JPH07268726A - 難燃性と光沢を有するポリエステル中空繊維 - Google Patents

難燃性と光沢を有するポリエステル中空繊維

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JPH07268726A
JPH07268726A JP5207694A JP5207694A JPH07268726A JP H07268726 A JPH07268726 A JP H07268726A JP 5207694 A JP5207694 A JP 5207694A JP 5207694 A JP5207694 A JP 5207694A JP H07268726 A JPH07268726 A JP H07268726A
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JP
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hollow
fiber
polyester
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hollow fiber
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JP5207694A
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Tetsuo Tsukamoto
哲男 塚本
Yoshiaki Sato
慶明 佐藤
Shizuya Yoshikawa
静也 吉川
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】二官能性リン化合物をリン元素量として0.2
〜1.5重量%含有し、艶消し剤含有量が0.1重量%
以下であるポリエステルからなり、繊維の断面の外形が
円形で、かつ繊維断面のほぼ中心部に三角形状の中空部
を有し、中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚
(NA)が下記式を満足し、中空部の中空率が10〜5
0%であることを特徴とするポリエステル中空繊維。N
A(ミクロン)≧2.1×d1/2但し、NA=中空部で
ない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(ミクロン)d=
単繊維繊度(デニール) 【効果】本発明のポリエステル中空繊維は良好な難燃性
と光沢を有し、軽量で保温性に優れかつ繊維断面が潰れ
難い高品位の中空繊維であり、衣料用素材、インテリア
製品素材、車両内装資材あるいは寝装用素材等として特
に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難燃性と光沢を有するポ
リエステル中空繊維に関するものである。さらに詳しく
は、カーテン、カーペット、椅子張りなどのインテリア
製品用素材および自動車、電車などのカーシートなど車
両内装資材用素材あるいは寝装用素材として従来以上の
良好な難燃性と光沢を有し、軽量で保温性に優れ、かつ
繊維断面が潰れ難い高品位のポリエステル中空繊維に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、機械的性質、化学
的性質、イージーケア性、光沢性等優れた特性から一般
衣料用や産資建装用として広く利用されている。特に最
近では、ポリエステル繊維の優れた特性を応用して他の
繊維にない独特な製品が開発されている。また、消費者
の日常生活における安全性を考慮した製品や自動車など
では省エエネルギー化のためにより軽量化された製品や
より保温化機能のある繊維製品など、より高品質のいろ
いろな性能が求められている。
【0003】軽量化や保温化を達成するために糸条の嵩
高性を大きくしたり、織編物の組織を工夫することであ
る程度までは可能であるが、さらに軽量化を計るには繊
維自体を軽量化する必要がある。その手段の一つとして
見掛上軽量化された中空繊維が用いられている。中空繊
維については、古くから知られており、例えば特公昭4
2−2928号公報には、中空率50%以下の中空繊維
の製法が開示されており、その他多くの特許公報に中空
繊維や中空繊維の製法が開示されている。
【0004】また、特にカーテン、カーペット、椅子張
りなどのインテリア製品分野や自動車、電車などのカー
