JP2008274446A - 潜在捲縮性複合繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】製糸および高次加工における工程通過性が良好であり、かつアルカリ減量処理後に優れたストレッチ性を発現する潜在捲縮性複合糸を提供する。
【解決手段】3成分よりなるポリエステル系複合繊維であって、繊維断面おいて高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBとがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合されて島部を形成し、ポリエステルA、Bよりもアルカリ溶出速度が5倍以上速いポリエステルCが海部を形成する海島型複合構造を有し、かつ下記(1)〜(3)の要件を具備する潜在捲縮性複合繊維。(1)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの極限粘度差が0.15以上(2)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの複合比が3:7〜7:3(3)島部繊度が0.5〜5.0dtex
【選択図】図1
【解決手段】3成分よりなるポリエステル系複合繊維であって、繊維断面おいて高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBとがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合されて島部を形成し、ポリエステルA、Bよりもアルカリ溶出速度が5倍以上速いポリエステルCが海部を形成する海島型複合構造を有し、かつ下記(1)〜(3)の要件を具備する潜在捲縮性複合繊維。(1)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの極限粘度差が0.15以上(2)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの複合比が3:7〜7:3(3)島部繊度が0.5〜5.0dtex
【選択図】図1
Description
本発明は、製糸および高次加工における工程通過性に優れ、かつアルカリ減量処理後に優れたストレッチ性を発現するポリエステル系潜在捲縮性複合糸に関する。より詳しくは、アルカリ減量処理前はフラット糸として捲縮コイルを有さず、優れた製糸/高次通過性を発揮し、アルカリ減量処理後に捲縮コイルを発現して優れたストレッチ性を発揮する、衣料、靴、鞄、基布材等の用途に好適な潜在捲縮性複合糸に関するものである。
ポリエステルは機械的特性をはじめ様々な優れた特性を有しているため衣料用途をはじめとし各種分野で利用されている。近年、健康・快適志向の高まりからストレッチ素材が脚光を集めており、ポリエステル布帛にストレッチ性を与える方法が種々検討されている。
例えば、織物中にゴム弾性をもつポリウレタン系の繊維を混用し、ストレッチ性を付与する方法がある。しかしながら、ポリウレタン系繊維はポリウレタン固有の性質として風合いが硬く、織物の風合いやドレープ性が低下するといった問題があった。さらに、ポリウレタン系繊維はポリエステル用の染料には染まり難く、ポリエステル繊維と併用したとしても、染色工程が複雑になるばかりか所望の色彩に染色することが困難であった。
また、ゴム弾性繊維を用いない方法としては、ポリエステル繊維に仮撚加工を施し、加撚/解撚トルクを発現させた繊維を用いることによって、織編物にストレッチ性を付与する方法がある。しかし、このトルクは織物表面のシボに転移し易い傾向があり、織物欠点が発生し易いという問題があった。こうした欠点を改善するため、熱処理やS/Z撚りとすることでトルクバランスを取り、ストレッチ性とシボ立ちによる欠点をバランスさせることも行われているが、概ねストレッチ性が大きく低下することが問題となっている。
このため、ポリウレタン系繊維や仮撚加工糸を用いない方法として、サイドバイサイド複合を利用した潜在捲縮発現性ポリエステル繊維が種々提案されている。潜在捲縮発現性ポリエステル繊維とは熱処理により捲縮が発現する、あるいは熱処理前より微細な捲縮が発現する能力を有するポリエステル繊維のことを言い、通常の仮撚加工糸とは区別されるものである。
特許文献1や2には固有粘度差あるいは極限粘度差(Δ[η])を有するポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)のサイドバイサイド複合糸が記載されており、このような潜在捲縮発現性ポリエステル繊維を用いれば、布帛にした際ストレッチ性が発現し、ストレッチ性織編物を得ることができる。
ところで、極限粘度差サイドバイサイド複合糸ではΔ[η]を高くするほど捲縮特性としては向上するが、いわゆるベンディング(口金直下でのポリマー流曲がり)のため取り得る極限粘度差には限界があった(Δ[η]≦0.50)。ここで言うベンディングとは以下の現象のである。すなわち、大きな極限粘度差があるポリマーの組み合わせを用い、紡糸口金から複合ポリマー流を吐出する際、大きなポリマー流速の違いが発生して吐出直後に、流速の大きな低粘度ポリマーが高粘度ポリマーを押し、顕著な複合ポリマー流の曲がりが発生する。そのため、複合ポリマー流が口金に接着し紡糸不可能となる。そのため、このような大きな粘度差を有するポリマーの組み合わせでは、口金に種々の工夫が施されてきたが、いずれの口金でもベンディングの抑制が不充分であった。さらに、特殊な口金であるため紡糸パック内、口金内でのポリマー流路が複雑となり、ポリマーの異常滞留による熱劣化ポリマーが発生しやすく、紡糸や延伸工程といった製糸工程での糸切れが頻発する問題もあった。
