JPH076552U - 歯付きベルト用オイル式テンショナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 高圧油室へのオイルの流動抵抗が少なく、ベ
ルト弛緩時の応答性にすぐれた歯付きベルト用オイル式
テンショナの提供。 【構成】 ハウジング２０の第３円筒部２３には、シリ
ンダ３０が圧入される。ロッド４０はシリンダ３０に対
して小間隙をもって嵌装され、シリンダ３０との間で高
圧油室５０を形成する。ロッド４０は圧縮ばね５５によ
る突出力を付与される。テンショナ１０は、ハウジング
２０、シリンダ３０、ロッド４０及びシール手段５３に
より区画された低圧油室５１と、ハウジング２０、シリ
ンダ３０及び容積変化吸収手段５４により区画されたオ
イルリザーバ５２を有する。高圧油室５０とオイルリザ
ーバ５２は油路３３によって連通する。油路３３にはチ
ェックバルブ５７が設けられており、ハウジング２０と
シリンダ３０の間には、低圧油室５１とオイルリザーバ
５２を連通する油路５８が形成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、歯付きベルト用オイル式テンショナに関する。

【０００２】 図６は、従来のテンショナ８０であり、シリンダ８２に小間隙をもって嵌装さ れたピストン８４と、ピストン８４によって分割された高圧油室８６と低圧油室 ８８と、ピストン８４に突出力を付与するばね９０と、ピストン８４に形成され た油路９２に設けられ低圧油室８８から高圧油室８６へのオイルの流入のみを許 すチェックバルブ９４と、低圧油室８８に連通するオイルリザーバ９６とを有し てなる。ピストン８４が突出するとき、高圧油室８６の容積は増加する。オイル リザーバ９６内のオイルは、低圧油室８８、油路９２及びチェックバルブ９４を 通じて高圧油室８６に流入する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記テンショナは以下の問題がある。 (1) 第１に、テンショナ８０の形状に関する問題である。すなわち、オイルリ ザーバ９６はシリンダ８２の径方向の外部に設けられているので、この種のテン ショナ１０は大きなサイズのものになるという問題である。 (2) 第２に、歯付きベルト弛緩時におけるピストン８４の応答性が悪いという 問題である。すなわち、ピストン８４の突出時において、オイルリザーバ９６内 のオイルは、低圧油室８８、油路９２及びチェックバルブ９４を通じて高圧油室 ８６に流入する。従って、適量のオイルが高圧油室８６に流入するまで、ピスト ン８４は前後動する。その間、歯付きベルトは適切な張力を付与されず、騒音を 発生する。 (3) 第３に、ピストン８４の突出時において、低圧油室８８が負圧になるとい う問題である。すなわち、適量のオイルが高圧油室８６に流入するまで、低圧油 室８８は負圧（ゲージ圧）になる。そのため、シール手段９８から低圧油室八八 内に空気が侵入し、オイルに空気が混入する恐れがある。オイルの混入により、 いわゆるスポンジ現象が生じ、これも騒音の原因となる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、中空ハウジングと、該ハウジング内に圧入され、油路を具えた底部 が形成された中空シリンダと、前記シリンダに対して小間隙をもって摺動可能で あり、前記シリンダとの間で高圧油室を形成するロッドと、前記ハウジングに対 して前記ロッドを突出する方向に付勢するばね手段と、前記シリンダの底部側に おいて、前記ハウジング、前記シリンダ及び容積変化吸収手段により区画された オイルリザーバと、前記底部の油路に設けられ、前記オイルリザーバから前記高 圧油室へのオイルの流入のみを許すチェックバルブと、前記シリンダの開口側に おいて、前記ハウジング、前記シリンダ、前記ロッド及びシール手段により区画 された低圧油室と、前記ハウジングと前記シリンダとの間に形成され、前記低圧 油室と前記オイルリザーバを連通する油路とを有してなる歯付きベルト用オイル 式テンショナにより前記課題を解決した。

【０００５】

【作用】

歯付きベルトが弛緩すると、その張力を回復させようとしてロッドが突出する 。その結果、高圧油室の容積が拡大する。高圧油室の拡大容積分に対応するオイ ルは、シリンダの底部の油路及びチェックバルブを通じ、オイルリザーバから直 ちに高圧油室に流入する。

【０００６】 歯付きベルトが緊張すると、その張力を緩和させようとしてロッドが後退する 。その結果、高圧油室の容積は縮小する。高圧油室の縮小容積分に対応するオイ ルは、シリンダとロッドとの間の小間隙を通じ、低圧油室に流出する。流出した オイルは、ハウジングとシリンダとの間に形成された油路を通じてオイルリザー バに還流する。

【０００７】 また、本考案のテンショナは、ロッドが進退動しても、低圧油室は容積変化を 生じない。従って、低圧油室内の油圧変化は生じにくい。しかしながら、それで も、ロッドが進退動する時に、シール手段とロッドとの間から空気が低圧油室内 に侵入することを完全に防止することは困難である。

