JPH07258946A - 可動糸ガイド部材を備えた横編機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】シンカーループを適度な張力で押さえ込むこと
が出来るとともに、給糸された編糸を確実にフック内に
案内できるようにした横編機を提供できるようにするこ
とを目的とする。 【構成】ニードルベッドをニードルプレートの先端部同
士が近接する状態で少なくとも前後一対に配設し、ニー
ドルプレートに装着された編針がスライダをキャリッジ
で出退操作するコンパウンドニードルであって、ニード
ルプレートの先端近傍部に可動シンカーを揺動可能に枢
支するとともに、該可動シンカーに弾性付勢材を設け、
弾性付勢材の付勢力により可動シンカーの先端部に形成
された編糸押さえ部に係止させた編糸を押さえ込む方向
に付勢し、ニードルプレートと編針との間に糸ガイド部
材を設け、糸ガイド部材はその先端に形成されたガイド
面がニードルベッドの先端から出退するように摺動操作
可能に配設し、糸ガイド部材の後端寄り部分にはキャリ
ッジに設けられた制御部により出退操作される操作部を
設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は横編機に関し、特にニー
ドルベッドの先端部分に給糸された編糸を編針の所定の
位置に案内する糸ガイド部材を設けたものに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】この種のものとして例えば本出願人が先
に提案した特公平５−４７６５４号公報に示されるもの
が知られている。この公報に記載のものは、コンパウン
ドニードルを出退摺動可能に設けたニードルベッドを前
後に一対、その先端部が近接する状態で配設し、近接す
るニードルベッドの先端部に可動シンカーを揺動可能に
枢支し、この可動シンカーにシンカーループ押さえ用フ
ック部分とこのシンカーループ押さえ用フック部分の上
方に給糸された編糸を編針の所定の位置に案内するガイ
ド面を形成するとともに、キャリッジのカム山でシンカ
ーを揺動させるようにしたものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記公報に
記載されたものでは、編糸のガイド面を形成した可動シ
ンカーがキャリッジで強制的に揺動操作されることか
ら、例えばシンカーループの大きさが異なる場合、最小
ループに合わせて可動シンカーの揺動量を設定なければ
ならないと言う問題があった。そこでこうした問題に対
処するために本出願人は先に特公平５−８３６５４号公
報に見られるように可動シンカーのシンカーループ押さ
え用フック部分に加えさせたシンカーループを押さえ込
む方向に押圧する付勢手段を設け、この付勢手段の弾性
付勢力によりシンカーループの大きさが異なる場合でも
略一定の張力でシンカーループを押さえ込ませるように
したものがある。ところが、こうしたものでは可動シン
カーの揺動量がシンカーループの大きさ及び張力によっ
て左右されることから、シンカーループ押さえ用フック
部分の上方に編糸のガイド面を設けた場合、可動シンカ
ーの編糸のガイド面の位置が様々に変更されてしまい編
糸のガイド面を最適な位置にできないと言う問題があっ
た。

【０００４】更に、本出願人が先に提案した上記特公平
５−４７６５４号公報では可動シンカーがキャリッジで
強制的に揺動操作された時にそのシンカーループ押さえ
用フック部分で押さえ込まれるシンカーループが小さな
場合でも切れない程度にその押し込み量が設定されるこ
と、並びにシンカーループ押さえ用フック部分の上方に
ガイド面が形成されており、ニードルベッドをその先端
同士が近接する状態で前後一対設けた横編機では一方の
ニードルベッドの可動シンカーを大きく揺動させると、
他方の可動シンカー若しくはニードルベッドの先端部と
干渉してしまうことからも可動シンカーを大きく揺動さ
せることができず、大きさや張力が異なるシンカールー
プに対して最適な押し込み量を得ることができないとい
う問題もあった。本発明は上記問題点に鑑み提案された
もので、シンカーループを適度な張力で押さえ込むこと
が出来るとともに、給糸された編糸を確実にフック内に
案内できるようにした横編機を提供できるようにするこ
とを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にかかる可動糸ガイド部材を備えた横編機は、
ニードルベッドにニードルプレートを等間隔に配設し、
該ニードルプレート間に複数の編針をキャリッジにより
出退操作可能に並設したニードルベッドを備えてなる横
編機において、ニードルベッドをニードルプレートの先
端部同士が近接する状態で少なくとも前後一対に配設
し、ニードルプレートに装着された編針がスライダをキ
ャリッジで出退操作するコンパウンドニードルであっ
て、ニードルプレートの先端近傍部に可動シンカーを揺
動可能に枢支するとともに、該可動シンカーに弾性付勢
材を設け、弾性付勢材の付勢力により可動シンカーの先
端部に形成された編糸押さえ部に係止させた編糸を押さ
え込む方向に付勢し、ニードルプレートと編針との間に
糸ガイド部材を設け、糸ガイド部材はその先端に形成さ
れたガイド面がニードルベッドの先端から出退するよう
に摺動操作可能に配設し、糸ガイド部材の後端寄り部分
にはキャリッジに設けられた制御部により出退操作され
る操作部を設けたことを特徴とするものである。

