JPH0636342Y2 - ロ−ラ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はローラー、詳しくはビデオカセツトレコーダ等
に用いると好適なローラーに関する。

（従来技術） 従来、この種のローラーとしては、第11図に示すよう
に、シヤフト10の外周部の上下に一対のラジアルボール
ベアリング11,12を配設し、このラジアルボールベアリ
ング11,12の外輪11a,12a間に円筒状のスペーサ13を配設
してラジアルボールベアリング11,12相互の位置決めを
行うと共に、それらの外周にローラー本体14を固定し、
シヤフト10に対しローラー本体14を回転可能に取付けて
構成したり、あるいはこの種の部品の他の応用例とし
て、第12図に示すように、ローラー本体側を軸受本体14
Aとして固定し、シヤフト10の端部にプーリー、デイス
ク、ターンテーブル等の回転体15Aを固定し、シヤフト1
0側を回転させるようにしていた。

しかして、これを組立てる場合、第11図を例として説明
すると、先ずローラー本体14内にスペーサ13を固定する
かたわら、例えば上フランジ15をシヤフト10に固定して
おき、上側のラジアルボールベアリング11を既にスペー
サ13が固定されたローラー本体14内に入れ、ついでシヤ
フト10をラジアルボールベアリング11の内輪11b内に挿
通した後、反対側のラジアルボールベアリング12を入
れ、その後、もう一方の下フランジ16をラジアルボール
ベアリング12の内輪12bに当接して固定していた。

（考案が解決しようとする問題点） しかるに、上記構成のローラーにおいては、塵等がラジ
アルボールベアリング11,12内に入り性能が低下するの
を防止するため、ラジアルボールベアリング11,12の内
部両側にシール部材Ｓを配設して成る、いわゆるＷシー
ル構造のものを用いており、このラジアルボールベアリ
ング11,12は、構成部品点数が多く、かつ組立が煩雑な
ことから、コスト高となつてしまう欠点を有していた。

また、上または下フランジ15,16の内端部にはラジアル
ボールベアリング11,12を固定すべくその内輪11b,12bと
の当接部15a,16aが必要であるなどし、かつスペーサ13
もラジアルボールベアリング11,12の外輪11a,12a間等に
それらと当接するように設けられるなどし、各部材の形
状、寸法に精度が要求され、この点もコスト高の一因と
なると共に、製造上に難点を有していた。

また、ラジアルボールベアリング11,12のもつ、クリア
ランス（４ケ所）分がローラー本体14の回転振となると
いう欠点があつた。

本考案は上記の点に鑑み提案されたもので、その目的と
するところは、コスト高の最大原因となるラジアルボー
ルベアリングを不用とし、かつ構成部品の形状を単純化
し各部品の製造が容易で部品費を低減せしめると共に、
構成部品点数が少なく、小型・軽量化を図ることがで
き、しかも組立が容易で全体として大巾なコストダウン
を図ることができ、かつ実用上十分な回転精度が得られ
るローラーを提供することにある。

（問題点を解決するための手段） すなわち、本考案は上記目的を達成するために円柱状を
なし、かつ外周部にボールの一部を受容する凹状のボー
ル受け部が形成されたシヤフトと、このシヤフトの外周
上に設けられ、かつテーパ部が前記ボールと接触してボ
ールを回転可能に保持するとともに、クリアランスを調
整可能なアウターレースと、このアウターレースを内周
面に有し、かつシヤフトの外側に位置するローラー本体
と、このローラー本体の内周面に設けられ、かつ組立時
に前記ボールの抜け落ちを防止する円筒状のスリーブと
を備え、前記アウターレース内周面とシヤフト外周面と
の間に防塵用の隙間が形成されて成ることを要旨として
いる。

（作用） 本考案ではシヤフト外周面に形成した凹状のボール受け
部と、ローラー本体内に設けたアウターレースのテーパ
部とによつてボールを回転可能に保持し、かつアウター
レースの内周面とシヤフト外周面間に防塵用隙間を形成
している。そして、組立時にボールの抜け落ち防止も考
慮してスリーブをローラー本体内に設けた構成とし、コ
ストダウンを達成すべく部品点数の減少、形状の単純
化、組立の容易化、かつ、小型・軽量化等を図りつつ実
用上十分な性能が得られるようにしている。

