JPH06248559A

JPH06248559A - 回転付きジグザグ刺繍機

Info

Publication number: JPH06248559A
Application number: JP5962193A
Authority: JP
Inventors: Akira Okuno; 晃奥野; Mitsuru Inukai; 充犬飼
Original assignee: NIPPON DENPA KK
Current assignee: NIPPON DENPA KK
Priority date: 1993-02-24
Filing date: 1993-02-24
Publication date: 1994-09-06

Abstract

(57)【要約】【目的】紐等の格納量を大幅に増やし、刺繍速度を速
くして紐等の刺繍効率を向上させる。【構成】刺繍布を展張状態で保持する回転枠を移動枠
１３上で枠回転モータ１７により所要の回転角で回転さ
せると共に、ミシンヘッド７に設けた刺繍針１０をｙ軸
方向に所要の振り幅で揺動させる構成とし、さらに、ミ
シンヘッド７上には紐２０を巻回状態で格納するボビン
１８を支持ブラケット１９を介して回転可能に設け、ミ
シンヘッド７の先端部側面には刺繍針１０の針先近傍に
向けて延び、ボビン１８に巻回した紐２０を刺繍布上に
導くガイド２１を設ける。そして、ボビン１８からガイ
ド２１を介して刺繍布上に導かれる紐２０を、所要の振
り幅で揺動される刺繍針１０により刺繍布上に縫い付
け、移動枠１３を枠移動させつつ回転枠を回転させるこ
とにより、刺繍布上で紐２０を任意の方向に湾曲させ、
任意の柄模様をなす紐２０の刺繍を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばリボン、テー
プ、コードまたは紐等の紐状体を刺繍布上に任意の模様
で縫い付け、刺繍布上に紐状体刺繍を実現するようにし
た回転付きジグザグ刺繍機に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、刺繍用の下糸が配置される基台
と、該基台上に設けられ、前記下糸側と対向する位置で
上糸側の刺繍針を針軸を介して上，下に往復動させる刺
繍機のヘッドと、該ヘッドの下側に位置して前記基台上
に移動可能に設けられ、駆動源により該基台上で前，
後、左，右方向（ｘ軸方向およびｙ軸方向）に駆動され
る移動枠と、該移動枠内で刺繍布を展張した状態に保持
する刺繍枠と、前記針軸の外周側に回転可能に設けら
れ、刺繍用の紐状体を巻回状態で格納した紐状体用のボ
ビンと、該ボビンに巻回した紐状体を前記刺繍布上で前
記刺繍針の針先近傍に向けて導く紐状体ガイドと、前記
ヘッドに設けられ、該紐状体ガイドをボビンと共に前記
針軸を中心として所要の角度だけ回転させるモータと、
運針データに基づき該モータ、前記ヘッドおよび移動枠
を駆動制御し、前記刺繍布上に前記紐状体の刺繍を実現
する刺繍制御手段とから構成してなる刺繍ミシンは、例
えば特公平３−６８１４５号公報、特公平３−６８１４
６号公報等で知られている。

【０００３】この種の刺繍ミシンでは、刺繍機のヘッド
により針軸を介して刺繍針を上，下に往復動させつつ、
移動枠をｘ軸，ｙ軸方向に駆動して刺繍針を運針させる
ときに、モータで紐状体ガイドをボビンと共に前記針軸
を中心として所要の角度だけ回転させることにより、前
記ボビンから刺繍針の針先近傍に導かれた紐状体を刺繍
布上に任意の模様をもって縫い付け、任意模様の紐状体
刺繍を実現するようにしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、紐状体用のボビンを針軸の外周側に回転可
能に設け、該ボビンを紐状体ガイドと共にモータにより
針軸を中心にして回転させるようにしているから、刺繍
機のヘッドと刺繍布との間の比較的小さい空間（スペー
ス）内に紐状体用のボビンが介在し、刺繍布上の刺繍柄
を目視で確認するときにボビンが邪魔になるばかりか、
ボビンを大きくすることができず、該ボビンに巻回状態
で格納する紐状体の量（ボビンに巻回できる紐状体の全
長）が制限されてしまうという問題がある。