【０００６】また、ニードルプレートの先端寄り部分の
一側面上半部を薄肉に形成し、この薄肉に形成された部
分の略中間位置で厚肉の下半部に半円状の支承用凹部を
形成し、この支承用凹部にシンカープレートの回動枢支
部を支承させ、その側方に糸ガイド部材を摺動可能に位
置させるとともに、ニードルプレートの一側面下半部で
ニードルプレートスペーサの下方に形成されるスリット
状の空間に編針を積層状に収納したことも特徴とし、糸
ガイド部材が最大に進出操作された時に前後に配設され
たニードルベッドの歯口の中央線を越えないように制御
カムのカム溝を形成し、更に制御カムのカム溝は糸ガイ
ド部材が進出操作された場合において、ヤーンフィーダ
の給糸口が通過する時には糸ガイド部材の先端部が給糸
口と干渉しない位置に退入するように形成することもで
きる。

【０００７】

【作用】本発明の可動糸ガイド部材を備えた横編機で
は、キャリッジがニードルベッド上をヤーンフィーダを
連れて走行すると、キャリッジ内のカムで可動シンカ
ー、糸ガイド部材及び編針が夫々操作されるようになっ
ている。即ち、可動シンカーがシンカーカムによって適
宜揺動し、シンカーループ押さえ用フック部分でシンカ
ーループが押さえ込まれるのである。この時、可動シン
カーの揺動枢支部に弾性付勢材を設け、該弾性付勢材の
付勢力で編糸押さえ部に係止させた編糸を押さえ込む方
向に付勢させてあり、シンカーループが小さかったり、
柄形成や編目の増減のために前後のニードルベッドを相
対的に移動（ラッキング）させ、編目を前後に移す遣り
取りが行われる時、等にシンカーループの張力が異常に
高くなった場合にはこの弾性付勢材がシンカーループの
張力を緩和する方向に撓んでシンカーループが伸びたり
切れたりするのを防止する。

【０００８】次に、糸ガイド部材及び編針がキャリッジ
のカムで夫々所定量進出操作され、編針のスライダのフ
ックが開かれた給糸位置では側面視においてスライダの
先端部が糸ガイド部材のガイド面部分からフック側に突
出しない位置になっており、給糸された編糸はガイド面
で案内されてフックに確実に供給されるので、その後直
進的に進出して編針のフックを閉じるスライダにも編糸
が引っ掛かったりすることがないのである。そして、制
御カムのカム溝が糸ガイド部材が最大に進出操作された
時に前後に配設されたニードルベッドの歯口の中央線を
越えないように形成してあるので、前後のニードルベッ
ドの糸ガイド部材同士が干渉したりすることなく前後の
ニードルベッドを相対的に移動させられる。また、糸ガ
イド部材が進出操作され、ヤーンフィーダの給糸口が通
過する時、糸ガイド部材の先端部が給糸口と干渉しない
ように退入するように形成してあるので、ヤーンフィー
ダの給糸口が糸ガイド部材に接触したりすることもな
い。

