JPH0611871Y2

JPH0611871Y2 - パワーステアリングギア装置

Info

Publication number: JPH0611871Y2
Application number: JP1988139019U
Authority: JP
Inventors: 昭憲岩間
Original assignee: Nissan Motor Co Ltd
Current assignee: Nissan Motor Co Ltd
Priority date: 1988-10-24
Filing date: 1988-10-24
Publication date: 1994-03-30
Anticipated expiration: 2003-10-24
Also published as: JPH0259069U

Description

【考案の詳細な説明】（産業上の利用分野）本考案は、車両等のパワーステアリングギア装置に関
し、特に、補助操舵応答特性の改善と、ステアリングシ
ミーの軽減とを両立させたパワーステアリングギア装置
に関する。

（従来の技術）操舵ハンドルに入力される手動操舵力を油圧力によって
補助するパワーステアリング装置は、操舵力を軽減して
運転フィーリングが改善されることから近時多くの車両
に搭載されている。

第４図は、従来のパワーステアリングギア装置に用いら
れるパワーステアリングギア機構の一例を示す構成図で
ある。第４図において、１は操舵ハンドルからの操舵力
が入力されるピニオンＡＳＳＹ、２は車体に支持される
ハウジング、３はハウジング２内を貫通して車幅方向に
延在し、両端が夫々操舵輪に連結するラック軸、４はラ
ック軸３に固定されたピストンである。ピストン４はハ
ウジング２内部を仕切って室Ａ、Ｂを画成し、室Ａ、Ｂ
にはピニオンＡＳＳＹ１からの油路５、６が接続されて
いる。油路５、６は、操舵ハンドルの操舵方向に応じて
一方に油圧が供給され、他方がドレンされるようになっ
ている。第５図は第４図におけるＶ部の拡大図である。
第５図において、油路５と室Ａとはポート７を介して連
通しており、また、油路６と室Ｂとはポート８を介して
連通している。ポート７、８内には各々、所定の開口面
積を有するフェルール９、９′が嵌入され、ポート７、
８を通過する作動油は、このフェルール９、９′によっ
て絞り作用を受ける。

このような構成において、今、操舵ハンドルが一方向に
操舵された場合、例えば、油路５から室Ａに作動油が供
給され、室Ｂの作動油は油路６を介してドレンされる。
これにより、ピストン４の室Ａ側油圧が高まり、ピスト
ン４は室Ａ、Ｂ間の油圧差に応じた力（すなわち補助操
舵力）を受け、ラック軸３を変位させて転舵輪に舵角を
与える（例えば、実開昭６２−１１０６９号公報参
照）。

ところで、路面から伝えられるシミーによりラック軸３
が微妙に振動すると、この振動が操舵ハンドルに伝えら
れたりして好ましくない。そこで、従来のものでは、フ
ェルール９、９′によって室Ａ、Ｂ内の作動油の油路
５、６への流通を制限し、シミーを軽減している。さら
に、シミーを軽減する別の方法として、実開昭６１−９
８６７８号公報記載のラックアンドピニオン式パワステ
アリング装置が知られている。このラックアンドピニオ
ン式パワステアリング装置では、ラックバーに大径部を
設け、ラックバーが中立位置にあるときに大径部でケー
シングの給排ポートを絞り込むことによって、シミーを
軽減している。また、ラックバーの外周面とケーシング
の内周面の間にはオイルシールが縮設されており、この
オイルシールによってシリンダ室からのオイルの漏れ出
しを防止している。

（考案が解決しようとする課題）しかしながら、このような従来のパワーステアリングギ
ア装置にあっては、一定の開口面積を有するフェルール
９、９′によって室Ａ、Ｂに出入する作動油を絞り込
み、シミーを軽減する構成となっていたため、例えば、
フェルール９、９′の開口面積を小さくすると、シミー
の軽減効果が高められる反面、操舵時に室Ａ、Ｂに出入
する作動油も絞り込まれる結果、操舵応答性が低下する
といった不具合があった。

さらに、実開昭６１−９８６７８号公報記載のラックア
ンドピニオン式パワステアリング装置にあっては、ラッ
クバーに大径部が形成されているため、ラックバーの移
動に伴って、オイルシールが大径部とそれ以外の部分と
の間で大きくたわみ、シール性を良好に維持することが
困難であるばかりか、オイルシールの劣化を早めるとい
う不具合がある。

そこで、本考案は、シミーが発生しやすいニュートラル
時において、ポートの開口面積を絞る一方、操舵時には
ポートの開口面積を大きくすることにより、シミーの軽
減と操舵応答性の向上を両立させるとともに、シール性
を損なうことなく、しかも、長期にわたってオイルシー
ルの劣化を防止することを目的としている。

（課題を解決するための手段）本考案に係るパワーステアリングギア装置は、上記目的
達成のため、ハウジング内部を２室に仕切るピストン
と、ハウジング壁に形成され、各々の開口が２室に臨む
２つのポートと、ピストンを一体的に支持して車幅方向
に変位自在に延在し、両端が転舵輪に連結されたラック
軸と、を備えたパワーステアリングギア装置において、前記ハウジングの内径と略同等の外径を有する２つのリ
ング部材を前記ラック軸に固定し、該ラック軸がニュー
トラル位置にあるとき、該２つのリング部材の外周面で
前記２つのポートの開口面積を減少若しくは閉鎖するよ
うに構成している。

（作用）本考案では、操舵ハンドルの操舵に対応してラック軸が
車幅方向に変位すると、ラック軸の両端に連結された転
舵輪が転舵されると同時に、ラック軸と一体のピストン
によって仕切られた２室の一方に油圧が供給され、これ
によって、上記操舵ハンドルの操舵力を軽減する補助操
舵力が発生する。一方、ラック軸がニュートラル位置に
あるときには、ラック軸上のリング部材がポートの開口
面積を減少または閉鎖させるので、上記２室が負荷とし
て働き、転舵輪から伝えられるシミーが軽減される。