さらに、前述の仮撚加工糸や極限粘度差バイメタル糸(生糸段階において、少なからず捲縮コイルを有する)は製織/編成といった高次加工に際して、コイル形態斑による加工張力変動や毛羽、タルミを引き起こしやすく、加工糸切れや布帛品位が低下するという問題があった。特に高いレベルで原糸の均一性が求められるトリコット用途では、捲縮コイルの斑によってスジや染色斑を生じやすく、非捲縮糸のような布帛品位を得ることは極めて困難であった。
一方、マイクロファイバーを得る方法としては、アルカリ溶出性の高いポリマーをバインダー成分に用いて分割型複合糸とし、布帛形成後にアルカリ減量処理して極細糸から成る布帛を得る方法が広く知られている。特許文献3では脂肪族ポリエステルを減量される側の成分として用いることにより効率的に極細糸を得る方法が開示されている。さらに、特許文献4や特許文献5では減量処理後の残留成分をバイメタル型複合糸とすることで、極細単糸間の嵩高性を向上させ、染色性やふくらみを改善するほか、布帛に一定のストレッチ性を付与する技術が示されている。
しかしながら、特許文献4や特許文献5に記載されている原糸は、スエード調素材や立毛素材としては耐用可能なレベルでストレッチ性を有するものの、一般衣料用途(裏地、インナーなど)、靴、鞄、基布材等に用いた場合は、ストレッチ性が著しく不足して実用に耐えないほか、減量後の単糸が細すぎるために発色性や鮮明性、ピリング性に劣るといった問題が残されている。
特公昭44−2504号公報(特許請求の範囲)
特開平4−308271号公報(特許請求の範囲)
特開平11−302926号公報(特許請求の範囲)
特開昭54−147269号公報(特許請求の範囲)
特開平6−57622号公報(特許請求の範囲)
特開平7−17374号公報(特許請求の範囲)
本発明は上記問題が解消され、製糸および高次加工における工程通過性に優れ、かつアルカリ減量処理後に優れたストレッチ性を発現するポリエステル系潜在捲縮性複合糸を提供することにある。より詳しくは、アルカリ減量処理前はフラット糸として捲縮コイルを有さずに優れた製糸/高次通過性を発揮し、アルカリ減量処理後に捲縮コイルを発現して優れたストレッチ性を発揮する、衣料、靴、鞄、基布材等の用途に好適な潜在捲縮性複合糸を提供することである。
本発明の課題は、(1)〜(3)により達成できる。
(1)3成分よりなるポリエステル系複合繊維であって、繊維断面おいて高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBとがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合されて島部を構成し、ポリエステルA、Bよりもアルカリ溶出速度が5倍以上速いポリエステルCが海部を構成する海島型複合構造を有し、かつ下記(A)〜(C)の要件を具備することを特徴とする潜在捲縮性複合繊維。
(A)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの極限粘度差が0.15以上
(B)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの複合比が3:7〜7:3
(C)島部繊度が0.5〜5.0dtex
(2)海:島複合比が1:9〜5:5であることを特徴とする(1)の潜在捲縮性複合糸。
(3)アルカリ減量後の捲縮率が30%以上である(1)または(2)記載の潜在捲縮性複合糸。
(4)(1)〜(3)に記載の潜在捲縮性複合糸からなる繊維製品。
(1)3成分よりなるポリエステル系複合繊維であって、繊維断面おいて高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBとがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合されて島部を構成し、ポリエステルA、Bよりもアルカリ溶出速度が5倍以上速いポリエステルCが海部を構成する海島型複合構造を有し、かつ下記(A)〜(C)の要件を具備することを特徴とする潜在捲縮性複合繊維。
(A)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの極限粘度差が0.15以上
(B)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの複合比が3:7〜7:3
(C)島部繊度が0.5〜5.0dtex
(2)海:島複合比が1:9〜5:5であることを特徴とする(1)の潜在捲縮性複合糸。
(3)アルカリ減量後の捲縮率が30%以上である(1)または(2)記載の潜在捲縮性複合糸。
(4)(1)〜(3)に記載の潜在捲縮性複合糸からなる繊維製品。
本発明によれば、従来技術では成し得なかった優れた工程通過性とストレッチ性を両立し、かつ布帛とした際に優れた均一染色性、品位が得られる潜在捲縮性複合糸を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の潜在捲縮性複合糸の複合形態について説明する。本潜在捲縮性複合糸は、3種のポリエステルから成る海島構造を有しており、島部は高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBとがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型(以下、総称してバイメタル糸と略す)に複合された形状を有し、海部はポリエステルA、Bいずれよりもアルカリ減量速度が5倍以上速いポリエステルCで形成される。断面形状の一例としては、図1に示すような形状が挙げられる。
