JPH0753150Y2 - 磁気記録再生装置におけるリ−ルの駆動歯車死点解除装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 この考案は、例えばロータリヘッド型デジタルオーディ
オテープレコーダのような磁気記録再生装置に使用され
るもので、装着されたカセットの早送り、巻き戻しの停
止又は終了時に発生するリール歯車と中間歯車との死点
状態を解除する装置に関するものである。

〈従来の技術〉 磁気記録再生装置においては、一般にリールの回転駆動
は、リール歯車およびこれに中間歯車を介して噛合され
る駆動歯車の回転駆動により行なわれるが、例えば巻戻
し操作後にプレイ操作へ移行する場合、その巻戻し操作
終了時においては駆動歯車に連結される駆動モータの回
転が電気的に止められるため中間歯車は停止させられ、
回転を続けようとするリール歯車の歯が後方から噛み込
むように衝突するので、リール歯車と、中間歯車の噛合
は死点状態となる。

かかる死点状態では、次の操作、例えば巻戻し操作後に
おけるプレイ操作へ直ちに移行する場合、所望のプレイ
操作方向に、駆動歯車や中間歯車を回転させようとして
も死点状態を解除できず、再生は勿論、駆動モータ他に
障害となるので、これを解除する手段が必要となり、こ
のため、従来においては一般に純機構的に解決してお
り、例えば中間歯車の軸に適当な操作レバーを付設して
おき、巻戻し操作後にこのレバーを移動できるように構
成されたものが知られている。

〈考案が解除すべき問題点〉 しかしながら、かかる従来の構成によると死点状態を純
機構的に解除するようにしているので、操作性の点で不
満があり、また、確実性の点でも今一歩の感があった。

〈問題点を解決する手段〉 この考案は、上記問題点を解決すべく、リール歯車と中
間歯車を介して噛合する駆動歯車に連結される駆動モー
タの駆動回路に、一つの操作から逆転する他の操作に移
行する際、他の操作による回転方向と逆の逆転用駆動パ
ルスを供給可能な解除パルス供給手段を設けた構成とし
ている。

〈作用〉 例えば巻戻し操作が終了すると、前述のようにリール歯
車と中間歯車との間で死点状態となる。そして再生操作
した直後に駆動歯車に連結された駆動モータに再生方向
とは逆方向に回転させる逆転パルスが与えられ、駆動歯
車が若干量再生方向とは逆方向に回転し、これにより駆
動歯車に連結された中間歯車が再生方向とは逆回転して
リール歯車の歯から離れる方向に移動して中間歯車とリ
ール歯車との噛合の死点状態が解除される。

〈実施例〉 第１図はこの考案に係るロータリヘッド型デジタルオー
ディオテープレコーダの実施例を示すものである。同図
において符号１は固定ベースであり、この固定ベース１
には磁気ヘッドを搭載したシリンダ２が配設され、この
シリンダ２の両側には一対のＶ型ストッパ3,4が固着さ
れている。そして、各Ｖ型ストッパ3,4にはそれぞれガ
イド溝5,6が延在しており、その溝5,6の先端部は装着さ
れたカセットＣのテープ露出部側に若干入り込んだ位置
に臨まされている。さらに、両ガイド溝5,6の近傍には
それぞれガイドポスト7,8が設けられており、一方のガ
イドポスト８の近傍にはキャプスタン軸９が設けられて
いる。また、両ガイド溝5,6にはそれぞれ供給側ベース1
0、巻取り側ベース11が摺動自在に取り付けられてお
り、各ベース10,11にはそれぞれガイドローラ12,14およ
び傾斜ポスト13,15が配設されている。

一方、カセットＣの装着位置には、供給リール16のリー
ル軸17および巻取りリール18のリール軸19が各リール1
6,18の軸心位置にそれぞれ軸着されている。そして、各
リール軸17,19にはそれぞれリール歯車20,21が軸支され
ていて、各リール歯車20,21の間には両歯車20,21のいず
れか一方と選択的に噛合可能な中間歯車22が配設されて
いる。この中間歯車22はその支軸23が自由に移動し得る
ようになっており、さらに、この中間歯車22は駆動歯車
24と噛合するようになっていて、駆動歯車24の支軸25は
固定ベース１に取り付けられている。また、中間歯車22
の支軸23と駆動歯車24の支軸とは首振りアーム26により
連結されている。さらに、駆動歯車24は駆動プーリ27と
同軸に取り付けられた駆動連結歯車28と噛合するように
なっており、また、駆動プーリ27は駆動モータ29の主駆
動軸30と駆動ベルト31を介して連結されている。

なお、固定ベース１には一端を係止ピン32に係止したコ
イルスプリング33が設けられており、このコイルスプリ
ング33の他端は固定ベース１に回動自在に軸支されたブ
レーキ板34の一端に係止されており、さらに、このブレ
ーキ板34の他端は後述するようにリール軸19と一体的に
回動するブレーキシュー35に固着された当接部材36と当
接可能となっている（第２図参照）。また、37はローデ
ィング時に作動するローディングモータであり、40は固
定ベース１に回動自在に取り付けられた回動取付板であ
り、この回動取付板40にはピンチローラ41やガイドピン
42が固定されている。

