JPH0628406U - トルクコンバータ用ロックアップ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トルクコンバータ用ロックアップ装置を軽量
化する。 【構成】 ロックアップ装置３は、トルクコンバータ１
に用いられ、フロントカバー４とタービン６との間に配
置されている。ロックアップ装置３は、円板状プレート
１５と、コイルスプリング１６と、ピストン１３とを備
えている。円板状プレート１５は、内周部がタービンハ
ブ８に一体回転可能に連結され、円周方向に延びる窓孔
１５ｃを有している。コイルスプリング１６は、窓孔１
５ｃ内に配置されている。ピストン１３は、円板状プレ
ート１５の側方に軸方向移動自在に配置され、摩擦部材
１４を介してフロントカバー４に圧接可能な摩擦部と、
窓孔１５ｃ内のコイルスプリング１６を支持する支持部
１３ｂとを有し、コイルスプリング１６を介して円板状
プレート１５に弾性的に連結される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、トルクコンバータ用ロックアップ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

トルクコンバータは、３種の羽根車（インペラ，タービン，ステータ）からな るトーラス部を有し、内部の作動油により動力を伝達する装置である。トルクコ ンバータのフロントカバーは、入力側回転体に連結され、タービンは出力側部材 に連結される。

【０００３】 トルクコンバータの内部において、タービンとフロントカバーとの間にロック アップ装置が配置されたものがある。ロックアップ装置は、フロントカバーから 出力側部材に回転力を直接伝達するためのものである。そのようなロックアップ 装置には、一般に、フロントカバーに圧接可能な摩擦部を有するピストンと、前 記ピストンと出力側部材とを円周方向に弾性的に連結するダンパーディスクとが 設けられている。一般に、ダンパーディスクは、出力側部材に内周部がスプライ ン嵌合しかつ円周方向に延びる窓孔が形成された円板状プレートと、前記窓孔内 に配置されたコイルスプリングと、ピストンに連結されかつ前記コイルスプリン グの円周方向両端に当接する切り起こし部を有するリテーニングプレートとを備 えている。リテーニングプレートは、円板状プレートの両サイドに配置された２ 枚の部材からなり、コイルスプリングが窓孔から外れないように軸方向の保持も している。そして、ピストンの摩擦部材がフロントカバーに圧接されると、フロ ントカバーの回転力がピストンからリテーニングプレートに伝えられ、さらにコ イルスプリングを介して円板状プレート及び出力側部材に伝達される。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

前記従来例の場合、コイルスプリングを窓孔内に保持するために、軸方向の両 側に２枚のリテーニングプレートが必要である。このため、ロックアップ装置の 重量が増えている。 本考案の目的は、トルクコンバータ用ロックアップ装置を軽量化することにあ る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案に係るトルクコンバータ用ロックアップ装置は、入力側回転体に連結さ れるフロントカバーと出力側部材に連結されるタービンとを含むトルクコンバー タに用いられ、フロントカバーとタービンとの間に配置されている。そのロック アップ装置は、円板状プレートと、弾性部材と、ピストンとを備えている。

【０００６】 前記円板状プレートは、内周部が出力側部材に相対回転不能にかつ軸方向移動 自在に連結され、円周方向に延びる窓孔が形成されている。前記弾性部材は、窓 孔内に配置されている。前記ピストンは、円板状プレートの側方に軸方向移動自 在に配置されている。ピストンは、摩擦部材を介してフロントカバーに圧接可能 な摩擦部と、窓孔内の弾性部材を支持する支持部とを有しており、弾性部材を介 して円板状プレートに弾性的に連結されている。

【０００７】

【作用】

本考案に係るトルクコンバータ用ロックアップ装置では、ピストンの摩擦部が フロントカバーに圧接されると、フロントカバーの回転力がピストンに伝達され る。この回転力は、ピストンの当接部から弾性部材を介して円板状プレートに伝 達され、さらに出力側部材に伝達される。この構成において、ピストンが支持部 により弾性部材を支持して従来例のリテーニングプレートの役割、すなわち、動 力の伝達及び弾性部材の保持を行っている。したがって、従来のリテーニングプ レートを１枚省略することができ、ロックアップ装置が軽量化される。

【０００８】

【実施例】

図１は、本考案の一実施例が採用されたトルクコンバータ１を示している。図 において、Ｏ−Ｏがトルクコンバータ１の回転中心線である。 トルクコンバータ１は、主に、トーラス部２とロックアップ装置３とから構成 されている。図示しないエンジン側に連結可能なフロントカバー４は、半径方向 外周側に円筒状突起４ａを有しており、この突起４ａにインペラ５のインペラシ ェル５ａが固定されている。フロントカバー４とインペラシェル５ａは、内部に 作動油が充填された作動油室を形成している。

【０００９】 トーラス部２は、インペラ５と、タービン６と、ステータ７とから主に構成さ れている。インペラ５のインペラシェル５ａの内部には、複数のインペラブレー ド５ｂが固定されている。インペラシェル５ａは、その内周端部がインペラハブ ５ｃに固定されている。インペラ５と対向する位置には、タービン６が配置され ている。タービン６は、タービンシェル６ａとタービンシェル６ａに固定された 複数のタービンブレード６ｂとにより構成されている。タービンシェル６ａの内 周端部は、タービンハブ８の外周部にリベット９により固定されてる。タービン ハブ８は、半径方向外周側にフロントカバー４側に延びる円筒部８ａを有してい る。円筒部８ａの外周には、円板状プレート１５（後述）のスプラインと噛み合 うスプライン８ｂが形成されている。タービンハブ８は、トランスミッションの 入力軸１０と係合するスプライン８ｃを内周部に有している。

【００１０】 インペラ５の内周部とタービン６の内周部との間には、ステータ７が配置され ている。ステータ７は、タービン６からインペラ５へと戻される作動油の方向を 調整するものであり、円環状のステータシェル７ａと、ステータシェル７ａの外 周面に設けられた複数のステータブレード７ｂとから構成されている。ステータ シェル７ａは、ワンウェイクラッチ機構を介してインナーレース１１に連結され ている。インナーレース１１は、ハウジング側（図右側）から延びる固定軸１２ に連結されている。

【００１１】 ロックアップ装置３は、フロントカバー４とタービン６のタービンシェル６ａ との間に配置されている。ロックアップ装置３は、円板状のピストン１３と、円 板状プレート１５と、ピストン１３と円板状プレート１５とを円周方向に弾性的 に連結する複数のコイルスプリング１６とから主に構成されている。 ピストン１３は、その半径方向内周部がタービンハブ８の外周面に軸方向及び 円周方向に摺動自在に嵌入されている。ピストン１３の半径方向外周には、フロ ントカバー４の摩擦面４ｂに圧接可能な摩擦部材１４が設けられている。ピスト ン１３の半径方向中間部には、図２に示すように、タービン６側に突出する複数 の絞り１３ａが円周方向に形成されており、各絞り１３ａ間は支持部１３ｂとな っている。

【００１２】 円板状プレート１５は、プレート部１５ａと、プレート部１５ａの内周側から 図示しないミッションハウジング側（図右側）に延びる円筒状のハブ１５ｂとか ら構成されている。プレート部１５は、摩擦部材１４から半径方向内側に延びる ピストン１３の半径方向中間部とタービンシェル６ａとの間に配置されている。 プレート部１５ａには、円周方向に延びる複数の窓孔１５ｃが形成されている。 ハブ１５ｂの内周側には、タービンハブ８のスプライン８ｂに噛み合うスプライ ン１５ｄが形成されている。これにより、円板状プレート１５はタービンハブ８ に対して一体回転するようにかつ軸方向には移動可能に連結されている。

【００１３】 コイルスプリング１６は、円板状プレート１５の窓孔１５ｃ内に配置されてい る。ピストン１３の支持部１３ｂは、コイルスプリング１６の円周方向両端に当 接しており、かつコイルスプリング１６のフロントカバー４側を支持している。 円板状プレート１５のプレート部１５ａのタービン６側には、円板状のリテーニ ングプレート１７が配置されている。リテーニングプレート１７の半径方向外周 部は、複数のリベット１８によりピストン１３に固定されている。リテーニング プレート１７においてコイルスプリング１６に対応する各部分には、コイルスプ リング１６の軸方向への移動を規制するための切起し部１７ａが形成されている 。プレート部１５ａの半径方向内周部において、ピストン１３との間及びリテー ニングプレート１７との間にはそれぞれリングプレート１９が配置されている。

【００１４】 図示しないエンジンが回転すると、回転力がフロントカバー４に入力される。 すると、フロントカバー４とともにインペラ５が回転する。この回転力は、作動 油を介してタービン６に伝達される。タービン６からインペラ５へと戻る作動油 の流れはステータ７により調整される。そして、タービン６の回転はタービンハ ブ８を介してトランスミッションの入力軸１０に伝達される。

【００１５】 ロックアップ動作時には、作動油の流れにより、ピストン１３及び円板状プレ ート１５がフロントカバー４側に移動する。摩擦部材１４がフロントカバー４の 摩擦面４ｂに圧接されると、フロントカバー４の回転力はピストン１３とリテー ニングプレート１７とに伝達される。続いて、回転力はコイルスプリング１６を 介して円板状プレート１５に伝達され、さらにタービンハブ８及びトランスミッ ションの入力軸１０へ伝達される。

【００１６】 以上の動作において、ピストン３が支持部１３ｂにより従来例のリテーニング プレートと同じ役割をしている。したがって、本実施例においては従来のリテー ニングプレートの１枚を省略でき、ロックアップ装置３が軽量化されている。

【００１７】

【考案の効果】

本考案に係るトルクコンバータ用ロックアップ装置では、ピストンが弾性部材 を支持する支持部を有しているために、従来例のリテーニングプレートの枚数を 減らすことができ、軽量化される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例が採用されたトルクコンバー
タの縦断面部分図。

【図２】ピストンの部分斜視図。

【符号の説明】

１ トルクコンバータ ３ ロックアップ装置 ４ フロントカバー ６ タービン １３ ピストン １３ｂ 支持部 １４ 摩擦部材 １５ 円板状プレート １５ｃ 窓孔 １６ コイルスプリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】入力側回転体に連結されるフロントカバー
   と出力側部材に連結されるタービンとを含むトルクコン
   バータに用いられ、前記フロントカバーとタービンとの
   間に配置されたロックアップ装置であって、 内周部が前記出力側部材に相対回転不能にかつ軸方向移
   動自在に連結され、円周方向に延びる窓孔が形成された
   円板状プレートと、 前記窓孔内に配置された弾性部材と、 前記円板状プレートの側方に軸方向移動自在に配置さ
   れ、摩擦部材を介して前記フロントカバーに圧接可能な
   摩擦部と、前記窓孔内の弾性部材を支持する支持部とを
   有し、前記弾性部材を介して前記円板状プレートに弾性
   的に連結されるピストンと、 を備えたトルクコンバータ用ロックアップ装置。