JP3267033B2 - ミルキー光沢を有するポリエステル中空繊維 - Google Patents

ミルキー光沢を有するポリエステル中空繊維

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はミルキー光沢を有するポ
リエステル中空繊維に関する。さらに詳しくは、衣料用
素材として従来以上の良好なミルキー光沢を有し、軽量
で保温性に優れ、かつドライな清涼感、良好な防透け性
があり、繊維断面が潰れ難い高品位のポリエステル中空
繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、機械的性質、化学
的性質、イージーケア性、光沢性等優れた特性から一般
衣料用として広く利用されている。特に最近では、ポリ
エステル繊維の優れた特性を応用して他の繊維にない独
特な製品が開発されている。また、消費者の多様化およ
び個性化した感性のニーズがあり、より高品質、より軽
量化、より保温化などのいろいろな性能が求められてい
る。
【0003】軽量化、保温化を達成するために糸条の嵩
高性を大きくしたり、織編物の組織を工夫することであ
る程度までは可能であるが、さらに軽量化を計るには繊
維自体を軽量化する必要がある。その手段の一つとして
見掛上軽量化された中空繊維が用いられている。中空繊
維については、古くから知られており、例えば特公昭4
2ー2928号公報には、中空率50%以下の中空繊維
の製法が開示されており、その他多くの特許公報に中空
繊維や中空繊維の製法が開示されている。
【0004】また、特に薄地衣料分野やスポーツ衣料分
野においては、光の透過性の制御、いわゆる透けの防止
を目的に光遮蔽剤として酸化チタン等の艶消し剤を含有
させたポリエステル繊維が広く用いられている。また酸
化チタン等の粒子は、単に光遮蔽剤として効果があるだ
けでなく最終製品である織編物の合成繊維特有のヌメリ
感をなくし、ドライタッチ感や落ち感のある風合やミル
キーな色を付与する効果を持っている。これは繊維中の
艶消し剤が光を乱反射するとともに、織編物を製造する
際にしばしば行われるアルカリ減量処理により繊維表面
の艶消し剤が脱落し繊維表面に微細な凹凸が発現される
ためと考えられている。不透明性に優れた織物を製造す
るために環状部分を多層構造にした中空繊維を用いる技
術が特開昭61ー207637号公報に開示されている
が、多層構造中空糸を製造する場合には紡糸装置の複雑
さや紡糸口金の製作精度の問題、それに伴う不安定紡
糸、延伸不良など多くの問題があり工業的には不利であ
る。
【0005】特開平4ー257308号公報には、良好
な保温性を有する白色系軽量保温性繊維として遠赤外線
を放射する能力を有する白色系微粒子を含有させた中空
繊維の技術が開示されている。該繊維は繊維自体が光エ
ネルギーを吸収して遠赤外線を放射して保温性を高めた
物であるが、特殊な白色系微粒子の比重が高いために繊
維自体が重くなる欠点があるとともに特殊な白色系微粒
子を準備する必要がある。
【0006】上述のように中空繊維の技術、中空繊維に
特殊のポリマーを使用する技術等がいくつか知られてい
るが、ミルキー光沢を有するポリエステル中空繊維で、
衣料用素材として従来以上の良好で独特なミルキー光沢
を有し、軽量で保温性に優れ、かつドライタッチ感、良
好な防透け性があり、繊維断面が潰れ難い高品位のポリ
エステル中空繊維は得られていないのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したように従来以上の良好で独特なミルキー光沢を有
し、軽量で保温性に優れ、かつドライタッチ感、良好な
防透け性があり、繊維断面が潰れ難い高品位のポリエス
テル中空繊維を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、艶消し剤が1.5重量%以上8.0重量%以下含有
されているポリエステルで形成されており、繊維の断面
の外形が円形で、かつ繊維断面の中心部に三角形状の中
空部を有し、中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
肉厚(NA)が下記式を満足し、中空部の中空率が10
〜50%であることを特徴とするミルキー光沢を有する
ポリエステル中空繊維によって達成できる。 NA(ミクロン)≧2.1×d1/2 但し、NA=中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
