JP4387230B2 - ポリエステル複合仮撚加工糸 - Google Patents

ポリエステル複合仮撚加工糸 Download PDF

Info

Publication number
JP4387230B2
JP4387230B2 JP2004103525A JP2004103525A JP4387230B2 JP 4387230 B2 JP4387230 B2 JP 4387230B2 JP 2004103525 A JP2004103525 A JP 2004103525A JP 2004103525 A JP2004103525 A JP 2004103525A JP 4387230 B2 JP4387230 B2 JP 4387230B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
yarn
core
false twisted
twisted yarn
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004103525A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005290577A (ja
Inventor
昌裕 檜垣
憲二 岩下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Fibers Ltd
Original Assignee
Teijin Fibers Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Fibers Ltd filed Critical Teijin Fibers Ltd
Priority to JP2004103525A priority Critical patent/JP4387230B2/ja
Publication of JP2005290577A publication Critical patent/JP2005290577A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4387230B2 publication Critical patent/JP4387230B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、かさ高性、スパン感を有し、さらには、優れた吸水性とドライ感、防透性にも優れたスパンライクポリエステル布帛を得ることができるポリエステル複合仮撚加工糸に関する。
従来、伸度差を有する2種以上のポリエステルマルチフィラメント糸を引き揃えて交絡し、引き続いて仮撚加工することにより得られる、かさ高性、スパン感に優れた2層構造の複合仮撚加工糸が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら近年、織編物の風合い、肌触り、外観等に関する要求がますます高まってきており、従来の複合仮撚加工糸を用いて製編織された布帛では、一応のかさ高性やスパン感は得られるもののまだ十分なものではなかった。特に肌に直接触れることの多いブラウスやシャツなどの用途においては、更なるドライ感、ドレープ性、下着等が透けて見えない高い防透性などが得られていないという現状があった。
特公昭61−19733号公報 特開2003−313741号公報
本発明は、上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、良好なかさ高性、スパン感を有するとともに吸水性、ドライ感、防透性に優れた、スパンライクなポリエステル布帛を得ることができるポリエステル複合仮撚加工糸を提供することにある。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、コア部がポリエステルマルチフィラメント糸Aより構成され、シース部がポリエステルマルチフィラメント糸Bより構成されてなる2層構造の複合仮撚加工糸であって、前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bを形成するポリエステル単糸が、ポリエステルa成分とポリエステルb成分からなる芯鞘型複合繊維であり、芯部を形成するポリエステルaは艶消し剤を5重量%以上含み、鞘部を形成するポリエステルbは幅が0.001〜3μm、長さが幅の3〜50倍である微細孔を有し、かつ繊維断面の芯部の面積と鞘部の面積との比が35:65〜80:20であることを特徴とする。
さらには、ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bとが、3:7〜1:9の割合(重量比)であることが好ましい。
また、もう一つの本発明は、上記の本発明のポリエステル複合仮撚加工糸を含むポリエステル布帛であることを特徴とする。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸によれば、良好なかさ高性、スパン感を有するとともに吸水性、ドライ感、防透性にも優れたスパンライクなポリエステル布帛を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、コア部がポリエステルマルチフィラメント糸Aより構成され、シース部がポリエステルマルチフィラメント糸Bより構成されてなる2層構造の複合仮撚加工糸である。
