JPH0627434U - ピストンとロッドの固定構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリンダ組立作業の能率の向上とコストダウ
ンが同時に図れるピストンとロッドの固定構造を提供す
る。 【構成】 外周に環状溝２を有するロッド１と、該ロッ
ド１の外周に嵌合されて内周に前記環状溝２に対向した
環状溝６を有する環状のピストン４と、該ピストン４又
は前記ロッド１の少くとも一方の回転で環状溝２、４間
に引き込まれてロッド１に対してピストン４を軸方向に
係止するワイヤ８とからなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車の動力操向装置のパワーシリンダ等におけるピストンとロ ッドの固定構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、動力操向装置のパワーシリンダでは、図４に示すように、操向リンク軸 ２０（ロッド）の外周に一対の環状溝２１、２２を形成し、一方の環状溝２１内 に、操向リンク軸２０の外周から突出するＣリング２３を取り付け、該Ｃリング ２３に、操向リンク軸２０の外周に嵌合されたピストン２４の一端２４ａを突き 当て、該ピストン２４の他端２４ｂを加締めにより他方の環状溝２２内に係合さ せており、これによって、操向リンク軸２０の外周にピストン２４を固定してい る。 上記と類似したピストンとロッドの固定構造には、例えば特開平１−１７３０ ８０号公報に記載されたものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記従来の操向リンク軸２０とピストン２４の固定構造では、 操向リンク軸２０の外周に形成された一方の環状溝２１内にＣリング２３を取り 付けた後、該Ｃリング２３にピストン２４の一端２４ａを突き当て、かつ該ピス トン２４の他端２４ｂを加締めて他方の環状溝２２内に係合させる必要があり、 作業工数が多く、また作業も容易でなかった。

【０００４】 この考案は上記課題を解決するためになしたもので、シリンダ組立作業の能率 の向上とコストダウンが同時に図れるピストンとロッドの固定構造を提供するこ とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、この考案に係るピストンとロッドの固定構造は、 外周に環状溝を有するロッドと、該ロッドの外周に嵌合されて内周に前記環状溝 に対向した環状溝を有する環状のピストンと、該ピストン又は前記ロッドの少く とも一方の回転で前記環状溝間に引き込まれてロッドに対してピストンを軸方向 に係止するワイヤとからなるものである。

【０００６】

【作用】

上記構成によれば、ロッドに対するピストンの固定は、ピストン又は該ピスト ンが嵌合されたロッドの少くとも一方の回転で両者の対向した環状溝間にワイヤ を引き込むことで行う。

【０００７】 ワイヤがピストンの内周とロッドの外周にそれぞれ係合することで、該ワイヤ を介してピストンがロッドの軸方向に係止されることになる。

【０００８】 ピストンの外周に形成した環状のシール装着溝内にはシール部材が挿入され、 該シール部材により、シール装着溝の底部に開口したワイヤ挿入用の窓孔部は閉 塞される。

【０００９】

【実施例】

以下、この考案の一実施例を図面により説明する。

【００１０】 図１はピストンとロッドの固定構造を示す断面図、図２は図１のＡ−Ａ線に沿 う断面図、図３は図１の構造とするワイヤ挿入の開始前の状態を示す断面図であ る。

【００１１】 １はロッドで、該ロッド１の外周面には断面半円である環状溝２と、該環状溝 ２の底部に開口するワイヤ引掛け用のワイヤ係合孔３とが形成されている。

【００１２】 ４は環状のピストンで、該ピストン４の外周面には断面矩形である環状のシー ル装着溝５が、内周面には断面半円である環状溝６がそれぞれ形成され、これら のシール装着溝５及び環状溝６の底部に開口するワイヤ挿入用の窓孔部７が前記 ピストン２に穿設されている。

【００１３】 ８はワイヤで、ロッド１の外周にピストン４が嵌合されて対向したそれぞれの 環状溝２、６間に挿入されており、これによりロッド１に対してピストン４を軸 方向に係止している。

【００１４】 以上の構成において、ロッド１に対するピストン４の固定は、ロッド１の外周 にピストン４を嵌合させ、ワイヤ挿入用の窓孔部７をワイヤ係合孔３に臨ませて 環状溝２、６を対向配置した後、ワイヤ挿入用の窓孔部７を通してワイヤ係合孔 ３にワイヤ８の先端に形成された引掛部８ａを引掛けてピストン４又はロッド１ の少くとも一方を回転させ、これにより前記環状溝２、６間にワイヤ８を引き込 むことで行う。

【００１５】 ワイヤ８が環状溝２、６間の全長に渡り挿入される適切な長さで形成されてい る場合、上記のピストン固定作業は、ワイヤ８の引込みで完了する。ワイヤ８が 前記適切な長さより長いときは、環状溝２、６間に引き込んだワイヤ８の先端部 がワイヤ挿入用の窓孔部７内に再び現れた状態で、ロッド１側の環状溝２内に収 まるようにワイヤ８の後端部を切断すれば良い。

【００１６】 しかして、ワイヤ８はリング状に形成され、該ワイヤ８の内周側がロッド１側 の環状溝２に、外周側がピストン４側の環状溝６にそれぞれ係合する。このワイ ヤ８によってピストン４はロッド１の軸方向に係止される。

【００１７】 ピストン４の外周に形成した環状のシール装着溝５内には図示しないシール部 材が挿入される。このシール部材により、シール装着溝５の底部に開口したワイ ヤ挿入用の窓孔部７が閉塞される。

【００１８】

【考案の効果】

以上の通りこの考案は、外周に環状溝を有するロッドと、該ロッドの外周に嵌 合されて内周に前記環状溝に対向した環状溝を有する環状のピストンと、該ピス トン又は前記ロッドの少くとも一方の回転で前記環状溝間に引き込まれてロッド に対してピストンを軸方向に係止するワイヤとからなり、該ワイヤを介してピス トンをロッドの軸方向に移動不可としてロッド外周に確実に固定できる。

【００１９】 また、ピストンの固定は、ピストンをロッドの外周に嵌合させた後、両者の環 状溝間にワイヤを引き込むだけで良く、従来のＣリング装着及びピストン加締め による場合に比べて作業が容易で工数が少くて済む。

【００２０】 従って、この考案によれば、シリンダ組立作業の能率の向上とコストダウンが 同時に図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の一実施例になるピストンとロッドの
固定構造を示す断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図３】図１の構造とするワイヤ挿入の開始前の状態を
示す断面図である。

【図４】従来例になるピストンとロッドの固定構造を示
す断面図である。

【符号の説明】

１ ロッド ２ 環状溝 ４ ピストン ６ 環状溝 ８ ワイヤ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周に環状溝を有するロッドと、該ロッ
   ドの外周に嵌合されて内周に前記環状溝に対向した環状
   溝を有する環状のピストンと、該ピストン又は前記ロッ
   ドの少くとも一方の回転で前記環状溝間に引き込まれて
   ロッドに対してピストンを軸方向に係止するワイヤとか
   らなることを特徴とするピストンとロッドの固定構造。