JPH0632832U - 金属積層形シリンダヘッドガスケット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属積層形のシリンダヘッドガスケットにお
いて、燃焼室穴シール部における金属板の積層厚さを他
の平坦部よりも厚く形成し、その部分に締め付け時の面
圧を集中させるに当り、そのシール部における金属板の
積層厚さを簡易な手段によって部分的に任意に調整可能
とし、しかも、積層厚さの連続的な変化により面圧が不
連続的に変化しないようにしたシール手段を得る。 【構成】 燃焼室穴シール部１５において積層した金属
板１の一部を折り返して他の金属板２，３を挟み込むこ
とにより、該燃焼室穴シール部１５における金属板の積
層厚さを他の平坦部よりも厚く形成し、締め付け時の面
圧を集中させる。その際、積層した金属板における上記
折り返し部分１ａが当接する部分に、部分的な圧縮変形
により金属板の積層厚さを調節する段差３ａを形成し、
この段差の深さを、シリンダヘッドの締付け時における
面圧を高めるべき部分において浅くし、他の深い部分と
の間においてはその深さを連続的に変化させる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内燃機関のシリンダヘッドガスケットとして用いる金属積層形ガス ケットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドとの間に装着される金属 積層形のシリンダヘッドガスケットでは、２枚またはそれ以上の複数枚の金属板 を積層している。そして、このようなガスケットでは、燃焼室穴の周囲のシール 部における金属板の積層厚さを他の平坦部よりも厚く形成するため、燃焼室穴の 周囲の金属板を折り返し、その折り返し部により他の金属板を挟み込むなどの手 段が用いられている。

【０００３】 しかしながら、このような手段によって燃焼室穴シール部における積層厚さの 調整を行っても、シリンダヘッドの締付け時におけるシール部の面圧に部分的な 差異が生じ、特に、燃焼室穴間や、シリンダヘッドの締付けボルトから離れた位 置では、十分な面圧が得られないという問題がある。そこで、燃焼室穴間のシー ル部においては、積層した金属板に薄い金属補助板を部分的にさらに積層し、そ の部分の積層厚さを大きくして面圧を調整しているが、その補助板を積層した部 分において積層厚さが不連続的に変化するため、面圧も不連続的に変化するとい う新たな問題が発生する。しかも、上記補助板という余分の金属板を所要の位置 に配する必要があり、組立が煩雑化するという欠点もある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の技術的課題は、金属積層形のシリンダヘッドガスケットにおいて、燃 焼室穴シール部における金属板の積層厚さを他の平坦部よりも厚く形成し、その 部分に締め付け時の面圧を集中させてシール効果を高めるに当り、そのシール部 における金属板の積層厚さを簡易な手段によって部分的に任意に調整可能とし、 しかも、積層厚さの連続的な変化により面圧が不連続的に変化しないようにした シール手段を得ることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案は、複数枚の金属板を積層することにより形 成し、燃焼室穴の周囲のシール部における積層した金属板の一部を折り返して他 の金属板を挟み込むことにより、該燃焼室穴シール部における金属板の積層厚さ を他の平坦部よりも厚く形成し、その部分に締め付け時の面圧を集中させるよう にしたシリンダヘッドガスケットにおいて、上記積層した金属板における上記折 り返し部分が当接する部分に、部分的な圧縮変形により金属板の積層厚さを調節 する段差を形成し、この段差の深さを、シリンダヘッドの締付け時における面圧 を高めるべき部分において浅くし、他の深い部分との間において連続的に変化さ せるという技術的手段を用いている。

【０００６】 上記金属積層形シリンダヘッドガスケットにおいては、シリンダヘッド締付け 用のボルト穴の近傍における段差を深くし、ボルト穴から離れるに従って段差を 浅くすることができる。

【０００７】

【作用】

上記シリンダヘッドガスケットにおいては、燃焼室穴の周囲のシール部におけ る積層した金属板の一部を折り返して、該燃焼室穴シール部における金属板の積 層厚さを他の平坦部よりも厚く形成し、締め付け時の面圧を集中させるに際し、 積層した金属板における上記折り返し部分が当接する部分に、部分的な圧縮変形 により金属板の積層厚さを調節する段差を形成し、しかも、この段差の深さを締 付け時の面圧を高めるべき部分において浅くし、他の深い部分との間において連 続的に変化させているので、前記補助板を用いる場合のように面圧が不連続的に 変化するようなことはない。そして、燃焼室穴シール部における金属板の積層厚 さを部分的に任意に調整し、全体的に所要の面圧分布を有するシール部を簡易に 得ることができる。

【０００８】

【実施例】

図１ないし図３は、本考案に係る金属積層形シリンダヘッドガスケットの実施 例を示し、このガスケットは、金属板により形成した外板１，２と、それらの間 に包合された中板３を備え、必要数の燃焼室穴１１の他に、必要な水穴、オイル 穴等を備え、さらに、燃焼室穴１１の周囲に均等的に配置されたボルト穴１２を 備えている。

【０００９】 上記燃焼室穴１１の周囲に設けた燃焼室穴シール部１５においては、図２及び 図３に詳細に示すように、積層した金属板（外板１）の一部を折り返し、この折 り返し部分１ａによって他の金属板（外板２及び中板３）を挟み込み、それによ って、積層した金属板を全体的に止着している。

