JPH07123697A

JPH07123697A - 渦電流式減速装置

Info

Publication number: JPH07123697A
Application number: JP5284084A
Authority: JP
Inventors: Toru Kuwabara; 徹桑原
Original assignee: Isuzu Motors Ltd
Current assignee: Isuzu Motors Ltd
Priority date: 1993-10-18
Filing date: 1993-10-18
Publication date: 1995-05-12
Anticipated expiration: 2017-05-27
Also published as: JP3285059B2

Abstract

(57)【要約】【目的】可動の磁石支持筒を正逆回動するアクチユエ
ータのストロークを短縮する。【構成】制動ドラム７の内部に非磁性体からなる不動
の案内筒１０を配設する。案内筒１０の外周壁１０ａに
周方向等間隔に設けた多数の開口２５へ強磁性板１５を
結合する。内筒１０の内部に磁性体からなる可動の磁石
支持筒１４と不動の磁石支持筒１４Ａとを並設する。各
磁石支持筒１４，１４Ａに強磁性板１５よりも周方向寸
法が短い磁石２４，２４Ａを、各強磁性板１５に対向す
る極性が周方向に交互に異なるように結合する。アクチ
ユエータ２０により可動の磁石支持筒１４を、制動ドラ
ム７の回転方向に関し、可動の磁石２４の前端縁２４ａ
が強磁性板１５の前端縁１５ａに一致する非制動位置
と、可動の磁石２４の後端縁２４ｂが強磁性板１５の後
端縁１５ｂに一致する制動位置とに駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は永久磁石（以下これを単
に磁石という）を支持する不動の磁石支持筒と可動の磁
石支持筒とを磁石の配列ピツチ分だけ正逆回動するだけ
で、磁石が制動ドラムに磁界を及ぼさない非制動位置
と、磁石が磁界を及ぼす制動位置とに切り換わる形式の
車両用渦電流式減速装置、特に可動の磁石支持筒に与え
る回動量を少くすることによりアクチユエータを縮小化
した渦電流式減速装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】特開平4-12659 号公報に開示されるよう
に、回動切換型の渦電流式減速装置は、装置全体につい
ての制動ドラムの軸方向の寸法を縮小できるという利点
がある反面、可動の磁石支持筒を回動するためのアクチ
ユエータが制動ドラムの径外方へ長く突出し、仮に２本
の流体圧アクチユエータを減速装置の両側に水平に取り
付けるとすると、車両の車枠の内側へ収まらない場合が
あり、アクチユエータの短縮化が要求される。

【０００３】磁石を多極化し、磁石の配列ピツチを小さ
くすれば、アクチユエータのストロークを短縮できる
が、磁石や取付金具の数量が増大し、材料費、製造経費
などが高くなる。また、制動ドラムの内径を小さくし、
軸方向寸法を長くすれば、磁石の数を増さないでも、ア
クチユエータのストロークを短縮できる。しかし、制動
ドラムの内側へ配設される駐車ブレーキのドラムや、変
速機の出力軸と推進軸とを連結する自在継手の取付空間
がなくなるという問題がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述の
問題に鑑み、従来の制動ドラムの内径や磁石の数を変更
しないで、可動の磁石支持筒を正逆回動するアクチユエ
ータのストロークを短縮できるようにした、渦電流式減
速装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の構成は制動ドラムの内部に非磁性体からな
る不動の案内筒を配設し、案内筒の外周壁に周方向等間
隔に設けた多数の開口に強磁性板を結合し、案内筒の内
部に磁性体からなる可動の磁石支持筒と不動の磁石支持
筒とを並設し、各磁石支持筒に強磁性板よりも周方向寸
法が短い磁石を、各強磁性板に対向する極性が周方向に
交互に異なるように結合し、アクチユエータにより可動
の磁石支持筒を、制動ドラムの回転方向に関し、可動の
磁石の前端縁が強磁性板の前端縁に一致する非制動位置
と、可動の磁石の後端縁が強磁性板の後端縁に一致する
制動位置とに駆動するものである。

【０００６】

【作用】本発明では、従来の減速装置に比べて制動ドラ
ムの内径を変更しないで周方向寸法をやや長くし、磁石
の数を変更しないで周方向寸法を強磁性板のそれよりも
やや短く、軸方向寸法を長くして、従来のものと同等の
制動能力を確保する。