なお、ラック軸に固定されたリング部材の外周面とハウ
ジングの内壁との間が常に接触しているので、この間の
摺動による摩擦抵抗によってもシミーの軽減効果が得ら
れる。

（実施例）以下、本考案を図面に基づいて説明する。

第１〜３図は本考案の一実施例を示す図である。

まず、構成を説明する。第１図において、10はパワース
テアリングギア装置の要部であり、第５図に示された従
来の要部に対応している。11は車体に支持されたハウジ
ング、12はハウジング11内を２室（室Ａ、室Ｂ）に仕切
るピストン、13、14はハウジング11壁に形成され、各々
開口が室Ａ、室Ｂに臨むポート、15は上記ピストン12を
一体的に支持して車幅方向に変位自在に延在するラック
軸である。

また、上記ポート13、14内には、所定の開口面積を有す
るフェルール16、17が嵌入されており、フェルール16、17
を内装したポート13、14の各々の開口は、ラック軸15の
ニュートラル時において、リング部材（ポート開口面積
調節手段）18、19の外周面によってその開口面積が減少
若しくは閉鎖されるようになっている。ラック軸15は転
舵輪が直進状態（舵角ゼロ）にあるときに、図示のニュ
ートラル位置にあり、このときに、リング部材18、19の
外周面が各々、ポート13、14の開口に対峙するようにな
っている。リング部材18、19は、第２図に示すように、
その内周部がラック軸15に固定されており、ラック軸15
に追随してハウジング11内を軸方向に変位し、また、リ
ング部材18、19には開口20が形成されている。

このような構成において、ラック軸15がニュートラル位
置にあるとき、ポート13、14の開口はリング部材18、19に
よって減少若しくは閉鎖させられる。したがって、シミ
ーによってラック軸15が振動しようとしても、室Ａ、Ｂ
内の作動油の出入口（すなわち、フェルール16、17の開
口）が極小に絞り込まれているので、室Ａ、Ｂを仕切る
ピストン12が容易に移動しない結果、シミーの軽減効果
が高められる。

一方、操舵ハンドルが操作された直後、ラック軸15がわ
ずかに変位し、この変位に追随してリング部材18、19も
変位するため（第３図参照）、室Ａ、Ｂの作動油の出入
口（すなわちフェルール16、17の開口）が開放されて、
作動油の出入が低い流動抵抗で許容される。また、各々
のリング部材18、19に開口20を設けているので、高圧作
動油のハウジング内部における移動を妨げない。その結
果、図外の油圧源からの高圧作動油は速やかに室Ａ（若
しくは室Ｂ）へと流入し、応答性良く補助操舵力を発生
させることができる。

このように、本実施例では、ポート13、14内にフェルー
ル16、17を嵌入し、このフェルール16、17の開口面積を、
ラック軸15に追随して変位するリング部材18、19によっ
て可変としている。したがって、ニュートラル時におい
て、室Ａ、Ｂの作動油の出入を高い流動抵抗で制限する
ことができる一方、操舵時には、室Ａ、Ｂの作動油の出
入を低い流動抵抗で許容することができる。その結果、
シミーに対してはラック軸15を振動し難くてこれを軽減
し、また、操舵時にはラック軸15の変位をスムーズなも
のとして応答性を改善するといったように、シミーの軽
減および操舵応答性の両立を図ることができる。

なお、本実施例によれば、リング部材18、19とハウジン
グ11内壁とが摺接しているので、このリング部材18、19
をフリクションリングとして機能させることができる。
すなわち、大幅なギア構造の変更を伴わずにラック摺動
力を向上させることができるので好ましい。

また、上記実施例では２つのポート13、14内に各々フェ
ルール16、17を嵌入し、このフェルール16、17の開口面積
をリング部材18、19で調節しているが、これに限らず、
フェルール16、17を除いて２つのポート13、14の開口面積
を適当に設定し、このポート13、14の開口面積をリング
部材18、19で調節するようにしてもよい。

（考案の効果）本考案によれば、シミーが発生しやすいニュートラル時
において、ポートの開口面積を絞る一方、操舵時にはポ
ートの開口面積を大きくすることができるので、シミー
の軽減と操舵応答性の向上とを両立させることができ
る。さらに、操舵ハンドルの操舵に対応してラック軸が
車幅方向に変位するときに、リング部材の外周面がハウ
ジング内壁に接触しながら摺動するので、この摺動によ
る摩擦力で操舵時におけるシミーをも軽減することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案に係るパワーステアリングギア装置
の一実施例を示す図であり、第１図はその要部の構成
図、第２図は第１図のII−II′矢視断面図、第３図はそ
の要部の透視図、第４、５図は従来のパワーステアリン
グギア装置を示す図であり、第４図はその全体の構成
図、第５図はその要部の構成図である。 11……ハウジング、 12……ピストン、 13、14……ポート、 15……ラック軸、 18、19……リング部材（ポート開口面積調節手段）。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ハウジング内部を２室に仕切るピストン
と、ハウジング壁に形成され、各々の開口が２室に臨む
２つのポートと、ピストンを一体的に支持して車幅方向
に変位自在に延在し、両端が転舵輪に連結されたラック
軸と、を備えたパワーステアリングギア装置において、前記ハウジングの内径と略同等の外径を有する２つのリ
ング部材を前記ラック軸に固定し、該ラック軸がニュー
トラル位置にあるとき、該２つのリング部材の外周面で
前記２つのポートの開口面積を減少若しくは閉鎖するよ
うに構成したことを特徴とするパワーステアリングギア
装置。