【０００８】 そのため、本考案では前記ロッドに前記低圧油室内において前記ハウジングに 間隙をもって固定されたピストンを設けられている。この構成により、ロッドの 突出時においてシール手段には正圧（ゲージ圧）が作用するので、空気の侵入を 防止することができる。

【０００９】 さらに、前記ピストンに前記ロッドの突出時に閉じ且つ前記ロッドの後退時に 開く弁手段を設けることにより、ロッドの突出時にはシール手段近傍の油圧を正 圧に保ち、且つロッドの後退時にはシール手段近傍の油圧を負圧にならないよう にして、空気の侵入を防止することができる。

【００１０】

【実施例】

図１は本考案による歯付きベルト用オイル式テンショナの第１実施例を示して いる。テンショナ１０は、アルミダイカスト製中空ハウジング２０と、シリンダ ３０と、ロッド４０とを有してなる。ロッド４０に付与される突出力は、アーム １２及びアイドラローラ１４を介して歯付きベルト１６に伝達される。ハウジン グは、ボルト１８によってエンジンブロックに固定される。

【００１１】 図２に詳細に示されるように、ハウジング２０には、アーム側から、同軸上に おいて、第１円筒部２１、第２円筒部２２、第３円筒部２３、段部２４、リザー バ部２５が形成されている。第２円筒部２２の内径は第１円筒部２１の内径より 小さく、第３円筒部２３の内径は第２円筒部２２の内径より小さい。

【００１２】 シリンダ３０は、一端に開口３１を有する中空円筒状である。他端の底部３２ には、中心に油路３３が形成されている。シリンダ３０は、ハウジング２０の第 ３円筒部２３に圧入される。ロッド４０は シリンダ３０に対して小間隙をもっ て摺動するように嵌装され、シリンダ３０との間で高圧油室５０を形成する。

【００１３】 テンショナ１０は、アーム１２側において、ハウジング２０、シリンダ３０、 ロッド４０及びシール手段５３により区画された低圧油室５１を有する。ロッド ４０は、低圧油室５１内において、ピストン４１を有する。

【００１４】 図１及び図３に示されるように、ピストン４１はピン４２によってロッド４０ に固定されている。ピストン４１は、ハウジング２０の第１円筒部２１の内周に 対して間隙を有する。オイルは、ピストン４１の前後において、僅かな流動抵抗 をもって流動する。５５は、第２円筒部２２と第３円筒部２３との間の肩部２６ と、ピストン４１との間に配置された圧縮ばねである。圧縮ばね５５はロッド４ ０に突出力を付与する。なお、圧縮ばね５０は高圧油室５０に配置される場合も ある。５６はロッドの突出量制限リングである。

【００１５】 テンショナ１０は、アーム１２の反対側において、ハウジング２０、シリンダ ３０及び容積変化吸収手段５４により区画されたオイルリザーバ５２を有する。 容積変化吸収手段５４は、ダイアフラムである。オイルリザーバ５２は、シリン ダ３０の底部３２の油路３３を介して高圧油室５０に連通している。しかし、油 路３３にはチェックバルブ５７が設けられており、このチェックバルブ５７は、 オイルリザーバ５２から高圧油室５０へのオイルの流入をのみを許す。

【００１６】 図１及び図４に示されるように、第３円筒部２３及び段部２４には、軸方向に 延びる一対の油路５８，５８が形成されている。油路５８，５８は、ハウジング ２０にシリンダ３０を圧入したときに形成される。低圧油室５１とオイルリザー バ５２は、この油路５８，５８によって連通する。

【００１７】 図５は本考案による歯付きベルト用オイル式テンショナ１０’の第２実施例で ある。第１実施例と異なる構成は、弁手段４３を有する点にある。弁手段４３は 、軸方向に貫通する複数の孔４４を具えたピストン４５と、ピストン４５のシー ル側においてロッド４０’上を摺動する弁部材４６と、弁部材４６の軸方向移動 量を制限するストッパピン４７とからなる。

【００１８】 ロッド４０’が前進すると、弁部材４６が孔４４を塞ぎ、ピストン４５より前 方の低圧油室５１’の油圧を正圧に維持する。ロッド４０’が後退すると、弁部 材４６が開き、孔４４を通じてピストン前方の低圧油室５１’にオイルが速やか に流入する。弁手段４３は、低圧油室５１’を正圧に維持することにより、シー ル手段５３’から低圧油室５１’内に空気が侵入することを防止する。

