JPH0552578U - 熱交換器用ヘッダ−パイプの仕切板組付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 仕切板を平板材料の打ち抜きによって形成し
た場合でも、仮組み状態における仕切板の位置ずれや脱
落を確実に防止することのできる熱交換器用ヘッダ−パ
イプの仕切板組付構造を提供する。 【構成】 仕切板４の一部を変形して各ヘッダ−パイプ
１の切込み１ｄの内面に対応する部分に仕切板４の肉厚
を含む高さ寸法が切込み１ｄの対応寸法よりもやや大き
い突起４ｃを形成し、仕切板４を切込み１ｄに圧入して
突起４ｃを切込み１ｄの内面に圧接させることにより、
仕切板４の仮止め状態が保持される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本発明は各種空気調和装置や車両用ラジエ−タ等として用いられる熱交換器用 ヘッダ−パイプの仕切板組付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、互いに間隔をおいて平行に配置された一対のヘッダ−パイプと、両端を 各ヘッダ−パイプに接続された複数の熱媒体流通用チュ−ブと、各チュ−ブ間に 介装されたフィンとからなる、いわゆるパラレルフロータイプの熱交換器におい ては、ヘッダ−パイプ内を仕切板によって長手方向に分割し、熱媒体を各ヘッダ −パイプに交互に流入させる蛇行状の熱媒体流路を形成するようにしたものが知 られている。また、仕切板はヘッダ−パイプの側面に設けた切込みに挿入される とともに、他の構成部品とともに接合用のろう材をクラッドして仮組みされ、高 温の炉にてろう付けされる。

【０００３】 ところで、前記ヘッダ−パイプの仕切板組付構造として、実願平３−１４５７ ８号公報に開示されたものが知られている。この考案によれば、仕切板の一面に 一端側が仕切板の挿入端側に向かって徐々に下り傾斜をなし、他端側にはヘッダ −パイプの切込みの内側縁部に係止する段部を形成してなる抜止用傾斜膨隆部を 設け、その段部とヘッダ−パイプの切込みとの係止により仮止めを行った状態で 、一体ろう付けするようにしたものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

多くの場合、仕切板はアルミニウム製の平板材料を略円板状に打ち抜いて形成 されているが、これでは仕切板がヘッダ−パイプの切込みに遊挿されているにす ぎないため、仮組み状態の熱交換器を炉に搬入する際、振動等によって仕切板の 位置ずれや脱落を生じ易いという問題点がある。そこで、前記実願平３−１４５ ７８号公報に開示されている抜止用傾斜膨隆部を設けることにより、このような 問題点を解決することはできるが、この抜止用傾斜膨隆部は仕切板の厚さ方向に 複雑な凹凸を有する構造であるため、仕切板を平板材料の打ち抜きによって形成 することができず、成型方法によって加工しなければならない。このため、製造 工程が複雑化して生産率が低下するとともに、コストアップを招来するという問 題点もあった。

【０００５】 本考案は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、 仕切板を平板材料の打ち抜きによって形成した場合でも、仮組み状態における仕 切板の位置ずれや脱落を確実に防止することのできる熱交換器用ヘッダ−パイプ の仕切板組付構造を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記目的を達成するために、熱交換器用ヘッダ−パイプに周方向の切 込みを形成するとともに、該切込みにヘッダ−パイプ内を長手方向に分割する仕 切板を挿入し固着する熱交換器用ヘッダ−パイプの仕切板組付構造において、 前記仕切板の一部を変形して前記切込みの内面に対応する部分に仕切板の肉厚 を含む高さ寸法が切込みの対応寸法よりもやや大きい突起を形成し、仕切板を切 込みに圧入して該突起を切込みの内面に圧接させている。

【０００７】

【作用】

本考案の熱交換器用ヘッダ−パイプの仕切板組付構造によれば、仕切板をヘッ ダ−パイプの切込みに挿入すると仕切板の突起が挿入の妨げとなるが、これに抗 して仕切板を圧入することにより、仕切板の突起が切込みの内面に圧接し、仕切 板が仮止めされる。

【０００８】

【実施例】

図１乃至図３は本考案の一実施例を示すものである。

【０００９】 同図において、１は互いに間隔をおいて配置された一対のヘッダ−パイプで、 それぞれアルミニウム製の円管からなる。各ヘッダ−パイプ１は上端及び下端を キャップ１ａによって閉塞されるとともに、それぞれの対向面には複数のチュ− ブ接続孔１ｂがヘッダ−パイプ１の長手方向に間隔をおいて穿設されている。一 方のヘッダ−パイプ１（図３では左側）の上部には熱媒体流入用のパイプ１ｃが 連結されるとともに、そのやや下方には仕切板挿入用の切込み１ｄがヘッダ−パ イプ１の周方向に形成されている。また、他方のヘッダ−パイプ１（図３では右 側）の下部には熱媒体流出用のパイプ１ｅが連結されるとともに、そのやや上方 には前述と同様の切込み１ｄが形成されている。