【０００５】また、紐状体としては通常リボン、テー
プ、毛糸、金糸または銀糸等が使用されるが、紐状体用
のボビンはモータにより針軸を中心として回転駆動され
る構造であるため、紐状体の幅、厚さ、太さ、硬さ等が
制限され、紐状体の種類を自由に選択できない上に、ボ
ビンの回転バランスを取るためには、モータによってボ
ビンを高速回転させることが困難であるから、該ボビン
の回転速度が制限され、これにより刺繍速度全体が制限
されて刺繍速度を速くすることが難しいという問題があ
る。

【０００６】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は紐状体の格納量を大幅に増やす
ことができ、紐状体の種類も自由に選択できる上に、刺
繍速度を確実に速くすることができ、紐状体刺繍の効率
を大幅に向上できるようにした回転付きジグザグ刺繍機
を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明は、刺繍用の下糸が配置される基台と、該
基台上に設けられ、前記下糸側と対向する位置で上糸側
の刺繍針を上，下に往復動させ、かつ所要の振り幅Ｗで
揺動させる刺繍機のヘッドと、該ヘッドの下側に位置し
て前記基台上に移動可能に設けられ、駆動源により該基
台上で前，後、左，右方向に駆動される移動枠と、該移
動枠内に刺繍布を展張した状態で保持し、該移動枠に設
けた回転源により該移動枠内で刺繍布を回転角θをもっ
て回転させる回転枠と、前記刺繍針から離れた位置に設
けられ、刺繍用の紐状体を格納する紐状体格納部と、該
紐状体格納部から前記刺繍布上に紐状体を導くために前
記ヘッドに設けられ、前記刺繍針の針先近傍に向けて延
びた紐状体ガイドと、前記振り幅Ｗおよび回転角θを含
んだ運針データに基づき前記ヘッド、移動枠および回転
枠を駆動制御し、前記刺繍布上に前記紐状体の刺繍を実
現する刺繍制御手段とからなる構成を採用している。

【０００８】

【作用】上記構成により、例えば刺繍機のヘッド上等に
紐状体格納部を設けることができ、この紐状体格納部か
ら刺繍針の針先近傍に向け紐状体ガイドを介して刺繍布
上に導かれる紐状体を、振り幅Ｗをもって運針される刺
繍針によって刺繍布上に簡単に縫い付けることができ
る。そして、移動枠を任意方向に移動させつつ回転枠を
回転角θをもって回転させることにより、紐状体を任意
の方向に湾曲させることができ、任意の柄模様をもって
紐状体刺繍を実現できる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例による回転付きジグザ
グ刺繍機としての回転付きジグザグミシンを図１ないし
図１４に基づき説明する。

【００１０】図１ないし図１０は本発明の第１の実施例
を示している。

【００１１】図において、１は回転付きジグザグミシン
の基台を示し、該基台１は複数本の脚部２，２，…と、
該各脚部２上に設けられた支持板３とからなり、該支持
板３の中央部には図２に示す如く後述する移動枠１３、
回転枠１５等の下側に位置して略長方形状の針板４が設
けられている。そして、該針板４には図４に示す如く後
述の刺繍針１０が挿通される針穴４Ａが長円形状に穿設
され、その下側には下糸用のボビン（図示せず）が配設
されている。また、支持板３には図２に示す如く、移動
枠１３を左右方向（以下、ｘ軸方向という）に移動させ
るｘ軸方向の枠移動機構５と、移動枠１３を前後方向
（以下、ｙ軸方向という）に移動させるｙ軸方向の枠移
動機構６とが設けられ、該枠移動機構５，６には移動枠
１３をｘ，ｙ軸方向にガイドするための各ガイドローラ
５Ａ，６Ａおよび各ガイドレール５Ｂ，６Ｂ等が設けら
れている。

【００１２】７は移動枠１３上に延びるように支持板３
上に設けられた刺繍機のヘッドとしてのミシンヘッドを
示し、該ミシンヘッド７は図２、図３に示す如く支持板
３の下側に配設した主軸モータ８によりはずみ車９等を
介して駆動され、前記下糸側と対向する位置で上糸側の
刺繍針１０を針軸１１を介して上，下に往復動させる構
成となっている。また、該ミシンヘッド７にはパルスモ
ータ等からなる針軸揺動モータ１２（図８参照）が付設
され、該針軸揺動モータ１２は図５に示す如く針軸１１
の支点１１Ａを中心にして刺繍針１０を振り幅Ｗだけ、
例えば前後方向（ｙ軸方向）に揺動させる。

