JPH0668177U - テープリールのハブ部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡易に構成されて薄手のテープを片伸び等の
歪なく巻き取ることができるテープリールを提供する。 【構成】 テープリール１ａは、一方側から嵌合する
駆動軸によって回転力を受けるハブ２と、テープを巻き
付ける巻芯３とテープをガイドするテープガイド面４ａ
を備えたフランジ４とからなる合成樹脂成形品であり、
巻芯３とフランジ４とを別体に形成することにより、同
フランジ４のテープガイド面４ａと巻芯３の外周をなす
テープ巻き付け面３ｂとによる交差角Ｃを形成するとと
もに、同巻芯３とハブ２との間には、テープの巻き付け
時のテープ巻き付け面３ｂの撓み量を許容範囲内に抑え
るに足る所定のスパン内で分周する放射状のリブ５を介
設する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、磁気記録その他に用いられ、高密度記録用又は長尺用の薄手のテー プを巻き取るためのテープリールに関し、特に、テープを変形損傷することなく 巻き付けることができるテープリールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

図９は従来のテープリール本体の斜視図、図１０は同テープリールのハブ部断 面図、図１１は図１０の要部拡大図、図１２は従来の太ハブテープリールの斜視 図、図１３は従来技術に係る改良型テープリールのハブ部断面図である。

【０００３】 ビデオテープカセット等に内装されているテープ巻き付け用の従来のテープリ ール１０は、図９に示すごとく、ハブ１１と巻芯１２とフランジ１３とからなる 合成樹脂製の一体成形品であり、巻芯１２にはテープ端固定用クランプを挿入す るためのクランプ挿入部１２ａがスリット状に設けられ、また、ハブ１１と巻芯 １２との間には、放射状にリブ１１ａが介設する。

【０００４】 上記テープリール１０の巻芯１２は、その一端側がハブ開口を中心部に有する 図１０のフランジ１３に接するので、巻芯１２は、図中矢印Ｆ方向に作用する成 形時のフランジ１３の収縮によって偏った歪を生じ、フランジ側の外径寸法Ａは 他端側寸法Ｂより小となり、所定精度の円筒度を確保することが困難となる。し たがって、高密度記録用や長尺用の薄手のテープに使用するとテープが不均一に 伸縮されていわゆるワカメ状の損傷を受けることがある。

【０００５】 上記において、フランジ１３の収縮による歪を考慮した金型設計を行なえば、 所定の円筒度を得ることが可能であるが、その場合には成形条件に対応した金型 設計および成形条件管理の高度化が要求されるとともに、巻芯１２のクランプ挿 入部１２ａとその金型の形状の複雑化、抜き勾配による型設計上の制約、互換性 のない金型による生産条件の複雑化またはテープ端をクランプ挿入部１２ａにセ ットする時のクランプの挿入作業上の制約等、量産ラインの製造工程に影響を与 える多くの問題を生じる。

【０００６】 また、図１１の巻芯１２の巻き付け面１２ｂとこの巻き付け面１２ｂまでテー プをガイドするフランジ１３のテープガイド面１３ａとの交差部Ｃは、金型の管 理状況や樹脂の成形収縮のためにエッジ状の交差角を確保することが困難なので 、巻き付け面１２ｂのフランジ側端部が円筒面をなさず、特に、厚さが１５μｍ 以下の薄手のテープに使用するとテープの片伸びを引き起こすことがある。

【０００７】 一方、図１２の太ハブテープリール１４においては、巻芯１２の下端部がフラ ンジ１３によって支えられるとともに、巻芯１２のテープ巻き付け面１２ｂは、 放射状に配設されたリブ１５を介してハブ１１に支えられ、これらハブ１１、巻 芯１２および、フランジ１３が一体に形成される。

【０００８】 このテープリール１４の巻芯１２は、テープの巻き圧によってそのテープ巻き 付け面１２ｂが変形されるので、薄手のテープに使用するとテープが不均一に伸 縮されてワカメ状に変形されることがある。したがって、テープ巻き付け面の剛 性を増して所定精度の真円度を確保する必要がある。