ここで、島部を形成する高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの極限粘度差Δ[η]は0.15以上である必要がある。0.15以上であれば、アルカリ減量およびその後の熱処理にて、ポリエステルA、B間に十分な収縮差が発現して捲縮コイルを成し、優れたストレッチ性を得ることができる。より好ましいΔ[η]は0.20以上、さらに好ましくは0.50以上であり、Δ[η]が大きい程、ストレッチ性が向上して好ましい。具体的には、低粘度成分に用いるポリエステルは、[η]≦0.60のものが好ましい。
一方、Δ[η]の上限は溶融/押出な範囲であれば特に規定はない。これは、島成分のバイメタル複合糸を海成分のポリマーがコーティングすることによって、ベンディングを大幅に抑制できるためである。従来の2成分系バイメタル糸で見られるベンディングは粘度の異なる2種のポリマー間での流速差により生じるものであるが、本発明の複合糸ではバイメタル糸が複数個に分散され、かつ海成分がその周りをコーティングしているためにベンディングのドライビングフォース(曲がろうとする力)を相殺/分散化でき、流速差を低減できるためである。なお、高粘度ポリエステルA、低粘度ポリエステルBの配置は図1に例示したようなドライビングフォース内向型の他、外向型、一方向型でも構わない。
また、脱海処理後に十分なストレッチ性を得るためには、島部を形成する高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの複合比を3:7〜7:3とする必要があり、より好ましくは4:6〜6:4である。この範囲内であれば、得ようとするストレッチ性布帛の目的に合わせて複合比を適宜設定可能であり、例えば捲縮ピッチが細かくソフト感に優れた布帛を得るには、ポリエステルAとBの複合比差を大きく設定すれば良く、タフネスを得るには高粘度ポリエステルAの複合比を低粘度ポリエステルB対比、高く設定すると良い。より優れたストレッチ性能を得たい場合は、ポリエステルAとBの粘度差を大きく設定したり、複合比を調節したりして、脱海後の捲縮率を30%以上とすると、仮撚り加工糸や2成分系の潜在捲縮糸と同等の優れた伸縮性能が得られるようになる。より好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上である。
一方、海成分に用いるポリエステルCは島部を構成する2種のポリエステルのいずれよりもアルカリ減量速度が5倍以上速いポリマーである必要がある。より好ましくは8倍以上であり、さらに好ましくは10倍以上である。
該速度差を5倍以上に保つことにより、アルカリ減量処理(脱海処理と称す)における、不完全脱海(海成分の溶出が不完全で島部が融着した状態)を回避することができ、染色斑や収縮斑等の欠点が少ない優れた布帛を得ることができる。また、海部に用いるポリエステルCの融点は島部に用いるポリエステルA、Bのいずれの融点よりも10℃以上低温あると、脱海処理後に強伸度ばらつきの少ないバイメタル糸を得易い。これは溶融ポリマーを紡出−固化に際して均一に冷却固化が進行しやすいためである。
ここで、本発明に用いるポリエステルの組み合わせは、上記の極限粘度差、アルカリ溶出速度差の規定を満たしていれば、公知のいずれのポリエステルを組み合わせても良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)、ポリトリメチレンテレフタレート(以下、3GTと称す)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸(以下、PLAと称す)などの脂肪族ポリエステル等が挙げられる。また、これらのポリエステルは、ジオール成分および酸成分の一部が各々、20モル%、より好ましくは10モル%以下の割合で他のエステル結合の形成が可能な共重合成分を含むものであってもよい。共重合可能な化合物として、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマ酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができ、これらは艶消剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料などの添加物を含有していても構わない。
また、本発明の潜在捲縮性複合糸において島部繊度は0.5dtex以上、5.0dtex以下である。ここで言う島部繊度とは、高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBが形成するバイメタル構造の1島の繊度のことを指す。島部繊度を0.5以上と設定すると、脱海処理後に伸縮力の強い捲縮コイルが発現して十分なストレッチ性を得ることができる。一方、島部繊度を5.0dtex以下と設定すると、繊維形成時の均一冷却固化が可能となり、物性バラツキの少ない原糸が得られ、布帛品位の優れた布帛を得ることができる。ストレッチ性、物性安定性が高いレベルで調和した原糸を得るには、島部繊度0.8〜3.5dtexがより好ましく、さらに好ましくは1.0〜3.0dtexである。
