JPH076087B2 - 高強力高モジユラスpva繊維およびその製造法 - Google Patents

高強力高モジユラスpva繊維およびその製造法

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JPH076087B2 JP60221454A JP22145485A JPH076087B2 JP H076087 B2 JPH076087 B2 JP H076087B2 JP 60221454 A JP60221454 A JP 60221454A JP 22145485 A JP22145485 A JP 22145485A JP H076087 B2 JPH076087 B2 JP H076087B2
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【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、高強度高モジユラスなポリビニルアルコール
(本願明細書ではPVAと略記しており、以下も同様略記
する)繊維およびその製造法に関するものであり、特に
産業資材用および複合材の強化用に適したPVA繊維を得
ようとするものである。
〈従来の技術〉 従来PVA繊維は、ポリアミド、ポリエステル、ポリアク
リロニトリル系繊維に比べ、強度、モジユラスが高く、
その主用途である産業資材用繊維としてはもちろん、最
近ではアスベスト代替繊維としてセメントの補強材にも
使用されようとしている。
しかしこれまで得られたPVA繊維は、芳香族ポリアミド
(アラミド)繊維や超高分子量ポリエチレン繊維の如き
高い強度やモジユラスを有していなかつた。
PVA繊維は通常PVA水溶液を紡糸原液として用い凝固性無
機塩水溶液中で湿式紡糸し、延伸、乾燥、熱処理等の処
理を施す方法により製造されているが、このPVA繊維の
強度および弾性率を向上させるために各種の方法が提案
されてきた。
たとえば特公昭43-16675号公報にはPVAのジメチルスル
ホキシド(以下DMSOと略す)溶液を紡糸原液としてメタ
ノール、エタノール、ベンゼン、クロロホルム等の有機
溶剤中に湿式紡糸する方法、特開昭56-128309号公報に
は湿式または乾式紡糸法によつて得られたPVA繊維を少
なくとも10倍以上に延伸した後熱処理する方法が提案さ
れている。また特公昭37-14422号公報や特公昭47-32142
号公報にはホウ酸またはホウ酸塩を含有するPVA水溶液
を種々の塩を含むアルカリ性凝固浴中に紡糸し、ホウ酸
をPVAに架橋させた後、再びホウ酸またはその架橋物を
その後の中和、水洗などの工程で除去する方法が開示さ
れている。しかしこれらの方法によつて得られるPVA繊
維の延伸倍率は15倍以下であり、得られる繊維の強度は
12g/dr以下、モジユラスは400g/dr以下であつた。
一方特開昭60-126312号公報にはPVAの重合度が約4000で
DMSOを溶媒とした乾湿式紡糸方法により、延伸倍率約30
倍、強度20g/dr、モジユラス450g/drのPVA繊維を得るこ
とが示されているが、本発明の如く容易に強度20g/dr以
上、モジユラス500g/dr以上を突破することは難しい。
超高分子量ポリエチレンのゲル紡糸−超延伸の考え方を
PVA繊維に応用した例として特開昭59-130314号公報があ
るが、これは重合度約30000のPVAを用い、グリセリンま
たはエチレングリコールを溶媒として冷却によりゲル繊
維をつくり、最高強度19g/dr、モジユラス500〜600g/dr
のPVA繊維を得る方法である。しかしPVA繊維にはポリエ
チレン繊維と異なり分子間および分子内に水素結合を有
し、折りたたみ分子鎖をとりずらいと考えられており、
高重合度PVAで濃度を低くし、分子鎖のからみを少なく
してもいまだ満足すべき高い延伸倍率と高強度高モジユ
ラスのPVA繊維を得ることは困難であつた。
高強力高モジユラス繊維を得るには分子鎖を高度に配向
する必要があり、そのために高倍率に延伸する必要があ
る。PVA繊維の場合高倍率延伸で高強度化高モジユラス
化を行なうためには次の点が考えられる。
