JPH0627257Y2 - 管状体への管継手部材の取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、２本の管をＴ字状に接続する場合や、熱交
換器における円筒状ヘッダの周壁に熱媒体入口管または
出口管を接続する場合などに用いられる管継手部材を、
管や、ヘッダなどの管状体の周壁に取付ける装置に関す
る。

従来の技術と考案の課題 たとえば、２本の管をＴ字状に接続する場合、一方の管
の周壁に、長さの中間部に外向きフランジが設けられた
管継手部材を取付け、この管継手部材を用いて他方の管
をＴ字状をなすように接続している。従来、管の周壁へ
の管継手部材の取付けは、次のようにして行っていた。
すなわち、管の周壁に平坦部を形成するとともにこの平
坦部に貫通孔を形成し、管継手部材におけるフランジよ
りも一端側の筒状部分の先端部を管状体の平坦部に形成
された貫通孔に挿入し、該筒状部分における管状体の外
側に存在する部分の周囲に、両面にろう材がクラッドさ
れた平板状のろう付用リングが嵌め被せ、外向きフラン
ジをろう付用リングを介して周壁の平坦部外面に接合し
ていた。

しかしながら、上記従来の方法では、管に平坦部を形成
する作業が面倒であるという問題があった。さらに、平
坦部は管の周壁を内方に突出させることにより形成され
るので、その突出部分により管内を流れる流体の圧力損
失が大きくなるという問題があった。

この考案の目的は、上記問題を解決した管状体への管継
手部材の取付装置を提供することにある。

課題を解決するための手段 この考案による管状体への管継手部材の取付装置は、周
壁に横断面円弧状の曲壁部が具備せしめられた管状体の
上記曲壁部外面に、長さの中間部に外向きフランジが設
けられた管継手部材を取付ける装置であって、管継手部
材におけるフランジよりも一端側の筒状部分の先端部
が、管状体の曲壁部に形成された貫通孔に挿入され、該
筒状部分における管状体の外側に存在する部分の周囲
に、両面にろう材がクラッドされ、かつ片面が外向きフ
ランジに密接せしめられるとともに、他面が曲壁部に密
接せしめられるろう付用リングが嵌め被せられ、外向き
フランジがろう付用リングを介して管状体の曲壁部外面
に接合されているものである。

実施例 以下、この考案の実施例を、図面を参照して説明する。

実施例１ この実施例は、この考案を、カーエアコン用エバポレー
タの熱媒体導入管に設けられた膨張弁からのびた均圧管
を、熱媒体排出管の周壁に接続するさいに用いられる管
継手部材を、熱媒体排出管に取付けるのに適用したもの
である。

第５図はカーエアコン用エバポレータを示す。第５図に
おいて、エバポレータ(1)は、蛇行状偏平管(2)と、偏平
管(2)の隣り合う直管部(2a)どうしの間に配置されたコ
ンゲートフィン(3)と、偏平管(2)の一端部が接続された
入口側ヘッダ(4)と、偏平管(2)の他端部が接続された出
口側ヘッド(5)と、入口側ヘッダ(4)に接続された熱媒体
導入管(6)と、出口側ヘッダ(5)に接続された熱媒体排出
管(7)とを備えている。熱媒体導入管(6)の途中に膨張弁
(8)が設けられ、この膨張弁(8)に接続された均圧管(9)
の先端部が、エバポレータ(1)の熱媒体排出管(7)の周壁
に管継手(10)を介して接続されている。

管継手(10)は、第１図および第２図に詳細を示すよう
に、熱媒体排出管(7)の周壁(7a)に固定状に取付けられ
た管継手部材(11)と、均圧管(9)の接続端部に回転自在
に取付けられた袋ナット(12)とにより構成されている。
熱媒体排出管(7)に取付けられた管継手部材(11)の長さ
の中間部に、外周面が６角形状となされた外向きフラン
ジ(11a)が一体的に設けられている。また、フランジ(11
a)よりも上端側の筒状部分(11b)の外周面に、おねじ(1
3)が形成されている。そして、管継手部材(11)における
外向きフランジ(11a)よりも下側の筒状部分(11c)の先端
部が、熱媒体排出管(7)の周壁(7a)に形成された貫通孔
(14)内に挿入され、該筒状部分(11c)における熱媒体排
出管(7)の外側に存在する部分の周囲に嵌め被せられた
ろう付用リング(15)によって、管継手部材(11)が熱媒体
排出管(7)の周壁(7a)に固定されている。筒状部分(11c)
の外周面と孔(14)の内周面、およびリング(15)の孔内周
面との間にもそれぞれろう材が介在せしめられている。
また、均圧管(9)の端部に回転自在に取付けられた袋ナ
ット(12)が継手部材(11)の筒状部分(11b)にねじ嵌めら
れることによって、均圧管(9)が熱媒体排出管(7)の周壁
(7a)に接続されている。

