(Ti/48+Nb/93+V/51)≦1.4
・・・ (2)
上記式中の元素記号は各元素の鋼中における含有量(単位:質量%)を示す。
・前記化学組成が、Feの一部に代えて、B:0.0030質量%以下を含有する。
・前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下および/またはMo:1.0%以下を含有する。
・前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.010%以下、Zr:0.10%以下およびREM:0.10%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する。
・工程(A)で得られた熱延鋼板が、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径が16μm以下であり、かつ、鋼板表面から板厚の1/16深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)と板厚中心位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)との比(d/d)が0.90以下である組織を有する。
・工程(C)で冷間圧延が施されるす酸洗鋼板の板厚が2.8mm以上である。
本発明の方法によれば、サイドパネルアウターといった自動車部品の一体成形などで行われる非常に厳しい深絞り加工に利用できる、深絞り性に優れた冷延鋼板を容易にかつ高生産性で製造することができる。
以下に本発明についてより詳しく説明する。以下の説明において、鋼の化学組成に関する%は質量%を意味する。
(1)化学組成
本発明に係る冷延鋼板の製造方法において、鋼の化学組成は下記の通りである。
C:0.010質量%未満
Cは、延性および深絞り性を低下させる作用を有するので、本発明では不純物として含有される元素である。そのため、C含有量は0.010%未満とする。好ましくは0.0080%未満であり、さらに好ましくは0.0040%未満である。C含有量は少なければ少ないほど好ましいので、C含有量の下限は特に規定する必要はない。しかし、C含有量の過剰な低減は著しい精錬コストの上昇をもたらす。したがって、精錬コストの観点から、C含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
Si:1.5%以下
Siは、不純物として含有される元素であるが、延性の低下を抑制しつつ高強度化を可能にする固溶強化元素としての有用性も有する。それにより良好な強度−延性バランスを確保しつつ、鋼板の高強度化が可能となる。したがって、Siを必要に応じて含有させてもよい。しかし、Si含有量が過剰になると、鋼板の表面処理性の劣化が著しくなる。このため、Siを含有させる場合でも、Si含有量は1.5%以下とする。好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。また、深絞り性の観点からは、強度が低い方が好ましいので、Si含有量は0.1%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.05%以下であり、より好ましくは0.03%以下である。一方、Siによる高強度化を目的とする場合には、Si含有量は0.1%を超えることが好ましい。深絞り性の観点からは、Si含有量は少ないほど好ましいが、Si含有量の過剰な低減は著しい製造コストの上昇をもたらすので、Si含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
Mn:2.0%以下
Mnは、不純物として含有される元素であるが、固溶強化により鋼の強度を高める有用な作用も有する。また、SをMnSとして固定し、FeS生成による鋼の赤熱脆性を抑制する作用を有する。さらにまた、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させる作用を有するため、熱間圧延の仕上温度の低下を可能にし、これによって、熱延鋼板の結晶粒の微細化を促進させることができる。したがって、必要に応じてMnを含有させてもよい。しかし、Mn含有量が過剰になると、延性の劣化が著しくなるため、Mnを含有させる場合でも、Mn含有量は2.0%以下とする。好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。また、Mnは深絞り性を低下させる作用を有するので、深絞り性の観点からはMn含有量を0.5%以下とすることが好ましく、0.3%以下とすることがさらに好ましく、0.2%以下とすることがより好ましい。鋼の赤熱脆性を抑制する観点からは、Mn含有量を0.05%以上とすることが好ましい。
P:0.10%以下
