JPH0654567U - 縁部保護シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】移送や保管の際にも嵩張ることなく、しかも、
箱体や板状体や枠体等の被保護物の縁部への装着を能率
的に行うことのできる縁部保護シートの提供を図る。 【構成】合成樹脂と紙片又は紙粉との成形品や、厚紙
や、段ボール紙等の紙材を含有する平板状のシート状体
から構成されている。このシート状体は、複数の板部１
１，１１と、この板部１１，１１間に形成された折り曲
げ用溝部１２とから構成されている。平板状態で移送保
管することができると共に、折り曲げ溝部１２から折り
曲げて、板部１１，１１を箱体や板状体や枠体等の被保
護物ａの縁部に当てがうことにより、その縁部を保護す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本願考案は、箱体の稜線角部分や板状体・枠体の端縁部分等の被保護物の縁部 に当接させることによりその縁部を保護する縁部保護シートに関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

従来、箱体や板状体や枠体を移送、保管する場合には、その縁部に適当な当木 や段ボール紙をあてがって、縁部が傷つくのを防止している。ところが、従来の 方法では、この当木や段ボール紙を、縁部に単にあてがうだけて、縁部、特に、 衝撃が集中して加わる角部分の保護には充分なものではなかった。

【０００３】 そこで、本願出願人は、図９及び図１０に示すような、縁部保護部材を開発し て、本願考案と同時に出願した。この縁部保護部材１０１は、合成樹脂と紙片又 は紙粉との成形品により構成されており、被保護物の縁部に対向する中央板部１ ０２と、中央板部の両側から中央板部に対して角度をもって延設された一対の側 板部１０３とから構成された断面略コ字状をなす。この中央板部の略中央には、 被保護物の縁部に当接する受け面１０４が、膨出形成されている。そして、膨出 形成された受け面と上記の一対の側板部との間に、被保護物の縁部に当接しない 緩衝用凹溝１０５が形成されたものである。この縁部保護部材１０１は、古紙の 有効利用を促進することができると共に、箱体や板状体や枠体等の被保護物の縁 部に簡単に装着することができ、その保護、特に被保護物の縁部の角部分の保護 を確実になすことのできるものであるが、コ字状の成形品であるため、移送や保 管の際には、嵩張るという欠点を有する。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記の事情に鑑み、本願考案は、移送や保管の際にも嵩張ることなく、しかも 、板状体や枠体等の被保護物の縁部への装着を能率的に行うことのできる縁部保 護シートを提供せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本願考案は、次の構成を特徴とする縁部保護シートを提供することにより、上 記の課題を解決する。 本願考案の縁部保護シートは、合成樹脂と紙片又は紙粉との成形品や、厚紙や 、段ボール紙等の紙材を含有する平板状のシート状体から構成されている。この シート状体は、複数の板部１１，１１と、この板部１１，１１間に形成された折 り曲げ用溝部１２とから構成されている。そして、平板状態で移送保管すること ができると共に、上記の折り曲げ溝部１２から折り曲げて、上記の複数の板部１ １，１１を箱体や板状体や枠体等の被保護物ａの縁部に当てがうことにより、そ の縁部を保護するようにしたものである。

【０００６】

【作用】

本願考案の縁部保護シートは、使用しない状態では、平板状のシート状体とし て、嵩張らない状態で移送や保管を行うことができる。そして、使用に際しては 、板部１１，１１間に形成された折り曲げ用溝部１２から折り曲げることによっ て、Ｌ字状やコ字状等の立体形状になすことができ、箱体や板状体や枠体等の被 保護物ａの縁部に当てがうことにより、その縁部を保護することができる。

【０００７】

【実施例】

以下、図面に基づき本願考案の一実施例を説明する。 図１の（Ａ）は、本願考案の一実施例の縁部保護シートの断面図であり、（Ｂ ）は同縁部保護シートの使用状態の断面図である。

【０００８】 まず、この縁部保護シート１の形状について説明すると、この縁部保護シート １は、適宜長さを有する長尺状をなしており、その移送保管時には、その断面が 図１（Ａ）に示すように略平板状をなし、使用時に図１（Ｂ）に示すように略Ｌ 字状になされるものである。より詳しくその形状を説明すると、この縁部保護シ ート１は、２つの板部１１，１１と、これらの板部１１，１１間に形成された折 り曲げ用溝部１２とを有する。さらに、この実施例では、各板部１１と折り曲げ 用溝部１２との間に緩衝用凹部１３が形成されている。また、折り曲げ用溝部１ ２の反対側（図１（Ａ）の下側）に、凸筋１４を形成するようにしてもよい。