ここで、かかる2層構造は、ほぼ芯鞘構造になっておればよく特に限定されないが、コア部の芯糸の周りにシース部の捲付き糸が交互撚糸状に捲きついた、実質的に太さ斑のない構造であることが好ましい。かかる2層構造糸において、芯糸と捲付き糸との構成フィラメントが互いに交絡した部分を有し、これにより前記交互撚糸状の捲付き構造が安定に保持される。このような2層構造糸は例えば、伸度小なるポリエステルマルチフィラメント糸Aと、伸度大なるポリエステルマルチフィラメント糸Bとを引きそろえて空気交絡処理を施した後、同時延伸仮撚捲縮加工を施すことにより、コア部のマルチフィラメント糸Aに、マルチフィラメント糸Bがシース部として巻きついた2層構造糸として形成することができる。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸において、芯部に位置するポリエスエステルマルチフィラメント糸Aは、ポリエステルからなる単糸によって構成されているものである。ここでポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが特に好適である。またポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、酸化チタン、着色剤、不活性微粒子などの任意の添加剤が含まれていてもよい。さらには、ポリエーテルと有機スルホン酸塩を含むポリエステルであっても良い。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Aは単繊維の横断面形状は特に限定されず、丸だけでなく、丸中空、三角、四角などの異型でもよい。
一方、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸のシース部に位置するポリエステルマルチフィラメント糸Bを形成するポリエステル単糸は、ポリエステルa成分とポリエステルb成分からなるからなる芯鞘型複合繊維である。ここでポリエステルとしてはポリエステルマルチフィラメント糸Aと同じく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが好適である。
さらにこの複合繊維の芯部となるポリエステルa成分としては、ポリエステル重量を基準として艶消し剤を少なくとも5.0重量%含有していることが必要である。艶消し剤の含有量が5.0重量%未満では、十分な透け防止効果が得られない。艶消し剤としては、酸化チタン等従来公知のものでよい。かかるポリエステルa成分には、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、着色剤、不活性微粒子などの任意の添加剤が含まれていてもよい。
一方、複合繊維の鞘部となるポリエステルb成分は、幅が0.001〜3μmであり、その長さが幅の3〜50倍である微細孔を有している。さらには、幅は0.01〜3μm、特に好ましくは0.02〜2μmであることが好ましく、その長さは幅の5〜50倍であることが好ましい。これらの微細孔は多数あることが好ましい。微細孔の巾Dが0.001μm未満では、十分な吸水性、光の乱反射効果が得られず、防透性も低下する。逆に、該巾Dが大きくなりすぎると繊維物性、特に引張り強度がが低下する傾向にある。また、微細孔の長さと幅の比L/Dが小さすぎると、繊維軸方向に毛細管現象等で流れる水が減り十分な吸水効果が得られにくい。逆に比が減少すると、孔が幅方向に拡大されているため、繊維物性が低下する傾向にある。なお、微細孔の深さについては、特に限定されないが、幅の0.5〜10倍程度が適当であり、芯部まで到達していてもよい。なおここで微細孔は、任意に選定したn数10の平均値で測定したものである。
またポリエステルb成分は、艶消し剤を含まないことが好ましく、含んだとしても0.3重量%以下であることが好ましい。艶消し剤の含有量が増加すると、全体の防透性はわずかに向上するものの、吸水性に悪影響を及ぼす傾向にある。さらに、ポリエステルb成分は、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、着色剤、不活性微粒子などの任意の添加剤が含まれていてもよい。
本発明で用いられる芯鞘型ポリエステル複合繊維は、艶消し剤を5重量%以上含むポリエステルa成分が芯部に、前記の微細孔を有するポリエステルb成分が鞘部に配されている。ここで、複合繊維の芯鞘構造は、単芯型であってもよいし多芯型であってもよい。さらには、正芯(同心)の単芯型でもよいし、偏芯(偏心)の単芯型であってもよい。また、芯の一部が表面に露呈していても、本発明の主目的である吸水性と防透性が損なわれない範囲内であれば、さしつかえない。ただし、量産上の安定性、再現性を考慮すると正芯単芯型が好ましい。
複合繊維のポリエステルa成分とポリエステルb成分の複合比は吸水性と防透性を両立させる上で、芯部の面積aと鞘部の面積bとの比a:bが35:65〜80:20の範囲であることが必要である。ここで、芯部の面積aが小さくなると、防透性が低下する傾向にある。逆に、鞘部の面積bが小さくなると、吸水性低下する傾向にある。なお、芯部が多芯型の場合、芯部断面の総断面積は、各芯部の断面積を合計したものとする。
複合繊維の断面形状及び芯部の断面形状は、丸、三角、四角、扁平、中空など任意の形状が選定される。また、複合繊維の断面形状と芯部の断面形状は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
このような芯鞘型ポリエステル複合繊維を製造する方法としては、艶消し剤を5.0重量%以上含有するポリエステルa成分と、例えば微細孔形成剤として有機スルホン酸金属塩化合物、ポリオキシアルキレン系ポリエーテル化合物等を含有するポリエステルb成分とを、公知の芯鞘型複合紡糸装置を用いて前者が芯部に、後者が鞘部に位置するように溶融紡糸し、その後でアルカリ化合物の水溶液により、ポリエステルb成分中の微細孔形成剤を2重量%以上溶出して、鞘部の大気側表面およびその近傍に多数の微細孔を形成させる方法をあげることができる。ポリエステルb成分に含有される微細孔形成剤としては、下記式で示すことができるスルホン酸金属塩が最も好ましい。
Figure 0004387230
式中、MおよびM’は金属であり、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛が好ましく、MおよびM’は同一でもあるいは異なっていてもよい。Rは水素原子またはエステル形成性官能基であり、nは1または2を示す。