肉厚(ミクロン) d=繊維の繊度(デニール)
【0009】以下本発明を詳細に説明する。本発明でい
うポリエステルとは、構成単位の少なくとも85モル%
がエチレンテレフタレートであり、15モル%以下、好
ましくは10モル%以下の他の成分を共重合していても
よい。共重合ポリエステルの第3成分としては、シュウ
酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、金属スルホ
ネート基を含有するイソフタル酸などのジカルボン酸
類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール等のグリコール類、その他ビス
フェノールA、ビスフェノールスルホン酸等が挙げられ
る。これら第3成分を単独あるいは2種以上を同時に共
重合されたものでもよい。
【0010】本発明のポリエステル中空繊維は、上述の
ポリエステルに艶消し剤の含有量が1.5重量%以上
8.0重量%以下含有されているポリエステルで形成さ
れている必要がある。艶消し剤含有量が1.5重量%未
満では防透け性、良好なミルキーナ色、ドライタッチ
感、落ち感のいずれの特性も不満足である。艶消し剤含
有量が8.0重量%を超えると、紡糸時の中空形成性が
不良となり中空糸でないものや中空率の異なったものが
できるなど満足な中空糸が紡糸できないとともに紡糸時
の糸切れも多くなる。また、紡糸時のポリマ濾過におい
て濾材の目詰まり発生が速くなるために長時間の安定紡
糸が困難となり、この点からも好ましくない。さらに糸
強度が低くなり、延伸時にも糸切れが発生しやすく、製
織や製編時に毛羽発生や糸切れが発生するのでこの点か
ら不適である。
【0011】本発明のポリエステル中空繊維に含有する
艶消し剤としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸
化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化
アンチモン、酸化亜鉛、タングスタテン酸鉛、タングス
タテン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム
等、本発明の効果を発現し、ポリエステルに安定して分
散できるものであればいずれでもかまわないが、分散性
の面から酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛、炭酸カル
シウムが好ましく、酸化チタンがより好ましい。艶消し
剤の平均粒径は、分散性の点から1ミクロン以下が好ま
しく、0.7ミクロン以下がより好ましい。また、製糸
性の点から最大粒径は5ミクロン以下が好ましく、3ミ
クロン以下がより好ましい。また本発明のポリエステル
中空繊維には、本発明の効果を阻害しない範囲で抗酸化
剤、蛍光増白剤、難燃剤、紫外線吸収剤などよく知られ
た添加剤が含有されていてもよい。
【0012】また本発明のポリエステル中空繊維は、断
面の外形が円形である必要がある。繊維の断面の外形が
極端な異形であると紡糸時の糸切れが発生しやすく、ま
た延伸時にも糸切れや毛羽が発生しやすい。なお、円形
とは真円であることが最もよいが、必ずしも真円でなく
ともよく、ほぼ真円状であればよく、具体的には円また
は楕円の直径で長い径と短い径の変化が10%以内の変
動があるもの、または糸重心から最も離れた外周上の点
までの距離R1と糸重心に最も近い外周上の点までの距
離R2の関係が、本発明では[(R1−R2)/R1]
×100≦10の関係を満たしているものであればよ
い。
【0013】さらに本発明のポリエステル中空繊維は繊
維断面の中心部に三角形状の中空部を有する必要があ
る。即ち中空部が偏心して存在していないことを意味す
る。中空部があることは、その分だけ軽量化され、織編
物を軽量化できる。また、中空部を三角形状の中空繊維
にすることによって、独特のミルキーな光沢が得られ
る。独特のミルキーな光沢が得られるる要因は明確では
ないが中空繊維に光が当たった時に大部分の光は入射し
ないが、ある程度の光が中空部にまで入射し、その光が
三角形状の中空部の内壁で再度反射して光沢を高めてい
るものと思われ、これが独特のミルキーな光沢を発現し
ているものと思われる。さらに中空部が繊維の中心部に
あること、中空部が三角形状であることによって、延伸
時および高次加工工程での中空部の潰れ即ち中空率の低
下が少ない。一般的に中空糸の製造およびその高次加工
工程において、中空繊維はローラ類との接糸圧やガイド
類での摩擦力あるいはその他の外力によって、繊維に側