【０００９】 そして、使用状態では、この折り曲げ用溝部１２から９０度に折り曲げられ、 全体が略Ｌ字状をなすようにされて、上記の２つの板部１１，１１を箱体や板状 体や枠体等の被保護物ａの縁部に当てがう。このとき、上記折り曲げ用溝部１２ が、９０度の略角度をもったＶ溝となっているため、使用状態では、確実に９０ 度に折り曲げられるものである。

【００１０】 尚、この板部１１は、実施例では、平滑な面となっているが、若干の凹凸を有 する面にする等、適宜変更することは可能である。また、この実施例では、板部 １１を形成する部分の厚みを他の部分の厚みよりも大きくしているが、他の部分 と同一の厚みにすることもできる。この場合、内側（図１（Ａ）の上方側）に板 部１１を膨出形成した反対の面（図１（Ａ）の下面）を、板部１１の膨出分だけ 凹ませて実施すればよい。

【００１１】 次に、この縁部保護シートの材質及び製造方法について説明する。 この縁部保護シートは、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂と紙 片又は紙粉との長尺状の混練成形品から構成されている。この紙片又は紙粉とし ては、適当な紙を用いることができ、その際、古紙を利用することによって、古 紙の再利用を促進することができる。紙片は、適宜形状及び大きさのものを用い ればよいが、数ミリから数センチメートル角の小片としたものや、或いは、細幅 のテープ状としたものを用いることが好ましい。

【００１２】 そして、熱可塑性樹脂と紙片又は紙粉とを、均一に混練して、成形する。この 成形の方法は適宜の成形方法を選択して採用することができるが、長尺状のもの 故、押出成形法を採用することが有利である。熱可塑性樹脂と紙片又は紙粉との 配合率は適宜変更して実施することができるが、この実施例では、重量比で１： １としている。尚、紙を多くすると弾力性を高い縁部保護シートを得ることがで き、また縁部保護シートを焼却した際の燃焼カロリーを抑えることができる。他 方、樹脂を多くすると縁部保護シートの強度及び防水性が高くなる。しかして、 縁部保護シートに適当な弾力性と強度と防水性を与えると共に、焼却処分の容易 性を考慮すると、熱可塑性樹脂と紙片又は紙粉との配合率を、重量比で３：７か ら７：３とすることが望ましい。

【００１３】 また、熱可塑性樹脂に代えて、熱硬化性樹脂を用いることも可能である。この 実施例では、１５重量部の液状の熱硬化性樹脂を、８５重量部の紙片又は紙粉に 噴霧して、型内に投入して、成形している。配合率は、適宜変更して実施するこ とができるが、熱硬化性樹脂と紙片又は紙粉との配合率を、重量比で１０：９０ から３０：７０とすることが望ましい。

【００１４】 さらに、この縁部保護シートの形状は、成形時に付与してもよいが、成形時に は平板状に成形し、ローラ等による押圧や、切削加工等の後加工で、折り曲げ用 溝部１２と緩衝用凹部１３を形成するようにしてもよい。また、素材としては、 上記の樹脂と紙材との成形品の他、板紙や段ボール紙を用いてもよい。

【００１５】 この縁部保護シート１は、図９の縁部保護部材と同様に、被保護物ａの両側に 縁部に装着され、紐や合成樹脂製のバンド等の適当な固定手段ｋによって、固定 される。この図９の縁部保護部材では、縁部保護部材として、断面コ字状のもの を用いているが、この実施例では、装着状態で断面Ｌ字状として実施している点 が相違する。尚、１つの被保護物ａの縁部に、１つの縁部保護シート１のみを装 着してもよいが、図１（Ｂ）に示すように、装着時に２つの縁部保護シート１、 １を組み合わせて、実質的に断面コ字状にしてもよい。また、被保護物が直方体 等の箱型の場合には、その４辺に縁部保護シート１を一つずつ装着すれば、その ４辺を保護することができる。

