JPH07103084B2 - 結晶シアノエチルイノシトール、その製造法及び用途 - Google Patents

結晶シアノエチルイノシトール、その製造法及び用途

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JPH07103084B2
JPH07103084B2 JP2023192A JP2023192A JPH07103084B2 JP H07103084 B2 JPH07103084 B2 JP H07103084B2 JP 2023192 A JP2023192 A JP 2023192A JP 2023192 A JP2023192 A JP 2023192A JP H07103084 B2 JPH07103084 B2 JP H07103084B2
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cyanoethyl
myo
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真生子 山浦
昭二 坂本
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Nippon Kasei Chemical Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高純度の結晶1,2,
3,4,5,6−ヘキサ−O−シアノエチル−ミオ(m
yo)−イノシトール、その製造法及び分散型エレクト
ロルミネッセンス(EL)素子の発光層形成用蛍光体ペ
ースト又は絶縁体層形成用高誘電体ペーストのバインダ
ーとしての本物質の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】分散型EL素子は、一般にアルミニウム
箔などの金属箔を背面電極とし、この背面電極上に酸化
チタンやチタン酸バリウム等の無機高誘電体粉末を有機
高誘電体バインダーに分散させた反射絶縁体層を形成
し、さらにその上に硫化亜鉛などの蛍光体粉末を有機高
誘電体バインダーに分散させた発光層を形成し、最後に
ITO(酸化インジウムと酸化スズの混合物)等の透明
電極を対電極として設置した構造を有し、両電極間に交
流電圧を印加することにより蛍光体が発光するものであ
る。尚、背面電極と透明電極の間に発光層のみを挟み込
んだ形態の分散型EL素子も用いられている。
【0003】このようなEL素子に使用される蛍光体層
や絶縁体層用バインダーは高い誘電率をもつことが要求
される。従来EL素子用バインダーとしてはシアノエチ
ル化セルロース、シアノエチル化ポバール、シアノエチ
ル化ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチル化プル
ラン、シアノエチル化スターチなどのシアノエチル化高
分子誘電体が用いられている。しかし、これらのバイン
ダーは誘電率が10〜20ぐらいであり十分な輝度が得られ
ない。
【0004】そのため特許出願公告昭59-15937号公報に
記載されているように、シアノエチル化ソルビトール、
シアノエチル化ジグリセリン、シアノエチル化ペンタエ
リスリトール、シアノエチル化トリメチロールプロパ
ン、シアノエチル化イノシトール、シアノエチル化メチ
ルグルコース類を始めとする20〜60の高誘電率を示す低
分子量のシアノエチル化ポリオールとシアノエチル化高
分子誘電体の混合物をバインダーとして用いることによ
り、誘電率を上げることが提案されている。
【0005】しかし、これらの低分子シアノエチル化物
は、ほとんどが液体状又はワックス状であり、EL素子
製造時に溶剤を乾燥してもべたつきが生じるため、ブロ
ッキング等のトラブルを生じる。低分子シアノエチル化
物の中で、シアノエチル化イノシトールは比較的結晶性
が良いが、これを製造する際にはアクリロニトリルとイ
ノシトールの反応後、得られた反応物をクロロホルム、
酢酸エチル等で抽出し、それを水、1N酢酸(又は1N
塩酸)、水の順に洗浄しクロロホルム等を留去する方法
で精製されている。(特公昭59-15937)。
【0006】しかし、このような精製法では副成する
β,β−オキシジプロピオニトリルを完全に除くことが
できず、生成物はワックス状となりべたつきの原因とな
る。
【0007】また、このようなワックス状のシアノエチ
ルイノシトールを含め一般に低分子シアノエチル化ポリ
オールは誘電率の温度特性が悪く、そのためこれらを用
いたEL素子は温度による輝度変化が大きくなり好まし
くない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、EL素子
のバインダーとしてシアノエチル化ポリオールの要求さ
れる特性としては誘電率が高いだけでなく、液状又はワ