【００１０】 ２は各ヘッダ−パイプ１に接続された複数の熱媒体流通用チュ−ブで、それぞ れ偏平状に形成され、両端を各ヘッダ−パイプ１の接続孔１ｂに挿入され、互い に間隔をおいて配設されている。

【００１１】 ３は各チュ−ブ２間に介装された放熱用のフィンで、それぞれ波状に形成され 、上端及び下端を各チュ−ブ２に接触している。

【００１２】 ４は各ヘッダ−パイプ１の内部を長手方向に分割する仕切板で、アルミニウム 等からなる平板材料の打ち抜きによって形成されている。この仕切板４は各ヘッ ダ−パイプ１の切込み１ｄに適合すべく、ヘッダ−パイプ１の外径に対応する大 径部４ａ及び内径に対応する小径部４ｂを有し、大径部４ａの周縁部分によって 切込み１ｄが閉塞されるようになっている。また、大径部４ａの周縁部分の中央 には仕切板４の一面側に突出する突起４ｃが設けられ、この突起４ｃはその反対 側をポンチ等の工具によって凹状に変形させることにより形成される。尚、仕切 板４の肉厚を含む突起４ｃの高さ寸法は切込み１ｄの対応寸法よりも若干大きく 形成されている。

【００１３】 この熱交換器の組立てに際しては、前記各構成部品を接合用のろう材をクラッ ドして仮組みした後、高温の炉にてろう付けされる。その際、各仕切板４を各ヘ ッダ−パイプ１の切込み１ｄに挿入すると仕切板４の突起４ｃが挿入の妨げとな るが、これに抗して仕切板４を圧入することにより、図２に示す如く仕切板４の 突起４ｃが切込み１ｄの内面に圧接し、仕切板４の仮止め状態が保持される。

【００１４】 以上のように構成された熱交換器においては、一方のヘッダ−パイプ１のパイ プ１ｃから流入した熱媒体は仕切板４よりも上方のチュ−ブ２を通じて他方のヘ ッダ−パイプ１内に流入する。そして、他方のヘッダ−パイプ１においても熱媒 体が仕切板４よりも上方のチュ−ブ２を通じて一方のヘッダ−パイプ１に戻ると ともに、他方のヘッダ−パイプ１の仕切板４よりも下方のチュ−ブ２を通じて再 度他方のヘッダ−パイプ１内に流入し、パイプ１ｅから流出する。

【００１５】 このように、本実施例によれば、仕切板４の大径部４ａの周縁部分、即ち各ヘ ッダ−パイプ１の切込み１ｄに対応する部分に仕切板４の一部を厚さ方向に変形 してなる突起４ｃを形成し、この突起を切込み１ｄに圧接させることにより、仕 切板４の仮止めを行うようにしたので、仮組み状態における仕切板４の位置ずれ や脱落を確実に防止することができるのは勿論のこと、平板材料の打ち抜きによ って形成された仕切板４を使用することができるので、製造工程が複雑化するこ ともなく、安価なコストで生産することができる。

【００１６】 図４は本考案の他の実施例を示すもので、図４(a) は仕切板４の一部を切り起 してなる突起４ｄを設けたもの、図４(b) は仕切板４の周端面に部分的に切り割 りを入れて仕切板４の一部を厚さ方向に拡大してなる突起４ｅを設けたもの、図 ４(c) は仕切板４の周端面に部分的に凹みを形成して仕切板４の一部を厚さ方向 に膨出してなる突起４ｆを設けたもの、図４(d) は仕切板４の一部に断面鋸刃状 の治具を打ち付けて複数の山形を形成してなる突起４ｇを設けたものである。

【００１７】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の熱交換器用ヘッダ−パイプの仕切板組付構造に よれば、仮組み状態における仕切板の位置ずれや脱落を確実に防止することがで きるのは勿論のこと、平板材料の打ち抜きによって形成された仕切板を使用する ことができるので、製造工程が複雑化することもなく、安価なコストで生産する ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す熱交換器の分解斜視図

【図２】熱交換器の要部断面図

【図３】熱交換器の全体斜視図

【図４】本考案の他の実施例を示す仕切板の斜視図

【符号の説明】

１…ヘッダ−パイプ、１ｄ…切込み、２…チュ−ブ、３
…フィン、４…仕切板、４ｃ，４ｄ，４ｅ，４ｆ，４ｇ
…突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器用ヘッダ−パイプに周方向の切
   込みを形成するとともに、該切込みにヘッダ−パイプ内
   を長手方向に分割する仕切板を挿入し固着する熱交換器
   用ヘッダ−パイプの仕切板組付構造において、 前記仕切板の一部を変形して前記切込みの内面に対応す
   る部分に仕切板の肉厚を含む高さ寸法が切込みの対応寸
   法よりもやや大きい突起を形成し、 仕切板を切込みに圧入して該突起を切込みの内面に圧接
   させたことを特徴とする熱交換器用ヘッダ−パイプの仕
   切板組付構造。