JPH0670444B2 - クラツチ板、殊に自動車用のクラツチ板 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、クラツチ板、殊に自動車用のクラツチ板であ
つて、ボスを含む一つの構造ユニツトと摩擦ライニング
を含む一つの構造ユニツトとの、少なくとも２つの構造
ユニツト間においてある限られた回動遊びが可能であ
り、該回動遊びの少なくとも一部にわたつて蓄力部材が
作用せしめられかつ互いに相対的に回動可能な両構造ユ
ニツト間において摩擦接続又は滑り接続が生ぜしめられ
る形式のものに関する。

ドイツ連邦共和国特許出願公開第2814059号明細書によ
れば、クラツチ板において、ライニング支持デイスクと
ボスもしくはボスに回動不能に結合されたボスフランジ
との間にＬ字形横断面の支承リングを設けることは既に
公知である。この支承リングはライニング支持デイスク
に回動不能に結合されており、かつ支承リングのスリー
ブ状に延びている範囲でボスの外周に支持されており、
これによりライニング支持デイスクはボスに対して同軸
的に保持される。支承リングの半径方向フランジは、ボ
スフランジの支承リング側とは反対側に設けられた蓄力
部材がライニング支持デイスクをこれに不動に結合され
た対応受けデイスクを介してボスフランジに向つて引寄
せることにより、ボスフランジに押付けられる。

製作技術上の理由、殊に必要な製作公差上の理由から、
この構造形式のクラツチ板においては既にはじめからＬ
字形の支承リングとこれを受容するボス範囲との間に半
径方向の遊びが存在する。この半径方向の遊びはクラツ
チ板の不つり合いの除去に関して達成可能な精度を制限
し、その結果多くの場合このような形式のクラツチ板を
装備した自動車においては不つり合いに基く諸問題が発
生する。不つり合いを十分に除かれていないクラツチ板
に起因する振動は、このようなクラツチ板と協働する装
置の摩耗を高め、また、自動車の乗心地を著しく損な
う。さらに、クラツチ板の不つり合いは支承リングとボ
スとの間の支承部の摩耗を高め、これによりクラツチ板
の不つり合いが一層増大せしめられ、しかもこの場合不
つり合いはクラツチ板の作動時間に比例して増大せしめ
られる。ライニグ支持デイスクとボスとの間の支承部の
摩耗を早めるさらに別の原因は、Ｌ字形の支承リングを
ボスに押付ける、運転中に発生する半径方向の力であ
る。

本発明の課題は、これらの従来公知になつているクラツ
チ板の欠点を排除し、かつクラツチ板の、ボスを含む構
造群もしくは構造ユニツトと摩擦ライニングを含む構造
群もしくは構造ユニツトとの間に確実な持続的なセンタ
リングが、センタリング部材が摩耗した場合にも、維持
されるようにすることにある。

この課題は本発明によれば、はじめに述べた形式のクラ
ツチ板において、一方の構造ユニツトに所属する構造部
分に対して回動不能である、球状、円錐状又は球欠状に
形成された成形部のような、傾斜を有する成形部と、他
方の構造ユニツトに所属する構造部分に対して回動不能
である対応成形部とが軸方向力によつて互いに押し合わ
されており、かつ上記成形部と対応成形部との間に摩擦
接続部又は滑り接続部が形成されており、かつ上記両構
造ユニツトが上記成形部及び対応成形部を介して互いに
センタリングされていることによつて解決されている。
このように構成された摩擦接続部又は滑り接続部によれ
ば、例えば蓄圧部材による軸方向に作用する押圧力によ
り対応成形部が軸方向で変化する成形部に向つて変位せ
しめられることにより、上記接続部に発生する摩耗は自
動的に補償される。

本明細書において「傾斜を有する成形部」とはたんに既
に述べた形の輪郭部だけでなく、例えば湾曲凹型、湾曲
凸型又はその他の、直径が増大又は減少する周面を有す
る輪郭部をも意味する。

また「回動不能」とは摩擦接続による回動不能の他に、
係止又はその他の形式での回動不能をも含むものであ
る。

遊びもしくは摩耗を補償するための成形部（輪郭部）及
び対応成形部（対応輪郭部）は種々異なる形式に形成す
ることが可能であるが、対応成形部がこれと協働する成
形部に対してぴつたり合致するように形成するのが有利
である。摩擦又は滑り接続部をこのように形成するとに
より、互いに係合し合う摩擦又は滑り面は著しく増大さ
れ、これにより摩耗が減少せしめられる。

