JPH0671198A - ロータリ排出型遠心分離機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転胴を短くしてより高速回転を可能にして
大きい遠心力でスラッジ分を分離できるとともに、ペー
スト質の柔軟な固形物成分でも効率よく排出する高性能
かつ機械的強度も優れている長寿命かつ省電力の経済的
なロータリ排出型遠心分離機を提供する。 【構成】 円筒の一端から他端近くにわたる長い分離部
１ａとこれに連続する残部の短い掻揚部１ｂよりなる回
転胴１と、同回転胴１に同軸的に軸支されたスクリュー
コンベアー軸７と、同スクリューコンベアー軸７の上記
掻揚部に、央部がそれぞれ軸直角平面上で対称的に支持
された菱型パンタグラフリンク３０の４頂点にそれぞれ
付設されて上記回転胴のガイド面４に微小すきまを存し
て先端縁が平行的に移動してスラッジを掻揚げるスクレ
ーパー板３３を有するパンタグラフリンク型スクレーパ
ーとを具えたロータリ排出型遠心分離機。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、固形分を含む原液を遠
心分離して、分離液とスラッジを連続排出するロータリ
排出型遠心分離機に関する。

【０００２】

【従来の技術】固形分を比較的多く含む原液の固液分離
用の遠心分離機としては固形分の掻揚部が截頭円錐形で
あるスクリューコンベアーを装着したデカンター型遠心
分離機が広く使用されている。デカンター型遠心分離機
では、比重差に基づいて回転胴内で、内層部に移動分離
した分離液は回転胴の大径端から外部に取出され、また
外層部に移動分離したスラッジは回転胴の截頭円錐部の
小径端から外部に取出される。しかしながら、この種の
分離機をバイオリアクターからの反応液の固液分離、果
実ジュースの懸濁物の分離、ファインケミカル分野のコ
ロイド状微粒子の分離等ペースト質の柔軟な固形物処理
に使用する場合には、下記のような問題がある。

【０００３】すなわち、デカンダー型遠心分離機の円錐
部のビーチゾーンでは、スラッジは遠心力ベクトルのビ
ーチ部の傾斜面に沿う成分すなわち滑落力ベクトルに抗
して小径端方向に移動するので、回転胴を短縮化するた
めに傾斜部の勾配を大きくすると、それに比例して滑落
力も大きくなってしまう。滑落力を小さくするために傾
斜部の勾配を小さくすると、回転胴の胴長は長くなり高
速回転が困難になるとともに、コストアップを招くこと
になる。また、スラッジ中の固形分がせん断変形しにく
い性状のものであれば、スクリューコンベアーの掻揚力
は有効に作用し円錐部のビーチゾーンで効率よく固形分
の掻揚げができるが、固形物が前記のようにバイオケミ
カルの生成物などのように、ペースト質の柔軟なもので
は、回転胴とスクリューコンベアーとの間のすきまから
漏洩したり、らせんブレードに沿って滑落し、掻揚力が
効果的に作用せず、効率よく掻揚げができない。

【０００４】そこで、本出願人は、さきに、図６及び図
７に示すように特開平４−５９０６５号として、回転胴
の傾斜部をなくして、回転胴全体を円筒状とするととも
に、スクリューコンベアーも円錐らせんブレード部をな
くして全体を円筒状らせんブレード部とし、回転胴のス
ラッジ排出側の部分を掻揚部として、ここにスクリュー
コンベアーの軸端部に放射状に突設されたスクレーパー
で回転胴内周面を円周方向に掻揚げるようにしたロータ
リ排出型遠心分離機を提案した。

【０００５】すなわち図６において、１は水平円筒状の
回転胴で、その前後端はそれぞれ中心に中空ジャーナル
が突出する前部端板２、後部端板３で閉塞され、回転胴
１はその前部端板２から後部端板３の近くまで延びる分
離部１ａと、残りの部分である若干大径の掻揚部１ｂと
よりなる。掻揚部１ｂを形成する部分の回転胴の内面に
は、図７に示すように、央部がくびれたいわゆるまゆ型
断面のガイド面４を形成するガイド部材５が嵌着され、
そのくびれ部には回転胴を貫通する直径方向のスラッジ
排出孔６が貫設されている。７はスクリューコンベアー
軸で、その前後端ジャーナル及び前部端板２、後部端板
３の軸受を介して回転胴１に同軸的に軸支され、その分
離部１ａにわたる中空軸部８の外周にはらせんブレード
９が巻回的に突設され、その先端縁は分離部１ａの回転
胴内面に対し小さいすきまをもって対向し、その掻揚部
１ｂにわたる部分には外向半径方向に摺動自在にピスト
ンロッドに支持された１対の長方形スクレーパー１０が
ほぼ直径方向に対称的に配設され、その外端縁がガイド
部材５のまゆ型ガイド面４に摺接するようになってい
る。