かかるスルホン酸金属塩は、具体的には3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸ナトリウム、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸カリウム、3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸カリウム−5−カルボン酸カリウム、3−カルボキシベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸ナトリウム、3−ヒドロキシエトキシカルボニルベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸1/2マグネシウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム−3,5−ジカルボン酸マグネシウム1/2等をあげることができる。上記スルホン酸金属塩は1種のみを単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記微細孔形成剤の添加量は、少ないと最終的に得られる芯鞘型ポリエステル複合繊維の吸水性が低下し、一方多いと紡糸時にトラブルが発生しやすくなるので、ポリエステルを構成する酸成分に対して0.5〜5モル%の範囲が適当である。
複合繊維のポリエステルb成分に多数の微細孔を形成させるためには、アルカリ化合物水溶液による処理が好ましい。かかる処理は、ポリエステルa成分とb成分からなる繊維を溶融複合紡糸した後の任意の段階で行うことができ、伸度小のポリエステルマルチフィラメント糸Aと、複合繊維からなる伸度大のポリエステルマルチフィラメント糸Bとのポリエステル複合仮撚加工糸とする加熱加工等の加工を施したのち、さらには布帛にしたのちに行って布帛状態で本発明のポリエステル複合仮撚加工糸としてもよい。ここで使用するアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイト、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等をあげることができる。なかでも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが特に好ましい。かかるアルカリ化合物の濃度は、アルカリ化合物の種類、処理条件等によって異なるが、通常0.01〜40重量%の範囲が好ましく、0.1〜30重量%の範囲が特に好ましい。処理温度は常温〜100℃の範囲が好ましく、処理時間は1分〜4時間の範囲で通常行われる。また、このアルカリ化合物の水溶液の処理によって溶出除去する量は繊維重量に対して2重量%以上(より好ましくは5〜40重量%)であることが好ましい。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、上記の伸度小のポリエステルマルチフィラメント糸Aと、複合繊維からなる伸度大のポリエステルマルチフィラメント糸Bからなるが、ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bとの重量比は3:7〜1:9の割合であることが好ましい。さらには、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、第3の糸条が含まれていてもなんらさしつかえない。
また、前記ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bの総繊度は、特に限定されないが、かさ高性、布帛表面のドライ感、フィブリル感、コシ、反発性を得る上で、捲き付き糸の総繊度を芯糸の総繊度以上とすることが好ましく、ポリエステル複合仮撚加工糸内において、ポリエステルマルチフィラメント糸Bの総繊度を70〜350dtex、ポリエステルマルチフィラメント糸Aの総繊度を50〜150dtexの範囲とすることが好ましい。また、ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bの単繊維繊度は、1.5〜5.0dtexの範囲とすることが好ましい。
このような、本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は例えば次のような製造方法によって得ることができる。
まず、前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bであるが、鞘成分ポリマーに前記の微細孔形成剤を添加する。この添加時期は、ポリエステルを溶融紡糸する以前の任意の段階でよく、例えばポリエステルの原料中に添加配合しても、ポリエステルの合成中に添加してもよい。微細孔形成剤としては、前記のスルホン酸金属塩が最も好ましい。このようなスルホン酸金属塩が0.5〜5モル%含有するポリエステルをポリエステルb成分とし、酸化チタンを5〜20重量%(好ましくは7〜13重量%)含有するポリエステルをポリエステルa成分とする。本発明で用いるポリエステルマルチフィラメント糸Bとなる複合繊維は、これらa成分とb成分とをチップ状とし、通常の芯鞘型複合紡糸装置から270〜310℃の紡糸温度で紡糸口金から溶融吐出し、吐出ポリマーを冷却固化し、油剤を付与した後、これを2000〜4000m/分、好ましくは2500〜3500m/分で引取り、未延伸糸(部分配向糸)としてワインダーに巻き取ることにより得ることができる。
一方、ポリエステルマルチフィラメント糸Aは、通常のポリエステルをチップ状とし、270〜310℃の紡糸温度で紡糸口金から溶融吐出し、吐出ポリマーを冷却固化し、油剤を付与した後、これを500〜2500m/分、好ましくは800〜1500m/分で引取り、未延伸糸としてワインダーに巻き取る。更に、延伸機を用い速度600〜1200m/min、加熱ローラー温度80〜150℃、延伸倍率2.0〜4.0にて延伸することにより得ることができる。