管継手部材(11)は、次のようにして、熱媒体排出管(7)
の周壁(7a)へ取付けられている。

すなわち、第３図および第４図に示すように、管継手部
材(11)における外向きフランジ(11a)よりも下側の筒状
部分(11c)に、ろう付用リング(15)を嵌め被せる。ろう
付用リング(15)は、芯材(15a)の両面にろう材(15b)がク
ラッドされたアルミニウムブレージングシートからプレ
ス成形されたものであり、その片面は外向きフランジ(1
1a)に密接せしめられるように平坦面となされている。
また、他面は熱媒体排出管(7)の周壁(7a)外面に密接せ
しめられるように部分円筒面となされている。リング(1
5)の円周方向の両端部は、部分円筒面が周壁(7a)外面か
ら若干離れるように、径方向外方に若干拡げられてい
る。この拡げられた部分を(15c)で示す。この部分(15c)
は周壁(7a)外面との間にろう溜め用隙間を形成するため
のものである（第２図参照）。そして、管継手部材(11)
の筒状部分(11c)を周壁(7a)に形成された貫通孔(14)に
差込み、外向きフランジ(11a)をろう付用リング(15)を
介して周壁(7a)外面にふう付する。

このような熱媒体排出管(7)に対する管継手部材(11)と
ろう付用リング(15)の組み付け作業は、エバポレータ
(1)の製作時に蛇行状偏平管(2)、コンゲートフィン
(3)、入口側ヘッダ(4)、出口側ヘッダ(5)と、熱媒体導
入管(6)および熱媒体排出管(7)を組合わせるさいに並行
して行なうものであり、すべての部材の組み付け後、真
空雰囲気中で一括してこれらをろう付けすることによ
り、管継手部材(11)の外向きフランジ(11a)が、ろう付
用リング(15)を介して熱媒体排出管(7)の周壁(7a)外面
にろう付けされるものである。

実施例２ この実施例は、この考案を、カーエアコン用コンデンサ
におけるヘッダに熱媒体導入管および同排出管を接続す
るのに用いられる管継手部材を、ヘッダの周壁に取付け
るのに適用したものである。

第６図はカーエアコン用コンデンサを示す。第６図にお
いて、コンデンサ(20)は、上下方向に所定間隔をおいて
配置された左右方向にのびる複数の偏平管(21)と、各偏
平管(21)の両端部が接続された円筒状入口側ヘッダ(22)
および出口側ヘッダ(23)と、隣り合う偏平管(21)どうし
の間に配置されたアルミニウム製コルゲートフィン(24)
とよりなり、入口側ヘッダ(22)および出口側ヘッダ(23)
にそれぞれ実施例１と同じ管継手部材(11)が取付けられ
ている。入口側ヘッダ(22)および出口側ヘッダ(23)は同
様な構成であり、出口側ヘッダ(23)について説明する。
第７図に示すように、出口側ヘッダ(23)は、芯材(25a)
の両面にろう材(25b)がクラッドされたアルミニウムブ
レージングシート製板(25)にプレス成形を施して円筒状
とし、その側縁部どうしの突き合わせ部分を接合するこ
とによって形成されたものである。そして、この出口側
ヘッダ(23)の上記突き合わせ部分に貫通孔(26)が形成さ
れ、上記実施例１と同様に、ろう付用リング(15)を介し
て管継手部材(11)が出口側ヘッダ(23)の周壁(23a)外面
に取付けられている。