【００１６】 この装着状態において、被保護物ａの縁部の端面ｂには、板部１１が当接する が、緩衝用凹部１３と被保護物ａの縁部の角部分ｃとの間には、空間があくこと になる。このように、縁部保護シート１に緩衝用凹部１３を形成することにより 、このコーナー部分に衝撃が集中して加わっても、被保護物ａの縁部の角部分ｃ には、この衝撃が直接加わらず、角部分ｃを確実に保護することができる。 尚、この緩衝用凹部１３は、一方の板部１１のみに形成してもよく、また、全 く形成せずに実施することもできる。

【００１７】 上記の実施例では、縁部保護シートを１層構造で実施したが、適宜層数の多層 構造にて実施することもできる。図２の（Ａ）（Ｂ）は、その例を示すもので、 この実施例では、縁部保護シート１を、内層１ａ、中間層１ｂ、外層１ｃの３層 から構成している。この各層の素材は、上記の実施例のものと同様とすることが できる。例えば、内層１ａには段ボール紙、中間層１ｂには板紙、外層１ｃには 樹脂と紙片又は紙粉との成形品というように、各層を異なる素材で構成してもよ いが、一種類の素材で複数層を構成するようにしてもよい。製造方法としては、 先の実施例と同様の方法を採ることもできるが、１つの外層１ｃと、左右２つの 中間層１ｂ，１ｂ、左右の２つの内層１ａ，１ａとの計５部材を先に製造して、 これを順次貼り合わせることもできる。このようにすれば、押圧加工等を施さず とも、溝部や凹部を形成することができる。

【００１８】 また、縁部保護シートの表面側或いは裏面側の少なくとも何れか一方を、適当 なシート或いはフィルム等により被覆することもできる。図３の（Ａ）は、その 例を示すもので、この実施例では、縁部保護シート１を、内皮層１ｄ、内層１ａ 、外層１ｃ、外皮層１ｅの４層から構成している。内層１ａ、外層１ｃの２層の 素材は、上記の実施例のものと同様とすることができる。外層１ｃは、この縁部 保護シート１の全幅と同一の幅を持つ１枚のシート状体により構成することがで きるが、この実施例では、この縁部保護シート１の全幅の２分の１弱の幅を持つ ２枚のシート状体により構成している。また、内皮層１ｄと、外皮層１ｅの２層 は、クラフト紙、上質紙、ラミネート紙、合成樹脂フィルム、布、不織布の単体 や適宜複合材料等の適当な素材からなる薄手のシート状体１５，１６が用いられ ている。より詳しくは、内皮層１ｄとしては、商品に直接接触してその保護を行 うため、紙、布、アルミニウム等の金属箔、合成樹脂フィルム、発泡合成樹脂シ ート等を用いることが望ましい。外皮層１ｅは、２枚に分割されている外層１ｃ を回動可能に接続する機能を果たすため、布、合成樹脂フィルム等を用いること が好ましい。アルミニウム等の金属箔や、印刷性の良好な化粧紙等を用いる場合 には、２枚に分割されている外層１ｃを回動可能に接続するに足る強度を得る程 度の厚さにするか、或いは、布、合成樹脂フィルム等との積層構造にする。

【００１９】 図３の（Ｂ）はさらに他の実施例の縁部保護シート１の断面図である。この縁 部保護シート１は、図３の（Ａ）と同様に、内層１ａ、外層１ｃを備えるが、こ れらの全周を皮層１ｆにより被覆するようにした点が相違する。この皮層１ｆの 素材としては、上記の外皮層１ｅと同様の素材を用いるようにすることが好まし い。 尚、図３の（Ａ）及び（Ｂ）の内皮層１ｄ、外皮層１ｅ、皮層１ｆを、図１等 の他の実施例に施すことも当然可能である。また、図２及び図３の各実施例にお いても、緩衝用凹部１３を省略して実施することができる。

【００２０】 さらに、折り曲げ用溝部１２の数は、適宜変更して実施することができ、例え ば、図４の（Ａ）に示すように、２個設ければ、コ字状に折り曲げることができ 、図４の（Ｂ）に示すように３個設ければ、より円に近い形状に折り曲げること ができるものである。また、この実施例では、折り曲げ用溝部１２を内面側のみ ならず外面側にも設けているものである。