Pは、不純物として含有される元素であるが、r値の低下を抑制しつつ高強度化を可能にする固溶強化元素としての有用性も有する。それにより良好な強度−深絞り性バランスを確保しつつ高強度化を可能にするので、必要に応じてPを含有させてもよい。しかし、P含有量が過剰になると耐二次加工脆性が劣化するので、Pを添加する場合でも、P含有量を0.10%以下とする。好ましくは0.08%以下である。Pによる固溶強化を要しない場合には、耐二次加工脆性の観点からP含有量は低いほど有利であり、0.025%以下とすることが好ましく、0.020%以下とすることがさらに好ましい。P含有量の下限は特に限定する必要はないが、P含有量の過剰な低減は著しい製造コストの上昇をもたらすので、P含有量は0.001%以上とすることが好ましい。なお、Pによる固溶強化を確実に得るには、Pは0.025%を超えて含有させることが好ましい。
S:0.010%以下
Sは、不純物元素であり、延性および深絞り性を低下させる作用を有する。このため、S含有量は0.010%以下とする。好ましくは0.008%以下であり、より好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%以下である。S含有量は少なければ少ないほど好ましいので、S含有量の下限は特に規定する必要はない。しかし、S含有量の過剰な低減は著しい製造コストの上昇をもたらす。したがって、製造コストの観点から、S含有量は0.0003%以上とすることが好ましい。
Al:0.0005%以上、0.10%以下
Alは、溶鋼を脱酸する作用を有する。この効果を得るためにAl含有量を0.0005%以上とする。好ましくは0.005%以上である。一方、Al含有量が過剰になると介在物が増加して延性の低下が著しくなるため、Al含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.05%以下、さらに好ましくは0.03%以下である。
N:0.0060%以下
Nは、不純物元素であり、延性および深絞り性を低下させる作用を有する。このため、N含有量は0.0060%以下とする。好ましくは0.0040%以下であり、さらに好ましくは0.0025%以下である。N含有量は少なければ少ないほど好ましいので、N含有量の下限は特に規定する必要はない。しかし、N含有量の過剰な低減は著しい製造コストの上昇をもたらす。したがって、製造コストの観点から、N含有量は0.0003%以上とすることが好ましい。
Ti:0.001%以上、0.10%以下
Tiは、炭窒化物を形成することによって固溶Cおよび固溶Nを低減し、深絞り性および延性を向上させる作用を有する。このため、Ti含有量は0.001%以上とする。好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.020%以上である。一方、0.10%を超えるTiを含有させても、上記作用による効果が飽和していたずらにコストの増加をもたらすのみならず、鋼が硬質化して加工性の劣化を招く。したがって、Ti含有量は0.10%以下とする。より好ましくは0.08%以下、更に好ましくは0.07%以下、特に好ましくは0.06%以下である。
Nb:0.001%以上、0.10%以下
Nbは、炭窒化物を形成することによって固溶Cおよび固溶Nを低減し、深絞り性および延性を向上させる作用を有する。また、オーステナイトの再結晶を抑制する効果あり、熱延板の結晶粒を微細化する作用も有する。このため、Nb含有量は0.001%以上とする。好ましくは0.005%以上である。一方、0.10%を超えるNbを含有させると、再結晶温度の著しい上昇を招き、所要の性能を得るために必要な焼鈍温度が高温となり、焼鈍設備の損傷や製造コストの上昇を招く。したがって、Nb含有量は0.10%以下とする。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、特に好ましくは0.015%以下である。
TiおよびNbの含有量は、さらに下記式(1)を満足することが必要である。
(C/12+N/14+S/32)/(Ti/48+Nb/93)≦1.4・・・(1)
上記式中の元素記号は各元素の鋼中における含有量(単位:質量%)を示す。
式(1)の左辺は、TiおよびNbと結合して化合物を形成する、C、NおよびSに対するTiおよびNbの当量比を表すパラメータ式であり、この値が小さいほど、上述したTiおよびNbによる深絞り性および延性を向上させる作用をより確実に発現させることができる。式(1)の右辺は、好ましくは1.2、より好ましくは1.0、よりいっそう好ましくは0.8、最も好ましくは0.6である。式(1)の左辺パラメータ式の値の下限は、上記TiおよびNbの含有量の上限値によって自ずと定まるため、特に規定する必要はないが、該パラメータ式の値が過剰に小さくなることはTiおよびNbの添加効率の低下を意味するので、0.01以上とすることが好ましい。より好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.10以上である。
本発明の冷延鋼板の製造方法に供される鋼塊または鋼片は、上記の各元素を含有するとともに、上記(1)式を満足し、残部はFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。ただし、上記鋼塊または鋼片の化学組成は、各種性能を向上させる目的で、以下に示す元素を場合により含有していてもよい。