次いで、両糸条を用いて、従来公知のスパンライク用仮撚2層構造糸の製造方法により本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は得ることができる。すなわち、前記ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bと引き揃えて空気交絡処理を施したのち、0.8倍以上の延伸倍率で同時延伸仮撚捲縮加工を施す方法である。その際、交絡数30〜80個/m、ヒーター温度120〜190℃、仮撚数2100〜2800T/m、延伸倍率0.8〜1.1倍の範囲が好ましく、仮撚具としては、3軸摩擦片デイスク式仮撚具、ベルト式仮撚具、ピン式仮撚具などが例示される。
かくして得られた仮撚加工糸は、伸度の小さいポリエステルマルチフィラメント糸Aがコア部に位置し、その周りに伸度の大きいポリエステルマルチフィラメント糸Bがシース部として巻きついた2層構造を有するものである。
この仮撚加工糸を本発明の微細孔を有するポリエステル複合仮撚加工糸とするには、アルカリ化合物水溶液による処理を行うことが好ましい。かかる処理は、ポリエステルa成分とb成分からなる繊維を溶融複合紡糸した後の任意の段階で行うことができるが、この2層構造を有する仮撚加工糸の段階か、あるいは布帛にしたのちに布帛状態で行うことが好ましい。
布帛段階で処理する場合には、処理前の仮撚加工糸を用いて、必要に応じて適度な撚りを施し、所望の組織に製編織した後、製編織された布帛に通常のアルカリ減量加工を施すことにより、ポリエステルマルチフィラメント糸Bを構成する複合繊維の鞘部分がアルカリ減量され微細孔が形成された本発明のポリエステル複合仮撚加工糸、及びもう一つの本発明である該ポリエステル複合仮撚加工糸を含むポリエステル布帛が得られる。
得られた布帛は、常法の染色仕上げ加工が施されてもよい。さらには、常法の撥水加工、起毛加工、紫外線遮蔽あるいは抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
布帛中に占める本発明のポリエステル複合仮撚加工糸の割合は、必ずしも100%である必要はないが、優れた吸水性、ドライ感、防透性を得るためにはその割合が多いほど好ましい。また、通常の染色仕上げ加工が施されても何らさしつかえない。
このようにして得られる本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、繊維に前記のような微細孔が形成されているため、繊維物性を良好に保ちながら、微細孔の毛細管現象により優れた吸水性が発現され、同時に、微細孔による繊維表面に凹凸により光が乱反射と、複合仮撚加工糸のシース部の艶消し剤による光散乱効果により防透性がより一層向上している。もう一つの本発明である上記のポリエステル複合仮撚加工糸を含むポリエステル布帛は、良好なかさ高性、スパン感を有するとともに吸水性、ドライ感、防透性にも優れたスパンライクなポリエステル布帛となり、白衣、薄い色のボトム等に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)伸度
JIS L 1013−1998 7.5.1により伸度(%)を測定した。
(2)固有粘度
35℃のオルソクロロフェノール溶液で測定した。
(3)吸水率
布帛を乾燥して得られる試料(30cm×30cm)を水中に30分以上浸漬した後、家庭用電機洗濯機の脱水機で5分間脱水し、脱水後試料の質量X(g)を求める。また、別途JIS L0105−1998に規定する絶乾状態における試料の質量Y(g)を求める。そして、下記式により吸水率を計算する。これを5回繰返し、その平均値を吸水率(%)とする。
吸水率(%)=((X−Y)/Y)×100
(4)防透性
防透性(%)=((標準黒色裏当て板(反射率6%)上での反射率)/(標準白色裏当て板(反射率91%)上での反射率))×100
防透性の数値については、黒色裏当て板と白色裏当て板とで、裏当てされたときの反射率が等しければ防透性100%の完全な防透性体であることを示し、一方、黒色裏当て板で裏当てされたときの反射率が0%であれば防透性0%となり完全な透明体であることを示す。なお、n数5で測定し、その平均値を求めた。
(5)微多孔の大きさ
繊維表面を3000倍の電子顕微鏡写真に撮り測定した。なお、任意にn数10で測定し、その平均値を求めた。
[実施例1]
通常のポリエチレンテレフタレートの重合反応工程で、テレフタル酸ジメチルに対して1.3モル%の3−カルボメトキシベンゼンスルホン酸ナトリウム−5−カルボン酸ナトリウム(微細孔形成剤)を添加し、固有粘度0.60、軟化点258℃のポリエステルb成分を得た。
一方、酸化チタンを10重量%含有する、固有粘度0.60、軟化点257℃の通常のポリエチレンテレフタレートをポリエステルa成分とした。
ついで、ポリエステルa成分とポリエステルb成分とを用いて、通常の芯鞘複合紡糸装置から280℃で溶融紡糸し、2800m/分の速度で引取り、延伸することなく巻取り、140dtex/36filの芯鞘型ポリエステル複合繊維(複合面積比、ポリエステルa成分:ポリエステルb成分=70:30)伸度150%を得た(ポリエステルマルチフィラメントB)。
一方、固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレートを用いて、溶融紡糸して1300m/分で一旦巻取り、低伸度側糸条として165dtex/24fil、伸度360%の未延伸糸とし、延伸速度1200m/min、加熱ローラ温度85℃、セットヒーター温度230℃、延伸倍率3.0倍にて、55dtex/24fil、伸度35%の延伸糸を得た(ポリエステルマルチフィラメントA)。
次いで、両糸条を引き揃えて空気交絡処理および同時延伸仮撚捲縮加工を行った。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用い、オーバーフィード率1.0%、圧空圧0.3MPa(3kgf/cm)で45個/mの交絡を付与した。また、同時延伸仮撚捲縮加工は、延伸倍率0.8倍、仮撚数2500T/m、ヒーター温度180℃、糸速350m/分の条件で行った。