【０００９】 図１３の先行技術に係る改良型テープリール１６は、テープ巻き付け面１２ｂ を全周にわたって支える円盤状の円盤リブ１７を設けることにより、テープ巻き 付け面１２ｂの真円度を確保し、上記円盤状リブ１７を備えた巻芯１２をフラン ジ１３と別体に構成することにより、巻き付け面１２ｂの円筒度および巻き付け 面１２ｂとフランジ側のテープガイド面１３ａとの交差角を確保することができ る（実公昭63-36551号公報）。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、同テープリールの巻芯の円盤リブは、樹脂成形上の制約によっ て一枚に限られるので、巻き付け面に加わるテープ巻圧を支えるための肉厚が必 要となり、したがって、樹脂成形時の円盤状リブの厚肉部による収縮作用によっ てこのリブに接する巻き付け面に窪みを生じる。この巻き付け面の部分的な窪み によるテープ変形が避けられないので適用が可能なテープが限られ、特に、厚さ が１５μｍに満たない薄手のテープに対応することができない。

【００１１】 本考案の目的は、テープリールの巻芯の真円度、円筒度、および巻芯の巻き付 け面とフランジのテープガイド面との交差角を確保することにより、薄手のテー プに対応が可能な樹脂製テープリールを得ることにある。

【００１２】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために、一方側から嵌合する駆動軸によって回転力を受け るハブと、このハブに支えられてテープを巻き取る巻芯と、この巻芯に巻き付け られるテープの上記駆動軸進入側の縁をガイドするテープガイド面を備えたフラ ンジとからなる樹脂製のテープリールにおいて、前記テープリールの巻芯とフラ ンジとをそれぞれ別体に形成し、同フランジのテープガイド面と巻芯のテープ巻 き付け面とによる交差角を形成するとともに、同巻芯とハブとの間には、テープ 巻き付け時のテープ巻き付け面の撓み量を許容範囲内に抑えるに足る所定のスパ ン内で分周する位置に放射状をなすリブを介設したことを特徴とするテープリー ルのハブ部構造。

【００１３】

【作用】

テープリールの巻芯のテープ巻き付け面は、樹脂成形時の偏った収縮力を与え るフランジと別体をなすので、偏った歪を受けることなく所定の円筒度をなす円 筒状に成形されるとともに、巻芯を所定のスパン内で分周してハブとの間に介設 する放射状のリブがテープ巻き付け時のテープ巻き付け面の撓み量を許容範囲内 に抑えることにより、上記テープ巻き付け面は、テープの巻き付け圧力に抗して 所定の真円度をなし、また、フランジのテープガイド面と巻芯のテープ巻き付け 面とがなす交差角により、テープはそのフランジ側の縁を損うことなく巻芯のテ ープ巻き付け面に巻き付けられる。

【００１４】

【実施例】

本考案の実施例を添付図面に基づいて以下に説明する。

【００１５】 図１は本考案の第１実施例に係るテープリールの平面図（ａ）、および断面図 （ｂ）、図２〜８は第２〜８実施例に係る図１（ｂ）と同様の図である。

【００１６】 本考案の第１実施例に係るテープリール１ａは、図１（ａ）に示すごとく、一 方側（紙面下方）から嵌合する図示せぬ駆動軸によって回転力を受けるハブ２と 、このハブ２に支えられてテープを巻き取る巻芯３と、この巻芯３に巻き付けら れるテープの上記駆動軸の進入側の縁をガイドするテープガイド面４ａを備えた フランジ４とからなる合成樹脂成形品である。上記ハブ２の内周側には嵌合駆動 用の図示せぬスプラインを備える。３ａはテープ端固定用クランプを挿入するた めのクランプ挿入部である。

【００１７】 上記テープリール１ａは、巻芯３とフランジ４とを別体に形成し、同フランジ ４のテープガイド面４ａと巻芯３の外周をなすテープ巻き付け面３ｂとによる交 差角Ｃを形成するとともに、同巻芯３とハブ２との間には、テープ巻き付け時の テープ巻き付け面３ｂの撓み量を許容範囲内に抑えるに足る所定のスパン内で分 周する放射状のリブ５を介設する。

【００１８】 同図（ａ）のリブ５は巻芯３側に形成した例を示し、状況に応じてハブ２側に 形成してもよい。

【００１９】 テープリール１ａは、ハブ２とフランジ４とを一体とする一方、円筒状をなす 巻芯３の内周側には、一般的なビデオテープカセット用のいわゆる細ハブ（ポリ スチレン樹脂製の巻芯外径２６ｍｍ、肉厚１．５ｍｍ）の場合は８分周位置に、 クランプ挿入部３ａを除いて、放射状にリブ５を備え、このリブ５を介して巻芯 ３がハブ２の外周に保持される。このリブ５の半径方向長さをハブ２の外径寸法 に合せることにより、巻芯３の円筒度が確保される。