摩擦ライニングを含む構造ユニツトがさらにライニング
支持デイスク及び対応受けデイスクを含んでおり、かつ
ボスがライニング支持デイスク及び対応受けデイスクの
間に延びているボスフランジを有しているクラツチ板に
おいては殊に、ボスが傾斜を有する成形部を有し、かつ
ライニング支持デイスク又は対応受けデイスクが対応成
形部を有しているようにするのが特に有利である。しか
しまた、ライニング支持デイスク又は対応受けデイスク
が傾斜を有する成形部を有し、かつボスが対応成形部を
有しているようにすることも可能である。また多くの用
途においては、ボスフランジの両サイドのボス部分に、
傾斜を有する成形部が設けられておりかつライニング支
持デイスク及び対応受けデイスクが相応する対応成形部
を有しているようにすることも有利である。

対応成形部（又は成形部）がライニング支持デイスク又
は対応受けデイスクの半径方向内側の範囲に直接に形成
されており、かつ成形部（又は対応成形部）がボスに直
接に形成されているようにすることにより、クラツチ板
の特に簡単な構成がえられる。

本発明の別の有利な一実施態様によれば、傾斜を有する
成形部がリング状の摩擦ライニング又は滑りライニング
に形成されており、かつ、リング状の摩擦ライニング又
は滑りライニングがライニング支持デイスク又は対応受
けデイスク及び／又はボスの周囲に回動不能に配置され
ている。

多くの用途においてはまた、対応成形部が１つの構造部
分、それも、摩擦ライニングを含む構造ユニツトに回動
不能に結合されかつ該構造ユニツトに対して同軸的に保
持されていてかつ軸方向ばね力の作用を受けている構造
部分、に設けられているようにするのが有利である。回
動不能の結合並びにこの構造部分の上記構造ユニツトに
対する同軸的な保持乃至センタリングは、皿ばねの形
の、軸方向にばね作用を有するデイスク状の構造部分を
介して有利に行なうことができる。

上記のデイスク状の、軸方向にばね作用を有する構造部
分がその外周及び内周に半径方向のアーム又は切欠部を
有し、かつ該アーム又は切欠部を介して上記のデイスク
状の構造部分が一方においては対応成形部を有する構造
部分と、また他方においては摩擦ライニングを含む構造
ユニツトの構造部分と、相対的回動を防止する係止接続
部を形成しているようにするのが有利である。上記の係
止接続部を形成するためには、ライニング支持デイスク
及び／又は対応受けデイスク並びに対応成形部を有する
構造部分が、アーム、切欠部もしくは曲げ出し部のよう
な、軸方向で先細に延びている成形部を有しており、該
軸方向で先細に延びている成形部に、軸方向でばね作用
を有する構造部分の、相応して形成されたアーム又は切
欠部が当接していて遊びのない、相対回動不能な結合部
を形成しているようにするのが有利である。

本発明のさらに別の有利な一実施態様によれば、成形部
及び／又は対応成形部を有している滑りリングもしくは
摩擦リングの少なくとも１つにスリツトが加工されてお
り、その結果該滑りリングもしくは摩擦リングの直径
が、ボス、連行デイスク又は対応デイスク上における滑
りリングもしくは摩擦リングの受容範囲に適合可能であ
る。このような適合は、成形部及び対応成形部を軸方向
で押圧する蓄力部材のばね作用によつて助成され、上記
蓄力部材は楔状又は円錐状に変化する成形部に基き滑り
リングもしくは摩擦リングに半径方向の力をも作用させ
る。

少なくとも１つのライニング支持デイスク及びこれとス
ペーサピンを介して回動不能に結合されている少なくと
も１さの対応デイスク並びにこれらのデイスク間に設け
られているボスフランジを有しているクラツチ板におい
ては、成形部及び対応形成部がボスフランジの一方の側
に設けられており、かつ軸方向に作用する蓄力部材がボ
スフランジの他方の側に設けられているようにするのが
有利である。

本発明のさらに別の有利な一実施態様によれば、成形部
及び対応成形部を軸方向で押し合わせる蓄力部材が、ボ
スを取囲む、例えば楔状又は円錐状横断面の滑り又は摩
擦リングとボスフランジとの間に軸方向に設けられてい
る。このような構成においては、楔状又は円錐状の横断
面を有する滑り又は摩擦リングにスリツトが加工されて
いて、該滑り又は摩擦リングがボス上で軸方向に摺動可
能であるようにするのが特に有利である。この場合、成
形部及び対応成形部もしくはこれらの成形部を有してい
る滑り又は摩擦リングを押し合わせる軸方向に作用する
蓄力部材が、所属する滑り又は摩擦ライニングを回動不
能に保持することができる皿ばね状の構造部分であるよ
うにするのが特に有利である。

有利な一実施態様によれば、成形部及びこの成形部と協
働する対応成形部並びに該成形部及び対応成形部を軸方
向で互いに押し合わせる蓄力部材が、ライニング支持デ
イスクとボスとの間において可能な全回動角度にわたつ
て作用する摩擦装置の一部となつている。