ックス状でなく、素子にしたときにべたつきがないこと
や、誘電率の温度特性が良いことが重要である。誘電率
の温度特性が良ければEL素子の輝度の温度変化が小さ
くなる。EL素子の輝度の温度変化が大であるとEL製
品が気温により輝度の変化を生じる。すなわち低温では
設定輝度より輝度が低くなり、高温では設定輝度以上の
輝度となり、この結果電力のロスを生じ、EL製品の寿
命を短くする。従って特に気温変化の大きい自動車内や
トンネルの照明用に使用するEL素子の場合には温度に
よる輝度の変化の小さいことが要求される。
【0009】本発明者等は温度による誘電率の変化が小
さく、高純度で結晶性のシアノエチル化ポリオールを
得、これをEL素子の蛍光体ペースト又は高誘電体ペー
スト用バインダーとして使用することにより、温度によ
る輝度の変化の小さい、べたつきを生じないEL素子を
製造することを目的として鋭意検討を行った。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この結
果、1,2,3,4,5,6−ヘキサ−O−シアノエチ
ル−ミオ−イノシトールが特定の精製法により容易に高
純度に結晶化させ得、かつこの結晶シアノエチル−ミオ
−イノシトールが温度による誘電率の変化が小さく、本
発明の目的を達成することが出来ることを見出し本発明
に到った。
【0011】すなわち、本発明は水を溶媒とし、アルカ
リ存在下でアクリロニトリルとイノシトールを反応さ
せ、反応物を塩素化炭化水素で抽出後濃縮し、水で折出
させた後低級アルコールで洗浄することを特徴とする結
晶1,2,3,4,5,6−ヘキサ−O−シアノエチル
−ミオ−イノシトール(以下、単にシアノエチル−ミオ
−イノシトールと略称する)の製造法及びこの製造法に
より得られる純度95%以上、融点 110〜123 ℃のシアノ
エチル−ミオ−イノシトールに関するものである。
【0012】又、本発明は上述のシアノエチル−ミオ−
イノシトールを10重量%以上含有する、無機誘電体が分
散した分散型EL素子の絶縁体層形成のための高誘電体
ペースト用バインダーもしくは上述のシアノエチル−ミ
オ−イノシトールを10重量%以上含有する、蛍光体粉末
が分散した分散型EL素子の発光層形成のための蛍光体
ペースト用バインダーに関する。
【0013】本発明のシアノエチル−ミオ−イノシトー
ルは(I)式で示されるミオイノシトールを水を溶媒と
しアルカリの存在下でアクリロニトリルと反応させるこ
とにより製造することができる。
【0014】
【化1】
【0015】例えばミオイノシトールにミオイノシトー
ル分子中の水酸基1個当り0.01〜 0.5モルのアルカリを
10〜50%の水溶液として加えアルカリ水溶液とする。ア
ルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が
好ましく、このアリカリ水溶液を攪拌しつつアクリロニ
トリルをミオイノシトールの1〜5倍モル量、反応温度
30〜60℃で滴下することが好ましい。同温度で1〜6時
間攪拌した後、生成したシアノエチル−ミオ−イノシト
ールを塩素化炭化水素で抽出する。塩素化炭化水素とし
ては好ましくはジクロロメタン、クロロホルム等が単独
又は混合して使用される。この抽出液を通常の方法によ
り濃縮した後、そのままもしくはシアノエチル−ミオ−
イノシトールの5〜10倍量の塩素化炭化水素に再び溶解
後、水中に投入してシアノエチル−ミオ−イノシトール
を折出させる。水量はシアノエチル−ミオ−イノシトー
ルが結晶として折出し得る量以上であればいかなる量で
もよいが、一般に溶剤である塩素化炭化水素の5〜100
倍量が用いられる。溶液を水中に投入、攪拌後静置する
ことにより結晶が折出してくる。静置時間は約3〜12時
間が好ましい。次に上澄みを捨て、メタノール、エタノ
ール等の低級アルコールを好ましくは結晶の10〜100 倍
量加え10〜30分間攪拌しスラリー状とする。このスラリ
ーを吸引濾過することにより得られた結晶を小量の低級
アルコールで洗い、結晶を真空乾燥する。このような精
製法によりシアノエチルミオイノシトールは結晶として
得ることができる。本発明のシアノエチルミオイノシト
ールは純度95%以上、好ましくは99%以上であって、不
純物であるβ,β−オキシジプロピオニトリルが極めて
少なく融点 110〜123 ℃好ましくは融点 122〜123 ℃の
ものである。
【0016】ここに純度はβ,β−オキシジプロピオニ
トリルの量から逆算した値であり、β,β−オキシジプ
ロピオニトリルの量はガスクロマトグラフによって測定
した。
【0017】シアノエチルイノシトールをEL素子のバ
インダーとして用いた例は知られているが(特公昭59-1
5937)精製が充分でなく、得られたシアノエチルイノシ
トールは、かなりのβ,β−オキシジプロピオニトリル
を含み、ワックス状である。これをEL素子のバインダ