上記の範囲内であれば海島複合状態での繊度や島数に特に規定はなく、対象となる最終製品や生産性を考慮して任意に設定できる。例えば、衣料用として用いる場合は、総繊度を500dtex以下とすると生産性、加工性の面で取扱いしやすく、薄地〜中厚地の布帛を得るには40〜250dtexが適しており、ボトム用途等の厚地の布帛を得るには250〜500dtexが適している。また島数は2〜10島とすると、均一な断面形状や物性を得やすく、より好ましくは3〜8島である。
また、海部と島部の複合比は、任意に設定可能であるが、脱海性と脱海に伴う製品量損失分を考慮すると、海:島複合重量比は1:9〜5:5の範囲であることが好ましく、より好ましくは2:8〜4:6の範囲である。海成分の複合比は1割以上とすることにより、島部同士の融着を回避できるほか、海成分ポリマーの溶融後の配管通過時間を短縮できるために、熱劣化による強度低下を抑制でき製糸性の向上が可能となる。また、海成分の複合比を5割以下にすることで、減量による製品量損失を軽減できるため、生産効率を高く維持でき好ましい。
次いで、本発明の潜在捲縮性複合糸の好ましい製造方法について説明する。
本発明の複合糸は、公知のいずれの溶融紡糸方法においても製造可能であるが、繊維長手方向での品質安定性、生産安定性を考慮すると、直接紡糸延伸法(以下、DSD法と称する)による生産が最も優れている。
本発明の潜在捲縮性複合糸を製造する方法として、以下に、島成分ポリマーとして3GT(高粘度)とPET(低粘度)、海成分ポリマーとしてPLA(アルカリ易溶出性)を用い、テンションコントロールロール(以下、TCRと略す)付きの直接紡糸延伸機にて製造する方法を詳しく説明する。
本ポリマーの組み合わせにて紡糸する場合は、3GTは240〜280℃、PETは270〜290℃、PLAは200〜240℃で溶融されるのが好ましいく、溶融するに際しては、プレッシャーメルター法およびエクストルーダー法が挙げられるが、均一溶融と滞留防止の観点からエクストルーダーによる溶融が好ましい。別々に溶融されたポリマーは別々の配管を通って計量された後、口金パックへ流入する。この際、ポリマーの熱劣化を抑制するために、配管通過時間はいずれも30分以内であることが好ましい。パックへ流入したポリマーは口金にて合流し、海島型に複合され口金より吐出される。
この際の紡糸温度は、240〜275℃が適当である。この範囲であれば、3GTの特徴を活かし、PLAの熱劣化を抑えて糸切れの少ない複合繊維が製造できる。
口金から吐出されたポリマーは冷却、固化され、油剤が付与された後、交絡装置にて交絡を付与され、加熱ロール、TCRを介して巻き取られる。巻取速度は2500〜5000m/分において製造可能であり、工程安定性を考慮すると2700〜4500m/分がより好ましい。交絡数は任意に設定可能であるが、3個/m以上であると良好な工程通過性を得易いほか、必要であれば油剤付与〜巻取の間に複数個の交絡装置を設けることで交絡数を上げることも可能である。また、巻取直前に、追加で油剤を付与するのも良い。
好ましく用いられる装置の概略を図2に示す。口金4より吐出された糸条は冷却後、油剤付与装置6による油剤の付与を経て、交絡装置7にて交絡が付与される。次いで、温度50〜90℃、速度1000〜3500m/分、鏡面の第1ホットロール8上に数ターン巻付けられて予熱された後、第2ホットロール9との間で延伸される。更に、温度90〜180℃の第2ホットロール9上に数ターン巻付けられて熱セットが為され、交絡付与装置10を経て、ホットロール9より−10〜10%速い速度で回転するTCR11、12へ引き回される。熱セットされた糸条はTCRによって冷却されるとともに張力が調整され、巻取機にて速度2500〜5000m/分にてパッケージ14に巻付けられる。巻取機においては、パッケージに接するコンタクトロール13によってパッケージ巻付け張力が調整される。
ここで、第1ホットロール8は、鏡面ロールであることが好ましく、TCR11、12は鏡面または溝付き鏡面ロールとするのが好ましい。ここで言う、鏡面とはロールの表面粗さが1S以下であり、梨地とは2〜4Sを指す。表面粗さとは、JIS−B−0601に記載される最大高さ(Rmax)の区分である。鏡面または溝付き鏡面とすることにより、糸条を効率的に把持することができるため、糸条はロールの前後で一定の張力を保って安定した走行が可能となり、原糸の長手方向での物性ばらつきの小さい良好な品質の製品を易くなる。TCRとしては梨地ロールも使用可能であるが、糸条把持性を維持するためには、鏡面や溝付き鏡面ロールに比べて高度な張力管理が要求される。仮にTCR上で糸条のスリップが発生した場合、原糸の長手方向で繊度斑や収縮斑、染色斑を誘発し、仮撚工程における糸切れや、布帛とした際の品位低下を引き起こす。高度な張力管理が要求される場合は、TCRを複数個設置するのが有効な手段である。
一方、コンタクトロールの速度はパッケージの巻取速度に対して、1.001〜1.01倍早く設定することで得られるパッケージの良好なふくらみ率と耳高率が容易に得られる。コンタクトロール速度のオーバーフィードを1.001以上とすることで、パッケージに巻かれる際の張力を低減でき、ふくらみ率、耳高率を抑制することが可能となる。より好ましい範囲は、1.0015以上である。また、1.01以下とすることによりパッケージ端面からの糸落ちを防止することができ、良好な解舒性が確保できる。より好ましいオーバーフィードの範囲は1.008以下である。さらに、コンタクトロール入口での糸条の張力は、0.1〜0.3cN/dtexであることが好ましい。張力を0.1cN/dtex以上に設定することで、TCRから巻取機間の糸揺れを低減でき、巻取速度を上げた場合でも安定して糸条を巻き取ることができる。より好ましい張力は0.12cN/dtex以上である。また、張力を0.3cN/dtex以下とするとコンタクトロールでの張力制御が容易となり、良好なパッケージフォームが得られる。より好ましい張力は0.25cN/dtex以下である。