本発明のさらに別の一実施態様によれば、成形部及び対
応成形部は、ライニング支持デイスク及び対応受けデイ
スクのボスフランジに向つての締付けによつて、互いに
押し合わされている。上記の締付けはライニング支持デ
イスクと対応受けデイスクを互いに回動不能に結合する
スペーサピンの寸法を適当に定めることによつて可能で
ある。

本発明のさらに別の有利な一実施態様によれば、ライニ
ング支持デイスクを含む構造ユニツトが、傾斜を有する
成形部を有しており、かつまたボスが傾斜を有する範囲
を有しており、この場合成形部と傾斜を有する上記範囲
との間に滑り又は摩擦リングが締込まれており、該滑り
又は摩擦リングが、成形部にぴつたりと適合する対応成
形部及び上記範囲にぴつたりと適合する対応範囲を有し
ている。

請求項６記載の構成によれば、付加的に設けられる構造
部分としての摩擦リングを必要としないため、それだけ
クラッチ板の製作コストを安くすることができる。

請求項５記載の構成によれば、成形部が、さらに別の機
能をもっている既に存在している構造部分としてのライ
ニング支持ディスク又は対応受けディスク自体に成形さ
れているため、やはり、クラッチ板の構造を簡単にし、
製作コストを安くすることができる。

請求項７記載の構成によれば、規定された所定の摩擦係
数を有する摩擦ライニング又は滑りライニングの使用に
より、クラッチ板中心に対して同心的に保持される両構
造ユニット間において所定の緩衝作用をうることができ
る。

請求項９〜12は、請求項１記載の本発明の構成の効果を
奏するための、請求項１記載の構成をより具体的に記載
したものである。

請求項13記載の構成によれば、両構造ユニットの、クラ
ッチ板中心に対する正確なセンタリングが、軸方向に押
し合わされている成形部及び対応成形部を介して、行わ
れる。それというのは、滑り又は摩擦リングの内周面が
肩の外周面上に押圧され、その結果この互いに押し合わ
される内外両周面の範囲における半径方向の遊びが排除
されるからである。

請求項14記載の構成によれば、摩擦ライニングを有する
方の構造ユニットが軸方向でボスフランジに押付けら
れ、この場合同時に成形部と対応成形部とが押し合わさ
れ、その結果、ボスフランジを有する方の構造ユニット
に対して摩擦ライニングを有する方の構造ユニットがセ
ンタリングされる。

請求項15記載の構成によれば、特定の構造のクラッチ板
の場合にその組立を容易にすることができる。

請求項16記載のように蓄力部材として皿ばねを使用する
ことにより、成形部及び対応成形部間にほぼ一定の摩接
作用がえられる。それというのは皿ばねは、摩擦リング
が摩耗した場合にも、成形部と対応成形部とを少なくと
もほぼ一定の力で押し合わせるばね特性を示すからであ
る。

次に図示の実施例につき本発明を説明する。

第１図に断面図で示されているクラツチ板１はボス２並
びに、このボスに回動不能に結合されたボスフランジ３
を有する。ボスフランジ３はライニング支持デイスク４
と、これにスペーサピン５を介して回動不能に結合され
た対応受けデイスク６との間に半径方向に延びている。
ライニング支持デイスク４の外周には摩擦ライニング７
が公知の形式で固定されている。

ライニング支持デイスク４及び対応受けデイスク６は、
図面ではばねとして示されている蓄力部材８並びに摩擦
装置９の作用に抗して、ボス２もしくはフランジ３に対
して相対的に回動可能である。

摩擦装置９は、皿ばね10の形の蓄力部材を有し、これは
押圧片11を介して摩擦リング12をボスフランジ３に押付
けている。この目的で皿ばね10の外周部分は対応受けデ
イスク６に支持されかつ内側部分を以つて押圧片11の軸
方向区分にばね負荷をかけている。

摩擦装置９はさらに、ライニング支持デイスク４とボス
フランジ３との間に配置された滑り又は摩擦リング13を
有しており、これはその内周面を以つてボス２の肩14上
に支持されている。さらに図面から判るように、ボス２
の肩14を取囲んでいる摩擦リング13は楔形横断面を有し
ており、従つて摩擦リング13の外周面15は円錐台形状に
延びている。これにより摩擦リング13はその外周面15
に、ライニング支持デイスク４の半径方向内側範囲に直
接形成されている成形部（輪郭部）16の輪郭にぴつたり
適合する対応輪郭を有する。上記の適合する成形部16は
ライニング支持デイスク４の内縁の円錐形曲げ出し部に
よつて形成されている。