（実施例） 以下、図面に沿つて本考案の好ましい実施例を説明す
る。

第１図は本考案の第１実施例を示すもので、図中１は略
円柱状を呈するシヤフトで、このシヤフト１の外周部の
上下部分には切削加工等により弧状の凹部からなる一対
のボール受け部1aが互いに離間して形成され、これらの
ボール受け部1aに適数個の球状のボール２の一部が回転
可能にそれぞれ受容される。また、３は上下に設けられ
た円筒状を呈するアウターレースで、内端がテーパ状に
形成され、内側に向かつて径が順次拡大するこのテーパ
部3aが上下に設けられたボール２を保持すべくそれぞれ
ボール２と当接し、かつ内周面3bはシヤフト１の外周面
1bと非接触であり防塵用の隙間ｇを形成している。しか
して、アウターレース３の外周には円筒状のローラー本
体４が設けられ、このローラー本体４の内周面にアウタ
ーレース３の外周面が固定されている。また、離間した
一対のアウターレース３間に円筒状のスリーブ５が設け
られている。このスリーブ５は組立ての際ボール２の抜
け落ちを防止するためのものでその外周面がローラー本
体４の内周面に固定され、ボール２の近傍にそれぞれ外
端部が位置し、かつアウターレース３、ボール２および
シヤフト１等とは非接触となつている。なお、６はシヤ
フト１の上端部に固定され、ローラー本体４、アウター
レース３とは非接触の上フランジ、７はシヤーシ（図示
せず）等に取付けるための取付部7aを有し、かつシヤフ
ト１の下端部に固定された下フランジである。

組立てにあたつては、先ずローラー本体４の内部の略中
央にスリーブ５を圧入するなどして固定し、かつその内
部にシヤフト１を挿入する。ついで、上または下側のボ
ール２を適数個対応するボール受け部1aに入れ、かつグ
リスまたはオイルをその部分に注入する。しかる後、そ
のボール２をテーパ部3aによつて押えるべくローラー本
体４の開口部からその側に位置するアウターレース３を
入れてこのアウターレース３をローラー本体４の内周面
の適位置に固定する。その後、反対側のボール２、アウ
ターレース３等を同様にして入れ、上・下のフランジ6,
7をシヤフト１の各端部に固定すれば良い。なお、上記
の組立工程において、上・下のフランジ6,7を固定する
前にローラー本体４の回転精度の確認が可能で、アウタ
ーレース３の位置を微調整することによりボール２との
クリアランスを容易に調整でき好適な回転性能を得るこ
とができ、このようにしてシヤフト１に対しローラー本
体４を回転可能に支持することができる。なお、ボール
部への塵等の侵入は、アウターレース３の内周面3bがシ
ヤフト１の外周面1bに接近しており、この微少ギヤツプ
の防塵用隙間ｇによつて極少に防止し得る。

第２図は本考案の第２実施例を示すもので、この実施例
では第１実施例のローラー本体４を軸受本体4Aとして固
定側にし、かつシヤフト１の上端部にプーリー、デイス
ク、ターンテーブルまたはドラムの如き回転体6Aを固定
し、シヤフト１を軸受本体4Aに対し回転可能にして用い
ることを可能にしたことに特徴を有している。他の構成
については第１実施例と同様であるので、説明は省略す
る。

第３図は本考案の第３実施例を示すもので、この実施例
ではローラー本体４の内周面にアウターレース３を固定
せず摺動自在に嵌合し、その外側にそれぞれ設けられ、
かつローラー本体４の内周面に固定されるアウターレー
ス押え８により固定するようにし、この場合、上下の各
アウターレース押え８もしくはその何れか一方をゴムの
如き弾性部材とし、ボール２と接触するアウターレース
３に予圧を与え、ボール転送面の摩耗によるガタを防止
するようにした点に特徴を有している。

他の構成は第１実施例と同様である。

第４図は本考案の第４実施例を示すもので、この実施例
ではアウターレース３とアウターレース押え８との間に
スプリング９の如き弾性部材を縮設し、これによりアウ
ターレース３に予圧を与えるようにしたものである。

第５図は本考案の第５実施例を示すもので、この例で
は、何れか一方のアウターレース押えをアウターレース
調整ネジ8A構造とし、かつローラー本体４の内周面にそ
のネジ部と螺合するネジ部4aを形成し、このクリアラン
ス調整用のアウターレース調整ネジ8Aによりアウターレ
ース３の位置を調整しボール２とアウターレース３との
クリアランス調整を行えるようにしている。なお、他方
のアウターレース押え８はローラー本体４に対し固定さ
れるものである。

第６図は本考案の第６実施例を示す。第１ないし第５実
施例においてはボール部が２ケ所設けられていたが、以
後の各実施例ではボール部が１ケ所のタイプを示す。

すなわち、円柱状のシヤフト１の外周部の一部に弧状の
凹部にてなるボール受け部1aが形成され、このボール受
け部1aとローラー本体４の内周面に固定されたアウター
レース３のテーパ部3aとによつてボール２が回転可能に
保持されている。なお、ボール２、アウターレース３の
テーパ部3aの近傍に、ローラー本体４の内周面に固定さ
れる円筒状のスリーブ５が設けられている。この場合、
アウターレース３の内周面、スリーブ５の内周面とシヤ
フト１の外周面間に防塵用隙間ｇが形成される。