V:1%以下
Vは、TiやNbと同様に、炭窒化物を形成することによって固溶Cおよび固溶Nを低減し、深絞り性および延性を向上させる作用を有する。また、該炭窒化物はフェライトの粗大化を抑制する作用を有し、熱延鋼板の結晶粒の微細化を促進する。さらにまた、炭化物を形成して析出強化により鋼を高強度化する作用も有する。このため、必要に応じてVを含有させてもよい。しかし、V含有量が過剰になると延性や加工性の劣化が著しくなるので、含有させる場合でもV含有量は1%以下とする。好ましくは0.5%以下である。より好ましくは0.3%以下である。なお、Vによる深絞り性および延性を向上させる作用をより確実に得るには、V含有量を0.01%以上とすることが好ましい。
VはTiやNbと同様の作用を有するので、Vを含有させる場合には上記式(1)に代えて、Vの寄与を考慮した下記式(2)を満足する化学組成とすることが好ましい。
(C/12+N/14+S/32)/(Ti/48+Nb/93+V/51)≦1.4
・・・ (2)
上記式中の元素記号は各元素の鋼中における含有量(単位:質量%)を示す。
式(2)の右辺は、好ましくは1.2、より好ましくは1.0、さらにいっそう好ましくは0.8、最も好ましくは0.6である。式(2)の左辺パラメータ式の値の下限は、式(1)の場合と同様に、0.01以上とすることが好ましい。より好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.10以上である。
B:0.0030%以下
本発明が対象とするTiおよびNbを含有させて固溶Nや固溶Cを低減させた極低炭素鋼板は、粒界強度が弱く耐二次加工脆性に劣る場合がある。Bは、上記粒界強度を高めることにより、耐二次加工脆性を向上させる作用を有する。したがって、必要に応じてBを含有させてもよい。一方、0.0030%を超えるBを含有させても上記作用による効果は飽和するのみならず、Bにはr値を低下させる作用も有するので、Bを含有させる場合には、その含有量を0.0030%以下とするのが好ましく、0.0010%以下とするのがさらに好ましい。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、B含有量を0.0003%以上とすることが好ましい。
Cr:1.0%以下および/またはMo:1.0%以下
CrおよびMoは、熱延鋼板を細粒化する作用や固溶強化により鋼板を高強度化する作用を有する。このため、必要に応じて、これらの元素の一種または二種を含有させてもよい。一方、これらの元素の含有量が過剰になると上記作用による効果が飽和していたずらにコストを増加させるため、それぞれの含有量を1.0%以下とするのが好ましい。より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.2%以下、最も好ましくは0.1%以下である。上記作用による効果をより確実に得るには、Crの含有量を0.03%以上とするか、Moの含有量を0.02%以上とすることが好ましい。
Ca:0.010%以下、Zr:0.10%以下、REM:0.10%以下の1種または2種以上
Ca、Zr、REM(希土類元素)は、何れも介在物の形態制御によって延性を代表とする加工性を改善する作用を有する。このため、必要に応じて、これらの元素の1種以上を含有させてもよい。一方、0.010%を超えるCaを含有させるか、ZrおよびREMについてはそれぞれ0.10%を超えて含有させると、鋼中の介在物が多くなりすぎて却って加工性の劣化を招く。したがって、それぞれの含有量を、Ca:0.010%以下、Zr:0.10%以下、REM:0.10%以下とするのが好ましい。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Caを含有させる場合にはその含有量を0.0002%以上とすることが好ましく、ZrまたはREMを含有させる場合にはその含有量を0.001%以上とすることが好ましい。
なお、本発明にいう「REM」とは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は上記元素の合計含有量を指す。
(2)冷間圧延に供する鋼板の組織
冷間圧延および焼鈍後において、優れた深絞り性、特にr45の高い冷延鋼板を得るには、冷間圧延に供する鋼板(熱間圧延工程で得られた熱延鋼板)の表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径を16μm以下とすることが好ましい。熱延鋼板の表面から板厚の1/4深さ位置(以下、単に1/4深さ位置ともいう)は鋼板の表面と板厚中心位置との中間点の深さに対応するので、1/4深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径は、当該鋼板全体としてのフェライト平均結晶粒径の代表値である。