一方において押圧片11及び摩擦リング12を介してボスフ
ランジ３に支持されかつ他方において対応受けデイスク
６にボスフランジ３から離れる方向に負荷をかけている
皿ばね10の作用により、ライニング支持デイスク４はス
ペーサピン５を介して、ボスフランジ３に向つて引寄せ
られており、その結果円錐形成形部16は摩擦リング13の
外周面15に圧着され、これにより、ライニング支持デイ
スク４及び対応受けデイスク６並びにこれらに結合され
ている部材は、クラツチ板１のボス２もしくは回転軸線
に対して半径方向で位置決めされ、かつ回転対称の部分
又はクラツチ板外周に回転対称に配置されている部分は
ボス２に対して同軸的に保持される。ライニング支持デ
イスク４を含む構造群もしくは構造ユニツトのボス２に
対するセンタリングを可能にするために、押圧片11の軸
方向に延びている範囲とボス２との間に適当な遊隙17が
設けられている。

摩擦リング13とボス２の肩14との間に、相対運動に基く
摩耗による半径方向遊びが生じることを防止するため
に、摩擦リング13はボス２と回動不能に結合されてい
る。この回動不能な結合は、ボス２の肩14上へ摩擦リン
グ13を接着又は圧接することによつて行なうことができ
る。

摩擦リング13及び肩14間の半径方向遊びの発生を回避す
るためのさらに別の手段として、摩擦リング13の外周に
スリツトを形成し、円錐形成形部16を介して皿ばね10が
摩擦リング13に半径方向のかつクラツチ板軸線に向かう
力を作用させていることにより、上記摩擦リング13がボ
スフランジ３の肩14に圧着されるようにすることも可能
である。

本発明の、第２図に示されている実施例によれば、やは
り、ボス２並びにこれに回動不能に結合されたボスフラ
ンジ３が設けられており、このボスフランジ３の一方の
側にはライニング支持デイスク４、他方の側には対応受
けデイスク６が設けられており、この場合ライニング支
持デイスク４及び対応受けデイスク６は公知の形式で互
いに回動不能に結合されており、かつボス２もしくはボ
スフランジ３に対しては、蓄力部材の作用に抗して相対
的に回動可能に、結合されている。

対応受けデイスク６はその内周部に円錐形の成形部16a
を有しており、該成形部は楔形横断面を有する摩擦リン
グ13aの円錐台形状の摩擦外周面15aと協働する。摩擦リ
ング13aはその外周にスリツトを加工されておりかつ皿
ばね18により円錐形成形部16aに向つてばね負荷されて
いる。皿ばね18はその外縁部を以つてボスフランジ３に
支持されており、かつ半径方向で内側に向いている指状
片19を有しており、該指状片19を以つて皿ばね18は摩擦
リング13aにばね負荷をかけている。ボス２もしくはボ
スフランジ３に対する摩擦リング13aの回動を防止する
ため、摩擦リング13aは切欠部20を有しており、該切欠
部内へ半径方向の指状片19が係合している。皿ばね18の
軸方向のばね作用により、対応受けデイスク６に回動不
能に結合されたライニング支持デイスク４とボスフラン
ジ３との間に設けられた摩擦リング21にも負荷がかけら
れている。

第１図について述べられたように、この第２図の実施例
の場合においても、個々の部分の互いに相対的なセンタ
リングは、円錐形成形部16aと摩擦リング13aとの協働に
よつてえられる。個々の部分のセンタリングを可能なら
しめるために、ライニング支持デイスク４とボス２との
間に十分に大きな遊隙17が形成されている。

ボス２に対する摩擦リング13aの相対的な回動を防止す
るために、摩擦装置は以下のように構成されている。即
ち、皿ばね18の外周部とボスフランジ３との間に生じる
摩擦力と、摩擦リング13a及びボス２間において円錐形
成形部16aに基いて摩擦リング13aに作用する半径方向力
によつて生ぜしめられる摩擦力との和が、円錐形成形部
16aと摩擦リング13aと間に生じる摩擦力よりも大きくな
るように、構成されている。

第３図に示されている実施例では成形部は、第１図及び
第２図に示されているような円錐形の曲げ出し部によつ
てではなしに、ライニング支持デイスク４によつて支持
されている摩擦リング22によつて形成されている。

ライニング支持デイスク４は軸方向に延びている範囲4a
並びにデイスク端部において、半径方向内側へ向いてい
る範囲4bを有しており、これらの範囲は摩擦リング22の
ための環状の受容室を形成している。摩擦リング22は、
横断面図でみて、そのボスフランジ３側の端部が楔形に
加工されており、従つてこの摩擦リング22は成形部とし
て円錐台形状の周面22aを有している。