【０００９】

【実施例】以下、本発明にかかる可動糸ガイド部材を設
けた横編機の一実施例図面に基づいて説明する。図１は
横編機の概略の構成を示す側面図であって、図中符号１
は横編機を全体的に示し、この横編機１はニードルベッ
ド２の上方に図２に示すようなニードルプレート３を等
間隔に配設するとともに、当該ニードルプレート３・３
間に図３に示すコンパウンドニードル形式の編針４及び
糸ガイド部材５を複数夫々個別に出退操作可能に並設
し、このニードルベッド２を編針４の先端部同士が近接
する状態で側面視ハの字状に対峙させて構成してあり、
ニードルベッド２の先端部にはキャリッジ６で揺動操作
される可動シンカー７が設けてある。また、ニードルプ
レート３・３の先端同士間には歯口間隙部Ｔが形成さ
れ、両ニードルベッド２の編針４及び糸ガイド部材５は
キャリッジ６で出退操作されるようになっている。

【００１０】図４はニードルベッド２の編針４の出退操
作及び後述する可動シンカー７を揺動操作するキャリッ
ジ６のカム群の概略を示す展開図であって、図中符号８
はニッティングカム、符号９はニッティングカム８の前
方に配設されたシンカー制御用の後部カム、符号１０は
後部カム９の前方に配設されたシンカー制御用の前部カ
ム、符号１１は糸ガイド部材５を出退操作する制御カム
を夫々示す。上記シンカー制御用の前部カム１０は１枚
の板の下面にカムプロフィル１２を形成したもので、シ
ンカー制御用の後部カム９は図５に示すように下面にカ
ムプロフィル１３を形成した板に可動カム１３ａ・１３
ｂを回動可能に左右に設け、可動シンカー１３ａ・１３
ｂの何れか一方の可動カム１３ａ・１３ｂが突出した時
に他方の可動カムを退入させる連結ロッド１７を設けて
構成され、両可動カム１３ａ・１３ｂの間には摺動カム
１３ｃが設けられており、シンカー制御用の前部カム１
０及び後部カム９は夫々キャリッジ本体から突出するブ
ラケット１４に固定用ボルト１５・１６で固定されてい
る（図７参照）。上記摺動カム１３ｃは、可動シンカー
の後部カム当接部２５ｂと接触することによりキャリッ
ジの移動方向下手側に移動するようなっている。尚、上
記可動カム１３ａ・１３ｂのうち、一方のカム１３ａは
往行用であり、他方のカム１３ｂは復行用として作用す
るようになっている。

【００１１】ニッティングカム８は、図４に示すように
山形をしたニードルレイジングカム１９と、ニードルレ
イジングカム１９の中央上部に配設された天山２０と、
天山２０の両側にその側面に沿って摺動可能に設けられ
た度山２１・２１とを備え、ニードルレイジングカム１
９と天山２０及び度山２１・２１との間に編針４のバッ
ト２２が通過する制御溝２３が形成されて構成されてい
る。上記ニッティングカム８でバット２２が制御される
編針４は、図３及び図６に示すように、ニードルベッド
２の上面にニードルプレート３を立設し、このニードル
プレート３・３間にその先端のフック４ａがニードルベ
ッド２の先端から外方に突出する状態と退入する状態と
に摺動可能に配設されており、この編針４の出退操作に
連動してスライダ制御カム（図示せず）によりスライダ
２４のバット２４ａが操作されると、スライダ２４がフ
ック４ａを開閉するようになっている。また、編み針４
の一側部にはループを拡開するための平面視で船型をし
た羽根２８が設けられている。更に、ニードルプレート
３・３間に装着された編針４及び糸ガイド部材５はその
上方にニードルプレートスペーサ１８が設けられてい
る。