この1/4深さ位置における熱延鋼板のフェライト平均結晶粒径が16μmを超えると、冷間圧延および焼鈍後における深絞り性、特にr45の低下が著しくなる。したがって、1/4深さ位置における熱延鋼板のフェライト平均結晶粒径を16μm以下とすることが好ましく、より好ましくは15μm以下、さらに好ましくは14μm以下である。前記フェライト平均結晶粒径が微細であるほど、冷間圧延および焼鈍後における深絞り性が向上するので、前記フェライト平均結晶粒径の下限は特に限定する必要はない。しかし、結晶粒の著しい微細化には高い冷却能力を要し、冷却能力を上げるために冷却設備が大掛かりとなり、製造コストが嵩む。このため、1/4深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径は2μm以上とすることが好ましい。
さらに、冷間圧延および焼鈍後において、優れた深絞り性、特にr45の高い冷延鋼板を得るには、冷間圧延に供する熱延鋼板の表面から板厚の1/16深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)と板厚中心位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)との比(d/d)を0.90以下とするのが好ましい。
本発明は、熱間圧延において板厚中心部に比して多くの歪量が付与されることに起因して、結晶粒の微細化が期待されるとともに著しい粒成長性により結晶粒の微細化の困難性を伴う鋼板表面近傍領域について、適切な冷却を施すことにより著しい粒成長を抑制して結晶粒を微細化するものである。したがって、d/dは、本発明が目的とする微細化が実現されていることを確認するのに有効な指標である。すなわち、d/dが低いということは、より適切な冷却が施されることにより本発明が目的とする微細化がより確実に実現されていることを示す。
/dを0.90以下とすることにより、冷間圧延および焼鈍後において、深絞り性、特にr45を向上させることができる。この比は好ましくはより0.85以下、さらに好ましくは0.80以下、特に好ましくは0.75以下、最も好ましくは0.70以下である。d/dが小さいほど、冷間圧延および焼鈍後における深絞り性が向上するのでd/dの下限は特に限定する必要はない。しかし、d/dの著しい低減には高い冷却能力を要し、冷却能力を上げるために冷却設備が大掛かりとなり、製造コストが嵩む。このため、d/dは0.20以上とすることが好ましい。
冷間圧延および焼鈍後において、深絞り性向上に有効な集合組織をさらに発達させて、深絞り性をより一層向上させるには、冷間圧延に供する鋼板の表面から板厚の1/16深さ位置において、{110}<223>方位の密度をランダムに対して2.0倍以上、さらには3.0倍以上とし、{211}<111>方位の密度をランダムに対して1.5倍以上、さらには2.0倍以上とすることが好ましい。しかし、これらの集合組織の発達に伴って、本来目的とする熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を鈍化させる熱延鋼板の集合組織が発達する場合がある。したがって、冷間圧延に供する鋼板の表面から板厚の1/16深さ位置において、{110}<223>方位の密度をランダムに対して10倍以下とし、{211}<111>方位の密度をランダムに対して10倍以下とすることが好ましい。
(3)熱間圧延
上述した化学組成を有する鋼塊または鋼片に、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満かつ最終パスの圧下率を25%超とし、(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上で圧延を完了する多パスの熱間圧延を施す。
本発明では、熱間圧延によりオーステナイト結晶粒内に歪を蓄積させ、蓄積された歪の解放を熱間圧延後の冷却によって抑制し、所定の低温域になった段階でこの歪を駆動力として、オーステナイトからフェライトへの変態を一気に促進させることにより、結晶粒の微細化を図る。したがって、熱間圧延はオーステナイト域で行うことが基本となる。しかし、熱間圧延時に金属製の圧延ロールとの接触によって抜熱が生じるため、鋼板の表面から100μmの深さ位置までの最表層領域において局所的な変態がしばしば生じる。特に、本発明のようにC含有量の極めて低い鋼種においては、このような最表層領域における局所的変態が生じ易い。このような局所的変態を防ぐ方法として、仕上温度の高温化が一応考えられるが、後述するように仕上温度の高温化は結晶粒の微細化を困難にし、板厚全体の結晶粒が粗大化してしまうので、本発明の本質が損なわれてしまう。
そこで、本発明者が詳細に検討したところ、鋼板の最表層領域が機械特性に及ぼす影響は小さく、変態が生じる領域が板厚の1/32以下であれば、最終製品の特性が殆ど損なわれないことが明らかになった。そして、変態が生じる領域を板厚の1/32以下とするには、熱間圧延完了温度(以下、「仕上温度」ともいう)を(Ar点−30℃)以上とすればよいことも判明した。また、仕上温度が880℃を下回ると、熱延板の集合組織発達が顕著となり、冷延鋼板の深絞り性が低下することから、仕上温度を880℃以上ととすればよいことも判明した。