出口側ヘッダ(23)の製造方法について、詳しく説明すれ
ば次の通りである。すなわち、まず、芯材(25a)と、芯
材(25a)の両面を覆うろう材層(25b)とよりなるアルミニ
ウムブレージングシート製板(25)を用意し、その両側縁
の同位置に、それぞれ半円形の切欠き(30)を形成する。
ついで、板(25)の両側端部を肉厚方向にハンマまたはプ
レスで打撃する。この打撃は、一方の端部では上面から
行い、他方の端部では下面から行うことにより、第８図
に示すように、一方の端部の上面に上から下に向かう傾
斜面(27)を、他方の端部の下面に下から上に向かう傾斜
面(28)をそれぞれ形成する。両傾斜面(27)(28)の表面に
も、ろう材層(25b)が存在している。このような傾斜面
(27)(28)が形成された板(25)にプレス加工を施して、半
円筒部とその両側縁の水平部とよりなる形状とするとと
もに、半円筒部の底部に長さ方向に所定間隔をおいて、
板(25)の幅方向にのびる複数の偏平管差込み用長孔(29)
を形成する（第９図参照）。そして、再度プレス加工を
施すことにより、第１０図に示すように全体を円筒状に
成形する。このとき、第１０図に示すように、両側縁部
の傾斜面(27)(28)どうしの間には若干の隙間が存在して
いるとともに、長孔(29)の長さは、偏平管(21)の幅より
も若干小さくなっている。さらに、長孔(29)内に偏平管
の端部を圧入する。長孔(29)内に偏平管(21)の端部を圧
入することにより、両側縁部の傾斜面(27)(28)どうしが
密着させられ、両切欠き(30)によって孔(26)が形成され
る。その後、隣り合う偏平管(21)どうしの間にアルミニ
ウム製コルゲートフィン(24)を配置する。さらに、貫通
孔(26)に、ろう付用リング(15)の嵌め被せられた管継手
部材(11)の筒状部分(11c)を差込む。そして、これらを
一括して真空ろう付する。こうして、出口側ヘッダ(23)
はコンデンサ(20)の製造時に一括して製造されるととも
に、管継手部材(11)が出口側ヘッダ(23)に取付けられ
る。

考案の効果 この考案の管状体への管継手部材の取付装置は、上述の
ように構成されているので、管継手部材の管状体への取
付けを、熱交換器等の製作時のろう付けのさい同時に行
なうことができる。また、管の周壁の一部に平坦部を形
成する従来のもののように、平坦部を形成するための加
工が必要でなく、それだけ製造工程の簡略化を果し得
る。しかも、管の周壁に平坦部が存在しないため、管内
断面積が減少することがなく、圧力損失の増大を防止で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第５図はこの考案の実施例１を示し、第１図は
熱媒体排出管と均圧管との継手部分の分解斜視図、第２
図は第１図のII−II線に沿う拡大断面図、第３図は管継
手部材を熱媒体排出管に取付る前の状態の部分斜視図、
第４図は第３図のIV−IV線に沿う拡大断面図、第５図は
エバポレータの斜視図である。第６図〜第１０図はこの
考案の実施例２を示し、第６図はコンデンサの斜視図、
第７図は出口側ヘッダの管継手部材が取付けられた部分
を拡大して示す部分斜視図、第８図〜第１０図は出口側
ヘッダを製造する方法を工程順に示す図である。 (7)…熱媒体排出管、(7a)…周壁、(11)…管継手部材、
(11a)…外向きフランジ、(11c)…筒状部分、(14)(26)…
貫通孔、(15)…ろう付用リング、(15b)…ろう材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】周壁に横断面円弧状の曲壁部が具備せしめ
   られた管状体の上記曲壁部外面に、長さの中間部に外向
   きフランジが設けられた管継手部材を取付ける装置であ
   って、管継手部材におけるフランジよりも一端側の筒状
   部分の先端部が、管状体の曲壁部に形成された貫通孔に
   挿入され、該筒状部分における管状体の外側に存在する
   部分の周囲に、両面にろう材がクラッドされ、かつ片面
   が外向きフランジに密接せしめられるとともに、他面が
   曲壁部に密接せしめられるろう付用リングが嵌め被せら
   れ、外向きフランジがろう付用リングを介して管状体の
   曲壁部外面に接合されている管状体への管継手部材の取
   付装置。