JPH0714825B2 - 抗菌・殺菌用ガラス - Google Patents

抗菌・殺菌用ガラス

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JPH0714825B2 JP1283068A JP28306889A JPH0714825B2 JP H0714825 B2 JPH0714825 B2 JP H0714825B2 JP 1283068 A JP1283068 A JP 1283068A JP 28306889 A JP28306889 A JP 28306889A JP H0714825 B2 JPH0714825 B2 JP H0714825B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、抗菌・殺菌用ガラス（失透状態のガラスすな
わち結晶化ガラスをも包含する）に関するものである。
従来の技術 従来の抗菌性ガラスは重金属を含み、それらは一価の銀
イオンおよび銅イオンを含む場合が多い。その抗菌効果
は、水溶性の該ガラスによりその表面から前記イオンが
溶出することによってあらわれ、抗菌剤および殺菌剤と
して使用される。
これらの製造方法としては、重油、ガス、電気などを用
いる熔解炉や熔解るつぼを使用して1200−1400℃で熔解
する場合と、ゾルゲル法などの方法によって熔解する場
合とがある。
抗菌性ガラスは、水処理剤として、または殺藻、防藻用
に使用される場合が多い。また、殺菌、抗菌の用途以外
にも、銀イオン含有ガラスは光可変ガラス（すなわちフ
オトクロミックガラス）としても使用され、たとえばサ
ングラス等に使用され、この場合は調光ガラスとも言わ
れる。ただしこのような光可変ガラスの銀含量は酸化物
換算で0.2％以下にとどまる場合がほとんどである。
発明が解決しようとする問題点 上述の従来の抗菌剤ガラスは一般に一価の銀を多量に含
み、酸化物換算で約１−５％である。また、ゾルゲル法
においては銀を数十％も多量に含んでいる。そこで銀を
使用した場合、経済的および資源的な見地からも難しい
問題点が多い。また、一価または二価の銅イオンを使用
する場合は、ガラスの銅含量は約１−35％である。
また、熔解炉法で熔解した場合、殺菌および抗菌効果を
上げようと銀含量を増加すれば熔解中に還元され、溶解
炉の底部に金属銀として残り、ガラス中に熔解しない欠
点がある。
そこで本発明は、一価の銀イオンや銅イオンがガラス中
に熔解が難しいという問題点を解決し、かつ、さらに強
力な殺菌力を付与するためにハロゲン族イオン（たとえ
ばCl、Br、Ｉイオン）を積極的に添加することを包含す
る。この場合には、熔解炉で熔かしたときでも銀や銅イ
オンは容易にガラス中にコロイドとして分散し、銀イオ
ンのガラス中残存率が高い。
また、銀を多量含む場合は、従来のガラスでは黒色化が
生じ、粉砕してもその着色はあり、用途によっては使用
できない場合がある。
AgイオンおよびCuイオンが殺菌および抗菌作用を有する
ことは既に知られており、本発明ではこれに、ガラス中
に強力な殺菌および抗菌力を発揮するハロゲン族元素で
あるたとえば塩素（Cl）、ブロム（Br）、ヨウ素（Ｉ）
を積極的に添加し、両方の効果を期待しつつ相乗効果を
ねらい、安価な抗菌、殺菌剤を供給するものである。
また、通常の熔解炉法では銀コロイド（原料はほとんど
の場合硝酸銀を使用）としてガラス中になかなか熔解が
難しく、熔解操作の後に金属銀が熔解炉の底部に残り、
上述の効果がなかなか出しにくい。
本発明によれば、銀コロイドおよび／または銅コロイド
を残し、さらに、ハロゲン族イオンの添加により、ガラ
ス中にそれらの残存率が非常に高くなることが見出され
た。
また、本発明では、容易に水に溶解するB2O3の量を多く
し、かつ溶出速度を早めるアルカリ金属の含有量の多い
組成としたので、従来は効果が少ないとされていた、重
金属含量が低いときでも、本発明の抗菌性ガラスは充分
な殺菌および抗菌効果を発揮する。
発明の構成 本発明は、SiO2 30〜80重量％、B2O3 8〜40重量％、Ag2
O 1〜５重量％またはCuO 1〜30重量％、Cl,BrおよびＩ
からなる群から選ばれたハロゲン 0.05〜２重量％、Na2
O 3〜15重量％を基本構成とする抗菌・殺菌用ガラスで
ある。