したがって、熱間圧延の仕上温度は、(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上とする。冷間圧延および焼鈍後において冷延鋼板の深絞り性を一層向上させるには、仕上温度をAr点以上かつ880℃以上とすることが好ましく、Ar点以上かつ900℃以上とすることがさらに好ましい。仕上温度が過度に高温であると、熱間圧延によりオーステナイト結晶粒内に蓄積された歪が容易に解放されてしまい、上述した機構による結晶粒の微細化を効率的に行うことができなくなる。そのため、仕上温度は1000℃以下とすることが好ましく、980℃以下とすることがさらに好ましい。なお、上記温度は鋼板の表面温度であり、放射温度計等によって測定することができる。
熱間圧延に供する鋼塊または鋼片の温度は、仕上温度の観点から決定すればよいので特に限定する必要はないが、1100℃未満では(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上の仕上温度を確保することが一般に困難であり、1280℃を超えると、加熱コストの増大やスケールロスによる歩留り低下を招く。したがって、前記温度は、1100〜1280℃とするのが好ましい。前記温度が低温であるほど、最終製品である冷延鋼板の延性および深絞り性が向上するので、1200℃以下とすることがさらに好ましく、1150℃以下とすることがより好ましい。
熱間圧延に供する鋼塊または鋼片が、Ar点以下の温度域、例えば常温まで冷却された所謂冷片である場合にはAc点以上の温度域まで加熱することを要する。一方、連続鋳造後または分塊圧延後の高温状態にある鋼塊または鋼片である場合には、上記仕上温度を確保できるのであれば特段加熱を施さずともよい。
熱間圧延を施す設備は、リバースミルおよびタンデムミルのいずれであってもよい。工業的生産性の上からは、少なくとも最終の数段はタンデムミルを用いるのが好ましい。
熱間圧延における総圧下量は、熱間圧延によりオーステナイト結晶粒内に効率的に歪を蓄積する観点から、板厚減少率で90%以上とすることが好ましい。92%以上することがさらに好ましく、94%以上とすることが最も好ましい。(圧延完了温度+100℃)から熱間圧延完了までの温度範囲における板厚減少率で40%以上とすることが好ましく、(圧延完了温度+80℃)から熱間圧延完了までの温度範囲における板厚減少率で60%以上とすることがさらに好ましい。
熱間圧延は、多パス圧延とし、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満かつ最終パスの圧下率を25%超とする。これは、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を鈍化させる熱延鋼板の集合組織の発達を抑制しつつ結晶粒の微細化を図るためである。すなわち、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率が45%以上では、熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を鈍化させる熱延鋼板の集合組織の発達が顕著となり、最終パスの圧下率が25%以下では冷延鋼板の深絞り性の向上作用を得るのに十分な熱延鋼板の結晶粒の微細化を図ることが困難となる。熱延鋼板の結晶粒微細化の観点からは、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率は30%以上とすることが好ましい。また、最終パスの圧下率は28%以上とすることが好ましい。熱延鋼板の結晶粒の微細化による冷延鋼板の深絞り性の向上作用を鈍化させる熱延鋼板の集合組織の発達を抑制する観点からは、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率は42%以下とすることが好ましい。また、最終パスの圧下率は50%以下することが好ましく、40%以下とすることがさらに好ましく、35%以下とすることが特に好ましい。
(4)熱間圧延後の冷却
熱間圧延完了後0.5秒間以内に400℃/秒以上の平均冷却速度で820℃まで冷却し、400℃以上640℃未満の温度域で巻き取る。
本発明では、熱間圧延によりオーステナイト結晶粒内に歪を蓄積させ、蓄積された歪の解放を熱間圧延後の冷却によって抑制し、所定の低温域になった段階でこの歪を駆動力として、オーステナイトからフェライトへの変態を一気に促進させることにより、結晶粒の微細化を図る。そのため、熱間圧延完了後0.5秒間以内に400℃/秒以上の平均冷却速度で820℃まで冷却する。これにより、熱間圧延によりオーステナイト結晶粒内に蓄積された歪の解放を820℃以下の温度域まで抑制し、820℃以下の温度域において当該歪を駆動力として、オーステナイトからフェライトへの変態を一気に促進させることにより結晶粒を微細化させることができる。