かくして得られた仮撚加工糸は交互撚り2層構造を有しており、かつコア部を構成する糸条の伸度は35%であり、他方、シース部を構成する糸条の伸度は75%であった。また、コア部を構成する糸条とシース部を構成する糸条とが部分的に交絡(30個/m)していた。
該仮撚加工糸を経糸および緯糸に用いてタフタ織物を製織した。次いで、該織物を液流染色機を用いて沸騰水で20分間リラックス処理し、引き続きプリセット処理を行った後、3.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液で沸騰温度でアルカリ減量処理(減量率20%)を行った。さらに、染色、ファイナルセット処理を行い、ポリエステル複合仮撚加工糸からなる布帛とした。
このとき布帛を構成するポリエステル複合仮撚加工糸は、そのシース部を構成する芯鞘型ポリエステル複合繊維において、繊維表面およびその近傍に微細孔がほぼ繊維軸方向に多数配列しており、n数10で微細孔の大きさを測定したところ、巾は0.01μm〜2μmで分布しており、その平均値は1.2μmであった。また、長さは0.3μm〜12μmで分布しており、その平均値は8μmであった。
得られた布帛の防透性は93.6%、吸水率は68%であり、繊維物性に優れており、良好なかさ高性、スパン感を有するとともに吸水性、ドライ感、防透性にも優れたスパンライクなポリエステル布帛であった。
[実施例2]
実施例1において、ポリエステルマルチフィラメントBの紡糸速度を3200m/分に変更し、繊度をあわせるために紡糸口金を変更すること以外は実施例1と同様にして200dtex/36fil、伸度120%の未延伸糸を得た。また、実施例1において、ポリエステルマルチフィラメントAの紡糸速度を4500m/分に変更し、延伸を行わない以外は実施例1と同様にして、110dtex/24fil、伸度70%の未延伸糸(部分配向糸)を得た。
次いで、両糸条を引き揃えて空気交絡処理および同時延伸仮撚捲縮加工を行った。その際、空気交絡処理は、インターレースノズルを用い、オーバーフィード率0.5%、圧空圧0.3MPa(3kgf/cm)で40個/mの交絡を付与した。また、同時延伸仮撚捲縮加工は、延伸倍率1.1倍、仮撚数2500T/m、ヒーター温度210℃、糸速250m/分の条件で行った。
かくして得られた仮撚加工糸は交互撚り2層構造を有しており、かつコア部を構成する糸条の伸度は30%であり、他方、シース部を構成する糸条の伸度は65%であった。また、コア部を構成する糸条とシース部を構成する糸条とが部分的に交絡(28個/m)していた。
該仮撚加工糸を経糸および緯糸に用いて実施例1と同様に、製織しリラックス処理、プリセット処理を行った後、でアルカリ減量処理(減量率20%)を行い、ポリエステル複合仮撚加工糸を含む布帛とした。さらに、染色、ファイナルセット処理を行った。得られた織物の防透性は91.8%、吸水率は62%であり、繊維物性に優れており、良好なかさ高性、スパン感を有するとともに吸水性、ドライ感、防透性にも優れたスパンライクなポリエステル布帛であった。
[比較例1]
実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント糸Bを形成するポリエステル単糸である芯鞘型ポリエステル複合繊維の、芯部(ポリエステルa成分)と鞘部(ポリエステルb成分)との複合面積比をポリエステルa成分:ポリエステルb成分=15:85に変更すること以外は、実施例1と同様にして仮撚加工糸を得て、製織、減量、染色仕上げ加工を行い、仮撚加工糸を含む織物とした。得られた織物の防透性は65.8%、吸水率は80%であった。
[比較例2]
実施例1において、ポリエステルマルチフィラメント糸Bを構成するポリマーであるポリエステルb成分として、ポリエチレンテレフタレートの重合反応工程で、テレフタル酸ジメチルに対して0.7モル%のリン酸ジエステルカルシウム塩と、リン酸ジエステルカルシウム塩に対して0.9倍モルの酢酸カルシウムを添加し、固有粘度0.64、軟化点259℃のポリエステルb成分を用いること以外は、実施例1と同様に、製織・リラックス処理・プリセット処理・アルカリ減量処理・染色・ファイナルセット処理を行い、仮撚加工糸を含む織物を得た。
このとき、織物を構成する仮撚加工糸のシース部に存在する芯鞘型ポリエステル複合繊維において、繊維表面およびその近傍には微細孔がほぼ繊維軸方向に多数配列していたが、n数10で該微細孔の大きさを測定したところ、巾の平均値は0.4μmであり、繊維軸方向の長さの平均値は0.8μmであった。得られた織物の防透性は98.3%、吸水率は52%であった。
[比較例3]
実施例1において、仮撚加工糸のシース部に存在する芯鞘型ポリエステル複合繊維のポリエステルa成分に含まれる酸化チタンの含有量を1重量%に変更すること以外は、実施例1と同様に製織・リラックス処理・プリセット処理・アルカリ減量処理・染色・ファイナルセット処理を行い、仮撚加工糸を含む織物を得た。得られた織物の防透性は68.9%、吸水率は76%であった。
[比較例4]
実施例1において、仮撚加工糸のシース部に存在する芯鞘型ポリエステル複合繊維のポリエステルb成分に微細孔形成剤を含有しないものを用いること以外は実施例1と同様に製織・リラックス処理・プリセット処理・アルカリ減量処理・染色・ファイナルセット処理を行い、仮撚加工糸を含む織物を得た。得られた織物の防透性は82%、吸水率は24%であった。
本発明のポリエステル複合仮撚加工糸は、繊維物性を良好に保ちながら、優れた吸水性が発現され、同時に防透性がより一層向上した糸条である。また本発明のポリエステル複合仮撚加工糸を含むポリエステル布帛は、良好なかさ高性、スパン感を有するとともに吸水性、ドライ感、防透性にも優れたスパンライクなポリエステル布帛となる。