【０００６】１２はスクリューコンベアー軸７に分離部
１ａと掻揚部１ｂとの境界位置で固定され外周が狭いす
きまを存して回転胴内面に対向する円環板状仕切板、１
５は回転胴１を包囲するケーシング、１６は回転胴１の
前部端板２、後部端板３の中空ジャーナルをそれぞれケ
ーシング１５の前後端に軸支する前後１対の主軸受、１
７はスクリューコンベアー軸７の中空軸部８に内挿され
た原液供給管、１８，１９はそれぞれケーシング１５の
前端、後端に下方へ突設された分離液排出口、濃縮液排
出口、２０，２１はそれぞれモータ，減速機である。

【０００７】このような構造において、原液供給管１７
を経て回転胴１に供給された原液Ｆは、まず分離部１ａ
において、公知の要領で遠心分離され、液成分Ｌは分離
液として分離液排出口１８から排出される。液成分の分
離に伴い濃縮された固形成分Ｓはスクリューコンベアー
軸７のらせんブレード９により掻揚部１ｂに向かって徐
々に移動しながら濃縮され、仕切板１２と回転胴１との
すきまから掻揚部１ｂに入り、ここで濃縮液中の固形分
Ｓはまゆ型ガイド面４に沿って摺接するスクレーパー１
０によりビーチゾーンＺを越えて掻揚げられスラッジ排
出孔６を経てケーシングのスラッジ排出口６から排出さ
れる。

【０００８】このような構造によれば、固形物の性状が
ペースト質の柔軟性のものであっても、スラッジを安定
して排出できるのであるが、その後の検討により、前記
ピストンロッド構造のアームに支持されるスクレーパー
では、ピストンロッドに摺動部があること、さらにはス
クレーパーがガイド面と摺接するためピストンロッドに
曲げモーメントがかかること等のために、スクレーパー
の摩耗及び摩擦損失動力が大きくなり、スクレーパーの
長期間の円滑なスラッジ掻揚作用が困難となることが判
明した。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情に鑑みて提案されたもので、回転胴を短くしてより高
速回転を可能にして高い遠心力でスラッジを分離できる
とともに、ペースト質の柔軟なスラッジ成分でも長期間
にわたって効率よく排出する高性能かつ長寿命の経済的
なロータリ排出型遠心分離機を提供することを目的とす
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】そのために本発明は、円
筒の一端から他端近くにわたる長い分離部と、残部の短
い掻揚部よりなり両端がそれぞれ中心孔を有する端板に
て閉塞され中心軸線の周りに回転する回転胴と、同回転
胴を同軸的に貫通し上記分離部にわたる部分の中空軸部
の外周にらせん状に巻着され外端縁が上記回転胴の内面
に対向するらせんブレードを有し若干の差速をもって回
転するスクリューコンベアー軸とを具え、上記スクリュ
ーコンベアー軸の中空軸部を経て原液を上記回転胴の分
離部に供給し、上記分離部の一端側から分離液を取出す
とともに、上記掻揚部から遠心力で外向半径方向に付勢
されるスクレーパーでスラッジをその排出孔を経て取出
すようにした遠心分離機において、上記スクリューコン
ベアー軸の上記掻揚部に同軸的に付設され４本の等長リ
ンクを閉折線状に枢着連結し、各頂点にそれぞれ長方形
スクレーパー板を外方へ突出してなる菱形パンタグラフ
リンク型スクレーパーと、上記回転胴の端板に同軸的に
付設され上記パンタグラフリンク型スクレーパーの回転
時の直径方向の対称的伸縮を規制して上記各スクレーパ
ー板の先端縁に上記回転胴の内面に形成されたガイド面
に微小すきまを存して平行する閉曲線を画かす駆動制御
手段とを具えたことを特徴とする。

【００１１】

【作用】このような構成によれば、液分は高速回転する
回転胴で遠心力の作用によりスクリューコンベアー型遠
心分離機と同一要領で分離され、スラッジは液分の分離
に伴い濃縮されるとともにスクリューコンベアー軸によ
り掻揚部に向かって移動することにより、濃縮が進行し
ながら回転胴中を分離部から掻揚部へ移動する。掻揚部
では、回転胴に対して相対的に比較的低速度で回転する
スクリュコンベアー軸に付設されたスクレーバーが掻揚
部のビーチーゾーンを有するまゆ型ガイド面に沿って微
小すきまを存して非接触的に移動することで、スラッジ
特にその含有固形物はビーチを越えて掻揚げられ、掻揚
部の半径方向の排出孔を経て外部に排出される。ここ
で、スクレーパーは、構造簡単なリンク構造であり、摩
耗することなく強固で長期的にわたって円滑軽快な掻揚
作業に耐えることができる。特にスクレーパーは掻揚部
のガイド面に接触しないで回動するので、スクレーパー
の損耗はほとんどなくなり、スクレーパーの回動は、リ
ンクの連結ピンを駆動ヨークが挟持して駆動するので、
一定速度で回動する。分離部と掻揚部との境界に仕切板
が設けられた場合は、仕切板は濃縮物を優先的に掻揚部
へ導入するとともに、スクレーパーと協働して濃縮物を
効果的に掻揚げることで、柔軟性固形物でも効率的に分
離することができる。