【００２０】 同図（ｂ）のハブ２の天面にはばね受け２ａを突設し、また、別体でなる図示 せぬ上側フランジが取り付けられる。上記ばね受け２ａはテープリール１ａをハ ブ２の開口部側に付勢するリールスプリングを受る。そのばね力により、ハブ２ の開口周縁部２ｂを基準面としてテープリール１ａが位置決めされる。

【００２１】 このようにして構成されるテープリール１ａの巻芯３のテープ巻き付け面３ｂ は、樹脂成形時の偏った収縮力を与えるフランジ４と別体をなすので、偏った歪 を受けることなく所定の円筒度をなす円筒状に成形されるとともに、巻芯３を所 定のスパン内で分周してハブ２との間に介設する放射状のリブ５がテープの巻き 付け時のテープ巻き付け面の撓み量を許容範囲内に抑えることにより、上記テー プ巻き付け面３ｂは、テープの巻き付け圧力に抗して所定の真円度をなし、また 、フランジ４のテープガイド面４ａと巻芯３のテープ巻き付け面３ｂとによる交 差角により、テープはそのフランジ４側の縁を損うことなく巻芯３のテープ巻き 付け面に巻き付けられる。

【００２２】 このように、巻芯とフランジとを別体に形成し、また、同巻芯とハブとの間に 所定のスパン内で分周する放射状のリブを介設することにより、巻芯の円筒度、 真円度が確保され、また、フランジのテープガイド面と巻芯の外周をなすテープ 巻き付け面とによる交差角が形成されるので、本考案に係るテープリールは、複 雑な金型構成等を要することなく、厚さ１０〜１５μｍの薄手のテープに対応す ることができる。

【００２３】 図２の第２実施例に係るテープリール１ｂは、上記第１実施例のフランジ４の テープガイド面４ａのハブ２近傍に同心円をなす溝４ｂを備え、この溝４ｂに上 記巻芯３の端部を嵌め込んで構成する。

【００２４】 上記テープリール１ｂは、その同心円状をなす溝４ｂによって巻芯３の位置決 め精度、巻き圧対抗強度、および真円度の精度を更に向上することができる。

【００２５】 図３の第３実施例に係るテープリール１ｃは、上記第１実施例の巻芯３の頂部 を塞いで天面３ｃを形成した例である。この天面３ｃにはばね受け３ｄを備える 。上記巻芯３の天面３ｃ側の真円度と巻き圧強度は、その補強作用により更に向 上される。

【００２６】 図４の第４実施例に係るテープリール１ｄは、上記第１実施例の巻芯３に形成 したリブ５を半減した上、ハブ２の外周側に同数のリブ６を放射状に形成し、こ れらリブ５，６を交互に噛み合せた例である。

【００２７】 この他、一方の１枚のリブを他方の２枚のリブによって両側から挟む係合構成 や、巻芯側のクランプ挿入部とハブ側のリブとの係合構成により、クランプ挿入 部による巻芯の変形を規制するとともにクランプ力の確保が可能となる。

【００２８】 図５の第５実施例に係るテープリール１ｅは、ハブ２、リブ５、および巻芯３ からなるハブ部を一体樹脂成形することにより、巻芯３とフランジ４とを別体に 形成し、同フランジ４の中心孔に上記ハブ部を嵌合した例である。

【００２９】 上記ハブ部は、略二重円筒でなる質量偏在の少ない形状をなすので、樹脂成形 時の偏った歪を避けることができ、巻芯３のテープ巻き付け面３ｂについて高精 度の円筒度を得ることができる。

【００３０】 図６の第６実施例に係るテープリール１ｆは、上記第５実施例のハブ部の巻芯 ３の端部をフランジ４に形成した同心円をなす溝４ｂに嵌合し、前記第２実施例 と同様の作用効果を付加した例である。

【００３１】 図７の第７実施例に係るテープリール１ｇは、前記第５実施例のハブ部のハブ ２と巻芯３との下端部をリング状の横リブ７によって連結することにより、巻芯 ３の下端部側の真円度と巻き圧強度を向上させ、かつ、巻芯３の下端の大径部３ ｃによってフランジ４を保持した例である。

【００３２】 図８の第８実施例に係るテープリール１ｈは、上記第７実施例のハブ部の横リ ブ７を巻芯３の下端部に限らない位置に巻芯３の強度に対応して形成し、巻芯３ の強度を補いつつ真円度を向上した例である。この横リブ７は、他の放射状のリ ブ５を補う程度の薄肉に形成することにより、巻芯３のテープ巻き付け面３ｂに 樹脂成形上の影響を及ぼすことがない。

