JPH07279871A - オイルポンプの駆動軸枢支構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関等の原動機の動力が、無端ベルト
の如き無端動力伝達帯を介して伝達されるオイルポンプ
の駆動軸枢支構造に関するものである。 【構成】 ベーン型オイルポンプ１のポンプボディ２
における短円筒状凹部３が形成され、該短円筒状凹部３
にインナサイドプレート４とカムリング５が順次嵌装さ
れ、該カムリング５のカム室６内にロータ７が嵌装さ
れ、前記カムリング５とロータ７の外側面に鉄系焼結合
金製のアウタサイドプレート10が添接され、該アウタサ
イドプレート10の外側面に接するカバー11とポンプボデ
ィ２とでカムリング５およびロータ７が密閉され、ポン
プボディ２とカバー11とはボルト12で一体に結合され、
さらにポンプボディ２を貫通した駆動軸13はロータ７に
スプライン嵌合されるとともに、該駆動軸13の先端はア
ウタサイドプレート10に回転自在に嵌装され、前記ポン
プボディ２と駆動軸13とにアルミ合金製のブッシュカラ
ー14が介装されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車のパワーステア
リング装置等に加圧オイルを供給するために、内燃機関
等の原動機の動力が、無端ベルトの如き無端動力伝達帯
を介して伝達されるオイルポンプに関し、特にその駆動
軸枢支構造に関するものである。

【０００２】

【従来技術】無端ベルトを介して伝達される動力でもっ
て回転駆動されるオイルポンプにおいては、図10に図示
されるように、該オイルポンプ01の駆動軸02のプーリ側
端部03に、ベルトの張力方向に沿った偏荷重Ｐが加わる
ため、この偏荷重Ｐを確実に負担することができるよう
に、駆動軸02のプーリ側端部03はボールベアリング04を
介してポンプボディ05に枢支され、駆動軸02の他端部06
はナイロン製ブッシュ07を介してオイルポンプ01のカバ
ー08に枢支されていた。

【０００３】そしてナイロン製ブッシュ07は帯状のもの
を円筒状に弯曲させ、その当接部がベルトの張力方向と
反対側に位置しないように、カバー08の円筒状嵌合凹部
09にブッシュ07を圧入していた。

【０００４】しかも駆動軸02とポンプボディ05との間隙
から加圧オイルが漏出しないように、ボールベアリング
04よりも内側に位置して駆動軸02とポンプボディ05とに
オイルシール010 が介装されていた。

【０００５】

【解決しようとする課題】図10に図示のオイルポンプ01
では、ボールベアリング04を用いたため、部品点数が多
く、またポンプボディ05のボールベアリング嵌合孔011
やカバー08のブッシュ円筒状嵌合凹部09を、オイルポン
プ01のロータ012 の中心と合致して形成する必要上、加
工部位が増加し、またブッシュ07を圧入する工程が必要
なため、コストアップが避けられなかった。

【０００６】またカバー08にブッシュ07を装入するため
のスペースを確保する必要上、カバー08が厚くなり、し
かもポンプボディ05には、大径のボールベアリング嵌合
孔011 やその内側のオイルシール010 を嵌装するための
凹部013 を、オイルポンプ01のオイル通路014 から所定
の距離だけ離す必要上、ポンプボディ05も軸方向寸法が
大きくなるので、オイルポンプ01の軸方向の小型化が困
難であった。

【０００７】さらに、無端ベルトの張力方向が変ると、
ブッシュ07の当接部の位置もこれに対応して変更する必
要があった。

【０００８】

【課題を解決するための手段および作用効果】本発明
は、このような難点を克服したオイルポンプの駆動軸枢
支構造の改良に係り、無端動力伝達帯を介してオイルポ
ンプの駆動軸に動力が伝達されるオイルポンプにおい
て、該駆動軸の無端動力伝達帯側一端部は、金属製ブッ
シュカラーを介してポンプボディーに回転自在に枢支さ
れるとともに、前記駆動軸の他端部は、ロータの両側面
を前記ポンプボディと共同して挟持するアウタサイドプ
レートに回転自在に枢支され、前記金属製ブッシュカラ
ーより外側部に位置した個所の前記ポンプボディと駆動
軸との間にオイルシールが介装され、前記アウタサイド
プレートを密閉するように前記ポンプボディにカバーが
装着されたことを特徴とするものである。