熱間圧延完了から820℃までの冷却時間が0.5秒間を超えたり、熱間圧延完了温度から820℃までの平均冷却速度が400℃/秒未満であったり、冷却完了温度が820℃を超えたりすると、熱間圧延によってオーステナイト結晶粒内に蓄積された歪が820℃を超える温度域において容易に解放されてしまい、熱延鋼板の結晶粒の微細化を図ることが困難となる。熱間圧延完了から780℃までの冷却時間を0.5秒間以内とすることが好ましく、熱間圧延完了から750℃までの冷却時間を0.5秒間以内とすることがさらに好ましい。なお、ここでいう平均冷却速度は、空冷部分を除外し、水冷却等により強制冷却を行っている部分における平均冷却速度を意味する。
これらの冷却時間は、短ければ短いほど前記歪の解放を抑制できるので、下限は特に規定する必要はない。0.40秒間以下とすることが好ましく、0.36秒間以下とすることがさらに好ましく、0.30秒間以下とすることが特に好ましい。
前記平均冷却速度は、高ければ高いほど前記歪の解放を抑制できるので、上限は特に規定する必要はない。500℃/秒以上とすることが好ましく、600℃/秒以上とすることがより好ましく、700℃/秒以上とすることがさらに好ましく、800℃/秒以上とすることが最も好ましい。
冷間圧延および焼鈍後の深絞り性の観点から前記平均冷却速度の上限を規定する必要はないが、冷却能力を上げるには冷却設備が大掛かりとなり製造コストが嵩むだけでなく、冷却ムラの発生あるいは冷却停止温度の制御が困難となる場合がある。このため、2000℃/秒以下としてもよい。
冷却完了温度は、後述する巻取温度を確保できる範囲内において、低ければ低いほど前記歪の解放を抑制できるので好ましい。したがって、800℃以下とすることが好ましく、770℃以下とすることがさらに好ましく、700℃以下とすることが特に好ましく、650℃以下とすることが最も好ましい。
上記冷却完了温度から巻取り温度までの降温過程においては、フェライトの核生成密度が高いことや比較的低温域であることにより顕著な粒成長は生じにくい。したがって、この降温過程における平均冷却速度は特に規定する必要はなく、放冷してもよい。しかし、この過程でもある程度の粒成長は生じうるので、結晶粒の粗大化をより確実に抑制するために水冷してもよい。水冷する場合には、この降温過程における平均冷却速度を10℃/秒以上とすることが好ましい。さらに好ましくは20℃/秒以上、より好ましくは30℃/秒以上である。
巻取りは、400℃以上、700℃未満の温度域で行う。巻取温度が700℃以上になると巻取り後の徐冷中に結晶粒が粗大化したり、鉄−りん化合物が析出して、冷間圧延および焼鈍後の深絞り性が低下する場合がある。さらに表面疵の発生やスケールロスによる歩留り低下といった問題が生じる場合がある。したがって、巻取温度は700℃未満とする。本発明に係る冷延鋼板は、従来技術に比して冷間圧延および焼鈍後の冷延鋼板の深絞り性に及ぼす巻取温度の影響が小さいので、深絞り性の確保のために巻取温度を高温化する必要はない。したがって、従来技術よりも巻取温度の低く抑えることによって表面疵の発生を抑制することができる。このような観点から、巻取温度は、好ましくは640℃以下、さらに好ましくは620℃以下、特に好ましくは600℃以下である。一方、巻取温度が400℃を下回ると、微細な炭窒化物が析出したり、炭窒化物の析出が不十分となって固溶Cや固溶Nが残存したりして、冷間圧延および焼鈍後の深絞り性が低下する場合がある。したがって、巻取温度は400℃以上とする。好ましくは450℃以上であり、さらに好ましくは500℃以上である。
(5)冷却設備
本発明では、上記の熱間圧延完了からの急速冷却を行う設備を限定しない。工業的には、水量密度の高い水スプレー装置を用いることが好適である。例えば、圧延板搬送ローラーの間に水スプレーヘッダーを配置し、板の上下から十分な水量密度の高圧水を噴射することで冷却することができる。
(6)酸洗
上記熱間圧延により得られた熱延鋼板に酸洗を施す。本発明における酸洗は、熱延鋼板の表面に形成されたスケールの除去のみを目的とするものであるから、酸洗の態様は特に限定する必要はなく、常法でかまわない。
(7)冷間圧延
上記酸洗により得られた酸洗鋼板に圧下率:60%以上、95%以下の冷間圧延を施す。極低炭素鋼の場合、冷間圧延率がある程度高くなるほど焼鈍後のr値が高くなる傾向を示す。冷間圧延の圧下率が60%未満では、焼鈍後のr値の向上が不十分であり好ましくない。一方、冷間圧延の圧下率が95%を超えると、深絞り性を劣化させる集合組織が発達するようになり、却って焼鈍後のr値を低下させる。また、冷間圧延の生産性も低下する。したがって、冷間圧延の圧下率は60%以上、95%以下とする。
冷間圧延に供する鋼板の板厚は、生産性と冷間圧延率の両立の観点から、2.8mm以上とすることが好ましい。さらに3.0mm以上が好ましく、より好ましくは3.2mm以上である。
(8)焼鈍