Claims (3)

  1. コア部がポリエステルマルチフィラメント糸Aより構成され、シース部がポリエステルマルチフィラメント糸Bより構成されてなる2層構造の複合仮撚加工糸であって、前記ポリエステルマルチフィラメント糸Bを形成するポリエステル単糸が、ポリエステルa成分とポリエステルb成分からなる芯鞘型複合繊維であり、芯部を形成するポリエステルaは艶消し剤を5重量%以上含み、鞘部を形成するポリエステルbは幅が0.001〜3μm、長さが幅の3〜50倍である微細孔を有し、かつ繊維断面の芯部の面積と鞘部の面積との比が35:65〜80:20であることを特徴とするポリエステル複合仮撚加工糸。
  2. ポリエステルマルチフィラメント糸Aとポリエステルマルチフィラメント糸Bとが、3:7〜1:9の割合(重量比)である請求項1記載のポリエステル複合仮撚加工糸。
  3. 請求項1または2記載のポリエステル複合仮撚加工糸を含むことを特徴とするポリエステル布帛。
JP2004103525A 2004-03-31 2004-03-31 ポリエステル複合仮撚加工糸 Expired - Fee Related JP4387230B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004103525A JP4387230B2 (ja) 2004-03-31 2004-03-31 ポリエステル複合仮撚加工糸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004103525A JP4387230B2 (ja) 2004-03-31 2004-03-31 ポリエステル複合仮撚加工糸