以下、実施例を挙げて具体的に説明する。なお、実施例の主な測定値は以下の方法で測定した。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
(1)極限粘度
極限粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
定義式のηrは、純度98%以上のO−クロロフェノールで溶解した3GTの希釈溶液の25℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されているものである。また、cは上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
(2)強度、伸度
JIS L1013(1999)に従い、オリエンテック製テンシロンUCT−100にて測定した。
(3)繊度変動率
ツエルベガーウースター社製ウースターテスターUT−4CXを用い、下記の測定条件にて繊度変動チャート(Diagram Mass)を得、チャート上でhalf inertの変動幅(=最大値−最小値)を直読した。
給糸速度 :200m/分
測定糸長 :400m
ツイスター :S撚 12000ターン/分
ディスクテンション強さ:10%
スケール :−10〜+10%
(4)脱海後捲縮率
脱海後捲縮率は、次の定義式に基づいて求められる値である。
脱海後捲縮率(%)={(A0−A1)/A0}×100
ここでA1は、繊維に90.91×10−3cN/dtexの張力を掛けながら、周長1.0mの検尺機で10回枷取りした枷に、島部繊度換算で1.67×10−4cN/dtexの荷重をかけて70℃、3wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で海成分を完全脱海後、水浴で5分間希釈中和処理してから大気中で30分間乾燥させたときの枷長であり、A0はA1を測定後、島部繊度換算で4.4×10−2cN/dtexの荷重をかけて2分後の枷長である。なお、島部繊度とは総繊度×島部複合比(%)で求められる、減量処理後の島部の理論繊度を指す。
(5)製糸性
製糸時の糸切れ発生率を、8錘建て巻取機にて生産した場合の値に換算して、以下の3段階にて評価した。合格レベルは○以上である。
○○:1.5回/t以下
○ :1.5回/tを超え3.0回/t以下
× :3回/tを超える
(6)高次通過性
バック糸に評価する原糸、フロント糸に56dtex−36フィラメントのレギュラーPET糸(セミダル)を用いて、カールマイヤー社製KS−2型編機にてハーフトリコット布帛を編成した。編成条件は編速度を1000rpmとし、編地の機上密度が28ゲージ、70コース/2.54cm(インチ)、フロントの編込長が155cm/ラック、バックの編込長が85cm/ラック、総糸本数は4992本とし、453cm幅の編地をリラックスさせ、240cm幅で、50m編成して、このときの編成糸切れを以下の基準で評価した。
○○:0回
○ :1回
× :2回以上
(7)布帛ストレッチ性
(6)項記載の方法で得た布帛を95℃にて精錬後、3wt%、70℃の水酸化ナトリウム水溶液にて海成分を完全にアルカリ減量除去した。更に130℃にて一旦乾燥させたのち、160℃、210cm幅にて仕上げ熱セットした。こうして得られたトリコット生地を、タテ方向のストレッチ性(伸び率)について以下の3段階で評価した。
○○:25%以上
○ :15%以上、25%未満
× :15%未満
(8)布帛品位
上記の(7)にて得られたリコット生地の全巾×3メートルにカットした布帛サンプルについて、一般人から無作為に選出した10人のパネラーに布帛均一性(表面質感、光沢斑、スジ感)について官能評価してもらい、不均一感があると指摘した人数を次の3段階で評価した。合格レベルは○以上である。
○○:0人
○ :1人以上、2人以下
× :3人以上
実施例1
ポリエステルAにη=1.1のホモ3GTを、ポリエステルBにη=0.50のホモPETを、ポリエステルCに光学純度98.0%のポリ−L−PLAを海成分を用い、それぞれエクストルーダーを用いて210℃、250℃、280℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、270℃にて図1(a)に示すような海島型複合形態を形成すべく口金に流入させた。複合重量比はPLAが20%に対して、3GTが40%、PETが40%の割合とした。各ポリマーの配管通過時間は、PLAが25分、3GT、PETは10分であった。口金から吐出された糸条は、図2に示す装置にて冷却、油剤付与後、2700m/分の速度で55℃に加熱された第1ホットローラー8に引き取られ、一旦巻き取ることなく、4300m/分の速度で150℃に加熱された第2ホットローラー9に引き回し、延伸、熱セットを行った。さらに、4200m/分にて回転する2個のTCR10、11に引き回した後、コンタクトロール入口での張力を0.13cN/dtex、コンタクトロール速度4080m、パッケージ巻き取り速度4072m/分、すなわちオーバーフィードを1.0020として巻取り、図1に示す断面形状の56dtex―8フィラメント、8島の潜在捲縮性複合糸を得た。この複合繊維の特性評価結果は表1の通りであり、非常に優れた製糸性、高次通過性が得られ、布帛評価結果も良好であった。
(2)強度、伸度
JIS L1013(1999)に従い、オリエンテック製テンシロンUCT−100にて測定した。
