JPH072817Y2 - 外壁パネルの通気構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 この考案は、建物の外壁パネル内に横方向への通気路を
設けることができかつこの通気路部分でのヒートブリッ
ジが防止できる外壁パネルの通気構造に関するものであ
る。

〔背景技術〕

従来、外壁パネルに通気路を設けることにより、建物全
体の換気を行う外壁パネルの通気構造として、鋼材で形
成したパネル枠の内側に平板状の断熱材を充填し、この
パネル枠を形成する枠材の屋外側，屋内側に各々縦方向
の下地材を固着し、これらの下地材に各々外装面材，内
装面材を貼着することにより断熱材と外装面材との間に
縦方向の通気路を形成したものがあった。この構造にお
いては、縦方向の下地材と下地材との間が通気路とな
り、この通気路内を空気が上昇していた。

しかし、この構造では、下地材が縦方向のみに設けてあ
ったので、縦方向の通気を行うことはできるが、横方向
への通気を行うことはできなかった。そのため、外壁パ
ネルに開口枠を設けた場合、縦方向の通気路内を上昇し
た空気は、開口枠に遮られて空気溜まりが生じていた。

そこで、この問題を解決策として、縦方向の下地材を断
続的に設け、その間に生じた隙間を横方向への通気路と
して使用するものが提案された。

しかし、この構造においては、縦横両方向への通気を行
うことはできるが、下地材を断続的に設けた場合に、パ
ネル枠を形成する枠材の表面が通気路に面して露出し、
この露出面から熱が逃げるいわゆるヒートブリッジ現象
が生じていた。

〔考案の目的〕

この考案の目的は、外壁パネル内における横方向への通
気とともに、パネル枠の枠材の冷却から生じるヒートブ
リッジが防止できる外壁パネルの通気構造を提供するこ
とである。

〔考案の開示〕

この考案の外壁パネルの通気構造は、鉄骨からなるパネ
ル枠の内側に平板状の断熱材を充填するとともにこのパ
ネル枠の屋内側，屋外側の両側面に下地材を介して内装
面材，外装面材を貼着し、前記断熱材と前記外装面材と
の間に縦方向の通気路を形成した外壁パネルの通気構造
において、前記パネル枠の両側面の全面を被覆するよう
に前記下地を固着し、前記屋外側の下地材を切り欠くこ
とにより横方向への通気路を形成しかつこの通気路を前
記パネル枠から離隔した状態で設けたことを特徴とする
ものである。

この考案の構成によれば、屋外側に設けた下地材を切り
欠くことにより横方向への通気路を形成したので、空気
を外壁パネル内の縦方向にも横方向にも流通させること
ができる。また、鉄骨からなるパネル枠の両側面に全面
を被覆するように下地材を固着し、屋外側の下地材にお
いては横方向の通気路をパネル枠から離隔した状態で設
けたので、パネル枠の表面が露出しない。そのため、空
気が通気路内を移動した際に、パネル枠が冷却されるこ
ともなく、ヒートブリッジ現象を起こすこともない。し
たがって、結露が生じることもなく、部材の寿命を延ば
すことができる。

実施例 この考案の一実施例を第１図ないし第４図に基づいて説
明する。この外壁パネルの通気構造は、第１図に示すよ
うに、パネル枠１の内側に平板状の断熱材２を充填する
とともにこのパネル枠１の屋内側，屋外側の両側面に下
地材3,4を固着し、屋内側の下地材３に内装面材５を貼
着し、屋外側の下地材４に外装面材６を貼着することに
より断熱材２との間に縦方向の通気路７を形成した外壁
パネル９の通気構造において、屋外側の下地材４を切り
欠くことにより横方向の通気路８を形成しかつこの通気
路８をパネル枠１から離隔した状態で設けたことを特徴
とするものである。

第２図は、第１図における外壁パネル９を通気路８の位
置で水平に切断した状態の部分断面図である。

この実施例は、第４図に示すように、基礎10の床下換気
口11から取り入れた外気を外壁パネル９内で流通させ、
屋根12に設けた排気口13から排出する換気構造を有する
建物の外壁パネル９に用いたものである。