【００１３】１３はミシンヘッド７の下側に位置して支
持板３上に移動可能に設けられた移動枠を示し、該移動
枠１３は図２に示す如く略長方形の板状に形成され、そ
の下面側には下向きに突出する縁取り部（図示せず）が
設けられている。そして、該移動枠１３は縁取り部が枠
移動機構５，６の各ガイドローラ５Ａ，６Ａに係合状態
で保持され、後述の枠移動モータ１４（図８参照）で枠
移動機構５，６を駆動することによりｘ軸方向およびｙ
軸方向に移動される。

【００１４】１４は枠移動機構５，６を駆動して移動枠
１３をｘ軸方向およびｙ軸方向に移動させる駆動源とし
ての枠移動モータを示し、該枠移動モータ１４は移動枠
１３をｘ軸方向に移動させるｘ軸モータとｙ軸方向に移
動させるｙ軸モータ（いずれも図示せず）とからなり、
パルスモータ等によって構成されている。

【００１５】１５は移動枠１３の中央部に回転可能に配
設された回転枠を示し、該回転枠１５は刺繍布１６を展
張した状態で保持し、移動枠１３上でこの刺繍布１６を
回転枠１５の枠中心を中心にして回転角θだけ回転させ
る。

【００１６】１７は移動枠１３上に設けられた回転源と
しての枠回転モータを示し、該枠回転モータ１７はその
出力軸がタイミングベルト（図示せず）等を介して回転
枠１５に連結され、回転枠１５を移動枠１３上で回転角
θをもって回転駆動する。ここで、該枠回転モータ１７
は枠移動モータ１４等と同様にパルスモータによって構
成され、後述のミシン制御部４３から制御信号として出
力されるパルス信号のパルス数に応じて回転枠１５を正
方向または逆方向にオープンループ制御で回転させる。

【００１７】１８はミシンヘッド７上に支持ブラケット
１９を介して回転可能に設けられた紐状体格納部として
のボビンを示し、該ボビン１８は図４に示す如く支持ブ
ラケット１９の掛止め部１９Ａに支軸１８Ａを介して交
換可能に取付けられ、紐状体としての紐２０（例えばコ
ード、毛糸、金糸または銀糸等）を比較的多量に巻回状
態で格納している。そして、該ボビン１８に巻回された
紐２０は後述のガイド２１を介して刺繍布１６上に導か
れ、該刺繍布１６が移動枠１３と共にｘ軸，ｙ軸方向に
枠移動（回転枠１５が回転）されるときに、刺繍布１６
の移動に応じてボビン１８から繰出される。

【００１８】２１はボビン１８に巻回した紐２０を刺繍
布１６上へと導く紐状体ガイドを示し、該ガイド２１は
図４に示す如く、ミシンヘッド７の先端側側面にボルト
（図示せず）等を介して着脱可能に取付けられ、所定の
長さ寸法をもって上下方向に延びたガイド部材２２と、
該ガイド部材２２の下端側に取付けられ、刺繍針１０の
針先に向けて延びるように円弧状に湾曲したガイド片２
３と、該ガイド片２３の先端側に取付けられ、図６に示
す如く開閉可能に形成された開閉ガイド２４とから構成
されている。

【００１９】ここで、該開閉ガイド２４は長方形状をな
す小型の衝合板２４Ａ，２４Ａをヒンジ結合することに
より形成され、該各衝合板２４Ａの衝合面には紐２０を
刺繍布１６上に案内する各ガイド溝２４Ｂが半円形状を
なして形成されている。そして、ガイド２１はボビン１
８に巻回された紐２０をガイド部材２２を介して下向き
に導いた後に、この紐２０を開閉ガイド２４から刺繍布
１６上に導出する構成となっている。この場合、開閉ガ
イド２４は各ガイド溝２４Ｂ内に紐２０の先端側を挿入
するときに開いた状態に置かれ、紐２０の挿入後に再び
閉じた状態に置かれる。

【００２０】２５は支持板３上に所定の高さをもって配
設されたカバー兼用のチーズ台を示し、該チーズ台２５
上にはチーズとしての上糸用のボビン２６，２６，…
と、該各ボビン２６からの上糸２７をミシンヘッド７に
向けて供給する上糸ガイド２８等とが設けられている。
なお、図３中ではチーズ台２５上に配置する各ボビン２
６を省略して示している。