ーとして用いると、べたつきが生じ、しかもEL素子の
温度による輝度の変化も大きい。一般に炭素数5〜12の
ポリオールのシアノエチル化物をバインダーとして用い
たEL素子の輝度の温度特性は悪いことが知られており
同じような構造式を有するシアノエチル化ポリオールの
中で本発明の結晶シアノエチル−ミオ−イノシトールの
みが、バインダーとして用いた時EL素子の輝度の温度
特性が良いことは驚くべきことである。
【0018】本発明のシアノエチル−ミオ−イノシトー
ルは他のシアノエチル化高分子誘電体と混合して用いる
ことが好ましい。シアノエチル化高分子誘電体と混合し
て使用される時、シアノエチル−ミオ−イノシトールは
10重量%以上、好ましくは20重量%以上用いられ、シア
ノエチル化高分子誘電体は90重量%以下、好ましくは80
重量%以下使用される。シアノエチル化高分子誘電体は
シアノエチル−ミオ−イノシトールと混合することによ
りEL素子の製造時その流動性を低下させ蛍光体粒子や
チタン酸バリウム等の高誘電体微粒子の分散を安定化さ
せる効果があるので好ましく用いられる。
【0019】シアノエチル化高分子誘電体としては誘電
率10以上(1kHz ,25℃)の常温で固体状のものが好ま
しく例えばシアノエチル化ポバール、シアノエチル化エ
チレンビニルアルコール共重合体、シアノエチル化プル
ラン、シアノエチル化セルロース、シアノエチル化ヒド
ロキシエチルセルロース、シアノエチル化スターチ等が
あげられ、少くともその一種以上が用いられる。
【0020】シアノエチル−ミオ−イノシトール10重量
%以上とシアノエチル化高分子誘電体90重量%以下との
組成物を含むバインダーを用いた分散型EL素子は公知
の方法で作製される。その1例について述べる。
【0021】バインダーを溶媒中へ溶解して5〜50重量
%の溶液を調整し、これにバインダー 100重量部に対し
て、無機高誘電体粉末50〜 900重量部を分散混合し均一
なスラリーとし高誘電体ペーストを得る。これを背面電
極に、例えばスクリーン印刷法、流延法などの一般的な
方法により塗布して溶媒を蒸発乾燥せしめ、反射絶縁体
層を形成する。他方、前記バインダー溶液にバインダー
100重量部に対して、蛍光体50〜 900重量部を分散混合
し均一とし蛍光体ペーストを得る。これを反射絶縁体層
上に上記と同様に塗布して溶媒を蒸発乾燥せしめ、発光
層を形成する。ついで、得られた塗膜と透明電極を蒸着
したガラスまたは透明電極フィルムに各々電極端子を取
り付けた後、塗膜と透明電極の導電性面が接するように
して、これらを一体化し複合構造を有する分散型EL素
子を得る。
【0022】尚、背面電極と透明電極の間に発光層のみ
を挟持してなる分散型EL素子も同様の方法により製造
される。
【0023】すなわち、シアノエチル−ミオ−イノシト
ール10重量%以上とシアノエチル化高分子誘電体90重量
%以下との組成物を含むバインダーを溶媒中に溶解し5
〜50重量%の溶液を調整し、これにバインダー 100重量
部に対し蛍光体50〜 900重量部を分散混合し均一なスラ
リーとし蛍光体ペーストを得る。このスラリーを背面電
極に塗布し溶媒を蒸発乾燥せしめ発光層を形成する。つ
いで得られた塗膜と透明電極を蒸着したガラス又は透明
電極フィルムに各々電極端子を取り付けた後、塗膜を透
明電極の導電性面が接するようにして、これを一体化
し、分散型EL素子を得る。
【0024】ここで用いられる蛍光体としては、硫化亜
鉛、硫化セレンなどの通常EL素子用として用いられる
蛍光体であればいずれでもよい。また、無機高誘電体粉
末は、酸化チタンやチタン酸バリウムなどの通常分散型
EL素子に用いられるものであればいずれでもよい。
【0025】バインダー溶液を調整するのに用いられる
溶媒としては、例えば、N,N′ジメチルホルムアミド
(DMF),N,N′−ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、アセ
トニトリル、シクロヘキサノン等が例示される。
【0026】電極としては、通常EL素子に用いられて
いるものをいずれも用いうるが、背面電極には、例えば
厚さ約50〜 100μmのアルミニウム板、または金属の蒸
着膜が、一方、透明電極としては、例えば厚さ約75〜 1
25μmのポリエステルフィルムの一面にITO膜を配置
して導電性を付与したものが挙げられる。
【0027】
【実施例】以下、実施例に基づき説明する。
【0028】実施例1 攪拌機、冷却器、温度計の付いた 300ml三ツ口フラスコ
にミオ−イノシトール20g、水10g、30%NaOH 1.6
gを仕込み攪拌した。ここにアクリロニトリル96gを加
え4時間、50℃で反応させた。反応液を室温にもどしジ
クロロメタン 100mlで3回抽出し、抽出液を濃縮し、再
びジクロロメタン 100mlに溶解し、水1l 中に投入して
