JPH0670003B2 - 4―4′―ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドの製造方法 - Google Patents

4―4′―ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドの製造方法

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JPH0670003B2 JP1142889A JP1142889A JPH0670003B2 JP H0670003 B2 JPH0670003 B2 JP H0670003B2 JP 1142889 A JP1142889 A JP 1142889A JP 1142889 A JP1142889 A JP 1142889A JP H0670003 B2 JPH0670003 B2 JP H0670003B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェ
ニルスルフィドを高収率で製造する方法に関するもので
ある。本発明の製造方法によって得られる4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドは、無色
で低融点の固体であって、他の重合性単量体との相溶性
に優れており、塗料、接着剤、ゴムの加硫剤、注型材
料、感光性樹脂、イオン交換樹脂等の用途に有用である
ばかりでなく、その単独重合硬化物または4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドと共重合
可能な他の重合性単量体との共重合硬化物は低吸湿性で
あり、且つ高い屈折率を有しているため高屈折率透明樹
脂の製造に好適な重合性単量体である。
〈従来の技術〉 カルボン酸チオールエステル類の製造方法に関しては、
一般にチオール類と酸ハロゲン化物を反応させる方法
[アール・ビー・ベーカー,イー・イー・レイド(R.B.
Baker and E.E.Reid),ジャーナル・オブ・アメリカン
・ケミカル・ソサイアティー(J.Am.Chem.Soc.),51,1
569(1929)]やチオール類と酸無水物を反応させる方
法[エフ・ダブリュー・ウエンゼル,イー・イー・レイ
ド(F.W.Wenzel,E.E.Reid),ジャーナル・オブ・アメ
リカン・ケミカル・ソサイアティー(J.Am.Chem.So
c.),59,1089(1937)]が知られている。これらの方
法は、チオール類の代りにチオール類のアルカリ金属塩
を用いるか、またはピリジン等の塩基触媒を用いること
によって反応がより容易に進行することも知られている
[イー・イー・レイド(E.E.Reid),"オーガニック ケ
ミストリー・オブ・バイバレント・サルファー”(Orga
nic Chemistry of Bivarent Sulfer)、第1巻、ケミカ
ル パブリッシング カンパニー、ニユー・ヨーク(Ch
emical Publishing Company,New York)、(1958)]。
一方、不飽和カルボン酸チオールエステル類の製造方法
に関しては、チオール類の二重結合への付加反応が極め
て容易に起こることからそれほど多くの報告例はなく、
例えばティー・イマモトら(T.Imamoto et al),シン
セシス(Synthesis),134(1982)のポリホスホレート
エステルを用いた不飽和カルボン酸とチオール類との反
応、エイチ・ジェイ・リューら(H.J.Liu et al),カ
ナディアン・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Can.J.
Chem.),58,2645(1980)のフェニルジクロロホスフェ
ートを経る不飽和カルボン酸とチオール類との反応、テ
ィー・コーエンら(T.Cohen et al),テトラヘドロン
・レターズ(Tetrahedron Lett.),45,4319(1978)の
ボロントリチオフェノキシドを経る不飽和カルボン酸と
チオール類との反応等が知られている。しかし、これら
の方法は、何れも熱重合性の無い、または熱重合性の極
めて低い不飽和カルボン酸チオールエステル類の製造方
法に関する報告であり、熱重合性の極めて高いメタクリ
ル酸やアクリル酸のチオールエステル類の製造方法につ
いては、わずかにシー・エス・マーベルら(C.S.Marvel
et al),ジャーナル・オ・ポリマー・サイエンス(J.