パネル枠１は、第３図に示すように、溝形鋼を縦横に接
合して形成したものである。このパネル枠１の内側に
は、平板状に形成されたグラスウール等からなる断熱材
２を充填して、外壁パネル９の断熱性を高めている。ま
た、この断熱材２の屋外側面には、外装面材６とで通気
路７を形成した際に、通気路７から断熱材２へ空気が逃
げるのを防止するための防風シート14が設けてある。

パネル枠１の屋内側，屋外側の両側面には、各々木材等
からなる下地材3,4が固着具（図示せず）で固定してあ
る。

屋外側の下地材４は、パネル枠１の枠材1aに沿って縦方
向に設けてあり、外装面材６を下地材４に貼着したとき
に断熱材２との間に縦方向の通気路７が形成され、この
通気路７内を空気が上昇する。屋外側の下地材４の外面
側は一定の間隔で溝形の切り欠きが設けてある。そし
て、この下地材４に外装面材６を貼着することにより、
外装面材６の内面と下地材４との間に通気路８が形成さ
れる。この通気路８は、切り欠きを下地材４の外面側に
設けることにより、パネル枠１の枠材1aが通気路８に面
して露出しないようにしてある。

なお、通気路７は、外壁パネル９内を空気が上昇して屋
根12の排気口13から排出させるためのもので、通気路８
は通気路７が開口枠1b（第２図参照）により遮られた場
合に、通気路７内の空気を横方向へ逃すためのものであ
る。

この実施例の作用を説明する。第４図に示すように、基
礎10の床下換気口11から流入した外気は、外壁パネル９
に形成した縦方向の通気路７内を上昇する。通気路７の
途中に開口枠1bがある場合は、横方向の通気路８を経て
縦方向の通気路７に合流し、再び上昇する。上昇した空
気は、屋根12に形成した排気口13から屋外に排出され
る。

この実施例の構成によると、パネル枠１の屋外側の側面
に縦方向に固着した下地材４を切り欠くことにより通気
路８を形成したので、外壁パネル９内の空気を縦方向だ
けでなく、横方向にも流通させることができる。また、
通気路８は、下地材４の外面側を切り欠くことにより設
けたので、パネル枠１の枠材1aは下地材４に覆われた状
態にあり、枠材1aが通気路８に面して露出することがな
い。したがって、通気路7,8内を空気が流通しても、空
気が直接枠材1aには触れないので、冷却されることもな
く、ヒートブリッジ現象が起こることもない。そのた
め、枠材1aの表面に結露が生じることがなく、錆が発生
することもなく、枠材1aの寿命を延ばすことができる。

〔考案の効果〕 この考案の外壁パネルの通気構造によると、屋外側に設
けた下地材を切り欠くことにより横方向への通気路を形
成したので、空気を外壁パネル内の縦方向にも横方向に
も流通させることができる。また、鉄骨からなるパネル
枠の両側面の全面を被覆するように下地材を固着し、屋
外側の下地材においては横方向の通気路をパネル枠から
離隔した状態で設けたので、パネル枠の表面が露出しな
い。そのため、空気が通気路内を移動した際に、パネル
枠が冷却されることもなく、ヒートブリッジ現象を起こ
すこともない。したがって、結露が生じることもなく、
部材の寿命を延ばすことができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の部分斜視図、第２図はそ
の部分断面図、第３図はパネル枠の屋外側側面図、第４
図はこの実施例を用いた建物の略断面図である。 １……パネル枠、２……断熱材、3,4……下地材、５…
…内装面材、６……外装面材、7,8……通気路、９……
外壁パネル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄骨からなるパネル枠の内側に平板状の断
   熱材を充填するとともにこのパネル枠の屋内側，屋外側
   の両側面に下地材を介して内装面材，外装面材を貼着
   し、前記断熱材と前記外装面材との間に縦方向の通気路
   を形成した外壁パネルの通気構造において、 前記パネル枠の両側面の全面を被覆するように前記下地
   材を固着し、前記屋外側の下地材を切り欠くことにより
   横方向への通気路を形成しかつこの通気路を前記パネル
   枠から離隔した状態で設けたことを特徴とする外壁パネ
   ルの通気構造。