5分間攪拌した。一晩静置するとシアノエチル−ミオ−
イノシトールの結晶が折出するので、上澄みを捨て、メ
タノール2l を加えて10分間攪拌しスラリー状にする。
吸引濾過して得られた結晶を少量のメタノールで洗い、
結晶を真空乾燥する。収量49g(収率89%)。純度はほ
ぼ 100%であり、β,β−オキシジプロピオニトリルは
検出できなかった。
【0029】このシアノエチル−ミオ−イノシトールの
理化学的性質を以下に示す。
【0030】融点 123℃ 赤外線吸収スペクトル(λcm-1) 2972,2921,2887,2251,1481,1414,1330,1103 NMRスペクトルデータ(CDC13 δppm ) 2.80(m.12H) 3.2-3.7(m.6H) 3.7-4.3(m.12H) 元素分析(%) C24306 6 計算値;C57.8,H6.0 ,O19.3,N16.9 分析値;C57.81 ,H6.01,O19.29 ,N16.89実施例2 実施例1と同様にして得られた粗シアノエチルイノシト
ールを含む反応液をジクロロメタンで3回抽出し、抽出
液を濃縮後ジクロロメタン 100mlに溶解し水 800ml中に
投入、5分間攪拌した。その他は実施例1と同様に処理
した。このようにして得られた結晶シアノエチルイノシ
トールの融点は 123℃、純度は99%であった。
【0031】実施例3 実施例1と同様にして得られた粗シアノエチルイノシト
ールを含む反応液をジクロロメタンで3回抽出し、濃縮
後ジクロロメタン 100mlに溶解し水 500ml中で5分間攪
拌した。その他は実施例1と同様に処理した。このよう
にして得られた結晶シアノエチルイノシトールの融点は
110〜120 ℃、純度は95%であった。
【0032】比較例1 攪拌機、冷却器、温度計の付いた 300ml三ツ口フラスコ
にミオ−イノシトール20g、水10g、30%NaOH 1.6
gを仕込み、アクリロニトリル96gを加え50℃で4時間
反応させた。反応液を室温にもどしクロロホルム 100g
で抽出し、1N酢酸、水の順に洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、溶媒を減圧下に留去し、 100℃、0.5mmHg
で5時間乾燥した。得られたシアノエチル化物はワック
ス状で、副生成物としてβ,β−オキシジプロピオニト
リルを約20%含んでいた。
【0033】実施例4 実施例1のシアノエチル−ミオ−イノシトール30gとシ
アノエチル化プルラン(シアノエチル化率85%)30gと
の混合物をDMFに溶解し30%のバインダー溶液を調整
した。この溶液 100gに無機高誘電体としてのチタン酸
バリウム(富士チタン社製BT-100M )の粉末139.2 gを
混練分散させ均一スラリーとして高誘電体ペーストを作
製しアルミニウム板に塗布して乾燥膜厚30μmの反射絶
縁体層を形成した。
【0034】一方、上記バインダー溶液 100gに蛍光体
として硫化亜鉛(GTEプロダクツ社製シルバニア723
)の粉末98.4gを混練分散させ均一スラリーとして蛍
光体ペーストを作製し反射絶縁体層上に塗布して乾燥膜
厚55μmの発光層を形成した。
【0035】以上の一連の工程によって作製された積層
物は、10cm×10cmの大きさに裁断され、リード端子を取
付けた後、乾燥させた。
【0036】一方、ポリエチレンテレフタレートの片面
にITO膜を形成した透明導電性フィルムを同じく10cm
×10cmの大きさに切り、リード端子を取り付けた後に前
述の積層物の発光層と透明導電フィルムのITO面とを
加熱、ラミネートした。その後、背面電極の表面及び前
面電極の表面に対し、それぞれナイロンフィルムが積層
され、更にポリ三フッ化塩化エチレンフィルムで全周が
囲まれ、封止された。
【0037】得られたEL素子の両電極間に100V-400Hz
の交流電場を印加した時の輝度は25℃で 110cd/m2 であ
った。また、このEL素子の誘電率(25℃,1KHz)の温
度変化を第1表に示す。
【0038】
【表1】
【0039】実施例5 シアノエチル化プルランの代わりにシアノエチル化ポバ
ール(シアノエチル化率75%)を用いた以外は実施例4
と同様にしてEL素子を作製した。
【0040】実施例6 シアノエチル化プルランの代わりにシアノエチル化ヒド
ロキシエチルセルロースを用いた以外は実施例4と同様
にしてEL素子を作製した。実施例5,6のEL素子の
両電極間に100V-400Hzの交流電場を印加した時の輝度は
夫々 100,101cd/m2 であった。
【0041】比較例2 実施例1のシアノエチル−ミオ−イノシトールの代わり
にシアノエチル化ソルビトール(シアノエチル化率95
%)を用いた以外は実施例2と同様にしてEL素子を試
作した。
【0042】比較例3 実施例1の結晶シアノエチル−ミオ−イノシトールの代