(1)高重合度PVAを用いる …分子鎖末端の低下による欠陥部の減少 高延伸張力の維持 結晶非晶間の連結による強度寄与率の増大 (2)低濃度PVA溶液を用いる …分子鎖のからみを少なくし延伸倍率を増大 (3)ゲル紡糸を行なう …分子鎖形態を固定し分子鎖のからみの発生を抑制 (4)分子間の水素結合を抑制する …延伸時の分子鎖およびラメラ間のすべりを向上 (5)分子鎖間に適度の空隙を与える …延伸時の分子鎖およびラメラ間のすべりを向上 (6)延伸時に繊維の白化(ボイド)および着色分解を
抑える …強度、モジユラスの低下防止 従来上記(1)〜(5)を満足し高倍率延伸による高強
度高弾性率PVA繊維を得る方法は見出されていなかっ
た。
〈発明が解決しようとする問題点〉 以上の背景をふまえて本発明は、高重合度PVAを用い、
ホウ酸またはホウ酸塩を添加して架橋により溶液粘度を
増大させて、低濃度PVA溶液を安定にゲル紡糸すると共
に、架橋したホウ素を一部除去することにより延伸倍率
を増大させ、容易にかつ安定に高強力高モジユラスPVA
繊維を得んとするものである。
〈問題点を解決するための手段〉 すなわち本発明は高強力高モジユラスPVA繊維を得るた
めの方法として、重合度が少なくとも1500以上、好まし
くは3000以上のPVA重合体の低濃度溶液にホウ酸または
ホウ酸塩を添加してPVAを架橋させ、分子鎖のからみの
少ない低濃度溶液を安定にゲル紡糸したのち、架橋した
ホウ素を一部除去することにより適度の水素結合の抑制
と分子鎖間またはラメラ間に適度の空隙を与え容易にか
つ安定に高倍率延伸を可能ならしめようとしたものであ
る。
更に詳しく述べれば本発明は、平均重合度が1500以上の
PVAにホウ酸またはホウ酸塩を添加した紡糸原液をゲル
紡糸して得られたPVA繊維であって、繊維中にPVAに対し
て0.05〜0.8重量%のホウ酸またはホウ酸塩に相当する
ホウ素が存在し、単繊維の引張強度が15g/dr以上、引張
モジュラスが400g/dr以上である高強力高モジュラスPVA
繊維であり、好ましくは平均重合度が6000以上のPVAか
らなり、単繊維の強度が20g/dr以上、引張モジュラスが
500g/dr以上である高強力高モジュラスPVA繊維であり、
そしてこのような繊維の製造方法として、平均重合度が
1500以上のPVA重合体をゲル紡糸の可能な溶媒に溶解す
る際にpHを5〜9にしてホウ酸またはホウ酸塩を該重合
体に添加し、得られた溶液をノズルより吐出させ冷却に
よりゲル化させたのち、溶媒を全部又は大部分除去する
とともに該重合体に対し0.05〜0.8重量%のホウ酸また
はホウ酸塩に相当するホウ素を残存させ、しかるのち高
倍率に延伸することを特徴とする高強力高モジュラスPV
A繊維の製造法であり、好ましくは製造法において、PVA
の平均重合度が6000以上であり、またPVA重合体の溶媒
がエチレングリコールまたはグリセリンであり、また全
延伸倍率が少なくとも20倍であるPVA繊維の製造法に関
するものである。
以下本発明の内容を更に詳細に説明する。
本発明に言うPVAとは、30℃の水溶液で粘度法により求
めた平均重合度が1500以上のものであり、ケン化度が98
%以上で、分岐度が低い直鎖状のPVA重合体を意味す
る。平均重合度が高いほど高強力繊維を得る可能性は大
きいが、その場合PVA濃度を低下しないと粘度が高すぎ
て溶媒への溶解性や紡糸性が低下する。PVAの平均重合
度は、より好ましくは6000以上、さらに好ましくは1000
0以上であり、PVA濃度を15重量%以下、好ましくは10重
量%以下、さらに好ましくは5重量%以下にして分子鎖
のからみを少なくするのが望ましい。
溶媒は、分子鎖のからみを少ない状態で固定するために
冷却により容易にゲル化する貧溶媒であり、かつPVAを
均一に溶解するものが好ましい。かかる溶媒としては、
エチレングリコール、トリメチレングリコール、ジエチ
レングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、お
よび水とDMSO混合溶媒、あるいは水とロダン塩や塩化カ
ルシウムなどが無機塩との混合溶媒などがあるが、本発
