JP2584488B2 - 耐摩耗性アルミニウム合金の加工方法 - Google Patents

耐摩耗性アルミニウム合金の加工方法

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JP2584488B2 JP63130543A JP13054388A JP2584488B2 JP 2584488 B2 JP2584488 B2 JP 2584488B2 JP 63130543 A JP63130543 A JP 63130543A JP 13054388 A JP13054388 A JP 13054388A JP 2584488 B2 JP2584488 B2 JP 2584488B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐摩耗性アルミニウム合金の製造に係り、特
に高耐摩耗性を必要とする摺動部材、機械部品等々に使
用可能なアルミニウム合金の加工方法に関するものであ
る。
(従来の技術) ここ数年、金属溶湯の急冷凝固法の急激な発達に伴
い、多量のSiを添加した高力耐摩耗性アルミニウム合金
が開発されている。また、この急冷凝固アルミニウム合
金粉末にSiC等のセラミックス粒子を添加し、耐摩耗性
特性のより一層の向上を図った複合材料の研究開発も盛
んに行われている(特開昭52−109415号参照)。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、アルミニウムにセラミックス粒子を添加す
る方法としては、アルミニウム溶湯中にSiC等のセラミ
ックス粒子を添加し、耐摩耗性の向上を狙った研究開発
も行われている。しかし、溶湯中にセラミックス粒子を
均一に添加するにはアルミニウムとセラミックス粒子と
の比重差等により非常に難しい技術を必要とする。
一方、アルミニウムの急冷凝固粉末を用いた場合は、
セラミックス粒子との複合化は比較的容易ではあるが、
製造された材料を摺動部材として使用する際、セラミッ
クス粒子は金属材料に比べ非常に硬い材料であるため、
相手材の金属を疵つけるといった問題がある。
また、急冷凝固アルミニウム粉末を用いる場合には、
その緻密化のための手段として熱間押出し法が一般的に
採用されているが、材料保留が悪く、加工工程も複雑で
ある。しかも、固体潤滑剤、特に黒鉛粉末等をアルミニ
ウム合金に添加し、熱間押出しを行うと、固体潤滑剤が
押出し方向に薄く流れるため、高潤滑特性が得られなか
ったり、潤滑剤を介在する部分から剥離したりする等の
問題がある。
また、セラミックス粒子を分散させたアルミニウム合
金は、切削性が悪化するので、機械部品等への成形加工
には適さず、用途が限定されるという欠点があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためにな
されたものであつて、相手材を疵つけることなく、しか
も高耐摩耗性を有するアルミニウム合金を材料保留良
く、安価に製造できる方法を提供することを目的とする
ものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明者等は、前記従来技術の問題点を解決するため
に鋭意研究、開発を行った。その結果、アルミニウム合
金粉末に固体潤滑剤又は固体潤滑剤とセラミックス粒子
を特定量で添加して混合粉末とし、まず最終形状に近い
金型に充填して真密度比70〜95%のプリフォームを作成
した後、不活性雰囲気中で焼結し、その後、直ちに最終
形状に近い鍛造型内で熱間鍛造を行えば、最終製品に近
い形状のものが得られ、切削加工等の後加工を殆ど必要
とせず、したがって、材料保留良く安価に高耐摩耗性ア
ルミニウム合金が製造可能であることが判明した。しか
も、固体潤滑剤の作用により相手材を疵つけることのな
い高耐摩耗性を有するアルミニウム合金成形体が得られ
ることが明らかとなった。
そこで、更にそれらのためのプロセス条件を詳細に検
討して、ここに本発明をなすに至ったものである。
すなわち、本発明は、アルミニウム合金粉末に固体潤
滑剤を2〜20wt%添加混合するか、或いは固体潤滑剤2
〜20wt%と硬質粒子2〜20wt%を添加混合した混合粉末
を、常温〜300℃の温度で成形して真密度比70〜95%の
プリフォームを製造し、次いで該プリフォームを450〜6
00℃の真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結した後、200
〜550℃の温度で鍛造して真密度比95%以上の成形体を
得ることを特徴とするものである。これにより、該固体
潤滑剤又は該固体潤滑剤と硬質粒子が該基地に均一に分
散している組織を得ることができる。特に、硬質粒子の
みを添加した場合に比べ、固体潤滑剤と硬質粒子を共に
添加すると、相手材を疵つけることなく耐摩耗性、強度
を一層向上させることができる。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
アルミニウム合金は、その軽量という特性を活かし、
自動車用部品のピストン、コロッド、リテーナー等の用
途が期待されている。これらの用途では強度以外に耐摩
耗性も必要とされているため、前述の如く、従来よりア
ルミニウム合金に耐摩耗性を与える研究、開発が多く試
みられてきたのである。
すなわち、一つの方法として、アルミニムウ金と固体
潤滑剤とを複合化し、相手材とアルミニウム合金との摩
擦係数を小さくすることにより、耐摩耗性を向上するこ
とが試みられている。アルミニウム合金の粉末冶金はそ
の粉末表面の酸化皮膜のために通常の圧粉成形〜焼結で
は強固な粉末間の結合が得られない。そのため、一般的
に、アルミニウム合金の粉末冶金には熱間押出し法が用
いられている。しかし、この手法では、熱間押出し時の
大きな剪断力により固体潤滑剤が引き伸ばされてアルミ
ニウム合金中に存在するため、そこでのアルミニウム粉
末同志の結合が十分に起こらず、その影響が大きくなる
とそこから割れが入るという問題が起こる。
そこで、本発明者等は、焼結鍛造法の適用を検討する
ために、まず基礎試験として、大気アトマイズ法により
得られた100メッシュ以下のAl−16.0%Si−3.0%Cu−1.
0%Mg合金粉末に固体潤滑剤を5wt%添加し、混合した
後、冷間成形により35×95×30mmで密度比75%のプリプ
ォームを作成し、500℃×30minの条件でN2雰囲気中で焼
結した。その後直ちに400℃に加熱した金型内にて面圧8
ton/cm2にて大気中に鍛造した。
これらの焼結鍛造材から摩耗試験片を切り出し、大越
式摩耗試験機により摩耗特性を調べた。その結果を第1
図に示す。同図より、いずれの摩耗速度においても比摩
耗量が10-8mm/kgオーダーと非常に高い耐摩耗特性を示
すことが明らかとなった。
以上の基礎実験の好結果に基づき、更に各種条件につ
いて詳細に研究を重ねた結果、アルミニウム合金粉末に
固体潤滑剤を添加して耐摩耗性アルミニウム合金を加工
する方法を見い出したものである。
また、本発明者等は、耐摩耗性を向上させる別の方法
としてセラミックス粒子との複合化があるので、上記方
法にこれを適用する手法についても研究を重ねた。すな
わち、この複合化の方法は鋳造法によるものより粉末冶
金手法の法が均一分散性の意味からは有利であるが、セ
ラミックス粒子は非常に硬いために、摺動部材として用
いた場合、相手材を逆に傷つけ削りとるような現象が起
こるという問題がある。そこで、上記加工方法におい
て、固体潤滑剤と併用するならば、摩耗係数を下げるこ
とにより相手材を保護できることが判明した。
しかし、この場合も単に熱間押出ししたのでは前記と
同様の理由により結合が十分に進ます、割れが入り易い
という欠点は避け得ず、また成形後の切削加工時にも割
れが発生し易い。
そこで、以下に説明するように、本発明においては、
アルミニウム合金粉末に固体潤滑剤又は固体潤滑剤と硬
質粒子を適量混合した混合粉末を、やゝ高温で予備成形
して焼結した後に熱間鍛造加工することにより、割れの
発生もなく、切削加工を省いて歩留り良く成形体を得る
ことが可能となったのである。
次に本発明の限定理由について説明する。
本発明で使用するアルミニウム合金粉末は、組成上特
に制限されるものではないが一般に高強度(常温強度、
高温強度)、高耐摩耗性、高剛性、低熱膨張等のうちの
少なくとも1つの特性を要求される部材に使用される組
成のものが多用され、例えば、Al−高Si系、Al−Fe−Mo
系、Al−Cu系、Al−Si−Mg系、Al−Zn−Mg系等々を挙げ
ることができる。
具体的に例示するならば、Al−10〜30%Si系又はこれ
にCu:0.5〜5.0%及び/又はMg:0.2〜3.0%を含む組成の
場合には、特に150℃位までの高温強度に優れるほか、
耐摩耗性にも優れ、高剛性、低熱膨張であるので、コン
ロッドやロッカーアームなどの自動車部品に適してい
る。またAl−10〜30%Si−1〜15%(Fe、Mn及びNiのう
ちの少なくとも1種)系の場合には、特に200℃位まで
の高温強度に優れるほか、耐摩耗性にも優れ、高剛性、
低熱膨張であるので、ピストン、コンロッド、バルブリ
テーナーなどの自動車部品に適している。
また、Al−6〜10%Fe−1〜4%Mo系の場合には、特
に200〜350℃の範囲での高温強度に優れていると共に高
剛性で優れ、低熱膨張でもあるので、コンロッドなどの
機械構造部品に適している。
また、Al−1.5〜6.0%Cuの2000番系(AA規格合金名、
以下同じ)の場合には、高剛性で優れ、常温で高強度で
あるので、ネジ等の機械部品に適している。更にAl−0.
3〜1.8%Si−0.4〜1.6%Mgの6000番系の場合には、高剛
性で優れ、高強度でもあるので、機械部品、車両部品な
どに適している。同様にAl−3.5〜8.0%Zn−0.5〜3.5%
Mgの7000番系の場合には、高剛性で優れ、高強度でもあ
るので、機械部品、車両部品、航空機材、高速回転体な
どに適している。
なお、アルミニウム合金粉末は100メッシュ以下のも
のが望ましい。
本発明では、このようなアルミニウム合金粉末に固体
潤滑剤を0.5〜20wt%混合した混合粉末、或いはこの固
体潤滑剤の他に更に硬質粒子を2〜20wt%混合した混合
粉末を準備し、これに以後の加工処理を施すことによ
り、アルミニウム合金基地中に固体潤滑剤或いは固体潤
滑剤と高硬度である効率粒子とを均一に分散させるので
ある。
固体潤滑剤の添加量は0.5〜20wt%が適当である。添
加量が0.5wt%未満であると耐摩耗性が改善されず、固
体潤滑剤を添加するメリットがない。また20wt%を超え
て添加すると粉末成形が困難になるので好ましくない。
固体潤滑剤としてはBN、黒鉛粉末、黒鉛チョップ、MoS2
等々、高温で分解しないものが使用でき、これらの1種
又は2種以上を使用する。なお、2種以上が添加の場合
は合計で2〜20wt%とするのが望ましい。サイズは5〜
50μmの粉末でも良いし、50〜500μm程度のチョップ
上のものでも支障はない。
また、固体潤滑剤と共に硬質粒子を添加する場合に
は、硬質粒子の添加量は2〜20wt%が適当である。添加
量が2wt%未満であると固体潤滑剤のみの効果しか得ら
れず、添加のメリットがない。また20wt%を超えると、
硬質粒子単独添加であれば成形は可能であるが、固体潤
滑剤が同時に入ることにより、成形性の点で問題となる
ので、好ましくない。
硬質粒子の粒子径は5〜50μmの範囲が望ましく、5
〜30μmが好ましい。5μm以下では粒子表面の活性化
エネルギーが増大し、粒子同志が凝集して基地中に分散
しにくくなり、混合手段として高エネルギーボールミル
等のコスト高の方法が必要となるので、好ましくない。
また50μmを超えると分散強化が期待できなくなるだけ
でなく、硬質粒子がAl合金粉末の接触を妨げるようにな
り、結果としてプリフォームの成形性を悪くする。
このような硬質粒子としては、SiC、Si3N4、Al2O3
どを一例とする高強度の各種炭化物、窒化物、酸化物の
粒子を用いることができ、それらの1種又は2種以上を
上記添加量で添加することができる。なお、2種以上を
添加するときは合計で2〜20wt%の範囲とするのが望ま
しい。硬質粒子を均一に分散させるには、V型混合機等
を用いて充分攪拌すれば良い。
次いで、上記のように調整した混合粉末を常温〜300
℃の温度で予備成形して真密度比70〜95%のプリフォー
ムを製造する。真密度比が70%未満であるとプリフォー
ムのコーナー部が欠ける等、ハンドリング上の問題が生
じる。真密度比が70%以上になれば、ハンドリング上の
このような問題は生じない。
しかし、真密度比を95%以上にするためには成形圧を
高める必要があり、大きなプレスを必要とするため、設
備費が高価になる。この傾向は、高合金粉のような硬質
粉末の場合に顕著である。また、圧粉成形後の真密度比
95%以上とすることは、その後の焼結工程における脱ガ
スを阻害するという問題がある。真密度比が95%以上に
なると、成形体中に存在する空孔の多くは閉塞空孔(Cl
osed Pore)となるため、Al合金粉末表面に形成されて
いる酸化皮膜Al2O3・3H2Oの結晶水或いは付着、吸着水
が加熱によって分解、発生する水素を主とするガスの成
形体外への逸脱が阻害され、焼結後の成形体は多量のガ
スを含有していたり、或いはブリスターと呼ばれる成形
体表面のふくれが発生したりする問題がある。これを防
ぐには、真密度比95%以下で真空脱気処理等を施し、吸
着水や結晶水を除去しておくのが効果がある。