【０００９】本発明は前記したように構成されているの
で、前記ポンプ駆動軸の無端動力伝達帯側一端部に嵌合
された外径の小さな金属製ブッシュカラーを、オイルポ
ンプのオイル通路に干渉されずにロータ寄りに接近させ
て、ポンプボティの軸方向寸法を縮小させることができ
るとともに、アウタサイドプレートにポンプ駆動軸の他
端部を枢支させて、該アウタサイドプレートに隣接した
カバーの厚みを薄くすることができ、その結果、オイル
ポンプの軸方向寸法を小さくすることができる。

【００１０】また本発明では、部品点数の多いボールベ
アリングでポンプ駆動軸の無端動力伝達帯側一端部を枢
支させずに、単一の金属製ブッシュカラーで該ポンプ駆
動軸の一端部を枢支させるとともに、該ポンプ駆動軸の
他端部を直接アウタサイドプレートに枢支したため、部
品点数を大巾に減少させ、かつ加工工数を削減すること
ができ、この結果コストダウンを推進することができ
る。

【００１１】さらに本発明を前記請求項２記載のように
構成することにより、前記アウタサイドプレートを厚く
しなくても、前記ポンプ駆動軸の他端部を確固と支持す
ることができる。

【００１２】さらにまた本発明を前記請求項３記載のよ
うに構成することにより、前記アウタサイドプレートに
オイルを含浸させて、ポンプ駆動軸枢支部に自己潤滑性
を付与し、前記ポンプ駆動軸の他端部を長期間に亘り軽
快に枢支することができる。

【００１３】

【実施例】以下、図１ないし図９に図示された本発明の
一実施例について説明する。

【００１４】本実施例のオイルポンプ１は、ベーン型オ
イルポンプであって、該オイルポンプ１のポンプボディ
２に短円筒状凹部３が形成され、該短円筒状凹部３にイ
ンナサイドプレート４とカムリング５が順次嵌装され、
該カムリング５のカム室６内にロータ７が嵌装され、該
ロータ７に周方向に亘って複数個放射方向に指向したベ
ーン溝８が形成され、該ベーン溝８にベーン９がそれぞ
れ嵌装されている。

【００１５】また前記カムリング５とロータ７の外側面
に鉄系焼結合金製のアウタサイドプレート10が添接さ
れ、該アウタサイドプレート10の外側面に接するカバー
11とポンプボディ２とで、カムリング５およびロータ７
が密閉され、ポンプボディ２とカバー11とはボルト12で
一体に結合されている。

【００１６】さらにポンプボディ２を貫通した駆動軸13
はロータ７にスプライン嵌合されるとともに、該駆動軸
13の先端はアウタサイドプレート10に回転自在に嵌装さ
れ、前記ポンプボディ２と駆動軸13とにアルミ合金製の
ブッシュカラー14が介装され、該ブッシュカラー14は、
両端縁が滑らかな凹凸形状に形成されるとともに内面に
オイル案内溝15が斜めに直線状に形成された薄アルミ矩
形板を、円筒状に弯曲することにより、構成されてい
る。このためオイル案内溝15は、螺旋状になっている。

【００１７】なおブッシュカラー14の内面に形成された
オイル案内溝15は逆方向へ傾斜してもよい。

【００１８】さらにまたブッシュカラー14より外側に位
置してポンプボディ２と駆動軸13とにオイルシール16が
介装され、該駆動軸13の外端にドリブンプーリ17が嵌着
され、図示されない内燃機関のクランク軸に嵌着された
ドライブプーリ（図示されず）と該ドリブンプーリ17と
に無端動力伝達帯たる無端ベルト（図示されず）が架渡
されている。

【００１９】しかして前記アウタサイドプレート10に
は、駆動軸13の先端部を包囲するように、カバー11に向
って環状突起18が形成され、該環状突起18の先端外周は
カバー11の円筒状凹部19に嵌合されている。

【００２０】またポンプボディ２の上部には、吸入ジョ
イント20が嵌合されてボルト21でもってポンプボディ２
に一体に嵌着され、該吸入ジョイント20は、ポンプボデ
ィ２内の吸入通路22を介してカバー11の吸入通路23に連
通され、アウタサイドプレート10には該吸入通路23とカ
ム室６とを相互に連通する２個の貫通吸入ポート24が形
成されるとともに、該２個の貫通吸入ポート24の周方向
中間に吐出凹部25が形成され、かつこれら貫通吸入ポー
ト24、吐出凹部25の中心寄りに環状溝26が形成され、し
かもアウタサイドプレート10の外周部に位置決め用の切
欠き27が形成されている。