明はこれに限定されるものではない。ただし200℃以上
での溶解および紡糸はPVAの着色、分解を伴い易いの
で、それ以下の温度でPVAを溶解する溶媒が望ましい。
本発明ではPVAと溶媒の混合液に、ホウ酸またはホウ酸
塩を1〜15重量%添加し、さらにpHを5〜9にするため
にアルカリまたは酸を添加しても良い。
ホウ酸またはホウ酸塩の添加時期は、PVAと溶媒の分散
液の状態が好ましく、PVAが溶媒に溶解した後に添加し
た場合は局部的に架橋が起り、紡糸原液の粘度斑を生じ
る。
本発明の特徴の1つは、紡糸原液の状態でホウ酸または
ホウ酸塩をPVAと架橋させ、粘度増加によりPVA濃度を低
下して紡糸することである。これにより分子鎖のからみ
の少ない高倍率延伸の可能な紡糸原糸を得ることができ
る。
ホウ酸またはホウ酸塩をPVAと架橋させるには、pHを5
以上にする必要があるが、pHが9以上ではPVAポリマー
の着色分解が起り易く好ましくない。pHの特に好ましい
範囲は5.5〜7.5である。
一方ホウ酸またはホウ酸塩の添加量はPVAに対し0.05〜1
0重量%が好ましい。0.05重量%未満では本発明の特徴
である増粘効果によるPVA濃度の低下や水素結合抑制効
果などが見られずらくなり、最終的には高強力高モジユ
ラスPVA繊維を得ることは難しくなる。ホウ酸またはホ
ウ酸塩の添加量が10重量%を超えた場合は増粘によるPV
A濃度の低下は期待できるが、未架橋のホウ酸およびホ
ウ酸塩によるコスト増大を招き、さらに架橋ホウ素の大
部分を除去することが困難となり、逆に延伸性が劣る現
象が見られ好ましくない。
なおPVAの重合度および濃度とホウ酸またはホウ酸塩の
添加量とは、原液粘度を紡糸に好ましい500〜5000ポイ
ズにするために、相反する関係にある。すなわちPVA重
合度が低く、PVA濃度が低い場合はホウ酸またはホウ酸
塩の添加量を多くする必要がある。
本発明ではホウ素架橋PVAを溶媒に完全に溶解した後、
該紡糸原液をノズルより吐出させ同時に気体または/お
よび液体で冷却してゲル化により繊維化する。得られた
ゲル繊維には多量の溶媒と架橋しているホウ素が含まれ
ており、水、メタノール、エタノール、アセトンなどの
抽出剤でそれらを除去する必要がある。なお抽出剤はこ
れに限定するものではない。架橋ホウ素を除去するには
水または希薄な無機酸の水溶液で洗浄すれば良いが、水
が存在するとPVAは膨潤し伸長するので、少しの張力を
与えながら行なうのが好ましい。またPVA繊維に水が含
まれているとボビンへの捲取つた後で繊維同志の膠着が
起り易いので、水洗した後アルコールやアセトンなどで
水を除去したり乾燥で除去するのが望ましい。
本発明のもう1つの特徴は溶媒および架橋ホウ素の残存
量を一定範囲に規制することである。溶媒の残存量が多
いと、繊維同志の膠着や延伸時の繊維の着色分解が起り
易いのでPVA繊維に対して50重量%以下、好ましくは10
重量%以下、さらに好ましくは2重量%以下まで溶媒を
除去する必要がある。一方架橋ホウ素の残存量が多い場
合は延伸時に繊維の分子鎖間やラメラ間のすべりが低下
するため高倍率延伸ができなくなる。架橋ホウ素を完全
に除去した場合は水素結合の抑制および分子鎖間やラメ
ラ間の適度な空隙が減少し、延伸倍率を高くすることに
対するマイナス要因となる。従って残存ホウ素の量は、
PVA繊維に対しホウ酸またはホウ酸塩として0.05〜0.8重
量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がさらに好ましい。
以上により高倍率延伸の可能な紡糸原子が得られるが、
結晶化による物性の向上を考慮して最終延伸は200〜240
℃の乾熱延伸が好ましい。延伸倍率はPVA重合度、PVA濃
度、紡糸ドラフトおよび延伸条件(温度、速度、ヒータ
長)などによつて異なるが、PVAの重合度が高く、かつ
濃度の低い原液を低ドラフトで紡糸した繊維は高倍率に
延伸できる。延伸倍率が高いほど繊維の分子鎖の配向が
高くなり、高強力高モジユラス繊維が得られ易いが全延
伸倍率は15倍以上、好ましくは20倍以上である。ただ
し、最高延伸倍率付近では繊維の白化(ボイド)が起り