上記組成には、さらにK2O 0.1〜10重量％を添加するこ
とができ、また、さらにAl2O3 5重量％以下及び／また
はZr2O 3重量％以下を添加することもできる。
特に好ましい組成は、SiO2 68.0重量％、Al2O3 3.0重量
％、B2O3 12.0重量％、Ag2O 3.0重量％またはCuO 20.0
重量％、Cl,BrおよびＩからなる群から選ばれたハロゲ
ン 0.4重量％、Na2O 8.6重量％、K2O 3.0重量％、ZrO2
2.0重量％である。
本発明の抗菌・殺菌用ガラスは、普通のほうけい酸塩系
ガラスの場合と実質的に同様な製法によって製造でき
る。
本発明のガラスはほうけい酸塩系ガラスを主体としてい
るので、その原料は、シリカ（SiO2）、ほう砂（Na2B4O
7）、酸化ほう素（B2O3）、ほう酸（H3BO4）、さらに硝
酸銀（AgNO3）、塩化銀（AgCl）、ブロム銀（AgBr）、
ヨウ化銀（AgI）、塩化ナトリウム（NaCl）等である。
また、銅の化合物、酸化物も同様である。
所定の原料を混合してるつぼまたは熔解炉に入れ、1200
−1400℃程度の高温で熔解し、次いで冷却してガラスを
得る。既述の従来の含銀ガラスの場合と異なり、本発明
のガラスの熔融操作の場合には、銀や銅は容易にガラス
中にコロイドとして分散し、これらの重金属イオンのガ
ラス中残存率が高い。このことは、既に述べたように本
発明の重要な特長の１つである。
本発明のガラスは、従来の抗菌性ガラスの場合と同様
に、水処理剤、殺藻、防藻剤、および殺菌、抗菌剤とし
て、種々の分野で有利に使用できる。使用量は、当該技
術分野の技術者であれば容易に決定できるであろう。こ
の抗菌性ガラスの使用方法の若干の具体例は、後記の実
施例中に記載されている。
次に本発明の実施例を示す。しかしながら本発明の範囲
は決して実施例に記載の範囲内のみに限定されるもので
はない。
実施例１ SiO2 68.0、Al2O3 3.0、B2O3 12.0、Ag2O 3.0、ハロゲ
ン 0.4、Na2O 8.6、K2O 3.0、NrO2 2.0（wt％）の基本
組成をもつガラスを熔解した。ガラス原料は炭酸塩、水
酸化物、およびハロゲン化物を利用した。熔解条件はガ
ラス量で200kg、熔解温度1350℃、熔解時間3hr、そして
ハロゲンガスを熔解しルツボに充填しながら行った。途
中、30分毎にステンレス棒で撹拌を行ない、Ag2Oおよび
ハロゲンが均一にガラス中に分散するようにした。熔解
後、ルツボよりガラスを取り出し、水中で急冷乾燥後、
ボールミルにて20μｍ以下になるよう粉砕を行なった。
なお、金属銀の析出（ルツボ底部）は、ほとんどなし。
色調は白色、乳濁、銀はコロイド状に分散していた。
このガラスを、抗菌剤としての効果を見るために、菌数
測定法にて測定した。
ウレタン樹脂（溶剤分 70％、固形分 30％）93％に対
し、このガラス７％を添加した。転写紙にコーテイング
し、それを紳士用靴下に転写した。それらを、無加工試
料と菌数測定法によって比較した。（抗菌防臭加工製品
の加工効果評価試験マニュアル・菌数測定法：繊維製品
衛生加工協議会 昭和63年）なお、試験菌は、黄色ぶど
う状球菌〔Staphylococcus aureus,ATCC 6538P（IFO 12
732）〕を用いた。
上表の結果より、オリジナル1.0×102に対し、洗濯後10
回で3.2×10-1と大幅に減少、黄色ぶどう状球菌に対し
て非常な効果があった。
洗濯後、優秀な結果が得られたのは、表面樹脂が洗濯ご
とに取れ、抗菌剤が溶出し、抗菌結果に対して良い効果
が出たためである。
なお、転写の形状は、ベタ塗りでなく、高さ2mm、丸さ3
mmのドットの水玉状転写であり、空間率50％である。し
たがって、空間率が０％の場合は２倍の効果が出ると確
信できる。
実施例２ 第３表に記載のガラス組成物を熔解した。原料は実施例
１の場合と同様で、条件は第３表の通りである。６種類
の抗菌剤を同様に転写紙にコーテイングし、その後、紳
士用肌着に転写し、比較した。供試菌は、大腸菌（Esch
erichia coli）、黄色ぶどう状球菌（Staphy lococcus
aureus）、枯草菌（Bacillus suntilis）である。試験
方法は、あらかじめ前培養を行った細菌を減菌水で懸濁
させ、ハートインヒュージョン寒天培地15mlに対し、0.