【００３３】 巻芯３とフランジ４との間は、必要に応じて、両者が同一材質であれば、溶着 、溶剤による接着、異材質であれば、ハブ２の外周に溝２ｃを形成してなるアン ダーカット部とフランジ４との強制嵌合によって一体的に固定することができる 。

【００３４】 以上に説明した如く、本考案に係るテープリールは、簡易な構成によってその 成形寸法精度を向上させることができ、薄手のテープに対応することが可能とな る。また、別体の樹脂成形品として各部材にそれぞれ最適な樹脂材を用いること ができる。

【００３５】 なお、太ハブのテープリールの場合には、前記各実施例において、寸法精度を 要しない大径ハブを形成した上で、所定のスパン内のリブを設けることにより、 同様の作用効果を得ることができる。例えば、外径６２ｍｍ、肉厚１.５ｍｍの 巻芯、または、業務用ＶＴＲに用いる外径４４ｍｍ、肉厚２.０ｍｍのＰＯＭ（ ポリオキシメチレン樹脂）製の巻芯の場合は１２分周するリブにより、厚さ１０ 〜１５μｍの薄手の磁気テープについて片伸び等の損傷を与えること無く対応す ることができる。

【００３６】

【考案の効果】 このように、テープリールの巻芯とフランジとをそれぞれ別体に形成すること により、樹脂成形でなる巻芯の偏った歪が最小限に抑えられるので、巻芯の円筒 度が確保される。

【００３７】 また、互いに別体でなるフランジのテープガイド面と巻芯のテープ巻き付け面 とを交差して形成することができるので、テープ巻き付け面はフランジに接する 端部までの円筒度が確保される。

【００３８】 さらに、巻芯とハブとの間に介設し、所定のスパン内で分周する放射状のリブ は、テープ巻き付け時のテープ巻き付け面の撓み量を許容範囲内に抑えるので、 巻芯について所定の真円度が確保される。

【００３９】 したがって、本考案に係るテープリールは、その巻芯とフランジとをそれぞれ 別体に形成し、所定のスパン内で分周する放射状のリブを巻芯とハブとの間に介 設してなる簡易な構成によって、テープリールのフランジ側の縁の片伸びによる 損傷と不均一なテープの曲げ変形を防止しつつ、テープが片伸びすることなく巻 き付けることができるという顕著な作用効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例に係るテープリールの平面
図（ａ）、および断面図（ｂ）

【図２】第２実施例に係る図１（ｂ）と同様の図

【図３】第３実施例に係る図１（ｂ）と同様の図

【図４】第４実施例に係る図１（ｂ）と同様の図

【図５】第５実施例に係る図１（ｂ）と同様の図

【図６】第６実施例に係る図１（ｂ）と同様の図

【図７】第７実施例に係る図１（ｂ）と同様の図

【図８】第８実施例に係る図１（ｂ）と同様の図

【図９】従来のテープリール本体の斜視図

【図１０】従来のテープリールのハブ部断面図

【図１１】図１０の要部拡大図

【図１２】従来の太ハブテープリールの斜視図

【図１３】先行技術に係る改良型テープリールのハブ部
断面図

【符号の説明】

１ａ〜１ｈ…テープリール、２…ハブ、２ａ…ばね受
け、２ｂ…周縁部、３…巻芯、３ａ…クランプ挿入部、
３ｂ…テープ巻き付け面、４…フランジ、４ａ…テープ
ガイド面、５…リブ、Ｃ…交差角。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一方側から嵌合する駆動軸によって回転
   力を受けるハブと、このハブに支えられてテープを巻き
   取る巻芯と、この巻芯に巻き付けられるテープの上記駆
   動軸進入側の縁をガイドするテープガイド面を備えたフ
   ランジとからなる樹脂製のテープリールにおいて、前記
   テープリールの巻芯とフランジとをそれぞれ別体に形成
   し、同フランジのテープガイド面と巻芯のテープ巻き付
   け面とによる交差角を形成するとともに、同巻芯とハブ
   との間には、テープ巻き付け時のテープ巻き付け面の撓
   み量を許容範囲内に抑えるに足る所定のスパン内で分周
   する位置に放射状をなすリブを介設したことを特徴とす
   るテープリールのハブ部構造。