シートなど車両内装資材分野あるいは寝装用分野におい
ては、消費者の日常生活における安全性を考慮した製品
として難燃性を付与したポリエステル繊維製品が多く用
いられている。これらの製品の多くは織編物の染色加工
時に難燃性のある化学物質を含浸させたり、化学反応さ
せたりあるいは繊維表面にコーティングさせたりする、
いわゆる後加工による処理によって難燃性のある製品が
製造されている。後加工による難燃繊維は、使用する難
燃性化学物質の主要な元素としてブロムなどのハロゲン
元素が使用されており、この難燃繊維が高温や炎に晒さ
れた際しばしば有毒ガスが発生し人体に悪影響を与える
ので好ましくない。したがって有毒ガスの発生がないリ
ン化合物の難燃性化学物質の開発が盛んに行われてい
る。また、繊維製造段階で難燃性を付与したいわゆる原
糸難燃繊維も製造されておりその技術もいくつか開示さ
れている。
【0005】原糸難燃繊維の製造を目的とした難燃性ポ
リエステルとして、リン化合物を添加する技術として、
例えば特公昭53−13479号公報、特公昭55−2
9090号公報、特公昭60−38417号公報など多
くの技術が開示されている。また、リン化合物を添加し
たポリエステルから中空繊維を得、得られた中空繊維を
アルカリ化合物の水溶液で処理し、該中空繊維からリン
化合物を溶出して、中空繊維に微細孔を形成せしめこと
により吸水性や吸湿性を付与する技術として特開昭57
−51813号公報や特開昭61−167080号公報
等が開示されている。
【0006】上述のように中空繊維の技術、難燃性繊維
に関する技術等は多く知られているが、ポリエステル中
空繊維で、従来品以上の良好な難燃性と光沢を有し、軽
量で保温性に優れ、かつ、繊維断面が潰れ難い高品位の
ポリエステル中空繊維は得られていないのが実状であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したようにポリエステル中空繊維で、従来品以上の良好
な難燃性と光沢を有し、軽量で保温性に優れ、かつ、繊
維断面が潰れ難い高品位のポリエステル中空繊維を提供
することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記した本発明の目的
は、二官能性リン化合物をリン元素量として0.2〜
1.5重量%含有し、艶消し剤含有量が0.1重量%以
下であるポリエステルで形成されており、繊維の断面の
外形が円形で、かつ繊維断面の中心部に中空部を有し、
中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(NA)
が下記式を満足し、中空部の中空率が10〜50%であ
ることを特徴とする難燃性と光沢を有するポリエステル
中空繊維によって達成できる。 NA≧2.1×d1/2 但し、NA=中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
肉厚(ミクロン) d=単繊維繊度(デニール) 以下、本発明を詳細に説明する。本発明でいうポリエス
テルとは、構成単位の少なくとも85モル%がエチレン
テレフタレートであり、好ましくは90モル%以上、さ
らに好ましくは95モル%である。15モル%以下の共
重合成分としては、例えばアジピン酸、イソフタル酸等
が挙げられる。
【0009】本発明のポリエステル中空繊維は、上述の
ポリエステルに二官能性リン化合物をリン元素量として
0.2〜1.5重量%含有し、艶消し剤含有量が0.1
重量%以下であるポリエステルで形成されている必要が
ある。
【0010】本発明で用いるポリエステルは、二官能性
リン化合物をリン元素量として0.2〜1.5重量%含
有しているものであるが、好ましくは0.3〜1.0重
量%、より好ましくは0.4〜0.8重量%含有してい
るものがよい。二官能性リン化合物がリン元素量として
0.2重量%未満では、繊維の難燃性が不十分であり、
1.5重量%を超えると繊維の強度および伸度が低下
し、繊維製造工程での糸切れが多発するとともに繊維製
品製造工程でも毛羽発生や糸切れなどのトラブルが多発
するのでよくない。また、二官能性リン化合物を多量に
使用することは繊維コストの上昇になりこの点からもよ
くない。艶消し剤を多量に含有すると、良好な光沢のあ
る繊維が得られないので本発明では艶消し剤含有量が
0.1重量%以下であるポリエステルを使用する。好ま
しくは艶消し剤が含有しないポリエステルを使用するこ
とである。