(3)繊度変動率
ツエルベガーウースター社製ウースターテスターUT−4CXを用い、下記の測定条件にて繊度変動チャート(Diagram Mass)を得、チャート上でhalf inertの変動幅(=最大値−最小値)を直読した。
給糸速度 :200m/分
測定糸長 :400m
ツイスター :S撚 12000ターン/分
ディスクテンション強さ:10%
スケール :−10〜+10%
(4)脱海後捲縮率
脱海後捲縮率は、次の定義式に基づいて求められる値である。
脱海後捲縮率(%)={(A0−A1)/A0}×100
ここでA1は、繊維に90.91×10−3cN/dtexの張力を掛けながら、周長1.0mの検尺機で10回枷取りした枷に、島部繊度換算で1.67×10−4cN/dtexの荷重をかけて70℃、3wt%の水酸化ナトリウム水溶液中で海成分を完全脱海後、水浴で5分間希釈中和処理してから大気中で30分間乾燥させたときの枷長であり、A0はA1を測定後、島部繊度換算で4.4×10−2cN/dtexの荷重をかけて2分後の枷長である。なお、島部繊度とは総繊度×島部複合比(%)で求められる、減量処理後の島部の理論繊度を指す。
(5)製糸性
製糸時の糸切れ発生率を、8錘建て巻取機にて生産した場合の値に換算して、以下の3段階にて評価した。合格レベルは○以上である。
○○:1.5回/t以下
○ :1.5回/tを超え3.0回/t以下
× :3回/tを超える
(6)高次通過性
バック糸に評価する原糸、フロント糸に56dtex−36フィラメントのレギュラーPET糸(セミダル)を用いて、カールマイヤー社製KS−2型編機にてハーフトリコット布帛を編成した。編成条件は編速度を1000rpmとし、編地の機上密度が28ゲージ、70コース/2.54cm(インチ)、フロントの編込長が155cm/ラック、バックの編込長が85cm/ラック、総糸本数は4992本とし、453cm幅の編地をリラックスさせ、240cm幅で、50m編成して、このときの編成糸切れを以下の基準で評価した。
○○:0回
○ :1回
× :2回以上
(7)布帛ストレッチ性
(6)項記載の方法で得た布帛を95℃にて精錬後、3wt%、70℃の水酸化ナトリウム水溶液にて海成分を完全にアルカリ減量除去した。更に130℃にて一旦乾燥させたのち、160℃、210cm幅にて仕上げ熱セットした。こうして得られたトリコット生地を、タテ方向のストレッチ性(伸び率)について以下の3段階で評価した。
○○:25%以上
○ :15%以上、25%未満
× :15%未満
(8)布帛品位
上記の(7)にて得られたリコット生地の全巾×3メートルにカットした布帛サンプルについて、一般人から無作為に選出した10人のパネラーに布帛均一性(表面質感、光沢斑、スジ感)について官能評価してもらい、不均一感があると指摘した人数を次の3段階で評価した。合格レベルは○以上である。
○○:0人
○ :1人以上、2人以下
× :3人以上
実施例1
ポリエステルAにη=1.1のホモ3GTを、ポリエステルBにη=0.50のホモPETを、ポリエステルCに光学純度98.0%のポリ−L−PLAを海成分を用い、それぞれエクストルーダーを用いて210℃、250℃、280℃にて溶融後、ポンプによる計量を行い、270℃にて図1(a)に示すような海島型複合形態を形成すべく口金に流入させた。複合重量比はPLAが20%に対して、3GTが40%、PETが40%の割合とした。各ポリマーの配管通過時間は、PLAが25分、3GT、PETは10分であった。口金から吐出された糸条は、図2に示す装置にて冷却、油剤付与後、2700m/分の速度で55℃に加熱された第1ホットローラー8に引き取られ、一旦巻き取ることなく、4300m/分の速度で150℃に加熱された第2ホットローラー9に引き回し、延伸、熱セットを行った。さらに、4200m/分にて回転する2個のTCR10、11に引き回した後、コンタクトロール入口での張力を0.13cN/dtex、コンタクトロール速度4080m、パッケージ巻き取り速度4072m/分、すなわちオーバーフィードを1.0020として巻取り、図1に示す断面形状の56dtex―8フィラメント、8島の潜在捲縮性複合糸を得た。この複合繊維の特性評価結果は表1の通りであり、非常に優れた製糸性、高次通過性が得られ、布帛評価結果も良好であった。
実施例2
島部のバイメタル複合比をA:B=7:3とした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性、布帛品位に優れた。
島部のバイメタル複合比をA:B=7:3とした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性、布帛品位に優れた。
実施例3
島部のバイメタル複合比をA:B=3:7とした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性、布帛品位に優れた。
島部のバイメタル複合比をA:B=3:7とした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性、布帛品位に優れた。
実施例4
海島複合比を4:6とし、島部単糸繊度を0.53とした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性、布帛品位に優れた。
海島複合比を4:6とし、島部単糸繊度を0.53とした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性、布帛品位に優れた。
実施例5