易く強力低下を招くので最高延伸倍率よりやや低い倍率
が望ましい。なお延伸温度が240℃以上ではPVAの着色分
解が起り易く延伸倍率が高い割には強度の低い現象がみ
られた。
本発明によって得られたPVA繊維はホウ素を少量含有し
単繊維の引張強度は15g/dr以上、引張モジユラスは400g
/dr以上であり、特にPVAの平均重合度が6000以上では引
張強度20g/dr以上、引張モジユラス500g/dr以上の値を
示した。
本発明によりアラミド繊維に匹敵する強度およびモジユ
ラスを有するPVA繊維を安価にしかも安定に製造するこ
とが可能となり、一般産業資材用途への展開はもちろん
のこと複合材用の強化材への展開も考えられ、その有用
性は極めて大きいと言える。以下実施例により本発明を
具体的に説明する。
実施例1〜4および比較例1、2 平均重合度が1700、3400、7000、および12000の完全ケ
ン化PVAをエチレングリコールに溶解する際に、ホウ酸
をPVAに対し4重量%添加し、さらにpH=6〜7にする
ために少量の水酸化ナトリウムを添加して160℃で3時
間、撹拌下の溶解を行なつた。PVA濃度は第1表の如く
重合度の順にそれぞれ26、14、7.5重量%にした。
溶解した原液を脱泡した後、紡糸原糸のデニールが200d
rになるようにギヤポンプにて孔径0.8mmの単孔ノズルよ
り原液を吐出させ、空気で冷却ゲル化した。この時の紡
糸ドラフトは1.5〜2であつた。引続きゲル繊維を第1
浴の水中に通し、溶媒およびホウ素の一部を除去すると
きに1.3倍に伸長しながら第2浴のメタノール中で溶媒
と吸着水の抽出を行なつた。その後70℃の熱風により紡
糸原糸からメタノールや水を蒸発させボビンに捲取つ
た。
得られた紡糸原糸を225℃の中空ヒータで延伸し、第1
表の如き結果を得たが、比較例1としてホウ酸を添加し
ない場合、比較例2としてホウ酸としての残存量が多い
場合の結果も併記した。
実施例1〜4においていずれの紡糸原液も若干の着色が
あつたが、PVAは完全に溶解し粘度の増大がみられた。
実施例3と比較例1の両者の対比においてホウ酸未添加
ではPVA濃度を高くしないと紡糸の安定な同程度の粘度
が得られないこと、およびホウ酸とエチレングリコール
だけでは粘度上昇がみられないことなどによりPVAとホ
ウ酸が架橋していると考えられた。なお実施例3におい
て原液のpHを4.1にした場合は高粘度のものは得られ
ず、ホウ酸の架橋はほとんど起つていないことが判明し
た。またホウ酸がPVAと架橋することにより紡糸時の曳
糸性が非常に良好となり、紡糸時の断糸は1度も見られ
なかつた。
第1浴の水および第2浴のメタノールで溶媒と架橋ホウ
素を大部分除去したがホウ素の残存量は第1浴の滞留時
間でほぼ決まり、第2浴のメタノール中ではホウ素はほ
とんど除去されていなかつた。実施例1〜4において70
℃の熱風乾燥後のエチレングリコール残存量は1.0〜3.2
wt%といずれも低く、ホウ酸残存量は0.21〜0.33wt%と
本発明の請求範囲内であつた。なお水の残存量は1wt%
以下であつた。なおエチレングリコール残存量は高温熱
風でエチレングリコールを飛散させた後の重量減少より
求め、ホウ酸残存量は原子吸光により得られたホウ素含
有量をホウ酸に換算して求めた。
次いで得られた紡糸原糸を225℃で乾熱延伸したが、繊
維の着色はほとんど見られず、全延伸倍率は18.5〜23.0
倍と従来にみられない高いレベルであつた。また延伸倍
率はPVAの重合度が高くPVA濃度の低い方が高い値を示
し、それにほぼ対応して単繊維の引張強度およびモジユ
ラスも増大した。平均重合度が12000のPVAにホウ酸を4
%添加し、ホウ酸残存量を0.27wt%にすることにより強
度21.9g/dr、モジユラス628g/drのPVA繊維が得られ、ア
ラミド繊維にほぼ匹敵する性能であつた。
一方比較例1はホウ酸を添加しない場合であるが、同一
重合度のPVAを用いた実施例3に対し、PVA濃度を約2倍
高くする必要があり、かつ紡糸調子は若干悪い傾向を示
した。得られた紡糸原糸のホウ酸残存量は0.15wt%であ
り、水の残存量は4.2wt%であつた。また延伸倍率は12.