【0011】また、本発明のポリエステルの固有粘度が
あまりにも低いと繊維製造工程での糸切れが多発しやす
く、繊維製品製造工程でも毛羽発生や糸切れなどのトラ
ブルが多発することがあるため、固有粘度は0.68以
上が好ましい。
【0012】二官能性リン化合物として具体的には、下
記、、式で示される化合物である。
【化1】 前記式で示される二官能性リン化合物として好ましい
具体例は、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホス
ホン酸ジフェニル等が挙げられる。
【0013】前記式で示される二官能性リン化合物と
して好ましい具体例は、(2−カルボキシルエチル)メ
チルホスフィン酸、(2−カルボキシルエチル)フェニ
ルホスフィン酸、(2−メトキシカルボキシルエチル)
フェニルホスフィン酸メチル、(4−メトキシカルボキ
シルエチル)フェニルホスフィン酸メチルおよび(2−
(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル)メチル
ホスフィン酸のエチレングリコールエステルなどが挙げ
られる。
【0014】前記式で示される二官能性リン化合物と
して好ましい具体例は、(1,2−ジカルボキシルエチ
ル)ホスフィンオキシド、(2,3−ジカルボキシルプ
ロピル)ジメチルホスフィンオキシド、(2,3−ジメ
トキシカルボニルエチル)ジメチルホスフィンオキシド
および(1,2−ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニ
ル)ジメチルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
【0015】前記、、式で示される化合物の中で
は、特に式の二官能性リン化合物が、ポリエステルと
の共重合反応性がよく、重縮合反応時の飛散がないこと
からより好ましい。式の二官能性リン化合物の中では
特に(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸が
好ましい。
【0016】本発明のポリエステル中空繊維は、断面の
外形を円形とする必要がある。繊維の断面の外形が極端
な異形であると紡糸時の糸切れが発生しやすく、また延
伸時にも糸切れや毛羽が発生しやすい。なお、円形とは
真円であることが最もよいが、必ずしも真円でなくとも
よく、ほぼ真円状であればよく、具体的には円または楕
円の直径で長い径と短い径の変化が10%以内の変動が
あるもの、または糸重心から最も離れた外周上の点まで
の距離R1と糸重心に最も近い外周上の点までの距離R
2の関係が、[(R1−R2)/R1]×100≦10
の関係を満たすものであればよい。
【0017】さらに本発明のポリエステル中空繊維は繊
維断面の中心部に三角形状の中空部を有ことが好まし
い。繊維断面の中心部に中空部が有るとゆうことは、中
空部が実質的に偏心して存在していないことを意味す
る。中空部があることは、その分だけ軽量化され、織編
物を軽量化できる。また、中空部を三角形状の中空繊維
にすることによって、良好な光沢が得られる。良好な光
沢が得られる要因は明確ではないが、中空繊維に光が当
たった時に、艶消し剤がごく微量にとどまるため大部分
の光が中空部にまで入射し、その光が三角形状の中空部
の内壁で再度反射して光沢を高めて、それが良好な光沢
を発現しているものと思われる。さらに中空部が繊維の
中心部にあること、中空部が三角形状であることによっ
て、延伸時および高次加工工程での中空部の潰れ、すな
わち中空率の低下が少なくなる。一般的に中空糸の製造
およびその高次加工工程において、中空繊維はローラ類
との接糸圧やガイド類での摩擦力あるいはその他の外力
によって、繊維に側面方向からの圧力が加わり繊維断面
が楕円形や偏平形に潰れ中空率が低下する。この現象は
中空率が高い中空繊維ほど起こり易い。しかも、ある中
空率を越える場合には繊維の外形および中空部が円形の
場合に起こり易い。また、中空部が繊維の中心部になく
偏心していると、すなわち部分的に肉薄部分があると起
こり易い。これに対し本発明のポリエステル中空繊維は
前述したように繊維断面の中心部に中空部を有するので
潰れ難いものとなる。
【0018】本発明の中空繊維の中空部の好ましい形状
としての三角形状について、図面を参照しながら説明す
る。
【0019】図1は本発明のポリエステル中空繊維の中
空部の形状を説明する図である。すなわち、中空繊維中