【００２１】さらにカムリング５には、アウタサイドプ
レート10の２個の貫通吸入ポート24に対応した位置に、
該貫通吸入ポート24とインナサイドプレート４の吸入凹
部29とを連通する貫通吸入通路28が２個形成され、該イ
ンナサイドプレート４には、該２個の吸入凹部29の周方
向中間に貫通吐出ポート30が形成され、アウタサイドプ
レート10の環状溝26と半径位置が一致した個所に、圧油
導入貫通孔31と圧油導入凹部32とが交互に形成され、該
圧油導入貫通孔31および圧油導入凹部32は、ロータ７の
ベーン溝８の基部の圧油導入部33を介してアウタサイド
プレート10の環状溝26とに連通され、該圧油導入貫通孔
31はポンプボディ２の環状吐出通路34にも連通されてい
る。

【００２２】さらにまたポンプボディ２内においては、
図８に図示されるように、吐出通路34に貫通路35を介し
て連通するリリーフバルブ36のスプール収納孔37に流量
調整用スプール38が摺動可能に嵌装され、該スプール収
納孔37を流量調整用スプール38で仕切られたパイロット
圧力室39に圧縮コイルスプリング41が介装されており、
吐出通路34より貫通路35を介してリリーフバルブ36の弁
室40に導入された圧力オイルは絞り通路42を介して圧力
オイル供給孔43に流れ、該圧力オイル供給孔43は図示さ
れないパイプを介してパワーステアリング装置へ供給さ
れるようになっている。

【００２３】そして弁室40内の圧力が所定圧力以上に上
昇すると、流量調整用スプール38が圧縮コイルスプリン
グ41のバネ力に打勝ってパイロット圧力室39に向い押さ
れ、戻り通路44を介して吸入通路23に戻されるようにな
っている。なお、パイロット圧力室39と圧力オイル供給
孔43はリリーフ通路45を介して連通されている。

【００２４】またポンプボディ２とインナサイドプレー
ト４とでは大径のＯリング46と小径のＯリング47が介装
されるとともに、ポンプボディ２とカバー11とにＯリン
グ48が介装され、ポンプボディ２と吸入ジョイント20と
にもＯリング49が介装されている。

【００２５】図１ないし図９に図示された実施例は前記
したように構成されているので、ドリブンプーリ17が図
１にて反時計方向へ回転駆動されると、貫通吸入ポート
24および吸入凹部29に隣接したカム室６のベーン９相互
の空間の容積がロータ７の回転に伴なって増大し、この
空間容積の増大によって、吸入ジョイント20から吸入通
路22、23を介してカム室６内にオイルが吸入され、カム
室６のベーン９相互間の空間が吐出凹部25および貫通吐
出ポート30に接近すると、この空間容積が減少し、この
空間容積の減少によって、該空間から、貫通吐出ポート
30を介して環状の吐出通路34に吐出され、該吐出通路34
内の吐出オイルはリリーフバルブ36を介して図示されな
いパワーステアリング装置へ供給される。

【００２６】そして圧力オイル供給孔43すなわち弁室40
内のオイル圧力が所定圧力以上に上昇すると、流量調整
用スプール38が圧縮コイルスプリング41のバネ力に打勝
ってパイロット圧力室39に向って移動し、弁室40と戻り
通路44とが連通状態となり、余分のオイルが弁室40から
戻り通路44、吸入通路23を介して貫通吸入ポート24に還
流し、圧力オイル供給孔43から図示されないパワーステ
アリング装置へ一定圧力のオイルが供給される。

【００２７】また環状の吐出通路34内の圧力オイルは、
インナサイドプレート４の圧油導入貫通孔31を介してロ
ータ７のベーン溝８の圧油導入部33に導入され、ベーン
９の中心側端面に吐出通路34内の圧力オイルが作用する
ため、ベーン９はカムリング５のカム室６の内周面に常
に密接され、カム室６内にてベーン９により仕切られた
空間は油密に保持される。

【００２８】さらにアウタサイドプレート10は焼結合金
製であり、かつポンプボディ２およびカバー11内にてオ
イルの雰囲中に浸漬されているため、自己潤滑性に富
み、駆動軸13の先端部の回転摩擦力が小さい。

【００２９】さらにまたポンプボディ２内の圧力オイル
は、インナサイドプレート４の圧油導入貫通孔31より、
インナサイドプレート４とロータ７との間隙およびポン
プボディ２と駆動軸13との空隙を介してブッシュカラー
14の内端面に達し、該ブッシュカラー14のオイル案内溝
15内に導入されるとともに、オイルシール16でもってブ
ッシュカラー14の周囲がオイル雰囲気中に浸されるた
め、駆動軸13の基部の回転摩擦力が小さく、前述した駆
動軸13の先端部の小さな回転摩擦力とともに、駆動軸13
は軽快に回転でき、オイルポンプ１の動力損失が低い。