面方向からの圧力が加わり繊維断面が楕円形や偏平形に
潰れ中空率が低下する。この現象は中空率が高い中空繊
維ほど起こり易い。しかも、ある中空率を越える場合に
は繊維の外形および中空部が共に円形の場合に起こり易
い。また、中空部が繊維の中心部になく偏心している
と、即ち部分的に肉薄部分があると起こり易い。これに
対し本発明のポリエステル中空繊維は前述したように繊
維断面の中心部に三角形状の中空部を有するので潰れ難
いものである。
【0014】本発明のポリエステル中空繊維の中空部の
三角形状について、図1を用いて説明する。三角形状の
三つの頂点をそれぞれa、b、cとし、3点を直線で結
んだ三角形の三つの辺をab、bc、caとする。点c
から辺abに垂線cdを引き垂線cdの延長上での中空
部壁との交点をeとする。点aおよび点bからもそれぞ
れ辺bc、辺caにも垂線を引き図の如く点f、点g、
点h、点iを定める。本発明の中空繊維の中空部は全容
としては三角形状であり、好ましくは正三角形である
が、図1のようにおむすび型であってもよく形状は次の
通りである。 (1)辺の線分ab、bc、caのそれぞれの長さは等
しいほどよいが、20%以内の変化があってもよい。 (2)線分ag/線分af、線分bi/線分bh、線分
ce/線分cdのそれぞれの値は1.0〜1.3の範囲
が好ましく、より好ましくは1.0〜1.2の範囲にあ
ることである。
【0015】本発明の中空繊維の繊維断面における中空
部の占める面積即ち中空率は、10〜50%の範囲とす
る必要がある。中空率が10%未満では、衣料品として
の軽量化の効果が小さくまた保温性の効果も小さい。織
編物の保温性は先に述べた通り繊維間や組織間に空気を
含ませる構造にすれば、ある程度までは高めることがで
きるが、あまりにも空気を含ませる構造にすると体温で
暖められた空気が対流を起こし、保温性が低下する。中
空糸では糸自体に空気を封じ込めるので対流がなく保温
性を高めることができる。中空率は高いほど軽量化の効
果、保温性の効果は大きく好ましいが、あまりにも高い
中空率の繊維では高次加工工程での繊維断面の潰れが発
生しやすく衣料品となった時に原糸の中空率を保持でき
なくなるとともに、衣料品の着用中にも繊維断面の潰れ
が発生しやすいので中空率は50%以下にする必要があ
る。軽量化の効果、保温性の効果および着用中の繊維断
面の潰れ易さなどからより好ましくは、15〜40%で
ある。
【0016】さらに本発明の中空繊維の繊維断面におけ
る中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(N
A)が次の式を満足することが必要である。
【0017】NA(ミクロン)≧2.1×[繊維の繊度
(デニール)]1/2 例えば、3デニールの繊維では、3.6ミクロン以上あ
ることが必要である。なお、肉厚は中空繊維の重心と繊
維表面を結ぶ線分において繊維上部分の長さをいう。中
空部でない部分の肉厚は、中空繊維の繊度、中空率およ
び中空部の形状によって決まるが、いずれにしても肉厚
が前記の式を満足することによって繊維断面の潰れを防
ぐために必要である。
【0018】本発明の中空繊維の織編物中における表面
形状は、微細凹凸が多数存在していることがドライタッ
チ感、防透け性を向上させ好ましいことである。凹部の
口径の平均は0.5〜2ミクロンの範囲にあることがド
ライタッチの点で好ましい。また、本発明の繊維は原糸
段階での毛羽即ち紡糸、延伸して巻取られた糸の毛羽の
有無が高次加工性の良否に大きく関係し、その影響は従
来のポリエステル繊維に比較して大きい。従って、巻取
られた糸の毛羽の数が、0.20個/1万m以下である
ことが好ましく、0.10個/1万m以下であることが
より好ましく、0.05個/1万m以下であることが一
層好ましい。
【0019】本発明のポリエステル中空繊維は、艶消し
剤含有量が1.5重量%以上8.0重量%以下のポリエ
ステルを例えば図2aで示す三スリット型のポリマ吐出
孔を有する口金から溶融紡糸し、油剤を付与し未延伸糸
を得、これを一旦巻き取った後か、あるいは引き続き延
伸することにより得られる。この際、溶融紡糸の糸条の
強制冷却は紡糸口金面下3〜15cmの距離で冷却風の
吹き付けを開始することが中空率のバラツキを小さくす
るので好ましい。さらに延伸に際しては、ホットロール
ーホットロール系の延伸機を使用し、第一ホットロール
で75〜100℃に予備加熱し、第二ホットロールとの
間で延伸する方法が毛羽の発生を少なくするために好ま
しい。第二ホットロールの温度は、得ようとする糸条の