【００１２】この可動シンカー７は図２に示すように薄
板で形成されたシンカープレート２５の前半部分を円弧
状に湾曲させ、その先端寄り部にシンカーループ押さえ
用フック部分２７が形成されており、このシンカールー
プ押さえ用フック部分２７のやや後方には前記シンカー
制御用の前部カム１０が当接する前部カム当接部２５ａ
が形成され、前部カム当接部２５ａの近傍にシンカール
ープ押さえ用フック部分２７を押し下げ付勢する略
“Ｕ”字形の線バネ（弾性付勢材）２９の一端を係止す
るバネ係止部３０が形成されている。また、シンカープ
レート２５のバネ係止部３０の下方には半円状に突出形
成された回動枢支部３１が形成され、その後端部には後
部カム９が当接する後部カム当接部２５ｂが形成されて
いる。上記シンカープレート２５が装着されるニードル
プレート３はその先端寄り部分の一側面上半部をシンカ
ープレート２５及び糸ガイド部材５を合わせた厚み分を
切削して薄肉に形成し、薄肉に形成された部分の中間位
置で厚肉の下半部に半円状の支承用凹部３３が穿設され
ており、この支承用凹部３３にシンカープレート２５の
回動枢支部３１が支承され、その他の部分はニードルプ
レート３の薄肉部分とニードルプレートスペーサ１８と
の間に収納されるとともに、シンカープレート２５の下
寄り部でニードルプレートスペーサ１８との間には糸ガ
イド部材５が摺動可能に配設されている。また、ニード
ルプレートスペーサ１８の下方でニードルプレート３の
下半側方部分には編針４が摺動可能に収納されている。

【００１３】上記ニードルプレートスペーサ１８は、比
較的厚みの薄い鋼板で形成されたもので、後端部にニー
ドルプレート３・３・・に亙って支持された回動枢支ロ
ッド４５に嵌合する嵌着用凹部４６を形成し、中央上面
部分には後述する蟻溝状の係合溝３７を形成したニード
ルプレート３の上半部と略同形状に形成されている。上
記糸ガイド部材５は、図２に示すように比較的厚みの薄
い鋼板で細幅に形成された本体４１の先端部に斜め下向
きに傾斜したガイド面４２を形成するとともに、後端部
にはニードルプレート３・３・・に亙って支持された回
動枢支ロッド４５に摺動案内される溝４３を上下に二段
刻設した摺動案内部４０を設け、この摺動案内部４０の
上端にキャリッジ６に装着された制御カム１１で出退操
作されるバット４４が立設されて形成されている。この
バット４４を操作して糸ガイド部材５を出退操作する制
御カム１１は図４に示すように、カム板４７の中間高さ
位置にその両端と中央部分で糸ガイド部材５を退入させ
るような一条のカム溝４８を形成して構成してある。

【００１４】上記のニードルプレート３及びニードルプ
レートスペーサ１８の各上面に形成された係合溝３７に
押さえ板３８が挿入されると、ニードルプレートスペー
サ１８が固定され、これと同時にこの押さえ板３８の下
面で線バネ２９の遊端部２９ａがその張力で下方に押し
下げ付勢されるので、シンカープレート２５の先端のシ
ンカーループ押さえ用フック部分２７は常時下方に押し
下げ付勢されることになる。

【００１５】上記のように構成された可動糸ガイド部材
を備えた横編機の作用を或る１本の編針４Ａを例に説明
する。キャリッジ６が右方から左方に移動し、編針４Ａ
が図４中のＡの位置になると、この間に図７に示すよう
にループを銜えた編針４Ａは度山カム２１でバット２２
が操作され、編針４Ａの先端のフック４ａがニードルプ
レート３の先端と略同じ位置に引き込まれる。一方、可
動シンカー７は後部カム当接部２５ｂが後部カム９の可
動カム１３ａで押し下げられ、シンカープレート２５は
支承用凹部３３に嵌合している回動枢支部３１を回転中
心とし、線バネ２９の張力に抗して図上左回りに回動し
シンカープレート２５の先端のシンカーループ押さえ用
フック部分２７が編針４Ａの上方に位置する状態になっ
た後、可動シンカー７の後部カム当接部２５ｂに後部カ
ム９の可動カム１３ａが作用しなくなると線バネ２９の
張力でシンカープレート２５が図上右回りに回動してシ
ンカーループ押さえ用フック部分２７に編針４Ａ・４・
・間の編糸を銜えこの状態で押し下げるので、編針４Ａ
・４・・間の編糸は線バネ２９の張力により適度な押圧
力で押し下げられることになる。