空部の三角形状の三つの頂点をそれぞれa、b、cと
し、その3点を直線で結んだ三角形の三つの辺をab、
bc、caとする。点cから辺abに垂線cdを引き垂
線cdの延長上での中空部壁との交点をeとする。点a
および点bからもそれぞれ辺bc、辺caにも垂線を引
き、図の如く点f、点g、点h、点iを定める。本発明
のポリエステル中空繊維の中空部は全容としては好まし
くは三角形状であり、さらに好ましくは正三角形状であ
るが図1のようにおむすび型であってもよい。好ましい
中空部形状をまとめると次のとおりである。
【0020】(1)辺の線分ab、bc、caのそれぞ
れの長さは等しいほど好ましいが、20%以内の変化が
あってもよい。むろん、最も好ましい形状は正三角形で
ある。 (2)線分ag/線分af、線分bi/線分bh、線分
ce/線分cdのそれぞれの値は1.0〜1.3の範囲
が好ましく、より好ましくは1.0〜1.2の範囲にあ
ることである。
【0021】本発明のポリエステル中空繊維は、繊維断
面における中空部の占める面積、すなわち中空率を10
〜50%の範囲とする必要がある。中空率が10%未満
では衣料品としての軽量化の効果が小さくまた保温性の
効果も小さい。織編物の保温性は先に述べたとおり繊維
間や組織間に空気を含ませる構造にすればある程度まで
は高めることができるが、あまりにも空気を含ませる構
造にすると体温で暖められた空気が対流を起こし、保温
性が低下する。中空糸では糸自体に空気を封じ込めるの
で対流がなく保温性を高めることができる。中空率は高
いほど軽量化の効果、保温性の効果は大きく好ましい
が、あまりにも高い中空率の繊維では高次加工工程での
繊維断面の潰れが発生しやすく衣料品となった時に原糸
の中空率を保持できなくなるとともに、衣料品の着用中
にも繊維断面の潰れが発生しやすいので中空率は50%
以下にする必要がある。軽量化の効果、保温性の効果お
よび着用中の繊維断面の潰れ易さなどの点から、好まし
い中空率は15〜40%である。
【0022】また本発明の中空繊維は、繊維断面におけ
る中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(N
A)が次の式を満足することが必要である。 NA≧2.1×d1/2 例えば、3デニールの繊維でのNAは3.6ミクロン以
上とすることが必要である。なお、肉厚は中空繊維の重
心と繊維表面を結ぶ線分において繊維上部分の長さをい
う。中空部でない部分の肉厚は、中空繊維の単繊維繊
度、中空率および中空部の形状によって決まるが、いず
れにしても肉厚が前記の式を満足することが繊維断面の
潰れを防ぐためには必要となる。
【0023】さらに本発明のポリエステル中空繊維は、
原糸段階での毛羽、すなわち紡糸、延伸して巻取られた
糸の毛羽の有無が高次加工性の良否に大きく関係し、そ
の影響は従来のポリエステル繊維に比較して大きい。し
たがって、巻取られた糸の毛羽の数は0.20個/1万
m以下が好ましく、0.10個/1万m以下がより好ま
しく、0.05個/1万m以下が一層好ましい。
【0024】なお、図2b〜2dおよび図2f〜2hは
従来知られている中空繊維用紡糸口金の吐出孔およびそ
れらの吐出孔から吐出された繊維断面の例である。
【0025】本発明のポリエステル中空繊維は、例えば
二官能性リン化合物として(2−カルボキシルエチル)
メチルホスフィン酸をポリエステルの製造工程(重縮合
反応)でリン元素量として0.2〜1.5重量%(重縮
合反応終了時点の重量%)になるよう添加して得たポリ
エステル(艶消し剤は含有しないもの)を例えば図2a
で示す三スリット型のポリマ吐出孔を有する口金から溶
融紡糸し、油剤を付与し未延伸糸を得、これを一旦巻き
取った後か、あるいは引き続き延伸することにより得ら
れる。この際、溶融紡糸の糸条の強制冷却は紡糸口金面
下3〜15cmの距離で冷却風の吹き付けを開始すること
が中空率のバラツキを小さくする上で好ましい。さらに
延伸に際しては、ホットロール−ホットロール系の延伸
機を使用し、第一ホットロールで75〜100℃に予備
加熱し、第二ホットロールとの間で延伸する方法が毛羽
の発生を少なくするために好ましい。第二ホットロール
の温度は、得ようとする糸条の目標収縮特性に合うよう
適宜設定すればよい。得られた繊維の断面は図2eに示
されるものとほとんど同等である。
【0026】本発明のポリエステル中空繊維は、衣料用
素材、インテリア製品素材、車両内装資材あるいは寝装