【００１９】

【考案の効果】

請求項１の考案は、以下の効果を奏する。 (1) ロッドの突出時にオイルリザーバから高圧油室へのオイルの流入が迅速に 行われるので、歯付きベルトの弛緩に対するロッドの応答性が向上する。 (2) 低圧油室は容積の変化を生じず、また、油圧の変化も起こりにくい。従っ て、ロッドとシール手段との間から空気が侵入することが殆どなく、空気の侵入 に伴う振動発生及び騒音発生を防止することができる。 (3) オイルリザーバをハウジングと同軸上に設けたことにより、ハウジングの 外形がストレートになってエンジンへの装着の自由度が増すとともに、オイルリ ザーバの加工が容易である。 (4) シリンダとハウジングを分離することによりハウジングをアルミダイカス ト製にすることができ、大幅に軽量化を図ることができるとともに、加工コスト を低減することができる。

【００２０】 請求項２の考案では、ロッドの突出時においてシール手段には正圧が作用する ので、低圧油室から空気が侵入することを防止することができる。

【００２１】 請求項３の考案では、ロッドの突出時にはシール手段近傍の油圧を正圧に維持 し、且つロッドの後退時にはシール手段近傍の油圧を負圧にならないようにして 、低圧油室に空気が侵入することを防止することができる。

【提出日】平成５年９月２９日

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００３

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところが、上記テンショナは以下の問題がある。 （１）第１に、テンショナ８０の形状に関する問題である。すなわち、オイル リザーバ９６はシリンダ８２の径方向の外部に設けられているので、この種のテ ンショナ８０は大きなサイズのものになるという問題である。 （２）第２に、歯付きベルト弛緩時におけるピストン８４の応答性が悪いとい う問題である。すなわち、ピストン８４の突出時において、オイルリザーバ９６ 内のオイルは、低圧油室８８、油路９２及びチェックバルブ９４を通じて高圧油 室８６に流入する。従って、適量のオイルが高圧油室８６に流入するまで、ピス トン８４は前後動する。その間、歯付きベルトは適切な張力を付与されず、騒音 を発生する。 （３）第３に、ピストン８４の突出時において、低圧油室８８が負圧になると いう問題である。すなわち、適量のオイルが高圧油室８６に流入するまで、低圧 油室８８は負圧（ゲージ圧）になる。そのため、シール手段９８から低圧油室８ ８ 内に空気が侵入し、オイルに空気が混入する恐れがある。オイルの混入により 、いわゆるスポンジ現象が生じ、これも騒音の原因となる。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１７

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１７】 図５は本考案による歯付きベルト用オイル式テンショナ１０’の第２実施例で ある。第１実施例と異なる構成は、弁手段４３を有する点にある。弁手段４３は 、軸方向に貫通する孔４４を具えたピストン４５と、ピストン４５のシール側に おいてロッド４０’上を摺動する弁部材４６と、弁部材４６の軸方向移動量を制 限するストッパピン４７とからなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による歯付きベルト用オイル式テンショ
ナの第１実施例を示す断面図である。

【図２】図１のハウジングを一部破断した斜視図であ
る。

【図３】図１の３−３線断面図である。

【図４】図１の４−４線断面図である。

【図５】本考案による歯付きベルト用オイル式テンショ
ナの第１実施例を示す断面図である。

【図６】従来の歯付きベルト用オイル式テンショナの断
面図である。

【符号の説明】

１０，１０’ 歯付きベルト用オイル式テンショナ ２０ 中空ハウジング ３０ シリンダ ３２ 底部 ３３ 油路 ４０，４０’ ロッド ４１ ピストン ４３ 弁手段 ４５ ピストン ５０ 高圧油室 ５１，５１’ 低圧油室 ５２ オイルリザーバ ５３，５３’ シール手段 ５４ 容積変化吸収手段（ダイヤフラム） ５５ 圧縮ばね ５７ チェックバルブ ５８ 油路

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【手続補正書】

【提出日】平成５年９月２９日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項１

【補正方法】変更

【補正内容】

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 中空ハウジングと、 該ハウジング内に圧入され、油路を具えた底部が形成さ
   れた中空シリンダと、 前記シリンダに対して小間隙をもって摺動可能であり、
   前記シリンダとの間で高圧油室を形成するロッドと、 前記ハウジングに対して前記ロッドを突出する方向に付
   勢するばね手段と、 前記シリンダの底部側において、前記ハウジング、前記
   シリンダ及び容積変化吸収手段により区画されたオイル
   リザーバと、 前記底部の油路に設けられ、前記オイルリザーバから前
   記高圧油室へのオイルの流入のみを許すチェックバルブ
   と、 前記シリンダの開口側において、前記ハウジング、前記
   シリンダ、前記ロッド及びシール手段により区画された
   低圧油室と、 前記ハウジングと前記シリンダとの間に形成され、前記
   低圧油室と前記オイルリザーバを連通する油路と、 を有してなる、歯付きベルト用オイル式テンショナ。
2. 【請求項２】 前記ロッドは、前記低圧油室内において
   前記ハウジングに間隙をもって固定されたピストンを有
   する、第１項のオイル式テンショナ。
3. 【請求項３】 前記ピストンは、前記ロッドの突出時に
   閉じ且つ前記ロッドの後退時に開く弁手段を有する、第
   ２項のオイル式テンショナ。