JPH0686756U

JPH0686756U - ガット

Info

Publication number: JPH0686756U
Application number: JP3325493U
Authority: JP
Inventors: 益之谷
Original assignee: 東亜ストリング株式会社
Priority date: 1993-05-26
Filing date: 1993-05-26
Publication date: 1994-12-20

Abstract

(57)【要約】【目的】テニスやバドミントンなどのラケットに用い
るガットの打球時における反発性を向上させる。【構成】芯糸１の外周に直接または側巻糸３とともに
紡績糸２あるいは卷縮加工糸４を撚糸し、これらを樹脂
固着５して外層に樹脂コーティング層６を形成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は硬式テニス、軟式テニス、バドミントン、スカッシュなどのラケットに用いられる合成繊維製ガットに係り、特に打球時の反発弾性に優れたガットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、ラケット用ガットとしては、古くから牛や羊の腸、鯨筋などの動物繊維の撚糸からなる天然ガットが用いられていた。この動物繊維の撚糸からなる天然ガットは優れた反発性を有し、弛みが少なくて快い打球音を発することから現在でも極く一部使用されている。しかし、天然ガットは耐水性に劣るため使用寿命が短いことと、非常に高価であるという欠点があった。

【０００３】このため、近年ポリアミド、ポリエステルなどの合成繊維を素材としたガットが数多く提案されている。例えば、ポリアミド繊維のモノフィラメントよりなる芯糸の外周面に、該芯糸を包囲するように芯糸よりも小径の多数のモノフィラメントよりなる芯巻糸を接着剤にて接着して巻回層とし、この巻回層の外周面をポリアミド樹脂や、熱可塑性ウレタンエラストマーなどで被覆したものや、芯糸の外周面に該芯糸を包囲するように設けた芯糸よりも小径の多数のモノフィラメントよりなる芯巻糸と、その上面に形成した被覆層との間、即ち芯巻糸の外側位置にモノフィラメントの側巻糸を有するものなどがある。

【０００４】しかしながら、上記のようなガットを用いた場合、打撃力によりガットが多少伸長して球の衝撃を幾らか吸収することができるが、ガットを所定の張力をかけて張る必要があるので、衝撃を吸収するのに一定の限度がある。また上記従来のガットにおいては、芯巻糸や側巻糸としてポリアミド繊維のモノフィラメントやマルチフィラメントが用いられているので、高強度は有するものの、反発性、柔軟性、耐摩耗性等に欠けるという問題があった。

【０００５】上記の問題点を解消するために、引っ張り強力、耐摩耗性のよい芳香族ポリアミド繊維をナイロンやポリエステルあるいは金属細線を素材とする芯糸の外周に被覆編組したり、この芳香族ポリアミド繊維をナイロン繊維などと撚糸したガットが提案されている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、そのような構成のガットでは、引っ張り強力や耐摩耗性にはすぐれていても衝撃による耐久性や反発性に劣るという問題がある。特に、金属細線を芯糸とし、その外周に芳香族ポリアミド繊維を被覆編組したものは両者の接着性に欠けるため、使用時に損傷がみられ、耐久性に問題がある。

【０００７】この考案は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、高強度で反発性、耐摩耗性があり、かつ衝撃による耐久性にすぐれたガットを得るものであり、特に打球時における反発力の大きいガットを提供することを目的とするものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

即ち、この考案のガットは芯糸の外周に紡績糸、卷縮加工糸などを単独でまたは併用して、あるいは長繊維側巻糸とともに巻きつけ、これらと芯糸とを樹脂接着剤にて固着し、最外層に樹脂被覆層を形成したものである。

【０００９】

【作用】

この考案になるガットは芯糸の外周に紡績糸または／および卷縮加工糸を巻きつけたことによって、これらの糸が絡み合ってクッションの役を果たし、打球時にすぐれた反発弾性を示すのである。

【００１０】この考案において、芯糸としてはナイロン６、ナイロン６６、あるいはナイロン６とナイロン６６との共重合体などのナイロン繊維やポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維が夫々単独のモノフィラメントあるいはマルチフィラメントとして用いられるが、なかでもナイロン繊維が最も望ましい。

【００１１】側巻糸としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維など芯糸と同じ素材が用いられるが、これらは夫々単独のモノフィラメントあるいはマルチフィラメントとして、あるいはこれらの撚糸として用いてもよい。

【００１２】また、紡績糸としては、綿、毛、レーヨンスフ、およびキュプラスフなどが撚糸して用いられ、卷縮加工糸としては、レーヨンおよびキュプラなどのほかナイロンやポリエステル繊維などを加撚・解撚法、押し込み法、仮撚法などにて加工したものを撚糸して用いられる。そして、これらの紡績糸あるいは卷縮加工糸は、（１）芯糸の外周に編組する、（２）芯糸の外周に側巻糸と交互に編組する、（３）芯糸の外周に編組した側巻糸の外側に編組する、などにより用いられ、紡績糸および卷縮加工糸の撚糸はこれを併用することもできる。

【００１３】このようにして芯糸の外周に編組した側巻糸、紡績糸および卷縮加工糸と芯糸とは、樹脂接着剤にて固着されるが、接着剤としてはフェノール系、ナイロン系、ウレタン系、アクリル系が適当である。かくして得られる紐体の外周には樹脂被覆層が形成されるが、これはガットの張設時および打球時の繊維の疲労を防止し、耐久性、耐摩耗性を向上させるためであり、樹脂としてはナイロン系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系が適当である。