目標収縮特性に合うよう適宜設定すればよい。得られた
繊維の断面は図3aに示されるものとほとんど同等であ
る。得られた繊維は織編物とし、アルカリ処理を施し
て、表面に微細凹凸を形成させることが好ましい。
【0020】本発明のポリエステル中空繊維は、衣料用
素材はもとよりカーシートなどの産資建装用としても活
用できる。衣料用素材の中では、軽量で光遮蔽性があり
独特のミルキー光沢があることから外衣として適用する
ことが好ましく、特にスポーツ衣料用素材として有効で
ある。
【0021】以上述べた通り、艶消し剤を特定の量含有
したポリエステルからなり、かつ特定化された中空繊維
にすることにより、従来の中空繊維にはない独特のミル
キー光沢を有し、軽量で保温性に優れ、かつドライタッ
チ感、良好な防透け性があり、繊維断面が潰れ難い高品
位のポリエステル中空繊維を提供することができる。
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお実施例中の物性は次の様にして測定した。
【0023】A.中空率 繊維の断面写真から次式により算出した。 中空率(%)=(中空部の断面積/繊維の断面積)×1
00
【0024】B.防透け性 スガ試験機(株)製SMカラーコンピューターを用い
て、布帛の背後に白色体および黒色体を置いて測定した
それぞれのL値の差を5ランクに分け、防透け性の尺度
とした。
【0025】C.ドライタッチ(手触り感)、ミルキー
光沢(外観) 一定条件で製織した織物を官能検査し、次の5段階にラ
ンク付けした。◎「極めて良」、「良」、「やや良」、
「劣」、「極めて劣」 D.毛羽 東レエンジニアリング社のマルチフライカウンターF型
を用いて延伸糸5本を約400m/minで走行させな
がら各々5万mを測定し、カウントされた総数から毛羽
数を求めた。 毛羽数(個/1万m)=(カウント総数/25万m)×
10000 実施例1 艶消し剤として平均粒径0.5ミクロンで最大粒径2ミ
クロンの酸化チタンを用い、その含有量を変更して得た
7水準のポリエチレンテレフタレートを使用し、紡糸温
度285℃で図2aで示す吐出孔を24個有する口金か
ら吐出した後に、口金面下8cmの位置で毎分30mの
速度の冷却風をあてて冷却し、平滑性の高い油剤を油分
付着量が1.1%になるようにコントロールしながら付
与した後に、紡速1650m/分で巻取った。
【0026】得られた未延伸糸をホットロールーホット
ロール系の延伸機にて第1ホットロールを88℃として
予備加熱し第2ホットロールとの間で延伸糸伸度が35
±2%となる延伸倍率で延伸しながら第2ホットロール
温度145℃で熱処理し、巻取速度800m/minで
巻き上げ75デニール24フィラメントの中空繊維糸条
を得た。得られた糸条を経糸、緯糸として織密度経11
0本/インチ、緯90本/インチとして製織した。得ら
れた繊維の断面は図3aと同様で中空部が三角形状で繊
維の中心部にあり、中空部でない部分の肉厚は最も薄い
部分で4.6ミクロンであった。得られた繊維糸条の毛
羽数は実験No.7は多数であったがその他は0.10
個/万m以下であった。
【0027】得られた繊維の中空率は20〜23%の範
囲にあった。アルカリ減量を15%施した織物の防透け
性、手触り感、外観の評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】 本発明の実験No.2〜6の織物は、防透け性が良好で
あり、ドライタッチで落ち感があり、ミルキー光沢も良
好であり、光沢は通常の丸断面の繊維に比較しマイルド
で独特のものであった。また、糸強力も特に低いものは
なかった。
【0029】実験No.1(比較例)の織物は、酸化チ
タン含有量が少ないために防透け性、ドライタッチが不
良であり落ち感もなく、、独特のミルキー光沢もなかっ
た。
【0030】実験No.7(比較例)の織物は、防透け
性、ドライタッチ、落ち感は極めて良好であったが、糸
強度が低いがために織物の引裂き強力も低く、製織時に
発生した多数の毛羽のために織物品位が極めて悪く商品
価値が低いものであった。また、紡糸時の濾過層の目詰
まりによる濾圧上昇が大きく、しかも糸切れ発生も多く
10時間以上の安定紡糸が不可能であった。さらに延伸
地の糸切れも多かった。
【0031】実施例2 実施例1の実験No.3のポリマを用い、図2aの口金
吐出孔でリング状に配設されたスリットの内径を変更し
た口金を使用した以外は実施例1に準じ、中空率を変更
した中空繊維糸条を得た。得られた糸条の毛羽数は0.