ライニング支持デイスク４に対する回動を防止するため
に、摩擦リング22は軸方向に延びている突起もしくはア
ーム23を有し、これらのアームは、ライニング支持デイ
スク４の半径方向に延びている範囲4bに設けられている
相応する嵌合切欠部24内へ係合している。

ボス２はこれを取囲んでいる、楔形横断面を有する摩擦
リングを有し、これは、摩擦リング22の円錐台形状の周
面22aと協働する、やはり円錐台形状の外周面15bを有し
ている。

摩擦リング13bの、ボスフランジ３に面した側には押圧
デイスク25が設けられており、これはボスフランジ３に
外縁部のところで支持されている皿ばね26によつてばね
負荷を受けている。皿ばね26の軸方向ばね力により、ボ
ス２上を軸方向に変位可能な摩擦リング13bが摩擦リン
グ22の方向にばね負荷を受けており、これにより円錐台
形状の周面15b及び22bが互いに押し合わされている。さ
らに皿ばね26により、ボスフランジ３のもう一方の側に
設けられている摩擦リング21が、ライニング支持デイス
ク４に不動に結合された対応受けデイスク６を介してボ
スフランジ３に向つてばね負荷されている。

この実施例の場合にも、ボスとライニング支持デイスク
４に回動不能に結合された部分とのセンタリングが維持
されると共に、両摩擦リング13b,22間に発生する摩耗を
補償することができる。

摩擦リング13b及び22は同じ又は異なる材料から製作す
ることができる。

第４図の実施例によれば、ライニング支持デイスク４と
ボス２との相対的なセンタリングに役立つ成形部27は、
摩擦ライニング並びに互いに回動不能に結合されたライ
ニング支持デイスク４及び対応受けデイスク６を含む構
造ユニツトに回動不能に結合されかつ該構造ユニツトに
対して同軸的に保持されているクラツチ板構造部分28に
設けられている。

上記構造部分28は円錐形範囲29を有し、この範囲29が成
形部27を形成する。

構造部分28の、対応受けデイスク６に対する回動不能の
結合並びにセンタリングのために、皿ばね30が設けられ
ており、該皿ばね30はその外周及び内周にアーム30a及
び30bを有しており、これらのアームは対応受けデイス
ク６の内周縁部並びに構造部分28に形成された、クラツ
チ板の軸方向に楔状に延びている曲げ出し部6a及び28a
内へ係合しかつこれらの曲げ出し部の成形部に支持され
ており、これにより構造部分28はボスフランジ３に向つ
て皿ばね30によつて押され、これにより摩擦リング13c
に押圧される。摩擦リング13cは外側の円錐台形状の対
応成形部15cを有し、該対応成形部15cは構造部分28の成
形部27にぴつたり適合しかつこれと協働する。さらに摩
擦リング13cは内側の、やはり円錐台形状の対応範囲15d
を有し、摩擦リングはこの対応範囲15dを以つてこれに
ぴつたり適合する、ボス２に形成された範囲2aに支持さ
れている。

第４図に示されている実施例では、成形部27、対応成形
部15c、範囲2a並びに対応範囲15dは等しい傾斜を有して
いる。しかし、範囲2a及びこれにぴつたり適合する対応
範囲15dの傾斜角（クラツチ板中心軸線に対する傾斜
角）を、成形部27及びこれにぴつたり適合する対応成形
部の傾斜角よりも小さくするのが有利である。このよう
な構成によれば、範囲2a及び対応範囲15d間における締
付作用もしくは自縛作用がより大きくなることに基い
て、摩擦リング13cはボス２に対して相対的に回動不能
に保持され、かつ成形部27と対応成形部15cとの間に摩
擦が生じる。

皿ばね30の軸方向のばね作用により、ボスフランジ３の
他方の側に設けられている摩擦リング21はライニング支
持デイスク４を介してボスフランジ３の方向にばね負荷
される。

第５図には、ボスフランジ３を有するボス２並びにボス
フランジ３の両サイドに配置されたライニング支持デイ
スク４及び対応受けデイスク６が示されており、該両デ
イスク,6は図示されていないスペーサピンを介して互い
に相対的に不動に結合されている。

ライニング支持デイスク４はその内側範囲に円錐形の曲
げ出し部16bを有し、これはばね作用を有する部材31と
協働する。

ばね作用を有する部材31は外側の、皿ばね状に製作され
た本体31aを有し、この本体31aは外側範囲に丸味を有す
る対応成形部31bを有しており、この対応成形部は円錐
形の曲げ出し部16bと協働する。ばね作用を有する部材3
1はさらに、本体31aの内縁から延びている指状部32を有
し、これらはボス２もしくはボスフランジ３に支持され
ている。