【００１２】

【実施例】本発明の実施例を図面について説明すると、
図１は本発明の実施例を示す縦断面図、図２は図１の掻
揚部の横断面図、図３は図２の縦断面図、図４は図２に
おいてスクレーパーの回動状態を示す横断面図、図５は
図４の縦断面図、図６は本出願人が特開平４−５９０６
５号で提案した遠心分離機の縦断面図、図７は図６の V
II−VII 矢視図である。

【００１３】本発明が図６〜図７に示した特開平４−５
９０６５号で提案した構造と大きく相違するところは、
要約すると、上下左右の４枚のスクレーパー板を伸縮自
在の二重菱型パンタグラフリンク機構の各先端でそれぞ
れ支持するとともに、パンタグラフリンク機構の伸縮を
所要の対称的閉曲線を有するカムプレートで規制するこ
とで、各スクレーパー板の先端が、常に、微小すきまを
存して掻揚部内面のまゆ型ガイド面に沿って摺接するこ
となく移動するようにしたことにある。

【００１４】上図において、図６〜図７と同一の符号は
それぞれ同図と同一の部材を示し、掻揚部以外の構造は
同図と実質的に同一であるので、以下、主として掻揚部
について述べる。まず、図１〜図５において、３０はそ
れぞれ等長の４本のリンクよりなる前部パンタグラフ３
０Ｆ及び後部パンタグラフ３０Ａよりなる二重菱型パン
タグラフ、３１Ｆは前部パンタグラフ３０Ｆの左右リン
クのそれぞれ中点をそれぞれピンで枢支するとともに、
スクリューコンベアー軸に中心孔が回転自在に支持され
る前部サポートアーム、３１Ａは後部パンタグラフ３０
Ａの左右リンクのそれぞれ中点をそれぞれピンで枢支す
るとともにスクリューコンベアー軸に中心孔が回転自在
に支持される後部サポートアーム、３２は両パンタグラ
フ３０Ｆ，３０Ａの各リンクの各頂点を相互に枢着する
とともに、後記するスクレーパー板３３を支持する４本
のスクレーパー支持軸で各スクレーパー支持軸３２の後
端にはそれぞれローラー３４が枢着されている。３３は
長方形のスクレーパー板で、それぞれ１対の突出ガジェ
ットで各スクレーパー支持軸３２に固着されその面はそ
れぞれ各パンタグラフ３０Ａ，３０Ｆのリンクａ，ｂ，
ｃ，ｄに対し、それぞれ取付角θの方向に固着されてい
る。

【００１５】３５は回転胴１の 後部端板の内面に同心
的に固着された長円形の閉曲線を有するカムプレート
で、これにスクレーパー板支持軸３２の後端のローラー
３４が当接している。３６は直径方向の両端に内向半径
方向のガイド溝３７を有し、中心孔がそれぞれスクリュ
ーコンベアー軸７の中径部の前後端部に固着された前部
駆動ヨーク３６Ｆ，後部駆動ヨーク３６Ａであり、各ガ
イド溝３７にスクレーパー板支持軸３２の両端部が回動
自在に嵌合している。

【００１６】このような構造において、スクリューコン
ベアー軸７と回転胴１との相対的回動に伴い、スクリュ
ーコンベアー軸７に固着されている駆動ヨーク３６によ
り二重菱型パンタグラフ３０が回動し、その際、パンタ
グラフの各頂点のスクレーパー板３３の外端はサポート
アーム３１の両端ピンの位置とスクレーパー板支持軸３
２のカムプレート３５に対する相対位置とにより定ま
る。例えば、トラック型長円形のプロフィルを有するカ
ムプレート３５の場合は、図４に示すように、駆動ヨー
ク３６は１２時−６時方向にあるがスクリューコンベア
ー軸が反時計方向に回動して、図４に示すように、スク
レ−パ−板３３も反時計方向に回動し、更にスクリュー
コンベアー軸が回動すると、図２に示すように、パンタ
グラフは正立正方形の姿勢となり、その際に、各スクレ
ーパー板の外端は中間部が若干膨らんだ異形まゆ型の軌
跡を画く。カムプレートのプロフィルとスクレーパー板
外端の軌跡との関係は一方を定めれば、それに応じて他
方が決まる関係にある。したがって、スクレーパー板に
所望の軌跡を画かせるように、カムプレートのプロフィ
ルを選定することにより、スクレーパー板の外端を掻出
部のガイド面４に沿って１．０ｍｍ前後の微小すきまを
保って接触することなく移動することができる。本実施
例においては、スクレ−パ−の軌跡は、カムプレ−トに
よって制御しているが、本発明はこれに限られるもので
はなく、例えばレ−ル等の他の制御手段であってもよ
い。