第２図に示すように、巻取り側のリール軸19は固定ベー
ス１の下方に設けられた補助ベース43にその一端部が軸
支されており、前述の如くこのリール軸19にはリール歯
車21が同軸に取り付けられている。そして、このリール
歯車21と一体的なブレーキシュー35とリール軸19の先端
に嵌挿されたカラー38との間にはコイルスプリング39が
介在している。さらに、このリール歯車21と噛合する中
間歯車22の支軸23にも押え板23aと中間歯車22との間に
コイルスプリング39が介在している。

また、この中間歯車22と噛合する駆動歯車24の支軸25は
固定ベース１に軸支されている。

このように構成された装置の作動は、以下の通りとな
る。まず、テープローディング開始時においては、第１
図に示すように、カセットＣがテープローディング位置
に装着されて各ベース10,11のガイドローラ12,14、傾斜
ポスト13,15、ピンチローラ41等がカセットＣの露出し
た磁気テープＴの内側に臨まれる。そして、ローディン
グモータ37の作動開始により各ベース10,11がそれぞれ
ガイド溝5,6に沿いＶ型ストッパ3,4に向って移動すると
共に、回動取付板40が回転し、磁気テープＴがこれらの
動きに従って供給リール16から引き出される。

この場合、供給リール16はその回動を自由にしておく必
要があるが、巻取りリール18は従来技術の項で述べたよ
うにその動きを止める必要があるので、ブレーキ板34を
当接部材36に当接させておく。したがって、磁気テープ
Ｔが引き出されてローディングを完了するまでの間は、
巻取りリール18の回動が阻止される。ところで、ローデ
ィングが完了して例えば所定の巻戻しを行ない、次いで
プレイ操作へ移行しようとする場合、巻戻し終了時に
は、第５図に示すように中間歯車22とリール歯車20とは
噛み合っている。この噛み合い状態は、従来技術で説明
したように先に中間歯車22が停止し、その後も回転を続
けようとするリール歯車20の歯が後方から噛み込むため
に強固なものとなっている。そして、その強固な噛み合
い状態が死点状態である。この状態から、これまでと回
転方向が逆のプレイ操作するときは第３図に示す操作釦
50を操作することによって、死点解除パルス供給回路51
から第４図に示すパルスＰを発生させ、そのパルスＰを
駆動モータの駆動回路52に供給し、駆動モータをプレイ
方向と逆に回転させるので、駆動歯車24及び中間歯車22
もプレイ方向と逆（図において右）に回転する。すなわ
ち、死点状態の要因となっているリール歯車20が余分に
回転することによって発生していた中間歯車22とリール
歯車20との死点状態は、その要因となった回転方向から
反転する方向に、中間歯車22がリール歯車20の余分な回
転分だけ先に回転することより解除される。そして、引
き続くプレイ動作への円滑な移行ができる。なお、パル
スＰは死点解除時に供給できれば良いので、その直前に
おける電気信号を用い得るように構成されれば良い。

なお、第５図はテープローディング開始時を説明するも
のであり、この場合には巻取り側リール18はブレーキ板
34によりその駆動を止めているが、供給側リール16はそ
のリール歯車20に中間歯車22が噛合しているので、回転
可能となっており、その回転に応じてピンチローラ42等
が動き磁気テープＴは供給リール16に巻取られる。そし
て、テープローディングが完了した際にはリール歯車20
と中間歯車22との噛合はそのまま保持されているので、
この噛合は供給リール16の回転ブレーキとして働き、巻
取られた磁気テープＴのたるみを防止できる。

〈考案の効果〉 以上のように、この考案によればリール歯車と中間歯車
との死点状態を解除するためのパルスを駆動モータに操
作時に供給できるように構成したので、従前の純機構的
解決手段に比べて操作性に優れ、かつ、確実性の点でも
格段の向上が見られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る磁気記録再生装置の実施例を示
す要部平面図、第２図は第１図のII−II断面図、第３図
は死点解除パルス供給手段を示すブロック図、第４図は
モータの駆動状態を説明するタイムチャート、第５図は
テープアンローディング時における磁気記録再生装置の
平面図である。 １……固定ベース、18……巻取りリール、20,21……リ
ール歯車、22……中間歯車、23……中間歯車の支軸、26
……首振アーム、24……駆動歯車、52……駆動モータの
駆動回路、54……死点解除パルス供給回路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リールの回転中心を軸心として軸支される
   リール歯車と、 該リール歯車に噛合する中間歯車と、 該中間歯車と噛合し、かつ、固定ベースに軸着される駆
   動歯車と、 該駆動歯車の支軸と前記中間歯車の支軸とを連結し、前
   記駆動歯車の支軸を中心として回転する首振アームと、 前記駆動歯車を駆動する、駆動モータとを有し、 該駆動モータの駆動回路には、走行方向が前回の操作命
   令の方向から反転するときに、前記リール歯車と前記中
   間歯車とを離間させるべく前記駆動歯車の所望操作方向
   と逆方向の回動を図る駆動パルスを供給する死点解除パ
   ルス供給手段が設けられたことを特徴とする磁気記録再
   生装置におけるリールの駆動歯車死点解除装置。