ばね作用を有する部材31は以下のように構成されてい
る。即ち、図示されている組立られた状態において該部
材31が軸方向並びに半径方向にばね作用を有することが
でき、かつこの場合半径方向のばね力が主に、本体31a
から半径方向内側へ延びている指状部32によつてえられ
るように構成されている。

対応受けデイスク６はその半径方向内側の範囲でボスフ
ランジ３に向つて当付けられかつ摩擦範囲6aを以つてボ
スフランジ３の肩に支持されている。

ばね作用を有する部材31の丸味を有する成形部31bとラ
イニング支持デイスク４の円錐形の曲げ出し部16bとの
間の押圧力により、ライニング支持デイスク４及び対応
受けデイスク６を有する構造ユニツトはボスフランジ２
に対して半径方向で位置決めされもしくはセンタリング
される。このために対応受けデイスク６とボス２との間
には適当に定められた半径方向遊隙17が形成されてい
る。

既に明らかなように、ボス２に対してライニング支持デ
イスク４及び対応受けデイスク６が相対的に回動するさ
いに、丸味を有する対応成形部31bと円錐形の曲げ出し
部16bとの間並びに摩擦範囲6aとボス２との間には、鋼
対鋼の直接の接触により摩擦緩衝作用が生じる。クラツ
チ板のこのような構成は特に簡単でありかつ安価であ
る。それというのは何らの付加的な摩擦リングも必要と
しないからである。ばね作用を有する部材31は、指状部
32がボス２もしくはボスフランジ３にカラー状に係合し
ていることにより、ボス２に対する相対的回動を防止さ
れている。

第５図の実施例はさらに以下のような利点を有してい
る。即ち、ばね作用を有する部材31の指状部32の半径方
向のばね特性に基き、ボス２を受容する軸、例えば伝動
装置軸と、摩擦ライニングを支持するライニング支持デ
イスクがクラツチを介して回動不能に係合される軸、例
えば内燃機関のクランク軸との間の軸線のずれが補償さ
れる。クランク軸と伝導装置軸との間の軸線のずれのこ
のような補償は、クラツチが連結されたさいにばね作用
を有する部材31の個々の指状部32が軸線のずれに相応し
て半径方向にばね弾性的にたわむことによつて、行なわ
れる。クラツチが遮断されたさい、即ち、ライニング支
持デイスク４及び対応受けデイスク６を含む構造ユニツ
ト並びにボス２、要するにクラツチ板全体がたんに伝導
装置軸とのみ回動不能に結合されているときには、ライ
ニング支持デイスク４及び対応受けデイスク６を含む構
造ユニツトはボス２に対して相対的に、ばね作用を有す
る部材31の丸味を有する対応成形部31bとライニング支
持デイスク４の円錐形の曲げ出し部16bとの協働によ
り、再びセンタリングされる。これにより、不つり合い
に基いて遠心力が伝導装置軸に作用することが避けられ
る。

第６図の実施例によれば、ライニング支持デイスク４の
円錐形の曲げ出し部16cは、ボスフランジ３の他方の側
に設けられている、皿ばねの形の蓄力部材34により、ボ
ス２の丸味を有する縁部35に向つてばね負荷されてい
る。このために蓄力部材34は半径方向内側の、丸味を有
する範囲34aを以つてボスフランジ３に、また半径方向
外側の範囲を以つて、ライニング支持デイスク４に回動
不能に結合されている対応受けデイスク６に支持されて
いる。蓄力部材34は、対応受けデイスク６に対して相対
的な回動を防止するために、アーム34bを有し、該アー
ム34bを以つて蓄力部材34は対応受けデイスク６内の適
合する切欠部36内へ係合している。この実施例の場合に
も、ボス２もしくはボスフランジ３に対してライニング
支持デイスク４及び対応受けデスク６が相対的に回動す
るさいに、丸味を有する縁部35と円錐形の曲げ出し部16
cとの間並びに丸味を有する範囲34aとボスフランジ３と
の間に鋼対鋼の接触による摩擦が生じる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のクラツチ板の一実施例の断面図、第２
図，第３図，第４図，第５図及び第６図は本発明のクラ
ツチ板のそれぞれ別の一実施例を示す部分的断面図であ
る。 １……クラツチ板、２……ボス、３……ボスフランジ、
４……ライニング支持デイスク、５……スペーサピン、
６……対応受けデイスク、７……摩擦ライニング、８…
…蓄力部材、９……摩擦装置、10……皿ばね、11……押
圧片、12……摩擦リング、13……摩擦リング、14……
肩、15……外周面、16……成形部、17……遊隙、18……
皿ばね、19……指状片、20……切欠部、21……摩擦リン
グ、22……摩擦リング、23……アーム、24……切欠部、
25……押圧デイスク、26……皿ばね、27……成形部、28
……構造部分、29……範囲、30……皿ばね、31……ばね
作用を有する部材、32……指状部、34……蓄力部材、35
……縁部、36……切欠部