10個/万m以下であった。また、中空部でない部分の
肉厚で最も薄い部分の肉厚は、3.4〜6.0ミクロン
の範囲であり実験No.11は3.7ミクロンであり実
験No.12が3.4ミクロンで最も薄いものであっ
た。得られた中空繊維糸条を実施例1に準じて評価した
結果を表2に示した。
【0032】
【表2】 実験No.8(比較例)の織物は中空率が小さく軽量性
の効果が小さく通常の丸断面糸と大差なかった。実験N
o.12(比較例)の織物は、織成時での繊維の潰れが
多発して織物での中空率は小さくなっていた。また、中
空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の肉厚(ミクロ
ン)が、2.1×31/2 =3.6(ミクロン)未満であ
り、繊維の潰れが多発するとともに潰れ度合いが大きか
った。
【0033】軽量性や後加工での繊維断面の形状保持の
面で本発明の実験No.9、10、11の繊維が有効に
活用できる。
【0034】実施例3 実施例2のポリマを用い、図2b、図2cの口金吐出孔
を有する口金を用いた以外は実施例1に準じ、繊維の断
面を変更した中空繊維糸条を得、評価した。得られた繊
維の断面は図3b、図3cに示した。実験結果を実施例
1の実験No.3と比較し表3に示した。
【0035】
【表3】 図3bに示した外形が三葉型の中空繊維糸条(実験N
o.12(比較例)、中空率15.2%)は、紡糸時の
糸切れが16回/トンと多く、また延伸時の毛羽発生も
3.8コ/1万mと多く、糸切れ率も13%と多かっ
た。
【0036】図3cに示した中空部が偏心した中空繊維
糸条は、(実験No.13(比較例)、中空率が20.
5%であったが織物にした時に断面の変化が大きく繊維
の潰れが発生し中空率が13.2%にまで低下した。
【0037】実施例4 実施例2のポリマを用い、図2a、図2dの口金吐出孔
を有する口金を用い、中空率を約35%に調整した以外
は実施例1に準じ、繊維の中空部形状を比較した中空繊
維糸条を得、評価した。得られた繊維の断面は図3a、
図3dに示したと同等のものである。実験結果を表4に
示した。
【0038】
【表4】 図3dに示した中空部形状がほぼ真円の中空繊維糸条は
(実験No.15(比較例))、中空率が36.1%で
あったが織物にした時に断面の変化が大きく繊維の潰れ
が発生し中空率が26.2%にまで低下した。また、織
物において繊維の潰れた部分はスジ状のムラが発生し織
物の品位が著しく不良であった。
【0039】図3aに示した中空部形状がほぼ三角形の
中空繊維糸条は(実験No.14(本発明)、中空率が
35.2%であったが織物にしても繊維の潰れがほとん
どなく中空率も33.4%であり、織物の品位も良好で
あった。
【0040】
【発明の効果】上述した様に艶消し剤を特定の量含有し
たポリエステルからなり、かつ特定化した中空繊維にす
ることにより、従来の繊維にはない独特のミルキー光沢
を有し、軽量で保温性に優れ、かつドライタッチ感、良
好な防透け性があり、繊維断面が潰れ難い高品位のポリ
エステル中空繊維を提供することができる。
【0041】本発明のポリエステル中空繊維は、衣料用
素材はもとよりカーシートなどの産資建装用としても活
用できる。衣料用素材の中では、軽量で光遮蔽性があり
独特のミルキー光沢があることから外衣として適用する
ことが好ましく、特にスポーツ衣料用素材として有効で
あり、高い価値があるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステル中空繊維の中空部の形状
を説明するモデル図
【図2】本発明のポリエステル中空繊維を製造する際の
紡糸口金の吐出孔の概略図
【図3】図2の口金から製造される繊維の断面図
【符号の説明】
a:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 b:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 c:中空繊維中空部の三角形状の一頂点 d:上記三角形の辺abに対して点cから引いた垂線と
辺abとの交点 h:上記三角形の辺acに対して点bから引いた垂線と
辺acとの交点 f:上記三角形の辺bcに対して点aから引いた垂線と
辺bcとの交点 e:上記三角形の線分cdの延長線と中空壁との交点 g:上記三角形の線分afの延長線と中空壁との交点 i:上記三角形の線分bhの延長線と中空壁との交点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−268727(JP,A) 特開 平7−216645(JP,A) 特開 平4−272215(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 6/62 D01D 5/24

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】艶消し剤が1.5重量%以上8.0重量%
    以下含有されているポリエステルで形成されており、繊
    維の断面の外形が円形で、かつ繊維断面の中心部に三角
    形状の中空部を有し、中空部でない部分の肉厚で最も薄
    い部分の肉厚(NA)が下記式を満足し、中空部の中空
    率が10〜50%であることを特徴とするミルキー光沢
    を有するポリエステル中空繊維。 NA(ミクロン)≧2.1×d1/2 但し、NA=中空部でない部分の肉厚で最も薄い部分の
    肉厚(ミクロン) d=繊維の繊度(デニール)
JP02968894A 1994-02-28 1994-02-28 ミルキー光沢を有するポリエステル中空繊維 Expired - Fee Related JP3267033B2 (ja)

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