用素材として活用できる。また難燃性、軽量性の点から
車両内装資材として適用することが特に有用である。
【0027】以上述べたとおり、リン元素量を所定量含
有し、艶消し剤をごく微量にとどめたポリエステルから
なり、かつ断面形状が特定化された中空繊維とすること
により、従来の中空繊維にはない良好な難燃性と良好な
光沢を有し、軽量で保温性に優れ、かつ繊維断面が潰れ
難い高品位のポリエステル中空繊維を提供することがで
きる。
【0028】また、本発明のポリエステル中空繊維は、
繊維製造段階で難燃性を付与した原糸難燃繊維であるの
で、繊維製品の洗濯や使用経時による難燃性の低下がほ
とんどなく良好である。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお実施例中の物性は次のようにして測定し
た。 A.中空率 繊維の断面写真から次式により算出した。 中空率(%)=(中空部の断面積/繊維の断面積)×1
00
【0030】B.難燃性 筒編み地を防炎性評価方法;JIS−Z2150の45
度コイル法により評価した。接炎回数3回以上が合格で
ある。 C.光沢度 スガ試験機製自動測色色差計を用いて照射45度、受光
44度の条件で酸化マグネシウム標準光沢板を用いて基
準値を調整した後、アルミ板に巻いたサンプルに対し繊
維軸方向に照射、受光をし光沢度を測定した。 D.毛羽 東レエンジニアリング社のマルチフライカウンターF型
を用いて延伸糸5本を約400m/minで走行させな
がら各々5万mを測定し、カウントされた毛羽の総数か
ら毛羽数を求めた。 毛羽数(個/1万m)=(カウント総数/25万m)×
10000
【0031】実施例1 二官能性リン化合物として(2−カルボキシルエチル)
メチルホスフィン酸をポリエステルの製造工程(重縮合
反応)でリン元素量として0.1〜1.7重量%(重縮
合反応終了時点の重量%)になるよう添加して得た6水
準のポリエステル(艶消し剤は含有しないもの)と前記
二官能性リン化合物を添加しないポリエステルおよび艶
消し剤(二酸化チタン)を0.3重量%添加したポリエ
ステルを使用し、紡糸温度285℃で図2aで示す吐出
孔を24個有する口金から吐出した後に、口金面下8c
mの位置で毎分30mの速度の冷却風をあてて冷却し、
平滑性の高い油剤を油分付着量が1.1重量%になるよ
うにコントロールしながら付与した後に、紡速1550
m/分で巻取った。
【0032】得られた未延伸糸をホットロール−ホット
ロール系の延伸機にて第1ホットロールを88℃として
予備加熱し第2ホットロールとの間で延伸糸伸度が35
±2%となる延伸倍率で延伸しながら第2ホットロール
温度145℃で熱処理し、巻取速度800m/minで
巻き上げ、75デニール24フィラメントの中空繊維糸
条を得た。得られた糸条を筒編み地に編成した。得られ
た繊維の断面は図2eと同様で中空部が三角形状で繊維
のほぼ中心部にあり、中空部でない部分の肉厚は最も薄
い部分で4.6ミクロンであった。得られた繊維糸条の
毛羽数は実験No.6は多数であったがその他は0.1
0個/万m以下であった。
【0033】得られた繊維の中空率は20〜23%の範
囲にあった。得られた筒編み地の難燃性、光沢度の評価
結果を表1に示す。
【0034】
【表1】 表1に示すように、本発明の実験No.2〜5の繊維の
編物は、難燃性が3回以上で合格であり、光沢度も70
%を超えていて光沢が良好であった。また、糸強度はす
べての水準で3.5g/d以上であり問題ないレベルで
あった。
【0035】実験No.1(比較例)の繊維の編物は、
リン元素含有量が少ないため難燃性が2回で不合格であ
った。実験No.6(比較例)の繊維の編物は、リン元
素含有量が多いために紡糸時の糸切れが多発し製糸性が
不良であり、糸強度は2.9g/dと低いものであっ
た。糸強度が低いがために織物の引裂き強力も低く、製
織時に発生した多数の毛羽のために織物品位が極めて悪
く商品価値が低いものであった。実験No.7(比較
例)の繊維の編物は、難燃性は合格である二酸化チタン
が含有されており、光沢度が26%と低く光沢が不良で
あった。実験No.8(比較例)の繊維の編物は、リン
元素が含有しておらず難燃性が2回で不合格であった。
【0036】実施例2 実施例1の実験No.3のポリマを用い、図2aの口金
吐出孔でリング状に配設されたスリットの内径を変更し
た口金を使用した以外は実施例1に準じ、中空率を変更
した中空繊維糸条を得た。得られた糸条の毛羽数は0.