【００１０】 而して、積層した金属板における上記折り返し部分１ａが当接する部分の金属 板（中板３）には、コイニング加工による部分的な圧縮変形により段差３ａを形 成している。この段差３ａは、金属板の積層厚さを調節するためのもので、積層 した任意の金属板に形成することができ、その加工深さは上記金属板の折り返し 部分１ａの厚さよりも浅く、従って、該折り返し部分１ａの厚さとこの圧縮加工 部の深さとの差だけ、流体穴シール部が他の平坦部よりも厚く形成されることに なる。

【００１１】 また、この段差３ａの深さは、図２に示す隣接燃焼室穴１１間のように、シリ ンダヘッドの締付け時における面圧を高めるべき部分においては浅くし、またボ ルトによる締付け部分近傍のように必然的に面圧が得られ、あるいはその他の特 に面圧を高める必要がない部分は深くし、これらの浅い部分と深い部分との間に おいてはその深さを連続的に変化させている。一般的には、シリンダヘッド締付 け用のボルト穴１２の近傍における面圧が、そのボルト穴１２に挿入して締付け るボルトの締付け力により比較的高くなり、ボルト穴１２から離れるに従って面 圧が低下するため、図３に示すように、ボルト穴１２の近傍では段差３ａを深く し、ボルト穴１２から離れるに従って図２のように段差３ａを浅くする必要があ る。

【００１２】 上記コイニング加工による金属板の圧縮変形によって部分的に段差３ａの深さ を変化させれば、面圧を高める部分に予め必要な厚さの金属板を部分的に積層す る場合に比して、段差３ａの深さを連続的に調整することができ、その深さと折 り返し部分１ａの板の厚さの関係を微小に変化させて、燃焼室穴シール部１５の 面圧を全体的に任意に調整することが可能になる。また、予め必要な厚さの金属 板を部分的に積層する場合に比して、面圧の調整を非常に容易に行うことができ る。

【００１３】 積層する金属板は、２枚であっても、あるいは３枚以上であってもよく、必要 に応じて、いずれかの金属板にビードを設けることもできる。 図４の第２実施例は、２枚の積層した金属板５，６に対し、外板４の一部４ａ を折り返してそれらの金属板５，６を挟み込むことにより止着し、金属板５にコ イニング加工による段差５ａを形成すると共に、金属板６にビード６ａを設けた 場合を示している。

【００１４】 また、図５の第３実施例は、ガスケットが、金属板８，９、及びそれらを折り 返し部分７ａにより包合する外板７を有し、燃焼室穴の内周に沿ってワイヤリン グ１０を内装した場合を示している。この場合には、ワイヤリング１０の内装に より、その部分に締め付け時の面圧を集中させてシール効果を高めることができ るが、それとは別に、前記第１実施例と同様に、金属板からなる外板７の折り返 し部分７ａが当接する部分において、金属板９にコイニング加工による部分的な 圧縮変形により段差９ａを形成している。なお、ワイヤリング１０は、締め付け 時における該ワイヤリング１０の変形を予測し、金属板の積層された流体穴シー ル部との関連において適切な材料で適切な寸法に設定されるべきである。

【００１５】 上記第２及び第３実施例における各段差５ａ，９ａの深さは、シリンダヘッド の締付け時における面圧を高めるべき部分において浅くし、他の深い部分との間 において連続的に変化させることは勿論である。 また、以上においては、燃焼室穴１１の周囲のシール部１５について説明した が、その他の流体穴のシール部については、同様な手段を用いることもできるし 、他のビード等による適宜シール手段を用いることもできる。

【００１６】

【考案の効果】

以上に詳述したように、本考案によれば、金属積層形のシリンダヘッドガスケ ットにおいて、燃焼室穴シール部における金属板の積層厚さを他の平坦部よりも 厚く形成し、その部分に締め付け時の面圧を集中させてシール効果を高めるに当 り、そのシール部における金属板の積層厚さを簡易な手段によって部分的に任意 に調整することができ、しかも、積層厚さの連続的な変化により面圧が不連続的 に変化しないようにしたシール手段を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る金属積層形ガスケットの実施例を
示す部分平面図である。

【図２】図１におけるＡ−Ａ位置での要部拡大断面図で
ある。

【図３】図１におけるＢ−Ｂ位置での要部拡大断面図で
ある。

【図４】第２実施例における図３と同様な位置での要部
拡大断面図である。

【図５】第３実施例における図３と同様な位置での要部
拡大断面図である。

【符号の説明】

１，２，４，７ 外板、 １ａ，４ａ，７ａ 折り返し部分、 ３ 中板、 ３ａ 段差、 ５，６，８，９ 金属板、 １１ 燃焼室穴、 １２ ボルト穴、 １５ 燃焼室穴シール部。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数枚の金属板を積層することにより形成
   し、燃焼室穴の周囲のシール部における積層した金属板
   の一部を折り返して他の金属板を挟み込むことにより、
   該燃焼室穴シール部における金属板の積層厚さを他の平
   坦部よりも厚く形成し、その部分に締め付け時の面圧を
   集中させるようにしたシリンダヘッドガスケットにおい
   て、 上記積層した金属板における上記折り返し部分が当接す
   る部分に、部分的な圧縮変形により金属板の積層厚さを
   調節する段差を形成し、 この段差の深さを、シリンダヘッドの締付け時における
   面圧を高めるべき部分において浅くし、他の深い部分と
   の間において連続的に変化させた、 ことを特徴とする金属積層形シリンダヘッドガスケッ
   ト。
2. 【請求項２】請求項１に記載のシリンダヘッドガスケッ
   トにおいて、シリンダヘッド締付け用のボルト穴の近傍
   における段差を深くし、ボルト穴から離れるに従って段
   差を浅くしたことを特徴とする金属積層形シリンダヘッ
   ドガスケット。