【００３０】しかもブッシュカラー14の厚さが薄いた
め、ブッシュカラー14は環状の吐出通路34よりもロータ
７寄り迄も突出して、ブッシュカラー14の軸方向寸法が
大きくなるので、ブッシュカラー14の単位面積当りの軸
受荷重が小さくなり、駆動軸13を長期間に亘り無理なく
確実に枢支することができ、耐久性が高い。

【００３１】またアウタサイドプレート10の環状突起18
と、ブッシュカラー14とで駆動軸13を枢支したため、ボ
ールベアリングを必要とせず、部品点数が減少して、コ
ストダウンが可能となる。

【００３２】さらにブッシュカラー14の内端をロータ７
に接近させることができるので、ポンプボディ２の軸方
向寸法を短縮して、オイルポンプ１の小型化を図ること
ができる。

【００３３】さらにまたブッシュカラー14の当接端縁が
弯曲しているため、ブッシュカラー14の支持力が該当接
端縁部近傍で急激に変化することがない。

【００３４】しかも、アウタサイドプレート10の環状突
起18の外周部がカバー11の円筒状凹部19に嵌合されてい
るため、環状突起18の枢支強度は高い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にオイルポンプの駆動軸枢支構造の一実
施例を図示した正面図である。

【図２】図１のII−II線に沿って截断した縦断側面図で
ある。

【図３】図１のIII −III 線に沿って截断した縦断側面
図である。

【図４】図２のIV−IV方向から見たアウタサイドプレー
トの正面図である。

【図５】図２のＶ−Ｖ方向から見たアウタサイドプレー
トの裏面図である。

【図６】図２のVI−VI方向から見たカムリングとインナ
サイドプレートとを重ねた状態の正面図である。

【図７】図６のVII −VII 線に沿って截断した断面図で
ある。

【図８】図２のVIII−VIII線に沿って截断した断面図で
ある。

【図９】前記実施例におけるブッシュカラーの斜視図で
ある。

【図１０】従来のオイルポンプの縦断側面図である。

【符号の説明】

１…オイルポンプ、２…ボンブボディ、３…短円筒状凹
部、４…インナサイドプレート、５…カムリング、６…
カム室、７…ロータ、８…ベーン溝、９…ベーン、10…
アウタサイドプレート、11…カバー、12…ボルト、13…
駆動軸、14…ブッシュカラー、15…オイル案内溝、16…
オイルシール、17…ドリブンプーリ、18…環状突起、19
…円筒状凹部、20…吸入ジョイント、21…ボルト、22、
23…吸入通路、24…貫通吸入ポート、25…吐出凹部、26
…環状溝、27…切欠き、28…貫通吸入通路、29…吸入凹
部、30…貫通吐出ポート、31…圧油導入貫通孔、32…圧
油導入凹部、33…圧油導入部、34…吐出通路、35…連通
路、36…リリーフバルブ、37…スプール収納孔、38…流
量調整用スプール、39…パイロット圧力室、40…弁室、
41…圧縮コイルスプリング、42…絞り通路、43…圧力オ
イル供給孔、44…戻り通路、45…リリーフ通路、46、4
7、48、49…Ｏリング、

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端動力伝達帯を介してオイルポンプの
   駆動軸に動力が伝達されるオイルポンプにおいて、該駆
   動軸の無端動力伝達帯側一端部は、金属製ブッシュカラ
   ーを介してポンプボディーに回転自在に枢支されるとと
   もに、前記駆動軸の他端部は、ロータの両側面を前記ポ
   ンプボディと共同して挟持するアウタサイドプレートに
   回転自在に枢支され、前記金属製ブッシュカラーより外
   側部に位置した個所の前記ポンプボディと駆動軸との間
   にオイルシールが介装され、前記アウタサイドプレート
   を密閉するように前記ポンプボディにカバーが装着され
   たことを特徴とするオイルポンプの駆動軸枢支構造。
2. 【請求項２】 前記アウタサイドプレートにおける駆動
   軸枢支部分には、前記カバーに向って突出する環状突部
   が形成され、該環状突部は該カバーに嵌合したことを特
   徴とする前記請求項１記載のオイルポンプの駆動軸枢支
   構造。
3. 【請求項３】 前記アウタサイドプレートは、焼結材よ
   りなることを特徴とする前記請求項１記載のオイルポン
   プの駆動軸枢支構造。