JPS6146095Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は壁体構造、特に寒冷地における住宅建
築物の壁体構造に関するものである。

近年我国における住宅建築物は、省エネルギー
に対する関心が高まり冬期における保温断熱性を
重視し、種々の断熱材あるいは断熱下地材を用い
て、断熱性、気密性に優れた壁体を構成する方法
が普及している。

しかしながら、上記従来の方法による壁体構造
では、断熱性、気密性に優れている反面、特に寒
冷地では冬期において閉めきつた部屋内で使用さ
れるガスストーブ、石油ストーブ等の暖房器具、
その他から発生する湿気が、内壁構成材等を通し
て壁体内部に入り込み、冷たい外気の影響を受け
て壁体構成材間で冷却されて結露現象を生じるた
め、壁体構成材は、このような結露水あるいは湿
気の影響下に長い間晒されて腐朽あるいは腐蝕
し、壁体の耐久性を著しく損なう原因となつてい
る。

一方、上記のごとき結露現象の発出を防止する
には、壁体内部に蓄積された湿気を換気装置ある
いは換気口等を設けて除去すればよいが、壁体内
部の空間が間柱あるいは胴縁により縦横に区画さ
れ、または断熱材が充填された気密性の高い空間
であると、壁体内部全体の湿気を均一に除去する
ためには多くの換気装置、換気口等を要し、壁体
を構築する作業が繁雑となるとともに、ともすれ
ば壁体の断熱性を著しく損なうことがあるという
欠点を有していた。

本考案は上記従来の欠点に鑑みてなされたもの
で、壁体の断熱性を著しく損なうことなく、その
内部の通気性を改善することにより、結露現象の
発生を防止して耐久性を向上させることができ、
しかも容易に構築することができる壁体構造を提
供しようとするものである。

つぎに、本考案を一実施例である添付図面にし
たがつて説明する。

第１図および第２図は本考案にかかる壁体構造
を示し、１は内壁構成材で合板、繊維板、石膏ボ
ード、塗り壁その他種々の材料あるいはそれらの
組み合わせからなる。２は板状部材で、シージン
グインシユレーシヨンボードの片面に、多数の上
下に貫く凹条溝３を設けた基材４と、上記片面上
に貼着した防水紙を材料とする貼合せ材５とから
なる。６はモルタル仕上げされた外壁構成材で７
は間柱および柱、８は内壁構成材１を支持する横
胴縁、９はグラスウール等の断熱材である。

本壁体構造は、間柱および柱７の内側に横胴縁
８を介して内壁構成材１が、外側に板状部材２が
その凹条溝３を有する面すなわち貼合せ材５を外
側に向けて各々配し固着されるとともに、貼合せ
材５上に外壁構成材６を配し固着して形成されて
いる。そして、内壁構成材１と板状部材２との間
に断熱材９が充填されている。

また、上記壁体構造の上部は、第１図に示すよ
うに、板状部材２上端部が桁１０の外側に固着さ
れ、上記板状部材２の最上部を密閉しないように
軒天井板１１が配されており、凹条溝３は小屋裏
１２に通じている。

さらに、板状部材２は、その下部が壁体構造の
基礎１３の表面に設けたモルタル層１４に接しな
いように配されており、凹条溝３内は通気自在に
なつている。

上記構成からなる壁体構造においては、室内１
５に生じた湿気が内壁構成材１等を通して断熱材
を充填した断熱材層９に入り込み、ついで、板状
部材２を通して凹条溝３に入り込む。そして、上
記凹条溝３に入つた湿気は板状部材２の最下部か
ら凹条溝３内に流入する空気によつて小屋裏１２
を経て外部に放出されることになる。このよう
に、凹条溝３内に入り込む湿気は、徐々に拡散除
湿され、凹条溝３部上に貼着した外壁構成材６の
裏面等に結露することがない。