【０００７】制動位置と非制動位置での強磁性板に対す
る可動の磁石の相対位置を変更することにより、アクチ
ユエータのストロークを短縮する。すなわち、非制動位
置では制動ドラムの回転方向に関して可動の磁石の前端
縁を強磁性板の前端縁に一致させ、制動位置では可動の
磁石の後端縁を強磁性板の後端縁に一致させる。これに
より、磁石の配列ピツチよりも強磁性板と可動の磁石の
周方向寸法差だけ、アクチユエータのストロークを短縮
できる。

【０００８】

【実施例】図１は本発明による渦電流式減速装置の側面
断面図、図２は同正面断面図である。本発明による渦電
流式減速装置は、例えば車両用変速機の出力回転軸１に
結合される導体からなる制動ドラム７と、制動ドラム７
の内部に配設される非磁性体からなる案内筒１０と、案
内筒１０の断面長方形の内空部に収容した可動の磁石支
持筒１４および不動の磁石支持筒１４Ａとを備えてい
る。制動ドラム７はボス５のフランジ部５ａを、駐車ブ
レーキの制動ドラム３の端壁部と一緒に、回転軸１にス
プライン嵌合固定した取付フランジ２に重ね合され、か
つ複数のボルト４とナツトにより締結される。ボス５か
ら放射状に延びる多数のスポーク６に、冷却フイン８を
備えた制動ドラム７の一端が結合される。

【０００９】断面箱形をなす案内筒１０は例えば断面Ｃ
字形の筒体に、環状板からなる端壁１１を結合して構成
される。案内筒１０は適当な手段により例えば変速機の
歯車箱に固定される。案内筒１０の外周壁１０ａは周方
向等間隔に設けた多数の開口２５に、強磁性板１５を埋
設して結合される。好ましくは、強磁性板１５は案内筒
１０の成形時鋳込まれる。強磁性板１５は長方形の板状
のものであつて、板面は円弧状に湾曲される。厳密に
は、案内筒１０は強度の点からみれば、強磁性板１５を
結合する外周壁１０ａだけを非磁性体とすれば足りる。

【００１０】磁性体からなる可動の磁石支持筒１４は、
案内筒１０の内空部にあつて、軸方向寸法を内空部とほ
ぼ半分とされ、滑り軸受またはコロ軸受１２により正逆
回動可能に内周壁１０ｂに支持される。磁石支持筒１４
から軸方向へ延びる腕１６は、案内筒１０の端壁に設け
た円弧状のスリツト１８ａを経て、アクチユエータ２０
のロツドに連結される。磁石支持筒１４は外周面に各強
磁性板１５の左半部に対向する磁石２４を、強磁性板１
５に対する極性が周方向交互に異なるように結合され
る。

【００１１】磁性体からなる不動の磁石支持筒１４Ａ
も、磁石支持筒１４と同様に磁石１４と同数の磁石２４
Ａを周方向等間隔に結合される。磁石支持筒１４Ａは案
内筒１０の内周壁１０ｂに結合される。しかし、磁石支
持筒１４Ａは案内筒１０の外周壁１０ａに結合されても
よい。

【００１２】案内筒１０の左端壁に、好ましくは２つの
アクチユエータ２０が周方向等間隔に結合される。アク
チユエータ２０はシリンダ１８にピストン１７を嵌装し
てなり、ピストン１７から外部へ突出するロツドは腕１
６と連結される。

【００１３】図３に示すように、本発明では不動の磁石
２４Ａは周方向（矢印ｙ）の寸法を強磁性板１５の寸法
よりも短くし、強磁性板１５に対して周方向中央に配設
する。可動の磁石２４は磁石２４Ａと同寸とし、非制動
位置で制動ドラム７の回転方向（矢印ｙ）に関して磁石
２４の前端縁２４ａを強磁性板１５の前端縁１５ａと一
致させ、図４に示すように、制動位置で磁石２４の後端
縁２４ｂを強磁性板１５の後端縁１５ｂに一致させる。
したがつて、非制動位置から制動位置または制動位置か
ら非制動位置へ磁石を回動するためのアクチユエータの
ストロークｓは、磁石１４，１４Ａの配列ピツチ（回転
角で言えば強磁性板１５の配列ピツチと同じ）ｐよりも
Δｓだけ短くなる。