Polym.Sci.),19,59(1956)の2,3−ジブロモプロピオ
ン酸チオールエステルの脱臭素反応によってアクリル酸
チオールエステルを製造する方法やエム・エム・コット
ンら(M.M.Koton et al),ジュルナール・オブシュイ
・ヒミー(Zhur.Obshchei Khim.),26.475(1956)や
ジー・サムレルら(G.Sumrell et al),ジャーナル・
オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアティー(J.Am.C
hem.Soc.),80,2509(1958)の(メタ)アクリロイル
ハライドとチオール類のアルカリ金属塩とを反応させて
製造する方法が報告されているに過ぎない。しかし、こ
れらの製造方法は、単官能性の(メタ)アクリル酸チオ
ールエステルに限定されたものであり、これまで二官能
性のメタクリル酸チオールエステルの製造方法に関する
報告例はなかった。
〈発明が解決しようとする課題〉 本発明の目的は、相溶性に優れ、重合等の実用的用途に
おいて極めて取り扱い易く、塗料、接着剤、ゴムの加硫
剤、注型材料、感光性樹脂、イオン交換樹脂等の産業分
野に適用することが可能であるばかりでなく、高屈折率
透明樹脂の原料としても極めて有用な4,4′−ビス(メ
タクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドを高収率で製
造する方法を提供することにある。
〈課題を解決するための手段〉 本発明によって、上記目的を達成し得る4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドの製造方
法が提供される。
即ち、本発明は、 4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドの金属塩と
メタクリロイルハライドとを反応させることを特徴とす
る式(I) で示される4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェ
ニルスルフィドの製造方法に関する。
以下、4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニル
スルフィドの製造方法について具体的に説明する。
本発明の4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニ
ルスルフィドは、4,4′−ジメルカプトジフェニルスル
フィドの金属塩の水溶液にメタクリロイルハライドを徐
々に滴下してゆくことによって高収率で製造される。
本発明において用いられる4,4′−ジメルカプトジフェ
ニルスルフィドの金属塩は、予め調製して4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドの製造に
供してもよいし、または反応容器中で直接調製してもよ
いが、一般的には製造工程が簡略である後者の方法が好
ましく用いられる。用いられる4,4′−ジメルカプトジ
フェニルスルフィドの金属塩としては、4,4′−ジメル
カプトジフェニルスルフィドのアルカリ金属塩が好まし
い。
4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドのアルカリ
金属塩を予め調製する場合には、4,4′−ジメルカプト
ジフェニルスルフィドを、例えば充分に乾燥させたジエ
チルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、
テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒やベンゼン、ト
ルエン等の比較的低沸点の芳香族炭化水素系溶媒に溶解
した後、この溶液に例えばナトリウム、カリウム及びリ
チウム等のアルカリ金属や水素化ナトリウム、水素化リ
チウム等の水素化アルカリ金属化合物を4,4′−ジメル
カプトジフェニルスルフィド1モルに対して2モル加え
て還元的に反応させた後、溶媒を除去することにより調
製することができる。単離した4,4′−ジメルカプトジ
フェニルスルフィドのアルカリ金属塩は、例えば水酸化
ナトリウムや水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属化
合物を溶解したアルカリ性水溶液に溶解することによっ
て4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスル
フィドの製造に供することが出来る。この場合に用いら
れる水の量は、4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフ
ィドのアルカリ金属塩を完全に溶解できる量であれば特
に制限はなく、一般には4,4′−ジメルカプトジフェニ
ルスルフィドのアルカリ金属塩1重量部に対して、1重
量部から10重量部の範囲である。また、この場合に用い
られる水酸化アルカリ金属化合物の量は、4,4′−ジメ