Claims (22)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クラッチ板（１）であって、ボス（２）を
   含む一つの構造ユニットと摩擦ライニング（７）を含む
   一つの構造ユニットとの、少なくとも２つの構造ユニッ
   ト間においてある限られた回動遊びが可能であり、該回
   動遊びの少くとも一部にわたって、クラッチ板周方向で
   作用する蓄力部材（８）が作用せしめられかつ互に相対
   的に回動可能な両構造ユニット間において摩擦接続部又
   は滑り接続部が形成されており、上記摩擦接続部又は滑
   り接続部が、一方の構造ユニットに所属する構造部分
   （4,6,28）に対して回動不能である、球状、円錐状又は
   球欠状に形成された成形部（16,16a,22a,27,16b,16c）
   のような、クラッチ板軸方向に傾斜を有する成形部と、
   他方の構造ユニットに所属する構造部分（2,3）に対し
   て回動不能である対応成形部（15,15a,15b,15c,31b,3
   5）との間に、形成されており、かつ上記成形部及び対
   応成形部が上記両構造ユニット相互の半径方向変位を許
   容する形式のものにおいて、上記成形部（16,16a,22a,2
   7,16b,16c）及び対応成形部（15,15a,15b,15c,31b,35）
   がボス（２）の直ぐ近くに設けられており、かつ上記成
   形部及び対応成形部が、上記周方向で作用する蓄力部材
   （８）とは別に独立に作用するばね部材（10,18,26,30,
   31,34）によって生ぜしめられる軸方向力により、互い
   に押し合わされており、かつ上記両構造ユニットが、上
   記成形部及び対応成形部を介してかつ上記ばね部材の軸
   方向力によって、互いにセンタリングされていることを
   特徴とするクラッチ板。
2. 【請求項２】対応成形部（15,15a,15b,15c）が、傾斜を
   有する成形部（16,16a,22a,27）にぴったり適合してい
   る特許請求の範囲第１項記載のクラッチ板。
3. 【請求項３】摩擦ライニングを含む構造ユニットがさら
   にライニング支持ディスク及び対応受けディスクを含ん
   でおり、かつボスがライニング支持ディスク及び対応受
   けディスクの間に延びているボスフランジを有してお
   り、かつボス（２）が傾斜を有する成形部を有し、かつ
   ライニング支持ディスク（４）又は対応受けディスク
   （６）が対応成形部を有している、特許請求の範囲第１
   項又は第２項記載のクラッチ板。
4. 【請求項４】摩擦ライニングを含む構造ユニットがさら
   にライニング支持ディスク及び対応受けディスクを含ん
   でおり、かつボスが、ライニング支持ディスク及び対応
   受けディスクの間に延びているボスフランジを有してお
   り、かつライニング支持ディスク（４）又は対応受けデ
   ィスク（６）が傾斜を有する成形部（16,16a,22a,27,16
   a,16c）を有し、かつボスが対応成形部（15,15a,15b,15
   c,31b,35）を有している、特許請求の範囲第１項又は第
   ２項記載のクラッチ板。
5. 【請求項５】成形部（16,16a,16b,16c）がライニング支
   持ディスク（４）又は対応受けディスク（６）の半径方
   向内側の範囲に直接に形成されている、特許請求の範囲
   第３項記載のクラッチ板。
6. 【請求項６】対応成形部（35）がボス（２）に直接に形
   成されている、特許請求の範囲第４項記載のクラッチ
   板。
7. 【請求項７】傾斜を有する成形部がリング状の摩擦ライ
   ニング又は滑りライニング（13,13a,13b,13c）に形成さ
   れている、特許請求の範囲第１項から第６項までのいず
   れか１項記載のクラッチ板。
8. 【請求項８】リング状の摩擦ライニング又はすべりライ
   ニング（13,13a,13b,13c）がライニング支持ディスク
   （４）又は対応受けディスク（６）及び／又はボス
   （２）に回動不能に配置されている、特許請求の範囲第
   ７項記載のクラッチ板。
9. 【請求項９】成形部（27）が１つの構造部分（28）、そ
   れも摩擦ライニング（７）を含む構造ユニットに回動不
   能に結合されていてかつ該構造ユニットに対して同心的
   に保持されかつ軸方向ばね力の作用下にある１つの構造
   部分（28）、に設けられている、特許請求の範囲第１項
   から第３項までのいずれか１項記載のクラッチ板。
10. 【請求項１０】上記構造部分（28）の構造ユニットに対
    する回動不能な結合並びに構造ユニットに対するセンタ
    リングが、皿ばね状の、軸方向にばね作用を有するディ
    スク状構造部分（30）を介して行われている、特許請求