【００１６】次に、上記Ａの位置からキャリッジ６の移
動で編針４Ａが図４中のＢの位置になるとこの間にシン
カーループ押さえ用フック部分２７に編糸編針４Ａ・４
・・間の編糸を銜えた状態が維持されながら編針４Ａは
ニードルレイジングカム１９でバット２２が押上られ、
編針４Ａのフック４ａがニードルベッド２の先端から大
きく突出した状態になる。この時、編針４Ａが大きく突
出したにもかかわらず図外のスライダ制御カムでのスラ
イダ２４のバット２４ａの上昇が小さいことから、編針
４Ａのフック４ａが開かれた状態になり、フック４ａに
係止されていたループは退入したスライダ２４の上方に
乗り上がった状態になる。これと同時に可動糸ガイド部
材５は制御カム１１のカム溝４８でバット４４が引き込
まれ、その先端がシンカープレート２５の先端と略同じ
位置にされる（図８参照）。

【００１７】此処で、フック４ａに係止されていたルー
プが退入したスライダ２４の上方に乗り上がる時にシン
カーループ押さえ用フック部分２７に掛止している編針
４Ａ・４・・間の編糸の張力が高くなってもこの高くな
った張力に応じてシンカーループ押さえ用フック部分２
７が線バネ２９の張力に抗して上方に揺動して高い張力
を吸収するので、スライダ２４の上方に乗り上がるルー
プが伸び過ぎたり切れたりするのが防止されるのであ
る。

【００１８】そして、キャリッジ６が更に左方に走行
し、編針４Ａが図４中のＣの位置になると、糸ガイド部
材５は制御カム１１のカム溝４８でバット４４が引き込
まれた状態で、編針４Ａのバット２２が天山２０で操作
され、編針４Ａが下降をはじめる。この時、スライダ２
４のバット２４ａは殆ど下降されないで残されているこ
とから上記Ｂの位置でスライダ２４の上方に乗り上がっ
たループはスライダ２４の上に乗った状態で保持され、
これと同時にキャリッジ６と共に走行するヤーンフィー
ダ５０から編糸がフック４ａに給糸される（図９参
照）。またこの時、制御カム１１のカム溝４８でバット
４４が引き込まれることから、ヤーンフィーダ５０の給
糸口５０ａは糸ガイド部材５の先端と接触することなく
通過することができるのである。

【００１９】キャリッジ６が更に左方に走行し、編針４
Ａが図４中のＤの位置になると編針４Ａが更に下降する
一方、制御カム１１のカム溝４８でバット４４が押し出
され糸ガイド部材５がニードルベッド２の先端から突出
する状態になる。この糸ガイド部材５の突出により前記
Ｃでヤーンフィーダ５０から編針４に供給される編糸は
糸ガイド部材５の先端の下向きに傾斜したガイド面４２
によりスライダ２４の摺動軌跡の下方に案内された後、
給糸口５０ａに渡る状態となり、編針４のフック４ａ内
に確実に案内されるのである（図１０参照）。

【００２０】更に、キャリッジ５が左方に走行し、編針
４Ａが図４中のＥの位置になると、編針４Ａのバット２
２が度山２１で大きく引下げられるので少し下降するス
ライダ２４が給糸された編糸を銜えたフック４ａを閉じ
た後、フック４ａに銜えられた編糸はフック４ａの両側
部分が糸ガイド部材５のガイド面４２の下方と可動シン
カー７のシンカーループ押さえ用フック部分２７の上方
部分との間に受け止められた状態で図１１に示すように
スライダ２４の上面に乗り上がっていたループ（旧ルー
プ）がノックオーバされるのである。この時、編糸の張
力等で可動シンカー７が押上られようとするが、これを
前部カム１０がこれを確りと受け止める。これにより、
この図１１のように編針４Ａが下がりきると、ループの
大きさ（度目）が形成されるのである。