また、板状部材２として呼吸性と称する優れた
調湿作用を有するシージングインシユレーシヨン
ボード等を使用する場合には、上記断熱材層９に
入り込んだ湿気は、板状部材２に比較的容易に吸
湿されるとともに、湿気が拡散除湿される凹条溝
３に放湿される。この湿気に対する板状部材２の
吸収および放散作用と、凹条溝３からの湿気の拡
散除湿作用が、平衝状態に達するまで間断なく続
けられる。このことにより、内壁構成材１と板状
部材２間（本実施例では断熱材層９）の湿気も減
少し、この部分を構成する板状部材２の内面等に
結露現象が発生するのを防止する効果をも合わせ
持つものである。

さらに、断熱材層９の湿気が減少することによ
り、グラスウール等の断熱材９が湿気や水分を大
量に含んで、その断熱性を著しく損なう現象を防
止することができ、また板状部材２であるシージ
ングインシユレーシヨンボード自体が断熱性に優
れた材料であるため、壁体の断熱性をより一層向
上させることができるものである。

なお、本実施例において、上記板状部材２とし
て用いたシージングインシユレーシヨンボード等
は、上述したごとく、呼吸性、断熱性に優れてい
るとともに適度な防水性および強度的性質を有し
ているので、本考案の目的を達成するのに最も適
した材料である。

また、貼合せ材５は防水紙に限るものではな
く、合板等の板状建築材としてもよい。第３図は
その実施例で、５ａは合板からなる貼合せ材、６
ａはサイデイングからなる外壁構成材で、他の符
号は上記実施例と同様である。

以上の説明から明らかなように本考案の壁体構
造は、間柱および柱の内側に内壁構成材を、外側
に板状部材と、この板状部材の外側に配された外
壁構成材とからなる壁体構造において、上記板状
部材が、外面側に壁体上部とを連通させる条溝を
有するインシユレーシヨンボード、シージングボ
ード、合板等の木質系板状体からなる基材と、上
記外面上に貼着した貼合せ材とから形成してあ
る。

このため、室内で発生した湿気は内壁構成材お
よび板状部材の呼吸性により、これらを通して通
気孔に放出され、この通気孔にて拡散し、除去さ
れるようになり、壁体内の結露現象の発生を防ぐ
ことができる。

したがつて、本考案の壁体構造は、特に室内と
外気との温度差が大きい寒冷地の建築物におい
て、壁体内に結露水や湿気が蓄積して壁体構成材
等を腐朽あるいは腐蝕させることがなく、壁体の
耐久性を向上させることができる。

また、このような壁体構造は、在来工法は勿論
のこと、枠組壁工法、プレハブ工法の住宅等の建
築物において多数の換気孔等を設けることなく、
容易に構成することができる利点も有するもので
ある。

さらに、凹条溝には貼合せ材が貼着してあるの
で、モルタル等により外壁構成材を仕上げる場
合、凹条溝が埋まることはなく、施工が簡単にな
るという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る壁体構造を示す断面図、
第２図は第１図の−線断面図、第３図は本考
案の他の実施例を示す断面図である。 １……内壁構成材、２……板状部材、３……凹
条溝、４……基材、５，５ａ……貼合せ材、６，
６ａ……外壁構成材、７……間柱および柱。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 間柱および柱の内側に配した内壁構成材と、
   外側に配した板状部材およびその外側の外壁構
   成材とからなる壁体構造において、板状部材を
   外面側に壁体下部と壁体上部とを連通させる条
   溝を有するインシユレーシヨンボード、シージ
   ングボード、合板等の木質系板状体からなる基
   材と、上記外面上に貼着した貼合せ材とから形
   成したことを特徴とする壁体構造。 (2) 上記貼り合せ材が防水紙等のシート体である
   ことを特徴とする実用新案登録請求の範囲第１
   項に記載の壁体構造。 (3) 上記貼合せ材が合板等の板状体であることを
   特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載の壁体構造。