【００２１】 さらに、図９の縁部保護部材と同様に、被保護物ａの下端より縁部保護シート １の下端を突出させた状態で固定し、壁面（図示せず）等に立て掛けた状態で使 用すると、被保護物ａの下縁には保護シートを配位せずとも、下縁に傷がつくの を防止することができる。その際、被保護物ａのずり落ちを防止するために、図 ５（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、縁部保護シートの下端寄りに、ストッパー６ を形成して、このストッパー６に被保護物ａの下端角を係合させて、そのずり落 ちを防止することも有効である。

【００２２】 このストッパー６は、縁部保護シート１の中央の板部１１の一部を内側方向（ 図中の矢印方向）に突出させることにより形成されている。より詳しくは、板部 １１に横方向へ切り目７を形成すると共に、外側から内側方向（図中の矢印方向 ）に押圧することによって、板部１１の一部を突出させて、ストッパー６として いる。そして、この突出したストッパー６に被保護物ａの下端角を係合させて、 そのずり落ちを防止する。

【００２３】 このストッパー６の形状は適宜変更することができ、例えば、図６の（Ａ）及 び（Ｂ）に示すように、板部１１に横方向への切り目７と、縦方向の切り目８， ８とを形成して、外側から内側方向（図中の矢印方向）に押圧することによって 、形成することもできる。

【００２４】 また、図７の（Ａ）及び（Ｂ）に示すように、切り目を入れずに、押圧だけで 変形させることによってストッパー６を形成することも可能である。

【００２５】 さらに、図８に示すように、縁部保護シート１の下端を内側に折り曲げて２重 にすることによって、ストッパー６とすることもできる。この場合、内側に折り 曲げられた端面６１がストッパーとして機能する。

【００２６】 以上、本願考案は上記実施例の他、適宜変更して実施することができるもので あり、例えば、折り曲げ用溝部１２の角度は、６０度等の適宜数値に変更するこ とができ、また、その形状もＵ字状等の他の形状に変更することができる。

【００２７】

【考案の効果】

本願考案は、移送や保管の際にも嵩張ることなく、しかも、箱体や板状体や枠 体等の被保護物の縁部への装着を能率的に行うことのできる縁部保護シートを提 供することができたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は、本願考案の一実施例の縁部保護シー
トの断面図であり、（Ｂ）は同縁部保護シートの使用状
態の断面図である。

【図２】（Ａ）は、本願考案の他の実施例の縁部保護シ
ートの断面図であり、（Ｂ）は同縁部保護シートの使用
状態の断面図である。

【図３】（Ａ）は、本願考案のさらに他の実施例の縁部
保護シートの断面図であり、（Ｂ）は、本願考案のさら
に他の実施例の縁部保護シートの断面図である。

【図４】（Ａ）は、本願考案のさらに他の実施例の縁部
保護シートの断面図であり、（Ｂ）は、本願考案のさら
に他の実施例の縁部保護シートの断面図である。

【図５】（Ａ）は本願考案のさらに他の実施例の縁部保
護シートの使用状態における下端寄り部分を内側から見
た拡大図であり、（Ｂ）はその中央縦断面図である。

【図６】（Ａ）は本願考案のさらに他の実施例の縁部保
護シートの使用状態における下端寄り部分を内側から見
た拡大図であり、（Ｂ）はその中央縦断面図である。

【図７】（Ａ）は本願考案のさらに他の実施例の縁部保
護シートの使用状態における下端寄り部分を内側から見
た拡大図であり、（Ｂ）はその中央縦断面図である。

【図８】さらに他の実施例の縁部保護シートの使用状態
における下端寄り部分を内側から見た斜視図である。

【図９】本願出願人の提案に係る他の縁部保護部材の使
用状態を示す斜視図である。

【図１０】同縁部保護部材の断面図である。

【符号の説明】

１ 縁部保護シート １１ 板部 １２ 折り曲げ用溝部 １３ 緩衝用凹部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂と紙片又は紙粉との成形品や、
   厚紙や、段ボール紙等の紙材を含有する平板状のシート
   状体から構成され、 このシート状体が、複数の板部(11)(11)と、この板部(1
   1)(11)間に形成された折り曲げ用溝部(12)とから構成さ
   れ、 平板状態で移送保管することができると共に、上記の折
   り曲げ溝部(12)から折り曲げて、上記の複数の板部(11)
   (11)を箱体の稜線角部分や板状体・枠体の端縁部分等の
   被保護物(a) の縁部に当てがうことにより、その縁部を
   保護するようにした縁部保護シート。