【００２１】２９はチーズ台２５上にブラケット３０を
介して設けられた操作ボックスを示し、該操作ボックス
２９には図７に示す如く、表示器３１、電源ＯＮ，ＯＦ
Ｆスイッチ３２Ａ，３２Ｂ、ソフトキー３３、キーボー
ド３４およびフロッピーディスク装置３５等が設けら
れ、ミシン制御部４３の一部を内蔵している。そして、
ソフトキー３３は表示器３１に表示されるメニューに対
応して運針データの読込み、書込み、データの入，出力
および拡大、縮小等を行うと共に、さらに機械条件の設
定、柄変更、柄選択、柄の追加、柄の組合せ、色替え変
更等を行う所謂対話キーを構成している。

【００２２】また、前記キーボード３４にはドライブス
イッチ３６、スタートスイッチ３７、ストップ／バック
スイッチ３８、ジョグキー部３９、テンキー部４０、ブ
ザー４１およびスピード可変つまみ４２等が設けられ、
ジョグキー部３９にはｘ，ｙ軸方向の枠移動キー３９
Ａ、オリジンスイッチ３９Ｂおよび枠回転キー３９Ｃ，
３９Ｃ等が設けられている。そして、ジョグキー部３９
の枠移動キー３９Ａはオペレータによって手動操作され
るときに、枠移動モータ１４を駆動させ、移動枠１３を
ｘ軸方向およびｙ軸方向にその操作時間に応じた移動量
だけ移動させる。また、各枠回転キー３９Ｃは刺繍柄の
作成に先立って、例えば刺繍布１６の布目と回転枠１５
の回転位置とを合せるときに手動操作され、枠回転モー
タ１７により回転枠１５を刺繍布１６と共に回転させ
る。

【００２３】一方、支持板３には前記枠移動機構５，６
の下側に位置してｘ軸、ｙ軸側の原点スイッチ（いずれ
も図示せず）が設けられ、この原点スイッチは図２に示
す如く刺繍針１０の針中心Ｎと回転枠１５の枠中心とが
一致したときに、枠移動機構５，６を介してこれを検出
し、移動枠１３が刺繍針１０に対して原点位置にあるこ
とをミシン制御部４３等で判別させるようになってい
る。なお、回転角θおよび振り幅Ｗの原点検出も同様に
行うが、ここではその説明を省略する。

【００２４】さらに、４３は操作ボックス３６に近い位
置で支持板３の下側に配設された刺繍制御手段としての
ミシン制御部を示し、該ミシン制御部４３はマイクロコ
ンピュータ等によって構成され、その入力側には図８に
示す如くソフトキー４０、キーボード４１、フロッピー
ディスク装置４２等が接続されると共に、場合によって
はテープリーダ、編集機、柄作成機、ティーチング機
（いずれも図示せず）が、例えば通信回線等を介して接
続される。また、該ミシン制御部４３の出力側には前記
主軸モータ８、針軸揺動モータ１２、枠移動モータ１
４、枠回転モータ１７および表示器３１等が接続されて
いる。

【００２５】そして、該ミシン制御部４３はその記憶回
路内に図９に示すプログラム等を格納し、紐２０の刺繍
制御処理を含むミシン制御処理等を行うようになってい
る。また、該ミシン制御部４３の記憶回路はその記憶エ
リア４３Ａ内に、例えばフロッピーディスク装置４２か
ら読込んだ運針データを記憶すると共に、各種の判定値
や設定値等を更新可能に記憶している。

【００２６】ここで、該ミシン制御部４３は外部から読
込んだ針中心ＮのデータＮ( ΔＸ，ΔＹ，θ，Ｗ) を、
例えば先行技術（特願平４−２４４３００号）等に記載
の通り、枠中心Ｃの運針データＣ( Δｘ，Δｙ, θ,
Ｗ) に変換演算し、この運針データＣ( Δｘ，Δｙ，
θ，Ｗ）に基づき主軸モータ８、枠移動モータ１４、枠
回転モータ１７および針軸揺動モータ１２等を作動制御
して刺繍針１０、移動枠１３および回転枠１５等を移
動、回転させ、図１０に例示する如く紐２０の刺繍等を
刺繍布１６に実現する。

【００２７】本実施例による回転付きジグザグミシンは
上述の如き構成を有するもので、次に、ミシン制御部４
３による紐２０の刺繍制御処理を含むミシン制御処理に
ついて図９を参照して説明する。

【００２８】まず、電源ＯＮスイッチ３２Ａの投入によ
って処理動作がスタートすると、ステップ１で運転準備
状態となってフロッピーディスク装置３５から前記針中
心ＮのデータＮ( ΔＸ，ΔＹ，θ，Ｗ) を読込み、これ
を、

【００２９】

【数１】Ｎ( ΔＸ，ΔＹ，θ，Ｗ) →Ｃ（Δｘ，Δｙ，θ，Ｗ）なる演算式に基づき枠中心Ｃの運針データＣ（Δｘ，Δ
ｙ，θ，Ｗ）に変換し、この枠中心Ｃの運針データＣ
（Δｘ，Δｙ，θ，Ｗ）に基づいて移動枠１３および回
転枠１５等を移動、回転させることにより、刺繍針１０
を後述の開始点Ｎ0，針中心Ｎ1 ，Ｎ2 ，Ｎ3 ，…Ｎk
の位置へと順次相対移動させることができるようにす
る。

【００３０】次に、ステップ２ではソフトキー３３およ
びテンキー部４０を操作して柄選択を行い、ドライブス
イッチ３６を押して運転状態にする。そして、ステップ
３に移ってジョグキー部３９を操作することにより、刺
繍布１６の柄開始点（図１０に例示する開始点Ｎ0 ）上
に刺繍針１０が配置されるように移動枠１３等を枠移動
させる。

【００３１】次に、ステップ４ではスタートスイッチ３
７が閉成されたか否かを判定し、「ＹＥＳ」と判定した
ときにはステップ５に移って前記運針データＣ（Δｘ，
Δｙ，θ，Ｗ）に基づき、例えば図１０に示すように紐
２０の刺繍を実行する。この場合、開始点Ｎ0 に対応す
る枠中心Ｃ0 （図示せず）のｘ−ｙ座標データを（Δ
ｘ，Δｙ）とすると、針中心Ｎ1 ，Ｎ2 ，…Ｎk に対応
する枠中心Ｃ1 ，Ｃ2 ，…Ｃk （いずれも図示せず）の
運針データは、

【００３２】

【数２】Ｃ1 （Δｘ1 ，Δｙ1 ，θ1 ，Ｗ） Δｘ1 ＝ｘ1 −ｘ0 Δｙ1 ＝ｙ1 −ｙ0 Ｃ2 （Δｘ2 ，Δｙ2 ，θ2 ，Ｗ） Δｘ2 ＝ｘ2 −ｘ1 Δｙ2 ＝ｙ2 −ｙ1 Ｃk （Δｘk ，Δｙk ，θk ，Ｗ） Δｘk ＝ｘk −ｘk-1 Δｙk ＝ｙk −ｙk-1 となる。

【００３３】そこで、まず刺繍針１０を開始点Ｎ0 の位
置から針中心Ｎ1 の位置に相対移動すべく、枠移動モー
タ１４で移動枠１３をｘ軸方向にΔｘ１、ｙ軸方向にΔ
ｙ1だけ枠移動させると共に、枠回転モータ１７で回転
枠１５を回転角θ1 だけ回転させ、この針中心Ｎ1 の位
置で刺繍針１０を振り幅Ｗで揺動させることにより、該
刺繍針１０を針落ち点Ｓ1 ，Ｓ1 ′に運針させる。そし
て、その後は枠移動モータ１４で移動枠１３をｘ軸方向
およびｙ軸方向に枠移動させると共に、枠回転モータ１
７で回転枠１５を回転角θだけ回転させ、刺繍針１０を
針中心Ｎ2 ，Ｎ3 ，…Ｎk の位置に順次配置しつつ、刺
繍針１０を振り幅Ｗだけ揺動して針落ち点Ｓ2 ，Ｓ2
′，…Ｓk ，Ｓk ′に順次運針させる。

【００３４】次に、ステップ６では紐２０の刺繍柄が終
了したか否かを判定し、「ＮＯ」と判定するときにはス
テップ５に戻って図１０に例示した針落ち点Ｓk ，Ｓk
′以降の刺繍を続行する。そして、例えば柄終了時に
は運針データ中のエンドファンクションに基づいてステ
ップ６で「ＹＥＳ」と判定するから、ステップ７に移っ
て電源ＯＦＦスイッチ３２Ｂが押下されたか否かを判定
し、「ＹＥＳ」と判定したときには処理動作を終了すべ
く、例えば縫止め、糸切り、終了点移動等の刺繍終了動
作を実行する。

【００３５】また、ステップ７で「ＮＯ」と判定したと
きにはステップ４に戻ってスタートスイッチ３７が開成
されたか否かを判定し、例えば同じ柄を刺繍するために
刺繍布１６を取り替えて、再びスタートスイッチ３７が
開成されるときにはステップ４で「ＹＥＳ」と判定する
から、ステップ５以降の処理を繰り返す。一方、異なる
柄を刺繍するとき、または異なるフロッピーディスクか
ら他の運針データを再入力するときには、ステップ１に
戻って運転準備からやり直す。そして、スピードを変え
たいときにはスピード可変つまみ４２を手動で調節し、
縫い途中で糸が切れたり、紐２０または上糸２７の交換
時には表示器３１にメッセージが出るのでソフトキー３
３で対応する。

【００３６】而して、本実施例によれば、刺繍布１６を
展張状態で保持する回転枠１５を移動枠１３上で枠回転
モータ１７により回転角θをもって回転させると共に、
ミシンヘッド７に設けた刺繍針１０を振り幅Ｗで揺動さ
せる構成とし、さらに、ミシンヘッド７上には紐２０を
巻回状態で格納するボビン１８を支持ブラケット１９を
介して回転可能に設け、ミシンヘッド７の先端部側面に
は刺繍針１０の針先近傍に向けて延び、ボビン１８に巻
回した紐２０を刺繍布１６上に導くガイド２１を設けた
から、下記のような作用効果を得ることができる。

【００３７】即ち、ボビン１８からガイド２１を介して
刺繍布１６上に導かれる紐２０は図１０に例示する如
く、振り幅Ｗをもって揺動される刺繍針１０により針落
ち点Ｓ1 ，Ｓ1 ′で刺繍布１６上に簡単に縫い付けられ
るから、その後は移動枠１３をｘ軸，ｙ軸方向に枠移動
させつつ回転枠１５を回転角θをもって回転させ、刺繍
針１０を針落ち点Ｓ2 ，Ｓ2 ′，…Ｓk ，Ｓk ′に順次
運針させることにより、刺繍布１６上で紐２０を任意の
方向に湾曲（屈曲）させることができ、任意の柄模様を
なす紐２０の刺繍を簡単に実現できる。

【００３８】そして、この場合には紐２０の中心線上に
位置する針中心Ｎ1 ，Ｎ2 ，…Ｎkに刺繍針１０を配置
しつつ、この刺繍針１０を振り幅Ｗをもって揺動させる
ことにより、針落ち点Ｓ1 ，Ｓ1 ′，…Ｓk ，Ｓk ′で
紐２０を刺繍布１６に簡単に縫い付けることができるか
ら、針落ち点Ｓ1 ，Ｓ1 ′，…Ｓk ，Ｓk ′毎に移動枠
１３をｘ軸方向およびｙ軸方向に枠移動させる必要がな
くなり、紐２０の刺繍速度を確実に速くすることができ
る。

【００３９】また、紐２０を巻回状態で格納したボビン
１８を刺繍針１０等から可及的に離間させ、ミシンヘッ
ド７の上側に設けているから、従来技術で述べたよう
に、刺繍布１６上の刺繍柄を目視で確認するときにボビ
ン１８等が邪魔になることはなくなり、該ボビン１８を
大型化することができ、該ボビン１８に巻回状態で格納
する紐２０の量（ボビン１８に巻回できる紐２０の全
長）が制限される等の問題を解消できる。

【００４０】さらに、コード、毛糸、金糸または銀糸等
からなる紐２０の太さや硬さ等が制限されるようなこと
もなくなり、紐２０の種類を自由に選択できる上に、ボ
ビン１８の回転バランスを取る必要もなくなるので、刺
繍速度を確実に速くすることができ、紐２０の刺繍効率
を大幅に向上させることができる等、種々の効果を奏す
る。

【００４１】次に、図１１および図１２は本発明の第２
の実施例を示し、本実施例では前記第１の実施例と同一
の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するも
のとするに、本実施例の特徴は、長尺の帯状に形成され
たリボンまたはテープ等の帯状体５１を紐状体として用
い、該帯状体５１を刺繍布１６上に導くための開閉ガイ
ド５２を図１１に示す如く開閉可能に形成したことにあ
る。

【００４２】ここで、該開閉ガイド５２は前記第１の実
施例で述べた紐状体ガイド２１の開閉ガイド２４とほぼ
同様に、長方形状をなす小型の衝合板５２Ａ，５２Ａを
ヒンジ結合することにより形成され、該各衝合板５２Ａ
の衝合面には帯状体５１を刺繍布１６上に案内する各ガ
イド溝５２Ｂが幅広の浅溝状に形成されている。また、
前記帯状体５１はミシンヘッド７上のボビン１８に巻回
され、その先端側が図４に例示したガイド部材２２を介
して下向きに導かれた後に、開閉ガイド５２から刺繍布
１６上に導出される。この場合、開閉ガイド５２は各ガ
イド溝５２Ｂ内に帯状体５１の先端側を挿入するときに
開いた状態に置かれ、帯状体５１の挿入後に再び閉じた
状態に置かれる。

【００４３】そして、枠移動モータ１４で移動枠１３を
ｘ軸方向およびｙ軸方向に枠移動させると共に、枠回転
モータ１７で回転枠１５を回転角θだけ回転させ、刺繍
針１０を針中心Ｎi ，Ｎi+1 ，…Ｎm の位置に順次配置
しつつ、刺繍針１０を振り幅Ｗだけ揺動して針落ち点Ｓ
i ，Ｓi ′，Ｓi+1 ，Ｓi+1 ′，…Ｓm ，Ｓm ′に順次
運針させることにより、帯状体５１は図１２に示す如く
刺繍される。

【００４４】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記第１の実施例とほぼ同様の作用効果を得るこ
とができるが、特に本実施例では、長尺の帯状に形成さ
れたリボンまたはテープ等の帯状体５１を簡単に短時間
で刺繍することができる。

【００４５】次に、図１３および図１４は本発明の第３
の実施例を示し、本実施例では前記第１の実施例と同一
の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するも
のとするに、本実施例の特徴は、帯状体６１を刺繍布１
６上に導くための開閉ガイド６２を、前記第２の実施例
で述べた開閉ガイド５２とほぼ同様に各衝合板６２Ａを
ヒンジ結合することにより形成し、該各衝合板６２Ａの
衝合面には各ガイド溝６２Ｂを先細り状に形成し、開閉
ガイド６２から刺繍布１６上に帯状体６１を導出すると
きに、該帯状体６１にくびれ部６１Ａ，６１Ａ，…を図
１４に示す如く形成するようにしたことにある。

【００４６】ここで、帯状体６１は前記第２の実施例で
述べた帯状体５１と同様にリボンまたはテープ等からな
り、ミシンヘッド７上のボビン１８に巻回される。そし
て、帯状体６１は各くびれ部６１Ａの位置に、刺繍針１
０を振り幅Ｗだけ揺動して針落ち点Ｓj ，Ｓj ′，Ｓj+
1 ，Ｓj+1 ′，…に順次運針させることにより、帯状体
６１は図１４に示す如く刺繍される。

【００４７】かくして、このように構成される本実施例
でも、前記第２の実施例とほぼ同様の作用効果を得るこ
とができるが、特に本実施例では、帯状体６１の途中に
各くびれ部６１Ａを形成でき、図１４に示す如き刺繍柄
であっても短時間で仕上げることができる。

【００４８】なお、前記第１、第２の実施例では、図１
０、図１２に示す如く紐２０（帯状体５１）の刺繍を行
うものとして述べたが、これに替えて、図１５、図１６
に示す変形例のように刺繍針１０を針落ち点Ｓn ，Ｓn+
1 ，Ｓn+2 ，…に順次運針させることにより、紐２０
（帯状体５１）の刺繍を行うよいにしてもよい。

【００４９】また、前記各実施例では、刺繍針１０を振
り幅Ｗをもってｙ軸方向に揺動させるものとして述べた
が、本発明はこれに限らず、刺繍針１０を振り幅Ｗをも
ってｘ軸方向に揺動させる構成としてもよく、振り幅Ｗ
は例えば１２．７mm以内の幅寸法をもって運針データに
より可変に設定される変数であり、振り幅Ｗを一定にす
る必要はないものである。

【００５０】さらに、前記各実施例では、紐２０（帯状
体５１，６１）が巻回状態で格納されるボビン１８を支
持ブラケット１９を介してミシンヘッド７上に設けるも
のとして述べたが、これに替えて、例えば図４中に仮想
線で示すようにミシンヘッド７の先端側側面にボビン１
８′を支持ブラケット１９′を介して設けてもよく、ま
たはチーズ台２５上にボビン１８を設け、チーズ台２５
上から上糸２７等と同様に紐２０（帯状体５１，６１）
をガイド２１等を介して刺繍布１６上に導くようにして
もよい。

【００５１】

【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、刺繍
布を展張状態で保持する回転枠を移動枠上で回転源によ
り回転角θをもって回転させると共に、刺繍機のヘッド
に設けた刺繍針を振り幅Ｗで揺動させる構成とし、刺繍
針から離して設けた紐状体格納部から刺繍針の針先近傍
に向け紐状体を紐状体ガイドを介して刺繍布上に導くよ
うにしたから、振り幅Ｗをもって運針される刺繍針によ
って刺繍布上に紐状体を簡単に縫い付けることができ、
移動枠を枠移動させつつ回転枠を回転角θをもって回転
させることにより、紐状体を任意の方向に湾曲させ、任
意の柄模様をもって紐状体刺繍を実現できる。

【００５２】そして、紐状体格納部を刺繍針から離間さ
せ、例えばヘッド上に設ける構成としたから、紐状体の
格納量を大幅に増やすことができ、紐状体の種類も自由
に選択できる上に、刺繍速度を確実に速くすることがで
き、紐状体刺繍の効率を大幅に向上できる等、種々の効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例による回転付きジグザグ
ミシンを示す正面図である。

【図２】図１に示す回転付きジグザグミシンの平面図で
ある。

【図３】図１に示す回転付きジグザグミシンの右側面図
である。

【図４】図１中のミシンヘッド、ボビンおよび紐状体ガ
イド等を示す一部破断の拡大図である。

【図５】針軸および刺繍針の振り幅を示す説明図であ
る。

【図６】図４中の開閉ガイドを拡大して示す斜視図であ
る。

【図７】図１に示す操作ボックスの正面拡大図である。

【図８】図１に示す回転付きジグザグミシンの制御ブロ
ック図である。

【図９】ミシン制御処理を示す流れ図である。

【図１０】紐を刺繍布に縫い付ける状態を示す針落ち点
等の説明図である。

【図１１】第２の実施例による開閉ガイドを拡大して示
す斜視図である。

【図１２】図１１の開閉ガイドを用いて帯状体を縫い付
ける状態を示す針落ち点等の説明図である。

【図１３】第３の実施例による開閉ガイドを拡大して示
す正面図である。

【図１４】図１３の開閉ガイドを用いて帯状体を縫い付
ける状態を示す針落ち点等の説明図である。

【図１５】変形例による紐等の刺繍柄を示す説明図であ
る。

【図１６】他の変形例による紐等の刺繍柄を示す説明図
である。

【符号の説明】

１基台３支持板５，６枠移動機構７ミシンヘッド（刺繍機のヘッド）１０刺繍針１２針軸揺動モータ１３移動枠１４枠移動モータ（駆動源）１５回転枠１６刺繍布１７枠回転モータ（回転源）１８ボビン（紐状体格納部）２０紐（紐状体）２１紐状体ガイド２４，５２，６２開閉ガイド２７上糸２９操作ボックス３１表示器３３ソフトキー３５フロッピーディスク装置４３ミシン制御部（刺繍制御手段）５１，６１帯状体（紐状体）Ｎ針中心Ｓ針落ち点

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】刺繍用の下糸が配置される基台と、該基
台上に設けられ、前記下糸側と対向する位置で上糸側の
刺繍針を上，下に往復動させ、かつ所要の振り幅Ｗで揺
動させる刺繍機のヘッドと、該ヘッドの下側に位置して
前記基台上に移動可能に設けられ、駆動源により該基台
上で前，後、左，右方向に駆動される移動枠と、該移動
枠内に刺繍布を展張した状態で保持し、該移動枠に設け
た回転源により該移動枠内で刺繍布を回転角θをもって
回転させる回転枠と、前記刺繍針から離れた位置に設け
られ、刺繍用の紐状体を格納する紐状体格納部と、該紐
状体格納部から前記刺繍布上に紐状体を導くために前記
ヘッドに設けられ、前記刺繍針の針先近傍に向けて延び
た紐状体ガイドと、前記振り幅Ｗおよび回転角θを含ん
だ運針データに基づき前記ヘッド、移動枠および回転枠
を駆動制御し、前記刺繍布上に前記紐状体の刺繍を実現
する刺繍制御手段とから構成してなる回転付きジグザグ
刺繍機。