    の範囲第９項記載のクラッチ板。
11. 【請求項１１】上記のディスク状の構造部分（30）がそ
    の外周及び内周に半径方向のアーム（30a,30b）を有
    し、かつ該アームを介して上記のディスク状の構造部分
    （30）が一方においては成形部（27）を有する構造部分
    （28）と、他方においては摩擦ライニング（７）を含む
    構造ユニットの構造部分（６）と、相対的回動を防止す
    る係止接続部を形成している、特許請求の範囲第９項又
    は第10項記載のクラッチ板。
12. 【請求項１２】ライニング支持ディスク（４）及び／又
    は対応受けディスク（６）並びに成形部（27）を有する
    構造部分（28）が、切欠部もしくは曲げ出し部（6a,28
    a）のような、軸方向で先細に延びている成形部を有し
    ており、該軸方向で先細に延びている成形部に、軸方向
    でばね作用を有する構造部分（30）の、相応して形成さ
    れたアーム（30a,30b）又は切欠部が当接していて相対
    回動不能な結合部を形成している、特許請求の範囲第９
    項から第11項までのいずれか１項記載のクラッチ板。
13. 【請求項１３】対応成形部（15,15a,15b,15c）及び／又
    は対応成形部（22a）を有する滑り又は摩擦ライニング
    （13,13a,13b,13c,22）に少なくとも１つのスリットが
    加工されている特許請求の範囲第１項から第12項までの
    いずれか１項記載のクラッチ板。
14. 【請求項１４】軸方向で互いに押し合わされている成形
    部（16,16c）と対応成形部（15,35）とがボスフランジ
    （３）の一方の側に設けられており、かつボスフランジ
    （３）の他方の側に、軸方向に作用する蓄力部材（10,3
    4）が設けられている、特許請求の範囲第１項から第13
    項までのいずれか１項記載のクラッチ板。
15. 【請求項１５】成形部（16a,22a）及び対応成形部（15
    a,15b）を軸方向で互いに押し合わせる蓄力部材（18,2
    6）が、ボス（２）を取囲む滑り又は摩擦ライニング（1
    3a,13b）とボスフランジ（３）との間に軸方向に設けら
    れている特許請求の範囲第１項から第14項までのいずれ
    か１項記載のクラッチ板。
16. 【請求項１６】軸方向に作用する蓄力部材（10,18,26,3
    0,31,34）が皿ばね状の構造部分によって形成されてい
    る、特許請求の範囲第１項から第15項までのいずれか１
    項記載のクラッチ板。
17. 【請求項１７】皿ばね状の構造部分（18,26）が、ボス
    （２）を取囲む摩擦ライニング（13a,13b）に回動不能
    に結合されている、特許請求の範囲第15項又は第16項記
    載のクラッチ板。
18. 【請求項１８】対応成形部（31b）が、該対応成形部及
    び成形部（16b）を押し合わせる皿ばね状の蓄力部材（3
    1）に形成されている特許請求の範囲第１項から第17項
    までのいずれか１項記載のクラッチ板。
19. 【請求項１９】皿ばね状の蓄力部材（31）の外周に丸味
    を有する範囲を有している特許請求の範囲第18項記載の
    クラッチ板。
20. 【請求項２０】成形部（16,16a,22a,27,16b,16c）及び
    該成形部と協働する対応成形部（15,15a,15b,15c,31b,3
    5）並びに、成形部及び対応成形部を軸方向で押し合わ
    せる蓄力部材（10,18,26,30,31,34）が、ライニング支
    持ディスクとボスとの間において可能な全回動角度にわ
    たって作用する摩擦装置の一部である、特許請求の範囲
    第１項から第19項までのいずれか１項記載のクラッチ
    板。
21. 【請求項２１】成形部及び対応成形部が、ライニング支
    持ディスク及び対応受けディスクのボスフランジに向う
    締付けにより、互いに押圧負荷を受けている特許請求の
    範囲第１項から第20項までのいずれか１項記載のクラッ
    チ板。
22. 【請求項２２】ライニング支持ディスク（４）を含む構
    造ユニットが傾斜を有する成形部（27）を有しており、
    かつボス（２）が傾斜を有する範囲（2a）を有してお
    り、この場合成形部（27）と上記範囲（2a）との間に滑
    り又は摩擦ライニング（13c）が締込まれており、該滑
    り又は摩擦ライニングが、上記成形部（27）にぴったり
    適合する対応成形部（15c）及び上記範囲（2a）にぴっ
    たり適合する対応範囲（15d）を有している特許請求の
    範囲第１項から第21項までのいずれか１項記載のクラッ
    チ板。