ルカプトジフェニルスルフィド1モルに対して0.1モル
から18モルの範囲、より好ましくは1モルから13モルの
範囲である。水酸化アルカリ金属化合物の使用量が0.1
モルよりも少ない場合には、後に加えるメタクリロイル
ハライドと4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィド
のアルカリ金属塩との反応が効率よく進まない上に副生
成物が生じるため好ましくなく、また水酸化アルカリ金
属化合物の使用量が18モルよりも多い場合には経済的で
なく好ましくない。
4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドのアルカリ
金属塩を反応容器中で直接調製する場合には、予め充分
に窒素置換して溶存酸素を除いた水に、例えば水酸化ナ
トリウムや水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属化合
物を溶解し、この溶液に窒素気流下で4,4′−ジメルカ
プトジフェニルスルフィドを加え、必要に応じて加熱す
ることにより均一な水溶液を調製することができる。こ
の場合に用いられる水酸化アルカリ金属化合物の量は、
4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィド1モルに対
して2モルから20モルの範囲、より好ましくは3モルか
ら15モルの範囲である。水酸化アルカリ金属化合物の使
用量が2モルよりも少ない場合には、後に加えるメタク
リロイルハライドと4,4′−ジメルカプトジフェニルス
ルフィドのアルカリ金属塩との反応が効率よく進まない
上に副生成物が生じるために好ましくなく、また水酸化
アルカリ金属化合物の使用量が20モルよりも多い場合に
は経済的でなく好ましくない。また、この調製方法にお
いて用いられる水の量は、使用する水酸化アルカリ金属
化合物の水に対する濃度が2重量%から40重量%の範囲
になる量、より好ましくは5重量%から30重量%の範囲
になる量である。水の使用量が水酸化アルカリ金属化合
物の水に対する濃度が2重量%を下回るほど多い場合に
は経済的でなく、水の使用量が水酸化アルカリ金属化合
物の水に対する濃度が40重量%を上回るほど少ない場合
には、生成した4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフ
ィドのアルカリ金属塩が析出し、結果的に反応が不均一
系になるため好ましくない。
以上のようにして調製された4,4′−ジメルカプトジフ
ェニルスルフィドのアルカリ金属塩の水溶液に、窒素気
流下でメタクリロイルハライド、例えばメタクリロイル
クロリドやメタクリロイルブロミド等のメタクリロイル
ハライドを徐々に滴下してゆくことによって、4,4′−
ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドが製
造される。
本発明の製造方法において用いられるメタクリロイルハ
ライドの使用量は、4,4′−ジメルカプトジフェニルス
ルフィド1モルに対して2モルから8モルの範囲、より
好ましくは2.01モルから5モルの範囲である。メタクリ
ロイルハライドの使用量が2モルよりも少ない場合に
は、4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドのメル
カプト基の一部がメタクリロイルハライドと未反応のま
ま残り、しばしば生成した4,4′−ビス(メタクリロイ
ルチオ)ジフェニルスルフィドをゲル化させる原因とな
るために好ましくない。また、メタクリロイルハライド
の使用量が8モルよりも多い場合には経済的でないため
に好ましくない。
4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドの金属塩と
メタクリロイルハライドとの反応温度は、−10℃から50
℃の範囲、より好ましくは0℃から40℃の範囲である。
反応温度が−10℃よりも低い場合には、しばしば4,4′
−ジメルカプトジフェニルスルフィドのアルカリ金属塩
が反応液から析出するために好ましくなく、反応温度が
50℃よりも高い場合にしばしば反応系中に生成する4,
4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィ
ドが熱重合してゲル化するために好ましくない。
本発明の製造方法によって得られる4,4′−ビス(メタ
クリロイルチオ)ジフェニルスルフィドは、常温で無色
の低融点(融点:61.0℃〜61.5℃)を有する固体であ
り、通常のラジカル重合開始剤を用い、融点以上に加熱
することによって単独重合させることが可能であるばか
りでなく、4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェ
ニルスルフィドと共重合可能な他の重合性単量体と混合
して共重合させることも可能である。
4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフ
ィドと共重合可能な重合性単量体としては、4,4′−ビ
ス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドと相溶
性のあるものであれば特に制限はなく、単官能であって
も多官能であってもよい。また、4,4′−ビス(メタク
リロイルチオ)ジフェニルスルフィドと共重合可能な重
合性単量体は、二種類以上の化合物の混合物として用い
ることもできる。4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)
ジフェニルスルフィドと共重合可能な他の重合性単量体
の混合割合には特に制限はなく、任意の比率を選択する
ことができる。このような重合性単量体としては、例え
ば不飽和脂肪酸エステル,芳香族ビニル化合物,不飽和
脂肪酸及びその誘導体,不飽和二塩基酸及びその誘導
体,(メタ)アクリルニトリル等のシアン化ビニル化合
物の他、ペンタエリスリトールテトラチオグリコラート
等の多官能性メルカプト化合物があげられる。
硬化に際して用いられるラジカル重合開始剤は、熱、マ
イクロ波、赤外線、もしくは紫外線によってラジカルを
生成し得るものであれば、例えば2,2′−アゾビスイソ
ブチロニトリルやベンゾイルパーオキシド等一般に使用
されている何れのラジカル重合開始剤の使用も可能であ
る。
〈実施例〉 以下、実施例及び比較例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
実施例1 攪拌機、温度計、ジムロート型冷却管、等圧滴下ロート
を付した2000mlの四つ口フラスコに、窒素気流下で、一
昼夜窒素を吹き込み充分に溶存酸素を除いた蒸留水1200
mlを入れ、次いで水酸化ナトリウム287.6g(7.2モル)
を溶解させた後、4,4′−ジメルカプトジフェニルスル
フィド150g(0.6モル)を投入し、110℃で約2時間加熱
して均一な水溶液とした。次いでこの水溶液を0℃〜5
℃に冷却しながら等圧滴下ロートよりメタクリロイルク
ロリド188.2g(1.8モル)を徐々に滴下した。滴下終了
後、さらに室温で4時間攪拌して生成した固体を濾取
し、続いて蒸留水で濾液が中性になるまで固体を繰り返
し洗浄した。得られた固体を常温で真空乾燥させて水を
除いたうえで1のアセトンに溶解させた。この溶液に
硫酸マグネシウム約50gを加えて攪拌した後、濾過して
得られた溶液の溶媒を減圧除去することによって粗4,
4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィ
ドを得た。この粗4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)
ジフェニルスルフィドを4.4lのメタノールに投入し、40
℃で加熱溶解させ、一昼夜放冷して再結晶し、得られた
結晶を濾取乾燥して無色の針状結晶である4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィド126gを得
た。さらに残った再結晶母液から粗4,4′−ビス(メタ
クリロイルチオ)ジフェニルスルフィドを回収し、同様
の方法で再結晶を繰り返すことによって4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィド48gを得
た。得られた4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフ
ェニルスルフィドの収率は75%であった。
下記に、得られた化合物の構造を決定するための分析結
果を示す。
融点 61.0℃〜61.5℃ 元素分析 C(%) H(%) S(%) 計算値 62.14 4.69 24.88 実測値 62.51 4.11 24.53 さらに、得られた化合物のH−NMR(溶媒CCl、内部
標準物質TMS)スペクトル図を第1図に示し、IR吸収ス
ペクトル図を第2図に示す。なお、H−NMRスペクト
ル図は、日立製作所製、R−24B型スペクトロメーター
(60MHz)を用いて測定し、IR吸収スペクトル図は、日
立製作所製、270−50型IRスペクトロフォトメーターを
用いて測定した。
実施例2〜4 4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドの使用量、
メタクリロイルハライドの種類とその使用量、及び水酸
化アルカリ金属化合物の種類とその使用量、水の使用量
を表1に示したように変えた他は、実施例1と同様の方
法で4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルス
ルフィドを製造した。それらの結果を表1に示す。
実施例5 予め充分加熱乾燥した攪拌機、ジムロート型冷却管、温
度計、等圧滴下ロートを付した2lの四つ口フラスコに、
乾燥精製テトラヒドロフラン500mlを入れ、これに窒素
気流下4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィド150g