3フィラメント−3島タイプの口金を使用した以外は、実施例1と同様にして、島部単糸繊度4.98dtexの潜在捲縮性複合糸を得た。布帛品位で実施例1に一歩譲るものの製糸性、高次通過性、ストレッチ性に優れるものが得られた。
3フィラメント−3島タイプの口金を使用した以外は、実施例1と同様にして、島部単糸繊度4.98dtexの潜在捲縮性複合糸を得た。布帛品位で実施例1に一歩譲るものの製糸性、高次通過性、ストレッチ性に優れるものが得られた。
実施例6
ポリエステルAにη=1.9のホモ3GTを、ポリエステルBにη=1.1のホモ3GTを、ポリエステルCに5−ナトリウムスルホイソフタル酸とポリエチレングリコールを含有する共重合PETを用い、紡糸温度280℃にて潜在捲縮性複合糸を得た。製糸性で実施例1に一歩譲るものの、布帛特性に優れるものが得られた。
ポリエステルAにη=1.9のホモ3GTを、ポリエステルBにη=1.1のホモ3GTを、ポリエステルCに5−ナトリウムスルホイソフタル酸とポリエチレングリコールを含有する共重合PETを用い、紡糸温度280℃にて潜在捲縮性複合糸を得た。製糸性で実施例1に一歩譲るものの、布帛特性に優れるものが得られた。
実施例7
3フィラメント−8島タイプの口金に変更し、ポリエステルAをη=0.68のホモPETにした以外は実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。製糸性、布帛ストレッチ性は実施例1に一歩譲るものの、高次通過性、布帛品位に優れるものが得られた。
3フィラメント−8島タイプの口金に変更し、ポリエステルAをη=0.68のホモPETにした以外は実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。製糸性、布帛ストレッチ性は実施例1に一歩譲るものの、高次通過性、布帛品位に優れるものが得られた。
実施例8
ポリエステルAに極限粘度が0.80のホモPETを、ポリエステルCに5−ナトリウムスルホイソフタル酸とポリエチレングリコールを含有する共重合PETを用いて、紡糸温度を280℃とした以外は実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性、布帛品位で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性に優れたものが得られた。
ポリエステルAに極限粘度が0.80のホモPETを、ポリエステルCに5−ナトリウムスルホイソフタル酸とポリエチレングリコールを含有する共重合PETを用いて、紡糸温度を280℃とした以外は実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛ストレッチ性、布帛品位で実施例1に一歩譲るものの、製糸性、高次通過性に優れたものが得られた。
比較例1
海:島複合比を6:4とし、島部単糸繊度0.35dtexとした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛のストレッチ性において実施例1大きく及ばず、毛羽や光沢斑が生じて布帛品位が劣った。
海:島複合比を6:4とし、島部単糸繊度0.35dtexとした以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛のストレッチ性において実施例1大きく及ばず、毛羽や光沢斑が生じて布帛品位が劣った。
比較例2
海:島複合比を0.5:9.5とし、島部単糸繊度5.91dtexとした以外は、実施例5と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛表面の荒れ感が見られたほか、タテスジが発生した。
海:島複合比を0.5:9.5とし、島部単糸繊度5.91dtexとした以外は、実施例5と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。布帛表面の荒れ感が見られたほか、タテスジが発生した。
比較例3
ポリエステルAを極限粘度が0.80のホモPETとし、ポリエステルCに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を含有する共重合PETを用いた以外は、実施例8と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。海部ポリマーのアルカリ溶出速度は、島部ポリマーの4倍であった。得られた布帛にはスジが見られたほか、一部で毛羽が発生しており表面感が荒れたものとなった。
ポリエステルAを極限粘度が0.80のホモPETとし、ポリエステルCに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を含有する共重合PETを用いた以外は、実施例8と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。海部ポリマーのアルカリ溶出速度は、島部ポリマーの4倍であった。得られた布帛にはスジが見られたほか、一部で毛羽が発生しており表面感が荒れたものとなった。
比較例4
ポリエステルAに極限粘度が0.60のホモPETを用い、ポリエステルAとBとの極限粘度差を0.10とした以外は、実施例8と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。加工上がりの布帛にはストレッチ性に極めて劣った。潜在捲縮性複合糸を得た。布帛表面の荒れ感が見られたほか、タテスジが発生した。