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005290577A JP2005290577A (ja) 2005-10-20
JP4387230B2 true JP4387230B2 (ja) 2009-12-16

Family

ID=35323831

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004103525A Expired - Fee Related JP4387230B2 (ja) 2004-03-31 2004-03-31 ポリエステル複合仮撚加工糸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4387230B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7501200B2 (ja) 2020-07-28 2024-06-18 東レ株式会社 混繊糸及び織編物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005290577A (ja) 2005-10-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6545368B2 (ja) 糸条および布帛および繊維製品
JP6271856B2 (ja) 布帛の製造方法および繊維製品の製造方法
US20220341060A1 (en) Sheath-core composite fiber and multifilament
JP4387230B2 (ja) ポリエステル複合仮撚加工糸
JP4866103B2 (ja) 複合繊維
WO2004057074A1 (ja) ポリエステル仮撚加工糸及びその製造方法
JP2019007096A (ja) ポリエステル系複合繊維及び繊維集合体
JP4307179B2 (ja) 芯鞘型ポリエステル複合繊維の製造方法及び織編物
JP4084260B2 (ja) ポリエステル複合仮撚加工糸
JP2005320654A (ja) 新規外観パイル布帛およびカーシート
JP2014177716A (ja) 遮熱性及び防透性に優れた芯鞘型異形断面複合繊維
JP4700238B2 (ja) ポリエステル仮撚加工糸およびその製造方法
JP4479394B2 (ja) 織編物
JPH1150335A (ja) ポリエステル繊維とその製造方法
JP2019065435A (ja) 糸条および布帛および繊維製品
JP4866109B2 (ja) 仮撚加工糸
JP3992604B2 (ja) ポリエステル混繊糸
JP2007239139A (ja) 複合仮撚加工糸
JP3333831B2 (ja) ポリエステル太細糸
JP2001214335A (ja) 低収縮ポリエステル太細糸およびそれからなるポリエステル混繊糸
JP2005015969A (ja) ナノポーラスファイバー複合織編物
JPH062235A (ja) ポリエステル複合仮撚糸
JP2023149539A (ja) ポリエステル系繊維およびその製造方法
JP2015221953A (ja) 織編物
JP2010236146A (ja) ポリエステル複合糸

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060615

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20081225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090616

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090806

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090908

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121009

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131009

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131009

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131009

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees