JPH0625027Y2 - 高周波雑音防止用プリント板 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は高周波雑音防止用プリント板、特に自身搭載
した高周波電流発生源からの高周波ノイズの発生防止と
外部からの高周波ノイズの受信を防止可能とした高周波
雑音防止用プリント板に関する。

［従来の技術］ 近年、自動車にはマイクロコンピュータを搭載した電子
機器の増大により、クロックパルスやパワートランジス
タのスイッチング信号から発生する高周波ノイズ電流成
分が電子機器筐体やワイヤハーネスから誘導，輻射し、
他の電子機器や無線装置、例えばＦＭラジオ、無線機、
ＴＶ、自動車電話等に悪影響を与え、ラジオ雑音を生じ
たり装置を誤動作させたり、あるいは機能が停止したり
するという問題が生じていた。

従来、このようなマイクロコンピュータからのクロック
ノイズ対策として、コンデンサや抵抗による素子フィル
ター、あるいはクロックパルスの立上り、立下りをなま
すことにより、ノイズの発生を防止するという方法が用
いられていた。

また、車両用ワイヤハーネスに重畳する高周波雑音を抑
制する対策として、本件出願人の出願に係る特公昭５７
−５９９６２号公報や特開昭５２−１４７６２２号公報
記載の技術が提案されている。

すなわち、車両用デフォガ熱線やワイヤハーネス等のノ
イズワイヤに沿ってλ／４（λはノイズ電流の伝搬波
長）のノイズトラップワイヤを設け、ノイズワイヤの途
中で高周波ノイズ電流を極めて小さい値に制御すること
によって、他のワイヤへのノイズの影響を減少させるよ
うにしたものである。

この従来技術のうち、例えば特公昭５７−５９９６２号
公報によれば、第６図に示されるように車載バッテリと
デフォガ熱線３０とを接続するノイズワイヤ３２には、
その全長にわたって、ノイズ電流ｉが生じており、ノイ
ズ電流ｉの重畳しているノイズワイヤ３２に第１の低イ
ンピーダンス分岐路３４を接続して高周波ノイズ電流に
よる定在波を強制的に形成させ、この定在波の節に相当
する位置に第２の低インピーダンス分岐路３６を接続し
て、ノイズ源となる高周波ノイズ電流が電子装置付近に
伸びる他のワイヤまで伝搬しないようにしたものであ
る。そして、これらのノイズトラップワイヤ３４，３６
はノイズワイヤ３２に沿ってテーピングされ、ノイズ電
流強度を他のワイヤに影響を与えない程度にまで低減す
ることができる。

［考案が解決しようとする問題点］ 従来の問題点 しかしながら、前述した素子フィルタ等によるクロック
ノイズ対策によるといずれも実装上や制御上の限界があ
り、また、ノイズトラップワイヤによれば、ワイヤハー
ネスの本数も多いためこれら各本毎にノイズトラップワ
イヤをテーピングするのは、工数が増大するという問題
があった。

以上の理由から、今日、車載電子機器に設けられたマイ
クロコンピュータ等の電子回路が、放送局や高出力無線
機等による外部からの強電磁界の影響を受けないように
するニーズが高まっており、このため、車載電機機器の
プリント板にコンパクトにノイズ防止装置を実現したい
という要望が高まっていた。

しかし、現在のところプリント板の回路配線パターンに
着目した高周波ノイズ防止に関する技術は未だ提案され
ていなかった。

考案の目的 この考案は係る問題点を解決するためになされたもの
で、回路配線パターン近傍に低インピーダンスのノイズ
トラップパターンを形成し、これによって高周波ノイズ
による影響を防止するようにした高周波雑音防止用プリ
ント板の提供を目的とする。

［問題点を解決するための手段および作用］ 前記目的を達成するために、本考案は、各種電子部品が
実装されるプリント基板の回路配線パターン近傍に低イ
ンピーダンスのノイズトラップパターンが設けられたプ
リント板であって、前記ノイズトラップパターンは、前
記プリント基板の両面に設けられた導電パターンと、前
記プリント基板を貫通し前記両面に設けられた導電パタ
ーンを接続するスルーホール接続部とから構成されてい
ると共に、その一端が回路側端子に接続され他端が開放
されており、前記両面に設けられたノイズトラップパタ
ーンと前記スルーホールの長さの合計が、λ／４＋（λ
／２）×ｎ（λはノイズ電流の伝搬波長，ｎ＝０，１，
２，…）に設定されていることを特徴とする。

前記構成により、マイクロコンピュータ等から発せられ
るクロックパルスに含まれる高周波成分は、電子機器筐
体やワイヤハーネスから誘導，輻射され、ＦＭラジオ，
ＴＶ，自動車電話等の無線機に妨害を与えるおそれがあ
るが、回路配線パターン近傍に、スルーホール部を利用
してその表裏両面に形成した高周波ノイズトラップパタ
ーンにより、波長がλ／４にて共振する周波数領域を選
択的にノイズトラップパターン側に引き込み、雑音抑制
を可能としたものである。

この場合において、ノイズトラップパターンの厚みは、
高周波電流の表皮効果によってパターン表面に集中し易
い性質を有しているため、一般に用いられる回路配線パ
ターンの厚みでよく、また、ノイズトラップパターンの
横幅も、回路配線パターンとして一般に用いられる横幅
程度で充分である。

本考案において、ノイズトラップパターンの長さは、プ
リント基板の表裏両面にそれぞれ形成されたパターン部
の長さとスルーホール部の長さとの合計となるので、プ
リント基板の任意の位置に高周波の雑音防止部を設ける
ことができるという利点を有する。

［実施例］ 以下、図面に基づき本考案の好適な実施例を説明する。

第１図（ａ），（ｂ）には本考案に係る高周波雑音防止
用プリント板の実施例が示されている。同図において、
マイクロコンピュータ１０等の電子部品や外部との接続
を行うコネクタ１２が実装されたプリント基板１４が導
電性のケース１６内に収容されており、このケース１６
はアース接続（１８）されている。

ここで本考案の特徴的なことは、各種電子部品が実装さ
れるプリント基板の回路配線パターン近傍の前記プリン
ト基板の両面に設けられ、前記表面に設けられたノイズ
トラップパターンは、前記プリント基板を貫通し前記プ
リント基板の両面に設けられた前記ノイズトラップパタ
ーンを接続するスルーホール接続部で接続されており、
前記ノイズトラップパターンの一端は回路側端子に接続
された他端は開放されて、前記両面に設けられたノイズ
トラップパターンと前記スルーホールとの長さの合計
が、 λ／４＋λ／２×ｎ （λはノイズ電流の伝搬波長，ｎ＝０，１，２，…） である低インピーダンスのノイズトラップパターンを形
成したことである。

すなわち、本実施例において、前記プリント基板１４に
はスルーホール２４が設けられており、部品実装側にお
いて、このスルーホール２４とマイクロコンピュータ１
０のクロック端子１０−５とがノイズトラップパターン
２２−１により接続され、また、半田面側において、一
端が前記スルーホール２４に接続され他端が開放された
ノイズトラップパターン２２−２が形成されている。

これらのノイズトラップパターン２２及びスルーホール
２４部分は、通常の回路配線パターン２０と同様の銅箔
等で形成されている。そして、ノイズトラップパターン
２２−１の長さｌ_１とノイズトラップパターン２２−２
の長さｌ_３、及びスルーホール２４部分のパターン長さ
ｌ_２とを加えた全長が λ／４＋λ／２×ｎとなっている。

なお、前記ノイズトラップパターン２２の長さはｎ＝０
の時のλ／４の長さが実用的である。

このようにノイズトラップパターン２２を形成した場
合、マイクロコンピュータ１０からのノイズトラップパ
ターン２２の引出し部において、ノイズトラップパター
ン側とマイクロコンピュータ１０からコネクタを介して
外部機器に接続されるワイヤーネス側のインピーダンス
とを比較してみると、ワイヤーネス側のインピーダンス
は極めて大きい反面、ノイズトラップパターン２２側の
インピーダンスは極めて小さいので、高周波電流は大部
分ノイズトラップパターン側に流れ、ワイヤハーネス側
にほとんど流れことなく、例えば自身搭載したマイクロ
コンピュータのクロックパルス信号に含まれる高周波ク
ロックノイズの外部への発生が防止されることになる。

このノイズトラップパターン２２の長さは、例えば前述
した式においてｎ＝０とした場合、76〜90MHzのＦＭ帯
で75cm、200MHzのＴＶ帯で30cm、43MHzのアマチュア無
線帯で15cm、800MHzの自動車電話の場合7.5cm程度とな
る。

そして、前記ノイズトラップパターン２２−１をできる
だけ雑音源、例えばマイクロコンピュータ１０のクロッ
ク発生源に近付けることで効果的なフィルタが構成され
るとともに、他の実装パターンへの逆誘起を防止するこ
とができる。

また、前記ノイズパターン２２の横幅は、通常の回路配
線パターン２０の実用的な幅である0.5〜10mm程度で充
分であり、この幅を広くするほど雑音防止周波数体が広
帯域化する。さらに、その膜厚も高周波電流の表皮効果
によってもっぱら表面に集中して流れるため、通常の回
路配線パターン２０の銅箔厚さ（例えば25μｍ）で充分
である。

以上説明したように、マイクロコンピュータから発せら
れるクロックパルスによる高周波成分は、回路配線パタ
ーン、コネクタを介してワイヤハーネスを伝わり、外部
に出てＦＭラジオ、ＴＶ、自動車電話等の無線機に妨害
を与えるおそれがあるが、本実施例によれば、前記ノイ
ズトラップパターン２２によりλ／４にて共振する周波
数領域を選択的にノイズトラップパターン２２側に引き
込み、雑音の防止が可能となる。

すなわち、本考案の実施例によれば、第２図に示される
ように、従来のプリント板に比べて５〜5dBなどフィル
タ効果が増し、ノイズレベルを一層低減することができ
る。また、スルーホール２４を利用してプリント基板１
４の表裏両面の任意の位置にノイズトラップパターンを
形成することができパターンの設計が容易となる。

このため、自身プリント板に搭載したＥＣＵ（Electron
ic Control Unit）などの高周波電流発生源近傍にスル
ーホールを設け、フィルタリングすることで、効果的に
外部への高周波ノイズの発生を防止することができるの
みならず、外部からのＥＭＩ（Electro Magnetic I nte
rferenceの略である自動車雑音と放送波による外来雑音
が含まれる）に対しても効果がある。

さらに、本考案の実施例によれば、両面スルーホールの
プリント基板製造工程で通常の回路配線パターンと同様
に、かつ任意にノイズトラップパターンを形成すること
ができ、従来用いられていた雑音防止フィルタ等を不要
として、低コストで実用的な高周波ノイズ防止を行うこ
とができる。

第３図には、マイクロコンピュータ１００の端子からス
ルーホール１２４を介して２つのノイズトラップパター
ン１２２−１，１２２−２が形成された実施例が示され
ている。

この実施例によれば、例えばＦＭ帯とＴＶ帯のノイズ伝
搬波長をそれぞれλ_１，λ_２とした場合、 ノイズトラップパターンの長さをλ_１／４，λ_２／２と
することにより、ＦＭ帯とＴＶ帯の２つの抑止周波数体
の雑音を同時に防止することができる。

また、第４図には複数個設けられたスルーホールのそれ
ぞれからノイズトラップワイヤを伸長形成することによ
り、任意にフィルタ周波数帯を選ぶことのできる実施例
が示されている。

すなわち、マイクロコンピュータ２００の端子２００−
５には、スルーホール２２４−１，２２４−２，２２４
−３がそれぞれ接続されており、これらの各スルーホー
ル２２４−１，２２４−２，２２４−３から長さの異な
るノイズトラップパターン２２２−１，２２２−２，２
２２−３が伸長されている。

この時、前述と同様にＦＭ波，アマチュア無線波、ＴＶ
波など各周波数帯のノイズ伝搬長に合せてパターン長を
決定することで、第５図にように、極めて簡単にマルチ
周波数帯域でのフィルタ効果を従来に比して５〜12dBほ
ど向上させることができる。

［考案の効果］ この考案は以上説明したとおり、プリント基板の回路配
線パターン近傍にスルーホール接続部を利用して低イン
ピーダンスのノイズトラップパターンを形成したことに
より、雑音防止用の素子フィルタ等を用いることなく高
周波雑音を有効に防止することができる。さらに、スル
ーホールによりプリント基板の両面の導電パターンを利
用できるため、電子部品および回路配線パターンの配置
の自由度を大きくすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る高周波雑音防止用プリント板の実
施例説明図、 第２図は本考案の実施例によるフィルタ効果を示す図、 第３図はノイズトラップワイヤを２種類形成した実施例
を示す図、 第４図は複数のスルーホールのそれぞれからノイズトラ
ップワイヤを伸長形成し、抑止周波数を選択可能とした
実施例を示す図、 第５図は第４図によるフィルタ効果を示す図、 第６図は車両用ワイヤーネスに重畳する高周波雑音を防
止する従来例を示す図である。 １０，１００，２００…マイクロコンピュータ １２…コネクタ １４…プリント基板 １６…導電性のケース ２０…回路配線パターン ２２，１２２，２２２…ノイズトラップパターン ２４，１２４，２２４…スルーホール

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】各種電子部品が実装されるプリント基板の
   回路配線パターン近傍に低インピーダンスのノイズトラ
   ップパターンが設けられたプリント板であって、 前記ノイズトラップパターンは、 前記プリント基板の両面に設けられた導電パターンと、
   前記プリント基板を貫通し前記両面に設けられた導電パ
   ターンを接続するスルーホール接続部とから構成されて
   いると共に、その一端が回路側端子に接続され他端が開
   放されており、 前記両面に設けられたノイズトラップパターンと前記ス
   ルーホールの長さの合計が、 λ／４＋（λ／２）×ｎ （λはノイズ電流の伝搬波長，ｎ＝０，１，２，…） に設定されていることを特徴とする高周波雑音防止用プ
   リント板。