(0.6モル)を溶解させ、次いでこの溶液に金属ナトリ
ウム27.6g(1.2モル)を少量ずつ加えた。金属ナトリウ
ムが完全に消費されたことを確認した後、テトラヒドロ
フランを留去して黄色固体である4,4′−ジメルカプト
ジフェニルスルフィドのナトリウム塩を得た。
得られた黄色固体である4,4′−ジメルカプトジフェニ
ルスルフィドのナトリウム塩に、予め充分に窒素を吹き
込んで溶存酸素を除いた蒸留水1000mlと水酸化ナトリウ
ム96g(2.4モル)を加え、攪拌して均一な水溶液を得
た。次いで、この水溶液を0℃〜5℃に冷却しながら等
圧滴下ロートよりメタクリロイルクロリド188.2g(1.8
モル)を徐々に滴下した。滴下終了後、さらに室温で4
時間攪拌した後、生成した固体を濾取し、続いて蒸留水
で濾液で中性になるまで繰り返し洗浄した。得られた固
体を常温で真空乾燥させて水を除いたうえで1のアセ
トンに溶解させた。この溶液に硫酸マグネシウム約50g
を加えて攪拌した後、濾過して得られた溶液の溶媒を減
圧除去することによって粗4,4′−ビス(メタクリロイ
ルチオ)ジフェニルスルフィドを得た。この粗4,4′−
ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドを実
施例1と同様の方法で再結晶することによって無色の針
状結晶である4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフ
ェニルスルフィド155g(収率66.8%)を得た。
得られた4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニ
ルスルフィドのIRスペクトル及びH−NMRスペクトル
は、実施例1で得られた4,4′−ビス(メタクリロイル
チオ)ジフェニルスルフィドのIRスペクトル及びH−
NMRスペクトルと完全に一致した。
実施例6〜8 4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィドのアルカリ
金属塩を予め調製する際に用いるアルカリ金属化合物と
して、実施例6では水素化ナトリウムを、実施例7では
水素化カリウムを、実施例8では金属リチウムを用い、
またメタクリロイルハライド及び水酸化アルカリ金属化
合物の種類とその使用量、水の使用量を表2に示したよ
うに変えた他は、実施例5と同様の方法で4,4′−ビス
(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフィドを製造し
た。それらの結果を表2に示す。
参考例 実施例1で得られた4,4′−ビス(メタクリロイルチ
オ)ジフェニルスルフィド10gに、ラジカル重合剤とし
て1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン10mgを加え、65℃で加熱溶解させ
た。これを0.2mm×20mm×20mmのガラスセル及び2.0mm×
75mmφのガラスモールド中にそれぞれ注入し、70℃で5
時間加熱した後、昇温速度3℃/hrで100℃まで加熱して
脱型し、さらに150℃で2時間加熱硬化させた。得られ
た硬化物は無色透明であり、下記に示すような物性を有
していた。
Tg 150℃(オリエンテック社製、レオバイブロンD
DV−II−EP型) 吸湿率 0.25%(ASTM D570−(23℃,24時間浸漬)
59T) 屈折率 ▲N20 D▼=1.689 (島津製作所製,3L型屈折計) 〈発明の効果〉 本発明の製造方法によれば、4,4′−ビス(メタクリロ
イルチオ)ジフェニルスルフィドを高収率で製造するこ
とができる。また、本発明の製造方法によって得られる
4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェニルスルフ
ィドは、常温で固体の無色針状結晶であって、他の重合
性単量体との相溶性に優れていることから塗料、接着
剤、ゴムの加硫剤、注型材料、感光性樹脂、イオン交換
樹脂等の産業分野に適用することが可能であるばかりで
なく、その単独重合硬化物または4,4′−ビス(メタク
リロイルチオ)ジフェニルスルフィドと共重合可能な他
の重合性単量体との共重合硬化物は低吸湿性であり、且
つその高い屈折率を利用して高屈折率透明樹脂への適用
が可能な有用な重合性単量体である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られた化合物の1H−NMRスペクト
ル図であり、第2図は実施例1で得られた化合物のIR吸
収スペクトル図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4,4′−ジメルカプトジフェニルスルフィ
    ドの金属塩とメタクリロイルハライドとを反応させるこ
    とを特徴とする式(I) で示される4,4′−ビス(メタクリロイルチオ)ジフェ
    ニルスルフィドの製造方法。
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