8倍と低く、強度12.6g/dr、モジユラス303g/drはいずれ
もホウ酸4%添加の実施例3に比して見劣りした。
比較例2は実施例2においてホウ酸残存量を1.5wt%と
多くした場合であるが、延伸倍率は実施例2の18.5倍に
対し14.0倍と低く強度およびモジユラスも低い値であつ
た。
実施例5 平均重合度が7000の完全ケン化PVAを濃度が9wt%になる
ようにグリセリンに分散させ、同時にpH=7.3にしなが
らホウ砂(ホウ酸ナトリウム)をPVAに対し2wt%添加し
て、180℃で撹拌溶解した。12ホールのノズルを用いた
以外は実施例1と同様の紡糸条件でゲル化し、得られた
紡糸原糸を215℃のヒータで20倍延伸した。
紡糸原液は少し着色したがPVAは完全に溶解し9wt%のPV
A濃度でも曳糸性は良くホウ酸未添加に対して約40%PVA
濃度を低下することが出来た。
紡糸原糸のグリセリン残存量は15wt%でホウ酸残存量は
0.11wt%であり、単糸間およびヤーン間の膠着がみられ
なかつた。
得られた延伸糸は単繊維デニールが4.2dr、引張強度が1
9.4g/dr、引張モジユラスが520g/drであり、従来にない
高強力高モジユラスPVA繊維を得た。
実施例6および比較例3 平均重合度3400の完全ケン化PVAを濃度12wt%になるよ
うに水/DMSO=1/1の混合溶媒に分散させ、同時にpH=5.
8にしながらホウ酸をPVAに対し8wt%添加し、80℃で撹
拌溶解した。得られた原液は曵糸性があり、単ホールの
ノズルより空気中へ吐出させ、ノズル下20cmの0℃メタ
ノール浴で冷却ゲル化させた。次いで第2浴に通し、室
温の水の中で3倍伸長した後第3浴の室温メタノールを
通し80℃で熱風乾燥してボビンに捲取つた。乾燥直後の
紡糸原糸のDMSO残存量は0.9wt%で水は残存せずホウ酸
残存量は0.56wt%であつた。
得られた紡糸原糸を230℃の乾熱で2段延伸したが全延
伸倍率は24.1倍と非常に高く、単繊維の引張強度は20.7
g/dr、引張モジユラスは554g/drであつた。
比較例3として実施例6の溶媒水/DMSO=1/1を水のみに
代えてアルカリ浴で凝固させ湿式紡糸を行なつた。次い
で、中和−水洗−メタノール浴を通して60℃で乾燥しボ
ビンに捲取り、実施例6と同一条件で延伸したが全延伸
倍率は、15倍で退繊維の引張強度は11.4g/dr、引張モジ
ユラス321g/drと本発明で得られるPVA繊維より性能は劣
つていた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均重合度が1500以上のPVAにホウ酸また
    はホウ酸塩を添加した紡糸原液をゲル紡糸して得られた
    PVA繊維であって、繊維中にPVAに対して0.05〜0.8重量
    %のホウ酸またはホウ酸塩に相当するホウ素が存在し、
    単繊維の引張強度が15g/dr以上、引張モジュラスが400g
    /dr以上である高強力高モジュラスPVA繊維。
  2. 【請求項2】平均重合度が6000以上でかつ単繊維の引張
    強度が20g/dr以上、引張モジュラスが500g/dr以上であ
    る特許請求の範囲第1項記載の高強力高モジュラスPVA
    繊維。
  3. 【請求項3】平均重合度が1500以上のPVA重合体をゲル
    紡糸の可能な溶媒に溶解する際にpHを5〜9にしてホウ
    酸またはホウ酸塩を該重合体に添加し、得られた溶液を
    ノズルより吐出させ冷却によりゲル化させたのち、溶媒
    を全部又は大部分除去するとともに該重合体に対し0.05
    〜0.8重量%のホウ酸またはホウ酸塩に相当するホウ素
    を残存させ、しかるのち高倍率に延伸することを特徴と
    する高強力高モジュラスPVA繊維の製造法。
  4. 【請求項4】平均重合度が6000以上である特許請求の範
    囲第3項記載の製造法。
  5. 【請求項5】PVA重合体の溶媒がエチレングリコールお
    よび/またはグリセリンである特許請求の範囲第3項ま
    たは第4項に記載の製造法。
  6. 【請求項6】全延伸倍率が少なくとも20倍である特許請
    求の範囲第3〜5項のいずれかに記載の製造法。
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