【００１４】次に、本発明による渦電流式減速装置の作
動について説明する。非制動時、図１，３に示すよう
に、磁石支持筒１４の磁石２４と磁石支持筒１４Ａの磁
石２４Ａとは、共通の強磁性板１５に全面的に対向する
極性が互いに逆になつている。この時、磁石２４，２４
Ａは各強磁性板１５と磁石支持筒１４との間に、短絡的
磁気回路ｗを形成し、制動ドラム７に磁界を及ぼさな
い。

【００１５】制動時、図２，４に示すように、軸方向に
並ぶ磁石２４，２４Ａは各強磁性板１５に対向する極性
が同じになり、強磁性板１５を経て制動ドラム７に磁界
を及ぼす。回転する制動ドラム７が磁界を横切る時、制
動ドラム７に渦電流が流れ、制動ドラム７は制動トルク
を受ける。この時、各磁石２４，２４Ａは制動ドラム７
と磁石支持筒１４との間に磁気回路ｚを形成する。

【００１６】非制動時、磁石２４Ａと磁石２４が周方向
にずれるので、磁気回路は制動ドラム７の中心軸線を含
む面からずれるが、強磁性板１５が両方の磁石２４，２
４Ａに重なるので、制動ドラム７に対する磁気洩れなど
の新たな問題は生じない。制動時の磁気回路については
従来のものと比べて何らの変化も生じない。

【００１７】上述の実施例では、不動の磁石２４Ａを強
磁性板１５の周方向中央部に配設しているが、不動の磁
石２４を強磁性板１５の前端縁１５ａへ寄せても、逆に
後端縁１５ｂへ寄せてもよい。

【００１８】また、非制動位置で可動の磁石２４の前端
縁２４ａが強磁性板１５の前端縁１５ａから前方へ僅か
に（５ｍｍ程度）突き出た状態にし、制動位置で可動の
磁石２４の後端縁２４ｂが強磁性板１５の後端縁１５ｂ
から後方へ僅かに（５ｍｍ程度）突き出た状態にして
も、制動時の制動力や非制動時の磁気洩れについて殆ど
影響がなく、アクチユエータのストロークをさらに短縮
できる。

【００１９】図５に示すように、強磁性板１５について
不動の磁石２４Ａから突出する前後端縁２４ａ，２４ｂ
を切り除いてもよい。すなわち、強磁性板１５の周方向
寸法を、不動の磁石２４Ａへ重なる分については不動の
磁石２４Ａのそれと同寸にし、可動の磁石２４に重なる
分ついては図１に示すものと同寸にする。

【００２０】

【発明の効果】本発明は上述のように、可動の磁石を非
制動位置で強磁性板の前端縁に寄せ、制動位置で後端縁
に寄せることにより、可動の磁石支持筒を正逆回動する
アクチユエータのストロークを、実質的に磁石の配列ピ
ツチよりも短縮でき、装置全体の横寸法（車幅方向の寸
法）の短縮により車両への搭載空間を節減できる。

【００２１】また、アクチユエータの短縮によりアクチ
ユエータの消費空気量を節減し、減速装置の迅速な切換
動作が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る渦電流式減速装置の非制動時の正
面断面図である。

【図２】同減速装置の制動時の側面断面図である。

【図３】同減速装置の非制動時の磁石と強磁性板の関係
を表す平面展開図である。

【図４】同減速装置の制動時の磁石と強磁性板の関係を
表す平面展開図である。

【図５】本発明の変更実施例に係る磁石と強磁性板の関
係を表す平面展開図である。

【符号の説明】

７：制動ドラム１０：案内筒１４，１４Ａ：磁石支
持筒１５：強磁性板１５ａ：前端縁１５ｂ：後端縁２４：可動の磁石
２４Ａ：不動の磁石２４ａ：前端縁２４ｂ：後端縁

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】制動ドラムの内部に非磁性体からなる不動
の案内筒を配設し、案内筒の外周壁に周方向等間隔に設
けた多数の開口に強磁性板を結合し、案内筒の内部に磁
性体からなる可動の磁石支持筒と不動の磁石支持筒とを
並設し、各磁石支持筒に強磁性板よりも周方向寸法が短
い磁石を、各強磁性板に対向する極性が周方向に交互に
異なるように結合し、アクチユエータにより可動の磁石
支持筒を、制動ドラムの回転方向に関し、可動の磁石の
前端縁が強磁性板の前端縁に一致する非制動位置と、可
動の磁石の後端縁が強磁性板の後端縁に一致する制動位
置とに駆動することを特徴とする、渦電流式減速装置。