プリフォームの成形には金型成形や冷間又は熱間静水
圧成形を用いるが、材質に応じ、常温或いは300℃まで
の高温で成形することが可能であり、特に高温成形によ
れば低い成形圧で高真密度比が実現される。例えば、20
00番系〜7000番系のアルミニウム合金粉末に固体潤滑剤
又は固体潤滑剤と共に硬質粒子を混合した場合には、常
温で成形することができ、成形圧力は3tonf/cm2程度で
よい。一方、Al−高Si系のアルミニウム合金粉末に固体
潤滑剤又は固体潤滑剤と共に硬質粒子を混合した場合に
は、常温で成形するとき6tonf/cm2程度の成形圧である
が、200℃程度の高温で成形するときは2tonf/cm2位の成
形圧で容易に予備成形することができるので、高温成形
が好ましい。
予備成形後は、プリフォームは450〜600℃の真空又は
不活性雰囲気中で詳説される。大気中で焼結した場合に
は脱ガスが十分に進行しない。成形体のガス量は5cc/10
0g・Al混合物以下が好ましい。このため、真空又は不活
性雰囲気中で焼結することが必要である。真空の場合、
真空度は0.1Torr以下、望ましくは0.01Torr以下にする
のがよい。Ar、N2のような不活性雰囲気では露点が−10
℃以下、望ましくは−20℃以下になるように不活性雰囲
気をコントロールするとよい。焼結温度が450℃より低
いと焼結の進行が遅く、また、アルミニウム酸化物表面
に吸着した水分や結晶水を完全に除去することができな
い。600℃より高いと焼結は進行するものの組織の粗大
化が生じ、機械的特性の劣化が生ずるので好ましくな
い。焼結温度は材質に応じて決めることができ、Al−高
Si系のアルミニウム合金を用いたときは450〜550℃でよ
いが、2000番〜7000番系のアルミニウム合金を用いたと
きは母相の融点が高いので450〜600℃の範囲で焼結す
る。なお、焼結時間は、プリフォームの大きさに応じて
適宜決定し、均一加熱を図る。
鍛造は、200〜550℃の温度にて行い、熱間鍛造後の成
形体の真密度比を95%以上にする。鍛造によってAl合金
粉末に十分な塑性変形を与え、その表面に形成されてい
る酸化皮膜を破壊して新生活性表面を現出させるために
は、Al合金混合粉末を200℃以上に加熱し軟化させてお
くのが好ましい。このためには、プリフォームを200℃
以上に保持するだけでなく、鍛造用金型も200℃以上に
加熱保持しておくとよい。温度が550℃を超えると、組
織の粗大化が生じ機械的性質の劣化が生ずるので好まし
くない。鍛造温度は材質に応じて決定し、2000番〜7000
番系のAl合金粉末を用いたものは低目の温度でよいが、
Al−高Si系のAl合金粉末を用いたものは高目の温度を選
択するのがよい。なお、プリフォームの加熱は焼結時の
加熱と兼ねるのが望ましく、プリフォームの温度降下及
び大気中にさらされることによるガス量の増加を少なく
するため、焼結炉から取り出した後、直ちに鍛造するこ
とが望ましい。もし、鍛造前のプリフォームの加熱を焼
結時の加熱とは別途に行なうのであるならば、真空或い
は不活性雰囲気中で450〜550℃に加熱することが必要で
あり、炉から取り出した後の配慮は前記と同じである。
鍛造後の成形体の真密度比が95%より低いと、機械的性
質に劣るので、好ましくない。
なお、鍛造後は必要に応じて再焼結(調質焼鈍)を行
うことができる。、再焼結は450〜550℃で行うのが好ま
しい。再焼結の目的は、鍛造時に生じた新生活性面の焼
結を十分に行うためであり、このためには450℃以上で
行う必要がある。
550℃より温度が高いと組織の粗大化が生じ、引張強
度等の機械的性質が劣化するので、好ましくない。再焼
結は大気中で行っても支障ないが、望ましくは真空或い
は不活性雰囲気が良い。再焼結の際、鍛造後の成形体の
ガス量が5cc/(100g・Al混合物)より多いと、ブリスタ
ーが発生したり或いは機械的性質の劣化が生ずるため、
再焼結の本来の目的を達成することができ難くなる。