【００２１】そして、キャリッジ５が更に左方に走行
し、編針４Ａが図４中のＦの位置になると、編針４Ａの
バット２２が度山２１の下端部より上昇した位置に押し
出され、糸ガイド部材５のバット４４が制御カム１１の
カム溝４８で上記Ｅの状態より一旦さげられた後、カム
溝４８から開放されるので図１２で示すように糸ガイド
部材５、可動シンカー７、編針４の各先端部分が略同じ
位置になる。以上に述べた作用が繰り返されて編地の編
成が行われるのであるが、編地の編成時に模様や立体的
なシルエットを形成するために本例のようにニードルベ
ッド２・２を前後に配設したものでは相互に移動（ラッ
キング）させて編目を移動させることがあるが、こうし
た場合でも、可動シンカー７の揺動軌跡は前後のニード
ルベッド２・２間の歯口の中央線Ｃを越えず、また糸ガ
イド部材５が最大突出した場合でも歯口の中央線Ｃを越
えないことから、一方の糸ガイド部材５及び可動シンカ
ー７の先端部が他方の糸ガイド部材５及び可動シンカー
７の先端部と干渉しないためにニードルベッド２・２の
移動時に糸ガイド部材５及び可動シンカー７が損傷する
ことはない。尚、上記実施例ではニードルベッドを前後
に配設したもので説明してあるが、本件考案発明はこう
したものに限られず、一枚のニードルベッドの横編機に
も実施することができるのは言うまでもないことであ
る。更に、上記実施例ではシンカーループ押さえ用フッ
ク部分を押し下げ付勢する付勢手段を線バネで形成する
ようにしてあるが、この線バネに代えてコイルスプリン
グで形成することもできるのは勿論である。

【００２２】

【発明の効果】以上に説明したように本発明の可動糸ガ
イド部材を備えた横編機では、可動シンカーのシンカー
ループ押さえ用フック部分でシンカーループが弾性付勢
材の付勢力で押さえ込まれ、シンカーループが小さかっ
たり、柄形成や編目の増減のために前後のニードルベッ
ドを相対的に移動させ、編目を前後に移す遣り取りが行
われる時、等にシンカーループの張力が異常に高くなっ
た場合でもこの弾性付勢材がシンカーループの張力を緩
和する方向に撓んでシンカーループが伸びたり切れたり
するのを防止し、これに相俟って糸ガイド部材及び編針
がキャリッジのカムで夫々所定量進出操作され、編針の
スライダのフックが開かれた給糸位置では側面視におい
てスライダの先端部が糸ガイド部材のガイド面部分から
フック側に突出せず、給糸された編糸はガイド面で案内
されてフックに確実に供給されるので、その後直進的に
進出して編針のフックを閉じるスライダにも編糸が突き
刺されたり引っ掛かったりすることがないので、これに
より、ループ長の揃った美しい編地を形成することがで
きると言う利点がある。

【００２３】加えて、ニードルプレートの先端寄り部分
の一側面上半部を薄肉に形成し、この薄肉に形成された
部分の略中間位置で厚肉の下半部に半円状の支承用凹部
を形成し、この支承用凹部にシンカープレートの回動枢
支部を支承させ、その側方に糸ガイド部材を摺動可能に
位置させるとともに、ニードルプレートの一側面下半部
でニードルプレートスペーサの下方に形成されるスリッ
ト状の空間に編針を積層状に収納してあるので、シンカ
ー、糸ガイド部材及び編針をニードルプレート間の狭い
間隙にもコンパクトに装着することができると言う利点
もある。

【００２４】そして、制御カムのカム溝が糸ガイド部材
が最大に進出操作された時に前後に配設されたニードル
ベッドの歯口の中央線を越えないように形成してあるの
で、前後のニードルベッドの糸ガイド部材同士が干渉し
たりすることなく前後のニードルベッドを相対的に移動
できながらも、糸ガイド部材の機能を損なうことなく良
好な編成を維持できると言う利点もある。