組立てにあたつては、ローラー本体４内にスリーブ５を
固定した後にシヤフト１を内部に挿入し、かつボール２
を他方の開口部側から適数個入れてボール受け部1aに位
置させる。この場合、ボール２の抜け落ちはスリーブ５
によつて防止される。ついでローラー本体４内にアウタ
ーレース３をテーパ部3a側から入れて適位置に固定させ
れば良い。

第７図は本考案の第７実施例を示すもので、この実施例
ではローラー本体４の一端部内周面にシヤフト１に向か
つて延びるスリーブ４′を一体形成した点が第６実施例
と異なつている。他の構成は同様である。

第８図は本考案の第８実施例を示すもので、この実施例
では、第６実施例においてアウターレース３をローラー
本体４の内部に遊嵌せしめ、その外側に配置される弾性
部材からなるアウターレース押え８によつてアウターレ
ース３を固定し、アウターレース押え８の弾性によつて
予圧を与えボール転送面の摩耗によるガタの防止を図つ
たものである。他の構成は第６実施例と同様である。

第９図は本考案の第９実施例を示すもので、ローラー本
体４内に遊嵌されたアウターレース３の外端とローラー
本体４内に固定されるアウターレース押え８の内端を離
間せしめ、その間にスプリング等の弾性部材９を縮設
し、これによりアウターレース３に予圧を与えるように
した点が第８実施例と異なつている。この場合、アウタ
ーレース押え８は別段弾性部材とする必要はないことは
云うまでもない。

第10図は本考案の第10実施例で、この例ではアウターレ
ース３の外側であつてローラー本体４の内周部にアウタ
ーレース調整ネジ8Aを設け、これによりクリアランス調
整を可能としている。

なお、第３実施例ないしこの第10実施例においても、第
２実施例のように、ローラー本体４を軸受本体4Aとし、
軸受本体4Aに対しシヤフト１を回転可能にして用いるこ
とも可能であることは勿論である。

なお、上記各実施例においてアウターレースはその製造
過程でバレル研摩される。したがつて、テーパ部に代
え、単に円筒状のアウターレースであつてもバレル研摩
すると角度が多少丸味を帯びるため、このアウターレー
スを用いその部分にてボールを受けるように構成するこ
とも可能である。

（考案の効果） 以上のように本考案によれば、ラジアルボールベアリン
グを用いることなく、シヤフトに凹状のボール受け部を
形成し、このボール受け部とローラ本体の内周面に設け
たアウターレースのテーパ部とによつてボールを回転可
能に保持し、かつアウターレースとシヤフト間に防塵用
隙間を形成し、また、組立時にボールの抜け落ちを防止
するためスリーブを設けて構成したから、 （イ）高価なＷシール構造のラジアルボールベアリング
が不用となり、その分コストダウンを図ることができ
る。

（ロ）シヤフト回りの部品は最低限ボール、アウターレ
ース、スリーブおよびローラー本体の４点で済み、アウ
ターレースは防塵用の部材としても兼用され、部品点数
が従前に比べ削減し、かつ各部品の形状は単純であるた
め、製造が容易で、部品費が安く、組立も容易である。

（ハ）ボールの一部をシヤフトのボール受け部に収納す
る構造となつているため、小型化を図ることができ、か
つ部品点数が少ないために軽量化をも達成し得る。

（ニ）組立時にアウターレースの位置を微調整すること
により任意、かつ容易にクリアランス調整を行うことが
できる。

等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第10図はそれぞれ本考案の第１ないし第10
実施例の内部構造を示した断面図、第11図および第12図
はそれぞれ従来例である。 １……シヤフト、1a……ボール受け部、２……ボール、
３……アウターレース、４……ローラー本体、4A……軸
受本体、５……スリーブ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】円柱状をなし、かつ外周部にボールの一部
   を受容する凹状のボール受け部が形成されたシャフト
   と、このシャフトの外周上に設けられ、かつテーパ部が
   前記ボールと接触し前記ボール受け部と相俟ってボール
   を回転可能に保持するとともに、クリアランスを調整可
   能なアウターレースと、このアウターレースが内周面に
   固定され、かつシャフトの外側に位置するローラー本体
   と、このローラー本体の内周面に設けられ、かつ組立時
   に前記ボールの抜け落ちを防止する円筒状のスリーブと
   を備え、前記アウターレース内周面とシャフト外周面と
   の間に防塵用の隙間が形成されて成るローラー。