(実施例) 次の本発明の実施例を示す。
実施例1 大気アトマイズ法によって製造したAl−Si系合金粉末
及びAl−Si系にFeを添加したAl合金粉末に、第1表及び
第2表に示す材料組合せ及び添加量にて、固体潤滑剤と
してBN、黒鉛粉末、黒鉛チョップ及びMoS2を、また硬質
粒子としてSiC、Si3N4、及びAl2O3のセラミックス粉を
使用し、固体潤滑剤の単独添加の場合は0.5〜10wt%、
固体潤滑剤及びセラミックス粉の複合添加の場合はそれ
ぞれ2wt%又は5wt%添加し、面圧6ton/cm2で35×95×30
mmのプリフォームを冷間成形にて作成した。得られたプ
リフォームの真密度比は73〜78%であった。
次いで、これらのプリフォームを露点−20℃以下のN2
雰囲気中で500℃、30minの条件で焼結した。焼結後炉内
からプリフォームを取出し、400℃に加熱した金型にて
大気中、8ton/cm2で鍛造した。得られた焼結鍛造材の真
密度比はいずれも99%以上であった。
このようにして得られた焼結鍛造材から摩耗試験片を
切り出し、大越式摩耗試験機により摩耗試験を実施して
比摩耗量を測定し、耐摩耗性を評価した。その結果を第
1図〜第9図に示す。なお、試験条件としては、相手材
にFC25を用い、摩耗距離600m、最終荷重2.1kgとした。
各図中、No.は第1表中に試料No.に対応している。
また、焼結鍛造材について機械的性質(引張強さ、伸
び)、硬さ及びガス量を調べた。その結果を第3表〜第
11表に示す。なお、ガス分析は真空溶融抽出法(ステン
レスパイプ使用)により行なった。
第1図〜第9図より、本発明によれば、アルミニウム
合金単独の場合(No.1、No.18)に比べ、高耐摩耗性の
アルミニウム合金焼結鍛造材が得られることが明らかで
ある。また機械的性質、硬さとも良好である。
実施例2 大気アトマイズ法によって製造したAl−12%Si−3%
Cu15%Mg−3%Fe合金粉末に黒鉛チョップを10wt%、15
wt%、20wt%添加した混合粉末、並びに上記Al合金粉末
に黒鉛チョップ20wt%とセラミックス粉(Si3N4、Al
2O3、SiC)を3wt%添加した混合粉末を、それぞれ面圧5
ton/cm2で冷間成形して35×95×30mmのプリフォームを
作成した。得られたプリフォームの真密度比は75〜80%
であった。
次いで、これらのプリフォームを実施例1の場合と同
様にて焼結し、鍛造した。得られた焼結鍛造材の真密度
化はいずれも99%以上であった。
このようにして得られた焼結鍛造材について、実施例
1の場合と同様に摩耗試験を実施して耐摩耗性を評価し
た。その結果を第10図及び第11図に示す。
第10図より、固体潤滑剤(黒鉛チョップ)を添加しな
い場合に比べ、15wt%、20wt%と多く添加することによ
り耐摩耗性が更に改善されることがわかる。また、第11
図より、固定潤滑剤を20wt%添加してもセラミックス粉
を添加することにより特に摩耗速度が大きいときの耐摩
耗性が改善されることがわかる。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、アルミニウム
合金粉末に固体潤滑剤又は固体潤滑剤と硬質粒子を適量
で添加混合した混合粉末につき、特定のプロセス条件で
焼結鍛造法を適用するので、耐摩耗性に優れたアルミニ
ウム合金を歩留よく製造できる。特に固体潤滑剤の作用
により相手材をも摩耗させることがない。したがって、
高耐摩耗性を必要とする各種の部材に高品質で安価に提
供することができ、その結果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第11図は各種添加材質、添加量のもとでの比摩
耗量と摩耗速度の関係(耐摩耗性)を示す図であって、 第1図は黒鉛チョップ添加のAl−16%Si−3%Cu−1%
Mg合金の場合であり、 第2図は黒鉛粉末添加のAl−16%Si−3%Cu−1%Mg合