上記冷間圧延により得られた冷延鋼板に700℃以上、910℃以下の温度域で焼鈍を施す。焼鈍温度が700℃未満では再結晶が不十分となり、得られる鋼板が硬質となるだけでなく、伸びや深絞り性が劣化する。一方、焼鈍温度が910℃を超えると、製造コストの増大を招くだけでなく、オーステナイトへの変態が過剰に起きてr値にとって好ましい集合組織の形成が阻害される。したがって、焼鈍温度は700℃以上、910℃以下とする。焼鈍温度の下限は、750℃以上が好ましく、780℃以上がさらに好ましく、800℃以上が特に好ましい。上限は880℃以下が好ましく、850℃以下がさらに好ましい。
焼鈍方法は連続焼鈍、箱焼鈍のいずれでもかまわない。また、連続溶融亜鉛めっきラインを用いて焼鈍後、溶融亜鉛めっきもしくは合金化溶融亜鉛めっきを行ってもよい。また、焼鈍後の鋼板に電気めっき、たとえば亜鉛系めっき(純亜鉛めっきおよびZn−Ni合金めっきのような亜鉛合金めっきを包含する)を施してもよい。これらのめっきはいずれも常法にしたがって行えばよい。
連続焼鈍を行うときは、700℃以上、910℃以下の温度域に保持する均熱時間(焼鈍時間)を10〜130秒間とすることが好ましい。この均熱時間が10秒間以下では再結晶が不十分となる場合がある。一方、均熱時間が130秒間を超えると製造コストの増大を招く。均熱時間は20秒以上がさらに好ましく、30秒以上がより好ましい。一方、上限は100秒間以下がさらに好ましく、60秒間以下がより好ましい。
(9)スキンパス圧延
降伏点伸び発生が懸念される場合には、プレス成形時のストレッチャーストレイン抑制のために、焼鈍後に伸び率0.5〜2%のスキンパス圧延することが好ましい。
表1に示す化学組成の鋼片を、1200℃に加熱した後、実験圧延機を使用して、表2に示す条件で熱間圧延、冷却制御および巻取りシミュレーションを行い、板厚3.5mmの熱延鋼板を得た。ここで、冷却停止後の温度から、巻取りシミュレーションの温度までは、放冷を行った。その後、熱延鋼板の表面のスケールを酸洗により除去した後、圧下率80%の冷間圧延をして板厚0.7mmとした。昇温速度10℃/秒、焼鈍温度820℃、均熱時間30秒、冷却速度10℃/秒の連続焼鈍相当の焼鈍を施した後、1%の調質圧延を行った。
なお、巻取りシミュレーションとは、巻取り温度まで冷却した鋼板を、巻取り温度に相当する温度に保持した電気炉に装入し、その温度で30分保持した後、20℃/時で冷却することにより行うものであり、巻取り後の温度履歴を模擬したものである。
上記の熱延鋼板については、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)法を用いて結晶方位解析を行うことにより、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置(1/4t位置と略記)でのフェライトの平均結晶粒径を求めるとともに、鋼板表面から板厚の1/16深さ位置での平均結晶粒径(d)および板厚中心位置での平均結晶粒径(d)を測定し、これらの比(d/d)を求めた。
さらに、上記の熱延鋼板の表面から板厚の1/16深さ位置(1/16t位置と略記)において、X線回折によって測定した{110}、{200}、{211}極点図から3次元集合組織解析を行い、{110}<223>および{211}<111>方位のランダムに対する密度を求めた。
上記の冷延鋼板については、圧延方向に対して0°、45°および90°方向のJIS 5号試験片を採取して引張り試験を行い、圧延方向に対して0°、45°および90°方向のYS(それぞれ、YS0,YS45およびYS90と表記する)、TS(それぞれ、TS0,TS45およびTS90と表記する)、El(それぞれ、El0,El45およびEl90と表記する)およびr値(それぞれ、r0,r45およびr90と表記する)を求めた。YS、TS、Elおよびr値について、次の方法で平均YS、平均TS、平均El、平均r値およびΔrを求めた:
平均YS=(YS0+YS90+YS45×2)/4
平均TS=(TS0+TS90+TS45×2)/4
平均El=(El0+El90+El45×2)/4
平均r値=(r0+r90+r45×2)/4
Δr=(r0+r90−r45×2)/2
平均r値および|Δr|の値を、r45(圧延方向に対して45°方向のr値)および最小r値(r0、r45、r90の中の最小値)とともに記録した。なお、|Δr|の値はr値の面内異方性の指標である。
以上の試験結果を表3に示す。
Figure 2011214068
Figure 2011214068
Figure 2011214068
表2および3から明らかなように、本発明の条件を満たす試験番号1〜4、8、9、12、13、15、17、19および21では、何れも深絞り性の良好で、特にr45が向上した冷延鋼板が得られた。さらに、軟鋼板についてのr値の面内異方性の指標|Δr|も低減し、最小r値も顕著に向上した。
熱間圧延後の急冷停止温度のみが異なる試験番号1〜3を比較すると、圧延完了から750℃までの冷却時間が0.5秒間以内であった試験番号3が、深絞り性に関するすべての試験項目(平均r値、最小r値、|Δr|、r45)で最も結果がよく、特にr45の値が高くなった。次にr45の値が高かったのは圧延完了から780℃までの冷却時間が0.5秒間以内であった試験番号2であった。したがって、本発明では、圧延完了から0.5秒間以内で到達する冷却温度は820℃以下とするが、好ましくは780℃以下であり、特に好ましくは750℃以下であることがわかる。