【００２５】また、糸ガイド部材が進出操作され、ヤー
ンフィーダの給糸口が通過する時、糸ガイド部材の先端
部が給糸口と干渉しないように退入するように形成して
あるので、ヤーンフィーダの給糸口が糸ガイド部材に接
触したりすることがなく、糸ガイド部材とヤーンフィー
ダの給糸口との接触による損傷を防止して横編機の耐久
性を大幅に向上させることができると言う利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】横編機の概略構成を示す要部の側面図である。

【図２】可動糸ガイド部分の分解図である。

【図３】コンパウンドニードル式の編針の側面図であ
る。

【図４】キャリッジのカム群の展開図である。

【図５】可動シンカーを制御するカム展開図である。

【図６】図８におけるＸ−Ｘ線断面図である。

【図７】特定の編針が図４のＡ位置に有る時の編針部分
の側面図である。

【図８】特定の編針が図４のＢ位置に有る時の編針部分
の側面図である。

【図９】特定の編針が図４のＣ位置に有る時の編針部分
の側面図である。

【図１０】特定の編針が図４のＤ位置に有る時の編針部
分の側面図である。

【図１１】特定の編針が図４のＥ位置に有る時の編針部
分の側面図である。

【図１２】特定の編針が図４のＦ位置に有る時の編針部
分の側面図である。

【符号の説明】

１・・・横編機 ２・・・ニードルベッド ３・・・ニードルプレート ４・・・編針 ４ａ・・・フック ５・・・糸ガイド部材 ６・・・キャリッジ ７・・・可動シンカー ２４・・・スライダ ２７・・・編糸押さえ部 ２９・・・弾性付勢材（線バネ） ３１・・・揺動枢支部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ニードルベッドにニードルプレートを等間
   隔に配設し、該ニードルプレート間に複数の編針をキャ
   リッジにより出退操作可能に並設したニードルベッドを
   備えてなる横編機において、ニードルベッドをニードル
   プレートの先端部同士が近接する状態で少なくとも前後
   一対に配設し、ニードルプレートに装着された編針がス
   ライダをキャリッジで出退操作するコンパウンドニード
   ルであって、ニードルプレートの先端近傍部に可動シン
   カーを揺動可能に枢支するとともに、該可動シンカーに
   弾性付勢材を設け、弾性付勢材の付勢力により可動シン
   カーの先端部に形成された編糸押さえ部に係止させた編
   糸を押さえ込む方向に付勢し、ニードルプレートと編針
   との間に糸ガイド部材を設け、糸ガイド部材はその先端
   に形成されたガイド面がニードルベッドの先端から出退
   するように摺動操作可能に配設し、糸ガイド部材の後端
   寄り部分にはキャリッジに設けられた制御部により出退
   操作される操作部を設けたことを特徴とする可動糸ガイ
   ド部材を備えた横編機。
2. 【請求項２】ニードルプレートの先端寄り部分の一側面
   上半部を薄肉に形成し、この薄肉に形成された部分の略
   中間位置で厚肉の下半部に半円状の支承用凹部を形成
   し、この支承用凹部にシンカープレートの回動枢支部を
   支承させ、その側方に糸ガイド部材を摺動可能に位置さ
   せるとともに、ニードルプレートの一側面下半部でニー
   ドルプレートスペーサの下方に形成されるスリット状の
   空間に編針を積層状に収納してなる請求項１に記載の可
   動糸ガイド部材を備えた横編機。
3. 【請求項３】糸ガイド部材が最大に進出操作された時に
   前後に配設されたニードルベッドの歯口の中央線を越え
   ないように制御カムのカム溝を形成したことを特徴とす
   る請求項１または２に記載の可動糸ガイド部材を備えた
   横編機。
4. 【請求項４】糸ガイド部材が進出操作された場合におい
   て、ヤーンフィーダの給糸口が通過する時には糸ガイド
   部材の先端部が給糸口と干渉しない位置に退入するよう
   に制御カムのカム溝を形成したことを特徴とする請求項
   １乃至３の何れか１項に記載の可動糸ガイド部材を備え
   た横編機。