金の場合であり、 第3図はBN添加のAl−16%Si−3%Cu−1%Mg合金の場
合であり、 第4図はMoS2添加のAl−16%Si−3%Cu−1%Mg合金の
場合であり、 第5図は5wt%固体潤滑剤添加のAl−16%Si−3%Cu−
1%Mg−6%Fe合金の場合であり、 第6図は2wt%固体潤滑剤+5wt%Al2O3添加のAl−16%S
i−3%C−1%Mg合金の場合であり、 第7図は2wt%固体潤滑剤+5wt%SiC添加のAl−16%Si
−3%Cu−1%Mg合金の場合であり、 第8図は2wt%固体潤滑剤+5wt%Si3N4添加のAl−16%S
i−3%Cu−1%Mg合金の場合であり、 第9図は2wt%黒鉛チョップ+5wt%セラミックス添加の
Al−16%Si−3%Cu−1%Mg−6%Fe合金の場合であ
り、 第10図は10〜20wt%黒鉛チョップ添加のAl−12%Si−3
%C%−1%Mg−3%Fe合金の場合であり、 第11図は20wt%黒鉛チョップ+3wt%セラミックス粉添
加のAl−12%Si−3%C%−1%Mg−3%Fe合金の場合
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 威雄 埼玉県秩父市大字下影森1505 昭和電工 株式会社秩父研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−186457(JP,A) 特開 昭62−224602(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金粉末にBN、黒鉛、MoS2
    うちから選ばれた少なくとも1種の固体潤滑剤を0.5〜2
    0wt%添加した混合粉末を、常温〜300℃の温度で成形し
    て真密度比70〜95%のプリフォームを製造し、次いで該
    プリフォームを450〜600℃の真空又は不活性雰囲気中で
    焼結した後、200〜550℃の温度で鍛造して真密度比95%
    以上の成形体を得ることを特徴とする耐摩耗性アルミニ
    ウム合金の加工方法。
  2. 【請求項2】アルミニウム合金粉末にBN、黒鉛、MoS2
    うちから選ばれた少なくとも1種の固体潤滑剤を0.5〜2
    0wt%、更に硬質粒子を2〜20wt%添加した混合粉末
    を、常温〜300℃の温度で成形して真密度比70〜95%の
    プリフォームを製造し、次いで該プリフォームを450〜6
    00℃の真空又は不活性雰囲気中で焼結した後、200〜550
    ℃の温度で鍛造して真密度比95%以上の成形体を得るこ
    とを特徴とする耐摩耗性アルミニウム合金の加工方法。
  3. 【請求項3】前記アルミニウム合金粉末は、重量%で
    (以下、同じ)、Si:10〜30%を含み、更に必要に応じ
    てCu:0.5〜5.0%及びMg:0.2〜3.0%の1種又は2種を含
    み、残部が実質的にAlからなる組成の合金溶湯をアトマ
    イズしたものである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 【請求項4】前記アルミニウム合金粉末は、Si:10〜30
    %とFe、Mn及びNiのうちの少なくとも1種を1〜15%含
    み、更に必要に応じてCu:0.5〜5.0%及びMg:0.2〜3.0%
    の1種又は2種を含み、残部が実質的にAlからなる組成
    の合金溶湯をアトマイズしたものである請求項1又は2
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記硬質粒子は、SiC、Si3N4及びAl2O3
    うちの1種又は2種以上の粒子からなり、かつ粒径が5
    〜50μmのものである請求項2に記載の方法。
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