ポリエステルAに極限粘度が0.60のホモPETを用い、ポリエステルAとBとの極限粘度差を0.10とした以外は、実施例8と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。加工上がりの布帛にはストレッチ性に極めて劣った。潜在捲縮性複合糸を得た。布帛表面の荒れ感が見られたほか、タテスジが発生した。
比較例5、6
島部のバイメタル複合比を変更した以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。いずれも布帛ストレッチ性に劣り、布帛にはスジ感が認められた。
島部のバイメタル複合比を変更した以外は、実施例1と同様にして潜在捲縮性複合糸を得た。いずれも布帛ストレッチ性に劣り、布帛にはスジ感が認められた。
比較例7
公知のバイメタル口金を用い、3GTとPETからなる2成分系のバイメタル複合糸を得た。製糸段階で糸切れが多発した上、編成時の糸切れも多く、加工上がりの布帛には強いスジ斑が見られた。
公知のバイメタル口金を用い、3GTとPETからなる2成分系のバイメタル複合糸を得た。製糸段階で糸切れが多発した上、編成時の糸切れも多く、加工上がりの布帛には強いスジ斑が見られた。
1 高粘度ポリエステルを主成分とするポリマーからなる領域
2 低粘度ポリエステルを主成分とするポリマーからなる領域
3 アルカリ易溶出性ポリマーからなる領域
4 口金
5 糸条冷却送風装置
6 油剤付与装置
7 交絡装置
8 第1ホットロール
9 第2ホットロール
10 交絡装置
11 テンションコントロールロール(TCR)
12 テンションコントロールロール(TCR)
13 コンタクトロール
14 パッケージ
2 低粘度ポリエステルを主成分とするポリマーからなる領域
3 アルカリ易溶出性ポリマーからなる領域
4 口金
5 糸条冷却送風装置
6 油剤付与装置
7 交絡装置
8 第1ホットロール
9 第2ホットロール
10 交絡装置
11 テンションコントロールロール(TCR)
12 テンションコントロールロール(TCR)
13 コンタクトロール
14 パッケージ
Claims (4)
- 3成分よりなるポリエステル系複合繊維であって、繊維断面おいて高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBとがサイドバイサイド型または偏心芯鞘型に複合されて島部を形成し、ポリエステルA、Bよりもアルカリ溶出速度が5倍以上速いポリエステルCが海部を形成する海島型複合構造を有し、かつ下記(1)〜(3)の要件を具備することを特徴とする潜在捲縮性複合繊維。
(1)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの極限粘度差が0.15以上
(2)高粘度ポリエステルAと低粘度ポリエステルBの複合比が3:7〜7:3
(3)島部繊度が0.5〜5.0dtex - 海:島複合比が1:9〜5:5であることを特徴とする請求項1の潜在捲縮性複合繊維。
- 脱海処理後の捲縮率が30%以上である請求項1または2記載の潜在捲縮性複合繊維。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の潜在捲縮性複合繊維からなる繊維製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007115403A JP2008274446A (ja) | 2007-04-25 | 2007-04-25 | 潜在捲縮性複合繊維 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007115403A JP2008274446A (ja) | 2007-04-25 | 2007-04-25 | 潜在捲縮性複合繊維 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008274446A true JP2008274446A (ja) | 2008-11-13 |
Family
ID=40052758
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007115403A Pending JP2008274446A (ja) | 2007-04-25 | 2007-04-25 | 潜在捲縮性複合繊維 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008274446A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101149627B1 (ko) | 2012-02-09 | 2012-05-24 | 성안합섬주식회사 | 방사성과 용출성이 우수한 해도형 복합섬유 및 이의 제조방법 |
JP2013032223A (ja) * | 2011-06-30 | 2013-02-14 | Toray Ind Inc | ポリ乳酸モノフィラメントのドラム状パッケージ及びその製造方法 |
JP2017137601A (ja) * | 2016-02-05 | 2017-08-10 | 東レ株式会社 | 混繊糸、それを用いた織編物及びスエード調織編物 |
JP2017179653A (ja) * | 2016-03-30 | 2017-10-05 | 東レ株式会社 | 海島複合繊維 |
-
2007
- 2007-04-25 JP JP2007115403A patent/JP2008274446A/ja active Pending
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