【００１４】

【実施例】

以下、この考案の実施例を図に基づいて詳細に説明する。実施例１図１はこの考案の一実施例を示すガットの断面図であって、１は３０００デニールのナイロン６モノフィラメントよりなる芯糸であり、この芯糸１の外周に１１本の３０番手の木綿糸２ａよりなる紡績糸２が巻回されている。５は芯糸１と紡績糸２とをフェノール樹脂接着剤を用いて固着した固着層である。そして、固着した紐体の外層にナイロン樹脂のコーティング層６を形成してガットを得た。

【００１５】実施例２実施例１と同じ３０００デニールのナイロン６モノフィラメントを芯糸１として用い、その外周に６本の２１０デニールのナイロン６モノフィラメント３ａからなる側巻糸３と、５本の３０番手の木綿糸２ａよりなる紡績糸２とを交互に巻きつけ、その際、フェノール樹脂接着剤を用いて芯糸１と紡績糸２および側巻糸３との固着５を行った。かくして得た紐体の外層にナイロン樹脂のコーティング層６を形成して図２に示す構造のガットを得た。

【００１６】実施例３３０００デニールのナイロン６モノフィラメントを芯糸１として用い、その外周に２１５デニールの１２本のポリエチレン繊維モノフィラメント３ｂからなる側巻糸３を配し、さらにその上に１９本の３０番手の木綿糸２ａよりなる紡績糸２を編組し、これらをナイロン系接着剤にて接着固定５し、その外層にウレタン樹脂のコーティング層６を形成して図３に示す構造のガットを得た。

【００１７】実施例４３０００デニールのポリエチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントを芯糸１ａとし、その外周にキュプラの卷縮加工糸４ａを１１本巻回し、この芯糸１と卷縮加工糸４ａをフェノール系樹脂接着剤にて接着固定５し、その上からナイロン樹脂によるコーティング層６を形成して図４の構造のガットを得た。

【００１８】実施例５３０００デニールのナイロン６モノフィラメントを芯糸１として用い、その外周に６本の２１０デニールのナイロン６モノフィラメント３ａからなる側巻糸３と、５本の３０番手の木綿糸よりなる卷縮加工糸４ｂを交互に巻きつけ、その際、フェノール樹脂接着剤を用いて芯糸１と側巻糸３および卷縮加工糸４ｂとの固着５を行った。かくして得た紐体の外層にナイロン樹脂のコーティング層６を形成して図５に示す構造のガットを得た。

【００１９】実施例６３０００デニールのポリエチレンテレフタレート繊維のモノフィラメントを芯糸１ａとし、その外周に２１５デニールの１２本のポリエチレン繊維モノフィラメント３ｂからなる側巻糸３を配し、さらにその上に１９本の２１０デニールのナイロン６モノフィラメントの卷縮加工糸４ｃを編組し、これらをナイロン接着剤で固着５してから外層にナイロン樹脂のコーティング層６を形成して図６に示す構造のガットを得た。

【００２０】上記の実施例で得られたガットは何れも高強度を有し、これをテニス用ラケットに張設して使用したところ、従来のガットと比べて特にすぐれた反発性を有し、このほか使用回数を重ねても耐弛緩性、耐久性にもすぐれていた。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように、この考案のガットは、芯糸の外周に紡績糸や卷縮加工糸を単独で、あるいは側巻糸とともに用いたことによって、これら紡績糸や卷縮加工糸がガットにふっくらとした伸縮性を与え、打球時にこれがクッションとなって優れた反発性を発揮するのである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のガットの一実施例を示す模式断面図
である。

【図２】この考案のガットの他の実施例を示す模式断面
図である。

【図３】この考案のガットの他の実施例を示す模式断面
図である。

【図４】この考案のガットの他の実施例を示す模式断面
図である。

【図５】この考案のガットの他の実施例を示す模式断面
図である。

【図６】この考案のガットの他の実施例を示す模式断面
図である。

【符号の説明】

１芯糸２紡績糸３側巻糸４卷縮加工糸５樹脂固着層６樹脂コーティング層

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】芯糸とその外周に巻回した複数本の紡績
糸とを樹脂固着し、外層に樹脂被覆層を形成してなるガ
ット。
【請求項２】芯糸とその外周に交互に巻回した複数本
の長繊維側巻糸と紡績糸とを樹脂固着し、外層に樹脂被
覆層を形成してなるガット。
【請求項３】芯糸とその外周に巻回した複数本の長繊
維側巻糸と、さらにこの側巻糸の外周に巻回した複数本
の紡績糸とを樹脂固着し、外層に樹脂被覆層を形成して
なるガット。
【請求項４】芯糸とその外周に巻回した複数本の卷縮
加工糸とを樹脂固着し、外層に樹脂被覆層を形成してな
るガット。
【請求項５】芯糸とその外周に交互に巻回した複数本
の長繊維側巻糸と卷縮加工糸とを樹脂固着し、外層に樹
脂被覆層を形成してなるガット。
【請求項６】芯糸とその外周に巻回した複数本の長繊
維側巻糸と、さらにこの側巻糸の外周に巻回した複数本
の卷縮加工糸とを樹脂固着し、外層に樹脂被覆層を形成
してなるガット。