【００１７】

【発明の効果】以上説明した構成と作用を有するロータ
リ排出型遠心分離機によれば、下記の効果が奏せられる
ので本発明は産業上極めて有益なものである。 （１）回転胴は傾斜部を有しない円筒胴となるので、そ
の全長を短縮化するとともに軽量で製作が容易となるこ
とで、製作コストが低減するとともに回転数を更に増加
して遠心効果を高めることができる。 （２）スラッジの排出は連続的に安定化するので、かな
りの高濃度液でも処理できる。 （３）スラッジの排出制御は回転胴とスクリューコンベ
アー軸との差速調節により容易に行うことができる。 （４）固形物の性状がペースト質の柔軟性であっても、
スクレーパー作用によりスラッジを安定して排出でき
る。 （５）スクレーパーはサポートアームによって支持され
る４本のリンクバーからなる菱型パンタグラフリンク機
構によって支持されるので、強度的に強く、しかもガイ
ド面に対して非接触的に移動するので摩耗及び摩擦損失
動力は著減し、長期間にわたる円滑軽快な高効率の遠心
分離を行うことができる。 （６）カムプレートとガイド部材を交換することによ
り、処理するスラッジの性状に適したビーチゾーン（形
状）にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す縦断面図である。

【図２】図１の掻揚部の横断面図である。

【図３】図２の縦断面図である。

【図４】図２においてスクレーパーの回動状態を示す横
断面図である。

【図５】図４の縦断面図である。

【図６】本出願人が特開平４−５９０６５９号で提案し
た遠心分離機を示す縦断面図である。

【図７】図６の VII−VII 矢視図である。

【符号の説明】

１ 回転胴、１ａ 分離部、１ｂ 掻揚部、２ 前部端
板、３ 後部端板、４ガイド面、５ ガイド部材、６
スラッジ排出孔、７ スクリューコンベアー軸、８ 中
空軸部、９ らせんブレード、１２ 仕切板、１５ ケ
ーシング、１６主軸受、１７ 原液供給管、１８ 分離
液排出口、１９ スラッジ排出口、２０ モータ、２１
減速機、３０ 二重菱型パンタグラフ、３０Ａ 後部
パンタグラフ、３０Ｆ 前部パンタグラフ、３１Ａ 後
部サポートアーム、３１Ｆ 前部サポートアーム、３２
スクレーパー支持軸、３３ スクレーパー板、３４ロ
ーラー、３５ カムプレート、３６ 駆動ヨーク、３６
Ａ 後部駆動ヨーク、３６Ｆ 前部駆動ヨーク、３７
ガイド溝 Ｂ 液面、Ｆ 原液、Ｓ スラッジ、Ｌ 分離液、Ｚ，
Ｚａ ビーチゾーン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒の一端から他端近くにわたる長い分
   離部と、残部の短い掻揚部よりなり両端がそれぞれ中心
   孔を有する端板にて閉塞され中心軸線の周りに回転する
   回転胴と、同回転胴を同軸的に貫通し上記分離部にわた
   る部分の中空軸部の外周にらせん状に巻着され外端縁が
   上記回転胴の内面に対向するらせんブレードを有し若干
   の差速をもって回転するスクリューコンベアー軸とを具
   え、上記スクリューコンベアー軸の中空軸部を経て原液
   を上記回転胴の分離部に供給し、上記分離部の一端側か
   ら分離液を取出すとともに、上記掻揚部から遠心力で外
   向半径方向に付勢されるスクレーパーでスラッジをその
   排出孔を経て取出すようにした遠心分離機において、上
   記スクリューコンベアー軸の上記掻揚部に同軸的に付設
   され４本の等長リンクを閉折線状に枢着連結し、各頂点
   にそれぞれ長方形スクレーパー板を外方へ突出してなる
   菱形パンタグラフリンク型スクレーパーと、上記回転胴
   の端板に同軸的に付設され上記パンタグラフリンク型ス
   クレーパーの回転時の直径方向の対称的伸縮を規制して
   上記各スクレーパー板の先端縁に上記回転胴の内面に形
   成されたガイド面に微小すきまを存して平行する閉曲線
   を画かす駆動制御手段とを具えたことを特徴とするロー
   タリ排出型遠心分離機。