わりに比較例1のワックス状シアノエチル−ミオ−イノ
シトールを用いた以外は実施例2と同様にしてEL素子
を試作した。EL素子はややべたつき、素子を重ねると
ブロッキング現象を生じた。
【0043】実施例7 実施例4、比較例2、3で得られたEL素子を−40℃、
−20℃、0℃、20℃、40℃、60℃、80℃及び 100℃の各
温度に30分間保持し、その温度において100V〜400Hz の
交流電場を印加した時の輝度を測定した。各温度と輝度
の関係を図1に示す。図1において1は実施例4のEL
素子、2は比較例2、3は比較例3のEL素子の輝度−
温度関係を示す。この結果から本発明の結晶シアノエチ
ル−ミオ−イノシトールをバインダーとして用いたEL
素子の輝度の温度による変化がワックス状のシアノエチ
ル−ミオ−イノシトールやシアノエチル化ソルビトール
を用いた素子に比し小さいことが判る。尚、実施例5、
6で得られたEL素子の温度特性も実施例4の温度特性
に類似し、輝度の温度変化は小さかった。
【0044】
【発明の効果】本発明のシアノエチル−ミオ−イノシト
ールは特定の精製法で精製しているため、高純度で結晶
状のものが得られる。この結晶シアノエチル−ミオ−イ
ノシトールをEL素子の蛍光体層及び絶縁体層形成用の
ペーストのバインダーとして使用した場合、得られたE
L素子は従来のワックス状のシアノエチル−ミオ−イノ
シトールや他のシアノエチル化ポリオールを使用した場
合に比しべとつきがなくブロッキングを生ぜず、また輝
度の温度変化が小さい。このため温度変化の大きい自動
車やトンネル内で使用するEL素子のバインダーとして
利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はEL素子の温度による輝度の変化を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 実施例4のEL素子の輝度〜温度グラフ 2 比較例2のEL素子の輝度〜温度グラフ 3 比較例3のEL素子の輝度〜温度グラフ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純度95%以上、融点 110〜123 ℃の結晶
    1,2,3,4,5,6−ヘキサ−O−シアノエチル−
    ミオ−イノシトール。
  2. 【請求項2】 水を溶媒とし、アルカリ存在下でアクリ
    ロニトリルとミオ−イノシトールを反応させ、反応物を
    塩素化炭化水素で抽出後濃縮し、水で折出させた後低級
    アルコールで洗浄することを特徴とする結晶1,2,
    3,4,5,6−ヘキサ−O−シアノエチル−ミオ−イ
    ノシトールの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の結晶1,2,3,4,
    5,6−ヘキサ−O−シアノエチル−ミオ−イノシトー
    ルを10重量%以上含有する、無機誘電体が分散した分散
    型エレクトロルミネッセンス素子の絶縁体層形成のため
    の高誘電体ペースト用バインダー。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の結晶1,2,3,4,
    5,6−ヘキサ−O−シアノエチル−ミオ−イノシトー
    ルを10重量%以上含有する、蛍光体粉末が分散した分散
    型エレクトロルミネッセンス素子の発光層形成のための
    蛍光体ペースト用バインダー。
JP2023192A 1992-02-05 1992-02-05 結晶シアノエチルイノシトール、その製造法及び用途 Expired - Lifetime JPH07103084B2 (ja)

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JP2023192A Expired - Lifetime JPH07103084B2 (ja) 1992-02-05 1992-02-05 結晶シアノエチルイノシトール、その製造法及び用途

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JP (1) JPH07103084B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8915234B2 (en) 2010-10-25 2014-12-23 Briggs & Stratton Corporation Fuel cap

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JPH05213850A (ja) 1993-08-24

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