一方、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率が45%以上、または最終パスの圧下率が25%以下の試験番号5および6は、深絞り性は比較的良好なものの、発明例に比べると低い。さらに、熱間圧延完了から820℃までの冷却時間が0.5秒間を超え、かつ熱間圧延完了から820℃までの平均冷却速度が400℃/秒未満であった試験番号7、10、11、14、16、18、20および22では、熱延鋼板において、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径が16μmを超えるか、d/dが0.90を超え、いずれもr45の値が小さく、深絞り性に劣っていた。さらに、軟鋼板についてはr値の面内異方性の指標である|Δr|が上昇し、最小r値は低下した。また、本発明の成分を外れる鋼種H、Iを使用した試験番号23および24では、平均r値、最小r値、r45の値がともに低かった。

Claims (7)

  1. 下記工程(A)〜(D)を含むことを特徴とする冷延鋼板の製造方法:
    (A)質量%で、C:0.010%未満、Si:1.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.10%以下、S:0.010%以下、Al:0.0005%以上0.10%以下、N:0.0060%以下、Ti:0.001%以上0.10%以下、およびNb:0.001%以上0.10%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなるとともに、下記式(1)式を満足する化学組成を有する鋼塊または鋼片に、最終パスの1つ前および2つ前の2パスの合計圧下率を45%未満かつ最終パスの圧下率を25%超とし、(Ar点−30℃)以上かつ880℃以上で圧延を完了する多パスの熱間圧延を施し、前記熱間圧延完了後0.5秒間以内に400℃/秒以上の平均冷却速度で820℃まで冷却し、400℃以上700℃未満の温度域で巻き取って熱延鋼板とする熱間圧延工程;
    (B)前記熱延鋼板に酸洗を施して酸洗鋼板とする酸洗工程;
    (C)前記酸洗鋼板に圧下率:60〜95%の冷間圧延を施して冷延鋼板とする冷間圧延工程;および
    (D)前記冷延鋼板に700〜910℃の温度域で焼鈍を施す焼鈍工程。
    (C/12+N/14+S/32)/(Ti/48+Nb/93)≦1.4・・・ (1)
    上記式中の元素記号は各元素の鋼中における含有量(単位:質量%)を示す。
  2. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、V:1質量%以下を含有するとともに、前記式(1)に代えて下記式(2)を満足する、請求項1に記載の冷延鋼板の製造方法。
    (C/12+N/14+S/32)/(Ti/48+Nb/93+V/51)≦1.4
    ・・・ (2)
    上記式中の元素記号は各元素の鋼中における含有量(単位:質量%)を示す。
  3. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、B:0.0030質量%以下を含有する、請求項1または2に記載の冷延鋼板の製造方法。
  4. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Cr:1.0%以下および/またはMo:1.0%以下を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
  5. 前記化学組成が、Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.010%以下、Zr:0.10%以下およびREM:0.10%以下からなる群から選ばれる1種または2種以上を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
  6. 工程(A)で得られた熱延鋼板が、鋼板表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径が16μm以下であり、かつ、鋼板表面から板厚の1/16深さ位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)と板厚中心位置におけるフェライト平均結晶粒径(d)との比(d/d)が0.90以下である組織を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
  7. 工程(C)で冷間圧延が施される酸洗鋼板の板厚が2.8mm以上である、請求項1〜6のいずれかに記載の冷延鋼板の製造方法。
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