10個/万m以下であった。また、中空部でない部分の
肉厚で最も薄い部分の肉厚は3.4〜6.0ミクロンの
範囲であり、実験No.11は3.7ミクロンであり、
実験No.12が3.4ミクロンで最も薄いものであっ
た。得られた中空繊維糸条を実施例1に準じて評価した
結果を表2に示す。
【0037】
【表2】 実験No.9(比較例)の編物は中空率が小さく軽量性
の効果が小さく通常の丸断面糸と大差なかった。実験N
o.13(比較例)の編物は、編成時での繊維の潰れが
多発して編物での中空率は小さくなっていた。また中空
部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚が、2.1×
1/2 =3.6(ミクロン)未満であり、繊維の潰れが
多発するとともに潰れ度合いが大きかった。なお、難燃
性はすべての水準で4回以上で合格であった。軽量性や
後加工での繊維断面の形状保持の面で本発明の実験N
o.10、11、12の繊維が有効に活用できる。
【0038】実施例3 実施例2のポリマを用い、図2b、図2cの口金吐出孔
を有する口金を用いた以外は実施例1に準じ、繊維の断
面を変更した中空繊維糸条を得、評価した。得られた繊
維の断面は図2f、図2gに示した。実験結果を実施例
1の実験No.3と比較し表3に示す。
【0039】
【表3】 図2fに示した外形が三葉型の中空繊維糸条(実験N
o.14(比較例)、中空率15.2%)は、紡糸時の
糸切れが16回/トンと多く、また延伸時の毛羽発生も
3.8コ/1万mと多く、糸切れ率も13%と多かっ
た。図2gに示した中空部が偏心した中空繊維糸条は
(実験No.15(比較例))中空率が20.5%であ
ったが、編物にしたときに断面の変化が大きく繊維の潰
れが発生し中空率が13.2%にまで低下した。
【0040】実施例4 実施例2のポリマを用い、図2a、図2dの口金吐出孔
を有する口金を用い、中空率を約35%に調整した以外
は実施例1に準じ、繊維の中空部形状を比較した中空繊
維糸条を得、評価した。得られた繊維の断面は図2e、
図2hに示したと同等のものである。実験結果を表4に
示す。
【0041】
【表4】 図2hに示した中空部形状がほぼ真円の中空繊維糸条は
(実験No.17(比較例))、中空率が36.1%で
あったが編物にした時に断面の変化が大きく繊維の潰れ
が発生し中空率が26.2%にまで低下した。また編物
において繊維の潰れた部分はスジ状のムラが発生し編物
の品位が著しく不良であった。図2eに示した中空部形
状がほぼ三角形の中空繊維糸条(実験No.16(本発
明))は、中空率が35.2%であったが編物にしても
繊維の潰れがほとんどなく中空率も33.8%であり、
織物の品位も良好であった。
【0042】
【発明の効果】本発明のポリエステル中空繊維は、リン
元素含有量を所定範囲とし、艶消し剤をごく微量にとど
めたポリエステルからなり、かつ繊維の断面形状および
中空率を特定化することにより、従来の中空繊維にはな
い良好な難燃性と良好な光沢を有し、軽量で保温性に優
れ、かつ、繊維断面が潰れ難い高品位のポリエステル中
空繊維を提供することができる。
【0043】本発明のポリエステル中空繊維は、衣料用
素材、インテリア製品素材、車両内装資材あるいは寝装
用素材として活用できる。また難燃性、軽量性の点から
車両内装資材として適用することが特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル中空繊維の特に好適な中
空部の形状を説明する図である。
【図2】図2aは本発明のポリエステル中空繊維用紡糸
口金の吐出孔の一例を示す概略断面図であり、図2b〜
2dは従来公知のポリエステル中空繊維用紡糸口金の吐
出孔例を示す概略断面図である。図2eは図2aの中空
繊維用紡糸口金の吐出孔による中空繊維の概略断面図で
あり、図2b〜2dの中空繊維用紡糸口金の吐出孔によ
る中空繊維の概略断面図である。
【符号の説明】
a:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 b:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 c:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 d:上記三角形の辺abに対して点cから引いた垂線と
辺abとの交点 h:上記三角形の辺acに対して点bから引いた垂線と
辺acとの交点 f:上記三角形の辺bcに対して点aから引いた垂線と
辺bcとの交点 e:上記三角形の線分cdの延長線と中空壁との交点 g:上記三角形の線分afの延長線と中空壁との交点 i:上記三角形の線分bhの延長線と中空壁との交点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D01F 6/62 303 E

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】二官能性リン化合物をリン元素量として
    0.2〜1.5重量%含有し、艶消し剤含有量が0.1
    重量%以下であるポリエステルで形成されており、繊維
    の断面の外形が円形で、かつ繊維断面の中心部に中空部
    を有し、中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚
    (NA)が下記式を満足し、中空部の中空率が10〜5
    0%であることを特徴とする難燃性と光沢を有するポリ
    エステル中空繊維。 NA≧2.1×d1/2 但し、NA=中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
    肉厚(ミクロン) d=単繊維繊度(デニール)
JP5207694A 1994-03-23 1994-03-23 難燃性と光沢を有するポリエステル中空繊維 Pending JPH07268726A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5997980A (en) * 1997-02-20 1999-12-07 Teijin Limited Hollow polyester fibers and textile articles comprising same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5997980A (en) * 1997-02-20 1999-12-07 Teijin Limited Hollow polyester fibers and textile articles comprising same

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