2mlの割合で混釈し、平板に固める。この上から、直径2
cmの大きさに切り取った試料をのせ、30℃24時間培養
後、生じたハロー（生育阻止帯）の有無を観察した。
また、あらかじめ前培養した細菌を減菌水に懸濁させ、
試験管に5mlずつ分散し、これに１×2cmの試料片を２枚
入れ、振盪培養し、直後の菌数と24時間置後の菌数の変
化を測定した。
第３表の結果より、試料No.1,2,3の水への溶解速度の早
いガラスは、SiO2が少なく約70％以下で、また、容易に
水に溶解するB2O3の量の高い組成および、また溶出速度
を早めるアルカリ金属の含有量の多いものが、菌数の抗
菌に効果があったと認められる。また試料No.4,5,6も、
抗菌力は前記の試料より多少劣るが、しかし、かなりの
抗菌効果を上げている。また、Ag2Oの含有量が、公知の
ガラスより少量であるにもかかわらず、ハロゲンの添加
により、さらに抗菌の効果が著しい。
実施例３ 第４表に記載のガラス組成物を熔解した。原料は、実施
例1,2の場合と同様で、条件も同様である。また、抗菌
剤としての試験も同様である。その結果を第４表にまと
めた。
実施例３より、CuOおよびAg2O、さらには、試料No.2、N
o.7のハロゲンの添加をしない組成を検討した結果、CuO
とハロゲンの入った抗菌剤は、黄色ぶどう状球菌に対し
ては非常に良い効果を表している。また、大腸菌および
枯草菌に対しても効果がある。なお、公知のAg2O入り抗
菌剤と、それにハロゲンの入った本発明の抗菌剤とで
は、やはりハロゲン入りの方が結果が非常に良い、ま
た、CuOにハロゲンの入った抗菌剤も良い効果があり、
本発明が経済的な見地からも、また、抗菌効果も、従来
の物よりはるかに優れていることが確信できた。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】SiO2 30〜80重量％、 B2O3 8〜40重量％、 Ag2O 1〜５重量％、 CuO 1〜30重量％、 Cl、Br及びＩからなる群から選ばれた ハロゲン 0.05〜２重量％及び Na2O 3〜15重量％ から実質的になる抗菌・殺菌用ガラス。
  2. 【請求項２】SiO2 30〜80重量％、 B2O3 8〜40重量％、 Ag2O 1〜５重量％、 CuO 1〜30重量％、 Cl、Br及びＩからなる群から選ばれた ハロゲン 0.05〜２重量％、 Na2O 3〜15重量％、 K2O 0.1〜10重量％、 から実質的になる抗菌・殺菌用ガラス。
  3. 【請求項３】SiO2 30〜80重量％、 B2O3 8〜40重量％、 Ag2O 1〜５重量％、 CuO 1〜30重量％、 Cl、Br及びＩからなる群から選ばれた ハロゲン 0.05〜２重量％、 Na2O 3〜15重量％、 Al2O3 5重量％以下及び／または ZrO2 3重量％以下 から実質的になる抗菌・殺菌用ガラス。
  4. 【請求項４】SiO2 30〜80重量％、 B2O3 8〜40重量％、 Ag2O 1〜５重量％、 CuO 1〜30重量％、 Cl、Br及びＩからなる群から選ばれた ハロゲン 0.05〜２重量％、 Na2O 3〜15重量％、 K2O 0.1〜10重量％、 Al2O3 5重量％以下及び／または ZrO2 3重量％以下 から実質的になる抗菌・殺菌用ガラス。
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